JP6809213B2 - 試験方法、試験片の製造方法、及び試験片 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管の疲労特性の試験方法、並びに当該試験方法に用いる試験片の製造方法及び試験片に関する。
鋼管は、外面と比較して内面の品質管理が困難である。機械構造部品として用いられる鋼管には所定の疲労耐久性が求められるが、鋼管の内面性状が不芳であると、内面を起点として疲労破壊する場合がある。そのため、鋼管の内面の疲労特性を評価できる試験方法が必要である。
しかし、単純に管状の試験片の両端部を拘束してねじり負荷又は曲げ負荷を加えると、試験片の内面よりも先に外面や拘束部(掴み部)から疲労破壊が起こる。そのため、内面を起点とした疲労破壊を再現した試験を実施することは困難である。
特許第5503608号公報には、円筒形金属素材の疲労破壊評価方法が開示されている。同公報には、円筒形試験材の中央部の外径を両端の拘束部の外径の90%以下にするとともに、中央部の外径と内径の比を(外径/内径)≦2とすること、中央部の外表面に素材の引張強度の25%以上、その外表面より0.8mm深さの位置に素材の引張強度の2.5%以下の残留圧縮応力を負荷した状態にすること、試験材に繰り返し曲げ負荷あるいはねじり負荷を加えることで試験材の内面に疲労破壊を発生させて疲労破壊特性を評価すること、等が記載されている。
特許第5503608号公報
西田正孝、「応力集中」、森北出版、1984、pp.180−181 日本材料学会編、「疲労設計便覧」、図2.8 日本機械学会編、「機械工学便覧α3 材料力学」、p.17 井上関次、「中空スタビライザの設計」、ばね論文集vol.1983(1983)No.28、pp.46−54
特許第5503608号公報に記載された方法によれば、鋼管内面の疲労特性を評価することができる。しかし、この方法では、実際の鋼管の形状に近い試験片を用いるため、鋼管の寸法によっては大型の試験装置が必要になる。また、試験片が大きくなると高周波数での試験が困難になるため、試験時間が長くなる。さらに、評価のための材料が多量に必要になり、試験片の加工費用が嵩む等、経済性にも問題がある。
本発明の目的は、経済性及び試験速度の点で有利な比較的小型の試験片を用いて、鋼管の疲労特性を評価できる試験方法を提供することである。本発明の他の目的は、同試験方法に好適な試験片、及びその製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態による試験方法は、内径2ρの鋼管から前記鋼管の内面を含むように採取された試験片を準備する工程と、前記試験片を用いて疲労試験を実施する工程とを備える。前記試験片は、断面が概略矩形であって前記鋼管の内面である断面弓形の溝を有し、前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、前記溝の深さdと前記内径2ρとが下記の式(2)を満たす。
d≦0.25h (1)
ρ≧d (2)
本発明の一実施形態による試験片の製造方法は、内径2ρの鋼管を準備する工程と、前記鋼管から、前記鋼管の内面を含むように試験片を採取する工程とを備える。前記試験片は、断面が概略矩形であって前記鋼管の内面である断面弓形の溝を有し、前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、前記溝の深さdと前記内径2ρとが下記の式(2)を満たす。
d≦0.25h (1)
ρ≧d (2)
本発明の一実施形態による概略矩形試験片は、疲労試験用の試験片であって、前記試験片は、曲率半径ρの断面弓形の溝を有し、前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、前記溝の深さdと前記曲率半径ρとが下記の式(2)を満たす。
d≦0.25h (1)
ρ≧d (2)
本発明によれば、比較的小型の試験片を用いて、鋼管の疲労特性を評価できる。
図1は、本発明の一実施形態による試験方法のフロー図である。 図2は、鋼管と当該鋼管から採取される試験片との関係を示す図である。 図3は、採取された試験片の斜視図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、溝の曲率半径ρが溝の深さdよりも小さい場合を示す図である。 図6は、試験片の製造方法の一例を示すフロー図である。 図7は、ねじり試験を説明するための図である。 図8は、曲げ試験を説明するための図である。 図9は、疲労試験装置の構成の一例を示す模式図である。 図10は、簡易試験から得られた疲労特性と実体試験の結果とを比較して示すS−N線図である。 図11Aは、試験片の破断面の写真である。 図11Bは、図11Aを模式的に図示したものである。 図12Aは、鋼管の破断面の写真である。 図12Bは、図12Aを模式的に図示したものである。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
図1は、本発明の一実施形態による試験方法のフロー図である。この方法は、鋼管から当該鋼管の内面を含むように採取された試験片を準備する工程(ステップS1)と、この試験片を用いて疲労試験を実施する工程(ステップS2)とを備えている。以下、各工程を詳述する。
[試験片を準備する工程]
鋼管から当該鋼管の内面を含むように採取された試験片を準備する(ステップS1)。図2は、鋼管10と鋼管10から採取される試験片20との関係を示す図である。図3は、採取された試験片20の斜視図である。
図2に示すように、試験片20は、鋼管10の内面(内周面)10aを含むように採取されたものである。図3示すように、試験片20は溝20aを有しているが、この溝20aは、鋼管10の内面10aであった部分をそのまま残したものである。
以下の説明では、溝20aが延びる方向(y方向)を試験片20の長さ方向と呼ぶ。図2に示すように、試験片20の長さ方向は、鋼管10の管軸方向と概略平行である。また、試験片20の長さ方向と垂直な断面(xz平面)において、溝20aの最深部における溝20aの法線方向(z方向)を試験片20の厚さ方向と呼ぶ。さらに、長さ方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向(x方向)を試験片20の幅方向と呼ぶ。これらに対応して、長さ方向、厚さ方向、及び幅方向の寸法をそれぞれ、長さ、厚さ、及び幅と呼ぶ。
図3に示すように、試験片20は、標点部21と、標点部21の両隣に形成された掴み部22とを備えている。掴み部22の幅w1は、標点部21の幅w(図4)よりも大きい。これは、疲労試験の際に標点部21で疲労破壊させるためである。より確実に標点部21で疲労破壊させるためには、長さ方向と垂直に切断した断面について、掴み部22の断面積を標点部21の断面積の2倍以上にすることが好ましい。また、標点部21と掴み部22との間で応力集中が起きないように、標点部21と掴み部22とは、大きな曲率半径で連結されていることが好ましい。例えば、曲率半径は標点部21の幅wの4倍以上とすればよい。
図3に示す例では、標点部21と掴み部22とは同じ厚さhに形成されている。しかし、標点部21と掴み部22とは、大きな曲率半径で連結されていれば厚さが異なっていてもよい。例えば、曲率半径は試験片の厚さの4倍以上にすればよい。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図4は、具体的には、試験片20の標点部21を長さ方向と垂直に切断した断面図である。
図4に示すように、試験片20の標点部21の断面は、幅w、厚さhの概略矩形の形状であって、幅wの側面の一方に溝20aが形成された形状を有している。上述のとおり、溝20aは、鋼管10(図2)の内面10aであった部分をそのまま残したものである。そのため、溝20aの断面は、円の一部を切り取った弓形の形状を有している。ここで「弓形」とは、円の弧とその弦とによって画された形状を意味する。また、溝20aの曲率半径ρは、鋼管10(図2)の内径(2ρ)の半分である。
溝20aの深さdと標点部21の厚さhとは、下記の式(1)を満たす。
d≦0.25h (1)
ここで、溝20aの深さdは、溝20aが形成された面から溝20aの最深部までの距離を意味する。
溝20aの深さdが0.25hよりも大きくなると、標点部21の断面形状が矩形から離れ、意図した応力分布が得られなくなる。具体的には、疲労破壊の生じやすい溝の最深部に高い応力集中が生じ、微視き裂の発生による応力緩和が大きくなりすぎるため実体の疲労特性を正しく評価できなくなるからである。溝20aの深さdは、好ましくは0.10h以下であり、さらに好ましくは0.05h以下である。一方、溝20aの深さdを小さくしすぎると、加工が困難になる。溝20aは、好ましくは0.01mm以上である。
標点部21の幅wは、標点部21の厚さh以上にする。これは、標点部21の中心を通る軸をねじり中心としたとき、溝20aに最大応力を発生させるためである。すなわち、評価したい部位である鋼管10(図2)の内面相当部に最大応力を発生させるためである。標点部21の幅wは、標点部21の厚さhの1.15倍以上であることが好ましい。W≧1.15hであれば、溝20aに発生する応力を他の部位に発生する応力よりも少なくとも5%大きくすることができるため、適切な評価をできる可能性が高まる。
標点部21の幅wは、溝20aの幅bよりも大きいことが好ましい。標点部21の幅wが溝20aの幅b以下であると、標点部21の断面形状が矩形から離れ、意図した応力分布が得られなくなる。なお、溝20aの幅bは2ρsin(arccos((ρ−d)/ρ))としても求めることができる。
標点部21の厚さhは、鋼管10(図2)の肉厚をtとして、好ましくは0.1t<h<tである。鋼管の表層の加工傷や脱炭層は鋼管10の肉厚tの数%程度の領域に分布しているため、肉厚tの10%よりも標点部の厚さhが厚くなるように試験片を採取すれば、鋼管内面の性状をより適切に評価することができる。標点部21の厚さhが大きいほど、鋼管と同様のき裂発生、き裂進展をして破断に至ると期待できるため、より適切な評価をできる可能性が高まる。一方、標点部21の厚さhを鋼管10の肉厚t以上にしても、断面形状が矩形から離れるだけで有利な効果がない。
標点部21の厚さhの下限は、好ましくは0.1mmである。厚さhが0.1mm未満であると、疲労試験を実施することが難しくなる。標点部21の厚さhの上限は、好ましくは100mmである。
標点部21の長さLの下限の定めはない(下限は0mm)。長さLが0mmであっても疲労破壊の開始(き裂発生)時までの評価をすることができる。長さLの好ましい下限は9mmである。長さLが9mm以上であれば、疲労破壊によるき裂が生じてもき裂が標点部21の範囲内におさまり、試験片が破断するまでの評価をすることができる。標点部21の長さLの上限の定めはないが、長さLが長すぎると試験設備が大きくなるため、例えば、100mm以下にすればよい。
溝20aの曲率半径ρを溝20aの深さd以上にする。
溝20aの曲率半径ρが溝20aの深さdよりも小さくなると、図5のように溝20aと平坦部23との境界部23aの角度が鋭角となり、疲労試験の際に応力集中によって疲労特性を正しく評価できなくなる。
[試験片20の製造方法]
図6は、試験片20の製造方法の一例を示すフロー図である。この製造方法は、内径2ρの鋼管を準備する工程(ステップS1−1)と、この鋼管から当該鋼管の内面を含むように試験片を採取する工程(ステップS1−2)とを備えている。
試験対象となる鋼管を準備する(ステップS1−1)。鋼管は、継目無鋼管であってもよいし、溶接鋼管であってもよい。鋼管の寸法は特に限定されないが、本実施形態による試験方法は、肉厚が0.6〜100mmの鋼管に対して特に好適である。
準備した鋼管から、上述した寸法条件を満たす試験片を採取する(ステップS1−2)。試験片の採取は、通常の機械加工により行うことができる。鋼管内面の疲労特性を調べるため、鋼管の内面に相当する溝には、表面処理を行わないことが好ましい。
[疲労試験を実施する工程]
準備した試験片20を用いて、疲労試験を実施する(ステップS2(図1))。疲労試験は、試験片20にねじり負荷を繰り返し加えるねじり疲労試験、及び試験片20に曲げ負荷を繰り返し加える曲げ疲労試験のどちらでもよい。また、試験片20に、ねじり負荷及び曲げ負荷の両方を同時に加える疲労試験を実施してもよい。
まず、図7を参照して、試験片20を用いてねじり疲労試験を実施する場合を説明する。図7に示すように、長さ方向と概略平行で標点部21の中心を通る軸を中心として、試験片20にトルクTを加える。すなわち、モーメントの向きが鋼管の管軸方向と概略平行になる負荷を加える。このとき、掴み部22の一方を固定して他方のみを回転させるようにしてもよいし、両方の掴み部22を互いに反対方向に回転させるようにしてもよい。
所定の周波数で評価したいトルクの大きさで、試験片20にねじり負荷を繰り返し加える。これによって、例えば試験片20が破断するまでの繰り返し数を測定し、最大応力と破断繰り返し数との関係を調べることができる。あるいは、所定の繰り返し数で試験片が破断するかどうかを調べることができる。なお、変動応力は片振りであってもよいし、両振りであってもよい。
次に、図8を参照して、試験片20を用いて曲げ疲労試験を実施する場合を説明する。図8に示すように、長さ方向と概略垂直で標点部21の中心を通る軸を中心として、試験片20にトルクTを加える。すなわち、モーメントの向きが鋼管の管軸方向と概略垂直になる負荷を加える。ねじり試験の場合と同様に、掴み部22の一方を固定して他方のみを回転させるようにしてもよいし、両方の掴み部22を互いに反対方向に回転させるようにしてもよい。
以下、ねじり試験の場合と同様に、所定の周波数で試験片20に繰り返し曲げ負荷を加えることで、材料の疲労特性を評価することができる。
図9は、疲労試験装置の構成の一例を示す模式図である。この装置は、一対のチャック31、モータ32、トルクセル33、及び制御装置34を備えている。
試験片20は、一対のチャック31によって拘束される。試験片20の一方の端部はモータ32に接続され、他方の端部はトルクセル33に接続される。モータ32は、試験片20にねじり負荷又は曲げ負荷を加える。トルクセル33は、試験片20に加わる実負荷を測定する。制御装置34は、モータ32を駆動するとともに、トルクセル33の出力を記録する。
この装置の構成によれば、長さ方向がモータ32の回転軸と平行になるように試験片20を配置することで、ねじり疲労試験を実施することができる。また、長さ方向がモータ32の回転軸と垂直になるように試験片20を配置することで、曲げ疲労試験を実施することができる。さらに、試験片をこれらの中間の角度に配置することで、試験片にねじり負荷及び曲げ負荷の両方を同時に加える疲労試験を実施することもできる。
以上、本発明の一実施形態による試験方法を説明した。本実施形態によれば、比較的小型の試験片を用いて、鋼管の疲労特性を評価することができる。
[本実施形態の変形例]
上述した実施形態では、標点部の断面形状が概略矩形である場合を説明した。しかし、ねじり中心からの距離が最も近い面に溝20aが存在していれば、標点部の断面形状にかかわらず、溝20aに最大応力が加わる。そのため、断面形状に応じた基準応力及び応力集中係数を算出すれば、矩形以外の断面形状、例えば、円形断面、楕円形断面、三角形断面であっても試験を実施することができる。
矩形断面の場合、基準応力τは下記のようになる。

ただし、Tはトルクの大きさ、wは標点部の幅、hは標点部の高さ、kは、矩形断面のねじり応力の係数であり、文献等で公表されている(日本機械学会編、「機械工学便覧α3 材料力学」、p.17を参照)。例えば、w/h=1.5のとき、k=0.2310である。
円形断面の場合、基準応力τは下記のようになる。

ただし、dは円形断面の直径である。最大応力部は円外周のすべてである。
楕円形断面の場合、基準応力τは下記のようになる。

ただし、aは長半径、bは短半径である。最大応力部は短軸と円周との交点である。
正三角形断面の場合、基準応力τは下記のようになる。

ただし、aは一辺の長さである。最大応力部は各辺の中点である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実体試験との比較]
鋼管を用いた疲労試験(以下「実体試験」という。)と、上記実施形態で説明した試験片による疲労試験(以下「簡易試験」という。)との結果を比較した。
簡易試験用の試験片は、以下のように作製した。まず、質量%で、C:0.3%、Si:0.3%、Mn:0.8%、P:0.016%、S:0.004%を含有する、外径25.5mm、肉厚4mmの鋼管を準備した。この鋼管に、ソルトバスで950℃×10分間加熱した後水冷する焼入れ処理と、大気中で200℃×1時間加熱する焼戻し熱処理とを実施した。熱処理後の鋼管の内面の硬さは、HV401〜498であった。
熱処理された鋼管から、試験片長さ60.0mm、標点部長さL=9.5mm、掴み部幅w1=8.0mm、標点部幅w=3.5mm、試験片厚さh=2.0mm、溝の曲率半径ρ(図4を参照)=8.7mmとし、溝の深さd(図4を参照)=0.10mmとなるように試験片を機械加工によって採取した。
図10は、簡易試験から得られた疲労特性と実体試験の結果とを比較して示すS−N線図である。図10の縦軸はせん断応力振幅であり、疲労破壊の基点となりやすい溝の最深部の応力振幅に相当する。図10中の白抜きのマークは、簡易試験から得られた結果である。図10中の実線は、井上関次、「中空スタビライザの設計」、ばね論文集vol.1983(1983)No.28、pp.46−54に掲載されている硬さが同程度である材料(HRC42〜45(HV412〜446))の実体試験から得られた結果である。図10から、簡易試験によって疲労特性が評価できることがわかる。
なお、井上らにより、HRC42〜45(HV412〜446)では、焼入れ焼戻しの熱処理をした材料では、同一硬さでは疲労強度もほぼ同一であることが確認されており、図10から、簡易試験によって実体試験の結果をよく再現できていることがわかる。
図11Aは、試験片の破断面の写真であり、図11Bは図11Aを模式的に図示したものである。図12Aは、鋼管の破断面の写真であり、図12Bは図12Aを模式的に図示したものである。図11A及び図11Bに示すように、試験片は、内面(溝側)を起点として半楕円形状にき裂が進展して破断に至っている。図12A及び図12Bに示すように、鋼管の破断面にも同様の破壊形態が見られる。このことから、簡易試験によって実体試験の破壊形態を模擬できていることがわかる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10 鋼管
10a 内面
20 試験片
20a 溝
21 標点部
22 掴み部
31 チャック
32 モータ
33 トルクセル
34 制御装置

Claims (3)

  1. 内径2ρの鋼管から前記鋼管の内面を含むように採取された試験片を準備する工程と、
    前記試験片を用いて疲労試験を実施する工程とを備え、
    前記試験片は、断面が概略矩形であって前記鋼管の内面である断面弓形の溝を有し、
    前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、
    前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、
    前記溝の深さdと前記内径2ρとが下記の式(2)を満たす、試験方法。
    d≦0.25h (1)
    ρ≧d (2)
  2. 内径2ρの鋼管を準備する工程と、
    前記鋼管から、前記鋼管の内面を含むように試験片を採取する工程とを備え、
    前記試験片は、断面が概略矩形であって前記鋼管の内面である断面弓形の溝を有し、
    前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、
    前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、
    前記溝の深さdと前記内径2ρとが下記の式(2)を満たす、試験片の製造方法。
    d≦0.25h (1)
    ρ≧d (2)
  3. 鋼管から前記鋼管の内面を含むように採取された、疲労試験用の試験片であって、
    前記試験片は、前記鋼管の内面である、曲率半径ρの断面弓形の溝を有し、
    前記溝の深さdと前記試験片の標点部の厚さhとが下記の式(1)を満たし、
    前記試験片の標点部の幅wが前記試験片の標点部の厚さh以上であり、
    前記溝の深さdと前記曲率半径ρとが下記の式(2)を満たす、断面概略矩形試験片。
    d≦0.25h (1)
    ρ≧d (2)
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