JP6786789B2 - アクリル系樹脂、アクリル系粘着剤組成物、粘着シート - Google Patents
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Description
なお、本発明における「粘着シート」とは、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含するものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明のアクリル系樹脂は、ポリマーセグメント(A)とポリマーセグメント(B)を有し(A)−(B)−(A)の構成をなす官能基含有アクリル系樹脂であって、アクリル系樹脂の重量平均分子量が15万以上であり、前記官能基含有アクリル系樹脂が、可逆的付加開裂連鎖移動重合により得られ、ポリマーセグメント(A)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B)の重量平均分子量の比率が(A):(B)=10:90〜70:30であり、ポリマーセグメント(A)の含有する官能基量とポリマーセグメント(B)の含有する官能基量との比率(mol比)が(A):(B)=70:30〜100:0であり、前記アクリル系樹脂の含有する官能基含有量が20mmol/100g以上であり、前記アクリル系樹脂は官能基として少なくとも水酸基を含有し、前記ポリマーセグメント(A)は、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の官能基非含有モノマー(a2)を含有する重合成分[I]を重合してなる重合体であることを特徴とするアクリル系樹脂である。
本発明におけるポリマーセグメント(A)は、官能基含有モノマー(a1)を必須成分として含有し、好ましくは官能基非含有モノマー(a2)も含有する重合成分[I]を重合して製造されるものであることが好ましい。
これらの中でも、反応性が高いため共重合しやすく、また入手しやすい点で、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましい。
これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
アルキル基の炭素数が通常1〜20(好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート、iso−テトラコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;
シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレートイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;
メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドN−メチロール(メタ)アクリルアミド等(メタ)アクリルアミド系モノマー、等のアミド系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
重合成分[I]における官能基非含有モノマー(a2)の含有割合が少なすぎると、極性が高くなり使用できる溶媒が限定されたり、ポリマーセグメント(B)の重合時にモノマーが分離する傾向がある。含有割合が多すぎると、アクリル系樹脂の凝集性が不十分となり、高温条件に晒された場合、基材から糊がはみ出したり、剥離時に凝集破壊が起きやすい傾向がある。
官能基含有モノマー(a1)と官能基非含有モノマー(a2)の含有比率が上記範囲を満たさない場合、共重合性が低下したり、粘着物性が低下する傾向がある。
かかる分散度が高すぎると再剥離性の低下や、糊残りが生じやすくなる傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.01である。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
本発明におけるポリマーセグメント(B)は、官能基非含有モノマー(b1)を含有する重合成分[II]を重合してなるものである。
かかる官能基非含有モノマー(b1)としては、上述の官能基非含有モノマー(a2)として例示したモノマーと同様のモノマーを用いればよい。
なお、ポリマーセグメント(B)中の官能基非含有モノマー(b1)と、ポリマーセグメント(A)中の官能基非含有モノマー(a2)とは、同じモノマーを用いてもよいし、異なる種類のモノマーを用いてもよい。
本発明のアクリル系樹脂は、上記ポリマーセグメント(A)とポリマーセグメント(B)が(A)−(B)−(A)で表される構造を成すものであり、官能基として少なくとも水酸基を含有する。
かかる官能基含有量が少なすぎるとアクリル系樹脂の凝集性が不十分となり、高温条件に晒された場合、基材から糊がはみ出したり、剥離時に凝集破壊が起きやすい傾向がある。なお、官能基含有量が多すぎるとアクリル系樹脂の安定性が低下したり、粘着物性が低下しやすい傾向がある。
ポリマーセグメント(A)の含有する官能基量に対して、ポリマーセグメント(B)の含有する官能基量が多すぎると耐被着体汚染性が低下してしまい好ましくない。
上記範囲を満たさない場合、耐熱性が悪化し、粘着力の上昇や糊残りが生じやすくなる傾向がある。
本発明のアクリル系樹脂を製造する方法としては、反応の容易さの点からリビングラジカル重合法を用いる方法が採られる。
(1)反応溶媒中に官能基含有モノマー(a1)と官能基非含有モノマー(a2)を含有する重合成分[I]及びRAFT剤を混合し、ラジカル重合開始剤を添加して重合成分[I]を重合することにより、官能基を有するポリマーセグメント(A)−(A)を得る工程、
(2)前記工程で得られたポリマーセグメント(A)−(A)を重合開始剤として、RAFT剤の存在下、重合成分[II]を重合して、ポリマーセグメント(A)に繋げてポリマーセグメント(B)を製造し、(A)−(B)−(A)の構成を製造する工程、
により製造することが好ましい。
本発明で用いられるRAFT剤としては、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、トリチオカルボニル系、ジチオカルボニル系、ジチオエステル系、キサンタート等のチオカルボニルチオ化合物を用いることができる。
RAFT剤の使用量が多すぎても少なすぎても目的の分子量ポリマーを得ることが困難となる傾向がある
RAFT剤に対するラジカル重合開始剤の使用量が多すぎると、得られるアクリル系樹脂の分散度が高くなる傾向があり、少なすぎると重合反応速度が低下する傾向がある。
これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトンが好ましく、さらに好ましくは、酢酸エチル、アセトンが好ましい。
それは、最初に行なうポリマーセグメント(A)の製造時に官能基含有モノマー(a1)が残存モノマーとして残留し、続くポリマーセグメント(B)の重合時にセグメント(B)のポリマー鎖に取り込まれることにより、ポリマーセグメント(B)が官能基を含有することとなるものである。
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂を含有するものであり、架橋剤(C)を含有させて架橋させることによって粘着剤とすることが好ましい。
また、本発明においては、上記の通り、ポリマーセグメント(A)とポリマーセグメント(B)を有し(A)−(B)−(A)の構成をなすアクリル系樹脂であり、ポリマーセグメント(A)に主として官能基が存在するため、架橋剤架橋とは異なる疑似架橋を形成することもあり、この場合でも、本発明の効果が達成されれば架橋剤を配合しなくてもよい。
これらの中でも、アクリル系樹脂との反応性の点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好適に用いられる。
これらの架橋剤(C)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら多官能モノマーや各種添加剤の配合量の合計は、粘着剤組成物全体の30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下である。特に酸化防止剤は粘着剤層の安定性を保つのに有効であり、酸化防止剤を配合する場合の含有量は、好ましくは0.01〜5重量%である。
なお、添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていても良い。
かくして、本発明の粘着剤組成物が得られる。
本発明のアクリル系樹脂は、アクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材上に設けた粘着シート、粘着ラベル等の各種粘着製品の製造に好適に用いることができ、とりわけ再剥離型の粘着製品として有用である。
上記エージング処理の条件としては、温度は通常室温(25℃)〜100℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、好ましくは、23℃で3〜10日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
また、本発明においては、上記の通り、ポリマーセグメント(A)とポリマーセグメント(B)を有し(A)−(B)−(A)の構成をなすアクリル系樹脂であり、ポリマーセグメント(A)に主として官能基が存在するため、架橋剤架橋とは異なる疑似架橋を形成することもあり、この場合でも、本発明の効果が達成されればゲル分率は上記範囲よりも小さくてもよい。
〔アクリル系樹脂(X−1)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤としてアセトンを80g、トリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)1.512g、ブチルアクリレート(BA:a2)75g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a1)25gを投入した後、撹拌させながらウォーターバス温で加熱し還流させた。還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.040gとアセトン20gを投入した後、24時間反応させた。
その後、冷却してから反応を終了しポリマーセグメント(A1)溶液を得た。ポリマーセグメント(A1)の重量平均分子量は4.91万であった。次いで、ポリマーセグメント(A1)溶液にアセトン380gとブチルアクリレート(BA:b1)400gを投入し加熱した。還流下でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.040g、アセトン20gを投入した後、24時間反応させ、ポリマーセグメント(B1)部分を重合し、(A1)−(B1)−(A1)の構造を有するアクリル樹脂(X−1)(重量平均分子量22.6万、分散度1.51)溶液を得た。
ポリマーセグメント(A1)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B1)の重量平均分子量の比率は、(A1):(B1)=21.7:78.3であった。また、残存モノマーより算出されるポリマーセグメント(A1)に含有する官能基量とポリマーセグメント(B1)に含有する官能基量との比率(mol比)は(A1):(B1)=92.0:8.0であった。
〔アクリル系樹脂(X−2)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤としてアセトンを250g、トリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)1.366g、ブチルアクリレート(BA:a2)230g、アクリル酸(AAc:a1)40g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a1)1gを投入した後、撹拌させながらウォーターバス温で加熱し還流させた。還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.037gとアセトン21gを投入した後、24時間反応させた。
その後、冷却してから反応を終了しポリマーセグメント(A2)溶液を得た。ポリマーセグメント(A2)の重量平均分子量は12.5万であった。
次いで、ポリマーセグメント(A2)溶液にアセトン200gと2−エチルへキシルアクリレート(2EHA:b1)229gを投入し加熱した。還流下でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.037g、アセトン30gを投入した後、24時間反応させ、ポリマーセグメント(B2)部分を重合し、(A2)−(B2)−(A2)の構造を有するアクリル樹脂(X−2)(重量平均分子量23.0万、分散度1.56)溶液を得た。
ポリマーセグメント(A2)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B2)の重量平均分子量の比率は、(A2):(B2)=54:46であった。また、残存モノマーより算出されるポリマーセグメント(A2)に含有する官能基量とポリマーセグメント(B2)に含有する官能基量との比率(mol比)は(A2):(B2)=78.5:21.5であった。
〔アクリル系樹脂(X’−1)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤としてアセトンを380g、トリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)1.512g、ブチルアクリレート(BA:a2)375g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a1)25gを投入した後、撹拌させながらウォーターバス温で加熱し還流させた。還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.040gとアセトン20gを投入した後、24時間反応させた。
その後、冷却してから反応を終了しポリマーセグメント(A3)溶液を得た。ポリマーセグメント(A3)の重量平均分子量は15.7万であった。
次いで、ポリマーセグメント(A3)溶液にアセトン80gとブチルアクリレート(BA:b1)100gを投入し加熱した。還流下でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.040g、アセトン20gを投入した後、24時間反応させ、ポリマーセグメント(B3)部分を重合し、(A3)−(B3)−(A3)の構造を有するアクリル樹脂(X’−1)(重量平均分子量21.2万、分散度1.45)溶液を得た。
ポリマーセグメント(A3)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B3)の重量平均分子量の比率は、74:26であった。また、残存モノマーから算出されるポリマーセグメント(A3)の含有する官能基量とポリマーセグメント(B3)の含有する官能基量との比率(mol比)は(A3):(B3)=88:12であった。
〔アクリル系樹脂(X’−2)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤としてアセトンを450g、トリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)0.52g、ブチルアクリレート(BA:a2)375g、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA:a2)100g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA:a1)25gを投入した後、撹拌させながらウォーターバス温で加熱し還流させた。還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0164gとアセトン50gを投入した後、24時間反応させた。
その後、冷却してから反応を終了し、アクリル系樹脂(X’−2)(重量平均分子量63.3万、分散度1.77)溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(X’−3)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤としてアセトンを70g、トリチオ炭酸ビス[[4−[[エチル−(2−アセトキシエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]エステル(日本テルペン化学株式会社製)2.6739g、ブチルアクリレート(BA:a2)120.5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a1)12.5gを投入した後、撹拌させながらウォーターバス温で加熱し還流させた。還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.073gとアセトン23gを投入した後、24時間反応させた。
その後、冷却してから反応を終了しポリマーセグメント(A4)溶液を得た。ポリマーセグメント(A4)の重量平均分子量は3.84万であった。
次いで、ポリマーセグメント(A5)溶液にアセトン376gとブチルアクリレート(BA:b1)367gを投入し加熱した。還流下でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.073g、アセトン30gを投入した後、24時間反応させ、ポリマーセグメント(B4)部分を重合し、(A4)−(B4)−(A4)の構造を有するアクリル樹脂(X’−3)(重量平均分子量12.5万、分散度1.27)溶液を得た。
ポリマーセグメント(A4)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B4)の重量平均分子量の比率は、31:69であった。また、残存モノマーから算出されるポリマーセグメント(A4)の含有する官能基量とポリマーセグメント(B4)の含有する官能基量との比率(mol比)は(A4):(B4)=94.9:5.1であった。
〔アクリル系樹脂(X’−4)の製造〕
2L丸底4ツ口フラスコに、溶剤として酢酸エチル400g、トルエン50g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.18g投入し、撹拌させながらウォーターバス温を95℃に昇温し還流させた。予め容量1Lのガラス瓶にブチルアクリレート(BA:a2)570gと2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA:a1)30gを混合しておき、この混合モノマーを2時間かけてフラスコに全量滴下させた。滴下終了の1時間後にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.17gとトルエン40gを投入し、前記投入から2時間後に、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.17gとトルエン40gを投入して2時間反応させ、アクリル系樹脂(X’−4)溶液を得た。アクリル系樹脂(X’−4)の重量平均分子量は49.4万、分散度は5.59であった。
実施例1,2、比較例1〜4で製造したアクリル系樹脂(X−1)〜(X−2)、(X’−1)〜(X’−4)を用いて、下記のようにして粘着シートを作製した。
各アクリル系樹脂100部に架橋剤(東ソー株式会社製「コロネートL−55E」)を表1の割合で添加し、粘着剤組成物を調整した。
上記粘着シート(膜厚25μm)を被着体(BA板)に貼着して、0.5時間放置した後、JIS Z 0237に準じて、180度ピール強度(N/25mm)を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)
○:3N以上
×:3N未満
上記粘着シート(膜厚25μm)を被着体(BA板)に貼着した後、150℃に設定したオーブンジェット乾燥機に投入し、1時間後取り出し、23℃、65%RHの条件下で0.5時間放置して調温した。その後、JIS Z 0237に準じて、180度ピール強度(N/25mm)を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)
○:初期粘着力に対して2倍未満
×:初期粘着力に対して2倍以上
上記粘着シート(膜厚25μm)を被着体(BA板)に貼着した後、150℃に設定したオーブンジェット乾燥機に投入し、1時間後取り出し、23℃、65%RHの条件下で0.5時間放置して調温した。その後、JIS Z 0237に準じて、180度ピール強度(N/25mm)を測定し、下記の通り評価した。
(評価基準)
○:被着体に糊残りが認められない
×:凝集破壊・基材界面破壊が認められる
また、特定の(A)−(B)−(A)構造を有していない比較例2、4のアクリル系樹脂を用いてなる粘着シートは、加熱後の耐被着体汚染性は優れたものであったが、150℃加熱後の粘着力の上昇し、耐熱性が劣るものであった。
Claims (5)
- ポリマーセグメント(A)とポリマーセグメント(B)を有し(A)−(B)−(A)の構成をなす重量平均分子量が15万以上の官能基含有アクリル系樹脂であって、
前記官能基含有アクリル系樹脂が、可逆的付加開裂連鎖移動重合により得られ、
ポリマーセグメント(A)の重量平均分子量とポリマーセグメント(B)の重量平均分子量の比率が(A):(B)=10:90〜70:30であり、
ポリマーセグメント(A)の含有する官能基量とポリマーセグメント(B)の含有する官能基量との比率(mol比)が(A):(B)=70:30〜100:0であり、
前記アクリル系樹脂の含有する官能基含有量が、20mmol/100g以上であり、
前記アクリル系樹脂は官能基として少なくとも水酸基を含有し、
前記ポリマーセグメント(A)は、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の官能基非含有モノマー(a2)を含有する重合成分[I]を重合してなる重合体であることを特徴とするアクリル系樹脂。 - ポリマーセグメント(A)が、官能基含有モノマー(a1)を含有する重合成分[I]を重合してなる重合体であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系樹脂。
- 請求項1または2記載のアクリル系樹脂を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
- 架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項3記載のアクリル系粘着剤組成物。
- 請求項3または4記載のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を含有することを特徴とする粘着シート。
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