JP6791652B2 - 銀粉およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、球状銀粉およびその製造方法に関し、特に、積層コンデンサの内部電極や回路基板の導体パターン、ディスプレイパネルや太陽電池の基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペースト用の球状銀粉およびその製造方法に関する。
従来、積層コンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池やディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペーストとして、銀粉をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加えて混練することによって製造される導電性ペーストが使用されている。このような導電性ペースト用の銀粉は、電子部品の小型化、導体パターンの高密度化、ファインライン化などに対応するため、粒径が適度に小さく、粒度が揃っていることが要求されている。
このような導電性ペースト用の銀粉を製造する方法としては、銀塩含有水溶液にアルカリまたは錯化剤を加えて、酸化銀含有スラリーまたは銀錯体含有水溶液を生成した後、還元剤を加えることにより銀粉を還元析出させ、その後に乾燥する方法が知られている。このような方法において、凝集が少なく分散性に優れた銀粉を生成するために、銀塩含有水溶液にアルカリまたは錯化剤を加えて、酸化銀含有スラリーまたは銀錯塩含有水溶液を生成し、還元剤を加えて銀粒子を還元析出させた後、銀含有スラリー溶液またはその濾過中に分散剤として脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属化合物、キレート剤、高分子分散剤のいずれか1種以上を加えることにより、表面を分散剤で被覆した銀粉を生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、導電性ペーストに使用する溶剤として水溶性の高い有機溶剤を使用する場合には、導電性ペーストに使用する銀粉が溶剤に馴染まないと、銀粉が導電性ペースト内に分散せずに塊状になって、導電性ペーストを基板などに塗布する際に導電性ペーストの膜厚が不均一になるため、導電性ペーストの焼成により形成される導体の導電性や接着強度が悪化する。
そのため、導電性ペーストの溶剤として水溶性の高い有機溶剤を使用する場合には、その導電性ペーストに使用する銀粉として、水溶性の高い有機溶剤に馴染むような表面水分量がある程度高めの銀粉が望まれているが、特許文献1や特許文献2の方法のような従来の銀粉の製造方法では、水溶性の高い有機溶剤を使用する導電性ペーストに適した表面水分量の銀粉を製造することができなかった。
そのような水溶性の高い有機溶剤を使用する導電性ペーストに適した表面水分量の銀粉を製造するために、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させる銀粉の製造方法において、銀粒子の還元析出前または還元析出後あるいは還元析出中に、2種以上の分散剤として、ベンゾトリアゾール、ステアリン酸、オレイン酸などの疎水性分散剤と、ゼラチンやコラーゲンペプチドなどの親水性分散剤を添加することにより、水溶性の高い有機溶剤を使用する導電性ペーストに適した表面水分量の銀粉を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−88206号公報(段落番号0002−0004) 特開2005−220380号公報(段落番号0013) 特開2008−88453号公報(段落番号0008−0009)
しかし、特許文献3の方法では、水溶性の高い有機溶剤を使用する導電性ペーストに適した表面水分量の銀粉を得るために、疎水性分散剤とともに親水性分散剤も使用する必要があり、分散剤に要するコストの増大により、製造コストが高くなる。また、特許文献1〜3の方法のような従来の銀粉の製造方法では、銀含有スラリーを濾過することにより得られたケーキを加熱して乾燥させているので、加熱に要するコストの増大により、製造コストが高くなる。さらに、導電性ペーストに使用して作製した導電膜の体積抵抗率を従来よりも低くすることにより、その導電性ペーストを使用した電子部品などの特性を向上させること、例えば、その導電性ペーストを太陽電池に使用した場合に太陽電池の発電効率を向上させることができる、銀粉を製造することが望まれている。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、導電性ペーストに使用して作製した導電膜の体積抵抗率を低くすることができる銀粉を提供するとともに、そのような銀粉を安価に製造することができる、銀粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させて得られた銀含有スラリーを濾過し、得られたケーキを室温で脱水し、室温で解砕し、室温で分級して銀粉を得ることにより、導電性ペーストに使用して作製した導電膜の体積抵抗率を低くすることができる銀粉を安価に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させて得られた銀含有スラリーを濾過することにより得られたケーキを室温で脱水し、室温で解砕し、室温で分級して銀粉を得ることを特徴とする。
この銀粉の製造方法において得られた銀粉は、カールフィッシャー法による水分量が5〜40ppmであるのが好ましい。また、上記室温は、0℃より高く40℃より低い温度であればよく、5〜35℃の温度であるのが好ましい。また、解砕により得られた解砕粉の乾燥減量は1〜6.5%であるのが好ましく、ケーキの乾燥減量は15%以下であるのが好ましい。また、銀粒子の還元析出前または還元析出後あるいは還元析出中に分散剤を添加するのが好ましい。この分散剤は、疎水性分散剤であるのが好ましく、脂肪酸からなる分散剤であるのが好ましい。また、分散剤は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる分散剤であるのが好ましい。
また、本発明による銀粉は、カールフィッシャー法による水分量が5〜40ppmであり、結晶子径が30.0〜31.5nmであることを特徴とする。この銀粉は、表面水分量が0.4〜2.9分子/nm2であるのが好ましい。また、レーザー回折法による平均粒径が0.1〜5μmであるのが好ましく、BET比表面積が0.1〜5m/gであるのが好ましい。また、銀粉をペレット状にして大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の熱膨張率のピーク値の温度における熱膨張のピーク値が+0.4%以下であるのが好ましい。
さらに、本発明による導電性ペーストは、上記の銀粉を導体として用いたことを特徴とする。
なお、本明細書中において、「乾燥減量」は、試料10gを秤量ビンに取り、110℃で3時間乾燥させて、40分以上放冷した後の試料の重量の減少量を乾燥前の試料の重量(10g)で割って得られた値に100を乗じて求めた値である。
本発明によれば、導電性ペーストに使用して作製した導電膜の体積抵抗率を低く(導電率を高く)することができる銀粉を安価に製造することができる。
実施例および比較例の銀粉をペレット状にして大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の熱膨張率を示す図である。 図1の250℃付近の拡大図である。
本発明による銀粉の製造方法の実施の形態では、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させて得られた銀含有スラリーを濾過し、水洗して得られたケーキを室温で脱水し、室温で解砕し、室温で分級して銀粉を得る。
銀イオンを含有する水性反応系としては、硝酸銀、銀錯体または銀中間体を含有する水溶液またはスラリーを使用することができる。銀錯体を含有する水溶液は、アンモニア水、アンモニウム塩、キレート化合物などを硝酸銀水溶液に添加することにより生成することができる。銀中間体を含有するスラリーは、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを硝酸銀水溶液に添加することにより生成することができる。これらの中で、銀粉が適当な粒径と球状の形状を有するようにするためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られるアンミン錯体水溶液を使用するのが好ましい。アンミン錯体中のアンモニアの配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニア2モル以上を添加する。また、アンモニアの添加量が多過ぎると錯体が安定化し過ぎて還元が進み難くなるので、アンモニアの添加量は銀1モル当たり8モル以下であるのが好ましい。なお、還元剤の添加量を多くするなどの調整を行なえば、アンモニアの添加量が8モルを超えても適当な粒径の球状銀粉を得ることができる。
還元剤としては、アスコルビン酸、亜硫酸塩、アルカノールアミン、過酸化水素水、ギ酸、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、グリオキサール、酒石酸、次亜燐酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、ヒドロキノン、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ピロガロール、ぶどう糖、没食子酸、ホルマリン、無水亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどを使用することができる。これらの中で、アスコルビン酸、アルカノールアミン、水素化硼素ナトリウム、ヒドロキノン、ヒドラジンおよびホルマリンからなる群から選ばれる1種類以上を使用するのが好ましく、特に、安価であることからホルマリンを使用するのが好ましい。これらの還元剤を使用すれば、適当な粒径の銀粒子を得ることができる。還元剤の添加量は、銀の反応収率を上げるためには、銀に対して1当量以上にする必要がある。還元力の弱い還元剤を使用する場合には、銀に対して2当量以上の還元剤、例えば、10〜20当量の還元剤を添加してもよい。また、還元剤の添加方法については、銀粉の凝集を防ぐために、1当量/分以上の速さで添加するのが好ましい。この理由は明確ではないが、還元剤を短時間で投入することで、銀粒子の還元析出が一挙に生じて、短時間で還元反応が終了し、発生した核同士の凝集が生じ難いため、分散性が向上すると考えられる。したがって、還元剤の添加時間が短いほど好ましく、例えば、還元剤を100当量/分以上の速さで添加してもよく、また、還元の際には、より短時間で反応が終了するように反応液を攪拌するのが好ましい。
分散剤としては、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属化合物、キレート剤、高分子分散剤などを使用することができる。脂肪酸の例としては、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などを挙げることができる。脂肪酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、スズ、ストロンチウム、ジルコニウム、銀、銅などの金属と脂肪酸が塩を形成したものを挙げることができる。界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩やポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、脂肪族4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤などを挙げることができる。有機金属化合物の例としては、アセチルアセトントリブトキシジルコニウム、クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチルスズオキサイド、ジメチル亜鉛、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリエチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、モノブチルスズオキサイド、テトライソシアネートシラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、ポリメトキシシロキサン、モノメチルトリイソシアネートシラン、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを挙げることができる。キレート剤の例としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,4−チアトリアゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3,5−チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾールおよびベンゾトリアゾールとこれらの塩、あるいは、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロアクリル酸、マンデル酸、クエン酸、アスコルビン酸などを挙げることができる。高分子分散剤の例としては、ペプチド、ゼラチン、コラーゲンペプチド、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸などを挙げることができる。
上記の分散剤として、疎水性分散剤を使用するのが好ましく、脂肪酸からなる分散剤を使用するのが好ましい。この脂肪酸からなる分散剤として、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる分散剤を使用するのが好ましい。なお、これらの炭素数が大きい脂肪酸からなる分散剤で表面を被覆した銀粉を生成した後に、これらの脂肪酸よりも炭素数が小さい脂肪酸とともに銀粉を溶媒に溶解させて混合することにより、銀粉の表面の炭素数が大きい脂肪酸を炭素数が小さい脂肪酸に置換してもよい。
得られた銀含有スラリーをフィルタープレスなどによって濾過し、水洗することによって、銀に対して1〜200質量%の水を含み、流動性がほとんどない塊状のケーキを得る。このケーキの乾燥減量は、好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下である。
このようにして得られたケーキを(加熱しないで)室温で脱水して脱水粉を得る。この脱水(室温で乾燥)により水分量が減少するが、後工程としての解砕を行う際に支障がない程度に脱水するのが好ましい。この脱水は、強制循環式大気乾燥機、真空乾燥機、気流乾燥装置などの乾燥機によって行うことができ、真空乾燥機によって行うのが好ましい。
このようにして得られた脱水粉を室温で解砕して解砕粉を得る。この解砕により水分量がさらに減少し、解砕粉の乾燥減量は、好ましくは1〜6.5%、さらに好ましくは2〜5%になる。このように室温で脱水して得られた脱水粉を室温で解砕することにより、完全には乾燥していない解砕粉を得ることができる。この解砕処理は、コーヒーミルなどの攪拌機によって行うことができる。また、この解砕処理として、粒子を機械的に流動化させることができる装置(例えば、ヘンシェルミキサ)に銀粒子を投入して、粒子同士を機械的に衝突させることによって、粒子表面の凹凸や角ばった部分を滑らかにする表面平滑化処理を行ってもよい。なお、真空ヘンシェルミキサなどの真空攪拌機を使用して、上記のケーキの脱水と解砕を同時に行って、上記のケーキから解砕粉を得てもよい。
このようにして得られた解砕粉を室温で分級して銀粉が得られる。この分級は、例えば、ジェットミルなどの高圧気流による衝突粉砕装置と風力分級機を組み合わせて行うことができる。この分級により水分量がさらに減少し、分級後の銀粉の乾燥減量は、好ましくは0.01%未満になり、通常の(ほぼ完全に)乾燥した銀粉と同様の銀粉が得られる。このようにケーキを室温で脱水して得られた脱水粉を室温で解砕し、室温で分級することにより、ケーキを加熱して乾燥して得られた銀粉とほぼ同じ乾燥減量の銀粉を得ることができるので、室温における分級が最終乾燥工程としての役割を果たしている。また、この分級後の銀粉のカールフィッシャー法による水分量は、好ましくは5〜40ppmであり、さらに好ましくは8〜38ppmである。この分級後の銀粉のカールフィッシャー法による水分量は、銀含有スラリーを濾過することにより得られたケーキを加熱して乾燥して得られた銀粉の水分量より多くなっている。また、この銀粉の表面水分量は、好ましくは0.4〜2.9分子/nm2であり、さらに好ましくは0.5〜2.5分子/nm2である。この銀粉の表面水分量(銀粉の表面にある分散剤の官能基と水分子との結合による銀粉の表面の水分子の吸着量)は、銀含有スラリーを濾過することにより得られたケーキを加熱して乾燥して得られた銀粉の水分量とは異なっている。
なお、上記の脱水、濾過、解砕および分級を行う温度は、室温であり、0℃より高く40℃より低い温度であればよいが、5〜35℃の温度であるのが好ましい。
このようにして銀粉を製造すると、銀粒子を析出させた後で余分な熱を加えずに段階的に乾燥させるので、銀粉の製造コストを低減することができる。
上述した銀粉の製造方法の実施の形態により、カールフィッシャー法による水分量が5〜40ppm、好ましくは8〜38ppmであり、結晶子径が30.0〜31.5nmの銀粉を製造することができる。この銀粉の表面水分量は、好ましくは0.4〜2.9分子/nm2、さらに好ましくは0.5〜2.5分子/nm2である。
この銀粉のレーザー回折法による平均粒径は、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。レーザー回折法による平均粒径が0.1μmより小さいと、ファインライン化への対応は可能であるが、粒子の活性が高く、銀粉を焼成型ペーストに使用する場合に500℃以上で焼成するには適さない。一方、レーザー回折法による平均粒径が5μmより大きくなると分散性が劣ることになり、やはりファインライン化への対応が難しくなる。
この銀粉のBET比表面積は、好ましくは0.1〜5m/g、さらに好ましくは0.1〜2m/gである。BET比表面積が5m/gを超えると、ペーストの粘度が高過ぎて、印刷性などが悪くなる。一方、BET比表面積が0.1m/g未満であると、粒子が大き過ぎて、ファインライン化への対応が難しくなる。
この銀粉をペレット状にして大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際に、熱膨張率のピーク値の温度における熱膨張のピーク値が+0.4%以下であるのが好ましい。
このような銀粉を導電性ペーストに使用して導電膜を作製すると、導電膜の体積抵抗率を従来よりも低くすることができ、その導電性ペーストを太陽電池に使用した場合に、太陽電池の発電効率を向上させることができる。
以下、本発明による銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
銀イオン12g/Lを含む硝酸銀水溶液3600mLに、25質量%のアンモニア水180mLと、75g/Lの水酸化ナトリウム水溶液16mLを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。この銀アンミン錯塩水溶液の液温を40℃とし、37質量%のホルマリン水溶液192mLを加えて、銀粒子を析出させた。ホルマリン水溶液の添加が終了した後、銀の量に対してステアリン酸として0.2質量%のステアリン酸エマルジョンを添加して、得られた銀含有スラリーを減圧濾過し、水洗し、ケーキを得た。このケーキの乾燥減量を求めたところ、9.7%であった。
次に、得られたケーキのうち47gを、内容積27Lの真空乾燥機によって室温(25℃)で3時間脱水し、脱水粉42gを得た。
次に、得られた脱水粉(脱水後の水分を含む粉末)をコーヒーミルにより室温で1分間解砕し、解砕粉40gを得た。この解砕粉の乾燥減量を求めたところ、4.5%であった。
次に、得られた解砕粉をジェットミルにより室温で分級し、所望の粒径の銀粉を得た。この銀粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。
また、得られた銀粉中の水分量を測定するとともに、銀粉の表面水分量を算出した。
銀粉中の水分量は、電量滴定方式自動水分測定装置(三菱化学株式会社製のCA−100(気化装置VA−100)を使用してカールフィッシャー法で測定した。その結果、銀粉中の水分量は35.1ppmであった。
銀粉の表面水分量は、電量滴定方式自動水分測定装置(三菱化学株式会社製のCA−100(気化装置VA−100))を使用して、気化温度100℃で銀粉試料1gから出た水分量(ppm)を測定し、表面水分量(HO分子/nm)=銀粉試料1gから出た水分量(ppm)÷10÷18.0×(6.02×1023)÷BET比表面積(m/g)×1018から算出した。その結果、銀粉の表面水分量は2.19分子/nmであった。
また、得られた銀粉について、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)、累積50質量%粒径(平均粒径D50)、累積90質量%粒径(D90)、最大粒径(Dmax)を求めるとともに、BET比表面積、タップ密度、熱膨張率および結晶子径を求めた。
レーザー回折法による銀粉の累積10質量%粒径(D10)、累積50質量%粒径(平均粒径D50)、累積90質量%粒径(D90)、最大粒径(Dmax)は、銀粉試料0.3gをイソプロピルアルコール30mLに加え、出力50Wの超音波洗浄器により5分間分散させ、マクロトラック粒度分布測定装置(ハネウエル(Honeywell)−日機装社製のマクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA(X−100))を使用して測定した。その結果、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)は1.2μm、累積50質量%粒径(平均粒径D50)は1.9μm、累積90質量%粒径(D90)は3.1μm、最大粒径(Dmax)は7.8μmであった。
銀粉のBET比表面積は、BET比表面積測定器(カウンタークロム(Quanta Chrome)社製のモノソーブ)を使用してBET1点法により測定した。その結果、BET比表面積は0.53m/gであった。
銀粉のタップ密度(TAP)は、銀粉30gを計量して20mLの試験管に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、タップ密度=試料質量(30g)/タッピング後の試料体積(cm)から算出した。その結果、タップ密度は4.9g/cmであった。
銀粉の結晶子径は、Scherrerの式(Dhkl=Kλ/βcosθ)によって求めた。この式中、Dhklは結晶子径の大きさ(hklに垂直な方向の結晶子の大きさ)(オングストローム)、λは測定X線の波長(オングストローム)(Cuターゲット使用時1.5405オングストローム)、βは結晶子の大きさによる回折線の広がり(rad)(半価幅を用いて表す)、θは回折角のブラッグ角(rad)(入射角と反射角が等しいときの角度であり、ピークトップの角度を使用する)、KはScherrer定数(Dやβの定義により異なり、βに半価幅を用いる場合にはK=0.94)である。なお、測定には粉末X線回折装置を使用し、計算には(200)面のピークデータを使用した。その結果、銀粉の結晶子径(Dx)は31.2nmであった。
銀粉の熱膨張率は、直径5mmの金型に入れた銀粉0.15gに50kgfの加重をかけて作製したペレット状の銀粉試料を、膨張率測定装置(NETZSCH JAPAN社製のDILATOMETER)を用いて、大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合の試料の長さを測定して求めた。その結果を図1および図2に示す。図1および図2に示すように、この実施例では、ペレット状の銀粉試料を大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合に、膨張せずに(図1および図2において正(+)にならずに)収縮していくのがわかる。なお、熱膨張率のピーク値の温度(244℃)における熱膨張のピーク値は−0.1%であった。
また、得られた銀粉88重量部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(和光純薬工業株式会社製)と2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(チッソ株式会社製)を重量比1:1で混合した溶媒中に30質量%のエチルセルロース(和光純薬工業株式会社社製)を溶解したビヒクル4重量部と、モノブチルエーテルアセテート(和光純薬工業株式会社製)と2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(チッソ株式会社製)を重量比1:1で混合した有機溶剤2.25重量部と、ガラスフリット(旭硝子株式会社製のASF1898B)1.6重量部と、貫通剤として二酸化テルル(和光純薬工業株式会社製)3.4重量部と、チクソ剤としてステアリン酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)0.25重量部と、分散剤としてオレイン酸(和光純薬工業株式会社製)0.5重量部を電子天秤で計量し、自公転式攪拌脱泡装置(株式会社シンキー社製のAR250)を用いて(公転1400rpm×自転700rpmで)30秒間混合する操作を2回行った後、3本ロールミル(オットハーマン社製のEXAKT80S)を用いてロールギャップ100μmから20μmまで通過させて混練することにより、85質量%の銀を含む銀ペーストを作製した。なお、この混練の際に、上記の有機溶剤をさらに添加(添加後の有機溶剤の量は2.73重量部)して、銀ペーストの粘度を調整した。
この銀ペーストの粘度を粘度計(ブルックフィールド社製のDV−III Ultra)により25℃において1rpmおよび5rpmで測定したところ、それぞれ445(Pa・s)、140(Pa・s)であり、Ti値(チクソ比=5rpmの粘度に対する1rpmの粘度の比(1rpmの粘度/5rpmの粘度))は3.2であった。
次に、得られた銀ペーストを、(1インチサイズの)96%アルミナ基板上に、スクリーン印刷機(マイクロテック社製のMT−320T)とスクリーン版(250メッシュ、線径23μm、乳剤20μm)を使用して、スキージ圧180MPa、印刷速度300mm/secで、幅500μm×長さ37.5mmの線状の塗膜になるようにスクリーン印刷し、熱風式乾燥機により200℃で10分間乾燥した後、小型電気炉(光洋サーモシステム株式会社製のKBF−008H)により、大気中において昇温速度10℃/分で昇温させ、それぞれ温度600℃、780℃、820℃で10分間保持して焼成して導電膜を作製した。
それぞれの温度で焼成した導電膜の膜厚および線幅を接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製のSE−30D)により測定し、ライン抵抗をデジタルマルチメーター(株式会社アドバンテスト製のR6551)により測定して、体積抵抗率(Ω・cm)=ライン抵抗(Ω)×膜厚(cm)×線幅(cm)/線長(cm)により算出したところ、導電膜の膜厚はそれぞれ28μm、19.2μm、17.8μm、線幅はそれぞれ500.7μm、499.7μm、500.4μm、ライン抵抗はそれぞれ0.237Ω、0.120Ω、0.112Ωであり、体積抵抗率はそれぞれ8.86μΩ・cm、3.07μΩ・cm、2.66μΩ・cmであった。
また、シリコンウエハ(株式会社E&M製、80Ω/□、6インチ単結晶)を用意し、このシリコンウエハの裏面にスクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT−320T)によりアルミペースト(東洋アルミニウム株式会社製のアルソーラー14−7021(Pb入り))を長さ154mmのベタパターンで印刷した後に、熱風式乾燥機により200℃で10分間乾燥するとともに、シリコンウエハの表面にスクリーン印刷機(マイクロテック株式会社製のMT−320T)により上記のペーストを幅50μmの100本のフィンガー電極形状と幅1.3mmの3本のバスバー電極形状に印刷した後、熱風式乾燥機により200℃で10分間乾燥し、高速焼成IR炉(日本ガイシ株式会社製の高速焼成試験4室炉)のイン−アウト21秒間としてピーク温度820°で焼成して太陽電池を作製した。
この太陽電池の3本のバスバー電極の膜厚、線幅および断面積を接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製のSE−30D)により測定したところ、膜厚の平均値は14.6μm、線幅の平均値は62.3μm、断面積の平均値は503μmであり、断面のアスペクト比(膜厚/線幅)は0.24であった。なお、フィンガー電極とバスバー電極を形成するために塗布した銀ペーストの重量は0.130gであった。
上記の太陽電池にソーラーシミュレータ(株式会社ワコム電創製)のキセノンランプにより光照射エネルギー100mWcmの疑似太陽光を照射して電池特性試験を行った。その結果、太陽電池の出力端子を短絡させたときに両端子間に流れる電流(短絡電流)Iscは8.590mA、太陽電池の出力端子を開放したときの両端子間の電圧(開放電圧)Vocは0.626V、電流密度Jsc(1cm当たりの短絡電流Isc)は0.0360mA/cm、最大出力Pmax(=Imax・Vmax)を開放電圧Vocと電流密度Jscの積で除した値(曲線因子)FF(=Pmax/Voc・Isc)は76.50、発電効率Eff(最大出力Pmaxを(1cm当たりの)照射光量(W)で除した値に100を乗じた値)は17.22%、直列抵抗Rsは0.0072Ω/□であった。
[実施例2]
減圧濾過に代えて加圧濾過を行った以外は、実施例1と同様の方法により、得られたケーキの乾燥減量を求めたところ、7.0%であった。このケーキのうち47gを、内容積27Lの真空乾燥機によって室温(25℃)で3時間脱水し、脱水粉42gを得た。この脱水粉をコーヒーミルにより室温で1分間解砕し、解砕粉40gを得た。この解砕粉の乾燥減量を求めたところ、2.3%であった。次に、得られた解砕粉をジェットミルにより室温で分級し、所望の粒径の銀粉を得た。この銀粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。
また、銀粉中の水分量を実施例1と同様の方法により測定したところ、8.9ppmであった。また、銀粉の表面水分量を実施例1と同様の方法により算出したところ、0.60分子/nmであった。
また、得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)、累積50質量%粒径(平均粒径D50)、累積90質量%粒径(D90)、最大粒径(Dmax)を求めるとともに、BET比表面積、タップ密度、熱膨張率および結晶子径を求めた。その結果、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)は1.3μm、累積50質量%粒径(平均粒径D50)は2.1μm、累積90質量%粒径(D90)は3.6μm、最大粒径(Dmax)は9.3μmであった。また、BET比表面積は0.49m/g、タップ密度は5.0g/cm、結晶子径は30.3nmであった。また、熱膨張率を図1および図2に示す。図1および図2に示すように、この実施例では、ペレット状の銀粉試料を大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合に、250℃付近で僅かに膨張した(図1および図2において僅かに正(+)になった)後に収縮していくのがわかる。なお、熱膨張率のピーク値の温度(244℃)における熱膨張のピーク値は0.35%であった。
また、得られた銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、85質量%の銀を含む銀ペーストを作製し、この銀ペーストの粘度を実施例1と同様の方法により求めたところ、25℃において1rpmで254(Pa・s)、5rpmで90(Pa・s)であり、25℃で測定した5rpmの粘度に対する1rpmの粘度の比(1rpmの粘度/5rpmの粘度)(Ti値)は2.8であった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その膜厚、線幅およびライン抵抗を測定し、体積抵抗率を算出したところ、導電膜の膜厚はそれぞれ29μm、19.2μm、19.6μm、線幅はそれぞれ499.2μm、500.2μm、499.7μm、ライン抵抗はそれぞれ0.237Ω、0.114Ω、0.103Ωであり、体積抵抗率はそれぞれ9.15μΩ・cm、2.92μΩ・cm、2.69μΩ・cmであった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、太陽電池を作製し、3本のバスバー電極の膜厚、線幅および断面積を測定し、アスペクト比を求めたところ、膜厚の平均値は18.0μm、線幅の平均値は76.9μm、断面積は691μmであり、アスペクト比は0.23であった、なお、各々のバスバー電極を形成するために塗布した銀ペーストの量は0.139gであった。また、この太陽電池の電池特性試験を行ったところ、短絡電流Iscは8.519mA、開放電圧Vocは0.627V、電流密度Jscは0.0357mA/cm、曲線因子FFは77.11、発電効率Effは17.26%、直列抵抗Rsは0.071Ω/□であった。
[比較例1]
実施例1と同様の方法により得られたケーキのうち47gを、内容積27Lの真空乾燥機によって70℃で10時間乾燥し、乾燥粉42gを得た。この乾燥粉をコーヒーミルにより室温で1分間解砕し、解砕粉40gを得た。この解砕粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。次に、得られた解砕粉をジェットミルにより室温で分級し、所望の粒径の銀粉を得た。この銀粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。
また、銀粉中の水分量を実施例1と同様の方法により測定したところ、22.2ppmであった。また、銀粉の表面水分量を実施例1と同様の方法により算出したところ、1.72分子/nmであった。
また、得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)、累積50質量%粒径(平均粒径D50)、累積90質量%粒径(D90)、最大粒径(Dmax)を求めるとともに、BET比表面積、タップ密度、熱膨張率および結晶子径を求めた。その結果、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)は1.1μm、累積50質量%粒径(平均粒径D50)は2.0μm、累積90質量%粒径(D90)は3.1μm、最大粒径(Dmax)は6.5μmであった。また、BET比表面積は0.43m/g、タップ密度は5.2g/cm、結晶子径は31.8nmであった。また、熱膨張率を図1および図2に示す。図1および図2に示すように、この比較例では、実施例1と異なり、ペレット状の銀粉試料を大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合に、250℃付近で膨張した(図1および図2において正(+)になった)後に収縮していくのがわかる。なお、熱膨張率のピーク値の温度(244℃)における熱膨張のピーク値は0.54%であった。
また、得られた銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、85質量%の銀を含む銀ペーストを作製し、この銀ペーストの粘度を実施例1と同様の方法により求めたところ、25℃において1rpmで361(Pa・s)、5rpmで125(Pa・s)であり、25℃で測定した5rpmの粘度に対する1rpmの粘度の比(1rpmの粘度/5rpmの粘度)(Ti値)は2.9であった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その膜厚、線幅およびライン抵抗を測定し、体積抵抗率を算出したところ、導電膜の膜厚はそれぞれ30μm、20.2μm、18.6μm、線幅はそれぞれ486.4μm、499.7μm、500.4μm、ライン抵抗それぞれ0.257Ω、0.120Ω、0.110Ωであり、体積抵抗率はそれぞれ10.03μΩ・cm、3.23μΩ・cm、2.73μΩ・cmであった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、太陽電池を作製し、3本のバスバー電極の膜厚、線幅および断面積を測定し、アスペクト比を求めたところ、膜厚の平均値は15.1μm、線幅の平均値は64.2μm、断面積は574μmであり、アスペクト比は0.24であった。なお、各々のバスバー電極を形成するために塗布した銀ペーストの量は0.139gであった。また、この太陽電池の電池特性試験を行ったところ、短絡電流Iscは8.578mA、開放電圧Vocは0.627V、電流密度Jscは0.0359mA/cm、曲線因子FFは75.49、発電効率Effは17.01%、直列抵抗Rsは0.076Ω/□であった。
[比較例2]
減圧濾過に代えて加圧濾過を行った以外は、比較例1と同様の方法により、得られたケーキの乾燥減量を求めたところ、7.0%であった。このケーキのうち47gを、内容積27Lの真空乾燥機によって70℃で390時間乾燥し、乾燥粉42gを得た。この乾燥粉をコーヒーミルにより室温で1分間解砕し、解砕粉40gを得た。この解砕粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。次に、得られた解砕粉をジェットミルにより室温で分級し、所望の粒径の銀粉を得た。この銀粉の乾燥減量を求めたところ、0.01%未満であった。
また、銀粉中の水分量を実施例1と同様の方法により測定したところ、3.6ppmであった。また、銀粉の表面水分量を実施例1と同様の方法により算出したところ、0.32分子/nmであった。
また、得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)、累積50質量%粒径(平均粒径D50)、累積90質量%粒径(D90)、最大粒径(Dmax)を求めるとともに、BET比表面積、タップ密度、熱膨張率および結晶子径を求めた。その結果、レーザー回折法による累積10質量%粒径(D10)は1.2μm、累積50質量%粒径(平均粒径D50)は2.0μm、累積90質量%粒径(D90)は3.2μm、最大粒径(Dmax)は9.3μmであった。また、BET比表面積は0.37m/g、タップ密度は6.0g/cm、結晶子径は32.2nmであった。また、熱膨張率を図1および図2に示す。図1および図2に示すように、この比較例では、実施例1と異なり、ペレット状の銀粉試料を大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合に、250℃付近で膨張した(図1および図2において正(+)になった)後に収縮していくのがわかる。なお、熱膨張率のピーク値の温度(244℃)における熱膨張のピーク値は0.51%であった。
また、得られた銀粉を用いて、実施例1と同様の方法により、85質量%の銀を含む銀ペーストを作製し、この銀ペーストの粘度を実施例1と同様の方法により求めたところ、25℃において1rpmで325(Pa・s)、5rpmで103(Pa・s)であり、25℃で測定した5rpmの粘度に対する1rpmの粘度の比(1rpmの粘度/5rpmの粘度)(Ti値)は3.2であった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、導電膜を作製し、その膜厚およびライン抵抗を測定し、体積抵抗率を算出したところ、導電膜の膜厚はそれぞれ30μm、24.4μm、22.4μm、線幅はそれぞれ499.5μm、500.2μm、500.6μm、ライン抵抗はそれぞれ0.250Ω、0.110Ω、0.105Ωであり、体積抵抗率はそれぞれ9.99μΩ・cm、3.58μΩ・cm、3.14μΩ・cmであった。
また、得られた銀ペーストを用いて、実施例1と同様の方法により、太陽電池を作製し、3本のバスバー電極の膜厚、線幅および断面積を測定し、アスペクト比を求めたところ、膜厚の平均値は18.2μm、線幅の平均値は75.6μm、断面積は640μmであり、アスペクト比は0.24であった。なお、各々のバスバー電極を形成するために塗布した銀ペーストの量は0.127gであった。また、この太陽電池の電池特性試験を行ったところ、短絡電流Iscは8.535mA、開放電圧Vocは0.626V、電流密度Jscは0.0357mA/cm、曲線因子FFは75.20、発電効率Effは16.81%、直列抵抗Rsは0.080Ω/□であった。
これらの実施例および比較例の結果を表1〜表6に示す。
Figure 0006791652
Figure 0006791652
Figure 0006791652
Figure 0006791652
Figure 0006791652
Figure 0006791652
なお、解砕後(分級前)の銀粉の乾燥減量が0.01%未満の(ほぼ完全に乾燥した)比較例2の銀粉の収率(水分を除く銀粉投入量に対する良品となる銀粉量の割合)が68%に過ぎなかったが、解砕後(分級前)の銀粉の乾燥減量が1〜6.5%の(未だ完全には乾燥していない)実施例2の銀粉の収率は92%と高くなり、実施例2のように、銀含有スラリーから得られたケーキを室温で脱水して得られた脱水粉を室温で解砕して室温で分級することにより、銀粉の収率を高くすることができることがわかった。

Claims (17)

  1. 銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させて得られた銀含有スラリーを濾過することにより得られたケーキを室温で脱水し、室温で解砕して、得られた乾燥減量が1〜6.5%の解砕粉を分級して、乾燥減量が0.01%未満の銀粉を得ることを特徴とする、銀粉の製造方法。
  2. 前記分級を室温で行うことを特徴とする、請求項1に記載の銀粉の製造方法。
  3. 前記室温が0℃より高く40℃より低い温度であることを特徴とする、請求項に記載の銀粉の製造方法。
  4. 前記室温が5〜35℃の温度であることを特徴とする、請求項に記載の銀粉の製造方法。
  5. 前記銀粉のカールフィッシャー法による水分量が5〜40ppmであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  6. 前記解砕により得られた解砕粉の乾燥減量が1〜6.5%であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  7. 前記ケーキの乾燥減量が15%以下であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  8. 前記銀粒子の還元析出前または還元析出後あるいは還元析出中に分散剤を添加することを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  9. 前記分散剤が疎水性分散剤であることを特徴とする、請求項に記載の銀粉の製造方法。
  10. 前記分散剤が脂肪酸からなる分散剤であることを特徴とする、請求項またはに記載の銀粉の製造方法。
  11. 前記分散剤がステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる分散剤であることを特徴とする、請求項乃至10のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  12. カールフィッシャー法による水分量が5〜40ppmであり、結晶子径が30.0〜31.5nmであることを特徴とする、銀粉。
  13. 前記銀粉の表面水分量が0.4〜2.9分子/nm2であることを特徴とする、請求項12に記載の銀粉。
  14. 前記銀粉のレーザー回折法による平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする、請求項12または13に記載の銀粉。
  15. 前記銀粉のBET比表面積が0.1〜5m/gであることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれかに記載の銀粉。
  16. 前記銀粉0.15gを直径5mmの金型に入れ、その銀粉に50kgfの加重をかけることにより作製したペレット状の銀粉試料を、大気雰囲気中において室温から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の熱膨張率のピーク値の温度における熱膨張のピーク値が+0.4%以下であることを特徴とする、請求項12乃至15のいずれかに記載の銀粉。
  17. 請求項12乃至16のいずれかに記載の銀粉を導体として用いたことを特徴とする、導電性ペースト。
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