JP6787331B2 - 酸ハライド溶液の製造方法、混合溶液、及びモノエステル化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
このモノエステル化合物は、通常、ジカルボン酸クロライドとヒドロキシ化合物とを反応させて合成される。
また、ジカルボン酸クロライドの製造方法としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、テトラアルキルアンモニウム塩等の反応触媒の存在下、ジカルボン酸化合物に塩化チオニル等の塩素化剤を作用させる方法(酸ハライド法)が知られている。
例えば、特許文献2には、テトラアルキルアンモニウム塩の存在下、5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸に塩化チオニルを反応させることにより、5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸二塩化物を製造する方法が記載されている。
また、特許文献3には、酸ハライド法により、所定の構造を有するエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を製造する方法が記載されている。そして、特許文献3には、ジカルボン酸に塩化チオニルを反応させるに際し、触媒として、N,N−ジメチルホルムアミドやピリジンを反応系に添加してもよいことが記載されている。
さらに、非特許文献1には、所定の構造を有するジカルボン酸に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドの存在下、塩化チオニルを反応させることにより、ジカルボン酸の二塩化物を製造する方法が記載されている。
しかしながら、少量スケールで目的物を製造する場合は、再結晶法等の精製方法が採用できるが、工業的生産規模で製造する場合には、再結晶法等の精製方法は煩雑であり、工業的に有利な製造方法とはいえない。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、重合性液晶化合物を工業的に有利に製造することを可能とする、酸ハライド溶液の製造方法、ジカルボン酸ハライドを含有する混合溶液、及び、前記酸ハライド溶液を用いるモノエステル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
得られた前記非水混和性有機溶媒溶液を濃縮する工程(β)、
を含むことを特徴とする、酸ハライド溶液の製造方法。
下記式(III−1):
下記式(I):
前記式(III−1)で示されるジカルボン酸クロライド100質量部に対して0.1質量部以上3質量部以下の塩酸と、
を含有する混合溶液。
本発明の酸ハライド溶液の製造方法は、非水混和性有機溶媒中において、前記式(I)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩(以下、「テトラアルキルアンモニウム塩(I)」ということがある。)の存在下、ハロゲン化剤、及び、前記式(II)で表されるジカルボン酸化合物(以下、「ジカルボン酸化合物(II)」ということがある。)を反応させることにより、前記式(III)で表される酸ハライド化合物(以下、「酸ハライド化合物(III)」ということがある。)を含む非水混和性有機溶媒溶液を得る工程(α)と、工程(α)で得られた非水混和性有機溶媒溶液を濃縮する工程(β)とを含むことを特徴とする。以下、各工程を順に説明する。
工程(α)は、非水混和性有機溶媒中において、テトラアルキルアンモニウム塩(I)の存在下、ジカルボン酸化合物(II)とハロゲン化剤とを反応させることにより、酸ハライド化合物(III)を含む非水混和性有機溶媒溶液を得る工程である。
本発明に用いるジカルボン酸化合物(II)は、前記式(II)で表されるジカルボン酸である。前記式(II)中、nは0又は1を表し、1であることが好ましい。
本発明に用いる非水混和性有機溶媒は、ジカルボン酸化合物(II)及びジカルボン酸化合物(II)に対応する酸ハライド化合物(III)を溶解し、水と混和しない有機溶媒であれば、特に制限されない。水と混和しない有機溶媒としては、25℃における水に対する溶解度が10g/L以下である有機溶媒が挙げられる。
これらの溶媒は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、シクロペンチルメチルエーテル、クロロホルム、トルエンがより好ましい。
このような有機溶媒を用いることにより、後の洗浄工程(δ)の操作を容易とし、目的とするモノエステル化合物を効率よく得ることができる。
本発明においては、ジカルボン酸化合物(II)とハロゲン化剤とを反応させてジカルボン酸化合物(II)に対応するジカルボン酸ハライドを得るに際し、反応触媒として、テトラアルキルアンモニウム塩(I)を用いる。
反応触媒として、テトラアルキルアンモニウム塩(I)を用いることで、より少ない触媒使用量、より低い反応温度、より短時間で、かつ、より収率よく目的とするジカルボン酸ハライドを得ることができる。また、酸ハライド溶液をそのまま次のエステル化反応の製造原料として使用する場合において、テトラアルキルアンモニウム塩(I)は、後工程のエステル化反応に悪影響(エステル化反応の収率を低下させる等)を及ぼすことが少ない。
これらの中でも、汎用性の観点から、A−としては、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンが特に好ましい。
R1、R2、R3及びR4の、無置換の又は置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基、好ましくは炭素数1以上20以下のアルキル基、より好ましくは炭素数1以上18以下のアルキル基が挙げられる。また、R1、R2、R3及びR4のアルキル基は、直鎖構造を有するものであっても、分岐構造を有するものであってもよい。
R1、R2、R3及びR4の、無置換の又は置換基を有するアルキル基のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、セチル基等が挙げられる。
ただし、R1、R2、R3及びR4の炭素原子数の総和は、4以上100以下、好ましくは4以上80以下、より好ましくは4以上50以下、特に好ましくは4以上30以下である。
R1、R2、R3及びR4の、置換基を有するアルキル基の具体例としては、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、フェネチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
テトラアルキルアンモニウム塩(I)は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるハロゲン化剤としては、ジカルボン酸化合物(II)を対応する酸ハライド化合物(III)に変換するものであれば、特に限定されない。
これらのハロゲン化剤は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、汎用性の観点から、塩化チオニル、塩化オキザリル、塩化スルフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
反応温度は、通常0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下である。
反応時間は、基質の種類、反応規模等にもよるが、通常、数分から8時間である。
工程(α)で生成する酸ハライド化合物(III)は、前記式(III)で表されるジカルボン酸ハライドである。前記式(III)中、nは0又は1を表し、1であることが好ましい。また、前記式(III)中、Xはハロゲン原子を表し、塩素原子であることが好ましい。
なお、酸ハライド化合物(III)は、ジカルボン酸化合物(II)に対応するものである。従って、通常、式(II)中のnと式(III)中のnとは等しい。また、Xは、ハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
工程(β)は、工程(α)で得られた非水混和性有機溶媒溶液を濃縮する工程である。工程(β)を設けることにより、反応系内に残存する、ハロゲン化剤由来の酸成分(SO2、HCl、SOCl2等の酸成分)を除去することができる。
また、濃縮操作は、常圧(0.1MPa程度)下で行っても、減圧下で行ってもよい。効率よく酸成分を除去することができる観点から、減圧下で行うことが好ましい。減圧下で濃縮を行う場合、減圧度は、通常、10mmHg以上500mmHg以下である。
得られる濃縮液は、酸ハライド化合物(III)を含む酸ハライド溶液であり、通常、非水混和性有機溶媒と、酸ハライド化合物(III)と、テトラアルキルアンモニウム塩(I)と、ハロゲン化剤由来の酸成分とを含み、任意に未反応のハロゲン化剤を更に含有する。そして、酸ハライド溶液中のハロゲン化剤由来の酸成分の量は、通常、酸ハライド化合物(III)100質量部当たり0.1質量部以上3質量部以下である。
この酸ハライド溶液は、後述するように、ヒドロキシ化合物とのエステル化反応によって、モノエステル化合物を製造する製造原料として有用である。
本発明の混合溶液は、上述した酸ハライド溶液の製造方法により得られた、非水混和性有機溶媒溶液の濃縮液であって、前記酸ハライド化合物(III)が前記式(III−1)で表されるジカルボン酸クロライド(以下、「ジカルボン酸クロライド(III−1)」ということがある。)であり、酸成分としての塩酸の含有量が少ない溶液である。
即ち、本発明の混合溶液は、非水混和性有機溶媒と、ジカルボン酸クロライド(III−1)と、テトラアルキルアンモニウム塩(I)と、少量の塩酸とを含む。
また、本発明の混合溶液においては、前記テトラアルキルアンモニウム塩(I)が、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、及びテトラブチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
更に、本発明の混合溶液においては、ジカルボン酸クロライド(III−1)が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドであるのが好ましく、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドであるのが特に好ましい。
また、混合溶液中の塩酸の量は、ジカルボン酸クロライド(III−1)100質量部に対して、通常0.1質量部以上3質量部以下である。なお、混合溶液中における塩酸の量は、実施例に記載された方法により測定することができる。
本発明の混合溶液は、後述するモノエステル化合物の製造原料として特に有用である。
本発明のモノエステル化合物の製造方法は、上記した本発明の酸ハライド溶液の製造方法により得られた酸ハライド溶液に、式(IV):R6OH(R6は有機基を表す。)で表されるヒドロキシ化合物(以下、「ヒドロキシ化合物(IV)」ということがある。)、及び、塩基を添加する工程(γ)を有する。
R6の有機基の炭素数は、特に限定されないが、1以上30以下が好ましい。
有機基としては、例えば、無置換の又は置換基を有する、炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数2以上30以下のアルケニル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数2以上30以下のアルキニル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数3以上30以下のシクロアルキル基等の、無置換の又は置換基を有する脂肪族炭化水素基;無置換の又は置換基を有する、炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、無置換の又は置換基を有する、炭素数1以上30以下の芳香族複素環基;が挙げられる。
また、mは、1以上20以下の整数を表し、1以上12以下の整数が好ましく、2以上10以下の整数がさらに好ましい。
これらの中でも、塩基としては、収率よく目的物が得られる観点から、有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンがより好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
反応温度は、通常0℃以上80℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下、より好ましくは、0℃以上30℃以下である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数時間である。
工程(γ)により得られた反応液中には、通常、目的物の他に、原料である酸ハライド化合物(III)由来物(未反応の酸ハライド化合物(III)が加水分解して生成したジカルボン酸化合物(II))が含まれるが、この工程(δ)を設けることにより、前記反応液中のジカルボン酸化合物(II)の含有量を低減することができる。その結果、後の工程の反応における、ジカルボン酸化合物(II)による悪影響(副反応の発生による収率の低下)を防ぐことができる。
これらの中でも、本発明の効果をより得られる観点から、酢酸と酢酸ナトリウムの混合系の緩衝溶液、又は、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムの混合系の緩衝溶液であるのが好ましい。
いずれの反応においても、反応温度は、通常0℃以上80℃以下、好ましくは5℃以上50℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下である。反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数時間である。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸8.65g(50.2mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME86.5gとを加えた。そこへ、テトラアルキルアンモニウム塩(I)としてのベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)を加えた。その後、23℃にて、ハロゲン化剤としての塩化チオニル12.54g(105mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を50℃に加温して、1時間さらに攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80%(69g)を抜き出して、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(A)とする。
実施例1において、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)をトリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)126mg(0.25mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(B)とする。
実施例1において、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)をメチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物(商品名:Adogen)126mg(0.25mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(C)とする。
実施例1において、非水混和性有機溶媒をCPME86.5gからクロロホルム100gに替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドがクロロホルムに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(D)とする。
実施例2において、非水混和性有機溶媒をCPME86.5gからクロロホルム100gに替えた以外は、実施例2と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライドがクロロホルムに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(E)とする。
実施例3において、非水混和性有機溶媒をCPME86.5gからクロロホルム100gに替えた以外は、実施例3と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物がクロロホルムに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(F)とする。
実施例1において、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)をトリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)2.52g(5.0mmol)に替え、反応時間を30分に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(G)とする。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、実施例1で製造した酸クロリド溶液(A)を加えたのち、CPME235gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。そこへ、ヒドロキシ化合物(IV)としての4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)12.64g(47.83mmol)を加えた。次いで、塩基としてのトリエチルアミン5.08g(50.2mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を0℃にて、そのまま1時間さらに攪拌した。そして、以下に示す反応により、モノエステルおよびジエステルを生成させた。
その後、蒸留水32gで1回洗浄を行った。得られた有機層にn−ヘキサン320mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をn−ヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として混合物1を15.22g得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析を行い、検量線にてモノエステルとジエステルの定量を行ったところ、目的物であるモノエステルが10.55g(25.22mmol)、ジエステルが4.67g(7.02mmol)含まれていることが分かった。
実施例8において、実施例1で製造した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例2で製造した酸クロリド溶液(B)を用いた以外は、実施例8と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.45g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.69g(25.54mmol)、ジエステルが、4.76g(7.17mmol)含まれていることが分かった。
実施例8において、実施例1で製造した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例3で製造した酸クロリド溶液(C)を用いた以外は、実施例8と同様の操作を行った。その結果、白色固体を14.93g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.31g(24.63mmol)、ジエステルが、4.62g(6.70mmol)含まれていることが分かった。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、実施例4で製造した酸クロリド溶液(D)を加えたのち、クロロホルム235gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。そこへ、ヒドロキシ化合物(IV)としての4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)12.64g(47.83mmol)を加えた。次いで、塩基としてのトリエチルアミン5.08g(50.2mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を0℃にて、そのまま1時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、蒸留水32gを加えて25℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層について、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムの混合物の水溶液からなる緩衝溶液(pH:5.5)53gで3回洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。
その後、蒸留水32gで1回洗浄を行った。得られた有機層にn−ヘキサン320mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をn−ヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として混合物4を15.34g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.20g(24.36mmol)、ジエステルが5.14g(7.74mmol)含まれていることが分かった。
実施例11において実施例4で製造した酸クロリド溶液(D)に替えて、実施例5で製造した酸クロリド溶液(E)を用いた以外は、実施例11と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.41g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.21g(24.40mmol)、ジエステルが5.20g(7.83mmol)含まれていることが分かった。
実施例11において実施例4で製造した酸クロリド溶液(D)に替えて、実施例6で製造した酸クロリド溶液(F)を用いた以外は、実施例11と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.51g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.34g(24.71mmol)、ジエステルが5.17g(7.78mmol)含まれていることが分かった。
実施例8において実施例1で製造した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例7で製造した酸クロリド溶液(G)を用い、トリエチルアミン5.08g(50.2mmol)をトリエチルアミン6.10g(60.2mmol)に替えた以外は、実施例8と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.14g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.35g(24.72mmol)、ジエステルが4.79g(7.21mmol)含まれていることが分かった。
実施例1において、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)をベンジルトリエチルアンモニウムクロライド57mg(0.25mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(H)とする。
実施例15において、非水混和性有機溶媒をCPME86.5gからクロロホルム100gに替えた以外は、実施例15と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがクロロホルムに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(I)とする。
実施例8において、実施例1で製造した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例15で製造した酸クロリド溶液(H)を用いた以外は、実施例8と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.22g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.51g(25.11mmol)、ジエステルが4.71g(7.09mmol)含まれていることが分かった。
実施例11において、実施例4で製造した酸クロリド溶液(D)に替えて、実施例16で製造した酸クロリド溶液(I)を用いた以外は、実施例11と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.36g得た。実施例11と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.23g(24.45mmol)、ジエステルが5.13g(7.72mmol)含まれていることが分かった。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸8.65g(50.2mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME86.5gと、反応触媒(活性化剤)としてのN,N−ジメチルホルムアミド18mg(0.25mmol)とを加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル12.54g(105mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を50℃に加温して20時間さらに攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80%(69g)を抜き出して、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(α)とする。
比較例1において、N,N−ジメチルホルムアミド18mg(0.25mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド367mg(5.0mmol)に替え、反応時間を5時間に替えた以外は、比較例1と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(β)とする。
比較例2において、非水混和性有機溶媒をCPME86.5gからクロロホルム100gに替えた以外は、比較例2と同様の操作を行い、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、N,N−ジメチルホルムアミドがクロロホルムに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(γ)とする。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、比較例1で製造した酸クロリド溶液(α)を加えたのち、CPME235gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。そこへ、ヒドロキシ化合物(IV)としての4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)12.64g(47.83mmol)を加えた。次いで、塩基としてのトリエチルアミン5.08g(50.2mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を0℃にて、そのまま1時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、蒸留水32gを加えて25℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層について、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムの混合物の水溶液からなる緩衝溶液(pH:5.5)53gで3回洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。
その後、蒸留水32gで1回洗浄を行った。得られた有機層にn−ヘキサン320mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をn−ヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として混合物8を14.55g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが9.81g(23.45mmol)、ジエステルが4.73g(7.12mmol)含まれていることが分かった。
比較例4において、比較例1で製造した酸クロリド溶液(α)に替えて、比較例2で製造した酸クロリド溶液(β)を用い、トリエチルアミン5.08g(50.2mmol)を、トリエチルアミン6.10g(60.2mmol)に替えた以外は、比較例4と同様の操作を行った。その結果、白色固体を11.47g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが7.51g(17.95mmol)、ジエステルが3.96g(5.96mmol)含まれていることが分かった。
比較例4において、比較例1で製造した酸クロリド溶液(α)に替えて、比較例3で製造した酸クロリド溶液(γ)を用い、CPMEに替えてクロロホルムを用い、トリエチルアミン5.08g(50.2mmol)を、トリエチルアミン6.10g(60.2mmol)に替えた以外は、比較例4と同様の操作を行った。その結果、白色固体を11.35g得た。実施例8と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが7.41g(17.71mmol)、ジエステルが3.94g(5.93mmol)含まれていることが分かった。
なお、表中、「活性化剤」は酸クロライド化反応の反応触媒を指し、「活性化剤の添加量」はジカルボン酸化合物の量に対する比(モル比)を指し、「反応溶媒」は非水混和性有機溶媒を指す。また、「酸クロ溶液」は酸クロリド溶液の略語である。
また、表2から、次工程のエステル化反応においても、テトラアルキルアンモニウム塩を使用して製造された酸クロリド溶液は、良好な反応成績を与えるが、N,N−ジメチルホルムアミドを使用して製造された酸クロリド溶液を用いた場合には、転化率が低くなり、反応が完結しないだけでなく、収量が低下する傾向があることが分かる。これは、反応系内に副生成物の生成が多く見られることに起因する。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸8.65g(50.2mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME86.5gとを加えた。そこへ、テトラアルキルアンモニウム塩(I)としてのベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)を加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル12.54g(105mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を50℃に加温して、1時間さらに攪拌した。反応終了後、メタノール16g(500mmol)を加えて1時間撹拌した。その後、水酸化ナトリウムを用いた滴定により塩酸ガスの含量を測定したところ、生成したtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド100質量部に対して25.5質量部の塩酸ガスが残存していた。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸8.65g(50.2mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME86.5gとを加えた。そこへ、テトラアルキルアンモニウム塩(I)としてのベンジルトリメチルアンモニウムクロライド47mg(0.25mmol)を加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル12.54g(105mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を50℃に加温して、1時間さらに攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80%(69g)を抜き出して、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(A)とする。この酸クロリド溶液(A)にメタノール16g(500mmol)を加えて1時間撹拌した。その後、水酸化ナトリウムを用いた滴定により塩酸ガスの含量を測定したところ、生成したtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド100質量部に対して1.8質量部の塩酸ガスが残存していた。
Claims (10)
- 非水混和性有機溶媒中、下記式(I):
得られた前記酸ハライド溶液に、式(IV):R 6 OH(式(IV)中、R 6 は、有機基を表す。)で示されるヒドロキシ化合物、及び、塩基を添加する工程(γ)を含む、下記式(V):
- 前記ハロゲン化剤が、塩化チオニル、塩化オキザリル、塩化スルフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記テトラアルキルアンモニウム塩が、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、及びテトラブチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記工程(γ)の後に、前記工程(γ)で得られた反応液を弱酸性の緩衝溶液にて洗浄する工程(δ)をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記弱酸性の緩衝溶液が、pHが5.0以上6.0以下の水溶液である、請求項6に記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記弱酸性の緩衝溶液が、酢酸と酢酸ナトリウムとの混合物の水溶液、及び/又は、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムとの混合物の水溶液である、請求項6又は7に記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記非水混和性有機溶媒が、シクロペンチルメチルエーテル又はクロロホルムである、請求項1〜8のいずれかに記載のモノエステル化合物の製造方法。
- 前記工程(β)では、前記非水混和性有機溶媒溶液中の溶媒量が、質量比で、前記工程(α)の開始時の溶媒量の1/10以上4/5以下となるまで前記非水混和性有機溶媒溶液を濃縮する、請求項1〜9のいずれかに記載のモノエステル化合物の製造方法。
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