JP6769510B2 - 繊維状セルロース、繊維状セルロース分散液及び繊維状セルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
繊維状セルロースを水に分散させて、23℃における粘度が2500mPa・sの分散液とし、分散液を以下の撹拌条件で撹拌した場合、以下の式で算出される粘度変化率が±50%以内となる繊維状セルロース;
粘度変化率(%)=(撹拌後の粘度−撹拌前の粘度)/撹拌前の粘度×100
(撹拌条件)
23℃における粘度が2500mPa・sの分散液を、直径10cmの円筒状容器の5cmの高さまで入れ、長さ5cm、中心部の幅2cm、端部の幅1cmの楕円形の撹拌子を用いて、液面中心部が2cm凹む状態を維持して、23℃で24時間撹拌する。
[2] 繊維状セルロースの重合度が300以上500以下である[1]に記載の繊維状セルロース。
[3] 繊維状セルロースを0.4質量%となるように水に分散させて分散液とした場合、分散液の23℃における粘度が200mPa・s以上3000mPa・s以下となる[1]又は[2]に記載の繊維状セルロース。
[4] 塗料用である[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維状セルロース。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の繊維状セルロースを水に分散させてなる繊維状セルロース分散液。
[6] 亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有するセルロース繊維に解繊処理を施して繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを得る工程と、
繊維状セルロースに低チキソ化処理を施す工程とを含む繊維状セルロースの製造方法。
[7] 低チキソ化処理を施す工程は、繊維状セルロースの重合度を300以上500以下にする工程である[6]に記載の繊維状セルロースの製造方法。
[8] 低チキソ化処理を施す工程は、オゾン処理工程である[6]又は[7]に記載の繊維状セルロースの製造方法。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースに関する。なお、本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを、微細繊維状セルロースともいう。ここで、本発明の繊維状セルロースを水に分散させて、23℃における粘度が2500mPa・sの分散液とし、該分散液を以下の撹拌条件で撹拌した場合、以下の式で算出される粘度変化率が±50%以内となる。
粘度変化率(%)=(撹拌後の粘度−撹拌前の粘度)/撹拌前の粘度×100
(撹拌条件)
23℃における粘度が2500mPa・sの分散液を、直径10cmの円筒状容器の5cmの高さまで入れ、長さ5cm、中心部の幅2cm、端部の幅1cmの楕円形の撹拌子を用いて、液面中心部が2cm凹む状態を維持して、23℃で24時間撹拌する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
ηsp=(η1/η0)−1
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
ここで、式中のcは、粘度測定時の微細繊維状セルロースの濃度を示す。
さらに、下記式から重合度(DP)を算出する。
DP=1.75×[η]
この重合度は粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
<繊維原料>
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
微細繊維状セルロースが亜リン酸基を有する場合、微細繊維状セルロースの製造工程は、亜リン酸基導入工程を含む。亜リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、亜リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、亜リン酸基導入繊維が得られることとなる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じて亜リン酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒により亜リン酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、亜リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
亜リン酸基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、上述したような工程に加えて、さらに低チキソ化処理を施す工程を含むことが好ましい。具体的には、上述したように、適宜処理を施したセルロース繊維に解繊処理を施して繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを得る工程と、繊維状セルロースに低チキソ化処理を施す工程とを含むことが好ましい。すなわち、本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、例えば、セルロース繊維に解繊処理を施した後に、低チキソ化処理を施す工程を含むことが好ましい。なお、解繊処理工程の前には、上述したように、セルロース繊維に亜リン酸基を導入する工程をさらに含むことが好ましく、亜リン酸基を導入する工程の他に、洗浄工程やアルカリ処理工程をさらに含むことも好ましい。
本発明は、上述した微細繊維状セルロースを水に分散させてなる繊維状セルロース分散液(微細繊維状セルロース含有スラリーもしくはスラリーともいう)に関するものでもある。繊維状セルロース分散液は、例えば、塗料に添加するために用いられる塗料用分散液であってもよい。
本発明の微細繊維状セルロースは、増粘剤として各種用途に用いられることが好ましい。例えば、本発明の微細繊維状セルロースは、食品、化粧品、セメント、塗料(自動車、船舶、航空機等の乗り物塗装用、建材用、日用品用など)、インク、医薬品などへの添加物として用いることができる。また、本発明の微細繊維状セルロースは、樹脂系材料やゴム系材料に添加したりすることで、日用品への応用も可能である。中でも、本発明の微細繊維状セルロースは、塗料用微細繊維状セルロースであることが特に好ましい。
〔亜リン酸化微細繊維状セルロース分散液の製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
亜リン酸化時の薬液含浸パルプの加熱時間を250秒間とした以外は製造例1と同様にして、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、後述する測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.51mmol/gだった。
亜リン酸化時の薬液含浸パルプの加熱時間を400秒間とした以外は製造例1と同様にして、微細繊維状セルロース分散液をえた。なお、後述する測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は、1.86mmol/gだった。
〔TEMPO酸化微細繊維状セルロース分散液の製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。まず、乾燥質量100質量部相当の上記原料パルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を、水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して1.3mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
酸化反応時の次亜塩素酸ナトリウム溶液の量を1.0gのパルプに対して3.8mmolとした以外は製造例4と同様にして、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gだった。
酸化反応時の次亜塩素酸ナトリウム溶液の量を1.0gのパルプに対して10mmolとした以外は製造例4と同様にして、微細繊維状セルロース分散液を得た。なお、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.80mmol/gだった。
(オゾン処理による低チキソ化)
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度2質量%、固形分20g)に対して、オゾン濃度200g/m3のオゾン/酸素混合気体を1L加え、密閉容器内において25℃で2分間撹拌したのち、30分間静置した。この時のオゾン添加率は微細繊維状セルロース1gに対して1.0×10-2gであった。次いで、容器を開放して5時間撹拌し、分散液中に残存するオゾンを揮散させた。このようにして、微細繊維状セルロースの低チキソ化を行い、得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
オゾン濃度40g/m3のオゾン/酸素混合気体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。この時のオゾン添加率は微細繊維状セルロース1gに対して2.0×10-3gであった。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
(酵素処理による低チキソ化)
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度2質量%、固形分20g)に対して、酵素含有液(AB Enzymes社製、ECOPULP R、酵素含有量は約5質量%)を1000倍希釈したものを20g添加し、温度50℃で1時間撹拌した。この時の酵素添加率は微細繊維状セルロース1gに対して約5.0×10-5gであった。次いで、温度100℃で1時間撹拌し、酵素を失活させた。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例7と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例7と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度2質量%、固形分20g)に対して、酵素含有液(AB Enzymes社製、ECOPULP R、酵素含有量は約5質量%)を1000倍希釈して4g添加したこと以外は実施例7と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。この時の酵素添加率は微細繊維状セルロース1gに対して約1.0×10-5gであった。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例10と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例10と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
(次亜塩素酸ナトリウム処理による低チキソ化)
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度2質量%、固形分20g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を170g添加し、室温で1時間撹拌した。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1gに対して1.02gであった。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例13と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例13と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
微細繊維状セルロース分散液1000g(固形分濃度2質量%、固形分20g)に対して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度12質量%)を1.70g添加したこと以外は実施例13と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。この時の次亜塩素酸ナトリウム添加率は微細繊維状セルロース1質量部に対して1.02×10-2質量部である。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例16と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例16と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
(亜臨界水処理による低チキソ化)
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液を反応器内に入れ、200℃に昇温し、10秒間加熱した。このときの反応器内の圧力は20MPaであった。加熱終了後、反応器を水冷した後、反応器内の低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を回収した。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例19と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
加熱時間を1秒間としたこと以外は実施例19と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例22と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いたこと以外は実施例22と同様にして、低チキソ化微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた低チキソ化微細繊維状セルロース分散液について、粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例1において得られた亜リン酸化パルプ100g(固形分濃度20質量%、固形分20g)に対して、オゾン濃度200g/m3のオゾン/酸素混合気体を1L加え、密閉容器内において25℃で2分間撹拌したのち、30分間静置した。この時のオゾン添加率は微細繊維状セルロース1gに対して1.0×10-2gであった。その後、亜リン酸化パルプを洗浄し、残存するオゾンを除去した。次いで、得られたパルプを用いて固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2において得られた亜リン酸化パルプを用いたこと以外は比較例1と同様にして、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3において得られた亜リン酸化パルプを用いたこと以外は比較例1と同様にして、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
製造例6で得られた微細繊維状セルロース分散液をそのまま用いて粘度、重合度及び粘度変化率を後述した方法により測定した。
〔リンオキソ酸基量の測定〕
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を亜リン酸基量(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース含有スラリーにイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、0.2質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察すると、図2に示されるような滴定曲線が得られる。図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
微細繊維状セルロース分散液の粘度は、次のように測定した。まず、微細繊維状セルロース分散液を固形分濃度が0.4質量%となるようにイオン交換水により希釈した後に、ディスパーザーにて1500rpmで5分間撹拌した。次いで、これにより得られた分散液の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて測定した。測定条件は、回転速度3rpmとし、測定開始から3分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。また、測定対象の分散液は測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。測定時の分散液の液温は23℃であった。
微細繊維状セルロースの比粘度および重合度は、Tappi T230に従い測定した。測定対象のセルロース繊維を分散媒に分散させて測定した粘度(η1とする)、および分散媒体のみで測定したブランク粘度(η0とする)を測定したのち、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を下記式に従って測定した。
ηsp=(η1/η0)−1
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
ここで、式中のcは、粘度測定時の微細繊維状セルロースの濃度を示す。
さらに、下記式から微細繊維状セルロースの重合度(DP)を算出した。
DP=1.75×[η]
この重合度は粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
微細繊維状セルロース分散液の粘度変化率は、次のように測定した。
(撹拌前粘度の測定)
まず、後述する方法で測定した場合の粘度が約2500mPa・sとなるように、微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で希釈し、直径10cmの円筒状容器に微細繊維状セルロース分散液を5cmの高さまで入れ、ディスパーザーにて1500rpmで5分間撹拌した。撹拌終了時から1分後に、得られた微細繊維状セルロース分散液の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて測定した。測定条件は、回転速度6rpmとし、測定開始から1分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。また、測定時の分散液の液温は23℃であった。
(撹拌子による撹拌)
次いで、得られた粘度約2500mPa・sの微細繊維状セルロース分散液を直径10cmの円筒状容器に微細繊維状セルロース分散液を5cmの高さまで入れ、長さ5cm、中心部の幅2cm、端部の幅1cmの楕円形の撹拌子を用いて、液面中心部が2cm凹む状態を維持して24時間撹拌した。撹拌中の分散液の液温は23℃であった。
(撹拌後粘度の測定)
撹拌子による撹拌終了時から1分後に、微細繊維状セルロース分散液の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて直ちに測定した。測定条件は、回転速度6rpmとし、測定開始から1分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。また、測定時の分散液の液温は23℃であった。
(粘度変化率の計算)
以下の式で撹拌子による撹拌前後の粘度変化率を算出した。
粘度変化率(%)=(撹拌後粘度−撹拌前粘度)/撹拌前粘度×100
〔塗料の塗工適性の評価〕
本発明により得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた塗料の塗工適性を、次のように評価した。
(微細繊維状セルロース含有塗料の調製)
上記と同様の方法で得られた粘度約2500mPa・sの微細繊維状セルロース分散液100質量部に対して、光輝材(アルミニウムペースト WXM7640、東洋アルミ社製、アルミニウム濃度58〜61質量%)1質量部を加え、ディスパーザーにて1500rpmで5分間撹拌し、微細繊維状セルロース含有塗料を得た。
(塗料の循環及びスプレー塗工)
次いで、得られた微細繊維状セルロース含有塗料をポンプ式循環装置により配管内を24時間循環させた。循環終了後、直ちに微細セルロース含有塗料をスプレーガンで壁面に塗工し、液ダレの有無を確認した。また、塗工の際に微細セルロース含有塗料中の光輝材の沈降の有無を目視で確認した。塗料の液ダレ及び光輝材の沈降の結果から、微細繊維状セルロース含有塗料の塗工適性を4段階で評価した。
A:塗料循環後の塗工時に液ダレおよび光輝材の沈降がみられず、塗工適性が非常によい。
B:塗料循環後の塗工時に液ダレもしくは光輝材の沈降のいずれかがみられるが軽微であり、塗工適性がよい。
C:塗料循環後の塗工時に液ダレおよび光輝材の沈降がみられ、塗工適性がやや悪いが、実用上は問題ない。
D:塗料循環後の塗工時に液ダレおよび光輝材の沈降が多くみられ、塗工適性が悪く、実用上問題がある。
Claims (5)
- 下記式(2)で表される亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースの製造方法であって、
下記式(2)で表される亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有するセルロース繊維に解繊処理を施して、繊維幅が1000nm以下であり、かつ下記式(2)で表される亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを得る工程と、
前記繊維状セルロースにオゾン処理、酵素処理、次亜塩素酸処理及び亜臨界水処理から選択される少なくとも1種を施す工程とを含み、
前記繊維状セルロースの製造方法で得られる繊維状セルロースを水に分散させて、23℃における粘度が2500mPa・sの分散液とし、前記分散液を以下の撹拌条件で撹拌した場合、以下の式で算出される粘度変化率が±50%以内となる、繊維状セルロースの製造方法;
粘度変化率(%)=(撹拌後の粘度−撹拌前の粘度)/撹拌前の粘度×100
(撹拌条件)
23℃における粘度が2500mPa・sの分散液を、直径10cmの円筒状容器の5cmの高さまで入れ、長さ5cm、中心部の幅2cm、端部の幅1cmの楕円形の撹拌子を用いて、液面中心部が2cm凹む状態を維持して、23℃で24時間撹拌する;
式(2)中、bは自然数であり、mは任意の数であり、b×m=1である。αは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基または芳香族基である。 - 前記繊維状セルロースの製造方法で得られる繊維状セルロースの重合度が300以上500以下である請求項1に記載の繊維状セルロースの製造方法。
- 前記繊維状セルロースの製造方法で得られる繊維状セルロースを0.4質量%となるように水に分散させて分散液とした場合、前記分散液の23℃における粘度が200mPa・s以上3000mPa・s以下となる請求項1又は2に記載の繊維状セルロースの製造方法。
- 前記繊維状セルロースの製造方法で得られる繊維状セルロースは、塗料用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維状セルロースの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維状セルロースの製造方法により繊維状セルロースを得る工程と、
前記繊維状セルロースを水に分散させる工程とを含む繊維状セルロース分散液の製造方法。
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