JP6787217B2 - ボールねじ装置の組立方法 - Google Patents
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Description
先ず、ナットの内側に仮軸を挿入した状態で、ナットの内周面に形成されたナット側螺旋溝にボールを組み込む。その後、仮軸とねじ軸とを入れ替えるように、ねじ軸をナットの内側に挿入する。
すなわち、第1の方法では、ねじ軸とナットとを互いに押し付けた状態で、ねじ軸側螺旋溝とナット側螺旋溝とがボールを介して噛み合うまで、ねじ軸又はナットを、螺入方向である、ねじ軸側螺旋溝の巻方向と、同方向に回転させる。なお、ねじ軸とナットとでボールねじ装置を構成する場合、ねじ軸に設けられるねじ軸側螺旋溝の巻方向と、ナットに設けられるナット側螺旋溝の巻方向とは、互いに同じになる。
第2の方法では、ねじ軸又はナットを、ねじ軸側螺旋溝の巻方向とは逆方向に回転させ、軸方向に移動するナット又はねじ軸の軸方向位置(絶対位置)を測定する。そして、軸方向に移動するナット又はねじ軸の軸方向位置が、それ以前に行った別のボールねじ装置の組立時に噛み合い位相になった軸方向位置と一致したことを条件に、現在組み立てているボールねじ装置に関して、ねじ軸側螺旋溝とナット側螺旋溝との位相が噛み合い位相になったと判定する。その後、ねじ軸又はナットを、ねじ軸側螺旋溝の巻方向と同方向に回転させる。
特開2006−315097号公報及び特開平2−224934号公報には、ボールを介さずに雄ねじと雌ねじとを直接螺合させる技術に関するものであるが、雄ねじと雌ねじを押圧状態で逆転させ、逆転状態でこれらの螺合状態を検出する、上述した第2の方法と似た方法が記載されている。
特に、本発明のボールねじ装置の組立方法は、
内周面にナット側螺旋溝を有する前記ナットの内側に仮軸を配置した状態で、前記ナット側螺旋溝に前記複数のボールを組み込み、
前記ナット側螺旋溝内に配置された前記複数のボールのうち、前記ナットの軸方向に関して端部に位置するボールと、外周面にねじ軸側螺旋溝を有する前記ねじ軸のうち、該ねじ軸の軸方向に関して前記ねじ軸側螺旋溝の端部に位置する山部とを接触させる。
そして、前記ねじ軸と前記ナットとの距離を測定しながら、前記ねじ軸と前記ナットとを、前記ねじ軸側螺旋溝の巻方向とは逆方向に相対回転させ、前記距離が減少しはじめてからの減少量が所定の閾値を超えたことを条件に、前記ねじ軸と前記ナットとを、前記ねじ軸側螺旋溝の巻方向と同方向に相対回転させて、前記ねじ軸側螺旋溝内に前記ボールを進入させることを特徴とする。
また、この場合には、前記ねじ軸に対する前記ナットの上下方向に関する距離を測定しながら、前記ナットは回転させずに、前記ねじ軸のみを回転させることができる。
あるいは、前記ねじ軸に対する前記ナットの上下方向に関する距離を測定しながら、前記ねじ軸は回転させずに、前記ナットのみを回転させることができる。
また、本発明を実施する場合には、前記ナット側螺旋溝内に配置された前記複数のボールのうち、上下方向に関して下方側端部に位置するボールと、前記ねじ軸のうち、上下方向に関して前記ねじ軸側螺旋溝の上方側端部に位置する山部とを接触させた後、前記ねじ軸により前記ボールを介して前記ナットを、少なくとも前記ねじ軸側螺旋溝の1リード分の長さだけ押し上げることができる。
さらにこれらの場合には、前記ナットを、上下方向に関して移動可能にフローティング支持して行うこともできる。
本発明を実施するには、たとえば、前記閾値を、前記ねじ軸側螺旋溝の1リード分の長さ未満とすることができる。
実施の形態の第1例について、図1〜図9を用いて説明する。先ず、図1〜図3を用いて、本例の組立方法の対象となるボールねじ装置1の構成を説明した後、図4〜図9を用いて、ボールねじ装置1の組立方法を説明する。
ボールねじ装置1は、ねじ軸2と、ナット3と、複数のボール4と、ボール戻し部材である循環こま5とを備えている。
次に、上述のような構成を有するボールねじ装置1の組立方法について説明する。
本例のボールねじ装置1の組立方法では、従来から知られた方法と同様に、ナット3の内側に仮軸11を挿入した状態で、ナット側螺旋溝7にボール4を組み込む、玉詰め工程を行い、その後、仮軸11とねじ軸2とを入れ替えるように、ねじ軸2をナット3の内側に挿入する、ねじ軸挿入工程を行う。以下、工程ごとに詳しく説明する。
玉詰め工程は、図4に示すような、仮軸11を使用して行う。仮軸11は、ナット3へのボール4の組み込み時に、ねじ軸2の代わりに、ナット3の内側に挿入する円柱状又は円筒状の部材である。仮軸11は、ねじ軸2の外周面に形成されたねじ軸側螺旋溝6の溝底径よりも僅かに小さい外径を有している。仮軸11の先端部には、円すい状の突起部12が形成されている。これに対し、仮軸11の基端部には、軸方向に凹んだ嵌合凹部13が形成されている。このような構成を有する仮軸11を、突起部12が上側に、嵌合凹部13が下側にそれぞれ向くようにして、支持台15にセットする。
玉詰め工程により、ボール4をナット側螺旋溝7と仮軸11の外周面との間に組み込んだ後に、ナット3の内側に、仮軸11に代えてねじ軸2を挿入する。本例では、このようなねじ軸挿入工程を、図5〜図7に示したような、組立装置17を使用して行う。
図9の線分Aは、ねじ軸2の回転量が増えるほど、ねじ軸2とナット3との距離が大きくなる範囲であり、図8(A)に示した、ボール4aが山部6bに沿って転動し上昇する際に測定される。線分Bは、ねじ軸2の回転量が増えても、ねじ軸2とナット3との距離が変化しない範囲であり、図8(B)に示した、ボール4aが、山部6bの平坦面状の先端面40を転動する際に測定される。線分Cは、ねじ軸2の回転量が増えても、ねじ軸2とナット3との距離が小さくなる範囲であり、図8(C)及び図8(D)に示した、ボール4aが下方の山部6bに向けて落下する際に測定される。なお、線分Cが現れたのち、ねじ軸2の回転量をさらに増やすと、再度、線分Aが現れる。つまり、ねじ軸2を回転させると、線分A、線分B及び線分Cが連続して順番に現れる。
すなわち、ねじ軸2をねじ軸側螺旋溝6の巻方向とは逆方向である、反時計回りに低速で回転させながら測定される変位センサ38の出力信号から、ねじ軸2とナット3との間の距離に関するデータを、所定のサンプリング間隔で得る。サンプリング間隔は、たとえば、ねじ軸2が1回転する間のサンプリング数が最低でも360以上になる時間とする。そして、得られた距離データ(DX)と、n個前(nは1以上の整数)に得られた距離データ(DX−n)との差分を求める。そして、距離の変化量である差分の値が、正の値又はゼロから負の値に変化した直後の、ねじ軸2の回転量及び距離データ(Dmax≒最大値)を求める。このように、差分の値が正の値又はゼロから負の値に変化する位置は、図9のグラフでは線分Bと線分Cとの境界に相当し、ボール4aが山部6bの先端面40から落下し始める位置である。差分の値は、直接計算によって求めることもできるが、距離データにはノイズが含まれるため、この差分の値としては、差分の移動平均を用いることが好ましい。
すなわち、本例の場合には、噛み合い位相が見つかるまでは、ねじ軸2を、ねじ軸側螺旋溝6の巻方向とは逆方向に回転させており、従来の第1の方法のように、噛み合い位相が見つかる以前の状態で、ねじ軸又はナットをねじ軸側螺旋溝の巻方向と同方向に回転させることはない。このため、ボールの噛み込みが生じることを有効に防止でき、ボールねじ装置1の構成部品に損傷が生じることを防止できる。また、本例では、ねじ軸挿入工程を、ナット3を含めたナット支持部20の重量と釣り合う大きさの力を支持機構36により発生させ、ナット支持部20を上下方向に小さな力で移動可能とさせる、フローティング支持により行うため、ねじ軸2とナット3との間の押し付け力が過大になることも防止できる。したがって、この面からも、ボールねじ装置1の構成部品の損傷を防止できる。
実施の形態の第2例について、図10を用いて説明する。本例の特徴は、ねじ軸挿入工程に使用する組立装置17aにある。すなわち、本例では、ナットホルダ31を、ナット台32上に設けられた回転駆動機構23aにより回転させるように構成している。回転駆動機構23aは、ナットホルダ31を把持したチャック29aと、該チャック29aを回転させる駆動モータ30aとを備えている。これに対し、ねじ軸2は、ねじ軸台21に対して回転不能に支持されている。このため、本例では、ねじ軸挿入工程で、ナット3のみを回転させ、ねじ軸2は回転させない。
2 ねじ軸
3 ナット
4、4a ボール
5 循環こま
6 ねじ軸側螺旋溝
6a、6b 山部
7 ナット側螺旋溝
8 転動路
9 取付孔
10 戻し路
11 仮軸
12 突起部
13 嵌合凹部
14 肩部
15 支持台
16 ナット受台
17、17a 組立装置
18 支柱
19 ねじ軸支持部
20 ナット支持部
21 ねじ軸台
22 上下送り機構
23、23a 回転駆動機構
24 サーボモータ
25 ボールねじ
26 ねじ軸
27 ナット
28 リニアガイド
29、29a チャック
30、30a 駆動モータ
31 ナットホルダ
32 ナット台
33 保持孔
34 小径孔
35 リニアガイド
36 支持機構
37 挿通孔
38 変位センサ
39 小径軸部
40 先端面
Claims (5)
- 内周面にナット側螺旋溝を有するナットの内側に仮軸を配置した状態で、前記ナット側螺旋溝に複数のボールを組み込み、
前記ナット側螺旋溝内に配置された前記複数のボールのうち、前記ナットの軸方向に関して端部に位置するボールと、外周面にねじ軸側螺旋溝を有するねじ軸のうち、該ねじ軸の軸方向に関して前記ねじ軸側螺旋溝の端部に位置する山部とを接触させ、
前記ねじ軸と前記ナットとの距離を測定しながら、前記ねじ軸と前記ナットとを、前記ねじ軸側螺旋溝の巻方向とは逆方向に相対回転させ、前記距離が減少しはじめてからの減少量が所定の閾値を超えたことを条件に、前記ねじ軸と前記ナットとを、前記ねじ軸側螺旋溝の巻方向と同方向に相対回転させて、前記ねじ軸側螺旋溝内に前記ボールを進入させる、
ボールねじ装置の組立方法。 - 前記ナットの中心軸及び前記ねじ軸の中心軸を同軸上に、かつ上下方向に向けて配置するとともに、前記ねじ軸の上端部を前記仮軸の下端部に接続させる、請求項1に記載したボールねじ装置の組立方法。
- 前記ナット側螺旋溝内に配置された前記複数のボールのうち、上下方向に関して下方側端部に位置するボールと、前記ねじ軸のうち、上下方向に関して前記ねじ軸側螺旋溝の上方側端部に位置する山部とを接触させた後、前記ねじ軸により前記ボールを介して前記ナットを、少なくとも前記ねじ軸側螺旋溝の1リード分の長さだけ押し上げる、請求項2に記載したボールねじ装置の組立方法。
- 前記ナットは、上下方向に関して移動可能に、フローティング支持されている、請求項2または請求項3に記載したボールねじ装置の組立方法。
- 前記閾値が、前記ねじ軸側螺旋溝の1リード分の長さ未満である、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したボールねじ装置の組立方法。
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