以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る運転支援装置1の構成例を示すブロック図である。自車両には、運転支援装置1、1個以上の測距センサ2、及び車両制御部3が搭載されている。この運転支援装置1には、測距センサ2と、車両制御部3とが接続されている。また、図示は省略するが、運転支援装置1は、自車両から種々の情報(以下、「車両情報」と称する)を適宜取得可能である。車両情報は、例えば、自車両の位置を示す情報を含む。
自車両には、少なくとも1個の測距センサ2が設けられている。図1の例では、N個の測距センサ2−1〜2−N(Nは2以上の任意の整数)が自車両に設けられている。以下では、複数の測距センサ2それぞれの区別が必要な場合に「測距センサ2−1〜2−N」を用い、区別が不要な場合に「測距センサ2」を用いる。測距センサ2は、TOF(Time of Flight)方式のセンサであり、超音波、光、又は電波等の「探索波」を送信し、探索波が自車両周辺の物体で反射した「反射波」を受信する。そして、測距センサ2は、探索波を送信してから反射波を受信するまでの伝搬時間と、探索波の伝搬速度とを用いて、自車両から自車両周辺の物体までの距離(以下、「測距値」と称する)を算出する。
以下では、測距センサ2−1〜2−Nのうちのいずれかの測距センサ2が探索波を送信して、この測距センサ2が反射波を受信した場合における当該探索波及び当該反射波を「直接波」という。また、測距センサ2−1〜2−Nのうちのいずれかの測距センサ2が探索波を送信して、他の測距センサ2が反射波を受信した場合における当該探索波及び当該反射波を「間接波」という。
車両制御部3は、自車両のハンドル、アクセル、及びブレーキ等を制御することにより、自動運転又は運転支援を行う。この車両制御部3は、自車両が駐車する際、運転支援装置1の誘導経路算出部13により算出された誘導経路を自車両が走行するように、ハンドル等を制御する。
運転支援装置1は、反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、及び駐車車両検出部14を備える。
以下、図2のフローチャートを参照しながら、反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、及び駐車車両検出部14の動作を説明する。この図2は、実施の形態1に係る運転支援装置1の動作例を示すフローチャートである。運転支援装置1は、自車両が駐車をする際に図2のフローチャートに示される動作を行う。
ステップST1において、駐車区画推定部12は、第1駐車車両と第2駐車車両との間の、暫定の駐車区画を推定する。図3に、実施の形態1の駐車区画推定部12による駐車区画の推定方法を示す。図3の例では、第1駐車車両21と第2駐車車両22との間に縦列駐車用の駐車区画23が存在する。この駐車区画23の奥側には、壁又は縁石等の障害物24が存在する。自車両20は、第1駐車車両21、駐車区画23、及び第2駐車車両22の真横を、図3に矢印で示されるように第2駐車車両22から第1駐車車両21の方向へ、運転者の手動運転により、又は車両制御部3の自動運転により走行する。この走行中、自車両20の駐車区画23側に取り付けられた測距センサ2−1は、探索波を繰り返し送信し、各探索波が測域2−1a内で反射した反射波を受信する。そして、測距センサ2は、走行中の自車両20の各位置から第1駐車車両21までの測距値、及び第2駐車車両22までの測距値を算出する。
反射点測位部11は、第2駐車車両22から第1駐車車両21の方向へ自車両20が走行している間に測距センサ2−1が繰り返し測定した複数の測距値を、測距センサ2−1から取得する。反射点測位部11は、取得した測距値を用いて、探索波が反射した位置である反射点を測位する。反射点測位部11は、例えば、探索波を送信したときの自車両20の位置を原点とし、測距センサ2−1の探索波送信方向をベクトルの方向とし、測距値をベクトルの大きさとして、ベクトル位置を算出し、算出したベクトル位置を反射点としてもよい。または、反射点測位部11は、2つの測距値を用い、二円接線処理又は二円交点処理等によって反射点を算出してもよい。二円接線処理の場合、反射点測位部11は、第1の探索波を送信したときの測距センサ2の位置を中心とし、その測距値を半径とした第1の円と、第2の探索波を送信したときの測距センサ2の位置を中心とし、その測距値を半径とした第2の円との接線を求め、この接線上の任意の位置を反射点とする。二円交点処理の場合、反射点測位部11は、上記第1の円と上記第2の円との交点を、反射点とする。また、反射点測位部11は、2つの測距値が必要な二円接線処理又は二円交点処理等において、単一の測距センサ2が測定した2つの測距値を用いてもよいし、2つの測距センサ2それぞれが測定した測距値を用いてもよいし、2つの測距センサ2が連携して測定した直接波と間接波を用いてもよい。
図3の反射点群30,31は、自車両20の走行中に測位された複数の反射点で構成されている。駐車区画推定部12は、反射点群30,31を用いて、第1駐車車両21の第2駐車車両22側の先端角部21aと、第2駐車車両22の第1駐車車両21側の先端角部22aとを推定する。先端角部21a及び先端角部22aの推定方法は、周知の技術を用いればよい。例えば、駐車区画推定部12は、反射点群30,31に対して直線近似を行って第1駐車車両21の側面21bと第2駐車車両22の側面22bとを求め、側面21bの端部を先端角部21aと推定し、側面22bの端部を先端角部22aと推定する。その後、駐車区画推定部12は、推定した先端角部21aから先端角部22aまでの間を、暫定の駐車区画23と推定する。
ステップST2において、駐車区画推定部12は、推定した暫定の駐車区画23の長さと自車両20の車長とを比較することにより、自車両20が暫定の駐車区画23に駐車可能か否かを判定する。自車両20が暫定の駐車区画23に駐車可能であると判定された場合(ステップST2“YES”)、処理はステップST3へ進み、駐車不可能であると判定された場合(ステップST2“NO”)、図2のフローチャートに示される処理は終了する。なお、駐車不可能であると判定された場合(ステップST2“NO”)、自車両20は、他の駐車区画を探しに行く。
ステップST3において、誘導経路算出部13は、駐車区画推定部12により推定された暫定の駐車区画23に対して自車両20を駐車するための誘導経路を算出する。図4は、実施の形態1の誘導経路算出部13が算出した誘導経路の一例を示す図である。図4の例では、ステップST1において自車両20aの位置までの走行した自車両20が、誘導経路に沿って暫定の駐車区画23へ進入する様子が示されている。誘導経路算出部13は、ステップST1において推定された第1駐車車両21に対して自車両20が略45度の相対角度θで駐車区画23に進入するような誘導経路を算出する。なお、自車両20を挟んで第1駐車車両21と反対側に車両等が存在することにより略45度の相対角度θで進入できない場合、誘導経路算出部13は、45度以外の相対角度θを算出すればよい。また、誘導経路算出部13は、測距値を測定する測距センサ2が、ステップST1において推定された第1駐車車両21の先端角部21aに接近するような誘導経路を算出する。さらに、誘導経路算出部13は、誘導経路に従って自車両20が走行する際に、測距値を測定する測距センサ2と第1駐車車両21との相対距離VDが等距離にならないような誘導経路を算出する。
図4に示されるように、車両制御部3は、ステップST3において誘導経路算出部13により算出された誘導経路を自車両20が走行するように、ハンドル等を制御する。この走行中、自車両20の駐車区画23側に取り付けられた測距センサ2−2は、探索波を繰り返し送信し、各探索波が測域2−2a内で反射した反射波を受信する。そして、測距センサ2−2は、走行中の自車両20の各位置から第1駐車車両21までの測距値を算出する。そして、反射点測位部11は、測距センサ2−2から測距値を取得し、反射点群32を測位する。
先立って説明したように、ステップST1において1回の走行中の測定結果を用いて推定された第1駐車車両21の先端角部21aは、推定精度が悪い。そこで、実施の形態1では、ステップST4において、駐車車両検出部14が、誘導経路を自車両20が走行している間に測位された反射点群32を用いて、第1駐車車両21の先端角部21aを高精度に推定する。
図5は、実施の形態1の駐車車両検出部14による第1駐車車両21の先端角部21aの推定方法を示す図であり、相対角度θが45度一定で駐車区画23に進入した場合の例である。なお、相対角度θが厳密に45度である必要はなく、45度を含む所定の範囲であってもよい。図5Aは、自車両20が誘導経路を走行している場合の、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θ及び相対距離VDを示す図である。相対角度θは、第1駐車車両21の側面21bと自車両20の自車位置軌跡41とのなす角度である。相対距離VDは、自車位置軌跡41上のある時点の自車両20の位置(又は、測距センサ位置軌跡42上のある時点の測距センサ2−2の位置)と、その位置で測距センサ2−2により測定された測距値から測位された反射点との間の距離である。相対角度θが45度になるように自車両20が走行した場合、第1駐車車両21の側面21b、先端角部21a、先端面21cの順番で反射点が得られる。このとき、測距センサ2−2が第1駐車車両21の先端角部21aに相対したときに相対距離VDは最小になる。つまり、相対距離VDが最小となったときの自車位置が、第1駐車車両21の先端角部21aに相対したときの自車位置であると特定できる。なお、図5Aにおいて、測距センサ2−2が第1駐車車両21の先端角部21aに相対したときの測距値から測位される反射点は「反射点32a」である。
図5Bは、自車両20が誘導経路を走行している場合の、自車両20から第1駐車車両21までの相対距離VDと自車両20の走行距離(つまり、自車位置)との対応関係を示すグラフである。縦軸は相対距離VDであり、横軸は自車両20の走行距離である。ここでは、図4の自車両20aの位置が走行距離「0」に相当し、走行距離は自車位置に換算可能である。駐車車両検出部14は、反射点測位部11により測位された反射点群32と、反射点群32に含まれる各反射点が測定されたときの自車両20の走行距離とを2軸とする曲線を求める。そして、駐車車両検出部14は、曲線の変曲点に対応する相対距離VDを、自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αと推定する。距離αは、図5Aにおける測距センサ2−2と反射点32aとの相対距離VDに相当する。また、駐車車両検出部14は、曲線の変曲点に対応する走行距離(つまり、図5Aの自車両20の位置)における測距センサ2−2の正面方向を、第1駐車車両21の先端角部21aの方角と推定する。駐車車両検出部14は、推定した距離αと方角とから、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を高精度に推定できる。また、駐車車両検出部14は、曲線の変曲点を抽出するという簡易な計算方法で先端角部21aを推定できるので、計算負荷が少ない。
なお、駐車車両検出部14は、自車両20が誘導経路を走行している間に、相対距離VDの減少が収束してきた場合、又はステップST1において推定された先端角部21aの位置に測距センサ2−2が近づいてきた場合、測距センサ2−2の探索波の送信周期を短くさせ、サンプリング頻度を高めてもよい。サンプリング頻度を高めた場合、曲線の変曲点をより正確に得ることができる。
他方、相対角度θが45度でない場合、駐車車両検出部14は、図6に示される方法により第1駐車車両21の先端角部21aの位置を推定する。図6は、実施の形態1の駐車車両検出部14による第1駐車車両21の先端角部21aの推定方法を示す図であり、相対角度θが45度でない場合の例である。なお、相対角度θが厳密に45度以外である必要はなく、45度を含む所定の範囲以外であってもよい。この図6は、自車両20が誘導経路を走行している場合の、自車両20から第1駐車車両21までの相対距離VDと自車両20の走行距離(つまり、自車位置)との対応関係を示すグラフである。探索波が平面(つまり、側面21b及び先端面21c)で反射した反射点由来の相対距離VDは、直線的に変化する。一方、探索波が丸みを帯びた曲面(つまり、先端角部21a)で反射した反射点由来の相対距離VDは、直線的に変化しない。そのため、相対距離VDの変化量から平面由来の相対距離VDを推定できる。
具体的には、駐車車両検出部14は、変曲点より前側の曲線に対する接線を求めると共に、変曲点より後側の曲線に対する接線を求める。次に、駐車車両検出部14は、変曲点より前側の接線と変曲点より後ろ側の接線との交点βを得る。この交点βは、平面と曲面との変化点と推定できる。次に、駐車車両検出部14は、交点βに対応する自車位置γで測定された相対距離VDを、自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αと推定する。また、駐車車両検出部14は、自車位置γでの距離αと、自車位置γの直前の自車位置での相対距離VDとを用いて、二円交点処理を行い、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を推定する。または、駐車車両検出部14は、自車位置γでの距離αと、自車位置γの直後の自車位置での相対距離VDとを用いて、二円交点処理を行ってもよい。または、駐車車両検出部14は、自車位置γでの距離αと、自車位置γ前後での複数の相対距離VDとを用いて、平均等の統計処理を行ってもよい。これらの処理により、駐車車両検出部14は、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を高精度に推定できる。なお、駐車車両検出部14は、上記同様、自車両20が誘導経路を走行している間に、相対距離VDの減少が収束してきた場合、又はステップST1において推定された先端角部21aの位置に測距センサ2−2が近づいてきた場合、測距センサ2−2の探索波の送信周期を短くさせ、サンプリング頻度を高めてもよい。
なお、駐車車両検出部14は、相対角度θが45度である場合に、図5A及び図5Bに示される方法ではなく、図6に示される方法によって第1駐車車両21の先端角部21aを推定してもよい。
ステップST5において、駐車区画推定部12は、駐車車両検出部14により推定された第1駐車車両21の先端角部21aを用いて、ステップST1で推定した暫定の駐車区画23を補正する。そして、駐車区画推定部12は、自車両20が補正後の駐車区画23に駐車可能か否かを判定する。自車両20が補正後の駐車区画23に駐車可能であると判定された場合(ステップST5“YES”)、処理はステップST6へ進み、駐車不可能であると判定された場合(ステップST5“NO”)、図2のフローチャートに示される処理は終了する。なお、駐車不可能であると判定された場合(ステップST5“NO”)、自車両20は、他の駐車区画を探しに行く。
ステップST6において、誘導経路算出部13は、ステップST5において駐車区画推定部12により補正された駐車区画23を用いて、ステップST3で算出した誘導経路を補正するか否かを判定する。誘導経路算出部13は、例えば、ステップST1で推定された第1駐車車両21の先端角部21aの位置とステップST4で推定された第1駐車車両21の先端角部21aの位置とが大きくずれており、ステップST3で算出した誘導経路のままでは自車両20が第1駐車車両21の先端角部21aに接触する可能性がある場合、誘導経路を補正すると判定する。誘導経路を補正すると判定された場合(ステップST6“YES”)、処理はステップST7へ進み、補正しないと判定された場合(ステップST6“NO”)、図2のフローチャートに示される処理は終了する。補正しないと判定された場合(ステップST6“NO”)、車両制御部3は、ステップST3で算出された誘導経路を走行するように自車両20を制御し、自車両20を駐車区画23に駐車する。
ステップST7において、誘導経路算出部13は、ステップST5において駐車区画推定部12により補正された駐車区画23を用いて、ステップST3で算出した誘導経路を補正する。車両制御部3は、ステップST7において補正された誘導経路を走行するように自車両20を制御し、自車両20を駐車区画23に駐車する。
以上のように、実施の形態1に係る運転支援装置1は、反射点測位部11と、駐車区画推定部12と、誘導経路算出部13と、駐車車両検出部14とを備える。反射点測位部11は、自車両20に設けられている測距センサ2が測定した測距値を用いて、測距センサ2から送信された反射波が反射した反射点を測位する。駐車区画推定部12は、第2駐車車両22から第1駐車車両21の方向へ自車両20が走行している間に、自車両20に設けられている測距センサ2が繰り返し測定した複数の測距値を用いて測位された反射点群30,31を用いて、第1駐車車両21の先端角部21aと第2駐車車両22の先端角部22aとを推定して暫定の駐車区画23を推定する。誘導経路算出部13は、自車両20を駐車区画23に駐車する誘導経路を算出する。駐車車両検出部14は、誘導経路を自車両20が走行している間に測距センサ2が繰り返し測定した複数の測距値を用いて測位された反射点群32を用いて、自車両20から第1駐車車両21までの相対距離VDと自車両20の位置とを2軸とする曲線を求める。そして、駐車車両検出部14は、曲線の変曲点より前側の接線と後ろ側の接線との交点βに対応する自車位置γにおける相対距離VDを、自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αと推定する。この構成により、運転支援装置1は、自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αを精度よく推定することができる。したがって、自車両20が駐車区画23に駐車する際、第1駐車車両21の先端角部21aへの接触回避が可能となる。
また、実施の形態1の駐車車両検出部14は、交点βに対応する自車位置γにおける相対距離VDを含む2つの相対距離VDを用いて二円交点処理を行い、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を推定する。この構成により、運転支援装置1は、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を精度よく推定することができ、駐車区画23を精度よく推定できるようになる。
なお、実施の形態1の駐車車両検出部14は、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θが45度になるように自車両20が誘導経路を走行する場合、曲線の変曲点に対応する相対距離VDを、自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αと推定すればよい。また、駐車車両検出部14は、曲線の変曲点に対応する自車位置における測距センサ2の正面方向を第1駐車車両21の先端角部21aの方角と推定すればよい。この構成により、運転支援装置1は、曲線の接線及び交点βを求める場合に比べて計算負荷を低減しつつ、第1駐車車両21の先端角部21aの位置を精度よく推定することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る運転支援装置1は、第1駐車車両21の先端角部21aの曲率半径Rを推定する構成である。なお、実施の形態2に係る運転支援装置1の構成は、実施の形態1の図1に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1を援用する。
図7は、実施の形態2において先端角部21aの曲率半径Rが異なる第1駐車車両21の形状を示す図である。実線で示される第1駐車車両21の形状は、先端角部21aが大きい曲率半径R1を持つ場合の例であり、破線で示される第1駐車車両21の形状は、先端角部21aが小さい曲率半径R2を持つ場合の例である。図7に示されるように、大きい曲率半径R1を持つ第1駐車車両21の先端面21cと、小さい曲率半径R2を持つ第1駐車車両21の先端面21cとには、差50がある。そのため、先端角部21aの曲率半径Rを推定することは、駐車区画23をより精度よく推定することにつながる。
図8は、第1駐車車両21が大きい曲率半径R1を持つ場合の、相対距離VDと走行距離との対応関係を示すグラフである。図9は、第1駐車車両21が小さい曲率半径R2を持つ場合の、相対距離VDと走行距離との対応関係を示すグラフである。図4に示されるように自車両20が誘導経路を走行している間の、測距センサ2−2による測定結果から得られる曲線は、第1駐車車両21の先端角部21aの曲率半径Rによって異なる。図8及び図9のグラフに示されるように、接線の交点βから曲線上の距離αまでの距離d、及び接線開度φは、曲率半径Rとの相関を持つ。図10は、第1駐車車両21の先端角部21aの曲率半径Rと、距離d又は接線開度φとの相関を示すグラフである。図10のグラフに示されるように、曲率半径Rは、R=f(d)又はR=f(φ)のような関数を用いて推定することができる。そこで、駐車車両検出部14は、図2のステップST4において、距離d又は接線開度φのいずれか一方を用いて、第1駐車車両21の先端角部21aの曲率半径Rを推定する。そして、駐車車両検出部14は、推定した曲率半径Rを用いて、図7に示されるように第1駐車車両21の先端面21cの位置を推定し、駐車区画23の大きさを補正する。
また、距離d及び接線開度φは、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θに応じて変化する。そのため、相対角度θが45度の場合における距離d又は接線開度φと曲率半径Rとは高い相関を持つが、相対角度θが45度より大きくなる、又は小さくなるにつれて相関が低くなる。そこで、駐車車両検出部14は、曲率半径Rをより精度よく推定するために、R=f(θ,d)又はR=f(θ,φ)のような関数を用いて、相対角度θに応じて補正した曲率半径Rを推定してもよい。図11は、相対角度θと距離dの補正量との対応関係を示すグラフである。図11のグラフでは、例えば、相対角度θが45度のとき、距離dの補正量は「1」であり、相対角度θが30度のとき、距離dの補正量は「0.8」である。駐車車両検出部14は、図11のグラフに基づいて相対角度θに応じた補正量と距離dとを乗算することによって距離dを補正し、図10のグラフに基づいて補正後の距離dに応じた曲率半径Rを推定する。なお、図示は省略するが、駐車車両検出部14は、相対角度θに応じた接線開度φの補正量を用いて、接線開度φを補正し、補正後の接線開度φに応じた曲率半径Rを推定してもよい。
以上のように、実施の形態2の駐車車両検出部14は、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θと、交点βから曲線までの距離dとに基づいて、第1駐車車両21の先端角部21aの曲率半径Rを推定する。この構成により、運転支援装置1は、駐車区画23をより精度よく推定することができるようになる。したがって、車両制御部3は、自車両20が駐車区画23に駐車する際、第1駐車車両21の形状に応じた適切な操舵が可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る運転支援装置1は、駐車区画23に存在する壁又は縁石等の障害物24、及び第2駐車車両22の第1駐車車両21側の先端面22cを検出する構成である。
図12は、実施の形態3に係る運転支援装置1の構成例を示すブロック図である。実施の形態3に係る運転支援装置1は、図1に示された実施の形態1の運転支援装置1に対して障害物検出部15が追加された構成である。図12において図1と同一又は相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
図13は、実施の形態3に係る運転支援装置1の動作例を示すフローチャートである。図13のステップST1〜ST4における処理は、図2のステップST1〜ST4における処理と同じであるため、説明を省略する。
ステップST4において駐車車両検出部14が第1駐車車両21の先端角部21aを推定した場合、続くステップST11において、誘導経路算出部13は、ステップST3で算出した誘導経路を、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θが小さくなるように補正する。図14に、実施の形態3の誘導経路算出部13による誘導経路の補正例を示す。例えば、自車両20が誘導経路を走行している途中、図14における自車両20bの位置で駐車車両検出部14が第1駐車車両21の先端角部21aを推定した場合、誘導経路算出部13は、相対角度θが小さくなるように誘導経路を補正する。その結果、補正後の誘導経路を走行する自車両20の、進行方向における駐車区画23側の先端角部、つまり測距センサ2−2,2−3が取り付けられている部分が、駐車区画23の内側へ向かう。これにより、自車両20の測距センサ2−2〜2−6は、補正後の誘導経路を走行中に駐車区画23の奥側に存在する壁又は縁石等の障害物24、及び第2駐車車両22の第1駐車車両21側の先端面22cを測定可能となる。
図14に示されるように、車両制御部3は、ステップST11において誘導経路算出部13により補正された誘導経路を自車両20が走行するように、ハンドル等を制御する。この走行中、自車両20の駐車区画23側に及び進行方向側に取り付けられた測距センサ2−2〜2−6は、探索波を繰り返し送信し、各探索波が測域2−2a〜2−6a内で反射した反射波を受信する。そして、測距センサ2−2〜2−6は、走行中の自車両20の各位置から障害物24及び第2駐車車両22までの測距値を算出する。そして、反射点測位部11は、測距センサ2−2〜2−6から測距値を取得し、障害物24及び第2駐車車両22の先端面22cに相当する反射点群33を測位する。
ステップST12において、障害物検出部15は、補正後の誘導経路を自車両20が走行している間に測位された反射点群33を用いて、障害物24を検出する。ただし、第1駐車車両21と障害物24とが隣接している場合、補正前及び補正後の誘導経路を自車両20が走行している間、反射点が連続して得られるため、第1駐車車両21に対応する反射点と障害物24に対応する反射点とを分離することは困難である。そこで、障害物検出部15は、図15〜図18に示される方法により、障害物24に対応する反射点を抽出する。
図15は、補正前及び補正後の誘導経路を自車両20が走行している間に測位された反射点群32及び反射点群33に含まれる各反射点の法線ベクトルを示す図である。図16は、図15における反射点群32及び反射点群33に含まれる各反射点の法線ベクトル角と、各反射点が測位された時刻とを示すグラフである。障害物検出部15は、図15に示されるように、隣接する反射点同士をつなぐ直線に垂直な法線ベクトルを求め、図16に示されるようなグラフを作成する。そして、障害物検出部15は、図16に示されるグラフを用いて、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点の法線ベクトル角と略等しい法線ベクトル角を持つ反射点を、第1グループ61として抽出する。この第1グループ61には、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点と、この側面21bに略平行な障害物24に対応する反射点とが含まれる。なお、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点群(つまり、図3の反射点群31)は、ステップST1で駐車区画推定部12により既に特定されているため、障害物検出部15は、特定済みの反射点群31を用いて第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点の法線ベクトル角を算出すればよい。
次に、障害物検出部15は、第1グループ61として抽出した反射点間の距離に基づいて、これらの反射点をグルーピングすることで、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点と、障害物24に対応する反射点とを分離する。図17は、第1グループ61に含まれる反射点を、第1駐車車両21の側面21bに対応する第2グループ62と、障害物24に対応する第3グループ63とに分離した例を示す図である。図17の例では、第1グループ61として抽出された反射点群32及び反射点群33に含まれる各反射点の位置が、座標(X,Y)として示されている。この例において、障害物検出部15は、X軸方向に1m以上離れている反射点を、別のグループに分離する。そのため、第1グループ61として抽出された反射点は、第2グループ62と第3グループ63とに分離される。そして、障害物検出部15は、自車両20により近いほうの第2グループ62として分離した反射点を第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点と判定し、自車両20からより遠いほうの第3グループ63として分離した反射点を障害物24に対応する反射点と判定する。これにより、障害物検出部15は、障害物24に対応する反射点を抽出できる。
次に、障害物検出部15は、第3グループ63として抽出した反射点に対して直線近似を行って、障害物24の位置を検出する。図18は、第3グループ63の反射点を用いて検出された障害物面24aの位置を示す図である。これにより、駐車区画23の奥側の形状が明らかになる。
ステップST13において、障害物検出部15は、補正後の誘導経路を自車両20が走行している間に測位された反射点群33を用いて、第2駐車車両22の先端面22cを検出する。ただし、障害物24と第2駐車車両22とが隣接している場合、補正前及び補正後の誘導経路を自車両20が走行している間、反射点が連続して得られるため、障害物24に対応する反射点と第2駐車車両22に対応する反射点とを分離することが難しい。そこで、障害物検出部15は、図15、図16、図19、及び図20に示される方法により、第2駐車車両22の先端面22cに対応する反射点を抽出する。
図15に示されるように、第1駐車車両21及び第2駐車車両22の形状が四角形であると仮定すると、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点の法線ベクトル角と、第2駐車車両22の先端面22cに対応する反射点の法線ベクトル角との差は略90度となる。障害物検出部15は、この法線ベクトル角の差を利用して、第2駐車車両22の先端面22cに対応する反射点を、第4グループ64として抽出する。具体的には、障害物検出部15は、図16に示されるグラフを用いて、第1駐車車両21の側面21bに対応する反射点の法線ベクトル角とは略90度異なる法線ベクトル角を持つ反射点を、第4グループ64として抽出する。図19は、第4グループ64として抽出された反射点を示す図である。
次に、障害物検出部15は、第4グループ64として抽出した反射点に対して直線近似を行って、第2駐車車両22の先端面22cの位置を検出する。図20は、第4グループ64の反射点を用いて検出された第2駐車車両22の先端面22cの位置を示す図である。図20の例では、障害物検出部15は、第2駐車車両22の形状が四角形であると仮定して、側面22bと先端面22cとが直交するように、第4グループ64の反射点を直線近似している。この側面22bは、ステップST1で駐車区画推定部12により既に特定されているものである。
ステップST14において、駐車区画推定部12は、ステップST4で推定された第1駐車車両21の先端角部21aの位置等、並びに、ステップST12で検出された障害物24の位置及びステップST13で検出された第2駐車車両22の先端面22cの位置を用いて、ステップST1で推定した暫定の駐車区画23を補正する。そして、駐車区画推定部12は、自車両20が補正後の駐車区画23に駐車可能か否かを判定する。自車両20が補正後の駐車区画23に駐車可能であると判定された場合(ステップST14“YES”)、処理はステップST15へ進み、駐車不可能であると判定された場合(ステップST14“NO”)、図13のフローチャートに示される処理は終了する。なお、駐車不可能であると判定された場合(ステップST14“NO”)、自車両20は、他の駐車区画を探しに行く。
ステップST15において、誘導経路算出部13は、ステップST14で補正された駐車区画23を用いて、ステップST11で補正した誘導経路をさらに補正するか否かを判定する。例えば、ステップST1で推定された第1駐車車両21の先端角部21aの位置とステップST4で推定された第1駐車車両21の先端角部21aの位置とが大きくずれている場合、ステップST11で補正した誘導経路のままでは、ステップST14で補正された駐車区画23の一端側である第1駐車車両21の先端角部21aに自車両20が接触する可能性がある。この場合、誘導経路算出部13は、誘導経路を補正すると判定する。また、例えば、誘導経路算出部13は、図14に示される自車両20の位置からではステップST14で補正された駐車区画23に駐車できず、一旦駐車区画23外へ脱出した後に再び駐車区画23へ進入する必要がある場合、誘導経路を補正すると判定する。誘導経路を補正すると判定された場合(ステップST15“YES”)、処理はステップST16へ進み、補正しないと判定された場合(ステップST15“NO”)、図13のフローチャートに示される処理は終了する。補正しないと判定された場合(ステップST15“NO”)、車両制御部3は、ステップST11で補正された誘導経路を走行するように自車両20を制御し、自車両20を駐車区画23に駐車する。
ステップST16において、誘導経路算出部13は、ステップST14で補正された駐車区画23を用いて、ステップST11で補正した誘導経路をさらに補正する。車両制御部3は、ステップST16において補正された誘導経路を走行するように自車両20を制御し、自車両20を駐車区画23に駐車する。
以上のように、実施の形態3の誘導経路算出部13は、誘導経路を自車両20が走行している途中で駐車区画推定部12により自車両20から第1駐車車両21の先端角部21aまでの距離αが推定された場合、自車両20と第1駐車車両21との相対角度θが小さくなるように誘導経路を補正する。これにより、運転支援装置1は、測距センサ2に、駐車区画23内を測定させることができる。
また、実施の形態3の運転支援装置1は、障害物検出部15を備える。障害物検出部15は、誘導経路算出部13により補正された誘導経路を自車両20が走行している間に測距センサ2が繰り返し測定した複数の測距値を用いて測位された反射点群33の法線ベクトル及び反射点間の距離に基づいて、駐車区画23に存在する障害物24を検出する。駐車区画推定部12は、障害物検出部15により検出された障害物24に基づいて、駐車区画23を補正する。これにより、運転支援装置1は、隣接している第1駐車車両21と障害物24とを区別することができ、駐車区画23をより精度よく推定することができる。
また、実施の形態3の障害物検出部15は、反射点群33の法線ベクトルに基づいて、第2駐車車両22の先端面22cを検出する。駐車区画推定部12は、障害物検出部15により検出された第2駐車車両22の先端面22cに基づいて駐車区画23を補正する。これにより、運転支援装置1は、隣接している第2駐車車両22と障害物24とを区別することができ、駐車区画23をより精度よく推定することができる。
なお、実施の形態1〜3では、縦列駐車を例示したが、並列駐車であってもよい。並列駐車の場合、第1駐車車両21の側面21bを先端面21cと読み替え、先端面21cを側面21bと読み替える。同様に、第2駐車車両22の側面22bを先端面22cと読み替え、先端面22cを側面22bと読み替える。
最後に、実施の形態1〜3に係る運転支援装置1のハードウェア構成を説明する。
図21A及び図21Bは、各実施の形態に係る運転支援装置1のハードウェア構成例を示す図である。運転支援装置1における反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、駐車車両検出部14、及び障害物検出部15の機能は、処理回路により実現される。即ち、運転支援装置1は、上記機能を実現するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアとしての処理回路100であってもよいし、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサ101であってもよい。
図21Aに示されるように、処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、駐車車両検出部14、及び障害物検出部15の機能を複数の処理回路100で実現してもよいし、各部の機能をまとめて1つの処理回路100で実現してもよい。
図21Bに示されるように、処理回路がプロセッサ101である場合、反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、駐車車両検出部14、及び障害物検出部15の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムを読みだして実行することにより、各部の機能を実現する。即ち、運転支援装置1は、プロセッサ101により実行されるときに、図2又は図13のフローチャートで示されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ102を備える。また、このプログラムは、反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、駐車車両検出部14、及び障害物検出部15の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
ここで、プロセッサ101とは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、又はマイクロプロセッサ等のことである。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク又はフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
なお、反射点測位部11、駐車区画推定部12、誘導経路算出部13、駐車車両検出部14、及び障害物検出部15の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、運転支援装置1における処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の機能を実現することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。