JP6777102B2 - プレス成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼板などの金属板を、曲げ部を有する形状にプレス成形するプレス成形方法に関し、特に、前記曲げ部のスプリングバックを抑制することができるプレス成形方法に関する。
近年、特に自動車産業においては環境問題に起因した車体の軽量化により、車体部品に用いる材料(金属薄板)の薄肉化と高強度化が進められている。高強度金属板のプレス成形の課題として、成形不良(割れ・しわ)や成形荷重の増加などがあるが、特にスプリングバックによる形状凍結性の悪化は解決すべき最も重要な課題である。
スプリングバックとは、プレス成形後に、プレス成形品を金型から離型した際に、当該プレス成形品に生じる形状変化であり、プレスストローク最下点(以下、「下死点」という)で金属板に残留した応力が解放され、これによって生じるひずみを原因とする。そのため、スプリングバックの抑制には下死点での応力をできるだけ低減させることが重要である。
ここで、成形過程における金属板の応力−ひずみ関係を図7に示す。金属板は、一度変形すると応力は上昇するが、変形方向が変化してひずみが反転すると、応力はひずみのわずかな変化に対し敏感に低下する。そこで、この効果を成形過程において金属板に誘発させることで下死点での応力を低減させ、スプリングバックを抑制させるプレス成形方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、製品形状より断面線長が長い第1金型で予成形し、製品形状の線長である第2金型でリストライク成形する方法が提案されている。
また、工数を増加させずに、1工程(同一金型)でひずみの反転を実現させる方法として、弾性体や油圧シリンダなどの加圧装置を備えたプレス金型やそれを用いたプレス成形方法が特許文献2および特許文献3に開示されている。
特許文献2には、パンチを長手方向とストローク方向に分割し、ストローク方向の分割箇所に弾性体を配置したプレス金型が開示されており、当該プレス金型においては、弾性体を配置したパンチ面(パンチ突出部)は周囲のパンチ面より突出しており、成形中はパンチに配置された弾性体の反発力によりパンチ突出部は突出した状態であるが、下死点直前に下降してくるダイにパンチ突出部が接触し、プレス荷重によりパンチ突出部は下降して材料は製品形状に成形される。この際、材料のパンチ突出部が接触する部位においては引張変形−圧縮変形が生じ、これがスプリングバックの低減効果となるとされている。
また、特許文献3には、パンチ底を幅方向に分割し、シリンダなどに接続されたパッドを外側に突出するように配置した金型を用いるプレス成形方法が開示されている。この方法によれば、成形中、突出したパッドによりブランクのパンチ底部に曲げ変形を与えることで、離型時にパンチ底にスプリングゴー(スプリングバックの逆方向の変形)が生じ、縦壁のスプリングバックと相殺させることができるとされている。
特許5114688号公報 特許4568077号公報 特許5079655号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法においては、工数が増加することで金型製作費やリードタイムが悪化することが懸念される。
また、特許文献2に開示されているプレス金型においては、パンチの長手方向分割部は急激な段差形状となっており、この段差が起点となりわれやしわなどの成形不良が生じる恐れがある。
さらに、特許文献3に開示されているプレス成形方法においては、パンチ底の平坦面は、他の部品との接合面になることがほとんどであり、厳しい面精度が要求される場合に対しては、パンチ底に曲げ変形を与える本方法は適用し難い。
このように、上記特許文献1〜特許文献3に開示されているプレス成形方法は、プレス成形の工数や成形性、製品品質の観点で実用性に欠けるものが多く、実際の生産現場で適用できる方法とは言えなかった。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、工数を増やさず、成形性や製品品質を担保しつつ、スプリングバックを低減するプレス成形方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、ダイとパンチによって金属板を曲げ部を有する形状にプレス成形するものであって、前記曲げ部の曲げ内側に配置されるパンチ肩部及び/又はダイ肩部に、該パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも曲率半径の小さい先端面部を有し、前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部から出没可能に支持された可動凸部を設け、前記可動凸部の先端面部側を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも突出させた状態で前記ダイを前記パンチ側に下死点手前まで相対移動させ、前記金属板を前記先端面部に当接させて目標形状よりも曲げ半径の小さい曲げ部を有する形状に成形する一次曲げステップと、前記ダイを下死点まで相対移動させて前記可動凸部の先端面部を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部に没入した状態にして前記目標形状に成形する二次曲げステップと、を有することを特徴とするものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記可動凸部は、前記一次曲げステップでの成形荷重に対しては前記先端面部が前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部から突出した状態を維持し、前記二次曲げステップでの成形荷重に対しては前記先端面部が前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部に没入するように支持されることを特徴とするものである。
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記可動凸部は、前記パンチ肩部及び/又は前記ダイ肩部の稜線方向における一部の範囲に単数又は複数設けられていることを特徴とするものである。
本発明においては、ダイとパンチによって金属板を曲げ部を有する形状にプレス成形するものであって、前記曲げ部の曲げ内側に配置されるパンチ肩部及び/又はダイ肩部に、該パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも曲率半径の小さい先端面部を有し、前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部から出没可能に支持された可動凸部を設け、前記可動凸部の先端面部側を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも突出させた状態で前記ダイを前記パンチ側に下死点手前まで相対移動させ、前記金属板を前記先端面部に当接させて目標形状よりも曲げ半径の小さい曲げ部を有する形状に成形する一次曲げステップと、前記ダイを下死点まで相対移動させて前記可動凸部の先端面部を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部に没入した状態にして前記目標形状に成形する二次曲げステップと、を有することにより、前記曲げ部の成形過程において曲げ戻すことで成形下死点における前記曲げ部の応力を低減し、工数を増やさずにスプリングバックを低減させることができ、寸法精度の良好なプレス成形品を安定して量産することができる。
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法で用いるパンチを説明する図である。 本発明で成形対象とする曲げ部を説明する図である。 本発明で成形対象とする曲げ部を有する形状を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法により成形するプレス成形品を示す図である。 本発明で対象とする曲げ部に生じるスプリングバックを説明する図である。 本発明で対象とする曲げ部を成形したときに生じる応力分布を説明する図である。 プレス成形過程において金属板に生じる応力−ひずみ関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法で用いる金型を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法で用いるパンチのパンチ肩部に設ける可動凸部の他の態様を説明する図である(その1)。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法で用いるパンチのパンチ肩部に設ける可動凸部の他の態様を説明する図である(その2)。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法により成形された曲げ部の断面形状を示す図である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法により成形されたパンチ肩R部に生じる応力分布を示す図である((a):下死点手前、(b):下死点)。 本発明の実施例1において、スプリングバックにより生じるパンチ肩R部の角度変化を説明する図である。 本発明の実施例2において、スプリングバックにより生じるダイ肩R部の角度変化を説明する図である。
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法を説明するに先だって、本発明で成形対象とする曲げ部を有する形状と、そのスプリングバックのメカニズム、さらには、本発明に至った経緯について説明する。
本発明は、図2に示すような隣接する2つの面部21の間を繋ぐ曲げ部23(肩R部)を有する形状に金属板をプレス成形する際に適用するものであり、曲げ部23は、曲げ半径R、曲げ角度θで曲げられている。
このような曲げ部23を有する形状としては、図3に例示するようなハット型断面形状、コの字型断面形状またはVの字型断面形状のものが挙げられる。図3(a)、(b)はコの字型断面形状、図3(c)はVの字型断面形状のプレス成形品である。図3(d)、(e)、(f)は、コの字型断面形状またはVの字型断面形状の一対の縦壁部のうち一方にフランジ部を有するものであり、図3(g)、(h)、(i)はコの字型断面形状またはVの字型断面形状の一対の縦壁部の双方にフランジ部を有するハット型断面形状である。図3(a)、(d)、(g)は縦壁部が垂直になっているものであり、図3(b)、(e)、(h)は縦壁部が傾斜しているものである。なお、図3(c)、(f)、(i)はVの字型断面形状を有するものであり、このような断面形状を成形するには、Vの字の先端に当接する部位がR形状になっているパンチを使用するとよい。
そして、例えば、図4に示す天板部33と縦壁部35とフランジ部37とを有するハット型断面形状のプレス成形品31においては、天板部33と縦壁部35を接続するパンチ肩R部39や、縦壁部35とフランジ部37とを繋ぐダイ肩R部41が、図2に示す2つの面部21を繋ぐ曲げ部23に相当する。
また、コの字型断面形状やVの字型断面形状のプレス成形品(図3参照)においても同様に、天板部と縦壁部、縦壁部とフランジ部を繋ぐ曲げ部を有し、さらには、Vの字型断面形状のプレス成形品においては一対の縦壁部同士を接続する曲げ部を有する。
曲げ部23は、プレス成形した後に金型から離型すると、図5に示すように、下死点における形状(図5中の破線)に対して曲げ部23の曲げ角度が変化するスプリングバックが生じる。
図6に、下死点で曲げ部23が受ける応力分布を示す。下死点での曲げ部23における応力分布は、曲げ外側では引張応力、曲げ内側では圧縮応力となる。これらの応力が離型とともに解放されると、曲げ部23にひずみ変化が生じ、曲げ部23の曲げ角度が変化する(図5参照)。
ここで、曲げ部23が受けるひずみは、曲げ部23の曲げ半径R(図2参照)により概ね決まり、曲げ半径Rが小さいほど成形過程において曲げ部23が受けるひずみは大きくなり、これにともなって応力も大きくなる。そこで、離型後における曲げ角度の変化の原因となる曲げ部23の応力を低減する方法として、まずは第1工程として曲げ部23を目標形状の曲げ部23よりも小さな曲げ半径Rで曲げ、次いで第2工程として目標形状の曲げ部23の曲げ半径R(>R)で曲げ部23を曲げることで、図7に示すようにひずみεを戻して応力σを低減させることができると考えられる。
本発明者は、このような応力低減を実現させる方法を鋭意検討し、曲げ部23の曲げ内側に配置されるダイ又はパンチにおける曲げ部23を成形する部位に出没可能な可動凸部を設けて曲げ部23をプレス成形する方法を着想するに至った。以下、本発明の実施の形態に係るプレス成形方法で用いる金型について説明する。なお、以下の説明では、ハット型断面形状のプレス成形品31における天板部33と縦壁部35とを繋ぐパンチ肩R部39(図4)を対象とする。
<プレス成形方法>
まず、本発明のプレス成形方法に用いる金型について説明する。
本実施の形態で用いる金型1は、図8に示すようなダイ3とパンチ5によって金属板7をハット型断面形状のプレス成形品31(図4)に成形するものであり、ダイ3はプレス成形品31のパンチ肩R部39の曲げ外側に配置され、パンチ5はパンチ肩R部39の曲げ内側に配置される。
そして、パンチ5は、図1に示すように、パンチ肩部5aにプレス方向に対して斜め方向に凹むように設けられた溝部9に挿入された可動凸部11と、可動凸部11を支持する支持部13とを有している。
可動凸部11は、先端面部11a側がパンチ肩部5aから出没可能に、すなわち、可動凸部11が曲げ外側に向かって移動して先端面部11aがパンチ肩部5aの表面から突出した状態と、可動凸部11が曲げ内側に向かって移動して先端面部11aがパンチ肩部5aの表面と面一またはそれよりも没入した状態となることができるように、支持部13により支持されている。ここで、支持部13としては、具体的には、油圧シリンダや金属バネが例示できる。
可動凸部11の先端面部11aは曲率半径Rで湾曲する断面形状を有している。また、先端面部11aの曲率半径Rは、パンチ肩部5aの曲率半径Rよりも小さく設定されている。なお、先端面部11aがパンチ肩部5aから突出した状態において、パンチ肩部5aの表面から先端面部11aまでの突出高さをhとしたとき、該突出高さhは適宜設定できるものとする。
可動凸部11の素材としては、通常の金型に使用される金属を用いることができる。もっとも、可動凸部11の素材はこれに限るものではなく、ゴムなどの弾性体でもよく、この場合、図9に示すように、支持部13(図6参照)を設けずに溝部9内に可動凸部15を設けるようにしてもよい。
また、溝部9は、その凹む方向がプレス方向に対して0°超え〜90°未満の範囲であり、下死点直前でダイ3により可動凸部11がスムーズに曲げ内側に向かって押し戻されるような角度であることが望ましい。
さらに、図1に示す可動凸部11は、パンチ肩部5aの曲げ稜線方向の全長にわたって設けられたものであるが、図10に示すように、パンチ肩部5aの曲げ稜線方向における一部の範囲に可動凸部17を単数又は複数設けてもよい。複数の可動凸部17を互いに間隔を設けて配置した場合、成形過程の下死点においては、パンチ肩部5aにおける可動凸部17が配置されていない部位を金属板7に当接させることができるため、曲げ部23の形状を精度よく成形することができて好ましい。そのため、複数の可動凸部17を設けた場合においては、その個数、曲げ稜線方向の長さL(図10参照)と互いの間隔を適宜設定すればよい。
次に、本実施の形態に係るプレス成形方法について、図1に示すパンチ5を用いて、図4に示すハット型断面形状のプレス成形品31をプレス成形する場合を例として説明する。
本実施の形態に係るプレス成形方法は、図8に示すようにダイ3とパンチ5によって金属板7をパンチ肩R部39を有するプレス成形品31にプレス成形するものであって、図1に示すように先端面部11aがパンチ肩部5aから出没可能な可動凸部11をパンチ肩部5aに設け、一次曲げステップと、二次曲げステップとによりプレス成形するものである。
一次曲げステップは、パンチ5の可動凸部11の先端面部11a側をパンチ肩部5aよりも突出させた状態でダイ3をパンチ5側に下死点手前まで相対移動させ、金属板7を先端面部11aに当接させて目標形状よりも小さい曲げ半径Rのパンチ肩R部39a(図11参照)を成形するステップである。
続く二次曲げステップは、ダイ3を下死点まで相対移動させて可動凸部11の先端面部11aをパンチ肩部5aに没入した状態にして、パンチ肩部5aにより目標形状の曲げ半径Rのパンチ肩R部39(図11参照)を成形するステップである。
図1に示すように可動凸部11を支持部13で支持する場合、支持部13に設定する支持力は、一次曲げステップにおいてパンチ肩R部39に作用する成形荷重に対しては先端面部11a側をパンチ肩部5aから突出した状態を維持することができ、一次曲げステップにおいてパンチ肩R部39に作用する成形荷重に対してはダイ3によって可動凸部11が曲げ内側に押し戻されて先端面部11aがパンチ肩部5aに没入するように設定すればよい。
本実施の形態に係るプレス成形方法によるスプリングバック低減効果について図12に基づいて説明する。
図12(a)は、一次曲げステップにおいて下死点手前まで成形されたときのパンチ肩R部39aの応力を示したものである。パンチ肩R部39aは、可動凸部11の先端面部11a側を突出させた状態で金属板7を先端面部11aに当接させて成形されたものであり、通常の曲げ部23(図6参照)と同様、曲げ外側に引張応力、曲げ内側に圧縮応力を受ける。
図12(b)は、一次曲げステップに続く二次曲げステップにおいて下死点まで成形されたときのパンチ肩R部39の応力を示したものである。二次曲げステップにおいては、可動凸部11の先端面部11aをパンチ肩部5aに没入させた状態でパンチ肩R部39を成形するため、パンチ肩R部39は、一次曲げステップでのパンチ肩R部39aの曲げ半径Rよりも大きな曲げ半径Rに成形される。
前述のとおり、パンチ肩R部39に生じる応力(ひずみ)は曲げ半径に依存するため、図12(b)に示すように、一次曲げステップで成形されたパンチ肩R部39aが一次曲げステップで曲げ半径Rに成形される際、パンチ肩R部39の中央部39bにおいては曲げ外側に圧縮ひずみが、曲げ内側に引張ひずみが付与される。その結果、パンチ肩R部39の中央部39bにおける応力は反転し、この反転した応力が離型後のスプリングゴー成分となり、パンチ肩R部39のスプリングバックが低減する。
以上、本実施の形態に係るプレス成形方法によれば、金属板を曲げ部を有する形状にプレス成形するに際し、金型の交換を要せずに1度のプレス成形で曲げ部のスプリングバックを低減することができる。これにより、寸法精度の良好なプレス成形品を安定して量産することができる。
なお、上記の説明は、ハット型断面形状のプレス成形品31のパンチ肩R部39を対象としたものであるため、可動凸部11は、パンチ肩R部39の曲げ内側に配置されるパンチ肩部5aに設けられていた。もっとも、本発明に係るプレス成形方法は、パンチ肩R部39のみを対象とするものではなく、面部と面部とを接続する曲げ部を有する形状であれば、他の部位にも適用できる。
例えば、ハット型断面形状のプレス成形品31のダイ肩R部41を対象とする場合には、ダイ肩R部41の曲げ内側に配置されるダイ肩部3a(図8参照)に、ダイ肩部3aよりも曲率半径の小さい先端面部を有してダイ肩部3aから出没可能な可動凸部を設ければよい。あるいは、プレス成形品31のパンチ肩R部39とダイ肩R部41の双方を対象とする場合には、パンチ肩部5aとダイ肩部3aの双方に出没可能な可動凸部を設けてもよい。
さらに、本発明に係るプレス成形方法は、前述の図3に示すようなコの字型断面形状やVの字型断面形状のプレス成形品についても、これらのプレス成形品において2つの面部を繋ぐ曲げ部に対し、該曲げ部の曲げ内側に配置されて該曲げ部を成形するパンチ肩部及び/又はダイ肩部に上記のような可動凸部を出没可能に設け、前記曲げ部を成形するものであってもよい。
また、上記の説明は、ダイとパンチにより金属板を挟み込んで曲げ部を成形するフォーム成形についてのものであったが、本発明は、ブランクホルダで金属板の端部を保持しながら成形するドロー成形に適用した場合であっても、上記と同様に曲げ部におけるスプリングバックの低減効果が得られる。
さらに本発明は、パンチにおけるパンチ底部と対になるようパッドを配置して該パッドとパンチ底部とで金属板を押さえながらプレス成形する場合に適用しても良く、この場合、ダイをパンチ側に下死点手前まで相対移動させる一次曲げステップにおいて、金属板を目標形状よりも曲げ半径の小さい曲げ部に精度よく成形することができる。
本発明に係るプレス成形方法の作用効果を検証する実験を行ったので、以下に説明する。
実施例1では、図8に示すダイ3とパンチ5を備えた金型1を用いて、図4に示すハット型断面形状を有するプレス成形品31のプレス成形を行い、プレス成形品31のスプリングバックによるパンチ肩R部39の角度変化を評価した。
実験では、金属板7として厚さ1.2mmの590MPa級鋼板(材料A)と1180MPa級鋼板(材料B)を用いた。また、金型1において、ダイ肩部3aの曲率半径およびパンチ肩部5aの曲率半径はともに10mmとした。
実施例1では、本発明例として、パンチ5のパンチ肩部5aには、図1に示すように、溝部9と、溝部9に挿入されてパンチ肩部5aから出没可能な可動凸部11と、可動凸部11を所定の支持力で支持する支持部13を設けた。ここで、支持部13には油圧シリンダを用い、可動凸部11を支持する支持力としてシリンダ荷重を設定した。
そして、本発明例については、可動凸部11のパンチ肩部5aからの突出高さhは1mmとし、可動凸部11の先端面部11aの曲率半径Rは3mm、7mmの2条件、支持部13として使用する油圧シリンダに設定するシリンダ荷重は10kN、20kN、30kNの3条件とし、先端面部11aの曲率半径Rとシリンダ荷重をそれぞれ変更した計6条件を本発明例1〜本発明例6とした。
さらに、比較対象として、パンチ5のパンチ肩部5aに可動凸部11を設けずにプレス成形したものを比較例1とした。
スプリングバックによるパンチ肩R部39の角度変化Δθは、図13に示すように、離型後のパンチ肩R部39の曲げ角度θ1と目標形状におけるパンチ肩R部39の曲げ角度θ0の差Δθ=θ1−θ0を算出することにより測定した。
表1および表2に、本発明例1〜本発明例6および比較例1における各条件と、パンチ肩R部39の角度変化Δθの測定結果を示す。
表1は材料A、表2は材料Bを用いた場合のものであり、表1および表2に示すように、本発明例1〜本発明例6は、比較例1に比べて、材料Aおよび材料Bともに角度変化Δθが低下する結果となった。このことから、プレス成形品31のパンチ肩R部39の曲げ内側に配置されるパンチ肩部5aに可動凸部11を設け、先端面部11aを突出した状態で下死点手前まで目標形状よりも小さい曲げ半径Rのパンチ肩R部39を成形し、その後、ダイ3により先端面部11aをパンチ肩部5aに没入させた状態にして目標形状の曲げ半径Rのパンチ肩R部39に成形することで、スプリングバックによるパンチ肩R部39の角度変化Δθを低減できることが示された。
次に、本発明例において他の条件を変更せずに、シリンダ荷重、先端面部の曲率半径、および材料のそれぞれを変更したときの結果について説明する。
まず、シリンダ荷重については、本発明例1、本発明例3および本発明例5の比較と、本発明例2、本発明例4および本発明例6の比較から、シリンダ荷重を増加することにより角度変化Δθが低減することがわかる。これは、シリンダ荷重が大きほど、一次曲げステップにおいて先端面部11aが突出した状態を維持しやすくなり、パンチ肩部5aの曲率半径Rよりも小さい曲げ半径Rのパンチ肩R部39が成形されやすくなるためであると考えられる。
先端面部11aの曲率半径Rについては、本発明例1と本発明例2、本発明例3と本発明例4、本発明例5と本発明例6のそれぞれの比較から、先端面部11aの曲率半径Rを小さくすることによりパンチ肩R部39の角度変化Δθが低減することがわかる。これは、先端面部11aの曲率半径Rを小さくすることで、二次曲げステップにおいて目標形状の曲げ半径Rのパンチ肩R部39に成形する過程でのひずみの戻し(戻しひずみ量)が大きくなり、パンチ肩R部39に生じた応力をより低減できるためであると考えられる。
さらに、成形に用いた材料については、表1および表2の本発明例1〜本発明例6におけるそれぞれの比較から、鋼板強度が低い材料の方が角度変化Δθが低減する結果となった。これは、鋼板強度が低い材料ほど、一次曲げステップにおける成形荷重が小さくなり、先端面部11aが突出した状態を維持しやすくなり、曲げ半径の小さいパンチ肩R部39を成形しやすいためであると考えられる。
以上、パンチ肩部5aに可動凸部11を出没可能に設けたパンチ5を用いて成形することで、ハット型断面形状のプレス成形品31のパンチ肩R部39のスプリングバックを低減できることが示された。
実施例2では、図8に示すダイ3とパンチ5を備えた金型1を用いて図4に示すハット型断面形状を有するプレス成形品31のプレス成形するに際し、ダイ3のダイ肩部3aに可動凸部11を設け(図1参照)、ダイ肩R部41のスプリングバックによる角度変化を評価した。
実験では、実施例1と同様、金属板7として厚さ1.2mmの590MPa級鋼板(材料A)と1180MPa級鋼板(材料B)を用いた。また、ダイ肩部3aの曲率半径およびパンチ肩部5aの曲率半径は10mmとした。
実施例2では、本発明例として、ダイ3のダイ肩部3aに、図1に示すような溝部9と、溝部9に挿入されてダイ肩部3aから出没可能な可動凸部11と、可動凸部11を所定の支持力で支持する支持部13を設けた。支持部13に関しては、実施例1と同様に油圧シリンダを用い、可動凸部11を支持する支持力としてシリンダ荷重を設定した。
そして、本発明例については、可動凸部11のダイ肩部3aからの突出高さhは1mmとし、可動凸部11の先端面部11aの曲率半径Rは3mm、7mmの2条件、支持部13として使用する油圧シリンダに設定するシリンダ荷重は10kN、20kN、30kNの3条件とし、先端面部11aの曲率半径Rとシリンダ荷重をそれぞれ変更した計6条件を本発明例7〜本発明例12とした。
さらに、比較対象として、ダイ3のダイ肩部3aに可動凸部11を設けずにプレス成形したものを比較例2とした。
スプリングバックによるダイ肩R部41の角度変化は、図14に示すように、離型後のダイ肩R部41の曲げ角度θ1と目標形状のダイ肩R部41の曲げ角度θ0の差Δθ=θ1−θ0を算出することにより測定した。
表3および表4に、本発明例7〜本発明例12および比較例2における各条件と、ダイ肩R部41の角度変化Δθの測定結果を示す。
表3は材料A、表4は材料Bを用いた場合のものであり、表3および表4に示すように、本発明例7〜本発明例12は、比較例2に比べて、材料Aおよび材料Bともに角度変化Δθが低下する結果となった。このことから、プレス成形品31のダイ肩R部41の曲げ内側に配置されるダイ肩部3aに可動凸部11を設け、先端面部11aを突出した状態で下死点手前まで目標形状よりも小さい曲げ半径Rのダイ肩R部41を成形し、その後、パンチ5により先端面部11aをダイ肩部3aに没入させた状態にして目標形状の曲げ半径Rのダイ肩R部41に成形することで、スプリングバックによるダイ肩R部41の角度変化Δθを低減できることが示された。
次に、本発明例において他の条件を変更せずに、シリンダ荷重、先端面部の曲率半径、および材料のそれぞれを変更したときの結果を説明する。
まず、シリンダ荷重については、本発明例7、本発明例9および本発明例11の比較と、本発明例8、本発明例10および本発明例12の比較から、シリンダ荷重を増加することにより角度変化Δθが低減することがわかる。これは、シリンダ荷重が大きほど、一次曲げステップにおいて先端面部11aが突出した状態を維持しすくなり、ダイ肩部3aの曲率半径Rよりも小さい曲げ半径Rのダイ肩R部41が成形されやすくなるためであると考えられる。
先端面部11aの曲率半径Rについては、本発明例7と本発明例8、本発明例9と本発明例10、本発明例11と本発明例12のそれぞれの比較から、先端面部11aの曲率半径Rを小さくすることによりダイ肩R部41の角度変化Δθが低減することがわかる。これは、先端面部11aの曲率半径Rを小さくすることで、二次曲げステップにおいて目標形状の曲げ半径Rのダイ肩R部41に成形する過程でのひずみの戻し(戻しひずみ量)が大きくなり、ダイ肩R部41に生じた応力をより低減できるためであると考えられる。
さらに、成形に用いた材料については、表3および表4の本発明例7〜本発明例12におけるそれぞれの比較から、鋼板強度が低い材料ほど角度変化Δθが低減する結果となった。これは、鋼板強度が低い材料ほど、一次曲げステップにおける成形荷重が小さくなり、先端面部11aが突出した状態を維持しやすくなり、曲げ半径の小さいダイ肩R部41を成形しやすいためであると考えられる。
以上、ダイ肩部3aに可動凸部11を出没可能に設けたダイ3を用いて成形することで、ハット型断面形状のプレス成形品31のダイ肩R部41のスプリングバックを低減できることが示された。
1 金型
3 ダイ
3a ダイ肩部
5 パンチ
5a パンチ肩部
7 金属板
9 溝部
11 可動凸部
11a 先端面部
13 支持部
15 可動凸部
17 可動凸部
21 面部
23 曲げ部
31 プレス成形品
33 天板部
35 縦壁部
37 フランジ部
39、39a パンチ肩R部
39b 中央部
41 ダイ肩R部

Claims (3)

  1. 金型の交換をせずに1度のプレス成形で曲げ部を有する形状にダイとパンチによって金属板をプレス成形してスプリングバックを抑制するプレス成形方法であって、
    前記曲げ部の曲げ内側に配置されるパンチ肩部及び/又はダイ肩部に、該パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも曲率半径の小さい先端面部を有し、前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部から出没可能に支持された可動凸部を設け、
    前記可動凸部の先端面部側を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部よりも突出させた状態で前記ダイを前記パンチ側に下死点手前まで相対移動させ、前記金属板を前記先端面部に当接させて目標形状よりも曲げ半径の小さい曲げ部を有する形状に成形する一次曲げステップと、
    前記ダイを下死点まで相対移動させて前記可動凸部の先端面部を前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部に没入した状態にしてひずみを変化させ下死点での応力を低減させて前記目標形状に成形する二次曲げステップと、を有することを特徴とするプレス成形方法。
  2. 前記可動凸部は、前記一次曲げステップでの成形荷重に対しては前記先端面部が前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部から突出した状態を維持し、前記二次曲げステップでの成形荷重に対しては前記先端面部が前記パンチ肩部及び/又はダイ肩部に没入するように支持されることを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
  3. 前記可動凸部は、前記パンチ肩部及び/又は前記ダイ肩部の稜線方向における一部の範囲に単数又は複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のプレス成形方法。
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