JP6795830B2 - 船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶 - Google Patents

船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶 Download PDF

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Description

本発明は、推進効率を向上させる船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶に関する。
船舶の船尾においてプロペラの前方に設置される船尾ダクトは、通常円形である。
図13(a)は従来の船尾ダクトの側面断面図である。なお、黒塗矢印は推力を示す。船尾ダクト周りの流場は、図13(a)に示すように、ダクト下部の形状と流れ込む流れが適合しない場合があり、ダクト下部で剥離を生ずる。すなわち、ダクト上部の迎角とダクト下部の迎角とが同じであるため、ダクト下部の迎角の角度が大きすぎて流れが剥離する。この剥離が抵抗増加をもたらし、1−t(推力減少係数)の悪化をもたらしている。
この悪化を小さくする観点から、テーパー型船尾ダクトが提案された。図13(b)は従来のテーパー型船尾ダクトの側面断面図である。テーパー型船尾ダクトは、図13(b)に示すように、ダクト下部の弦長をダクト上部の弦長よりも短くし、剥離を少なくして抵抗増加の減少を図るものである。
ところで、特許文献1には、推進性能の向上を目的として、円弧状に湾曲した第1板状体と直線状の第2板状体とで構成されたダクトを、第1板状体を上側、第2板状体を下側となるように船体に取り付け、従来のダクトの下側部分を無くした船舶用ダクトが記載されている。
また、特許文献2には、省エネルギー効果を得ることを目的として、半筒状のダクトの後端部の内面に内側に突出する凸部を形成し、その半円筒状のダクトをステーによって船体に接続したダクト装置が記載されている。
また、特許文献3には、抵抗増加の要因を軽減し、推進効率の低下を小さくすることを目的として、複数個のフィンを備えたリアクションフィンにおいて、上方のリアクションフィンの長さよりも下方のリアクションフィンの長さを短くするとともに、リング状の補強材を、半円形の上部補強材と幅広で深さの浅い形状の下部補強材とによって構成することが記載されている。
また、特許文献4には、省エネルギー効果の効率を高くすることを目的として、ダクトが、略半円錐台形状の外殻と、外殻を船尾部に固定する2枚の連結板とを備え、外殻がプロペラの上半分の部分と相対するように外殻を配置した船舶のダクト装置が記載されている。
特開2008−308023号公報 特開2015−127179号公報 実願昭57−37008号(実開昭58−139395号)のマイクロフィルム 特開2008−137462号公報
図1に示す船尾ダクト及び図2に示すテーパー型船尾ダクトにおいては、前進方向とは逆向きの推力が発生している。従来は、プロペラ軸よりも下方のダクト形状は、極力抵抗にならないように考慮するのみであり、積極的にプロペラ下部の流れを前進方向の推力に変えるものではなかった。
また、特許文献1から特許文献4のいずれにおいても、プロペラ下部の流れを利用して船舶の推進効率を向上させることについては全く記載されていない。
そこで本発明は、プロペラ下部の流れを利用して推進効率を向上させる船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶を提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した船尾ダクトを有した船尾形状においては、船体の船尾に設けられたプロペラと、プロペラの前方に取り付けられた船尾ダクトとを備え、船尾ダクトのダクト本体が略3/4円筒状を成し、船体の後方から前方視した場合にダクト本体の後縁が略3/4円の下部又は下方の中央に略3/4円と接続される直線部を有した形状であり、直線部の側面視した断面形状が水平面に対して後部が上方に2度以上10度以下の範囲で傾いた内側に凸の翼型を成し、かつ略3/4円の内半径をプロペラの半径の40%以上80%以下の範囲に設定するとともに、船尾ダクトの中心がプロペラの軸心と一致し、直線部が略3/4円の後方視した中心線から下方のプロペラの半径の30%以上100%以下の範囲に設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、略3/4円とすることにより剥離現象を少なくしてダクトによる抵抗増加を減少させ、翼型を成した直線部で上昇流を利用してプロペラ下部の流れを前進方向の推力に変えることができる。また、ダクト本体の下部における剥離を低減し、更に有効に前進方向の推力を得ることができる。
求項記載の本発明は、直線部の幅はプロペラの半径の40%以上120%以下の範囲に設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、推力を更に向上させることができる。
請求項記載の本発明は、直線部の水平面に対する傾きよりも、ダクト本体の上部の水平面に対する傾きのほうが大きいことを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、ダクト本体の上部の加速効果を高め、ダクト本体の下部における剥離を更に低減できる。
請求項記載の本発明は、ダクト本体が、ダクト本体を側方視した場合に、上底が下底よりも長い倒立した台形状を成していることを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、流向に対するダクト本体の迎角が相対的に悪化して抵抗となるのを避け、従来の円環ダクトよりも高い推力減少係数を保ちながら下端の伴流利得を稼ぐことができる。
請求項記載の本発明は、上底に対する下底の比が7%以上30%以下の範囲であることを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、更に高い推力減少係数を保ちながら下端の伴流利得を稼ぐことができる。
請求項記載の本発明は、ダクト本体の後縁とプロペラの前縁との距離を、プロペラの直径の1.0%以上50%以下の範囲に設定したことを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、プロペラとの干渉効果も高め推進効率を更に向上させることができる。
請求項記載の本発明は、ダクト本体の断面形状が内側に凸の翼型を成していることを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、翼型により発生する揚力の推進方向成分(スラスト成分)を利用して推力減少率を高め、推進効率を上げることができる。
請求項記載の本発明は、略3/4円の内半径を、ダクト本体の後部よりも前部の方を大きく設定したことを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、ダクト本体より下流での流れを遅くして有効伴流係数を小さくでき、かつダクト本体の前部側でのスラスト成分を増加させて推力を高めることができる。
請求項記載の本発明は、ダクト本体側面視した中心線が水平面に対して前が上方に0.5度以上10度以下の範囲で傾いていることを特徴とする。
請求項に記載の本発明によれば、流向に対して適正な迎角となるようにダクトを設置しやすくなる。
請求項10記載の本発明は、ダクト本体を船尾に支持する翼型を成す支持部を有していることを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、支持部によってダクト本体を船体に取り付けることができるので、ダクト本体を設置しやすく、特にプロペラに対して適正な位置に配置しやすい。また、翼型を成す支持部によっても前進方向の推力を得ることができる。
請求項11に記載の本発明は、支持部がプロペラの軸心より上部に位置する上部支持部と、プロペラの軸心より下部に位置する下部支持部からなり、上部支持部と下部支持部がプロペラに向かう流れが対向流となるように逆方向に捩られていることを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、プロペラに向かう流れを対向流化することによって、プロペラの推力を高めることができる。
請求項12に記載の本発明は、プロペラの後方に舵を備え、舵に船体を前方に推進する省エネ付加物を有したことを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、省エネ付加物によっても推力を得て、高い推進効率を達成して更に輸送効率を高めることができる。
請求項13に記載の本発明は、省エネ付加物の舵への縦方向における取付け位置が、プロペラのボス位置と略同一レベルであることを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、推力を得やすい取り付け位置となるため、省エネ付加物が効果を発揮しやすくなり、高い推進効率を達成することができる。
請求項14記載に対応した船舶においては、請求項1から請求項13のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状を船体に備えたことを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、従来よりも省エネ効果が高い船尾ダクトを有した船尾形状を備えた船舶を提供することができる。
本発明の船尾ダクトを有した船尾形状によれば、略3/4円とすることにより剥離現象を少なくしてダクトによる抵抗増加を減少させ、翼型を成した直線部で上昇流を利用してプロペラ下部の流れを前進方向の推力に変えることができる。また、ダクト本体の下部における剥離を低減し、更に有効に前進方向の推力を得ることができる。
た、直線部の幅はプロペラの半径の40%以上120%以下の範囲に設けられている場合には、推力を更に向上させることができる。
また、直線部の水平面に対する傾きよりも、ダクト本体の上部の水平面に対する傾きのほうが大きい場合には、ダクト本体の上部の加速効果を高め、ダクト本体の下部における剥離を更に低減できる。
また、ダクト本体が、ダクト本体を側方視した場合に、上底が下底よりも長い倒立した台形状を成している場合には、流向に対するダクト本体の迎角が相対的に悪化して抵抗となるのを避け、従来の円環ダクトよりも高い推力減少係数を保ちながら下端の伴流利得を稼ぐことができる。
また、上底に対する下底の比が7%以上30%以下の範囲である場合には、更に高い推力減少係数を保ちながら下端の伴流利得を稼ぐことができる。
また、ダクト本体の後縁とプロペラの前縁との距離を、プロペラの直径の1.0%以上50%以下の範囲に設定した場合には、プロペラとの干渉効果も高め推進効率を更に向上させることができる。
また、ダクト本体の断面形状が内側に凸の翼型を成している場合には、翼型により発生する揚力の推進方向成分(スラスト成分)を利用して推力減少率を高め、推進効率を上げることができる。
また、略3/4円の内半径を、ダクト本体の後部よりも前部の方を大きく設定した場合には、ダクト本体より下流での流れを遅くして有効伴流係数を小さくでき、かつダクト本体の前部側でのスラスト成分を増加させて推力を高めることができる。
また、ダクト本体側面視した中心線が水平面に対して前が上方に0.5度以上10度以下の範囲で傾いている場合には、流向に対して適正な迎角となるようにダクトを設置しやすくなる。
また、ダクト本体を船尾に支持する翼型を成す支持部を有している場合には、支持部によってダクト本体を船体に取り付けることができるので、ダクト本体を設置しやすく、特にプロペラに対して適正な位置に配置しやすい。また、翼型を成す支持部によっても前進方向の推力を得ることができる。
また、支持部がプロペラの軸心より上部に位置する上部支持部と、プロペラの軸心より下部に位置する下部支持部からなり、上部支持部と下部支持部がプロペラに向かう流れが対向流となるように逆方向に捩られている場合には、プロペラに向かう流れを対向流化することによって、プロペラの推力を高めることができる。
また、プロペラの後方に舵を備え、舵に船体を前方に推進する省エネ付加物を有した場合には、省エネ付加物によっても推力を得て、高い推進効率を達成して更に輸送効率を高めることができる。
また、省エネ付加物の舵への縦方向における取付け位置が、プロペラのボス位置と略同一レベルである場合には、推力を得やすい取り付け位置となるため、省エネ付加物が効果を発揮しやすくなり、高い推進効率を達成することができる。
また、従来よりも省エネ効果が高い船尾ダクトを有した船尾形状を備えた船舶を提供することができる。
本発明の第一実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状を備えた船舶を示す概略構成図 同船尾ダクトを有した船尾形状の概略図 同船尾ダクトの側面断面図 同船尾ダクトを有した船尾形状の概略図 プロペラ面の流場を計測した図 本発明の第二実施形態による船尾ダクトの側面断面図 本発明の第三実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状の概略図 同船尾ダクトを示す図 試験に用いた船尾ダクトの斜視図 試験に用いた船尾ダクトの側面図 試験に用いた船尾ダクトを有した船尾形状の圧力分布図 図11の部分拡大図 従来の船尾ダクト及びテーパー型船尾ダクトの側面断面図
以下に、本発明の実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶について説明する。
図1は本発明の第一実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状を備えた船舶を示す概略構成図である。
図2は本実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状の概略図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図、図2(d)は上面図である。
図3は本実施形態による船尾ダクトの側面断面図である。図3において黒塗矢印は推力を示す。
図4は本実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状の概略図である。
図5はプロペラ面の流場を計測した図であり、図5(a)は従来の船尾ダクトを適用した場合を示し、図5(b)は本実施形態による船尾ダクトを適用した場合を示している。
図1に示すように、本実施形態による船舶は、船体10の船尾に設けられたプロペラ20と、プロペラ20の前方に取り付けられた船尾ダクト30と、プロペラ20の後方に取り付けられた舵50を備える。
図2に示すように、船尾ダクト30の中心は、プロペラ20の軸心と一致させている。船尾ダクト30は、ダクト本体31が略3/4円筒状を成しており、船体10の後方から前方視した場合(図2(b)参照)に、ダクト本体31の後縁が、略3/4円の下部の中央に、略3/4円と接続した直線部32を有した形状である。
なお、略3/4円とは、ダクト本体31の中心角が225度以上315度以下であって各部における内半径rのばらつきが±10%以下のものをいう。また、船尾ダクト30の中心とプロペラ20の軸心とは、プロペラ20の半径の±10%以内のずれを許容するものとする。
ダクト本体31の後部の略3/4円の内半径rは、プロペラ20の半径の所定範囲に設定されている。本実施形態では、ダクト本体31の後部の略3/4円の内半径rを、プロペラ20の半径の40%以上80%以下の範囲としている。
なお、略3/4円の内半径rのプロペラ20の半径に対する所定範囲は、40%以上60%以下がより好ましい。
また、図3に示すように、船尾ダクト30の直線部32は、側面視した断面形状が、水平面に対して後部が上方に所定角度α(迎角)の範囲内で傾くとともに、内側に凸の翼型を成している。本実施形態では所定角度αを、2度以上10度以下の範囲としている。一方、ダクト本体31の上部は、側面視した断面形状が、水平面に対して後部が下方に所定角度αよりも大きく(本実施形態では12度)傾くとともに、内側に凸の翼型を成している。
プロペラ20に流れ込む流れは、プロペラ軸より下方では、プロペラ軸中心部を除けば比較的安定した上昇する流れである。本実施形態のように、ダクト本体31を略3/4円筒状とし、ダクト本体31の下部に直線部32を設け、直線部32の迎角をダクト本体31の上部の迎角よりも小さい角度に設定することで、ダクト本体31の上部の加速効果を高め、下部を翼型を成した直線部32として迎角を適切に設定することで剥離を低減し、上昇流を利用してプロペラ20の下部の流れ(プロペラ20の下部に相当するダクト本体31部の流れ)を前進方向の推力に変えることができる。
また、ダクト本体31の断面形状が内側に凸の翼型を成していることによって、翼型により発生する揚力の推進方向成分(スラスト成分)を利用して推力減少係数を高め、推進効率を上げることができる。
ここで図5は、船長方向の速度分布を示している。従来の船尾ダクトを適用した図5(a)の場合、破線で囲んだ領域の流速は、船の速度を1とすると、0.05〜0.1程度となっており、プロペラ20の下部の流れに剥離が生じている。一方、本実施形態の船尾ダクト30を適用した図5(b)の場合、破線で囲んだ領域の流速は、0.25〜0.35程度となっており、プロペラ20の下部の流れに殆ど剥離が生じていないことが分かる。
また、図2に示すように、直線部32は、ダクト本体31の後縁の略3/4円の中心線Xから下方に位置する。本実施形態では、中心線Xから直線部32までの距離Hを、プロペラ20の半径の35%としている。直線部32を中心線Xから所定距離下方に位置させることで、ダクト本体31の下部における剥離を低減し、更に有効に前進方向の推力を得ることができる。
距離Hは、プロペラ20の半径の30%以上100%以下とすることが好ましく、プロペラ20の半径の35%以上70%以下とすることがより好ましい。
また、直線部32の幅W(図2(b)参照)は、プロペラ20の所定範囲内に設定している。本実施形態では、幅Wをプロペラ20の半径の60%としている。直線部32の幅Wを適正に設定することにより、更に推力を向上させることができる。
幅Wは、プロペラ20の半径の40%以上120%以下の範囲とすることが好ましく、プロペラ20の半径の50%以上100%以下の範囲とすることがより好ましい。
また、ダクト本体31は、ダクト本体31を側方視した場合(図2(c)参照)に、上底31Aが下底31Bよりも長い、倒立した台形状を成している。本実施形態では、上底31Aに対する下底31Bの比を20%としている。ダクト本体31を倒立した台形状とすることにより、流向に対するダクト本体31の迎角が相対的に悪化して抵抗となるのを避け、従来の円環ダクトよりも高い推力減少係数を保ちながら下端の伴流利得を稼ぐことができる。
上底31Aに対する下底31Bの比は、7%以上30%以下の範囲とすることが好ましく、15%以上30%以下の範囲とすることがより好ましい。
なお、上底31Aと下底31Bとは平行でなくともよい。
また、ダクト本体31の後縁とプロペラ20の前縁との距離Lは、プロペラ20の直径の4%に設定している。ダクト本体31の後縁とプロペラ20の前縁との距離を近接させることによって、プロペラ20との干渉効果も高め推進効率を更に向上させることができる。
距離Lは、プロペラ20の直径の1.0%以上50%以下の範囲に設定することが好ましく、10%以上20%以下の範囲に設定することがより好ましい。
また、ダクト本体31の後部の略3/4円の内半径rは、ダクト本体31の前部の略3/4円の内半径よりも小さく設定している。これにより、ダクト本体31より下流での流れを遅くして有効伴流係数を小さくでき、かつダクト本体31の前部側でのスラスト成分を増加させて推力を高めることができる。
また、ダクト本体31は、翼型を成す支持部40によって船尾に支持されている。支持部40によってダクト本体31を船体に取り付けることができるので、ダクト本体31を設置しやすく、特にプロペラ20に対して適正な位置に配置しやすい。また、翼型を成す支持部40によっても前進方向の推力を得ることができる。
支持部40は、プロペラ20の上部に位置する上部支持部41と、プロペラ20の下部に位置する下部支持部42とからなり、上部支持部41と下部支持部42とがプロペラ20に向かう流れが対向流となるように逆方向に捩られている。
本実施形態では、プロペラ20は後方から前方視した場合、時計方向に回転するため、上部支持部41は、後縁が左舷側に0度以上5度以下の角度(好ましくは1度以上3度以下)を有する左舷側に凸の翼断面形状である。また、下部支持部42は、後縁が右舷側に0度以上5度以下の角度(好ましくは1度以上3度以下)を有する右舷側に凸の翼断面形状である。
プロペラ20に向かう流れを対向流化することによって、プロペラ20の推力を高めることができる。
なお、支持部40の形状は、本実施形態以外にもダクト本体31を支持する強度と、対向流化を満足する様々な形状が採用可能である。
また、図4に示すように、舵50には、船体10を前方に推進する省エネ付加物60が設けられている。省エネ付加物60は例えばフィンである。省エネ付加物60の舵50への縦方向における取付け位置は、推力を得やすいプロペラ20のボス位置と略同一レベルとしている。省エネ付加物60を舵50に設けることにより、省エネ付加物60によっても推力を得て、高い推進効率を達成して更に輸送効率を高めることができる。更に、省エネ付加物60をプロペラ20のボス位置と略同一レベルに取り付けることによって、推力を得やすい取り付け位置となるため、省エネ付加物60が効果を発揮しやすくなり、高い推進効率を達成することができる。
なお、省エネ付加物60としては、フィン形状の省エネ付加物60以外にも、各種の形状が採用可能である。
次に、本発明の第二実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶について説明する。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図6は、本実施形態による船尾ダクトの側面断面図である。
本実施形態において、ダクト30は、ダクト本体31の側面視した断面形状が水平面Aに対して前部が上方に所定角度β傾いている。これにより、流向に対して適正な迎角となるようにダクト30を設置しやすくなる。
なお、所定角度βは、0.5度以上10度以下の範囲とすることが好ましく、1度以上5度以下の範囲とすることがより好ましい。
次に、本発明の第三実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶について説明する。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図7は本実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状の概略図であり、図7(a)は斜視図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図、図7(d)は下面図である。
図8は、本実施形態による船尾ダクトを示す図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は正面図、図8(c)は側面図、図8(d)は下面図である。なお、図8においては、比較のために、第一実施形態で説明した直線部32の位置を併せて示している。
本実施形態において、ダクト本体31の後縁は、船体10の後方から前方視した場合(図7(b)参照)に、略3/4円の下方の中央に、略3/4円と接続した直線部132を有した馬蹄形状としている。すなわち、ダクト本体31の後縁は、略3/4円の下端に直線部32が接続される場合よりも下方に延伸されており、延伸された下端に直線部132が接続されている。
直線部132は、ダクト本体31の後縁の略3/4円の中心線Xから距離H下方に位置する。本実施形態では距離Hを、プロペラ20の半径の約55%としている。これにより、プロペラ20の下部における剥離を低減し、上昇流を利用してプロペラ20の下部の流れを前進方向の推力に変えることができる。
距離Hは、プロペラ20の半径の30%以上100%以下とすることが好ましく、プロペラ20の半径の35%以上70%以下とすることがより好ましい。あまり距離Hが大きいと、流速の速い領域に推力に寄与しない直線部132の端部や略3/4円の下部が臨むことになり、抵抗が増して好ましくない。
次に、本発明の実施形態による船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶を、船型(81万トン型パナマックスバルク)の模型船を用いて曳航水槽で試験した結果を示す。
まず、第一実施形態の船尾ダクト30を適用した場合(実施例1、実施例2)と、船尾ダクト30無しの場合(比較例1)、及び従来のテーパー型船尾ダクトを適用した場合(比較例2)との比較結果を表1に示す。所定角度α(迎角)は、実施例1においては2度、実施例2においては4度とした。
表1から、実施例1及び実施例2は、比較例1及び比較例2に比べて推力減少係数が大きくなり、推進効率が向上していることが分かる。また、所定角度αが2度のときよりも4度のときのほうが推力減少係数が大きくなっている。
なお、従来の船尾ダクトを適用した試験は行っていないが、船尾ダクトの省エネ効果は、有効伴流係数の減少から得られるものであり、実船馬力を推定する場合に、尺度影響のため模型船で得られた効果の半分程度に減少する。一方、本実施形態の船尾ダクト30を適用した場合は、尺度影響を受けない推力減少係数が増加する。すなわち、本実施形態の船尾ダクト30によれば、模型船で測定した省エネ効果と実船に適用した場合の省エネ効果との乖離が少ない。
次に、ダクト本体31の後縁とプロペラ20の前縁との距離Lを変えて試験した結果を表2に示す。表2において、比較例3は船尾ダクト無しの場合である。実施例3及び実施例4は、第一実施形態の船尾ダクト30を適用した場合であり、距離Lは、実施例3ではプロペラ20の直径の10%、実施例4ではプロペラ20の直径の15%とした。なお、実施例3及び実施例4においては、所定角度αを2度とした。
表2から、実施例3及び実施例4は、比較例3に比べて推力減少係数が大きくなり、推進効率が向上していることが分かる。また、推力減少係数は、距離Lがプロペラ20の直径の10%のときよりも15%のときのほうが大きくなっている。
次に、直線部132の幅Wを変えて試験した結果を表3に示す。表3において、比較例4は船尾ダクト無しの場合である。実施例5から実施例7は、第三実施形態の船尾ダクト30を適用した場合であり、直線部132の幅Wは、実施例5における直線部132の幅W5を1(基準)として、実施例6における直線部132の幅W6を1.247、実施例7における直線部132の幅W7を1.488とした。実施例5における直線部132の幅W5は、プロペラ20の半径の60%である。なお、実施例5から実施例7においては、所定角度αを2度とした。
図9は試験に用いた船尾ダクト30の斜視図であり、図9(a)は実施例5から実施例7の直線部132の幅Wの比較図、図9(b)は実施例5の直線部132を示す拡大図、図9(c)は実施例7の直線部132を示す拡大図である。
表3から、比較例4を1(基準)としたときの効率アップ比は実施例5で最も大きくなっており、直線部132の幅Wが短いほど推力が大きいことが分かる。なお、これらの実施例5から7においては、断面形状が水平面Aに対して前部が上方に所定角度β傾いている。また、流場に応じて水平面Aに対する所定角度β(迎角β)の設定と直線部132の幅Wを調整することによって、推力がより大きくなるように調整することも可能であり、所定角度α、所定角度βによっては幅Wが長いほど推力が大きくなることもあり得る。
但し、あまり幅Wが長いと流速の速い領域に直線部132の両端部が臨むことになり、抵抗が増して好ましくない。
次に、倒立した台形状を成したダクト本体31の上底31Aの弦長を一定として下底31Bの弦長Dを変えて試験した結果を表4に示す。表4において、比較例5は船尾ダクト30無しの場合である。実施例8から実施例10は、第一実施形態の船尾ダクト30を適用した場合であり、下底31Bの弦長Dは、実施例9における下底31Bの弦長D9を1(基準)として、実施例8の弦長D8を0.5、実施例10の弦長D10を1.5とした。実施例9の上底31Aに対する下底31Bの比は15%である。
図10は試験に用いた船尾ダクト30の側面図であり、実施例8から実施例10の下底31Bの弦長Dを示している。図11は試験に用いた船尾ダクト30を有した船尾形状の圧力分布図であり、図11(a)は実施例8、図11(b)は実施例9、図11(c)は実施例10のものである。また、図12は図11の部分拡大図であり、図12(a)は実施例8、図12(b)は実施例9、図12(c)は実施例10のものである。
表4から、船尾ダクト30を適用すると、推力減少係数が増加して有効伴流係数が減少し、効率増加を得られることが分かる。また、実施例間における差は少ないが、上底31Aに対する下底31Bの比が15%のとき(実施例9)が最も良い値となっている。
本発明の船尾ダクトを有した船尾形状及び船舶は、1軸船のみならず2軸船や多軸船に適用でき、また、単胴船のみならず双胴船や多胴船にも適用できる。
10 船体
20 プロペラ
30 船尾ダクト
31 ダクト本体
31A 上底
31B 下底
32、132 直線部
40 支持部
41 上部支持部
42 下部支持部
50 舵
60 省エネ付加物
r ダクト本体の後部の略3/4円の内半径
L ダクト本体の後縁とプロペラの前縁との距離
W 直線部の幅
X 略3/4円の中心線

Claims (14)

  1. 船体の船尾に設けられたプロペラと、前記プロペラの前方に取り付けられた船尾ダクトとを備え、前記船尾ダクトのダクト本体が略3/4円筒状を成し、前記船体の後方から前方視した場合に前記ダクト本体の後縁が略3/4円の下部又は下方の中央に前記略3/4円と接続される直線部を有した形状であり、前記直線部の側面視した断面形状が水平面に対して後部が上方に2度以上10度以下の範囲で傾いた内側に凸の翼型を成し、かつ前記略3/4円の内半径を前記プロペラの半径の40%以上80%以下の範囲に設定するとともに、前記船尾ダクトの中心が前記プロペラの軸心と一致し、前記直線部が前記略3/4円の後方視した中心線から下方の前記プロペラの半径の30%以上100%以下の範囲に設けられていることを特徴とする船尾ダクトを有した船尾形状。
  2. 前記直線部の幅は前記プロペラの半径の40%以上120%以下の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  3. 前記直線部の水平面に対する傾きよりも、前記ダクト本体の上部の水平面に対する傾きのほうが大きいことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  4. 前記ダクト本体が、前記ダクト本体を側方視した場合に、上底が下底よりも長い倒立した台形状を成していることを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  5. 前記上底に対する下底の比が7%以上30%以下の範囲であることを特徴とする請求項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  6. 前記ダクト本体の前記後縁と前記プロペラの前縁との距離を、前記プロペラの直径の1.0%以上50%以下の範囲に設定したことを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  7. 前記ダクト本体の断面形状が内側に凸の翼型を成していることを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  8. 前記略3/4円の内半径を、前記ダクト本体の後部よりも前部の方を大きく設定したことを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  9. 前記ダクト本体側面視した中心線が水平面に対して前が上方に0.5度以上10度以下の範囲で傾いていることを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  10. 前記ダクト本体を前記船尾に支持する翼型を成す支持部を有していることを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  11. 前記支持部が前記プロペラの前記軸心より上部に位置する上部支持部と、前記プロペラの前記軸心より下部に位置する下部支持部からなり、前記上部支持部と前記下部支持部が前記プロペラに向かう流れが対向流となるように逆方向に捩られていることを特徴とする請求項10に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  12. 前記プロペラの後方に舵を備え、前記舵に前記船体を前方に推進する省エネ付加物を有したことを特徴とする請求項1から請求項11のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  13. 前記省エネ付加物の前記舵への縦方向における取付け位置が、前記プロペラのボス位置と略同一レベルであることを特徴とする請求項12に記載の船尾ダクトを有した船尾形状。
  14. 請求項1から請求項13のうちの1項に記載の船尾ダクトを有した船尾形状を前記船体に備えたことを特徴とする船舶。
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