次に、図面を参照して、本発明の第1〜第4の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を貼付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態においては、システムにより車線逸脱防止の自動的な制御を行う場合を説明する。本発明の第1の実施の形態に係る車両用表示装置は、自車両に搭載可能であり、図1に示すように、制御装置1と、周囲状況検出手段10と、画像表示手段7とを備える。制御装置1には、自車両を制御するための操舵手段6a、加速手段6b及び制動手段6cが接続されている。例えば、操舵手段6aとしてはステアリングホイール、加速手段6bとしてはアクセルペダル、制動手段6cとしてはブレーキ装置等が使用可能である。周囲状況検出手段10は、自車両の周囲状況を検出するように、車線検出手段2と、複数(2つ)の撮像手段4a,4bとを備える。
車線検出手段2としては、例えばカメラを用いたセンサが使用可能である。車線検出手段2の個数や配置位置は特に限定されず、例えば自車両の前方又は後方に複数個設置されていてもよい。車線検出手段2は、例えばカメラによる撮像画像中の白線等の車線境界線を検出し、車線境界線により区切られた車線を検出する。車線検出手段2は、検出された車線境界線及び車線の相対位置及び距離等を制御装置1に出力する。
撮像手段4a,4bとしては、例えばCCDカメラ等が使用可能である。撮像手段4a,4bは、自車両の周囲状況を逐次撮像し、撮像画像を制御装置1に出力する。撮像手段4aは、例えば図2に示すように、自車両100の左側面に、自車両100の左後方を撮像範囲R1とするように設置されている。撮像手段4bは、自車両100の右側面に、自車両100の右後方を撮像範囲R2とするように設置されている。なお、撮像手段4a,4bの個数や配置位置、撮像範囲R1,R2はこれに限定されない。
図1に示した画像表示手段7としては、例えば液晶ディスプレイ等が使用可能である。画像表示手段7は、図3に示すように、車室内のインストルメンタルパネル等の乗員から視認しやすい位置に設置される。
図1に示した制御装置1は、例えば中央処理装置(CPU)及び記憶装置等を含む電子制御ユニット(ECU)で構成できる。記憶装置としては、ROM及びRAM等が使用できる。制御装置1は、逸脱判定部11、制御情報算出部12、車両制御部13及び画像生成部14を備える。尚、逸脱判定部11、制御情報算出部12、車両制御部13及び画像生成部14は、制御装置1に機能的に備わるものでも良く、別筐体としてそれぞれ備わるものでもよい。
逸脱判定部11は、車線検出手段2により検出された車線境界線の相対位置等に基づいて、自車両が車線から逸脱する可能性の有無を判定する。例えば、図4(a)に示すように、白線等の車線境界線L11,L12で区切られた3本の車線L1,L2,L3が並行し、中央の車線L2を自車両100が走行している状況を想定する。逸脱判定部11は、車線検出手段2により検出された自車両100が走行する車線L2を区切る車線境界線L11,L12と自車両100との車幅方向における距離D1,D2を算出する。
逸脱判定部11は更に、算出された距離D1,D2が所定の閾値(例えば50cm)以上の場合には、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が無いと判定し、距離D1,D2が所定の閾値未満の場合には、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が有ると判定する。例えば、図4(b)に示すように、自車両100が車線境界線L12に接近し、自車両100と車線境界線L12との距離D2が所定の閾値未満となった場合に、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が有ると判定する。
制御情報算出部12は、車線L2からの逸脱を防止するように、自車両100に対する制御方向及び制御量を含む制御情報を算出する。ここで、「制御方向」は、車線L2からの逸脱を防止するように車両制御部13等のシステムにより自動的に制御される方向と、車線L2からの逸脱を防止するように乗員が手動の操作で制御すべき方向とを含む。図4(b)に示した状況では、右側の車線境界線L12から遠ざかり、車線L2の中央側へ戻るための左方向を制御方向として算出する。自車両100が左側の車線境界線L11に接近した場合には、左側の車線境界線L11から遠ざかり、車線L2の中央側へ戻るための右方向を制御方向として算出する。制御量としては、車線L2の中央側へ戻るための例えば操舵手段6aの操舵トルク量等を算出する。
車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報を用いて操舵手段6a等を制御することにより、図4(c)に示すように、自車両100が車線境界線L12から遠ざかり、且つ走行している車線L2の中央側へ戻るように自車両100の走行を制御する。
画像生成部14は、自車両100の制御方向を示す制御方向画像と、自車両100の周囲の状況を示す周囲状況画像を生成する。図4(a)に示した通常走行時には、逸脱判定部11により自車両100が車線L2から逸脱する可能性が無いと判定されて、システムによる車線逸脱防止の自動的な制御は発生していない。この場合、画像生成部14は、例えば図5に示すように、自車両100を模擬した第1の模擬車両M1と、第1の模擬車両M1の周囲に配置した環状の接触リスク表示領域M0を表示する制御方向画像I1を生成する。第1の模擬車両M1は、制御方向を示すときの基準となるマークである。接触リスク表示領域M0は、例えば緊急回避時に点滅させたり、自車両100の周囲の他車両の接触リスクを表示したりできる。本発明の第1の実施の形態においては、接触リスク表示領域M0はなくても構わない。
画像生成部14は更に、図4(a)に示した通常走行時のタイミングでの撮像手段4a,4bによる撮像画像を用いて、例えば図6(a)に示すような自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2と、図6(b)に示すような自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3とを、周囲状況画像として逐次生成する。図6(a)に示す左後方画像I2は、左側のサイドミラーの写像と同様の画像であり、自車両100の左側面と、車線L1,L2を区切る左側の車線境界線L11が写り込んでいる。図6(b)に示す右後方画像I3は、左側のサイドミラーの写像と同様の画像であり、自車両100の右側面と、車線L2,L3を区切る右側の車線境界線L12が写り込んでいる。
画像生成部14は、左後方画像I2及び右後方画像I3中に写り込む車線境界線L11,L12に線分M3,M4を重畳して表示し、自車両100の制御状態に応じて、線分M3,M4の色や太さ、形状等を変化させる。例えば、車両制御部13等のシステムによる車線逸脱防止の制御が有効でない場合には、線分M3,M4を点灯させておくか又は非表示とする。一方、システムによる車線逸脱防止の制御が有効の場合には、線分M3,M4の表示を有効でない場合と異ならせ、例えば線分M3,M4を点滅させる。なお、左後方画像I2及び右後方画像I3としては、撮像手段4a,4bによる撮像画像の代わりに、車線検出手段2により検出された車線境界線L11,L12の相対位置等に基づいて、車線境界線L11,L12等を表示するコンピュータ・グラフィック(CG)画像であってもよい。
画像表示手段7は、画像生成部14により生成された制御方向画像及び周囲状況画像を表示する。画像表示手段7は、図7に示すように、制御方向画像表示部7aと、制御方向画像表示部7aの左側に近接して配置された左後方画像表示部7bと、制御方向画像表示部7aの右側に近接して配置された右後方画像表示部7cとを備える。制御方向画像表示部7aは、制御方向画像I1を表示し、左後方画像表示部7bは、左後方画像I2を表示し、右後方画像表示部7cは、右後方画像I3を表示する。制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cは、一体的なディスプレイであってもよく、個別のディスプレイであってもよい。制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cを並べる順番はこれに限定されず、制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cの位置を入れ替えてもよい。また、制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cは互いに接していてもよく、互いに離間していてもよい。
図4(b)に示すようにシステムにより車線逸脱防止の自動的な制御が加わる場合、画像生成部14は、制御情報算出部12により算出された制御方向に基づいて、自車両100の制御方向に対応する方向を表示する制御方向画像I1を生成する。例えば図8(a)に示すように、第1の模擬車両M1の位置を基準として、自車両100の制御方向に対応する方向である左方向に第2の模擬車両M2をずらすように重畳して表示する。自車両100が左側の車線境界線L11に接近した場合には、左側の車線境界線L11から遠ざかるように右方向が制御方向となり、第1の模擬車両M1の位置を基準として、第2の模擬車両M2を右側にずらすように重畳して表示する。図8(a)では、第2の模擬車両M2を模式的に破線で示しているが、第2の模擬車両M2は実線で描かれていてもよく、第1の模擬車両M1と色を異ならせること等により第1の模擬車両M1と区別できる態様であればよい。
第2の模擬車両M2は、第1の模擬車両M1に対して制御方向に対応する方向にずれた位置に固定し、点灯又は点滅するように表示してもよく、第1の模擬車両M1の位置から制御方向に対応する方向に移動するように動的な表示としてもよい。第2の模擬車両M2が移動する際には、第2の模擬車両M2が移動方向に波打つように表示してもよい。例えば、第2の模擬車両M2が第1の模擬車両M1の位置に出現し、第1の模擬車両M1から出てくるように移動した後に消滅し、その後、第1の模擬車両M1の位置に再度出現するという一連の動きを周期的に繰り返してもよい。更に、制御情報算出部12により算出された制御量に応じて、第2の模擬車両M2の移動量D1や上述した一連の動きの周期(周波数)を変化させてもよい。例えば、制御量が大きいほど第2の模擬車両M2の移動量D1を大きくしたり、第2の模擬車両M2の出現から消滅までの一連の動きの周波数を高くしたりしてもよい。また、システムにより車線逸脱防止の自動的な制御が加わっていることを示すように、接触リスク表示領域M0を点滅させたり、或いは色を変化させたりしてもよい。
また、自車両100の制御方向が左方向である場合に、図8(b)に示すように、第2の模擬車両M2を第1の模擬車両M1の右側の位置に出現させて、第1の模擬車両M1に入り込むように、第1の模擬車両M1の位置まで左方向に移動させてもよい。また、第2の模擬車両M2が第1の模擬車両M1の右側に出現し、第1の模擬車両M1の位置まで左方向に移動した後に消滅した後、第1の模擬車両M1の右側に再度出現するという一連の動きを周期的に繰り返してもよい。更に、制御情報算出部12により算出された制御量に応じて、第2の模擬車両M2の移動量D2や上述した一連の動きの周期を変化させてもよい。
また、画像生成部14は、図8(c)に示すように、制御情報算出部12により算出された制御方向に応じて、第1の模擬車両M1の向きを基準として、第2の模擬車両M2の向きを所定の角度θ1で傾けてもよい。図8(c)は制御方向が左方向の場合であり、第2の模擬車両M2の向きを左方向に傾けて、第2の模擬車両M2を反時計回りに回転させている。制御方向が右方向の場合には、第2の模擬車両M2の向きを右方向に傾けて、第2の模擬車両M2を時計回りに回転させている。更に、制御情報算出部12により算出された操舵トルク量等の制御量に応じて、第2の模擬車両M2の向きを傾ける角度θ1を変化させてもよい。例えば、制御量が大きいほど第2の模擬車両M2の向きを傾ける角度θ1を大きくしてもよい。
図4(b)に示すようにシステムにより車線逸脱防止の自動的な制御が加わる場合、画像生成部14は更に、撮像手段4a,4bによる撮像画像を用いて、図9(a)に示すような自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2と、図9(b)に示すような自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3とを逐次生成する。車線逸脱防止の自動的な制御が加わった原因は、自車両100が車線境界線L12に接近したことにあるため、図9(b)に示すように、右後方画像I3中に写り込む車線境界線L12を強調表示する。例えば、車線境界線L12に重畳させている線分M4の色や形状等を、図5(b)に示した通常走行時の右後方画像I3中の線分M4の表示と異ならせ、例えば赤色で点滅させる。
図10に示すように、画像表示手段7の制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cは、図8に示した制御方向画像I1、図9(a)に示した左後方画像I2及び図9(b)に示した右後方画像I3をそれぞれ表示する。この結果、乗員は、制御方向画像I1中の第1の模擬車両M1の位置を基準として第2の模擬車両M2がずれた表示を視認することで、車線逸脱防止の制御方向が左方向であることを確認できるとともに、車線境界線L12が強調表示された右後方画像I3を視認することにより、車線逸脱防止の制御が加わる原因が車線境界線L12に接近したことにあることが確認できる。
次に、図11のフローチャートを参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る画像表示方法の一例を説明する。なお、図11のフローチャートの一連の処理は、所定の制御周期で繰り返し実行可能である。
ステップS11において、車線検出手段2は、自車両100の走行している車線L2の車線境界線L11,L12と自車両100との相対位置等を検出する。ステップS12において、逸脱判定部11は、車線検出手段2により検出された車線境界線L11,L12と自車両100との距離D1,D2を算出する。ステップS13において、逸脱判定部11は、距離D1,D2が所定の閾値以上か否かを判定することにより、自車両100が車線L2から逸脱する可能性の有無を判定する。相対位置D1,D2が所定の閾値以上であり、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が無いと判定された場合、処理を完了する。一方、ステップS13において相対位置D1,D2が所定の閾値未満であり、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が有ると判定された場合には、ステップS14に移行する。
ステップS14において、制御情報算出部12は、自車両100が車線境界線D1,D2のうち接近した一方から離れ、且つ走行している車線L2の中央側へ戻るように、制御方向及び制御量を含む制御情報を算出する。車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報を用いて、操舵手段6a等を制御して、自車両100の走行を制御する。
ステップS15において、画像生成部14は、撮像手段4a,4bによる撮像画像を用いて、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2と、自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3とを生成する。画像生成部14は更に、制御情報算出部12により算出された制御方向に基づいて、自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1を生成する。ステップS16において、画像表示手段7は、車両制御部13による自動的な制御時、或いはその制御前から、画像生成部14により生成された制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を近接して表示する。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、車線逸脱防止の制御を行う際に、自車両100の制御方向と、自車両100の周囲状況とを連動して表示することにより、自車両100の制御方向の変化と、その制御の原因との因果関係を乗員に対して容易に把握させることができ、乗員に安心感を与えることができる。更に、自車両100の制御方向及び周囲状況等を画像で表示することにより、乗員は制御方向の変化の原因を確認したいときに選択的に表示を視認すればよく、音声情報のような強制的な情報提示と比較して煩わしさを軽減できる。
また、本発明の第1の実施の形態においては、システムにより車線逸脱防止の自動的な制御を行う場合を説明したが、乗員が手動で制御する場合にも適用できる。この場合、自車両100が車線L2から逸脱する可能性が有ると判定された場合に、乗員が制御すべき方向を表示するとともに、その制御すべき原因として自車両100が接近している車線境界線L12を含む周囲状況を表示することにより、乗員に操作を促すことができる。
更に、自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2、自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3を生成して近接して表示することにより、自車両100の制御方向、左後方の状況及び右後方の状況を乗員に対して容易に把握させることができる。
更に、制御方向画像I1において、自車両100の制御方向を示すように、第1の模擬車両M1の位置を基準として自車両100の制御方向に対応する方向に第2の模擬車両M2をずらして重畳して表示することにより、自車両100の制御方向を乗員に対して分かり易く提示することができる。
(変形例)
本発明の第1の実施の形態の変形例として、自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2を2段階で判定する場合について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS11及びS12の手順は図11と同様であるので、重複した説明を省略する。ステップS13aにおいて、自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第1の閾値(例えば50cm)以上か否かを判定する。自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第1の閾値以上の場合は、処理を完了する。一方、自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第1の閾値未満の場合には、ステップS13bに移行する。
ステップS13bにおいて、自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第1の閾値よりも小さい第2の閾値(例えば20cm)以上か否かを判定する。自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第2の閾値以上の場合には、車線境界線L11,L12に接近しつつあるが、システムによる制御は加わらない。このとき、ステップS15bにおいて、画像生成部14は、乗員に手動の操作を促すように、乗員が制御すべき方向を示す制御方向画像I1と、自車両100が接近した車線境界線L11,L12を強調表示した左後方画像I2及び右後方画像I3を生成し、ステップS16において制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を表示する。
一方、ステップS13bにおいて自車両100と車線境界線L11,L12との距離D1,D2が第1の閾値未満の場合には、逸脱可能性が有ると判定されて、ステップS14において、制御方向及び制御量を算出して、システムによる制御が加わる。ステップS15aにおいて、画像生成部14は、システムによる自動的な制御が加わっていることを乗員に提示するように、システムによる自動的な制御の制御方向を示す制御方向画像I1と、自車両100が接近した車線境界線L11,L12を強調表示した左後方画像I2及び右後方画像I3を生成する。ステップS16において、ステップS15a又はステップS15bにおいて生成された制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を表示する。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態として、システムにより自動的に車線変更する制御を行う場合を説明する。本発明の第2の実施の形態に係る車両用表示装置は、図13に示すように、周囲状況検出手段10が障害物検出手段3を更に備える点と、制御装置1が、図1に示した逸脱判定部11に代えて、車線内位置取得部15、接触リスク算出部16及び車線変更判定部17を備える点が、図1に示した本発明の第1の実施の形態に係る車両用表示装置の構成と異なる。
障害物検出手段3としては、例えばレーザレーダ、ミリ波レーダ又はカメラを用いたセンサが使用可能である。障害物検出手段3の個数や配置位置は特に限定されず、例えば自車両100の前方、側方及び後方に複数個設置されていてもよい。障害物検出手段3は、自車両100の周囲に存在する他車両、電柱、壁等の障害物を検出し、自車両100と障害物との相対位置、距離及び相対速度等を制御装置1に出力する。
車線内位置取得部15は、障害物検出手段3により検出された障害物の相対位置と、車線検出手段2により検出された車線の相対位置等に基づいて、障害物がどの車線内に存在するのかを特定し、車線に沿った自車両100と障害物との距離及び相対速度等を取得する。
接触リスク算出部16は、車線内位置取得部15により取得された車線に沿った自車両100と障害物との距離及び相対速度等に基づいて、自車両100と障害物とが接近して接触する可能性の度合いを示す接触リスクを算出する。接触リスクが高いほど、自車両100と障害物との接触する可能性が高いことを意味する。例えば、自車両100と障害物との距離が近いほど接触リスクを高く算出し、自車両100と障害物との相対速度が接近する方向に高いほど接触リスクを高く算出する。また、自車両100の速度が高いほど、接触リスクを高く算出してもよい。
なお、接触リスクは少なくとも自車両100と障害物との距離を用いれば算出可能であるが、自車両100と障害物との距離に加えて、自車両100と障害物との相対速度を用いることにより、接触リスクをより詳細に算出可能となる。自車両100と障害物との距離及び相対速度は、車線内位置取得部15により取得された車線に沿った方向における距離及び相対速度を用いてもよく、障害物検出手段3により検出された自車両100と障害物との直線的な距離及び相対速度を用いてもよい。
ここで、接触リスク算出部16による接触リスクの算出方法の一例を説明する。例えば、衝突余裕時間(TTC)及び車間時間(THW)を用いて接触リスクを算出できる。衝突余裕時間tcは、現在の相対速度が維持されると仮定して、自車両100が先行する他車両に衝突するまでの時間を予測する指標であり、自車両100と他車両との相対速度をvr、距離をxrとして、以下の式(1)で求められる。
tc=−xr/vr …(1)
また、車間時間thは、現在の自車速度で現在の先行車位置に到達する時間を示す指標であり、自車速度をvf、自車両100と他車両との距離をxrとして、以下の式(2)で求められる。
th=−xr/vf …(2)
式(1)及び式(2)で求めた衝突余裕時間tc及び車間時間thを用いて、接触リスクRPは以下の式(3)のように設定可能である。
RP=1/2(α/tc+β/th) …(3)
ここで、α、βのそれぞれは任意の係数であり適宜設定可能である。
車線変更判定部17は、接触リスク算出部16により算出された接触リスクのうち、車線変更したい側の隣接車線を走行中の他車両に対する接触リスクを抽出する。例えば図14に示すように、3車線L1〜L3の中央の車線L2を自車両100が走行しており、右側の車線L3に車線変更したい状況を想定する。車線変更判定部17は、右側の車線L2を走行中の他車両101,102に対する接触リスクをそれぞれ抽出し、接触リスクが所定の閾値以上か否かを判定することにより、右側の車線L3への車線変更の可否を判定する。即ち、車線変更判定部17は、他車両101,102に対する接触リスクのいずれかが所定の閾値以上の場合に車線変更が不可能と判定し、他車両101,102に対する接触リスクのいずれもが所定の閾値未満の場合に車線変更が可能と判定する。所定の閾値は適宜設定可能であり、制御装置1の記憶装置等に予め記憶していてもよい。
車線変更判定部17により右側の車線L3へ車線変更が可能と判定された場合、制御情報算出部12は、車線変更する制御方向として右方向を算出し、対応する操舵トルク量等の制御量を算出する。車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報を用いて操舵手段6a等を制御することにより、右側の車線L3へ車線変更する。
画像生成部14は、車線変更する制御方向に対応する方向を示す制御方向画像I1を生成する。例えば、図15に示すように、制御方向画像I1中の第1の模擬車両M1に対して、第2の模擬車両M2を車線変更する側の斜め前方である右前方の位置にずらすように重畳して表示する。これにより、本発明の第1の実施の形態における車線逸脱防止の制御時の第2の模擬車両M2を真横にずらす場合と区別でき、乗員は車線変更の制御であることを認識できる。
画像生成部14は、車線変更判定部17による車線変更の可否に応じて、車線境界線L11,L12上に重畳する線分M3,M4の表示を変化させる。例えば、画像生成部14は、車線変更判定部17により車線変更が可能と判定された場合、図16(a)及び図16(b)にハッチングで模式的に示すが、左後方画像I2及び右後方画像I3中に写り込む車線境界線L11,L12上に緑色の線分M3,M4を重畳して点滅させる。画像生成部14は更に、図16(b)に示す右後方画像I3中に、自車両100の制御方向及び車線変更する車線L3を指し示す矢印M5を表示してもよい。一方、他車両102が接近しており、車線変更判定部17により車線変更が不可能と判定された場合、画像生成部14は、図16(c)にハッチングで模式的に示すが、車線境界線L12上に赤色の線分M4を重畳して点滅させることにより、車線L3への車線変更が不可能であることを提示する。
図17に示すように、画像表示手段7の制御方向画像表示部7a、左後方画像表示部7b及び右後方画像表示部7cは、図15に示した制御方向画像I1、図16(a)に示した左後方画像I2及び図16(b)に示した右後方画像I3を近接して表示する。この結果、乗員は、制御方向画像I1中の第1の模擬車両M1の位置を基準として第2の模擬車両M2が斜め前方にずれた表示を視認することで、自動的な車線変更の制御方向が右方向であることを確認できるとともに、右後方画像I3中の矢印M5を視認することにより、車線L3へ車線変更することを確認できる。
次に、図18のフローチャートを参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る車両用表示方法の一例を説明する。なお、図18のフローチャートの一連の処理は、所定の制御周期で繰り返し実行可能である。
ステップS21において、障害物検出手段3が、自車両100の周囲に存在する障害物を検出して、自車両100と障害物との距離、相対位置及び相対速度を検出する。ステップS22において、車線検出手段2が、自車両100の周囲の車線の位置を検出する。ステップS23において、車線内位置取得部15が、障害物検出手段3により検出された障害物の相対位置と、車線検出手段2により検出された車線の位置とから、障害物の車線内の相対位置等を取得する。
ステップS24において、接触リスク算出部16が、車線内位置取得部15により取得された車線に沿った障害物との距離及び相対速度等に基づいて、自車両100と障害物との接触リスクを算出する。ステップS25において、車線変更判定部17が、算出した接触リスクが所定の閾値以上か否かを判定することにより、自車両100の車線変更の可否を判定する。接触リスクが所定の閾値未満の場合には、自車両100の車線変更は可能と判定され、ステップS25に移行する。一方、ステップS24において接触リスクが所定の閾値以上の場合には、自車両100の車線変更は不可能と判定され、処理を完了する。
ステップS26において、制御情報算出部12が、自車両100の車線変更のための制御方向及び制御量を含む制御情報を算出する。車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報を用いて、自車両100が車線変更するように操舵手段6a等を制御する。ステップS27において、画像生成部14が、制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を生成する。ステップS28において、自車両100の車線変更の制御時、或いはその制御前から、画像生成部14により生成された制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を、画像表示手段7に表示させる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、システムによる車線変更の制御を行う際に、自車両100の制御方向と、自車両100の周囲状況とを連動して表示することにより、自車両100の制御方向の変化と、その制御の原因との因果関係を乗員に対して容易に把握させることができ、乗員に安心感を与えることができる。更に、自車両100の制御方向及び周囲状況等を画像で表示することにより、乗員は制御方向の変化の原因を確認したいときに選択的に表示を視認すればよく、音声情報のような強制的な情報提示と比較して煩わしさを軽減できる。
なお、本発明の第2の実施の形態においては、システムにより車線変更の制御を行う場合を説明したが、乗員が手動で車線変更するように制御する場合にも適用できる。この場合、車線変更線L11,L12に重畳する線分M3,M4により車線変更の可否を表示するとともに、第1の模擬車両M1の位置を基準として第2の模擬車両M2が斜め前方にずらすことで車線変更すべき方向を表示することにより、乗員の手動の操作を促すことができる。
更に、自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2、自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3を生成して近接して表示することにより、自車両100の制御方向、左後方の状況及び右後方の状況を乗員に対して容易に把握させることができる。
更に、制御方向画像I1において、自車両100の制御方向を示すように、第1の模擬車両M1の位置を基準として自車両100の制御方向に対応する方向に第2の模擬車両M2をずらして重畳して表示することにより、自車両100の制御方向を乗員に対して分かり易く提示することができる。
更に、制御方向画像I1において、車線変更するときの制御方向に対応する方向の表示を、車線逸脱防止のための制御方向に対応する方向の表示と区別することにより、制御方向が同じ左右方向であっても、車線逸脱防止の制御であるのか、車線変更の制御であるのかを乗員は容易に把握することができる。更に、左後方画像I2及び右後方画像I3中に車線変更する車線L3を指し示す矢印M5等の表示をすることにより、乗員は車線変更による制御方向の変化を容易に把握できる。
更に、他車両との距離に応じた接触リスクにより車線変更の可否を判定し、車線変更の可否の判定結果に応じて左後方画像I2及び右後方画像I3中の車線境界線L11,L12に重畳する線分M3,M4の表示を変化させることにより、乗員は車線変更の可否を明確に把握できる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態として、システムにより接触回避の自動的な制御を行う場合を説明する。本発明の第3の実施の形態に係る車両用表示装置は、図19に示すように、制御装置1が、図13に示した車線変更判定部17に代えて、自動制御要否判定部18を備える点が、図13に示した本発明の第2の実施の形態に係る車両用表示装置の構成と異なる。
自動制御要否判定部18は、接触リスク算出部16により算出された接触リスクに基づいて、自車両100の前方の他車両に対して接触を回避する自動制御が必要であるか否かを判定する。例えば図20(a)に示すように、自車両100が走行中に、自車両100の前方の他車両101が急停車した状況を想定する。自動制御要否判定部18は、接触リスク算出部16により算出された他車両101に対する接触リスクが所定の閾値以上であり、他車両101に対して接触を回避する自動制御が必要であると判定する。
制御情報算出部12は、自動制御要否判定部18により他車両101に対して接触を回避する自動制御が必要になると判定された場合、他車両101との接触を回避する制御方向及び制御量を含む制御情報を算出する。車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報を用いて操舵手段6a等を制御することにより、例えば、図20(b)に示すように自車両100を右旋回させる。
画像生成部14は、自動制御要否判定部18により他車両101に対して接触を回避する自動制御が必要になると判定された場合、図21に示すように、制御方向画像I1において、第1の模擬車両M1の位置を基準として、接触を回避する方向に第2の模擬車両M2をずらして表示する。画像生成部14は更に、第2の模擬車両M2を点滅させたり、色を変化させたり、第2の模擬車両M2をずらす量(移動量)D1を大きくすること等により、第2の模擬車両M2を強調表示する。また、制御情報算出部12により算出された制御量が大きいほど、強調度合いを高くすることにより、乗員に対して緊急事態であることを認識させ易くなる。画像生成部14は更に、接触リスク表示領域M0を点灯又は点滅させること等により、緊急事態であることを提示してもよい。
一方、通常走行時であり、自動制御要否判定部18により他車両101に対して接触を回避する自動制御が不要と判定される場合には、画像生成部14は、接触リスク算出部16により算出された接触リスクを表示してもよい。例えば図22に示すように、自車両100の左後方の領域R11及び右後方の領域R12において、自車両100がその領域に位置するとした場合の自車両100と他車両101との距離に応じた接触リスクを算出し、算出された接触リスクの度合いに応じて例えば接触リスク「高」、接触リスク「中」、接触リスク「低」の3段階に分類する。図22では、自車両100の左後方の領域R11は接触リスク「低」と分類され、右後方の領域R12は自車両100に近い側が接触リスク「中」、遠い側が接触リスク「高」と分類されている。
画像生成部14は、図23(a)及び図23(b)に示すように、左後方画像I2及び右後方画像I3中の車線境界線L11,L12に線分M3,M4を重畳する。そして、線分M3,M4の図22に示した自車両100の左後方の領域R11及び右後方の領域R12に対応する位置に、接触リスク「高」、接触リスク「中」、接触リスク「低」を示すように線分M3,M4の色、ハッチング、輝度等を部分的にそれぞれ変化させる。例えば、図23(a)の線分M3は接触リスク「低」に対応して緑色とする。図23(b)の線分M4は、自車両100から遠い側が接触リスク「高」に対応して赤色とし、自車両100に近い側が接触リスク「中」に対応して黄色とする。自車両100と他車両102との相対位置の変化に伴い、線分M3,M4の表示も逐次変化する。これにより、自車両100と他車両102との相対位置関係を容易に把握できる。
次に、図24のフローチャートを参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る車両用表示方法の一例を説明する。なお、図24のフローチャートの一連の処理は、所定の制御周期で繰り返し実行可能である。
ステップS31〜S34の手順は、図18に示したステップS21〜S24の手順と同様であるので、重複した説明を省略する。ステップS35において、自動制御要否判定部18が、接触リスク算出部16により算出した接触リスクが所定の閾値以上か否かを判定することにより、自車両100が他車両等の障害物に対して接触を回避する自動制御が必要になるか否かを判定する。接触リスクが所定の閾値未満であり、自車両100が障害物に対して接触を回避する自動制御が不要と判定された場合には、ステップS39に移行する。ステップS39において、画像生成部14が、左後方画像I2及び右後方画像I3中に接触リスクを示す線分M3,M4を車両境界線L11,L12に重畳して表示する。
一方、ステップS35において接触リスクが所定の閾値以上であり、自車両100が障害物に対して接触を回避する自動制御が必要になると判定された場合には、ステップS36に移行する。ステップS36において、制御情報算出部12が、自動制御要否判定部18により接触リスクが所定の閾値以上と判定された障害物との接触を回避するための制御方向及び制御量を含む制御情報を算出する。車両制御部13は、制御情報算出部12により算出された制御方向及び制御量を含む制御情報に応じて、障害物との接触を回避するように操舵手段6a等を制御する。ステップS37において、画像生成部14が、障害物との接触を回避する方向を示す御方向画像I1と、自車両100の周囲状況を示す左後方画像I2及び右後方画像I3を生成する。ステップS38において、画像生成部14により生成された制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を画像表示手段7に表示させる。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、システムにより接触回避の自動的な制御を行う際に、自車両100の接触回避の制御方向と、その制御の原因となる周囲状況とを連動して表示することにより、自車両100の制御方向の変化と、その制御の原因との因果関係を乗員に対して容易に把握させることができ、乗員に安心感を与えることができる。
また、本発明の第3の実施の形態においては、システムにより接触回避の自動的な制御を行う場合を説明したが、乗員が手動で制御する場合にも適用できる。この場合、自動制御要否判定部18が、接触リスク算出部16により算出した接触リスクが所定の閾値以上と判定したときに、接触回避のために乗員が制御すべき方向を表示することにより、乗員の手動の操作を促すことができる。
更に、自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2、自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3を生成して近接して表示することにより、自車両100の制御方向、左後方の状況及び右後方の状況を乗員に対して容易に把握させることができる。
更に、制御方向画像I1において、自車両100の制御方向を示すように、第1の模擬車両M1の位置を基準として自車両100の制御方向に対応する方向に第2の模擬車両M2をずらして重畳して表示することにより、自車両100の制御方向を乗員に対して分かり易く提示することができる。
更に、自動制御要否判定部18が、接触リスク算出部16により算出された他車両101に対する接触リスクが所定の閾値以上であり、他車両101を回避するための自動制御が必要となると判定した場合に、制御方向画像I1中の第2の模擬車両M2を強調表示することにより、乗員は自車両100が他車両101に接触する可能性が高い状況であることを瞬時に把握できる。更に、制御量に応じて第2の模擬車両M2を強調表示の度合いを変化させることにより、自車両100の急動作の大きさを把握し易い。更に、接触リスク算出部16により算出した接触リスクに応じて、車線境界線L11,L12に重畳させる線分M3,M4の表示を変化させることにより、自車両100と他車両との相対位置関係を容易に把握でき、更には自車両100と他車両との距離の変化を容易に把握できる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態においては、急動作の発生時の自車両100の制御方向等を、急動作の発生後に表示する場合を説明する。発明の第4の実施形態に係る車両用表示装置は、図25に示すように、周囲状況検出手段10が、自車両100のヨーレートレートを検出するヨーレートセンサ21と、自車両100の加速度を検出する加速度センサ22と更に備える点と、制御装置1が、急動作識別部19を更に備える点が、図19に示した本発明の第3の実施形態に係る車両用表示装置の構成と異なる。
急動作識別部19は、ヨーレートセンサ21により検出された自車両100のヨーレートレートに基づいて、急動作(急旋回)が発生を識別する。例えば、急動作識別部19は、自車両100のヨーレートレートが所定の閾値以上の場合には急旋回したと判定し、自車両100のヨーレートレートが所定の閾値未満の場合には急旋回しなかったと判定する。なお、急動作識別部19は、ヨーレートからヨー加速度又はヨージャークを算出し、ヨー加速度又はヨージャークと所定の閾値を比較することにより急旋回の発生を識別しても良い。ヨー加速度又はヨージャークを利用することにより、高い即応性を得ることができる。
急動作識別部19は、加速度センサ22により検出された自車両100の加速度に基づいて、急動作(急加減速)の発生を識別する。例えば、急動作識別部19は、自車両100の加速度が所定の閾値以上の場合には急加速したと判定し、自車両100の加速度が所定の閾値未満の場合には急加速しなかったと判定する。また、急動作識別部19は、自車両100の加速度が所定の閾値未満の場合には急減速したと判定し、自車両100の加速度が所定の閾値以上の場合には急減速しなかったと判定する。なお、急動作識別部19は、加速度から加加速度を算出し、加加速度と所定の閾値を比較することにより急加減速の発生を識別しても良い。加加速度を利用することにより、高い即応性を得ることができる。
画像生成部14は、急動作識別部19により急動作の発生が識別された場合に、図21に示すように、急動作の発生時の自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1を表示する。第1の模擬車両M1の位置を基準として、左旋回であれば左方向、右旋回であれば右方向、急加速であれば前方、急減速であれば後方に、第2の模擬車両M2をずらして表示する。画像生成部14は更に、急動作の発生時の左後方画像I2及び右後方画像I3を生成してもよく、急動作の発生原因となった障害物が写り込むタイミングにおける左後方画像I2及び右後方画像I3を生成してもよい。
画像生成部14は、急動作の発生後に、制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を画像表示手段7に所定の時間継続して表示させる。なお、急動作の発生後に、制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3の表示を開始する代わりに、急動作の発生前又は急動作の発生時から制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を生成した場合には、急動作の発生前又は急動作の発生時から制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3の表示を開始し、急動作の発生後まで継続して表示してもよい。
次に、図26のフローチャートを参照しながら、本発明の第4の実施形態に係る車両用表示方法の一例を説明する。なお、図26のフローチャートの一連の処理は、所定の制御周期で繰り返し実行可能である。
ステップS41〜S46の手順は、図24に示したステップS31〜S36の手順と同様であるので、重複した説明を省略する。ステップS47において、急動作識別部19が、ヨーレートセンサ21により検出された自車両100のヨーレートレート、加速度センサ22により検出された自車両100の加速度等に基づいて、急動作の発生を識別する。急動作の発生が識別されなかった場合、処理を完了する。一方、急動作の発生が識別された場合、ステップS48に移行する。ステップS48において、画像生成部14が、急動作の発生時の制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を生成する。ステップS49において、画像生成部14により生成された制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を、画像表示手段7に所定の時間継続して表示させる。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、システムによる緊急回避等の自動的な制御に起因した急動作の発生後に、自車両100の制御方向と、自車両100の周囲状況とを連動して表示することにより、自車両100の制御方向の変化と、その制御の原因との因果関係を乗員に対して事後的に容易に把握させることができ、乗員に安心感を与えることができる。更に、自車両100の制御方向及び周囲状況等を画像で表示することにより、乗員は制御方向の変化の原因を確認したいときに選択的に表示を視認すればよく、音声情報のような強制的な情報提示と比較して煩わしさを軽減できる。
更に、自車両100の制御方向を示す制御方向画像I1、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2、自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3を生成して近接して表示することにより、自車両100の制御方向、左後方の状況及び右後方の状況を乗員に対して容易に把握させることができる。
更に、制御方向画像I1において、自車両100の制御方向を示すように、第1の模擬車両M1の位置を基準として自車両100の制御方向に対応する方向に第2の模擬車両M2をずらして重畳して表示することにより、自車両100の制御方向を乗員に対して分かり易く提示することができる。
更に、システムによる緊急回避等の急動作の発生後に、急動作の発生原因となった障害物を含む周囲状況を表示することにより、急動作の発生時に、乗員がなぜ急動作が発生したのか、即ち急動作の発生原因を理解できない場合であっても、急動作の発生後に画像を確認すれば、急動作の発生原因を事後的に容易に把握することができる。したがって、システムの制御に対する安心感を乗員に与えることができる。
更に、ヨーレートセンサにより検出された自車両100のヨーレートレートに基づいて、急旋回の発生を識別することにより、乗員は、急旋回であることを瞬時に把握できない場合であっても、急旋回の事後確認ができる。更に、速度センサにより検出された自車両100の加速度に基づいて、急加減速の発生を識別することにより、乗員は、車両の急加減速を瞬時に把握できない場合であっても、急加減速の事後確認ができる。
なお、急動作識別部19は、制御情報算出部12により算出された制御量に基づいて、急動作の発生を識別してもよい。例えば、急動作識別部19は、制御情報算出部12により算出された制御量が所定の閾値以上の場合には急動作が発生したと判定し、制御量が所定の閾値未満の場合には急加速しなかったと判定する。所定の閾値は、急旋回、急加減速等の制御の種類に応じて適宜設定可能である。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第4の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
本発明の第1〜第4の実施の形態においては、自車両100の左後方の状況を示す左後方画像I2及び自車両100の右後方の状況を示す右後方画像I3を、自車両100の周囲状況を示す周囲状況画像として生成する場合を説明したが、自車両100の周囲状況としては左後方及び右後方の状況に限定されず、例えば後方の状況であってもよく、左後方の状況のみ、又は右後方の状況のみであってもよい。また、制御方向画像I1、左後方画像I2及び右後方画像I3を個別の表示部に表示する場合を説明したが、制御方向画像及び周囲状況画像を1つの表示部に表示してもよい。例えば、複数のカメラによる撮像画像を座標変換し、更に合成することにより、図27に示すように、自車両100の上方から見下ろした俯瞰画像I4を生成してもよい。俯瞰画像I4において、白線L4で区切られた駐車スペースS1を周囲状況画像として表示し、自車両100の制御方向を指し示す矢印M6等を制御方向画像として表示する。
また、画像生成部14は、第2の模擬車両M2を移動させる代わりに、図28(a)に示すように、第1の模擬車両M1の位置を起点とし、自車両100の制御方向に対応する方向を指し示す矢印M7を表示してもよい。図28(a)に示した矢印M7は、左旋回である場合を示す。また、制御情報算出部12により算出された制御量に応じて、矢印M7の長さD3や形状を変化させてもよい。例えば、制御量が大きいほど矢印M7の長さD3を長くし、矢印M7のサイズを大きくしてもよい。図28(b)に示すように、第1の模擬車両M1を表示せずに、制御方向に対応する方向を指し示す矢印M7のみを表示してもよい。また、図28(c)に示すように、例えば車両100の制御方向が左方向であることを示す「左」や、車両100の制御方向が右方向であることを示す「右」等の文字情報を含むマークM8を表示してもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。