JP6810571B2 - 断熱容器用シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱容器用シートの製造方法に関する。
コーヒー等のホット飲料用や、ラーメン、スープ、味噌汁等の即席食品用などの容器として断熱容器が使用されている。今日では、電子レンジを利用し、飲料や惣菜等の内容物が入った断熱容器を加熱調理することも行われている。断熱容器は、手で持ちやすいように、内容物の熱を遮断する断熱構造を有し、紙製の断熱容器用シートにより形成されるものがある(特開平8−226097号公報及び特開2008−266799号公報参照)。このような断熱容器用シートは、通常、紙基材と発泡性組成物を有する。上記発泡性組成物には、加熱により発泡する発泡性マイクロカプセル(発泡剤)が含有されており、この発泡剤の発泡により断熱層が形成されて断熱性を発揮する。
特開平8−226097号公報 特開2008−266799号公報
しかしながら、上記断熱容器用シートが用いられた電子レンジ調理用容器(断熱容器)においては、電子レンジによる加熱の際、シート中の水分が誘電加熱され、これにより発泡剤が発泡する。上記シート中の水分としては、抄紙時に紙基材に含まれる水分や、食材等から吸収される水分などがある。しかし、従来の断熱容器用シートは、電子レンジによる加熱に十分な水分を吸収及び保持できる構造となっていないため、発泡性が十分では無い。このため、断熱性の向上が望まれる。さらに、調理用容器の成形材料等として、平滑性や加工適性等の向上も望まれる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、電子レンジによる加熱の際に良好な断熱性を発揮することができると共に、調理用容器の成形材料等として好適な断熱容器用シートの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層を紙基材の一方の面側に積層する工程と、上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面に被覆層用組成物からなる被覆層を積層する工程とを備え、上記紙基材の坪量が50g/m以上600g/m以下であり、上記発泡性層が、フレキソ印刷方式により積層される断熱容器用シートの製造方法である。
当該断熱容器用シートの製造方法においては、熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層が、紙基材の一方の面側にフレキソ印刷方式により積層されるので、凸部状の網点パターンからなる発泡性層を形成することができる。その結果、発泡性層の厚み及び比表面積を増加させることができる。また、上記紙基材の坪量が50g/m以上600g/m以下であるので、断熱性、加工性等を良好にすることができる。従って、良好な断熱性及び加工性を発揮する断熱容器用シートの製造をすることができる。また、発泡性層の上記紙基材とは反対側の面、すなわち発泡性層の外表面側に被覆層を積層することにより、熱の放散を抑制し熱発泡性マイクロカプセルの熱発泡を促進させることができる断熱容器用シートを製造することができる。
上記発泡性層を積層する工程が、アニロックスロールを備えるフレキソ印刷機を用いて行われ、上記アニロックスロールの円筒部表面に彫刻された線数としては、80線/インチ以上200線/インチ以下が好ましい。また、上記発泡性層における上記発泡性層用組成物の積層量としては、固形分換算で10g/m以上50g/m以下が好ましい。上記線数が上記下限未満の場合は、膨張後の表面の凹凸が生じやすくなったりするおそれがある。一方、上記線数が上記上限を超える場合は、膜厚が薄くなり、十分な断熱性やクッション性を得られない場合がある。上記発泡性層用組成物の積層量が上記下限未満の場合は、十分な断熱性やクッション性を得られない場合がある。一方、上記発泡性層用組成物の積層量が上記上限を超える場合は、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が生じやすくなったり、膨張後の表面の凹凸が生じやすくなったりするおそれがある。そこで、上記アニロックスロールの円筒部表面に彫刻された線数及び上記発泡性層用組成物の積層量を上記範囲とすることにより、製造される断熱容器用シートの発泡性層の厚みが向上すると共に、加熱発泡後の発泡性層の厚みも向上することで、断熱性を高い断熱容器用シートを得ることができる。
上記発泡性層用組成物に対する上記熱発泡性マイクロカプセルの含有量としては、20質量%以上70質量%以下が好ましく、上記発泡性層用組成物のNo.4ザーンカップにより測定される25℃における粘度としては、5秒以上50秒以下が好ましい。上記泡性層用組成物に対する上記熱発泡性マイクロカプセルの含有量が上記下限未満の場合は、十分な断熱性等を得られなくなる場合がある。一方、上記含有量が上記上限を超える場合は、加熱後の表面の凹凸が大きくなり、平滑性が低下する場合などがある。さらに、熱発泡性マイクロカプセルの使用量の増加に伴うコスト高となる。また、上記発泡性層用組成物のNo.4ザーンカップにより測定される25℃における粘度が上記下限未満の場合は、熱発泡性マイクロカプセルの十分な固着性を得られなくなる場合がある。一方、上記粘度が上記上限を超える場合は、平滑性が低下するおそれがある。
上記発泡性層用組成物及び上記被覆層用組成物の少なくとも一方が、保湿剤を含有することが好ましい。保湿剤を含有することで、食材等からの水分がこの保湿剤によって断熱用シート中に吸収及び保持されやすくなっている。このため、電子レンジによる加熱の際、断熱用シート中の水分量が多いため、効率的に加熱される当該断熱用シートを製造することができる。また、保湿剤を含有させることで、当該断熱容器用シートのカールの発生が抑えられるため、加工適性も高まる。
ここで、「固形分」とは、溶媒及び水以外の成分をいう。
本発明によれば、電子レンジによる加熱の際の発泡性に優れ、良好な断熱性を発揮することができると共に、調理用容器の成形材料等として好適な断熱容器用シートを製造することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る断熱容器用シートの製造方法について詳説する。
本発明の一実施形態に係る断熱容器用シートの製造方法は、紙基材と、発泡性層と、被覆層とをこの順に備える層構造体である断熱容器用シートの製造方法である。当該断熱容器用シートの製造方法は、熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層を紙基材の一方の面側に積層する工程と、上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面に被覆層用組成物からなる被覆層を積層する工程とを備える。
<発泡性層積層工程>
発泡性層積層工程では、熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層を紙基材の一方の面側に積層する。上記発泡性層は、フレキソ印刷方式により積層される。
[紙基材]
上記紙基材は、いわゆる紙であり、パルプ繊維を主成分とし、パルプ繊維を抄紙して得られる層である。上記パルプ繊維としては特に限定されず、例えば針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の木材パルプを挙げることができる。また、これらの木材パルプを主材とし、麻、木綿、藁、ケナフ等の非木材パルプや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等を原料とした合成パルプ等を併用することができる。その他、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の有機合成繊維やガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナシリケート繊維、ロックウール等の無機繊維等を併用することも可能である。
上記紙基材に含まれていてもよい他の成分としては、例えばサイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、染料、顔料、歩留り向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール剤、粘剤、防腐剤、防黴剤、難燃剤等を挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記紙基材としては透気性を有すると好ましく、上記紙基材が透気性を有することで、紙基材及び食材中の水分が加熱により蒸散し、発泡性層の加熱による発泡をさらに促すことができる。透気性を有する紙基材としては、例えば、JIS−P8117(2009)「紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法」に準じてガーレー試験機を用いて測定した透気抵抗度が200秒以下の紙基材をいう。
また、上記紙基材の坪量の下限としては、50g/mが好ましく、150g/mがより好ましい。紙基材の坪量の下限が50g/m未満の場合、成型性が悪くなるおそれがある。上記上限としては、600g/mが好ましく、450g/mがより好ましい。紙基材の坪量の上限が600g/mを超えると、成型性が悪くなるとともに、紙基材の透気性が低くなり過ぎて、発泡性が低下するおそれがある。
[発泡性層]
上記発泡性層は、上記紙基材と被覆層との間に存在する層である。上記発泡性層は、発泡性層用組成物を用い、上記紙基材の一方の面側に積層される。上記発泡性層用組成物は、少なくとも熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有し、好適にはこの発泡性層に保湿剤が含有されている。
(熱発泡性マイクロカプセル)
上記熱発泡性マイクロカプセルは、通常、外殻を形成する樹脂製のマイクロカプセル内に低沸点溶剤が封入された熱膨張性のマイクロカプセルである。この熱発泡性マイクロカプセルは、マイクロカプセルを形成する樹脂の軟化点以上の温度に加熱されると樹脂が軟化すると共に封入されている低沸点溶剤が気化することで蒸気圧が上昇する。その結果、樹脂が押し広げられマイクロカプセルが膨張することで独立気泡が形成される。この独立気泡により当該断熱容器用シートの断熱性及びクッション性が向上する。
上記発泡性層用組成物に対する上記熱発泡性マイクロカプセルの含有量の下限としては、20質量%が好ましく、25質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。一方、上記含有量の上限としては、70質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。熱発泡性マイクロカプセルの含有量が上記下限未満の場合は、十分な断熱性等を得られなくなる場合がある。逆に、この含有量が上記上限を超える場合は、加熱後の表面の凹凸が大きくなり、平滑性が低下する場合などがある。また、熱発泡性マイクロカプセルの使用量の増加に伴うコスト高となる。
上記発泡性層用組成物のNo.4ザーンカップにより測定される25℃における粘度の下限としては、特に限定されないが、5秒が好ましく、10秒がより好ましく、15秒がさらに好ましい。上記粘度の上限としては、50秒が好ましく、45秒がより好ましく、40秒がさらに好ましい。上記粘度が上記下限未満の場合は、熱発泡性マイクロカプセルの十分な固着性を得られなくなる場合がある。一方、上記粘度が上記上限を超える場合は、平滑性が低下するおそれがある。
外殻を形成する上記樹脂としては、特に限定されないが、例えば塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体からなる熱可塑性樹脂を用いることができる。
上記低沸点溶剤としては、特に限定されないが、例えばイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤(膨張剤)を用いることができる。
また、熱発泡性マイクロカプセルとしては、市販品を使用することもできる。このような市販品としては、例えば松本油脂製薬社の「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」、「マツモトマイクロスフェアーFNシリーズ」、アクゾノーベル社の「Expanncel 007−40」、「Expanncel WU」、「Expanncel DU」等が挙げられる。
発泡前の上記熱発泡性マイクロカプセルの平均粒径の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、上記熱発泡性マイクロカプセルの平均粒径の上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。熱発泡性マイクロカプセルの平均粒径が上記下限未満である場合、得られる独立気泡が小さくなるため当該断熱容器用シートの断熱性及びクッション性が不十分となるおそれがある。一方、熱発泡性マイクロカプセルの平均粒径が上記上限を超える場合、その大きさにより表面に凹凸が生じやすくなったり、発泡性層内に熱発泡性マイクロカプセルを固定し難くなったりするおそれがある。なお、熱発泡性マイクロカプセルの平均粒径とは、任意の10のサンプルを顕微鏡観察し、平面視での最大径とこの最大径に直交する方向の径との平均から算出される値を指す。
上記熱発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度の下限の幅としては、75〜101℃の範囲が好ましく、91〜101℃がより好ましく、91〜99℃の範囲が更に好ましい。また、上記熱発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度の上限の幅としては、120〜144℃が好ましく、130〜140がさらに好ましく、132〜140℃がよりさらに好ましい。上記発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度が上記下限未満である場合、バインダーの軟化が開始される温度付近で上記熱発泡性マイクロカプセルの発泡が開始されるおそれがある。一方、上記熱発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度が上記上限を超える場合、当該断熱容器用シートの使用の際、熱発泡性マイクロカプセルが十分に発泡しないおそれがある。
上記熱発泡性マイクロカプセルの最大発泡温度の下限としては、150℃が好ましい。また、上記発泡性マイクロカプセルの最大発泡温度の上限としては、200℃が好ましく、185℃がより好ましい。上記熱発泡性マイクロカプセルの最大発泡温度が上記下限未満である場合、又は上記熱発泡性マイクロカプセルの最大発泡温度が上記上限を超える場合、発泡性層の電子レンジ等の誘電加熱による発泡性が不十分となるおそれがある。最大発泡温度とは、膨張率が最大になる温度をいう。
上記熱発泡性マイクロカプセルの発泡前の体積に対する発泡後の体積の比(体積膨張率)の下限としては、50倍が好ましく、65倍がより好ましく、80倍がさらに好ましい。また、上記熱発泡性マイクロカプセルの体積膨張率の上限としては、130倍が好ましい。上記熱発泡性マイクロカプセルの体積膨張率が上記下限未満である場合、得られる独立気泡が小さくなるため当該断熱容器用シートの断熱性及びクッション性が不十分となるおそれがある。一方、上記熱発泡性マイクロカプセルの体積膨張率が上記上限を超える場合、発泡後の表面の平滑性が大きく低下するおそれがある。
(バインダー)
上記バインダーはガラス転移温度が30℃以下の樹脂であることが好ましい。このように発泡性層におけるバインダーのガラス転移温度が30℃以下である場合、電子レンジによる誘電加熱等の際にバインダーが軟化し、熱発泡性マイクロカプセルの膨張が効果的に行われる。なお、上記バインダーのガラス転移温度の上限としては、熱発泡性マイクロカプセルの膨張性等の観点から、20℃が好ましく、10℃がより好ましい。一方、上記バインダーのガラス転移温度の下限としては、例えば−50℃とすることができるが、−30℃が好ましく、−10℃がより好ましい。上記バインダーのガラス転移温度を上記下限以上とすることにより、熱発泡性マイクロカプセルの固着性を高めることができる。ここで、ガラス転移温度とは、JIS−K−7121(1987年)に準拠して測定される中間点ガラス転移温度をいう。
上記バインダーとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエン共重合体等を挙げることができ、エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分として含むことが好ましい。バインダーとしてエチレン酢酸ビニル共重合体を用いることにより、熱発泡性マイクロカプセルをより良好に膨張させることなどができる。上記バインダー中のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量としては、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。なお、これらの樹脂において、ガラス転移温度は分子量等によって制御することができる。また、上記バインダーの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記発泡性層におけるバインダーの含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、65質量%がさらに好ましい。バインダーの含有量が上記下限未満の場合は、加熱後の表面の凹凸が大きくなり、平滑性が低下する場合や、発泡性マイクロカプセルの脱落が生じやすくなる場合がある。逆に、バインダーの含有量が上記上限を超える場合は、十分な発泡を行うことができず、断熱性が低下する場合などがある。
(保湿剤)
発泡性層用組成物及び上記被覆層用組成物の少なくとも一方が、保湿剤を含有することが好ましい。発泡性層及び被覆層の少なくとも一方に保湿剤が含有されることにより、電子レンジによる加熱によって、効果的に熱発泡性マクロカプセルを膨張させることができ、断熱性に優れる。また、保湿剤を含有させることで、当該断熱容器用シートのカールの発生が抑えられるため、加工適性も高まる。
上記保湿剤としては、保湿性を有する成分である限り特に限定されないが、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;
ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類;
カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;
セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール;
その他、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、セラミド、ヒアルロン酸等を挙げることができる。
上記保湿剤としては、これらの中でも、多価アルコール及びポリオールが好ましく、ポリオールがより好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。保湿剤として、これらの化合物を用いることで、より良好な保湿性、ひいては断熱性等を発揮することができる。また、これら(ポリエチレングリコール等)は、紙を柔軟にするため、カールを抑制する効果があり、発泡後の表面性も良くなるので好ましい。カールが発生しやすい断熱容器用シートは、容器への加工性や、作業性などに影響を与えるため好ましくない。
上記発泡性層が保湿剤を含有する場合、発泡性層における保湿剤の含有量の下限としては、例えば1質量%であってもよいが、5質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、例えば50質量%であってもよいが、30質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。保湿剤の含有量が上記上限を超える場合、発泡性層を形成する材料の不均一化や強度の低下などが生じ、その結果、発泡後のシート表面に歪や皺などが生じやすくなる。また、発泡性層における保湿剤の含有量が多すぎると、十分な量の熱発泡性マイクロカプセルを発泡性層に含有させることができなくなり、断熱性が低下することとなる。このようなことから、発泡性層中の保湿剤の含有量を上記範囲とすることにより、外観の低下を抑えつつ、十分な保水性を発揮し、発泡後の断熱性を高めることができる。
(その他の成分)
また、上記発泡性層は、熱発泡性マイクロカプセル、バインダー及び保湿剤以外の他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば界面活性剤、サイズ剤、顔料等を挙げることができる。但し、発泡性層における他の成分の含有量としては、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。発泡性層において、熱発泡性マイクロカプセル及びバインダー以外の他の成分の含有量が多くなると、発泡性、ひいては断熱性等に影響を与えるおそれがある。
[フレキソ印刷]
上記発泡性層は、フレキソ印刷方式により紙基材の一方の面側に積層される。上記発泡性層が、フレキソ印刷方式により積層されるので、凸部状の網点パターンからなる発泡性層を形成することができる。その結果、公知の塗工機により形成される平坦状の塗膜よりも層の厚み及び比表面積を容易に増加させることができる。従って、良好な断熱性を発揮する断熱容器用シートの製造をすることができる。
フレキソ印刷は、ゴム又は樹脂からなる凸版の刷版ロールと、表面に細かいセルが並列に彫刻されたアニロックスロールと、刷版ロールから被印刷体への転写時に低い圧力を加える圧胴ロールとを備えるフレキソ印刷機を用いる凸版印刷方式である。始めに、ファウンテンロール(ゴムロール)もしくはドクターチャンバーから水性インクとなる発泡性層用組成物がアニロックスロールに供給される。供給される発泡性層用組成物は、外気温などに応じて加温タンクにより温度調整が行われる。次に、アニロックスロールが、定量の発泡性層用組成物を刷版ロールへ転移する。そして、刷版ロールと圧胴ロールとの間を通る紙基材の一方の面側に対して発泡性層が積層される。
上記アニロックスロールの円筒部表面に彫刻された線数の下限としては、特に限定されないが、80線/インチが好ましく、85線/インチがより好ましく、90線/インチがさらに好ましい。一方、上記線数の上限としては、特に限定されないが、200線/インチが好ましく、180線/インチがより好ましく、160線/インチがさらに好ましい。上記線数が上記下限未満の場合は、膨張後の表面の凹凸が生じやすくなったりするおそれがある。一方、上記線数が上記上限を超える場合は、膜厚が薄くなり、十分な断熱性やクッション性を得られない場合がある。
上記発泡性層における上記発泡性層用組成物の積層量の下限としては、固形分換算で10g/mが好ましく、12g/mがより好ましく、15g/mがさらに好ましい。一方、上記発泡性層用組成物の積層量の上限としては、固形分換算で50g/mが好ましく、45g/mがより好ましく、35g/mがさらに好ましい。発泡性層の単位面積当たりの質量が上記下限未満の場合は、十分な断熱性やクッション性を得られない場合がある。逆に、発泡性層の単位面積当たりの質量が上記上限を超える場合は、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が生じやすくなったり、膨張後の表面の凹凸が生じやすくなったりするおそれがある。
フレキソ印刷後、必要に応じて加熱乾燥させることにより、発泡性層が得られる。なお、加熱乾燥を行う際は、熱発泡性マイクロカプセルが実質的に発泡しない条件下で行う。
<被覆層積層工程>
被覆層積層工程では、上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面に被覆層用組成物からなる被覆層を積層する。すなわち、被覆層は、発泡性層の外面を被覆する層である。上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面、すなわち発泡性層の外表面側に被覆層を積層することにより、熱の放散を抑制し熱発泡性マイクロカプセルの熱発泡を促進させることができる断熱容器用シートを製造することができる。また、発泡性層中の熱発泡性マイクロカプセルの脱落を抑制したり、表面平滑性を高めたりすることができる。
上記被覆層は、塗工液となる被覆層用組成物の塗工により形成する。上記塗工は、例えば2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター等の公知の塗工装置を用いて行うことができる。また、フレキソ印刷機、グラビア印刷機、オフセット印刷機等の印刷機を用いて塗工することもできる。塗工後、必要に応じて加熱乾燥させることにより、被覆層が得られる。なお、被覆層の加熱乾燥を行う際は、下層となっている発泡層中の熱発泡性マイクロカプセルが実質的に発泡しない条件下で行う。
上記被覆層用組成物は、公知の一般的な各種樹脂を主成分とすることができるが、結晶性樹脂を主成分として含有することが好ましい。なお、結晶性樹脂とは、JIS−K−7121(2012年)に準拠したJIS−K−7121(2012年)に準拠した示差走査熱量計(DSC)による測定において融解ピークが確認できる樹脂をいう。また、主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。上記被覆層用組成物における上記結晶性樹脂の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく、95質量%が特に好ましい。また、上記結晶性樹脂の含有量の上限としては、100質量%であってもよいが、この被覆層に上記保湿剤が含有される場合などは、90質量%であってもよく、70質量%であってもよい。
上記結晶性樹脂としては、融点が120℃以上の結晶性樹脂であることが好ましい。なお、120℃以上で溶融することなく分解し、融点を有さない結晶性樹脂も、融点が120℃以上の結晶性樹脂とする。上記結晶性樹脂の融点の下限としては、140℃が好ましく、150℃がより好ましい。特に、上記発泡性層中のバインダーのガラス転移温度が30℃以下であり、この被覆層の結晶性樹脂の融点が120℃以上であることが好ましい。このような場合、発泡性層のバインダーのガラス転移温度に対して、被覆層の結晶性樹脂の融点が十分に高い関係にある。そのため、加熱により熱発泡性マイクロカプセルが膨張する際に被覆層は軟化し難いためその表面形状が保たれ、表面の平滑性を保つことができる。なお、上記結晶性樹脂の融点の上限としては特に限定されないが、例えば300℃とすることができ、250℃であってよく、230℃であってもよい。
上記結晶性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン等を挙げることができるが、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン等の水溶性高分子が好ましく、ポリビニルアルコールがさらに好ましい。水溶性高分子を用いることで、この水溶液の塗工により比較的容易に被膜層を形成することができる。特に、ポリビニルアルコールを用いることで、強固な被膜を形成することができ、熱発泡性マイクロカプセルの脱落防止能や、発泡後の表面の平滑性をより高めることができる。また、ポリビニルアルコールを用いた場合、結晶化度が低い状態であった場合も使用時の加熱に伴い結晶化が進むため、加熱後も表面の平滑性を良好に保つことができる。
ポリビニルアルコール(PVA)は、例えば酢酸ビニル等のビニルエステルを重合し、得られたポリビニルエステルをけん化することにより得ることができる。
PVAのけん化度の下限としては、70モル%であってよいが、85モル%が好ましい。PVAのけん化度を上記下限以上とすることで、被覆層を形成するPVAの結晶化度を高めることができ、熱発泡性マイクロカプセルの膨張後の表面平滑性をより高めることなどができる。また、PVAのけん化度を上記下限以上とすることで、被覆層の強度を高め熱発泡性マイクロカプセルの脱落防止能をより高めることができる。ポリビニルアルコールのけん化度とは、ポリビニルアルコールが有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得るビニルエステル単位とビニルアルコール単位との合計モル数に対してビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。
PVAの重合度の下限としては、200が好ましく、400がより好ましい。PVAの重合度が上記下限未満の場合は、得られる被覆層の強度の低下や、融点の低下などが生じるおそれがある。一方、PVAの重合度の上限としては、2500が好ましく、2000がより好ましい。PVAの重合度が上記上限を超える場合は、溶液が高粘度になり、塗工性が低下するおそれがある。
上記被覆層が保湿剤を含有する場合、被覆層における保湿剤の含有量の下限としては、1質量%であってもよいが、5質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、30質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。保湿剤の含有量が上記下限未満の場合、保湿剤の含有効果が十分に奏されず、十分な発泡による断熱効果を得ることができなくなる場合がある。一方、保湿剤の含有量が上記上限を超える場合、被覆層を形成する材料の不均一化や強度の低下などが生じ、その結果、発泡後のシート表面に歪や皺などが生じやすくなる。
上記被覆層は、上記結晶性樹脂及び保湿剤以外の他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば非結晶性樹脂、界面活性剤、サイズ剤、顔料等を挙げることができる。但し、被覆層における他の成分の含有量としては、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。被覆層において、成分の含有量が多くなると、表面平滑性等に影響を与えるおそれがある。
上記被覆層の単位面積当たりの質量(坪量)の下限としては、例えば0.3g/mとすることができるが、1g/mが好ましく、1.5g/mがより好ましい。一方、上記被覆層の単位面積当たりの質量(坪量)の上限としては、10g/mが好ましく、6g/mがより好ましく、4g/mがさらに好ましい。被覆層の坪量が上記下限未満の場合は、印刷や加工時に熱発泡性マイクロカプセルの脱落が生じやすくなる。一方、被覆層の坪量が上記上限を超えると、被覆性が高すぎ、加熱時の水蒸気によりブリスター(皺)が生じる場合がある。
当該断熱容器用シートの製造方法により製造される断熱容器用シートの密度の下限としては、0.2g/cmが好ましく、0.3g/cmがより好ましい。一方、当該断熱容器用シートの密度の上限としては、0.7g/cmが好ましい。当該断熱容器用シートの密度が上記下限未満である場合、当該断熱容器用シートの強度が不足するおそれがある。一方、当該断熱容器用シートの密度が上記上限を超える場合、加熱による発泡性マイクロカプセルの膨張により当該断熱容器用シートの表面の平滑性や保形性が不足するおそれがある。
当該断熱容器用シートの製造方法により製造される断熱容器用シートの坪量の下限としては、60g/mが好ましく、160g/mがより好ましい。また、当該断熱容器用シートの坪量の上限としては、700g/mが好ましく、500g/mがより好ましい。当該断熱容器用シートの坪量が上記下限未満である場合、発泡後の手肉感や断熱容器としての強度が不足するおそれがある。一方、当該断熱容器用シートの坪量が上記上限を超える場合、当該断熱容器用シートを用いた断熱容器の重量が不要に大きくなるおそれや断熱容器用シートの生産性が低下するおそれがある。
当該断熱容器用シートの製造方法によれば、電子レンジによる加熱の際の発泡性に優れ、電子レンジによる加熱の際に良好な断熱性を発揮することができる断熱容器用シートを製造することができる。
<その他の実施形態>
本発明の断熱容器用シート及び断熱容器は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば断熱容器用シートにおいて、紙基材の両面に発泡性層及び被覆層を設けた構造であってもよい。また、紙基材、発泡性層及び被覆層以外の層を有していてもよい。他の層としては、例えば断熱容器に耐水性(耐漏性)やガスバリア性等の機能を付与する目的のための無機物層や樹脂層が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において用いた熱発泡性マイクロカプセル等を以下に示す。
(1)紙基材
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)に対し、サイズ剤(星光PMC社の「AL1362」)、硫酸バンド及びカチオン化デンプンを添加したスラリーをヤンキー抄紙機で抄紙した。抄紙原料や抄紙条件を適宜調整して、紙基材A1〜A5及びa1〜a2を得た。
(紙基材の物性値)
用いた紙基材A1〜A5及びa1〜a2の物性値として、坪量(g/m)及び透気抵抗度(秒)を下記表1に示す。なお、シートの坪量は、JIS−P8124(2011)「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
Figure 0006810571
(2)発泡性層
(2−1)熱発泡性マイクロカプセル
発泡性層の熱発泡性マイクロカプセルとしては、以下のB1〜B6を用いた。また、用いた熱発泡性マイクロカプセルの発泡性層中の含有量(質量部)を下記表2に示す。
・B1(AkzoNobel社製の「EXPANCEL 007−40」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)及びメチルメタクリレート(MMA)
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:10〜16μm
発泡開始温度(Ts):91〜99℃
最大発泡温度:132〜140℃
発泡前後体積比:50倍
・B2(AkzoNobel社製の「EXPANCEL 051」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)及びメチルメタクリレート(MMA)
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:9〜15μm
発泡開始温度(Ts):106〜111℃
最大発泡温度:138〜147℃
発泡前後体積比:130倍
・B3(AkzoNobel社製の「EXPANCEL 053」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)及びメチルメタクリレート(MMA)
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:10〜16μm
発泡開始温度(Ts):94〜101℃
最大発泡温度:136〜144℃
発泡前後体積比:65倍
・B4(松本油脂社製の「マイクロスフェア−F36」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)系コポリマー
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:10〜16μm
発泡開始温度(Ts):75〜85℃
最大発泡温度:120〜130℃
発泡前後体積比:60倍
・B5(松本油脂社製の「マイクロスフェア−F30VS」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)系コポリマー及び塩化ビニリデン(PVDC)
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:3〜7μm
発泡開始温度(Ts):91〜99℃
最大発泡温度:110〜120℃
発泡前後体積比:30倍
・B6(松本油脂社製の「マイクロスフェア−F793」)
外郭樹脂の単量体:アクリロニトリル(AN)系コポリマー
低沸点溶剤:イソブタン
粒径:25〜35μm
発泡開始温度(Ts):110〜120℃
最大発泡温度:160〜165℃
発泡前後体積比:50倍
(2−2)バインダー
バインダーとしては、以下のC1〜C4を用いた。また、用いたバインダーの発泡性層中の含有量(質量部)を下記表2に示す。なお、ガラス転移温度(Tg)は、バインダーのエマルジョン溶液をガラス板上に膜状に流した後、100℃で乾燥して得られたフィルムを試料として、示差走査熱量分析計(DSC)を用いて測定した。
・C1(クラレ社製の「パンフレックスOM4000NT」)
エチレン酢酸ビニル共重合体
ガラス転移温度(Tg):5℃
・C2(住友化学工業社製の「スミカフレックス753」)
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン
ガラス転移温度(Tg):−20℃
・C3(日本合成ゴム社製の「SBR0589」)
スチレンブタジエンラテックス
ガラス転移温度(Tg):8℃
・C4(旭化成社製の「サランラテックスL411A」)
ポリ塩化ビニリデン
ガラス転移温度(Tg):−18℃
(2−3)保湿剤
発泡性層の保湿剤としては、以下のD1〜D3を用いた。また、用いた保湿剤の発泡性層中の含有量(質量部)を下記表2に示す。
D1:東邦化学社製のポリエチレングリコール(PEG200)
D2:東邦化学社製のグリセリン
D3:東邦化学社製のプロピレングリコール
(2−4)発泡性層用組成物
上記熱発泡性マイクロカプセル、バインダー及び保湿剤を用いて発泡性層用組成物G1〜G38を調製した。各成分の発泡性層用組成物中の含有量(質量部)及び発泡性層用組成物のNo.4ザーンカップにより測定される25℃における粘度を下記表2に示す。
Figure 0006810571
(3)被覆層
(3−1)結晶性樹脂
被覆層用組成物の結晶性樹脂としては、以下のE1〜E5を用いた。また、用いた被覆層用樹脂の積層手段及び被覆層中の含有量(質量部)を下記表3に示す。
・E1(クラレ社製の「PVA205」)
ポリビニルアルコール
けん化度:88モル%
重合度:500
・E2(クラレ社製の「PVA105」)
ポリビニルアルコール
けん化度:98.5モル%
重合度:500
・E3(クラレ社製の「PVA405」)
ポリビニルアルコール
けん化度:81.5モル%
重合度:500
・E4(クラレ社製の「PVA110」)
ポリビニルアルコール
けん化度:98モル%
重合度:1000
・E5(クラレ社製の「PVA224」)
ポリビニルアルコール
けん化度:88モル%
重合度:2400
(3−2)保湿剤
被覆層用組成物の保湿剤としては、発泡性層の保湿剤と同様にD1〜D3を用いた。
(3−3)その他の成分
被覆層用組成物のその他の成分としては、以下の化合物を用いた。また、各成分の被覆層中の含有量(質量部)を下記表3に示す。
界面活性剤:カチオン性のドデシルアンモニウムクロライドである第一製薬工業社製の「カチオーゲンDDM」
サイズ剤:ロジンエマルジョンサイズ剤である星光PMC株式会社製の「AL1200」
(3−4)被覆層用組成物
上記結晶性樹脂、保湿剤及びその他の成分を用いて被覆層用組成物H1〜H38を調製した。各成分の被覆層用組成物中の含有量(質量部)を下記表3に示す。
Figure 0006810571
[実施例1]
紙基材A1に発泡性層用組成物G1をフレキソ印刷機により固形分換算で20g/m積層することで、発泡性層を形成した。
なお、フレキソ印刷の条件は下記の通りである。
発泡性層用組成物の供給 :ドクターチャンバー方式
アニロックスロールの線数:120線/インチ
発泡性層用組成物の温度 :25℃
印刷速度 :110m/分
次に、この発泡性層の表面に発泡性層用組成物G1と同様にフレキソ印刷機により被覆層用組成物H1を固形分換算で2g/m塗布して被覆層を形成し、実施例1の断熱容器用シートを得た。
[実施例2〜25、比較例1〜2]
発泡性層及び被覆層の条件を下記表4に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1〜2の断熱容器用シートを得た。
[比較例3]
紙基材A3に発泡性層用組成物G18を塗工機(2ロールサイズプレスコーター)により固形分換算で2g/m積層することで、発泡性層を形成した。次に、この発泡性層の表面にフレキソ印刷機により被覆層用組成物H18を固形分換算で2g/m塗布して被覆層を形成し、比較例3の断熱容器用シートを得た。
[比較例4〜13]
発泡性層及び被覆層の条件を下記表4に示す通りにしたこと以外は比較例3と同様にして、比較例4〜11の断熱容器用シートを得た。
Figure 0006810571
<評価>
得られた断熱容器用シートについて、以下の方法にて、発泡性層の厚み、密度(g/m)、断熱性試験、熱発泡性マイクロカプセルの脱落評価、平滑性評価(ブリスター評価)、カール評価及び容器加工性評価を行った。評価結果を表5に示す。
[発泡性層の厚み]
発泡前後の断熱容器用シートの厚み(μm)を測長SEMにより計測した。
[密度]
JIS−P8118(1998)「「厚さ及び密度の試験方法」に準拠して得られた断熱容器用シートの密度を測定した。
[断熱性試験]
発泡後の断熱容器用シートの断熱性を以下の手順で評価した。断熱容器用シートを1分間浸水した後、サランラップ(登録商標)に包み、電子レンジにて600W、3分の条件で加熱し、発泡させた。発泡後の断熱容器用シートを65mm×50mmに断裁し、紙基材側を紙コップ外側に貼り付けた。この紙コップに90℃の熱湯を注ぎ、断熱容器用シートの外側表面が到達した最高温度(℃)を熱電対にて測定した。この最高温度は80℃以下が好ましく、70℃以下が極めて好ましい。
[熱発泡性マイクロカプセルの脱落評価]
断熱容器用シートを1分間浸水した後、サランラップ(登録商標)に包み、電子レンジにて600W、3分の条件で加熱し、発泡させた。発泡後の断熱容器用シート(A5サイズ)を塗工面(被覆層面)が外側になるように2つ折りにした。次に、上記断熱容器用シートをグローブボックス(日本エアーテック株式会社の「SS−MAC」)の吸引口に設置した漏斗の上側に置き、上記断熱容器用シートを上側から人差し指で1回/秒の間隔で所定時間(30秒、10秒×3回)タップした。そして、断熱容器用シートから発生したパーティクルを吸引し、粒径1μm以上のパーティクルの個数をリオン株式会社の「パーティクルカウンターKC−32」を用いて測定した。この測定を5回繰り返し、その平均値を算出し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、◎、○及び△が実使用可能な範囲である。
(評価基準)
◎:パーティクルの個数が50個未満であり、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が非常に少ないと考えられる。
○:パーティクルの個数が50個以上100個未満であり、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が少ないと考えられる。
△:パーティクルの個数が100個以上200個未満であり、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が多いと考えられる。
×:パーティクルの個数が200個以上であり、熱発泡性マイクロカプセルの脱落が非常に多いと考えられる。
[平滑性評価(ブリスター評価)]
断熱容器用シートを1分間浸水した後、サランラップ(登録商標)に包み、電子レンジにて600W、3分の条件で加熱し、発泡させた。発泡後の断熱容器用シートの被覆層側表面を観察して、以下の評価基準で評価した。なお、◎、○及び△が実使用可能な範囲である。
(評価基準)
◎:皺(ブリスター)が視認では確認できず、平滑性が極めて高かった。
○:小さい皺(ブリスター)が僅かに存在した。
△:小さい皺(ブリスター)が全体的に存在した。
×:大きい皺も含め、多数の皺(ブリスター)が存在した。
[カール評価]
カールの発生しやすさについて、以下の順で評価した。抄紙方向を一辺とする300mm四方の正方形となるように発泡前の断熱容器用シートを切断し、温度23℃、湿度50%の環境下に1時間放置した。この後、平らな面(板)上に上記断熱容器シートを置き、四隅の面(板)からの高さ(mm)を測定し、四隅の平均を取った。
[容器成型性評価]
実施例及び比較例の断熱容器用シートの容器への成形しやすさについて、以下の順で評価した。
断熱容器シートを所定形状に打ち抜いて成型用シートを作製した後、恒温恒湿器を用いてJIS−P−8111(1998)に準拠し、(23±1)℃、(50±2)%RHで調湿した。調湿した成型用シートを、熱板圧空成型機を用い、コップ型の成型体を得た。そして、成形性及び得られた成型体の型保持性の有無を目視で以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:コップ形状に容易に成型でき、かつ成型体の表面が滑らかで型保持性が非常に良好。
○:コップ形状に容易に成型でき、型保持性も良好。
△:コップ形状に成型可能であるが、成型体の表面の状態にやや劣る。
×:コップ形状に成型困難又は成型体の表面に大きな凹凸がある。
上記特性の評価結果を表5に示す。
Figure 0006810571
表5に示されるように、発泡性層がフレキソ印刷方式により積層される実施例1〜15の断熱容器用シートは、発泡前及び発泡後の発泡性層において良好な厚みが得られ、断熱性も良好であった。また、実施例1〜15の断熱容器用シートは、低密度で断熱性、熱発泡性マイクロカプセルの脱落評価、平滑性、カール評価及び容器成型性の全てにおいて良好であることが確認できた。一方、比較例1〜13の断熱容器用シートは、上記の項目のうち、いずれかの項目が劣っていた。また、発泡性層が2ロールサイズプレスコーターで塗工された比較例3〜13の断熱容器用シートは、発泡前及び発泡後の発泡性層において十分な厚みが得られず、カール評価が劣っていた。また、比較例1〜2及び5〜6の断熱容器用シートは、実施例と比較して容器成型性が特に劣り、比較例1及び3〜13の断熱容器用シートは、カール評価も劣っていた。比較例4、6〜8及び11〜12の断熱容器用シートは、熱発泡性マイクロカプセルの脱落評価及び平滑性が特に劣っていた。
本発明の断熱容器用シートの製造方法は、電子レンジ等で加熱される調理用容器の成形材料等として好適な断熱容器用シートを製造することができる。

Claims (3)

  1. 熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層を紙基材の一方の面側に積層する工程と、
    上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面に被覆層用組成物からなる被覆層を積層する工程とを備え、
    上記発泡性層用組成物及び上記被覆層用組成物の少なくとも一方が、保湿剤を含有し、
    上記紙基材の坪量が50g/m以上600g/m以下であり、
    上記発泡性層が、フレキソ印刷方式により積層される断熱容器用シートの製造方法。
  2. 熱発泡性マイクロカプセル及びバインダーを含有する発泡性層用組成物からなる発泡性層を紙基材の一方の面側に積層する工程と、
    上記発泡性層の上記紙基材とは反対側の面に被覆層用組成物からなる被覆層を積層する工程とを備え、
    上記紙基材の坪量が50g/m 以上600g/m 以下であり、
    上記発泡性層が、フレキソ印刷方式により積層され、
    上記発泡性層を積層する工程が、アニロックスロールを備えるフレキソ印刷機を用いて行われ、
    上記アニロックスロールの円筒部表面に彫刻された線数が、80線/インチ以上200線/インチ以下であり、
    上記発泡性層における上記発泡性層用組成物の積層量が、固形分換算で10g/m以上50g/m以下である断熱容器用シートの製造方法。
  3. 上記発泡性層用組成物に対する上記熱発泡性マイクロカプセルの含有量が、20質量%以上70質量%以下であり、上記発泡性層用組成物のNo.4ザーンカップにより測定される25℃における粘度が、5秒以上50秒以下である請求項1又は請求項2に記載の断熱容器用シートの製造方法。
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