JP6763423B2 - 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 - Google Patents
繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6763423B2 JP6763423B2 JP2018248485A JP2018248485A JP6763423B2 JP 6763423 B2 JP6763423 B2 JP 6763423B2 JP 2018248485 A JP2018248485 A JP 2018248485A JP 2018248485 A JP2018248485 A JP 2018248485A JP 6763423 B2 JP6763423 B2 JP 6763423B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fibrous cellulose
- group
- cellulose
- acid
- acid group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B11/00—Preparation of cellulose ethers
- C08B11/02—Alkyl or cycloalkyl ethers
- C08B11/04—Alkyl or cycloalkyl ethers with substituted hydrocarbon radicals
- C08B11/10—Alkyl or cycloalkyl ethers with substituted hydrocarbon radicals substituted with acid radicals
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 繊維状セルロースにおける第1解離酸量をA1とし、繊維状セルロースにおける総解離酸量をA2とした場合、A1/A2の値が0.51以上0.97以下であり、A2とA1の差が0.04mmol/g以上である[1]に記載の繊維状セルロース。
[3] [1]又は[2]に記載の繊維状セルロースを含む繊維状セルロース含有物。
[4] セルロース原料に対し、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、尿素及び/又は尿素誘導体とを混合し、リン酸基及び亜リン酸基を有するセルロース原料を得る工程を含む繊維状セルロースの製造方法。
[5] セルロース原料を得る工程では、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩のモル比率が0.01:99.99〜99.99:0.01となるように混合する[4]に記載の繊維状セルロースの製造方法。
本発明はリン酸基及び亜リン酸基を含む繊維状セルロースに関する。本明細書においては、リン酸基はリン酸基に由来する置換基であってもよい。また、亜リン酸基は亜リン酸基に由来する置換基であってもよい。すなわち、本発明の繊維状セルロースは、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基(単にリン酸基ともいう)、及び、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基(単に亜リン酸基ともいう)の両方を含む繊維状セルロースである。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
繊維状セルロースの製造方法は、セルロース原料に対し、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、尿素及び/又は尿素誘導体とを混合し、リン酸基及び亜リン酸基を有するセルロース原料を得る工程を含む。なお、以下では、リン酸基及び亜リン酸基を有するセルロース原料を得る工程を、リンオキソ酸基導入工程ともいう。
繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料(セルロース原料)から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施形態のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
リンオキソ酸基導入工程は、セルロース原料に対し、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩と、尿素及び/又は尿素誘導体とを混合し、リン酸基及び亜リン酸基を有するセルロース原料を得る工程である。リンオキソ酸基導入工程では、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩、並びに亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩が反応することで、リン酸基及び亜リン酸基を含むリンオキソ酸基を導入することができる。この工程により、リン酸基及び亜リン酸基を導入したセルロース原料が得られることとなる。なお、本明細書においては、リン酸基を有する化合物及び/又はその塩、並びに、亜リン酸基を有する化合物及び/又はその塩を含む化合物群を化合物Aと呼ぶことがあり、尿素及び/又は尿素誘導体を化合物Bと呼ぶことがある。
本実施形態における繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてリンオキソ酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりリンオキソ酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
繊維状セルロースを製造する場合、リンオキソ酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、リンオキソ酸基導入繊維に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リンオキソ酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
繊維状セルロースを製造する場合、リンオキソ酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、リンオキソ酸基導入繊維に対して酸処理を行ってもよい。例えば、リンオキソ酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを製造する場合、繊維状セルロースの製造方法は、解繊処理工程を含んでもよい。解繊処理工程は、リン酸基及び亜リン酸基を有するセルロース原料(リンオキソ酸基導入繊維)に微細化処理を施し、繊維幅が1000nm以下であり、かつリン酸基及び亜リン酸基を有する繊維状セルロースを得る工程である。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明は、上述した繊維状セルロースを含む繊維状セルロース含有物に関するものであってもよい。繊維状セルロース含有物は、上述した繊維状セルロースに加えて、さらに溶媒や後述するような任意成分を含んでいることが好ましい。
繊維状セルロース含有物は、さらに任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、防腐剤等を挙げることができる。また、繊維状セルロース含有スラリーは、任意成分として、親水性高分子、親水性低分子、有機イオン等を含有していてもよい。
本発明は、上述した繊維状セルロース、もしくは、上述した繊維状セルロース含有物から形成される成形体に関するものであってもよい。本明細書において成形体とは、所望の形状となるように成形された固形状体や、シート状に抄紙された固形状体をいう。成形体としては、例えば、シート(紙を含む)、ビーズ、フィラメント等を挙げることができる。中でも、成形体は、シート、ビーズ又はフィラメントであることが好ましい。成形体がビーズ状である場合、ビーズの粒子径は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、成形体がフィラメント状である場合、フィラメントの幅は0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、フィラメントの長さは1mm以上10000mm以下であることが好ましい。
成形体がシートである場合、繊維状セルロース含有シートの製造方法は、後述するように、繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する塗工工程、または当該スラリーを抄紙する抄紙工程を含むことが好ましい。
塗工工程では、たとえば繊維状セルロース含有スラリー(以下、単にスラリーともいう)を基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによりシートを得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
抄紙工程は、抄紙機によりスラリーを抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、特に限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
本発明の繊維状セルロースは、増粘剤や粒子分散安定剤として使用することができる。また、本発明の繊維状セルロースと溶媒を混合することで、繊維状セルロース含有スラリーとしたり、該スラリーから繊維状セルロースが均一に分散したシートを形成することもできる。また、本発明の繊維状セルロースは、樹脂成分を含む有機溶媒との混合に好ましく用いることもできる。本発明の繊維状セルロースと、樹脂成分を含む有機溶媒を混合することで、繊維状セルロースが均一に分散した樹脂複合体を形成することができる。同様に繊維状セルロース再分散スラリーを用いて製膜し、各種フィルムとして使用することができる。
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
リン酸、亜リン酸及び尿素の混合水溶液において、リン酸及び亜リン酸(ホスホン酸)の添加量を、リン酸19.0質量部、亜リン酸(ホスホン酸)15.9質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、リンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び繊維状セルロース含有スラリーを得た。
リン酸、亜リン酸及び尿素の混合水溶液において、リン酸及び亜リン酸(ホスホン酸)の添加量を、リン酸9.5質量部、亜リン酸(ホスホン酸)23.8質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、リンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び繊維状セルロース含有スラリーを得た。
リン酸、亜リン酸及び尿素の混合水溶液において、リン酸及び亜リン酸(ホスホン酸)の添加量を、リン酸1.1質量部、亜リン酸(ホスホン酸)30.8質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、リンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び繊維状セルロース含有スラリーを得た。
リン酸、亜リン酸及び尿素の混合水溶液において、リン酸の添加量を37.9質量部に変更し、亜リン酸を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、リンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び繊維状セルロース含有スラリーを得た。
リン酸、亜リン酸及び尿素の混合水溶液において、亜リン酸の添加量を31.7質量部に変更し、リン酸を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、リンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び繊維状セルロース含有スラリーを得た。
製造例1〜6で得られたリンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び微細繊維状セルロースに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、製造例1〜3、製造例5で得られたリンオキソ酸化パルプ(中和済み)及び微細繊維状セルロースでは1230cm-1付近にリン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、セルロースにリン酸基が付加されていることが確認された。また、製造例1〜4、製造例6では、1210cm-1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、セルロースに亜リン酸基(ホスホン酸基)が付加されていることが確認された。
製造例1〜6で得られたリンオキソ酸化パルプ(中和済み)を供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。また、製造例1〜6で得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
製造例1で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、後述する方法によりセルロースに導入された第1解離酸量及び総解離酸量を測定した。また、後述する方法により、中性領域におけるpH緩衝能を評価した。
製造例2で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例1と同様にして、セルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量及び中性領域におけるpH緩衝能を測定した。また、製造例2で得た繊維状セルロース含有スラリーを、イオン交換水で0.2質量%となるように希釈して、ヘーズおよび粘度を後述する方法により測定した。さらに、製造例2で得た繊維状セルロース含有スラリーを、1Nの塩酸を用いてpH調整し、イオン交換水で0.2質量%となるよう希釈して、pHを4.2±0.2としたスラリーおよびpHを2.7±0.2としたスラリーを得た。これらのスラリーについても、ヘーズ及び粘度を後述する方法により測定した。
製造例3で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例1と同様にして、セルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量及び中性領域におけるpH緩衝能を測定した。また、製造例3で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例2と同様にして、ヘーズおよび粘度を測定した。
製造例4で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例1と同様にして、セルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量及び中性領域におけるpH緩衝能を測定した。また、製造例4で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例2と同様にして、ヘーズおよび粘度を測定した。
製造例5で得た繊維状セルロース含有スラリーと、製造例6で得た繊維状セルロース含有スラリーとを、繊維状セルロースの質量が1:1となるよう混合し、実施例5の繊維状セルロース含有スラリーとした。この繊維状セルロース含有スラリーについて、例1と同様にして、セルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量及び中性領域におけるpH緩衝能を測定した。また、実施例5の繊維状セルロース含有スラリーについて、例2と同様にして、ヘーズおよび粘度を測定した。
製造例6で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例1と同様にして、セルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量及び中性領域におけるpH緩衝能を測定した。
製造例5で得た繊維状セルロース含有スラリーについて、例2と同様にして、ヘーズおよび粘度を測定した。
<第1解離酸量、総解離酸量の測定>
第1解離酸量および総解離酸量は、中和滴定法により測定した。具体的には、繊維状セルロースを含む微維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を第1解離酸量(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
<第1解離酸量、総解離酸量の測定>におけるイオン交換樹脂による処理工程を経て、リンオキソ酸基が酸型へ変換された繊維状セルロースを含むスラリーに、15分間窒素ガスを吹き込んだのち、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を加え、スラリーのpHを6.5とした。さらに0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を加え、スラリーのpHを7.5とした。pH6.5のスラリーをpH7.5にするのに必要としたアルカリ量を、スラリー中の固形分(g)で除した値(mmol/g)を記録し、中性領域におけるpH緩衝能として評価した。
ヘーズは、繊維状セルロース含有スラリーの透明度の尺度であり、ヘーズ値が低いほど透明度が高い。ヘーズの測定は、繊維状セルロース含有スラリーの固形分濃度が0.2質量%となるように希釈した後に、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。なお、ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行った。
繊維状セルロース含有スラリーの粘度は、繊維状セルロース含有スラリーの固形分濃度が0.2質量%となるように希釈した後に、ディスパーザーにて1500rpmで撹拌し、スラリーを十分に均一にした。得られたスラリーを23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置ののち、スラリーの粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、デジタル粘度計DV−2T)を用いて測定した。測定条件は、23℃の条件とし、3rpmで3分間回転させた際の、2分30秒経過後から回転終了(3分経過後)までの30秒間における粘度を測定し、平均値を算出した。
Claims (1)
- リン酸基及び亜リン酸基を含む繊維状セルロースを含有する繊維状セルロース含有スラリーであって、
前記繊維状セルロースにおける第1解離酸量をA1とし、前記繊維状セルロースにおける総解離酸量をA2とした場合、A1/A2の値が0.51以上0.82以下であり、A2とA1の差が0.2mmol/g以上である繊維状セルロース含有スラリー。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018248485A JP6763423B2 (ja) | 2018-12-28 | 2018-12-28 | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 |
PCT/JP2019/050803 WO2020138156A1 (ja) | 2018-12-28 | 2019-12-25 | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018248485A JP6763423B2 (ja) | 2018-12-28 | 2018-12-28 | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020111178A Division JP2020152926A (ja) | 2020-06-29 | 2020-06-29 | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020105472A JP2020105472A (ja) | 2020-07-09 |
JP6763423B2 true JP6763423B2 (ja) | 2020-09-30 |
Family
ID=71127724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018248485A Active JP6763423B2 (ja) | 2018-12-28 | 2018-12-28 | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6763423B2 (ja) |
WO (1) | WO2020138156A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7090023B2 (ja) | 2018-12-28 | 2022-06-23 | 王子ホールディングス株式会社 | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5976122A (ja) * | 1982-10-21 | 1984-05-01 | 中部電力株式会社 | 太陽光発電装置 |
JPH01110501A (ja) * | 1987-10-23 | 1989-04-27 | Sogo Yatsukou Kk | 消臭機能を有するセルロース誘導体 |
US6602994B1 (en) * | 1999-02-10 | 2003-08-05 | Hercules Incorporated | Derivatized microfibrillar polysaccharide |
JP6404382B2 (ja) * | 2017-02-28 | 2018-10-10 | 大王製紙株式会社 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
JP7378198B2 (ja) * | 2017-05-15 | 2023-11-13 | 大王製紙株式会社 | セルロース微細繊維及びその製造方法 |
JP6404415B1 (ja) * | 2017-07-24 | 2018-10-10 | 大王製紙株式会社 | セルロース微細繊維含有物及びその製造方法、並びにセルロース微細繊維分散液 |
JP7090023B2 (ja) * | 2018-12-28 | 2022-06-23 | 王子ホールディングス株式会社 | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 |
-
2018
- 2018-12-28 JP JP2018248485A patent/JP6763423B2/ja active Active
-
2019
- 2019-12-25 WO PCT/JP2019/050803 patent/WO2020138156A1/ja active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7090023B2 (ja) | 2018-12-28 | 2022-06-23 | 王子ホールディングス株式会社 | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020138156A1 (ja) | 2020-07-02 |
JP2020105472A (ja) | 2020-07-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6791281B2 (ja) | 繊維状セルロースの製造方法及び繊維状セルロース | |
JP7327340B2 (ja) | 繊維状セルロースの製造方法、繊維状セルロース分散液及びシート | |
JP6683242B1 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP7346873B2 (ja) | シートの製造方法 | |
JP6763423B2 (ja) | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP2020152926A (ja) | 繊維状セルロース及び繊維状セルロースの製造方法 | |
WO2019124364A1 (ja) | シート | |
JP7090023B2 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP2020158736A (ja) | 微細繊維状セルロース含有分散液の製造方法 | |
JP2020165019A (ja) | 微細繊維状セルロース含有分散液の製造方法及び微細繊維状セルロース含有シートの製造方法 | |
JP2020165062A (ja) | シート | |
JP2020172035A (ja) | 積層体 | |
JP2020204041A (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP7327236B2 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物、成形体及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP2020105470A (ja) | 繊維状セルロース含有物、繊維状セルロース含有液状組成物及び成形体 | |
JP6978403B2 (ja) | 繊維状セルロース含有物、繊維状セルロース含有液状組成物及び成形体 | |
JP7047369B2 (ja) | 組成物 | |
JP6680382B1 (ja) | 組成物 | |
JP6828759B2 (ja) | シート及び積層体 | |
JP7126982B2 (ja) | シート | |
JP2021161353A (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有物及び成形体 | |
JP2020158940A (ja) | シートの製造方法及びシート | |
JP2020122156A (ja) | 繊維状セルロース含有物、繊維状セルロース含有液状組成物及び成形体 | |
JP2020109153A (ja) | 繊維状セルロース含有物、繊維状セルロース含有液状組成物及び成形体 | |
JP2020158939A (ja) | 繊維状セルロース含有シートの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200221 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200221 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20200221 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20200226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200310 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200407 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200428 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200629 |
|
C60 | Trial request (containing other claim documents, opposition documents) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60 Effective date: 20200629 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20200707 |
|
C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21 Effective date: 20200714 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200811 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200824 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6763423 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |