以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の無加圧DWの30秒値が、1.0mL/g以上である。無加圧DWの30秒値は、液体漏れがより一層抑制可能となる観点から、2.0mL/g以上、3.0mL/g以上、4.0mL/g以上、5.0mL/g以上、6.0mL/g以上、7.0mL/g以上、8.0mL/g以上、9.0mL/g以上、又は9.5mL/g以上であってよく、15mL/g以下、12mL/g以下、又は10mL/g以下であってよい。無加圧DWの30秒値は、後述する実施例に記載されている測定方法により測定される値である。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の以下のi)及びii)の順で行われる試験で測定される接触角は、90度以下である。
i)25℃において、吸水性樹脂粒子からなる層の表面上に、25質量%食塩水の直径3.0±0.1mmに相当する球状液滴を滴下して、吸水性樹脂粒子と液滴とを接触させる。
ii)液滴が表面に接触してから、30秒後の時点の液滴の接触角を測定する。
接触角は、液体漏れがより一層抑制可能となる観点から、80度以下、70度以下、60度以下、50度以下、又は40度以下であってよい。また、接触角は、0度以上であっても、0度を超えてもよく、10度以上、又は20度以上であってよい。
接触角は、JIS R 3257(1999)「基盤ガラス表面のぬれ性試験方法」に準じて測定される値であり、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、生理食塩水に対する高い吸水能を有することができる。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量は、例えば、20〜60g/g、25〜55g/g、30〜50g/g、又は32〜42g/gであってよい。生理食塩水の保水量は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の荷重下における生理食塩水の吸水量は、例えば10〜40mL/g、15〜35mL/g、20〜30mL/g、又は22〜28mL/gであってよい。荷重下における生理食塩水の吸水量としては、荷重4.14kPaにおける吸水量(25℃)を用いることができる。吸水量は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の形状としては、略球状、破砕状、顆粒状等が挙げられる。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、250〜850μm、300〜700μm、又は、300〜600μmであってよい。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、後述する製造方法により得られた時点で所望の粒度分布を有していてよいが、篩による分級を用いた粒度調整等の操作を行うことにより粒度分布を調整してもよい。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体を含む単量体の重合により形成された架橋重合体を含むことができる。架橋重合体は、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する。
吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合させる工程を含む方法により、製造することができる。重合方法としては、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法等が挙げられる。これらの中では、得られる吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び、重合反応の制御が容易である観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法が好ましい。以下においては、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法として、逆相懸濁重合法を例にとって説明する。
エチレン性不飽和単量体は水溶性であることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体がアミノ基を有する場合、当該アミノ基は4級化されていてもよい。エチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。上述の単量体のカルボキシル基、アミノ基等の官能基は、後述する表面架橋工程において架橋が可能な官能基として機能し得る。
これらの中でも、工業的に入手が容易である観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N−ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに、アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。吸水特性を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが更に好ましい。
エチレン性不飽和単量体は、通常、水溶液として用いることが好適である。エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、単に「単量体水溶液」という)におけるエチレン性不飽和単量体の濃度は、20質量%以上飽和濃度以下が好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜55質量%が更に好ましい。水溶液において使用される水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
吸水性樹脂粒子を得るための単量体としては、上述のエチレン性不飽和単量体以外の単量体が使用されてもよい。このような単量体は、例えば、上述のエチレン性不飽和単量体を含む水溶液に混合して用いることができる。エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体全量に対して70〜100モル%であることが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が単量体全量に対して70〜100モル%であることがより好ましい。
単量体水溶液は、エチレン性不飽和単量体が酸基を有する場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和して用いてもよい。エチレン性不飽和単量体における、アルカリ性中和剤による中和度は、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高くし、吸水特性(保水量等)を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体中の酸性基の10〜100モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることがより好ましく、60〜80モル%であることが更に好ましい。アルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。アルカリ性中和剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態で用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体の酸基の中和は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を上述の単量体水溶液に滴下して混合することにより行うことができる。
逆相懸濁重合法においては、界面活性剤の存在下、炭化水素分散媒中で単量体水溶液を分散し、ラジカル重合開始剤等を用いてエチレン性不飽和単量体の重合を行うことができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(「(ポリ)」とは、「ポリ」の接頭語がある場合及びない場合の双方を意味するものとする。以下同じ。)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
W/O型逆相懸濁の状態が良好であり、好適な粒子径を有する吸水性樹脂粒子が得られやすく、工業的に入手が容易である観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性が向上しやすい観点から、界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステルを含むことが好ましく、ショ糖ステアリン酸エステルがより好ましい。
界面活性剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び、経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.08〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部が更に好ましい。
逆相懸濁重合では、上述の界面活性剤と共に高分子系分散剤を併せて用いてもよい。高分子系分散剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。高分子系分散剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。高分子系分散剤としては、単量体の分散安定性に優れる観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、及び、酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
高分子系分散剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び、経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.08〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部が更に好ましい。
炭化水素分散媒は、炭素数6〜8の鎖状脂肪族炭化水素、及び、炭素数6〜8の脂環式炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。炭化水素分散媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。炭化水素分散媒は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
工業的に入手が容易であり、かつ、品質が安定している観点から、炭化水素分散媒は、n−ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。また、同様の観点から、上述の炭化水素分散媒の混合物としては、例えば、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n−ヘプタン及び異性体の炭化水素75〜85%含有)を用いてもよい。
炭化水素分散媒の使用量は、重合熱を適度に除去し、重合温度を制御しやすい観点から、単量体水溶液100質量部に対して、30〜1000質量部が好ましく、40〜500質量部がより好ましく、50〜300質量部が更に好ましい。炭化水素分散媒の使用量が30質量部以上であることにより、重合温度の制御が容易である傾向がある。炭化水素分散媒の使用量が1000質量部以下であることにより、重合の生産性が向上する傾向があり、経済的である。
ラジカル重合開始剤は水溶性であることが好ましく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩、及び、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}2塩酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005〜0.01モルであってよい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.00005モル以上であると、重合反応に長時間を要さず、効率的である。ラジカル重合開始剤の使用量が0.01モル以下であると、急激な重合反応が起こることを抑制しやすい。
上述のラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
重合反応の際、重合に用いる単量体水溶液は、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類等が挙げられる。
吸水性樹脂粒子の粒子径を制御するために、重合に用いる単量体水溶液は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。なお、重合時の撹拌速度が同じであれば、単量体水溶液の粘度が高いほど、得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
重合の際に自己架橋による架橋が生じるが、更に内部架橋剤を用いることで架橋を施してもよい。内部架橋剤を用いると、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。内部架橋剤は、通常、重合反応の際に反応液に添加される。内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上述のポリオール類と不飽和酸(マレイン酸、フマール酸等)とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”−トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の,重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;イソシアネート化合物(2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)などの、反応性官能基を2個以上有する化合物などが挙げられる。内部架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。内部架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、ジグリシジルエーテル化合物がより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種が更に好ましい。
内部架橋剤の使用量は、得られる重合体が適度に架橋されることにより水溶性の性質が抑制され、充分な吸水量が得られやすい観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0ミリモル以上、0.02ミリモル以上、0.03ミリモル以上、0.04ミリモル以上、又は0.05ミリモル以上であってもよく、0.1モル以下であってもよい。特に、多段の逆相懸濁重合の重合、1段目の重合において、内部架橋剤の量がエチレン性不飽和単量体1モル当たり0.03ミリモル以上であると、保水量と無加圧DWが好適な吸水性樹脂粒子が得られ易い。
エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて内部架橋剤等を含む水相と、炭化水素系分散剤と必要に応じて界面活性剤、高分子系分散剤等を含む油相を混合した状態において撹拌下で加熱し、油中水系において逆相懸濁重合を行うことができる。
逆相懸濁重合を行う際には、界面活性剤(必要に応じて更に、高分子系分散剤)の存在下で、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤、高分子系分散剤等の添加時期は、単量体水溶液の添加の前後どちらであってもよい。
その中でも、得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒の量を低減しやすい観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に単量体水溶液を分散させた後に界面活性剤を更に分散させてから重合を行うことが好ましい。
逆相懸濁重合は、1段、又は、2段以上の多段で行うことができる。逆相懸濁重合は、生産性を高める観点から、2〜3段で行うことが好ましい。
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物にエチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、エチレン性不飽和単量体の他に、上述のラジカル重合開始剤及び/又は内部架橋剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。なお、2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、必要に応じて内部架橋剤を用いてもよい。内部架橋剤を用いる場合は、各段に供するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めると共に、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行う観点から、20〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5〜4時間である。重合反応の終了は、例えば、反応系内の温度上昇の停止により確認することができる。これにより、エチレン性不飽和単量体の重合体は、通常、含水ゲル状重合体の状態で得られる。
重合後、得られた含水ゲル状重合体に架橋剤を添加して加熱することで、重合後架橋を施してもよい。重合後架橋を行なうことで含水ゲル状重合体の架橋度を高め、それにより吸水性樹脂粒子の吸水特性を更に向上させることができる。
重合後架橋を行うための架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、及びα−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等の2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
重合後架橋に用いられる架橋剤の量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、0〜0.03モルであることが好ましく、0〜0.01モルであることがより好ましく、0.00001〜0.005モルであることが更に好ましい。前記架橋剤の添加量が上述の範囲内であることによって、無加圧DWや接触角が好適な吸水性樹脂粒子が得られ易い。
重合後架橋の添加時期としては、重合に用いられるエチレン性不飽和単量体の重合後であればよく、多段重合の場合は、多段重合後に添加されることが好ましい。なお、重合時および重合後の発熱、工程遅延による滞留、架橋剤添加時の系の開放、及び架橋剤添加に伴う水の添加等による水分の変動を考慮して、重合後架橋の架橋剤は、含水率(後述)の観点から、[重合直後の含水率±3質量%]の領域で添加することが好ましい。
引き続き、得られた含水ゲル状重合体から水分を除去するために乾燥を行う。乾燥により、エチレン性不飽和単量体の重合体を含む重合体粒子が得られる。乾燥方法としては、例えば、(a)含水ゲル状重合体が炭化水素分散媒に分散した状態で、外部から加熱することにより共沸蒸留を行い、炭化水素分散媒を還流させて水分を除去する方法、(b)デカンテーションにより含水ゲル状重合体を取り出し、減圧乾燥する方法、(c)フィルターにより含水ゲル状重合体をろ別し、減圧乾燥する方法等が挙げられる。中でも、製造工程における簡便さから、(a)の方法を用いることが好ましい。
重合反応時の撹拌機の回転数を調整することによって、あるいは、重合反応後又は乾燥の初期において凝集剤を系内に添加することによって吸水性樹脂粒子の粒子径を調整することができる。凝集剤を添加することにより、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができる。凝集剤としては、無機凝集剤を用いることができる。無機凝集剤(例えば粉末状無機凝集剤)としては、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、カオリン、クレイ、ハイドロタルサイト等が挙げられる。凝集効果に優れる観点から、凝集剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、タルク及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
逆相懸濁重合において、凝集剤を添加する方法としては、重合で用いられるものと同種の炭化水素分散媒又は水に凝集剤を予め分散させてから、撹拌下で、含水ゲル状重合体を含む炭化水素分散媒中に混合する方法が好ましい。
凝集剤の添加量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.5質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。凝集剤の添加量が上述の範囲内であることによって、目的とする粒度分布を有する吸水性樹脂粒子が得られやすい。
吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程又はそれ以降のいずれかの工程において、架橋剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分の架橋(表面架橋)が行われることが好ましい。表面架橋を行うことで、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御しやすい。表面架橋は、含水ゲル状重合体が特定の含水率であるタイミングで行われることが好ましい。表面架橋の時期は、含水ゲル状重合体の含水率が5〜50質量%である時点が好ましく、10〜40質量%である時点がより好ましく、15〜35質量%である時点が更に好ましい。なお、含水ゲル状重合体の含水率(質量%)は、次の式で算出される。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の単量体水溶液に含まれる水分量から、乾燥工程により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えた含水ゲル状重合体の水分量。
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、例えば、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物などが挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、及び、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
表面架橋剤の使用量は、得られる含水ゲル状重合体が適度に架橋されることにより好適な吸水特性を示すようにする観点から、通常、重合に使用するエチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.00001〜0.02モルが好ましく、0.00005〜0.01モルがより好ましく、0.0001〜0.005モルが更に好ましい。表面架橋剤の添加量が上述の範囲内であることによって、無加圧DWや接触角が好適な吸水性樹脂粒子が得られ易い。
表面架橋後において、公知の方法で水及び炭化水素分散媒を留去することにより、表面架橋された乾燥品である重合体粒子を得ることができる。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、重合体粒子のみから構成されていてもよいが、例えば、ゲル安定剤、金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム等)、及び流動性向上剤(滑剤)等から選ばれる各種の追加の成分を更に含むことができる。追加の成分は、重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はそれらの両方に配置され得る。追加の成分としては、流動性向上剤(滑剤)が好ましく、そのなかでも無機粒子がより好ましい。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
吸水性樹脂粒子は、重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子を含んでいてもよい。例えば、重合体粒子と無機粒子とを混合することにより、重合体粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。この無機粒子は、非晶質シリカ等のシリカ粒子であってもよい。吸水性樹脂粒子が重合体粒子の表面上に配置された無機粒子を含む場合、重合体粒子の質量に対する無機粒子の割合は、0.2質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってもよく、5.0質量%以下、又は3.5質量%以下であってもよい。ここでの無機粒子は、通常、重合体粒子の大きさと比較して微小な大きさを有する。例えば、無機粒子の平均粒子径が、0.1〜50μm、0.5〜30μm、又は1〜20μmであってもよい。ここでの平均粒子径は、動的光散乱法、又はレーザー回折・散乱法によって測定される値であることができる。無機粒子の添加量が上述の範囲内であることによって、吸水性樹脂粒子の吸水特性、なかでも無加圧DWや接触角が好適な吸水性樹脂粒子が得られ易い。
吸水性樹脂粒子を製造する方法の一実施形態は、得られた吸水性樹脂粒子の漏れ性を、上述の実施形態に係る方法により評価する工程を更に含んでもよい。例えば、拡散距離Dの測定値が、基準値(例えば14cm)よりも小さい吸水性樹脂粒子を選別してもよい。これにより、吸収性物品の液体漏れを抑制できる吸水性樹脂粒子をより安定して製造することができる。
一実施形態に係る吸収体は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子を含有する。本実施形態に係る吸収体は、繊維状物を含有することが可能であり、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物を含む混合物である。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物が均一混合された構成であってよく、シート状又は層状に形成された繊維状物の間に吸水性樹脂粒子が挟まれた構成であってもよく、その他の構成であってもよい。
繊維状物としては、微粉砕された木材パルプ;コットン;コットンリンター;レーヨン;セルロースアセテート等のセルロース系繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維;これらの繊維の混合物などが挙げられる。繊維状物は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。繊維状物としては、親水性繊維を用いることができる。
吸収体における吸水性樹脂粒子の質量割合は、吸水性樹脂粒子及び繊維状物の合計に対して、2〜100質量%、10〜80質量%又は20〜60質量%であってよい。
吸収体の使用前及び使用中における形態保持性を高めるために、繊維状物に接着性バインダーを添加することによって繊維同士を接着させてもよい。接着性バインダーとしては、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等が挙げられる。接着性バインダーは、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の全融型バインダー;ポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイドや芯鞘構造からなる非全融型バインダーなどが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着することができる。
ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー、アモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等との混合物が挙げられる。
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2ーエチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、及び、酢酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体の重合物が挙げられる。
本実施形態に係る吸収体は、無機粉末(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、抗菌剤、香料等を含有してもよい。吸水性樹脂粒子が無機粒子を含む場合、吸収体は吸水性樹脂粒子中の無機粒子とは別に無機粉末を含んでいてもよい。
本実施形態に係る吸収体の形状は、特に限定されず、例えばシート状であってよい。吸収体の厚さ(例えば、シート状の吸収体の厚さ)は、例えば0.1〜20mm、0.3〜15mmであってよい。
本実施形態に係る吸収性物品は、本実施形態に係る吸収体を備える。本実施形態に係る吸収性物品は、吸収体を保形するコアラップ;吸液対象の液が浸入する側の最外部に配置される液体透過性シート;吸液対象の液が浸入する側とは反対側の最外部に配置される液体不透過性シート等が挙げられる。吸収性物品としては、おむつ(例えば紙おむつ)、トイレトレーニングパンツ、失禁パッド、衛生材料(生理用ナプキン、タンポン等)、汗取りパッド、ペットシート、簡易トイレ用部材、動物***物処理材などが挙げられる。
図2は、吸収性物品の一例を示す断面図である。図2に示す吸収性物品100は、吸収体10と、コアラップ20a,20bと、液体透過性シート30と、液体不透過性シート40と、を備える。吸収性物品100において、液体不透過性シート40、コアラップ20b、吸収体10、コアラップ20a、及び、液体透過性シート30がこの順に積層している。図2において、部材間に間隙があるように図示されている部分があるが、当該間隙が存在することなく部材間が密着していてよい。
吸収体10は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子10aと、繊維状物を含む繊維層10bと、を有する。吸水性樹脂粒子10aは、繊維層10b内に分散している。
コアラップ20aは、吸収体10に接した状態で吸収体10の一方面側(図2中、吸収体10の上側)に配置されている。コアラップ20bは、吸収体10に接した状態で吸収体10の他方面側(図2中、吸収体10の下側)に配置されている。吸収体10は、コアラップ20aとコアラップ20bとの間に配置されている。コアラップ20a,20bとしては、ティッシュ、不織布等が挙げられる。コアラップ20a及びコアラップ20bは、例えば、吸収体10と同等の大きさの主面を有している。
液体透過性シート30は、吸収対象の液が浸入する側の最外部に配置されている。液体透過性シート30は、コアラップ20aに接した状態でコアラップ20a上に配置されている。液体透過性シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる不織布、多孔質シートなどが挙げられる。液体不透過性シート40は、吸収性物品100において液体透過性シート30とは反対側の最外部に配置されている。液体不透過性シート40は、コアラップ20bに接した状態でコアラップ20bの下側に配置されている。液体不透過性シート40としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるシート、これらの合成樹脂と不織布との複合材料からなるシートなどが挙げられる。液体透過性シート30及び液体不透過性シート40は、例えば、吸収体10の主面よりも広い主面を有しており、液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の外縁部は、吸収体10及びコアラップ20a,20bの周囲に延在している。
吸収体10、コアラップ20a,20b、液体透過性シート30、及び、液体不透過性シート40の大小関係は、特に限定されず、吸収性物品の用途等に応じて適宜調整される。また、コアラップ20a,20bを用いて吸収体10を保形する方法は、特に限定されず、図2に示すように複数のコアラップにより吸収体を包んでよく、1枚のコアラップにより吸収体を包んでもよい。
本実施形態によれば、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品を用いた吸液方法を提供することができる。本実施形態に係る吸液方法は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品に吸液対象の液を接触させる工程を備える。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<吸水性樹脂粒子の製造>
[実施例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン293gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して分散剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、内容積300mLのビーカーに、水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、20.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液147.7gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HECAW−15F)、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、および過硫酸カリウム0.018g(0.068ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)を加えて溶解し、第1段目の水性液を調製した。
そして、上記にて調製した水性液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n−ヘプタン6.62gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.736gを加熱溶解した界面活性剤溶液を、さらに添加して、撹拌機の回転数を550rpmとして攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
一方、別の内容積500mLのビーカーに水溶性エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、27質量%の水酸化ナトリウム水溶液159.0gを滴下して75モル%の中和を行った後、水溶性ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、および過硫酸カリウム0.026g(0.095ミリモル)を加えて溶解し、第2段目の水性液を調製した。
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、上記第2段目の水性液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合反応を60分間行った。その後、重合後架橋のための架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.580g(0.067ミリモル)を添加し、含水ゲル状重合体を得た。
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを攪拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら、238.5gの水を系外へ抜き出した。その後、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
その後、n−ヘプタンを125℃にて蒸発させて乾燥させることによって、重合体粒子(乾燥品)を得た。この重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させ、重合体粒子の質量に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を重合体粒子と混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子を232.1g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は396μmであった。
[実施例2]
重合体粒子(乾燥品)に対して、2.0質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP−S)を混合したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子236.3gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は393μmであった。
[実施例3]
第1段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)を用いたこと、第2段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を用いたこと、第2段目の重合後の含水ゲル状重合体において、共沸蒸留により247.9gの水を系外へ抜き出したこと、及び重合体粒子の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカを重合体粒子と混合したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子231.0gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は355μmであった。
[実施例4]
第1段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)を用いたこと、第2段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を用いたこと、第2段目の重合後の含水ゲル状重合体において、共沸蒸留により239.7gの水を系外へ抜き出したこと、及び、重合体粒子に対して、0.5質量%の非晶質シリカを混合したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子229.2gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は377μmであった。
[比較例1]
第1段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.0736g(0.272ミリモル)を用いたこと、第2段目の水性液の調製において、水溶性ラジカル重合剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩を用いずに、過硫酸カリウム0.090g(0.334ミリモル)を用いたこと、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を用いたこと、重合後架橋のための架橋剤を添加しなかったこと、第2段目の重合後の含水ゲル状重合体において、共沸蒸留により256.1gの水を系外へ抜き出したこと、重合体粒子の質量に対して0.1質量%の非晶質シリカを重合体粒子と混合したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子230.8gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は349μmであった。
[比較例2]
第1段目の水性液の調製において、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0046g(0.026ミリモル)用いたこと、第2段目の水性液の調製において、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)を用いたこと、重合後架橋剤を添加しなかったこと、第2段目の重合後の含水ゲル状重合体において、共沸蒸留により219.2gの水を系外へ抜き出したこと、表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液6.62g(0.761ミリモル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を229.6g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は356μmであった。
[比較例3]
第1段目の水性液の調製において、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0046g(0.026ミリモル)用いたこと、第2段目の水性液の調製において、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.067ミリモル)、重合後架橋剤を添加しなかったこと、及び第2段目の重合後の含水ゲル状重合体において、共沸蒸留により234.2gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子229.6gを得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は355μmであった。
<生理食塩水保水量の測定>
吸水性樹脂粒子2.0gを量り取った綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)を500mL容のビーカー内に設置した。吸水性樹脂粒子の入った綿袋中に0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gをママコができないように一度に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、30分静置させることで吸水性樹脂粒子を膨潤させた。30分経過後の綿袋を、遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H−122)を用いて1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂粒子を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定し、以下の式から生理食塩水保水量を算出した。
生理食塩水保水量(g/g)=[Wa−Wb]/2.0
<吸水性樹脂粒子の荷重下の吸水量>
吸水性樹脂粒子の荷重下(加圧下)の生理食塩水の吸水量(室温、25℃±2℃)を、図3に示す測定装置Yを用いて測定した。測定装置Yは、ビュレット部61、導管62、測定台63、及び、測定台63上に置かれた測定部64から構成される。ビュレット部61は、鉛直方向に伸びるビュレット61aと、ビュレット61aの上端に配置されたゴム栓61bと、ビュレット61aの下端に配置されたコック61cと、コック61cの近傍において一端がビュレット61a内に伸びる空気導入管61dと、空気導入管61dの他端側に配置されたコック61eとを有している。導管62は、ビュレット部61と測定台63との間に取り付けられている。導管62の内径は6mmである。測定台63の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管62が連結されている。測定部64は、円筒64a(アクリル樹脂(プレキシグラス)製)と、円筒64aの底部に接着されたナイロンメッシュ64bと、重り64cとを有している。円筒64aの内径は20mmである。ナイロンメッシュ64bの目開きは75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ64b上に測定対象の吸水性樹脂粒子65が均一に撒布される。重り64cの直径は19mmであり、重り64cの質量は120gである。重り64cは、吸水性樹脂粒子65上に置かれ、吸水性樹脂粒子65に対して4.14kPaの荷重を加えることができる。
測定装置Yの円筒64aの中に0.100gの吸水性樹脂粒子65を入れた後、重り64cを載せて測定を開始した。吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水と同容積の空気が、空気導入管より、速やかにかつスムーズにビュレット61aの内部に供給されるため、ビュレット61aの内部の生理食塩水の水位の減量が、吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水量となる。ビュレット61aの目盛は、上から下方向に0mLから0.5mL刻みで刻印されており、生理食塩水の水位として、吸水開始前のビュレット61aの目盛りVaと、吸水開始から60分後のビュレット61aの目盛りVbとを読み取り、下記式より荷重下の吸水量を算出した。結果を表1に示す。
荷重下吸水量[mL/g]=(Vb−Va)/0.1
<中位粒子径>
吸水性樹脂粒子50gを中位粒子径測定用に用いた。
JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、及び受け皿の順に組み合わせた。
組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂粒子を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。分級後、各篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量を全量に対する質量百分率として算出し粒度分布を求めた。この粒度分布に関して粒子径の大きい方から順に篩上を積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
<無加圧DW(DemandWettability)の30秒値の測定>
吸水性樹脂の粒子の無加圧DWは、図1に示す測定装置を用いて測定した。測定は1種類の吸水性樹脂粒子に関して5回実施し、最低値と最高値とを除いた3点の測定値の平均値を求めた。
当該測定装置は、ビュレット部1、導管5、測定台13、ナイロンメッシュシート15、架台11、及びクランプ3を有する。ビュレット部1は、目盛が記載されたビュレット管21と、ビュレット管21の上部の開口を密栓するゴム栓23と、ビュレット管21の下部の先端に連結されたコック22と、ビュレット管21の下部に連結された空気導入管25及びコック24とを有する。ビュレット部1はクランプ3で固定されている。平板状の測定台13は、その中央部に形成された直径2mmの貫通孔13aを有しており、高さが可変の架台11によって支持されている。測定台13の貫通孔13aとビュレット部1のコック22とが導管5によって連結されている。導管5の内径は6mmである。
測定は温度25℃、湿度60±10%の環境下で行なわれた。まずビュレット部1のコック22とコック24を閉め、25℃に調節された0.9質量%食塩水50をビュレット管21上部の開口からビュレット管21に入れた。食塩水の濃度0.9質量%は、食塩水の質量を基準とする濃度である。ゴム栓23でビュレット管21の開口の密栓した後、コック22及びコック24を開けた。気泡が入らないよう導管5内部を0.9質量%食塩水50で満たした。貫通孔13a内に到達した0.9質量%食塩水の水面の高さが、測定台13の上面の高さと同じになるように、測定台13の高さを調整した。調整後、ビュレット管21内の0.9質量%食塩水50の水面の高さをビュレット管21の目盛で読み取り、その位置をゼロ点(0秒時点の読み値)とした。
測定台13上の貫通孔13の近傍にて、ナイロンメッシュシート15(100mm×100mm、250メッシュ、厚さ約50μm)を敷き、その中央部に、内径30mm、高さ20mmのシリンダーを置いた。このシリンダーに、1.00gの吸水性樹脂粒子10aを均一に散布した。その後、シリンダーを注意深く取り除き、ナイロンメッシュシート15の中央部に吸水性樹脂粒子10aが円状に分散されたサンプルを得た。次いで、吸水性樹脂粒子10aが載置されたナイロンメッシュシート15を、その中心が貫通孔13aの位置になるように、吸水性樹脂粒子10aが散逸しない程度にすばやく移動させて、測定を開始した。空気導入管25からビュレット管21内に気泡が最初に導入された時点を吸水開始(0秒)とした。
ビュレット管21内の0.9質量%食塩水50の減少量(すなわち、吸水性樹脂粒子10aが吸水した0.9質量%食塩水の量)を0.1mL単位で順次読み取り、吸水性樹脂粒子10aの吸水開始から起算して30秒後の0.9質量%食塩水50の減量分Wc(g)を読み取った。Wcから、下記式により無加圧DWの30秒値を求めた。無加圧DWは、吸水性樹脂粒子10aの1.00g当たりの吸水量である。
無加圧DWの30秒値(mL/g)=Wc/1.00
<接触角の測定>
接触角の測定は温度25℃、湿度60±10%の環境下で行なった。ガラス製プレパラート(25mm×75mm)に両面テープ(ニチバン製内スタック:10mm×75mm)を添付し、粘着面が露出したものを用意した。まず、前記プレパラートに添付された両面テープ上に吸水性樹脂粒子2.0gを均一に散布した。その後、プレパラートを垂直に立てて、余剰の吸水性樹脂粒子を除き、測定用サンプルを調製した。
接触角計(協和界面科学製:Face s−150)は、上下方向に可動な試料載置用ステージと、その上部に設置されたシリンジ部と、ステージを水平に観察できるスコープ部からなっている。接触角の測定は、このような接触角計を用いて以下の手順で行った。
まず、前記シリンジ(容量1ml)の鉛直下のステージ部に測定用サンプルを載置した。接触角計のスコープを用いて、25質量%食塩水の直径3mmの球状液滴をシリンジ先端部に調製した。当該球状液滴の直径は±0.1mmまで許容した。ステージを上方に動かし、調製した液滴をサンプルの表面が平滑な場所に、接触させた(その時点をt=0(秒)とする)。t=30(秒)の時点での前記食塩水液滴と両面テープ表面との接触面における左右端点と頂点を結ぶ直線の両面テープ表面に対する角度を、接触角計のレンズで読み取り、その角度をθ/2とした。これを2倍することによって接触角θを求めた。測定は5回繰り返し、平均した値を、その吸水性樹脂粒子の接触角とした。なお、角度の読み取り方法は、JIS R 3257(1999)「基盤ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠している。
<傾斜漏れ試験>
(人工尿の調製)
イオン交換水に、下記の通りに無機塩が存在するように配合して溶解させたものに、さらに少量の青色1号を配合して人工尿(試験液)を調製した。下記の濃度は、人工尿の全質量を基準とする濃度である。
人工尿組成
NaCl:0.780質量%
CaCl2:0.022質量%
MgSO4:0.038質量%
青色一号:0.002質量%
(漏れ性の評価)
以下のi)、ii)、iii)、iv)及びv)の手順により、吸水性樹脂粒子の漏れ性を評価した。
i)長さ15cm、幅5cmの短冊状の粘着テープ(ダイヤテックス株式会社製、パイオランテープ)を粘着面が上になるよう実験台上に置き、その粘着面上に、吸水性樹脂粒子3.0gを均一に散布した。散布された吸水性樹脂粒子の上部に、ステンレス製ローラー(質量4.0kg、径10.5cm、幅6.0cm)を載せ、ローラーを、粘着テープの長手方向における両端の間で3回往復させた。これにより、吸水性樹脂粒子からなる吸水層を粘着テープの粘着面上に形成した。
ii)粘着テープを垂直に立てて、余剰の吸水性樹脂粒子を吸水層から除いた。再度、吸水層に前記ローラーを載せ、粘着テープの長手方向における両端の間で3回往復させた。
iii)温度25±2℃の室内において、長さ30cm、幅55cmの長方形の平坦な主面を有するアクリル樹脂板を、その幅方向が水平面に平行で、その主面と水平面とが30度をなすように固定した。固定されたアクリル板の主面に、吸水層が形成された粘着テープを、吸水層が露出し、その長手方向がアクリル樹脂板の幅方向に対して垂直になる向きで貼り付けた。
iV)吸水層の上端から約1cmの位置で表面から約1cmの高さから、液温25℃の試験液0.25mLを、マイクロピペット(エムエス機器社製ピペットマン・ネオP1000N)を用いて、1秒以内に全て注入した。
v)試験液の注入開始から30秒後に、吸水層に注入された試験液の移動距離の最大値を読み取り、拡散距離Dとして記録した。なお、拡散距離Dは、主面上において、滴下点(注入点)と最長到達点とを、アクリル樹脂板の短辺水平面に対して垂直方向の直線で結んだ距離である。なお、拡散距離Dが14cm以上の場合は液体漏れが発生していた。
表1の結果から、実施例にて得られた吸水性樹脂粒子によれば、比較例にて得られた吸水性樹脂粒子に比べ、液体漏れの抑制が可能となることが示された。