JP6769780B2 - 変性共役ジエン系重合体及びそのゴム組成物、並びにタイヤ - Google Patents
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Description
近年、転がり抵抗が小さい、すなわち低ヒステリシスロス性を有する材料の開発が求められてきている。
また、タイヤを軽量化するため、タイヤのトレッド部の厚みを減らす必要があり、さらに耐摩耗性の高い材料も求められている。
一方で、タイヤトレッド用に用いられる材料は、安全性の観点から、ウェットスキッド抵抗性に優れることと、実用上十分な破壊特性を有していることが要求されている。
例えば、シリカを含む材料を用いると、低ヒステリシスロス性及びウェットスキッド抵抗性とのバランス向上を図ることができる。また、運動性の高いゴムの分子末端部に、シリカとの親和性又は反応性を有する官能基を導入することによって、材料中におけるシリカの分散性を改良して、さらには、シリカ粒子との結合でゴム分子末端部の運動性を低減して、ヒステリシスロスを低減化する試みがなされている。
また、特許文献2〜4には、アミノ基を含有するアルコキシシラン類を重合体活性末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム、及びこれらとシリカとの組成物が提案されている。
さらに、特許文献5及び6には、環式アザシラサイクル化合物を重合体活性末端と反応させて官能化したポリマーが提案されている。
さらにまた、特許文献7には、重合体活性末端と多官能性シラン化合物をカップリング反応させて得られるジエン系ゴムが提案されている。
また、ゴムの分子末端にシリカとの反応性の高い官能基を導入した材料は、混練工程中にシリカ粒子との反応が進行して、組成物の粘度が上昇することに起因して、練り難くなったり、又は、混練り後にシートにする際に肌荒れが生じたり、シート切れが生じやすくなったりといった、加工性が悪化する傾向がみられるという問題を有している。加えて、このような材料を加硫物としたとき、特にシリカ等の無機充填剤を含む加硫物としたときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス、及び耐摩耗性が十分ではないという問題を有している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
重量平均分子量が、20×104以上300×104以下であり、
下記一般式(1)で表される、変性共役ジエン系重合体。
7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R5及びR8は、各々独立
に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R1、R6及びR9は、各々独立に、水素原子又
は炭素数1〜20のアルキル基を示す。
x、y及びzは、各々独立に、1〜2の整数を示し、q、s及びuは、0〜3の整数を
示し、rは、2〜6の整数を示し、共役ジエン系重合体鎖の数である(x+(y×r)+z)は、5〜20の整数である。アルコキシシリル基の数である(q+(s×r)+u)
は1以上である。)
重量平均分子量が、20×104以上300×104以下であり、
下記一般式(2)で表される、変性共役ジエン系重合体。
前記〔1〕又は〔2〕に記載の変性共役ジエン系重合体100質量部と、
伸展油1〜60質量部と、
を、含有する油展変性共役ジエン系重合体。
〔4〕
ゴム成分と、当該ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以上150質量部の充填剤と、を含み、
前記ゴム成分は、当該ゴム成分の総量に対して、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の変性共役ジエン系重合体を、10質量%以上含む、ゴム組成物。
〔5〕
前記〔4〕に記載のゴム組成物を含有する、タイヤ。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、後述する一般式(1)又は一般式(2)に示すように、共役ジエン系重合体鎖が変性剤残基に結合する5分岐以上の星型分岐構造を有しており、変性剤残基に少なくとも窒素原子及び珪素原子を有しており、各々共役ジエン系重合体鎖が前記珪素原子に結合しており、前記珪素原子に少なくとも1個のアルコキシ基が結合している、特定構造の、変性共役ジエン系重合体である。
重量平均分子量が20×104以上であることで、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性に優れる。
また、重量平均分子量が300×104以下であることで、加硫物とする際の加工性及び充填剤の分散性に優れ、実用上十分な破壊特性が得られる。
変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、好ましくは180×104以下であり、より好ましくは150×104以下である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、後述する一般式(1)又は一般式(2)に示すように、5分子以上の共役ジエン系重合体鎖が変性剤残基に結合する5分岐以上の星型分岐構造を有している。
前記共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体が、7分子以上の共役ジエン系重合体鎖が変性剤残基に結合する7分岐以上の星型分岐構造を有している場合、加硫物としたときに特に優れた低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と、実用上十分な破壊特性とを得ることができる、という効果をより奏する。
また、7分子以上の共役ジエン系重合体鎖が変性剤残基に結合する7分岐以上の星型分岐構造を有している、当該星型分岐構造を有する変性共役ジエン系重合体は、収縮因子(g’)が0.61以下となる傾向にある。
収縮因子が低い場合は、より分岐が多い傾向にある。
収縮因子は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体中の変性剤残基は、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させることによって生じる、変性剤由来の構造単位である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、変性剤残基に少なくとも窒素原子及び珪素原子を有しており、各々共役ジエン系重合体鎖が前記珪素原子に結合しており、更に前記珪素原子に少なくとも1個のアルコキシ基が結合している、後述する一般式(1)又は一般式(2)に示す、特定構造の変性共役ジエン系重合体である。このような構造を有することにより、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、加硫物としたときに優れた低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と、実用上十分な破壊特性が得られる。
x、y及びzは、各々独立に、1〜2の整数を示し、q、s及びuは、各々独立に、0〜3の整数を示し、rは、1〜6の整数を示し、共役ジエン系重合体鎖の数である(x+(y×r)+z)は、5〜20の整数であり、アルコキシ基の数(q+(s×r)+u)は1以上である。)
更に、共役ジエン系重合体鎖数に対するアルコキシ基数の比が0.75以下である変性共役ジエン系重合体は、分子量が同程度の重合体と比較して変性反応時の粘度上昇がゆるやかで、製造時に制御しやすい傾向にある。
共役ジエン系重合体鎖数に対するアルコキシ基数の比としては、一般式(1)では(q+(s×r)+u)/(x+y+z)で表され、一般式(2)では((q×p)+(s×r)+(u×t))/((x×p)+(y×r)+(z×t))で表される。共役ジエン系重合体鎖数に対するアルコキシ基数の比が0.5以下の場合、変性反応における溶液の粘度上昇がより小さく、反応の制御が容易である傾向にある。共役ジエン系重合体鎖数に対するアルコキシ基数が多い場合は、縮合反応が起こりやすく、経時変化が起こりやすい傾向にある。
これにより、加硫物とする際の加工性に優れる傾向にある。
共役ジエン系重合体鎖の数は、活性末端を有する共役ジエン系重合体と反応させる変性剤のモル数を調整することにより制御することができる。
共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。
これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共重合可能な他の単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニル芳香族化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の好ましい製造方法は、有機リチウム化合物の存在下、少なくとも共役ジエン化合物を重合する共役ジエン系重合体を得る重合工程と、前記共役ジエン系重合体5モル以上と、珪素原子に共役ジエン系重合体と結合する官能基を5個以上有し、少なくとも窒素原子及び珪素原子を有する特定の変性剤を反応する変性工程と、を有する。
当該製造方法により、加硫物としたときに優れた低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と、実用上十分な破壊特性が得られる変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にある。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体を製造する工程における重合工程においては、有機リチウム化合物の存在下、少なくとも共役ジエン化合物を重合して共役ジエン系重合体を得る。
重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合を行うことが好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体を得ることができる傾向にある。
共役ジエン系重合体は、単量体として、少なくとも共役ジエン化合物を重合することにより得られ、必要に応じて共役ジエン化合物及び共重合可能な他の単量体を共重合して得られる。
共役ジエン化合物としては、重合可能な共役ジエン化合物であれば特に限定されないが、1分子当り4〜12の炭素原子を含む共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは4〜8の炭素原子を含む共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
モノビニル芳香族化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アレン類としては、例えば、プロパジエン、及び1,2−ブタジエンが挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、及びビニルアセチレンが挙げられる。
重合工程においては、所定の重合開始剤を用いる。
重合開始剤としては、有機リチウム化合物を用いられ、少なくとも有機モノリチウム化合物を用いることが好ましい。
有機モノリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物が挙げられる。
また、有機モノリチウム化合物としては、その有機基とそのリチウムの結合様式において、例えば、炭素−リチウム結合を有する化合物、窒素−リチウム結合を有する化合物、及び錫−リチウム結合を有する化合物が挙げられる。
重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量は重合度に関係し、すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する傾向にある。したがって、分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
アルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。
回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、前記反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。
重合工程において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るためには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
不活性溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と、破壊特性とにより優れる傾向にある。
ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
ビニル結合量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランス及び耐摩耗性と、破壊強度とにより優れる傾向にある。ここで、変性ジエン系重合体がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の製造方法の変性工程においては、上記重合工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5個以上の結合し得る官能基を有し、変性剤分子中に少なくとも窒素原子及び珪素原子を有しており、当該珪素原子はアルコキシ基を有している変性剤を反応させ、アルコキシシリル基を残存させる方法によって、変性共役ジエン系重合体を得る。
共役ジエン系重合体の活性末端と結合し得る官能基としては、例えばアルコキシシリル基、ハロゲン基、エポキシ基、及びカルボニル基が挙げられる。
また、用いる変性剤における結合し得る官能基としては、好ましくはアルコキシシリル基及びハロゲン基であり、より好ましくはアルコキシシリル基である。
また、変性剤残基において、残存したアルコキシシリル基は仕上げ時の水等によりシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
R3、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R5及びR8は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R1、R6及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、rは、1〜6の整数を示す。)
官能基は好ましくは、アルコキシ基、ハロゲン基、エポキシ基、又はカルボニル基であり、より好ましくは全てがアルコキシ基である。
また、前記式(3)の変性剤としては、例えば、官能基がアルコキシシリル基及び他の官能基である場合として、N1,N1−ビス(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−N2,N2−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N1,N1,N3,N3−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピル)−N2−(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジプロピレントリアミンが挙げられる。
官能基がアルコキシ基及び他の官能基である場合として、N1,N1−ビス(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−N2,N2−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N1,N1,N3,N3−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピル)−N2−(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
R3、R4、R7、R12、R13は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R5及びR8は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R1、R6及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R10及びR11は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。p及びtは、各々独立に、1〜2の整数を示し、rは、0〜6の整数を示す。)
官能基は好ましくは、アルコキシ基、ハロゲン基、エポキシ基又は、カルボニル基を有する炭化水素基」であり、より好ましくは全てがアルコキシ基である。
また、例えば、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジプロピレントリアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、官能基がアルコキシシリル基及び他の官能基である場合として、N1,N1−ビス(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−N2,N2−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N1,N1,N3,N3−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピル)−N2−(3−ジクロルメチルシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
官能基がアルコキシ基及び他の官能基である場合、反応速度の違いによって、アルコキシ基が未反応で残存する方法を用いることが好ましい。例えば、アルコキシシリル基及びハロゲン基の場合、ハロゲン基の反応が早いので、共役ジエン系重合体末端とハロゲン基の反応が先に起こり、アルコキシ基が残る傾向である。その場合、変性剤におけるハロゲン数は、結合すべき共役ジエン系重合体の数と同じ又はそれ未満であり、変性剤におけるアルコキシ基数は残存すべきアルコキシ基の数と同じ又はそれよりも大きい数とする方法が好ましい。
なお、ハロゲンがハロゲン化シリル基を形成している場合、ハロゲン基が未反応で残った場合、アルカリ水中で加水分解して、シラノール基を形成する傾向がある。
ハロゲン基を用いる場合は、ハロゲン又はハロゲン化水素が腐食性とならないよう中和が必要な場合がある。
ただし、トリアルコキシシリル基1モルに対して、反応可能基は2モル、ジアルコキシシリル基1モルに対して、反応可能基は1モルと数えるものとする。
変性率が30質量%以上であることで、加硫物とする際に添加する充填剤、例えばシリカの分散性が改善される傾向にある。
変性率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
伸展油の添加量は、特に限定されないが、変性共役ジエン系重合体100質量部に対し、1質量部以上60質量部以下が好ましく、5質量部以上37.5質量部以下がより好ましい。
加硫物としては、例えば、タイヤ、ホース、靴底、防振ゴム、自動車部品、免振ゴムが挙げられ、また、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化用ゴムも挙げられる。
特に、変性共役ジエン系重合体は、タイヤ用のトレッドゴムの組成物に好適に用いられる。
加硫物は、例えば、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を、必要に応じて、シリカ系無機充填剤、カーボンブラック等の無機充填剤、本実施形態の変性共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等と混練して、変性共役ジエン系重合体組成物とした後、加熱して加硫することにより得ることができる。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分と、当該ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以上150質量部以下の充填剤とを含む。
また、前記ゴム成分は、当該ゴム成分の総量(100質量%)に対して、上述した本実施形態の変性共役ジエン系重合体を10質量%以上含む。
また、前記充填剤は、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
ゴム組成物は、シリカ系無機充填剤を分散させることで、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にあり、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と、破壊強度と、により優れる傾向にある。
本実施形態のゴム組成物が、タイヤ、防振ゴム等の自動車部品、靴等の加硫ゴム用途に用いられる場合にも、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
このようなゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴムが挙げられる。
具体的なゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物が挙げられる。
(変性共役ジエン系重合体/ゴム状重合体)の含有比率が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性が優れ、かつ高い破壊強度も得られる。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
充填剤の含有量は、充填剤の添加効果が発現する観点から、5.0質量部以上であり、充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性及び機械強度を実用的に十分なものとする観点から、150質量部以下である。
また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も挙げられる。
これらの中でも、強度及び耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカが挙げられる。これらのシリカの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカが好ましい。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい、例えば、比表面積が200m2/g以下のシリカ系無機充填剤と、比較的比表面積の大きい、例えば、200m2/g以上のシリカ系無機充填剤とを組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、特に比較的比表面積の大きい、例えば、200m2/g以上のシリカ系無機充填剤を用いる場合に、変性共役ジエン系重合体は、シリカの分散性を改善し、特に耐摩耗性の向上に効果があり、良好な破壊特性と低ヒステリシスロス性とを高度にバランスさせることができる傾向にある。
ゴム組成物中のシリカ系無機充填剤の含有量は、無機充填剤の添加効果が発現する観点から、5.0質量部以上であり、無機充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性及び機械強度を実用的に十分なものとする観点から、150質量部以下である。
これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、かつ、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以下のカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性能、導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
金属酸化物としては、以下のものに限定されないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。
金属水酸化物としては、以下のものに限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化ジルコニウムが挙げられる。
シランカップリング剤は、ゴム成分と無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、硫黄結合部分とアルコキシシリル基又はシラノール基部分とを一分子中に有する化合物が好ましい。
このような化合物としては、例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィドが挙げられる。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は、液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。
ゴムの軟化、増容、及び加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が全炭素中30%以上45%以下を占めるものがナフテン系、芳香族炭素数が全炭素中30%を超えて占めるものが芳香族系と呼ばれている。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体が共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体である場合、用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることで、ブリードアウトを抑制し、ゴム組成物表面のベタツキを抑制する傾向にある。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、ゴム成分とその他の充填剤、シランカップリング剤、及び添加剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
加硫剤の含有量は、ゴム組成物に用いるゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、120℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下のものに限定されないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系の加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸が挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
ゴム組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤、上記以外のその他の充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
本実施形態のゴム組成物は、タイヤ用のゴム組成物として好適に用いられる。
すなわち、本実施形態のタイヤは、ゴム組成物を含有する。
本実施形態のゴム組成物は、以下のものに限定されないが、例えば、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等の各種タイヤ:トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位への利用が可能である。特に、本実施形態のゴム組成物は、加硫物としたときに低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性に優れているので、省燃費タイヤ、高性能タイヤのトレッド用として、より好適に用いられる。
なお、後述する実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料である変性共役ジエン系重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとし、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。上記式中、Mは、絶対分子量である。
絶対分子量100万以上200万以下における収縮因子(g’)の平均をその共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とした。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。
測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。
変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりである。
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
・ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。
カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(物性7)と同様の測定を行い、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原
子を有していると判断した。
これにより、実施例1〜5、参考例6〜8、及び比較例1の変性共役ジエン系重合体が窒素原子を有すること、比較例2の変性共役ジエン系重合体が窒素原子を有しないことを確認した。
変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1
に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用い
て測定し、モリブデン青吸光光度法により定量した。
これにより、珪素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、珪素原子を有し
ていると判断した。
これにより、実施例1〜5、参考例6〜8、及び比較例1〜2の変性共役ジエン系重合体が珪素原子を有することを確認した。
内容積が10Lで、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.130mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0249g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.245mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。
反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、変性剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。
その他の物性も併せて表1に示す。
このとき、重合反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は71℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は4℃であった。
変性した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性を終了した。
酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が37.5gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、前記一般式(1)及び(2)の変性共役ジエン系重合体(試料1)を得た。試料1の物性を表1に示す。
変性剤の添加量を0.0303mmol/分とした。その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、前記一般式(1)及び(2)の変性共役ジエン系重合体(試料2)を得た。試料2の物性を表1に示す。
変性剤の添加量を0.0455mmol/分とした。その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、前記一般式(1)及び(2)の変性共役ジエン系重合体(試料3)を得た。試料3の物性を表1に示す。
重合開始剤n−ブチルリチウムを0.302mmol/分とし、極性物質を0.0288g/分とし、変性剤の添加量を0.0264mmol/分とした。その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、前記一般式(1)及び(2)の変性共役ジエン系重合体(試料4)を得た。試料4の物性を表1に示す。
変性剤をテトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中「B」と略す。)とし、変性剤の添加量を0.0303mmol/分とした。その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、前記一般式(1)及び(2)の変性共役ジエン系重合体(試料5)を得た。試料5の物性を表1に示す。
内容積が10Lで、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機
及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を2基連結し重合反応器とした。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを25.3g/分、スチレンを14.0g/分
、n−ヘキサンを206.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を1基目反応基の入
口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理
用のn−ブチルリチウムを0.123mmol/分で添加、混合した後、1基目反応基の
底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロ
パンを0.0267g/分の速度で、重合開始剤を0.307mmol/分の速度で、攪
拌機で激しく混合する1基目重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた
。1基目反応器頂部出口における重合溶液の温度が73℃となるように温度を制御した。
1基目反応器頂部と2基目反応器の底部を連結させることより、1基目反応器頂部から2
基目反応器底部へ重合体溶液を連続的に供給した。2基目反応器頂部出口における重合体
の温度が78℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、2基目反
応器頂部出口より、変性剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重
合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニ
ー粘度及び各種の分子量を測定した。その他の物性も併せて表1に示す。
変性剤の添加量を0.0512mmol/分とした。その他の条件は、前記〔参考例6〕と同様にして、前記一般式(1)の変性共役ジエン系重合体(試料7)を得た。試料7の物性を表1に示す。
変性剤をトリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン(表中、「D」と略す。)
とし、変性剤の添加量を0.0512mmol/分とした。その他の条件は、前記〔参考例6〕と同様にして、前記一般式(1)の変性共役ジエン系重合体(試料8)を得た。試料8の物性を表1に示す。
内容積が10Lで、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とした。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.130mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。
更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.220mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。
反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、変性剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。その他の物性も併せて表1に示す。
試料9の変性共役ジエン系重合体は、4分岐の構造であり、一般式(1)、(2)のいずれにも該当しない。
変性剤をビス(トリメトキシシリル)エタン(表中、「F」と略す。)とし、変性剤の添加量を0.0367mmol/分とした。その他の条件は、前記〔比較例1〕と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料10)を得た。試料10の物性を表1に示す。
試料10の変性共役ジエン系重合体は、窒素原子を有していないかつ4分岐の構造であり、一般式(1)、(2)のいずれにも該当しない。
表1に示す試料1〜10を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴ
ムを含有するゴム組成物を得た。
変性共役ジエン系重合体(試料1〜10):100質量部(オイル抜き)
シリカ(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」窒素吸
着比表面積170m2/g):75.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」):5.
0質量部
シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエ
トキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
S−RAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」):
37.5質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:1.0質量部
老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジア
ミン):2.0質量部
硫黄:2.2質量部
加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7
質量部
加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
合計:239.4質量部
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30〜50rpmの条件で、原料ゴム(試料1〜10)、充填剤(シリカ、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。
その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物を評価した。
具体的には、下記の方法により評価した。その結果を表2に示す。
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
比較例3の結果を100として指数化した。
指数が小さいほど加工性が良好であることを示す。
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
各々の測定値は、比較例3のゴム組成物に対する結果を100として指数化した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性の指標とした。
指数が大きいほどウェットグリップ性が良好であることを示す。
また、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを低ヒステリシスロス性の指標とした。
指数が小さいほど低ヒステリシスロス性が良好であることを示す。
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度及び引張伸びを測定し、比較例3の結果を100として指数化した。
指数が大きいほど引張強度、引張伸びが良好であることを示す。
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264−2に準拠して、荷重44.4N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例3の結果を100として指数化した。
指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
また、実施例の試料1〜8を使用したゴム組成物は、比較例の試料9〜10を使用したゴム組成物と比較すると、加硫物としたときにおける特に優れた低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性を有し、実用上十分な破壊特性をも有していることが確認された。
Claims (5)
- 重量平均分子量が、20×104以上300×104以下であり、
下記一般式(1)で表される、変性共役ジエン系重合体。
7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R5及びR8は、各々独立
に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R1、R6及びR9は、各々独立に、水素原子又
は炭素数1〜20のアルキル基を示す。
x、y及びzは、各々独立に、1〜2の整数を示し、q、s及びuは、0〜3の整数を
示し、rは、2〜6の整数を示し、共役ジエン系重合体鎖の数である(x+(y×r)+z)は、5〜20の整数である。アルコキシシリル基の数である(q+(s×r)+u)
は1以上である。) - 重量平均分子量が、20×104以上300×104以下であり、
下記一般式(2)で表される、変性共役ジエン系重合体。
、R12、R13は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R2、R5及びR8
は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R1、R6及びR9は、各々独立に
、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R10及びR11は、各々独立に、水素
原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。x、y及びzは、各々独立に、1〜2の整
数を示し、q、s及びuは、0〜3の整数を示し、rは、0〜6の整数を示し、p、tは
、1〜2の整数を示し、共役ジエン系重合体鎖の数である((x×p)+(y×r)+(
z×t))は、7〜20の整数である。アルコキシシリル基の数である((q×p)+(
s×r)+(u×t))は1以上である。) - 請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体100質量部と、
伸展油1〜60質量部と、
を、含有する油展変性共役ジエン系重合体。 - ゴム成分と、当該ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以上150質量部の充填
剤と、を含み、
前記ゴム成分は、当該ゴム成分の総量に対して、請求項1乃至3のいずれか一項に記載
の変性共役ジエン系重合体を、10質量%以上含む、ゴム組成物。 - 請求項4に記載のゴム組成物を含有する、タイヤ。
Priority Applications (1)
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