<第1の実施形態>
(デバイスの構造)
図1は、本実施形態に係るデバイス100の構造を示す断面図の一例である。
図1に示す様に、第1の基板1上には、機能素子(例えばセンサ、IC回路等)4と、電極5と、薄膜金属パッド7とが形成されている。電極5と薄膜金属パッド7とは積層して形成されている。
第2の基板2には、貫通電極6が形成されており、貫通電極6の一方の端部には、薄膜金属パッド8が、貫通電極6の他方の端部には、薄膜金属パッド9が形成されている。また、薄膜金属パッド9と積層してメッキ層10が形成されている。
接合材11は、第1の基板1と第2の基板2との間に形成されている。
導電材12は、薄膜金属パッド7と薄膜金属パッド8との間に形成されている。
接合材11は、第1の基板1と第2の基板2とを接合し、機能素子4と第2の基板2との間に空間(Cavity)3を形成し、更に機能素子4を真空封止する機能を有する。
導電材12は、第1の基板1(デバイス基板)と第2の基板2(パッケージ基板)とを電気的に接続する機能を有する。具体的には、機能素子4と電気的に接続されている薄膜金属パッド7と、貫通電極6と電気的に接続している薄膜金属パッド8との間に、導電材12を介在させ、これらを電気的に接続する。これにより、機能素子4とパッケージ基板内の貫通電極6とを電気的に接続する。
導電材12と接合材11とは、異なる材料で形成されている。強度及び真空度が要求される部分には、硬く且つ導電性が低い接合材11を用いて接合を行い、導通性が要求される部分には、柔らかくて加工し易い導電材12を用いて電気的接続を行うことが好ましい。
接合材11としては、接合力が高い材料を用いることが好ましい。接合力が高い材料を用いることで、第1の基板1と、第2の基板2とを確実に真空封止することができる。
また、接合材11としては、第1の基板1と第2の基板2との間に、所定の間隔を保持できる硬度を有する材料を用いることが好ましい。第1の基板1と第2の基板2との間に、所定の間隔を保持できることにより、機能素子4を真空封止するための、Cavity 3を形成することができる。これより、別途、パッケージ基板に機能素子4を収容するための空間を形成しなくても済む。更に、第1の基板1及び第2の基板2は、平板のままでの接合が可能になる。
また、接合材11としては、機械的ストレスにも耐性がある材料を用いることが好ましい。機械的ストレス耐性がある材料を用いることで、大口径のシリコンウェハを接合した後、チップ化する際のダイシング(チップ分割)による機械的ダメージを受け難くすることができる。
また、接合材11としては、安価な材料を用いることが好ましい。安価な材料を用いることで、接合エリアを広げても、接合における全体的なコストを抑えることができる。
具体的に、接合材11としては、ガラスフリット材やポリマー樹脂等を用いることが好ましい。ポリマー樹脂としては、エポキシ、ドライフィルム、BCB、ポリイミド、UV硬化樹脂等が挙げられる。ただしポリマー樹脂としては、耐熱温度が高くないことと、気密性が課題である。
なお、接合材11としてAu等に代表される貴金属を接合材に用いることも可能である。しかしながら、高価な貴金属を、接合材として大量に用いた場合、コストを抑えることは困難であるため好ましくない。
導電材12としては、導電性が高く、柔らかく、接合時の加圧及び加熱に対して潰れ易い材料であることが好ましい。また、半田接合等の半田リフロー時の温度に耐えられる材料であることが好ましい。
具体的に、導電材12としては、Au、Ag、等の金属、それらの合金のペースト材及び半田材等を用いることが好ましい。これらの材料を用いて、導電材12を加熱、加圧することで、導電材12と薄膜金属パッド7との間、及び導電材12と薄膜金属パッド8との間で金属材料の相互拡散が生じ、拡散接合を行なうことができる。その結果、機能素子4とパッケージ基板内の貫通電極6とを電気的に接続することができる。
なお、本明細書において「拡散接合」とは、導電材12を加熱、加圧し、金属材料の拡散を利用して、貫通電極6と導電材12とを電気的に接続することを意味するものとする。
第1の基板1は、可動部、検出部、等を有する機能素子4、その他、電子回路等が形成されている基板である。第1の基板1上には、機能素子、及び電子回路等を形成するための色々な膜やパターンなどが存在する。第1の基板1としては、シリコンを用いることが好ましい。なお、シリコンを用いる場合、シリコン基板は、Bulk基板でも良いし、SOI(Silicon On Insulator)基板でも良い。
第2の基板2は、密閉されたCavity 3内に収容された機能素子4を真空封止(あるいは、大気圧よりも圧力が低く調整された空間に封止)するためのパッケージ基板である。第2の基板2としては、セラミック、ガラス、シリコン等を用いることができる。
電極5は、機能素子4と電気的に接続される。電極5としては、アルミ、アルミ合金等を用いることができる。
貫通電極6は、第2の基板2内に形成される。露出した両端部に薄膜金属パッド8及び薄膜金属パッド9を形成することで、外部回路との電気的接続、あるいは機能素子4との電気的接続を行う機能を有する。貫通電極6としては、Au、Ag、Ti、W、等の金属、それらの合金、低抵抗のポリシリコン等を用いることができる。
薄膜金属パッド7は、電極5と導電材12とを電気的に接続する。なお、薄膜金属パッド7は、電極5と薄膜金属パッド7、及び薄膜金属パッド7と導電材12の密着性を向上させるためのパッドとして機能する。また、薄膜金属パッド7は、金属材料が拡散するのを防止するためのバリア層として機能する。
複数の機能を有するため薄膜金属パッド7は、積層構造で形成されることが好ましい。
密着性向上を重視する電極5との境界(例えば1層目)には、Cr、Ti等の金属、それらの合金等を用いることが好ましい。更に、金属材料の拡散防止を重視するバリア層(例えば2層目)には、Pt、Ni等の金属、それらの合金等を用いることが好ましい。更に、密着性向上を重視する導電材12との境界(例えば3層目)には、Au、Ag、Cu等の金属、それらの合金等を用いることが好ましい。
薄膜金属パッド8は、導電材12と貫通電極6とを電気的に接続する。薄膜金属パッド8は、薄膜金属パッド7と同様に、導電材12と薄膜金属パッド8、及び薄膜金属パッド8と貫通電極6との密着性を向上させるためのパッドとして機能する。また、薄膜金属パッド8は、金属材料が拡散するのを防止するためのバリア層として機能する。従って、薄膜金属パッド8もまた、薄膜金属パッド7と同様に、積層構造で形成されることが好ましい。
薄膜金属パッド8としては、薄膜金属パッド7と同様の材料を用いることができる。
薄膜金属パッド9は、メッキ層10のためのUBM(Under Barrier Metal:アンダーバリアメタル)層として機能する。UBM層を用いることで、メッキ層10と貫通電極6との界面に形成される金属間化合物層の成長を抑制し、メッキ層10と薄膜金属パッド9との、また薄膜金属パッド9と貫通電極6との界面強度の向上を図ることができる。
薄膜金属パッド9としては、Ti、Cr、Ni、Al等を用いることができる。
メッキ層10は、本実施の形態に係るデバイス100が、最終的にプリント基板へ半田実装される際に必要な層である。メッキ層10としては、Ni、Au、Ag、Cu等を用いることができる。
本実施形態に係るデバイス100によれば、接合材11としては、安価で硬い材料を、導電材12としては、柔らかく導電性の高い材料を用いることで、機能素子4の真空封止、機能素子4とパッケージ基板との電気的接続、という各々の接合に対して最適な材料を選定できる。更に、真空封止及び電気的接続をウェハレベルで同時に行うことができる。従って、安価、且つ信頼性の高い接合を行うことができる。
(変形例1)
図2は、本実施形態に係るデバイス101の構造を示す断面図の一例である。図1に示すデバイス100と異なる部分を中心に説明する。デバイス100と同じ部分には同じ符号を付している。
図1と図2とで異なる部分は、パッケージ基板(第2の基板13)として用いられている材料が、通常セラミック、ガラス、シリコン等ではなく、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramic)である、という部分である。
第2の基板13としてLTCC基板を用いることで、LTCC基板内に形成される内部配線16の形状及び位置を自由に制御し易くなる。このため、デバイス100に示す様な貫通電極6をパッケージ基板に形成した場合と比較して、内部配線16をパッケージ基板に形成した場合の方が、金属薄膜パッド9及び導電材12の位置を、比較的自由に設計しても、金属薄膜パッド9と導電材12とを確実に電気的接続することが可能になる。即ち、鉛直方向において、薄膜金属パッド9と導電材12とが同一の直線上に存在しなくても、内部配線16のパターン形状を工夫することで、薄膜金属パッド9と導電材12とを電気的に接続することができる。
(変形例2)
図3(A)は、本実施形態に係るデバイス102の構造を示す断面図の一例である。また、図3(B)は、本実施形態に係るデバイス102の構造を示す平面透過図の一例である。
図1に示すデバイス100と異なる部分を中心に説明する。デバイス100と同じ部分には同じ符号を付している。
図1に示すデバイス100では、鉛直方向において、電極5、薄膜金属パッド9、導電材12が同一の直線上に存在している。電気的接続のためには、これらの位置合わせを行なう必要があり、設計の際、レイアウトに制限があった。
図3(A)に示すデバイス102では、鉛直方向において、電極5、薄膜金属パッド9、導電材12が同一の直線上に存在していない。即ち、図3(B)に示すように、電極5、薄膜金属パッド9、導電材12の位置が全てずれている。
このような場合であっても、デバイス102の構造とすることで、電極5と、薄膜金属パッド9と、導電材12を、電気的に接続することが可能である。
例えば、薄膜金属パッド7を利用することで、電極5と導電材12とを電気的に接続する。また、例えば、薄膜金属パッド8を利用することで、導電材12と貫通電極6とを電気的に接続する。
即ち、図3(A)に示すように、薄膜金属パッド7及び薄膜金属パッド8を、内部配線として利用し、薄膜金属パッド7を延長して、電極5と導電材12が電気的に接続できるように、薄膜金属パッド7を形成する。また、薄膜金属パッド8を延長して、導電材12と貫通電極6が電気的に接続できるように、薄膜金属パッド8形成する。このように、薄膜金属パッド7及び薄膜金属パッド8のパターン形状を工夫することで、電極5、薄膜金属パッド9、導電材12が鉛直方向において、位置が全てずれていても、電極5と薄膜金属パッド9と導電材12とを電気的に接続することができる。
図3に示すデバイス102は、レイアウトの自由度が、より高い。電極5、薄膜金属パッド9、導電材12の位置を自由に選定し、設計することができるため、実用化し易い。
また、デバイス102は、パッケージ基板に貫通電極6を有していながら、LTCC基板13の内部配線16や、ウェハレベルCSP (Wafer level Chip Size Package)と、同様の効果を奏する。従って、デバイスの高集積化、小型化を図ることができる。
(変形例3)
図4は、本実施形態に係るデバイス103(半導体装置)の構造を示す断面図の一例である。図1に示すデバイス100と異なる部分を中心に説明する。デバイス100と同じ部分には同じ符号を付している。
図1と図4とで異なる部分は、第1の基板1上に、第3の基板14を、形成している、という部分である。本実施形態に係るデバイス103によれば、第1の基板1と第2の基板2とを接合材11を介して、また、第1の基板1と第3の基板14とを接合材15を介して、同時に接合することができる。
接合材11と接合材15とは同一の材料で構成することができる。
第3の基板14には、レンズ等を形成することができる。また、今後、予想されるMEMSデバイスのアプリケーションの拡大に対応させて、第3の基板14には、IC(Integrated Circuit)回路、LSI(Large Scale IC)回路、等の集積回路のみならず、光通信デバイス、モバイル通信用デバイス、自動車のエアバック用加速度センサ等、あらゆる素子を形成することができる。
なお、図4では、基板3枚を積層して同時に接合する例を示したが、積層する基板の枚数は特に限定されない。デバイス103に示す様に、基板を3次元的に積層させた積層構造にし、これらの基板を同一の材料で構成された接合材を用いて同時に接合することで、デバイス作製の際の工程の大幅な削減、また、デバイスの小型化が期待できる。
(デバイスの作製方法)
図5は、本実施形態に係るデバイス100の作製方法の一例を示す図である。以下、図5を用いて、デバイス100の作製方法について説明する。
まず、図5(A)に示す様に、第1の基板(例えば、シリコン基板)1上に、一般的なMEMSを作製する工程と同様に、IC回路やセンサ等の機能素子4が形成される。
次に、スパッタ法等によって、電極5が形成される。電極5は、アルミ、又はアルミ合金を用いて0.5um〜3.0um程度の膜厚で形成される。
電極5上に、スパッタ法等によって、薄膜金属パッド7が形成される。薄膜金属パッド7は、幅が電極5と同等の大きさ、又は電極5以上の大きさで形成される。また、薄膜金属パッド7は、3層の積層構造を有し、100nm〜5000nm程度の膜厚で形成される。
具体的には、1層目として、Ti層、Cr層等、またそれらの合金層が形成される。1層目は、密着層として機能させることができる。1層目の上部に2層目として、Ni層、Pt層等、またそれらの合金層が形成される。2層目は、金属材料の拡散を防止するためのバリア層として機能させることができる。2層目の上部に3層目として、Au層、Ag層、Cu層等、またそれらの合金層が形成される。3層目は、上部層(ここでは、導電材12)との合金化のための合金層として機能させることができる。
なお、本実施形態において薄膜金属パッド7が3層の積層構造を有する例について説明するが該構造に限定されない。3層以外の積層構造であっても良い。
次に、図5(B)に示す様に、薄膜金属パッド7上に、導電材12が形成される。
導電材12は、次工程での接合の際、電極5と貫通電極6とを電気的に接続するために形成される。導電材12は、Au、Ag等の貴金属、又はそれらの合金のペースト材及び半田材等を用いてスクリーン印刷等の方法でパターン形成される。導電材12の膜厚は、空間(Cavity)3の間隔、所謂第1の基板1と第2の基板2との間隔に依存するため、10um〜50um程度の膜厚で形成される。
導電材12は、比較的柔らかい材料(例えば、ペースト材)、導電性の高い材料で形成される。また、焼成温度が400℃〜450℃以下である焼成材で形成されることが好ましい。
次に、導電材12がパターン形成された後、不要な溶剤を取り除くために、導電材12(ペースト材)に対してプリベークが施される。プリベークの際の温度は、ペースト材内のガス及び水分を除去できる温度であることが好ましい。プリベークにて不要な溶剤を除去し、更に不要なガス及び水分の除去を行なうことで、次工程での接合の際、より信頼性の高い接合を実現できる。更に、プリベークの際の温度は、次工程での接合における接合温度よりも低い温度であることが好ましい。従って、200℃〜400℃程度の温度でプリベークを行なうことが好ましい。
次に、図5(C)に示す様に、第2の基板(例えば、ガラス基板)に、貫通電極6が形成される。露出した貫通電極6の一方の端部には、薄膜金属パッド8が形成される。また、露出した貫通電極6の他方の端部には、薄膜金属パッド9が形成される。
薄膜金属パッド8は、薄膜金属パッド7と同様の材料を用いて形成される。例えば、3層の積層構造(Ti層、Cr層等、またそれらの合金層/Ni層、Pt層等、またそれらの合金層/Au層、Ag層、Cu層等、またそれらの合金層)で、100nm〜5000nm程度の膜厚で形成される。
薄膜金属パッド9は、Ti、Cr、Ni、Al等を用いて、100num〜10um程度の膜厚で形成される。
次に、図5(D)に示す様に、第2の基板2上に、接合材11が形成される。接合材11は、次工程での接合の際、第1の基板と第2の基板2とを接合するために形成される。
接合材11は、ガラスフリット材やポリマー樹脂を用いて、スクリーン印刷等の方法でパターン形成される。接合材11の膜厚が、Cavity 3の間隔を決定するため、接合材11は、10um〜50um程度の膜厚で形成される。なお、接合材11の高さを均一にするために、例えば、ガラスフリット材にガラスビーズ材等を加えても良い。
接合材11は、比較的硬い材料、安価な材料で形成されることが好ましい。
また、高温により、機能素子4への悪影響が生じることを防ぐため、焼成温度が400℃〜450℃以下である焼成材で形成されることが好ましい。具体的には、ガラスフリット材等を用いることが好ましい。
接合材11の焼成温度と導電材12の焼成温度とがほぼ同じであることで、第1の基板1と第2の基板2との真空封止のための接合と、第1の基板1と第2の基板2との電気的接続のための接合を同時に行うことができる。
次に、接合材11がパターン形成された後、不要な溶剤を取り除くために、接合材11に対してプリベークが施される。200℃〜400℃程度の温度でプリベークを行なうことが好ましい。
次に、図5(E)に示す様に、図5(B)で作製されたデバイス基板と、図5(D)で作製されたパッケージ基板とを接合する。
接合機16によって、第1の基板1及び第2の基板2を加圧し、更に、第1の基板1及び第2の基板2を加熱する。接合時の加熱温度は、350℃〜450℃程度であることが好ましい。即ち、機能素子4に悪影響を与えず、且つ接合材11(例えば、ガラスフリット材)や導電材12(例えば、Agペースト材)が焼成、硬化する温度であることが好ましい。
なお、Cavity 3内の真空度の調整は接合機16の内部で行なわれる。上述したように、接合材11及び導電材12には、プリベークが施され不要な溶剤、ガス及び水分の除去が行なわれている。プリベークは、精度の高い真空封止を行なうために重要な工程であり、該プリベークと、接合機16による接合中の真空引きによって、不要なガスや空気は、Cavity 3からほぼ除去される。この状態で、接合機16によりCavity 3内の真空度を調整することで、高精度な接合を行うことができる。
図5(F)に示す様に、接合後、導電材12は、接合機16による加熱、加圧によって押しつぶされ、薄膜金属パッド7、8と拡散接合することにより、導電材12と薄膜金属パッド7、8とは電気的に接続される。
また、図5(F)に示す様に、接合材11は、導電材12と比べて硬い材料で形成されているため、接合後、接合機16による加熱、加圧によって変形することは、ほぼ無いと考えて良い。即ち、接合材11の膜厚の分だけ、第1の基板1と第2の基板2との間に所定の間隔が保持され、Cavity 3が形成される。パッケージ基板に、別途空間を形成することなく、機能素子4は、Cavity 3内に真空封止される。
なお、上述の接合工程によれば、第1の基板1と第2の基板2は、平板で良いため、別途、機能素子4を収容するための空間を形成する、等の無駄な工程を省ける。
最後に、メッキ層10が、薄膜金属パッド9と接するように形成される。メッキ層10は、Ni、Au、Ag、Cu等を用いて、100nm〜100um程度の膜厚で形成される。
本実施の形態に係る作製方法によれば、導電材12より硬く、且つ導電性の低い接合材11を用いて、第1の基板1と第2の基板2とを接合することにより、第1の基板1と第2の基板2との間に所定の間隔を安定して保持し、機能素子4を高精度に真空封止できる。同時に、柔らかく、且つ導電性の高い導電材12を用いて、拡散接合することにより、第1の基板1上に形成された電極と、第2の基板2に形成された貫通電極とを、確実に電気的接続できる。
また、安価な材料で、接合材11を構成することで、低コストでの接合が可能になる。
即ち、本実施の形態に係るデバイス、及びデバイスの作製方法によれば、電気的接続に最適な材料と、真空封止に最適な材料を、それぞれ選定し、ウェハレベルで同時に接合を行うことで安価、且つ信頼性の高い接合を行うことができる。
<第2の実施形態>
(デバイスの構造)
図6は、本実施形態に係るデバイス200の構造を示す断面図の一例である。
デバイス200は、第1の基板201、第2の基板202、第3の基板203、機能素子204、駆動回路205、薄膜金属パッド206、薄膜金属パッド207、薄膜金属パッド208、貫通電極209、導電材210、第1の接合材211、第2の接合材212、光学素子213、キャビティ(空間)214を含む。
第1の基板201には、機能素子204、及び機能素子204を駆動させるための駆動回路205が形成されている。機能素子204(例えば、光センサ、圧力センサ、赤外線センサ、加速度センサ等)は、公知の微細加工技術及び薄膜形成技術を用いて形成される。機能素子204は、各種センサ等に加えて、例えば、振動子等のアクチュエータを含んでいても良い。駆動回路205は、公知の半導体技術を用いて形成される。
第1の基板201の材料としては、例えば、Si、SOI(silicon on insulator)等が挙げられる。
第2の基板202には、貫通電極209が形成されており、貫通電極209の一方の端部には、薄膜金属パッド207が、貫通電極209の他方の端部には、薄膜金属パッド208が形成されている。貫通電極209を介して、機能素子204は外部と電気的に接続される。
第2の基板202の材料としては、絶縁性を有する材料であれば、特に限定されず、例えば、ガラス、セラミックス、等が挙げられる。
第3の基板203には、光学素子213が形成されている。光学素子213は、公知の薄膜形成技術を用いて形成される。光学素子213としては、例えば、回折格子、レンズ、フィルター等が挙げられる。
第3の基板203の材料としては、例えば、Si、等が挙げられる。
導電材210は、駆動回路205と貫通電極209との間に形成される。導電材210及び薄膜金属パッド206、207を介して、駆動回路205と貫通電極209とは導通する。導電材210の一方の端部には、薄膜金属パッド206が、導電材210の他方の端部には、薄膜金属パッド207が形成されている。
導電材210の材料としては、導電性が高く、柔らかく、接合時の加圧及び加熱に対して潰れ易い材料であることが好ましい。また、半田接合等の半田リフロー時の温度に耐えられる材料であることが好ましい。導電材210の材料としては、例えば、Au、Ag、Al、等の金属、それらの合金のペースト材及び半田材、ポーラスAu等を用いることができる。
薄膜金属パッド206は、3層の積層構造とすることができる。例えば、薄膜金属パッド206を、Cr/Pt/Auの積層構造とする場合、Au層は、導電性を高めるために、導電材210と接する面に形成され、Cr層は、駆動回路205の電極と接する面に形成されることが好ましい。
薄膜金属パッド207も、同様に、3層の積層構造とすることができる。例えば、薄膜金属パッド207を、Cr/Pt/Auの積層構造とする場合、Au層は、導電性を高めるために、導電材210と接する面に形成され、Cr層は、密着性を高めるために、第3の基板203と接する面に形成され、Pt層は、拡散防止のために、中央の層に形成されることが好ましい。なお、Cr層の代わりに、Ti層を用いることも可能であるし、Pt層の代わりに、Ni層を用いることも可能である。
薄膜金属パッド208も、同様に、3層の積層構造とすることができる。Au層は、外部と接する面に形成され、Cr層は、密着性を高めるために、第3の基板203と接する面に形成され、Pt層は、拡散防止のために、中央の層に形成されることが好ましい。
第1の接合材211は、第1の基板201と第2の基板202との間に形成され、第1の基板201と第2の基板202とを接合する。第1の接合材211を介して、第1の基板201と第2の基板202とは所定の間隔を保持して接合され、これにより、機能素子204は、真空封止される。第1の基板201と第2の基板202との間には、機能素子204をパッケージングするためのキャビティ214が存在する。
第1の接合材211の材料としては、ガラスフリット材、ポリマー樹脂、等を用いることが好ましい。
第1の接合材211の厚さは、20μm程度であることが好ましい。第1の接合材211の厚さを、機能素子204の厚さ(10μm程度)と比較して厚くすることで、接合後における機能素子204と第2の基板202との干渉を避けることができる。
第1の接合材211の幅は、150μm程度であることが好ましい。なお、機能素子204と第1の接合材211との間の距離が少なくとも50μm以上となるように、第1の接合材211の幅を、適宜、調整する必要がある。
第2の接合材212は、第1の基板201と第3の基板203との間に形成され、第1の基板201と第3の基板203とを接合する。第2の接合材211を介して、第1の基板201と第3の基板203とは所定の間隔を保持して接合される。該間隔は、第2の接合材211の厚さを変更することで、任意に調整することが可能である。
第2の接合材212の厚さは、第1の接合材211の厚さと等しくても良い。又、第2の接合材212の幅は、第1の接合材211の幅と等しくても良い。又、第2の接合材212の材料は、第1の接合材211の材料と等しくても良い。
第2の接合材212を、第1の接合材211と等しい厚さ、等しい幅、等しい材料で形成することにより、低コスト且つ簡易なプロセスで、デバイス200を作製することができる。又、機能素子204が形成される第1の基板201に、更に、光学素子213が形成される第3の基板203を重ね合わせることで、低コストでありながら、小型で高機能な多層基板構造を有するデバイス200を実現することができる。
(変形例1)
図7は、本実施形態に係るデバイス300の構造を示す断面図の一例である。図6に示すデバイス200と異なる部分を中心に説明する。デバイス200と同じ部分には同じ符号を付している。
デバイス300は、デバイス200と異なる第2の接合材312を含む。第2の接合材312は、第1の接合材211と、厚さ及び幅が異なるが、材料は等しい。
図7に示す様に、第2の接合材312の厚さを、第1の接合材211の厚さと比較して薄くする、例えば、10μm程度とすることができる。又、第2の接合材312の幅を、第1の接合材211の幅と比較して広くする、例えば、200μm程度とすることができる。
このように、第2の接合材312の厚さを第1の接合材211の厚さと比較して薄くすることにより、光学素子213と機能素子204との距離を近づけることができる。従って、機能素子204に対する光学素子213の位置合わせ精度を高めることができるため、機能素子204の光学特性を向上させることができる。
又、第2の接合材312の幅を第1の接合材211の幅と比較して広くすることにより、複数のデバイスが形成されたウェハを分割して個片化する際、分割位置の調整が容易になる。従って、精度の高いダイシングを行うことができるため、デバイス300を比較的容易に小型化することができる。
(変形例2)
図8は、本実施形態に係るデバイス400の構造を示す断面図の一例である。図6に示すデバイス200と異なる部分を中心に説明する。デバイス200と同じ部分には同じ符号を付している。
デバイス400は、デバイス200と異なる第2の接合材412を含む。第2の接合材412は、第1の接合材211と、厚さ、幅、材料が異なる。
図8に示す様に、第2の接合材412の厚さを、第1の接合材211の厚さと比較して薄くする、例えば、1μm程度とすることができる。又、第2の接合材412の幅を、第1の接合材211の幅と比較して広くする、例えば、200μm程度とすることができる。又、第2の接合材412を、金属とする、例えば、AuとSnの合金とすることができる。
このように、第2の接合材412を、金属で形成することにより、ガスの発生を抑制することができるため、接合時における第2の接合材412の接合温度を、第1の接合材211の接合温度と比較して低くすることができる。比較的低温での接合でありながら、真空度の高い気密封止を行うことができるため、製造プロセスが簡易化されてもデバイス400の性能を維持できる。
(変形例3)
図9は、本実施形態に係るデバイス500の構造を示す断面図の一例である。図6に示すデバイス200と異なる部分を中心に説明する。デバイス200と同じ部分には同じ符号を付している。
デバイス500は、デバイス200と異なる第2の接合材512を含む。第2の接合材512は、第1の接合材211と、幅及び材料が異なるが、厚さは等しい。
図7に示す様に、第2の接合材312の幅を、第1の接合材211の幅と比較して広くする、例えば、200μm程度とすることができる。又、第2の接合材412を、ポリマー樹脂、例えば、ポリイミド樹脂とすることができる。
このように、第2の接合材512を、ポリイミド樹脂で形成することにより、接合時における第2の接合材412の接合温度を、300℃以下とすることができる。即ち、低温接合が可能になるため、第3の基板203及び機能素子204の材料選択性を広げることができる。例えば、第3の基板203及び機能素子204の材料として、有機物系材料を使用することも可能になるため、デバイス500の材料コストを抑えることができる。
本実施形態に係るデバイス200、300、400、500によれば、第1の接合材211及び第2の接合材412の厚さ、幅、材料等を、諸条件に応じて、適宜、変更することにより、各基板に対して最適な接合材を用いて、各基板を接合することができる。従って、安価、且つ信頼性の高い接合を行うことができる。又、第1の接合材及び第2の接合材が、基板接合と機能素子のパッケージングという両機能を担うことで、製造プロセスを簡易化しつつ、小型で高機能なデバイスを実現できる。
(デバイスの作製方法)
図10は、本実施形態に係るデバイス200の作製方法の一例を示す図である。以下、図10を用いて、デバイス200の作製方法について説明する。
まず、図10(A)に示す様に、第1の基板(例えば、シリコン基板)201に、公知の微細加工技術、半導体薄膜形成技術により、機能素子204及び駆動回路205が形成される。
次に、スパッタ法等により、駆動回路205に接して、薄膜金属パッド206が形成される。駆動回路205には、電極(例えば、Al)が形成されており、薄膜金属パッド206は、該電極と、後に形成される導電材210とを導通させるために形成される。薄膜金属パッド206は、例えば、3層の積層構造(例えば、Cr/Pt/Au)を有し、100nm〜5000nm程度の膜厚で形成される。
次に、図10(B)に示す様に、スクリーン印刷法等により、薄膜金属パッド206に接して、ドット状の導電材210(例えば、Agペースト)が形成される。導電材210の材料としてAgペーストを用いる場合は、溶剤とバインダーを除去するため、導電材210に対して、200℃程度の温度で、十分に加熱処理及び焼成処理を施すことが好ましい。
導電材210のドット径は、150μm程度であることが好ましく、薄膜金属パッド206及び薄膜金属パッド207より小さいことが好ましい。
導電材210は、加熱処理、及び焼成処理が施された後の膜厚が、20μm程度であることが好ましい。又、導電材210の膜厚は、薄膜金属パッド206の膜厚、薄膜金属パッド207の膜厚と比較して厚くなるように形成されることが好ましい。
次に、図10(C)に示す様に、第2の基板(例えば、ガラス基板)202に、貫通電極209が形成される。露出した貫通電極209の一方の端部には、スパッタ法等により、薄膜金属パッド207が形成される。又、露出した貫通電極209の他方の端部には、スパッタ法等により、薄膜金属パッド208が形成される。薄膜金属パッド207及び薄膜金属パッド208は、例えば、3層の積層構造(例えば、Cr/Pt/Au)を有し、100nm〜5000nm程度の膜厚で形成される。
次に、図10(D)に示す様に、第1の接合材211(例えば、ガラスフリット材)が、スクリーン印刷法等により、第2の基板202上に、機能素子204及び貫通電極209を取り囲むように、形成される。第1の接合材211は、10μm〜50μm程度の膜厚となるように形成される。
第1の接合材211を、乾燥及び焼成させることにより、溶剤及びバインダーが除去される。更に、400℃以上の加熱処理が施されることにより、第1の接合材211は、ガラス化する。これにより、第1の基板201と第2の基板202との接合時に、機能素子204を真空封止することが可能になる。
次に、図11(A)に示す様に、図10(B)で作製されたデバイス基板(第1の基板201)と、図10(D)で作製されたパッケージ基板(第2の基板202)とを、位置合わせをした後、接合する。
接合機によって、第1の基板201及び第2の基板202を加圧し、更に、第1の基板201及び第2の基板202を加熱する(熱圧着する)。接合時の加熱温度は、350℃〜450℃程度であることが好ましい。即ち、機能素子204に悪影響を与えず、且つ第1の接合材211(例えば、ガラスフリット材)や導電材210(例えば、Agペースト)が焼成、硬化する温度であることが好ましい。
接合後、導電材210は、接合機による加熱、加圧によって押しつぶされ、薄膜金属パッド206、207と拡散接合する。これにより、導電材210と、薄膜金属パッド206、207とは導通する。
又、第1の接合材211は、導電材210と比べて硬い材料で形成されているため、接合後、接合機による加熱、加圧によって変形することは、ほぼ無いと考えて良い。即ち、第1の接合材211の膜厚の分だけ、第1の基板201と第2の基板202との間に所定の間隔が保持され、キャビティ214が形成される。パッケージ基板に、別途空間を形成することなく、機能素子204は、キャビティ214内に真空封止される。なお、上述の接合工程によれば、第1の基板201と第2の基板202は、平板で良いため、別途、機能素子204を収容するための空間を形成する、等の無駄な工程を省ける。
次に、図11(B)に示す様に、第2の接合材212(例えば、ガラスフリット材)が、スクリーン印刷法等により、第2の基板202上に、形成される。第2の接合材212を、を乾燥及び焼成させることにより、溶剤及びバインダーが除去される。更に、400℃以上の加熱処理が施されることにより、第2の接合材212は、ガラス化する。これにより、第1の基板201と第3の基板203との接合時に、逆方向から機能素子204を真空封止することが可能になる。
次に、図11(C)に示す様に、第3の基板203に、公知の微細加工技術、半導体薄膜形成技術により、光学素子213(例えば、光学フィルター)が形成される。
次に、図11(D)に示す様に、図11(B)で作製されたデバイス基板(第1の基板201)と、図11(C)で作製された基板(第3の基板203)とを、位置合わせをした後、接合する。
接合機によって、第1の基板201及び第3の基板203を加圧し、更に、第1の基板201及び第3の基板203を加熱する(熱圧着する)。接合時の加熱温度は、第1の基板201及び第2の基板202接合時の加熱温度と比較して高いことが好ましい。
上述の様に、第1の基板201と第2の基板202との接合、第1の基板201と第3の基板203との接合を、諸条件が最適化された第1の接合材211及び第2の接合材212を用いて、個別に行うことにより、高精度な接合を行うことができる。即ち、接合温度、接合材の厚さ、幅、材料を最適化することで、各種素子が形成される複数の基板を重ね合わせる場合であっても、接合強度及び接合信頼性を向上させることができるため、高機能なデバイスを実現することができる。
なお、図12乃至図15に示す様に、全ての基板を同時に接合することにより、本実施形態に係るデバイス200を作製しても良い。
この場合、まず、図12(A)に示す様に、第1の基板201に機能素子204及び駆動回路205を形成し、図12(B)に示す様に、導電材210を形成する。
次に、図13(A)に示す様に、第2の基板202に貫通電極209を形成し、図13(B)に示す様に、第1の接合材211を形成する。
次に、図14(A)に示す様に、第3の基板203に光学素子213を形成し、図14(B)に示す様に、第2の接合材212を形成する。
更に、図15(A)に示す様に、図12(B)で作製された基板と、図13(B)で作製された基板と、図14(B)で作製された基板との、位置合わせを行い、図15(B)に示す様に、全ての基板を同時に接合する。
接合機によって、第1の基板201、第2の基板202、及び第3の基板203を加圧し、更に、第1の基板201、第2の基板202、及び第3の基板203を加熱する(熱圧着する)。接合時の加熱温度は、350℃〜450℃程度であることが好ましい。
上述の様に、全ての基板を同時に接合することにより、製造プロセスを簡略化できるため、デバイス200の製造コストを抑えることが可能になる。
又、図16(A)に示す様に、第1の接合材211及び第2の接合材212、複数の機能素子等を、各基板にウェハレベルで形成した後に接合し、図16(B)に示す様に、個別素子に分割、個片化することも可能である。
この場合、多数の素子を一括プロセスで形成することができるため、デバイス200の製造コストを抑えることが可能になる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。