以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの断面図、図1(b)は、図1(a)の領域Aの拡大図である。図1(a)及び図1(b)のように、実施例1の弾性波デバイス100は、パッケージ基板10とデバイスチップ20とを含む。デバイスチップ20は、バンプ50によってパッケージ基板10の平坦上面にフリップチップ実装されている。パッケージ基板10とデバイスチップ20との間には、デバイスチップ20に設けられた弾性波共振器24とバンプ50とが露出する空隙52が設けられている。弾性波共振器24が空隙52に露出することで、弾性波共振器24を構成するIDTの振動が妨げられることが抑制される。
パッケージ基板10は、例えば酸化アルミニウム基板などのセラミック基板であるが、その他の絶縁基板であってもよい。パッケージ基板10の上面に平坦形状をしたパッド12が設けられている。バンプ50はパッド12に接合している。パッド12は、パッケージ基板10の内部に設けられた内部配線14を介して、パッケージ基板10の下面に設けられたフットパッド16に電気的に接続されている。
デバイスチップ20は、タンタル酸リチウム基板又はニオブ酸リチウム基板などの圧電基板である基板22と、基板22の主面上に設けられた弾性波共振器24と、を含む。基板22の主面に凹部28が設けられている。凹部28は、深さが例えば15μm程度、幅が例えば55μm程度である。
パッド26が凹部28の表面に沿って設けられている。弾性波デバイス100の小型化のために、パッド26の幅はパッド12よりも狭くなっている。パッド26の幅W1は例えば60μm〜70μm程度であり、パッド12の幅W2は例えば80μm〜90μm程度である。パッド26の中央領域30は凹部28に設けられ、中央領域30を囲む外周領域32は凹部28の周りの基板22の主面上に設けられている。パッド26は、中央領域30における厚さと外周領域32における厚さとが同程度になっている。したがって、パッド26の中央領域30は外周領域32に対して凹んでいる。バンプ50は、パッド26の中央領域30に埋め込まれて、中央領域30と外周領域32とに接合している。バンプ50の中央領域30における厚さは例えば2μm〜5μm程度で、外周領域32における厚さは例えば2μm〜5μm程度で、バンプ50の幅は例えば50μm程度である。
パッド12、内部配線14、フットパッド16、及びパッド26は、例えば金で形成されているが、アルミニウムやチタンなどのその他の金属で形成されていてもよい。バンプ50は、例えば金バンプ又は銅バンプであり、例えばスタッドバンプ又はめっきバンプである。
パッケージ基板10の上面であって、デバイスチップ20の外側に金属パターン18が設けられている。金属パターン18はデバイスチップ20を囲んで設けられている。金属パターン18は、例えば金によって形成されている。デバイスチップ20を囲む半田54が金属パターン18の上面に接合している。デバイスチップ20上から半田54上にかけて、平坦形状をした金属リッド56が設けられている。金属リッド56は、例えばコバールで形成されているが、その他の金属で形成されていてもよく、半田よりも融点の高い金属で形成されていることが好ましい。デバイスチップ20は、半田54と金属リッド56とを含む封止部58によって封止されている。封止部58を覆って保護膜59が設けられている。保護膜59は、例えばニッケルめっき膜などの金属膜からなる。
図2は、デバイスチップの平面図である。図2のように、デバイスチップ20は、基板22上に、直列共振器S1からS4、並列共振器P1からP3、配線34、及びパッド26が設けられている。パッド26は、基板22に設けられた凹部28の表面に沿って設けられている。パッド26の中央領域30は凹部28に設けられ、外周領域32は中央領域30を囲むように凹部28の周りに設けられている。凹部28及びパッド26は、矩形形状をしているがその他の形状であってもよい。
直列共振器S1からS4及び並列共振器P1からP3は弾性波共振器24からなる。弾性波共振器24は、例えば弾性表面波共振器である。弾性波共振器24は、1ポート共振器であり、IDT(Interdigital Transducer)36とその両側に設けられた反射器38とを備える。配線34は、弾性波共振器24間及び弾性波共振器24とパッド26との間を接続する。
直列共振器S1からS4は、入力端子INであるパッド26と出力端子OUTであるパッド26との間に、配線34を介して直列に接続されている。並列共振器P1からP3の一端は配線34を介して直列共振器S1からS4に接続され、他端は配線34を介してグランド端子GNDであるパッド26に接続されている。このように、デバイスチップ20には弾性波共振器24によってラダー型フィルタが形成されている。
実施例1の弾性波デバイス100の製造方法について説明する。図3(a)から図4(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図3(a)から図4(c)で説明する製造方法は多面取りプロセスによる製造方法である。図3(a)のように、パッド12、内部配線14、フットパッド16、及び金属パターン18が形成されたパッケージ基板10を準備する。パッド12の上面にスタッドバンプ法によってバンプ50aを形成する。バンプ50aの直径は例えば77μm程度であり、高さは例えば28μm程度である。なお、バンプ50aはめっき法によって形成してもよい。
図3(b)のように、基板22の主面に凹部28を形成する。凹部28の幅は例えば55μm程度であり、高さは例えば15μm程度である。凹部28は、例えばフォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクにウエットエッチング又はブラスト加工を行うことで形成する。その後、基板22の平坦主面に弾性波共振器24を形成し、凹部28にパッド26を形成する。弾性波共振器24とパッド26とは一般的に用いられる方法によって形成する。これにより、配列した複数の弾性波共振器24と、複数の弾性波共振器24に電気的に接続し、中央領域が外周領域に対して凹んだ形状の複数のパッド26と、が主面に設けられた多面取りの基板22が得られる。その後、パッド26の上面にスタッドバンプ法によってバンプ50bを形成する。バンプ50bの直径は例えば40μm程度であり、高さは例えば25μm程度である。バンプ50bは、凹部28の底面におけるパッド26の上面に形成される。
図3(c)のように、基板22をダイシング法によって切断して複数のデバイスチップ20に個片化する。
図4(a)のように、パッケージ基板10のパッド12上に形成されたバンプ50aとデバイスチップ20のパッド26上に形成されたバンプ50bとを接合させる。これにより、デバイスチップ20は、バンプ50aとバンプ50bとからなるバンプ50によってパッケージ基板10の平坦上面にフリップチップ実装される。パッケージ基板10とデバイスチップ20との間には、弾性波共振器24とバンプ50とが露出する空隙52が形成される。その後、デバイスチップ20上に、半田54と金属リッド56を含む積層体を、半田54がデバイスチップ20側になるように配置する。
図4(b)のように、積層体を加熱して半田54が溶融した状態とし、この状態で金属リッド56をデバイスチップ20側に押圧する。これにより、複数のデバイスチップ20の間隙に半田54が充填される。半田54は、パッケージ基板10上に形成された金属パターン18上を濡れ広がった後に固化し、デバイスチップ20を囲んで金属パターン18と金属リッド56とに接合する。金属リッド56は、デバイスチップ20上から半田54に延在する。金属リッド56は例えばデバイスチップ20に接しているが、金属リッド56とデバイスチップ20との間に半田54が残存していてもよい。これにより、デバイスチップ20は、半田54と金属リッド56とを含む封止部58によって空隙52を保ったまま封止される。その後、パッケージ基板10の下面に、フットパッド16を保護するレジスト膜90を形成する。
図4(c)のように、複数のデバイスチップ20の間で、封止部58、パッケージ基板10、及びレジスト膜90をダイシング法によって切断する。これにより、複数のデバイスに個片化される。その後、複数のデバイスに対してバレルめっきを施して、封止部58を覆う保護膜59を形成する。その後に、レジスト膜90を除去することで、実施例1の弾性波デバイス100が形成される。
ここで、比較例1の弾性波デバイスについて説明する。図5(a)は、比較例1に係る弾性波デバイスの断面図、図5(b)は、図5(a)の領域Aの拡大図である。図5(a)及び図5(b)のように、比較例1の弾性波デバイス500は、基板22の主面に凹部が設けられてなく、パッド26は基板22の平坦主面上に設けられている。つまり、パッド26は平坦形状となっている。バンプ50はパッド26の平坦面に接合されている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
弾性波デバイスの小型化のために、デバイスチップ20のパッド26を小さくすることが検討されている。比較例1の弾性波デバイス500では、パッド26が小さくなると、パッド26とバンプ50との接合面積が小さくなるため、パッド26とバンプ50との接合強度が低下する。このため、パッケージ基板10と基板22との線膨張係数の差によって発生する応力によって、パッド26とバンプ50との界面で接合が破断することがある。応力は、例えば温度サイクル試験(例えば65℃〜150℃の間で所定の間隔で温度を変化させ、各温度を15分間維持する処理を1000サイクル行う試験)などのような温度変化が生じるときに発生する。なお、パッケージ基板10が酸化アルミニウム基板である場合の線膨張係数は7.1ppm/℃である。基板22がタンタル酸リチウム基板又はニオブ酸リチウム基板である場合、結晶方位によって線膨張係数が異なり、タンタル酸リチウム基板の結晶方位のX軸方向の線膨張係数は16.1ppm/℃であり、ニオブ酸リチウム基板の結晶方位のX軸方向の線膨張係数は15.4ppm/℃である。
一方、実施例1の弾性波デバイス100では、図1(b)のように、パッド26は中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状をし、バンプ50はパッド26の中央領域30に埋め込まれている。これにより、パッド26を小さくした場合でもパッド26とバンプ50との接合面積を大きくできるため、パッド26とバンプ50との接合強度の低下を抑制できる。したがって、パッケージ基板10と基板22との熱膨張係数の差による応力によってパッド26とバンプ50との接合が破断することを抑制できる。また、バンプ50がパッド26の中央領域30に埋め込まれているためアンカー効果が生じ、これによっても、パッド26とバンプ50との接合が破断することが抑制される。
また、パッケージ基板10と基板22との熱膨張係数の差による応力によって、デバイスチップ20の位置がパッケージ基板10に対して移動してしまうことがある。図6は、デバイスチップがパッケージ基板に対して移動した場合の断面図である。図6のように、デバイスチップ20の位置がパッケージ基板10に対して移動した場合でも、バンプ50の一部はデバイスチップ20に追従して移動するようになるため、パッド26とバンプ50との界面で接合が破断することを抑制できる。
また、比較例1の弾性波デバイス500では、図7のように、バンプ50がパッド26からはみ出して弾性波共振器24に接触することがある。一方、実施例1では、バンプ50はパッド26の中央領域30に埋め込まれているため、バンプ50がパッド26からはみ出すことを抑制でき、弾性波デバイスの特性劣化を抑制できる。
また、実施例1によれば、パッド26が基板22の主面に設けられた凹部28の表面に沿って設けられることで、パッド26の中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状となっている。このように、パッド26の中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状を基板22の凹部28によって実現することで、弾性波デバイス100の背が高くなることを抑制できる。
図8は、比較例2に係るデバイスチップの断面図である。図8のように、比較例2のデバイスチップでは、基板22の平坦主面に付加膜92を介してパッド26が設けられている。パッド26の表面は付加膜92の形状に起因した凸凹が形成されている。このため、パッド26とバンプ50との接合面積を増大させることができる。しかしながら、この場合では、パッド26にバンプ50をスタッドバンプ法で形成する際の超音波が付加膜92によって伝わり難くなり、バンプ50の形成が難しい。一方、実施例1では、パッド26は基板22に設けられた凹部28によって凸凹形状が形成され、パッド26の厚さは一様であることから超音波が伝わり易くバンプ50を良好に接合することができる。
図9は、実施例1の変形例1に係る弾性波デバイスの断面図である。なお、図9では、図1(a)の領域Aに相当する箇所の断面を示している。図9のように、基板22は、サファイア基板などの支持基板60に圧電基板62を貼り付けた基板でもよい。支持基板60の厚さは例えば100μm〜300μmであり、圧電基板62の厚さは支持基板60よりも薄くて例えば20μm〜100μmである。支持基板60がサファイア基板である場合の線膨張係数は7.7ppm/℃であり、パッケージ基板10が酸化アルミニウム基板である場合の線膨張係数は7.1ppm/℃であることから、基板22の線膨張係数をパッケージ基板10の線膨張係数に近づけることができる。よって、パッケージ基板10とデバイスチップ20との間に生じる応力を低減させることができ、その結果、バンプ50とパッド26との界面において接合が破断することを抑制できる。例えば、厚さ250μmのサファイア基板からなる支持基板60に厚さ110μmのタンタル酸リチウム基板からなる圧電基板62が貼り付けられた基板22の線膨張係数は10.2ppm/℃程度である。
図10(a)は、実施例2に係る弾性波デバイスの断面図、図10(b)は、図10(a)の領域Aの拡大図、図10(c)は、デバイスチップのパッド近傍の平面図である。図10(a)から図10(c)のように、実施例2の弾性波デバイス200では、基板22に凹部が設けられてなく、パッド26aが基板22の平坦主面上に設けられている。パッド26aは、第1金属層70と第2金属層72とで構成されている。第1金属層70は基板22の平坦主面上に設けられ平坦形状をしている。第2金属層72は第1金属層70上であって第1金属層70の外周部に設けられている。これにより、パッド26aは、第1金属層70からなる中央領域30と、第1金属層70と第2金属層72とからなる外周領域32と、を有する。すなわち、パッド26aは、中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状をしている。
第1金属層70の幅は例えば60μm〜70μm程度であり、高さは例えば1μm〜3μm程度である。第2金属層72の幅は例えば3μm〜10μm程度であり、5μm程度が好ましい。第2金属層72の高さは例えば5μm〜10μm程度であり、5μm程度が好ましい。第1金属層70の上面(すなわち、中央領域30)におけるバンプ50の高さは例えば10μm程度である。第1金属層70と第2金属層72とは同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。第1金属層70と第2金属層72とは、金、アルミニウム、又はチタンのいずれかで形成されることができる。第2金属層72には、一方の側面から他方の側面にかけて貫通した隙間74が設けられている。すなわち、パッド26aの中央領域30を形成する凹み形状の輪郭は凹凸を有する。バンプ50は隙間74に食い込んでいる。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
次に、実施例2の弾性波デバイス200の製造方法について説明する。図11(a)から図11(d)、図12(a)、及び図12(b)は、実施例2に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図、図11(e)は、図11(d)のパッドの平面図である。
図11(a)のように、基板22の平坦主面上に弾性波共振器24とパッド26aを構成する第1金属層70とを形成する。弾性波共振器24と第1金属層70とは一般的に用いられる方法によって形成する。
図11(b)のように、基板22上に、第2金属層72を形成する領域に開口96を有し、その他の領域を覆うレジスト膜からなるマスク層94を形成する。すなわち、マスク層94は、第1金属層70上であって第1金属層70の外周領域に開口96を有する。
図11(c)のように、マスク層94をマスクとして、蒸着法によって第2金属層72を形成する。第2金属層72は、マスク層94の開口96に埋め込まれて形成される。なお、蒸着法の代わりにめっき法によって第2金属層72を形成してもよい。めっき法で第2金属層72を形成した場合は、マスク層94上に第2金属層72は形成されない。
図11(d)のように、リフトオフ法によってマスク層94とその上に形成された第2金属層72とを除去する。これにより、第1金属層70と、第1金属層70上であって第1金属層70の外周領域に形成された第2金属層72と、で構成されたパッド26aが形成される。パッド26aの上面にスタッドバンプ法又はめっき法によってバンプ50を形成する。図11(e)のように、第2金属層72には、一方の側面から他方の側面にかけて貫通した隙間74が設けられている。バンプ50は、第1金属層70の上面に形成される。バンプ50の直径は例えば50μm程度であり、高さは例えば25μm程度である。また、バンプ50の幅広部分の高さは例えば10μm程度である。
図12(a)のように、基板22をダイシング法によって切断して複数のデバイスチップ20に個片化する。
図12(b)のように、パッド12、内部配線14、フットパッド16、及び金属パターン18が形成されたパッケージ基板10のパッド12に、デバイスチップ20のパッド26a上に形成されたバンプ50を接合させる。これにより、デバイスチップ20は、バンプ50によってパッケージ基板10の平坦上面にフリップチップ実装される。パッケージ基板10とデバイスチップ20との間には、弾性波共振器24とバンプ50とが露出する空隙52が形成される。その後、デバイスチップ20上に、半田54と金属リッド56を含む積層体を、半田54がデバイスチップ20側になるように配置する。
その後、実施例1の図4(b)及び図4(c)と同じ工程を行うことで、実施例2の弾性波デバイス200が形成される。
実施例2によれば、図10(b)のように、デバイスチップ20のパッド26aは、基板22の平坦な主面に設けられ、中央領域30における厚さが外周領域32よりも薄くなっている。これによっても、パッド26aは中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状となるため、パッド26aとバンプ50との接合面積を大きくでき、パッド26aとバンプ50との接合強度の低下を抑制できる。
また、実施例2によれば、図10(c)のように、第2金属層72の一方の側面から他方の側面にかけて隙間74が設けられることで、パッド26aの平面視において、パッド26aの中央領域30を形成する凹んだ形状の輪郭は凸凹している。これにより、バンプ50が隙間74に食い込むようになるため、バンプ50とパッド26aとの接合強度の低下をさらに抑制できる。
なお、実施例2では、隙間74は、矩形形状をしたパッド26aの4つの側面それぞれの中央付近に設けられている場合を例に示したが、この場合に限られる訳ではない。図13(a)から図13(c)は、パッドの他の例を示す平面図である。図13(a)のように、隙間74は、パッド26aの対向する2つの側面に設けられ、他の2つの側面には設けられていなくてもよい。図13(b)のように、パッド26aの4つの側面それぞれに複数の隙間74が設けられていてもよい。図13(c)のように、パッド26aの角部に隙間74が設けられていてもよい。
なお、第2金属層72の側面に隙間74が設けられる代わりに、図14(a)のように、第2金属層72の中央領域30側の側面に凹部76が設けられてもよい。この場合でも、バンプ50が凹部76に食い込むようになるため、バンプ50とパッド26bとの接合強度の低下を抑制できる。また、図14(b)のように、パッケージ基板10側のパッド12上に金属層13を設けても良い。このとき、金属層13の開口15は、断面視において基板22側に向かってすぼむ開口形状とすることができる。金属層13の基板22側の開口径W1は例えば22〜23μm程度であり、パッド12側の開口径W2は例えば30〜32μm程度である。これにより、より接合強度の低下を抑制できる。
なお、実施例2では、平坦形状をした第1金属層70上の外周領域に第2金属層72が設けられている場合を例に示したが、基板22の平坦上面に枠状の第2金属層72が設けられ、第2金属層72の上面と第2金属層72の内側の基板22の主面とを覆って第1金属層70が設けられていてもよい。
図15(a)は、実施例3に係る弾性波デバイスを構成するデバイスチップのパッドの断面図、図15(b)は、パッドの平面図である。図15(a)及び図15(b)のように、実施例3の弾性波デバイスでは、基板22の平坦主面に枠状の絶縁層78が設けられ、パッド26cは絶縁層78の上面と絶縁層78の内側の基板22の主面とを覆って設けられている。これにより、パッド26cは、中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状となっている。絶縁層78は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、又は窒化アルミニウムなどの絶縁材料で形成されている。その他の構成は、実施例1の弾性波デバイスと同じであるため図示及び説明を省略する。
実施例3のように、デバイスチップ20のパッド26cは、基板22の平坦な主面上に設けられた枠状の絶縁層78の上面と絶縁層78の内側の基板22の主面とを覆って設けられてもよい。
図16は、実施例3の変形例1に係る弾性波デバイスを構成するデバイスチップの断面図である。図16のように、弾性波共振器24が絶縁層78上に設けられている。絶縁層78は、基板22よりも熱伝導率の高い材料で形成されている。例えば基板22がタンタル酸リチウム基板である場合の熱伝導率は約5W/mK、ニオブ酸リチウム基板である場合の熱伝導率は約10W/mKであることから、絶縁層78として酸化アルミニウム(熱伝導率が約21W/mK)や窒化アルミニウム(熱伝導率が約200W/mK)を用いることができる。その他の構成は、実施例3の弾性波デバイスと同じであるため説明を省略する。
実施例3の変形例1によれば、弾性波共振器24は基板22よりも熱伝導率が高い絶縁層78上に設けられている。これにより、弾性波共振器24の放熱性が向上するため、耐電力を向上させることができる。
図17(a)は、実施例4に係る弾性波デバイスを構成するデバイスチップの平面図、図17(b)は、実施例4の変形例1に係る弾性波デバイスを構成するデバイスチップの平面図である。図17(a)のように、弾性波共振器24は、IDT36とその両側に設けられた反射器38とを有する。IDT36は、1対の櫛型電極40を備える。櫛型電極40は、複数の電極指42と、複数の電極指42が接続されたバスバー44と、を備える。1対の櫛型電極40は、電極指42がほぼ互い違いに配列するように対向している。パッド26aはバスバー44に接続されている。図17(b)のように、実施例4の変形例1では、パッド26aは配線34を介してバスバー44に接続している。
図17(a)のようにパッド26aがIDT36に直接接続している場合や、図17(b)のようにパッド26aとIDT36との間の配線34の長さd1が短い場合では、図7で説明したように、バンプ50がIDT36に接触することが起こり易い。したがって、パッド26aと弾性波共振器24とがパッド26aの幅よりも小さい距離で隣り合っている場合、バンプ50と弾性波共振器24との接触を抑制するために、パッド26aは中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状をしていることが好ましい。
図18は、実施例4の変形例2に係る弾性波デバイスを構成するデバイスチップの平面図である。図18のように、パッド26aは、空隙を介して配線34に隣り合っている。パッド26aと配線34との距離d2が短い場合、バンプ50が配線34に接触することが起こり易い。したがって、パッド26aが、パッド26aの幅よりも小さい距離で空隙を介して配線34に隣り合う場合、バンプ50と配線34との接触を抑制するために、パッド26aは中央領域30が外周領域32に対して凹んだ形状をしていることが好ましい。
なお、実施例1では、パッケージ基板10側のバンプ50aとデバイスチップ20側のバンプ50bとを接合させた2段バンプ構造の場合を例に示し、実施例2では、デバイスチップ20側のバンプ50をパッケージ基板10側のパッド12に接合させた1段バンプ構造の場合を例に示した。しかしながら、実施例1から実施例4において、2段バンプ構造及び1段バンプ構造のいずれを用いてもよい。2段バンプ構造を用いた場合、弾性波デバイスの小型化のためにデバイスチップ20のパッドの面積を小さくした場合でも、バンプ50の高さを高くすることができる。
実施例1から実施例4においては、弾性波素子として弾性表面波共振器を例に説明したが、弾性波素子は弾性境界波共振器、ラブ波共振器、又は圧電薄膜共振器でもよい。また、弾性波デバイスの例としてラダー型フィルタを例に説明したが、多重モード型フィルタなどのその他の弾性波デバイスでもよい。
図19は、実施例5に係る弾性波デバイスを示す図である。図19のように、実施例5の弾性波デバイス500は、アンテナ端子Antと送信端子Txとの間に接続された送信フィルタ80と、アンテナ端子Antと受信端子Rxとの間に接続された受信フィルタ82と、を含む、デュプレクサである。送信フィルタ80と受信フィルタ82は、通過帯域が異なっている。送信フィルタ80は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号としてアンテナ端子Antに通過させ、他の帯域の信号を抑圧する。受信フィルタ82は、アンテナ端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の帯域の信号を抑圧する。送信フィルタ80及び受信フィルタ82の少なくとも一方を、実施例1から実施例4の弾性波デバイスとすることができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。