JP6779704B2 - ペレット、ペレットブレンド物、成形品、ペレットの製造方法およびペレットブレンド物の製造方法 - Google Patents
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Description
特に、ガラス繊維等を配合した繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、優れた電気的特性、機械的特性および成形加工性を有することから、部品の軽量化や部品点数の削減に有用である(例えば、特許文献1および2参照。)。
<1>ポリアミド樹脂組成物50〜30質量部と、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmであり、長さが5〜15mmの範囲内にあるガラス繊維30〜70質量部を含み、前記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜90質量%、臭素系難燃剤9〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含むペレット。
<2>前記ガラス繊維のTEX数が2000〜5000である、<1>に記載のペレット。
<3><1>または<2>に記載のペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を含むペレットブレンド物。
<4><1>または<2>に記載のペレット、あるいは、<3>に記載のペレットブレンド物から形成される成形品。
<5>ポリアミド樹脂組成物を、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmである連続ガラス繊維に含浸させ、ストランドとした後、5〜15mmの長さにカットすることを含み、前記ポリアミド樹脂組成物が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜90質量%、臭素系難燃剤9〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含む、ペレットの製造方法。
<6><1>または<2>に記載のペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を添加してドライブレンドすることを含む、ペレットブレンド物の製造方法。
本発明のペレットは、ポリアミド樹脂組成物50〜30質量部と、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmであり、長さが5〜15mmの範囲内にあるガラス繊維30〜70質量部を含み、前記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜90質量%、臭素系難燃剤9〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、難燃性に優れ、吸水率が低い成形品を成形可能なペレットが得られる。
<<<ポリアミド樹脂>>>
本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(以下、「XD系ポリアミド」ということがある)である。XD系ポリアミドは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
XD系ポリアミドの分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のXD系ポリアミドを混合したり、重合後のXD系ポリアミドを分別沈殿させることにより調整することもできる。
XD系ポリアミドの製造方法は、特開2014−173196号公報の段落0052〜0053の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、XD系ポリアミドのガラス転移点は、50〜100℃が好ましく、55〜100℃がより好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。この範囲であると、耐熱性がより良好となる傾向にある。
測定には、DSC測定器を用い、試料量は約1mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30mL/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融したXD系ポリアミドを、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点、融点を求めることができる。DSC測定器としては、島津製作所(SHIMADZU CORPORATION)社製、DSC−60を用いることができる。
他のポリアミド樹脂の配合量は、配合する場合、XD系ポリアミドの5〜20質量%が好ましい。また、本発明では、ポリアミド樹脂組成物に実質的に他のポリアミド樹脂を配合しない構成とすることもできる。実質的に配合しないとは、XD系ポリアミドの5質量%未満であり、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
本発明で用いる臭素系難燃剤は、特に限定されるものではないが、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキシ樹脂、臭素化架橋芳香族重合体、臭素化フェノキシ樹脂等が挙げられ、耐熱性、非ブリードアウト性の観点から、特に臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルが好ましい。臭素系難燃剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明で用いる酸化アンチモンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等の酸化アンチモン類が挙げられる。酸化アンチモンは、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
前酸化アンチモンの平均粒子径は、成形時の繊維折損を抑え、優れた機械強度と難燃性とを有するペレットを得る観点から、0.01〜50μmの範囲が好ましい。より好ましくは、0.1〜30μm、さらに好ましくは、1〜18μmである。
酸化アンチモンの平均粒子径の測定方法としては、走査型電子顕微鏡にて解析し、その粒子径を100〜200個測定し、その測定値から平均粒子径を求める方法を挙げることができる。
ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(XD系ポリアミド)、臭素系難燃剤、および、酸化アンチモンの配合割合は、これらの合計100質量%に対して、ポリアミド樹脂(XD系ポリアミド)50〜90質量%、臭素系難燃剤9〜35質量%、酸化アンチモン1〜15質量%であり、好ましくはポリアミド樹脂(XD系ポリアミド)55〜85質量%、臭素系難燃剤12〜33質量%、酸化アンチモン3〜13質量%である。
ポリアミド樹脂(XD系ポリアミド)、臭素系難燃剤、および、酸化アンチモンの配合割合を前記範囲内とすることにより、連続生産性に優れるだけでなく、難燃性に優れ、さらに臭素系難燃剤から発生するガスによる成形品の焼けを少なくでき、表面外観に優れた成形品を得ることができる。
本発明で用いるポリアミド樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の添加剤を配合してもよい。添加剤は、1種のみ配合してもよいし、2種以上配合してもよい。配合量は、配合する場合、添加剤の合計で、XD系ポリアミドの1〜20質量%の範囲が好ましい。また、本発明で用いるポリアミド樹脂組成物にその他の添加剤を実質的に配合しない構成とすることもできる。実質的に配合しないとは、XD系ポリアミドの1質量%未満であることをいう。
その他の添加剤としては、ポリアミド樹脂と臭素系難燃剤との間に作用する混和剤などが例示される。混和剤としては、酸無水物構造を置換基の一部に有するポリフェニレンエーテル樹脂や、スチレンと無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。混和剤を配合することにより、射出成形品のウエルド部においてより高い強度が得られる。さらに、臭素系難燃剤の分散粒径を小さく制御することができ、より高い靭性を有する成形品が得られる。
混和剤を配合する場合、その配合量は、臭素系難燃剤の0.1〜30質量%の範囲で適宜定めることができる。混和剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
混和剤以外の添加剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅化合物およびリン化合物等のポリアミド用熱安定剤、ヒンダードフェノールおよびヒンダードアミン等の酸化劣化防止剤、マンガン化合物等の光安定剤、タルク、ボロンナイトライド等の核剤、炭酸カルシウム、ウオラストナイト、カオリン、焼成カオリンおよびマイカ等のミネラルフィラー、可塑剤、帯電防止剤、ポリアミド以外の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
これらの添加剤は、XD系ポリアミドの合成時に添加することや、単軸または二軸押出機により、ポリアミド樹脂組成物の調整の際に添加してもよい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂、臭素系難燃剤、および酸化アンチモン、その他必要に応じて配合される他の添加剤を押出機で溶融混練することにより得られる。
本発明のペレット中のガラス繊維Bの配合割合は、機械強度と成形品外観との観点から、ポリアミド樹脂組成物と後述するガラス繊維Bとの合計100質量部に対して、30〜70質量部であり、好ましくは35〜60質量部であり、より好ましくは40〜55質量部である。
本発明のペレットは、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmであり、長さが5〜15mmの範囲内にあるガラス繊維(本明細書において、「ガラス繊維B」ということがある)を含有する。
なお、TEX数とは、ガラス繊維Bの1000mあたりの質量で、単位は「g/1000m」で表される。ガラス繊維BのTEX数は、JIS R3911に準拠して求めることができる。
具体的には、下記式に従い、(m/l)を算出し、JIS Z8401によって小数点以下1桁に丸め、これを1000倍することにより番手(t)を求める。
t=(m/l)×1000
m:試験片の質量(g)、l:試験片の長さ(m)
ペレットの長さについても、ペレットの最も長い部分の長さを走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて任意に100個について測定し、得られた各測定値を平均することにより算出することができる。
ガラス繊維Bの長さは、好ましくは6〜13mm、より好ましくは8〜12mmである。また、ペレットの長さは、好ましくは5〜15mm、より好ましくは6〜13mm、さらに好ましくは8〜12mmである。
ガラス繊維Bは、集束剤で表面処理されていることが好ましい。集束剤は、サイジングを目的とした集束成分とポリアミド樹脂との接着性を目的とした表面処理成分を含んでいるものが好ましい。
ガラス繊維の集束剤の構成成分は、特に限定されるものではない。好ましい集束剤は、機械的特性向上の観点から無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体と、シラン系カップリング剤とを主たる構成成分とするものが挙げられる。
集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン等の不飽和単量体と無水マレイン酸との共重合体が挙げられる。その中でも、ブタジエン又はスチレンと、無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。これらの単量体は2種以上併用してもよい。
前記集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体は、平均分子量が2,000以上であることが好ましい。また、無水マレイン酸と不飽和単量体との割合は特に制限されない。さらに無水マレイン酸共重合体に加えてアクリル酸系共重合体やウレタン系ポリマーを併用してもよい。
これらシラン系カップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用することもできる。
これらの中で特にXD系ポリアミドとの親和性からアミノシラン系カップリング剤が好ましく、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
通常、無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤とは水溶媒中で混和し、集束剤として用いられる。なお必要に応じて界面活性剤、滑剤、柔軟剤、帯電防止剤等を加えてもよい。
本発明のペレットの製造方法は、ポリアミド樹脂組成物を、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmである連続ガラス繊維に含浸させ、ストランドとした後、5〜15mmの長さにカットすることを含み、前記ポリアミド樹脂組成物が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜90質量%、臭素系難燃剤9〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、難燃性に優れ、吸水率が低い成形品を成形可能なペレットが得られる。
連続ガラス繊維Cは、通常、ガラス繊維ロービング束として知られるものを広く用いることができる。連続ガラス繊維Cの表面は、集束剤で処理されていることが好ましく、これらの詳細は、ガラス繊維Bの所で述べた集束剤と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記含浸させる際のポリアミド樹脂組成物の樹脂温度は、優れた含浸性とポリアミド樹脂の分解を抑制する観点から、ポリアミド樹脂の融点+10℃〜300℃であることが好ましい。より好ましい範囲は融点+15℃〜295℃、さらに好ましくは融点+20℃〜290℃である。ここで言うポリアミド樹脂組成物の樹脂温度とは押出機の含浸ダイに最も近いバレルの温度と定義する。
ポリアミド樹脂組成物の熱滞留時間は、XD系ポリアミドおよび臭素系難燃剤の分解を抑制する観点から7分以内とすることが好ましい。より好ましい範囲としては6分以内であり、さらに好ましい範囲としては5分以内である。
ここで言うポリアミド樹脂組成物の熱滞留時間とは、連続ガラス繊維Cにポリアミド樹脂組成物を含浸させる含浸ダイでの熱滞留時間と定義し、下記式(1)にて求められる。
本発明のペレットブレンド物は、ペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を含むことを特徴とし、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の両方を含むことが好ましい。
本発明で用いる高級脂肪酸金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、エルカ酸等の炭素数9以上の高級脂肪族カルボン酸のナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等が挙げられるが、成形時の可塑化性、離型性、成形品のガス焼け防止の観点から、モンタン酸金属塩、具体的にはモンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウムが好ましい。
高級脂肪酸金属塩の配合量は、成形時の可塑化性、離型性の観点から、上述したポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であり、好ましくは0.02〜0.4質量部、より好ましくは0.03〜0.3質量部である。高級脂肪酸金属塩は1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明に用いる着色マスターバッチペレットは、着色剤として有機染料および/又は無機顔料を含有するポリアミド樹脂ペレットである。
着色剤の種類および含有量については、特に制限はないが、得られるペレットブレンド物の機械的物性や成形品の表面外観を損なわない範囲で選択することが好ましい。
有機染料の場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、ニグロシン、アジン系ブラック、ペリノンレッド、ペリノンオレンジ、アントラキノンブルー、アントラキノンレッドなどが挙げられ、無機顔料の場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、硫化亜鉛、フタロシアニン、カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
着色マスターバッチペレットにおける着色剤の量は、着色マスターバッチの0.1〜10質量%であることが好ましい。
着色マスターバッチペレットを構成するベース樹脂であるポリアミド樹脂としては、特に制限はないが、XD系ポリアミドが好ましい。XD系ポリアミドを用いることにより、成形時の可塑化性および成形品の表面外観が向上する傾向にある。
着色マスターバッチペレットにおけるベース樹脂の量は、着色マスターバッチの90〜99.90質量%であることが好ましい。
着色マスターバッチペレットの配合量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、1〜10質量部であり、好ましくは1.5〜8質量部、より好ましくは1.5〜5質量部である。着色マスターバッチは1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明のペレットブレンド物の製造方法は、上記本発明のペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を添加してドライブレンドすることを含むことを特徴とする。
高級脂肪酸金属塩および着色マスターバッチペレットの添加方法としては、ポリアミド樹脂組成物の成形機への食い込み性を改良し、可塑化性を安定させ、少量の添加量で優れた離型性を示し、表面外観に優れた成形品が得られるという観点から、上述したペレットに外部添加する方法が好ましい。
外部添加の方法としては、特に制限は無く、例えば、ペレットと、高級脂肪酸金属塩および着色マスターバッチペレットとをドライブレンドする方法、ペレット表面と着色マスターバッチペレット表面に、高級脂肪酸金属塩をコーティングする方法等が挙げられる。
また、高級脂肪酸金属塩は必要に応じて、内部添加、すなわち、ポリアミド樹脂組成物に配合してもよい。
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、上記ポリアミド樹脂組成物の所で述べた他の添加剤が例示される。他の添加剤の配合は、着色マスターバッチペレットを得る際に配合して溶融混練してもよい。また、添加剤をマスターバッチブレンドにして、配合してもよい。
本発明のペレットやペレットブレンド物は、安定した難燃性を有し、高い耐衝撃性、優れた成形品外観を有する。したがって、本発明のペレットやペレットブレンド物から形成される成形品は、電磁開閉器部品やブレーカー部品において好適に利用できる。
MXD6:メタキシリレンアジパミド樹脂、三菱ガス化学社製、S6001、融点237℃、数平均分子量16800
ポリアミド66/6I:特開2014−1336号公報の段落0038に記載の方法に従って、合成した(融点245℃)。
臭素系難燃剤:臭素化ポリスチレン(商品名:SAYTEX HP−3010、アルベマール日本社製)
酸化アンチモン:三酸化二アンチモン(商品名:AN−800(T)、第一工業製薬社製)
ガラス繊維:ガラス繊維ロービング束(商品名:ER4301H、重慶国際複合材料有限公司製、モノフィラメントの平均繊維径:17μm、TEX数:1200TEX)
TEX数は、JIS R3911に準拠して求めた。
具体的には、下記式に従い、(ml)を算出し、JIS Z8401によって小数点以下1桁に丸め、これを1000倍することにより番手(t)を求めた。
t=(m/l)×1000
m:試験片の質量(g)、l:試験片の長さ(m)
着色マスターバッチペレット:黒着色MB(商品名:NYLONBLACK 7698、大日本インキ化学社製)
二軸押出機(商品名:ZSK25、Coperion社製)におけるトップフィード口より、下記表1に示す割合(単位:質量部)で、ポリアミド樹脂、臭素化ポリスチレン、および三酸化二アンチモンを供給し、シリンダー設定温度をポリアミド樹脂の融点+40℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物を、長繊維強化樹脂製造装置(KOSLFP−212、神戸製鋼所社製)における樹脂含浸用ローラーを供えた含浸ダイ(容積:375mL)に供給した。3本のガラス繊維ロービング束(合計TEX数:3600(TEX))として、ロービング台より、下記表1に示す割合で、上述の溶融状態のポリアミド樹脂組成物が充填されている含浸ダイのクロスヘッドに導入して、含浸ダイ内でポリアミド樹脂組成物をガラス繊維ロービング束に含浸させて、ポリアミド樹脂組成物が含侵したガラス繊維ロービング束を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物が含浸したガラス繊維ロービング束を、紡口(直径2.2mm)より連続的に引き取り、1本のストランドを得た。
得られたストランドを、水冷バス中で冷却固化した。冷却固化したストランドを、ペレタイザーを用いて10mmの長さのペレットにカットした(直径2.2mm)。得られたペレット中のガラス繊維の長さは10mmであった。
得られたペレットにモンタン酸カルシウムと黒着色MBを下記表1に示す割合で外部添加し、ドライブレンドすることにより、ペレットブレンド物を得た。評価結果を表1に示す。
上記で得られたペレットを、射出成形機(FN−3000、スクリュー径40mm、日精樹脂工業社製)を用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+50℃、金型温度を80℃、射出圧力65MPa、射出時間5秒、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpmの成形条件で、長さ125mm、幅13mm、厚み0.80mmの試験片に成形した。
前記試験片の燃焼性を、UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法に従い測定した。
上記で得られたペレットを、射出成形機(FN−3000、スクリュー径40mm、日精樹脂工業社製)を用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+50℃、金型温度を130℃(比較例は80℃)、射出圧力65MPa、射出時間5秒、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpmの成形条件で、試験片(幅127mm、厚さ3.2mm、長さ127mm)を成形した。
上記成形条件で得られた試験片を用い、20℃の水に浸漬し、飽和吸水率を測定した。
実施例1において、ポリアミド樹脂を表1に示す通り変更し、他は同様に行った。
Claims (6)
- ポリアミド樹脂組成物50〜30質量部と、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmであり、長さが5〜15mmの範囲内にあるガラス繊維30〜70質量部を含み、
前記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜60質量%、臭素系難燃剤30〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含み、(ただし、ポリアミド樹脂、臭素系難燃剤および酸化アンチモンの合計が100質量%を超えることはない)、
臭素系難燃剤が臭素化ポリスチレンである、ペレット。 - 前記ガラス繊維のTEX数が2000〜5000である、請求項1に記載のペレット。
- 請求項1または2に記載のペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を含むペレットブレンド物。
- 請求項1または2に記載のペレット、あるいは、請求項3に記載のペレットブレンド物から形成される成形品。
- ポリアミド樹脂組成物を、TEX数が2000〜6000、モノフィラメントの平均繊維径が10〜20μmである連続ガラス繊維に含浸させ、ストランドとした後、5〜15mmの長さにカットすることを含み、
前記ポリアミド樹脂組成物が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂50〜60質量%、臭素系難燃剤30〜35質量%、および酸化アンチモン1〜15質量%を含み、(ただし、ポリアミド樹脂、臭素系難燃剤および酸化アンチモンの合計が100質量%を超えることはない)、臭素系難燃剤が臭素化ポリスチレンである、
ペレットの製造方法。 - 請求項1または2に記載のペレット100質量部に対し、高級脂肪酸金属塩0.01〜0.5質量部および着色マスターバッチペレット1〜10質量部の少なくとも一方を添加してドライブレンドすることを含む、ペレットブレンド物の製造方法。
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