JP6778141B2 - アクチュエータのシール構造 - Google Patents
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Description
図6に示すように、サーモアクチュエータ1は、ワックス2が収納されたエレメントケース3と、このエレメントケース3を後端側に支持すると共に、前端側においてリテーナ4を進退可能に保持する支持部5とを備える。前記エレメントケース3と支持部5とはカシメ加工により連結されてサーモエレメント6を構成し、このサーモエレメント6において温度変化がリフト量(リテーナ4の移動量)に変換される。
なお、前記サーモエレメント6を構成するエレメントケース3、支持部5は、例えば真鍮により形成されている。
そして、前記ワックス2が温度変化によって膨張、収縮することにより、ダイヤフラム9が変形する。更に、前記ダイヤフラム9の変形に応じて前記ピストン8が前記ガイド部7に対して前後移動することにより、リテーナ4を進退させるように構成されている。
前記戻しばね11の前端部はケーシング10の内側前端部に着座し、後端部はリテーナ4の基端部において周方向に突出した鍔部4aに当接されており、これによって戻しばね11は、リテーナ4およびシャフト12を後退方向に付勢している。
また、前記ケーシング本体10aには、その基端部側の開口10dから、支持部5が圧入されて連結されており、前記フランジ10bに、支持部5の周面から外周方向に全周に亘って突出する鍔部5aの一面側(前面側)が当接した状態になされている。
このようにサーモアクチュエータ1をエンジンに取り付けることにより、エンジン側の温度変化に伴うワックス2の膨張、収縮によりシャフト12を進退させることができ、これにより通風制御のための遮蔽板21の開閉動作を実現することができる。
なお、図7に示す例においては、図6に示したリテーナ4がその先端部に取り付けられたシャフト12と一体に成型されており、図6に示したリテーナ4に相当する部分がシャフト12の大径部12aを構成している。そして、大径部12aには軸芯に沿って中空部12bが形成されて、この中空部12b内にガイド部7が収容され、ガイド部7から突出するピストン8の先端部が、中空部12b内においてシャフト12に嵌合されて取り付けられている。
すなわち、第1金型Aと第2金型Bの間にケーシング本体10aを装着し、その前端部側の開口10eに沿って形成された第1金型Aと第2金型Bとの空間部に、白抜きの矢印で示すように、パッキン13として機能するゴム素材を注入し射出成型する。
続いて、第1金型Aと第2金型Bとを含むゴム素材(パッキンと同一の符号13で示す。)に熱を加えて化学反応(加硫)を起こすことで、ケーシング本体10aの開口10eに沿って、パッキン13を形成することができる。
図9はその参考例として、断面がU字状のパッキン32を中央にした拡大断面図で示している。この図9に示す例においても、図7に示した例と同様にシャフトの大径部12aに沿ってパッキン32を配置した構成を示している。
このように断面がU字状になされたパッキン32を用いて、ケーシング10とシャフトの大径部12aとの間をシールする構成は、例えば特許文献2に開示されている。
しかし、図9に示した構成においては、パッキンホルダ31の外側面とケーシング本体10aの内側面との間のシールが不完全になるために、両者間に符号33で示す例えばOリングを装着する等の別の対処が必要となる。したがって、図9に示した構成においても、断面がU字状のパッキン32とOリング33を備えることから、部品点数と組み立て工数の増加は免れず、図7に示した例と同様に、コストアップの問題を解消することができない。
したがって、組み立て工数等を含む生産性に優れ、十分な製品コストの低減を果たすことができるアクチュエータのシール構造を提供することができる。
なお、以下の説明に用いる図1〜図5においては、同一部分を同一符号で示しているが、紙面の都合により一部の図面については代表的な部分に符号を付け、その詳細な構成はその他の図面に付けた符号を引用して説明する場合もある。
図1に示したサーモアクチュエータ1のその他の基本構成は、図6に示した構成と同様であり、したがって、相当する各部に図6と同一の符号を付けて、各部の重複する説明は省略する。
前記パッキン16およびパッキンホルダ17は、図1に示すようにシャフト12の大径部12aとケーシング10の間の空間部に配置されている。そして、前記パッキン16は、ケーシング10の前端部に形成されたシャフト挿通用の開口10eの直下に配置されている。
そして、円板状の当接部16cの前面および背面には、断面が円弧状の突起部16d,16eが前記パッキン16と一体に成形されている。
なお、この実施の形態においては前記した突起部16d,16eは、円板状の当接部16cの周方向に沿ってそれぞれ連続してリング状に形成されている。
また、前記したパッキン16の外側脚部16bと、前記した当接部16cとの連結部分におけるパッキンホルダ17側に面した背面側には、周に沿って凹部16fが形成されている。
そして、収容部17aの外側には段状に突出した圧接部17bがリング状に形成されると共に、前記収容部17aと圧接部17bとの間には、圧接部17bの内側に沿って圧接部17bよりもさらに前方に若干突出する突出部17cがリング状に形成されている。
また、パッキンホルダ17の背面側には、その外周に沿って平坦状のばね受け部17dがリング状に形成されており、前記したとおり、このばね受け部17dに戻しばね11の前端部が当接される。
そして、パッキンホルダ17の前記した圧接部17bは、戻しばね11の付勢力を受けて、パッキン16の当接部16cに圧接し、当接部16cの前面をケーシング10の前端部内壁面に密着させるように作用する。
したがって、この実施の形態によると、リング状に形成された単体のパッキン16によって、シャフト12(シャフトの大径部12a)との間およびケーシング10との間の2か所において良好なシール性を確保することができる。
実施例では、シャフト12(大径部12a)を構成する素材としてポリフェニレン・サルファイドにカーボンファイバーおよびフィラーを充填した複合材料が用いられ、好ましくはPPS−(CF+MH)50であり、そのロックウェル硬さは、おおよそHRM105である。
また、パッキンホルダ17を構成する素材として、ポリフェニレン・サルファイドにテフロン(登録商標)およびフィラーを充填した複合材料が用いられ、好ましくはPPS−PTFE−MH30であり、そのロックウェル硬さは、おおよそHRM75である。
これにより、常にシャフト12に摺接するパッキン16によるシール性について、その経時変化を軽減させることができるサーモアクチュエータを提供できる。
2 ワックス
3 エレメントケース
4 リテーナ
5 支持部
5a 鍔部
6 サーモエレメント
7 ガイド部
8 ピストン
9 ダイヤフラム
10 ケーシング
10a ケーシング本体
10b フランジ
10c 貫通孔
10d 基端部開口
10e 前端部開口
11 戻しばね
12 シャフト
12a 大径部
12b 中空部
12c、4a 鍔部
15 Oリング
13、16 パッキン
16a 内側脚部
16b 外側脚部
16c 当接部
16d 前面側突起部
16e 背面側突起部
16f 凹部
17 パッキンホルダ
17a 収容部
17b 圧接部
17c 突出部
17d ばね受け部
Claims (3)
- アクチュエータの軸方向に移動するシャフトと、
前記シャフトを前記軸方向に沿って覆うケーシングと、
前記シャフトと前記ケーシングとの間の空間部に配置され、ケーシングの前端部に形成されたシャフト挿通用の開口周辺に配置されたパッキンと、
前記パッキンを前面側において支持し、背面側において前記シャフトを後退方向に付勢する戻しばねの当接を受けるパッキンホルダとが備えられ、
前記パッキンには、内周側に前記シャフトに摺接する摺接面と、前記摺接面の外周側に前記ケーシングの前端部内面の一部に当接する当接部とが一体に形成され、前記戻しばねによる前記パッキンホルダの前進作用を受けて、前記パッキンの前記当接部が、前記ケーシングの前端部内面に当接されると共に、
前記パッキンは、周方向に直交する断面形状が内周側においてU字状に形成され、U字状の内側の脚部が前記シャフトに摺接する摺接面であり、前記U字状の外側の脚部に連続して前記ケーシングとの当接部が円板状に形成され、
前記当接部の前面または背面の少なくとも一方に、アクチュエータ軸方向に突出する突起部が前記パッキンと一体に成形されていることを特徴とするアクチュエータのシール構造。 - 前記パッキンの背面において、前記U字状の外側の脚部と前記ケーシングとの当接部との連結部分に周に沿って凹部が形成され、前記パッキンホルダは、前記パッキンに形成された凹部に嵌入する突出部が前面側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータのシール構造。
- 前記シャフトの素材は、前記パッキンホルダの素材より硬度が高いことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータのシール構造。
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