JP6766915B2 - 容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器に関する。具体的には、本発明は、微細繊維状セルロースを含む吸収層を備える容器に関する。
食品等を充填する容器として紙製の容器やプラスチック製の容器が幅広く使用されている。例えば、飲料を充填する容器としてコップ形状の容器や、ヨーグルトやアイスクリーム等の食品を充填包装するカップ形状の容器が多用されている。このような容器としては、撥水性のラミネート層を有する紙製容器や、単層のプラスチック製の容器が広く流通している。
近年は、機能性を高めるために種々の工夫がなされた容器が開発されている。例えば、特許文献1には、プラスチックフィルム製の内コップ及び紙製の外コップを備えてなる複合コップが開示されている。ここでは、内コップと外コップを重ね合わせることで、断熱性能、保温性能及び保冷性能を付与することができ、さらに、結露を周辺環境に放散させない工夫がなされている。
また、特許文献2及び3には、紙基材と、セルロース繊維を含むバリア層を備える紙コップが開示されている。ここでは、化学処理を施したセルロース繊維をバリア層に用いることで、紙コップのバリア性を高めることが検討されている。
特開2014−221656号公報 特開2017−190541号公報 特開2017−190544号公報
容器に内容物として冷たい飲料などを充填した場合には、容器の外周面に結露が発生する。このような結露水は容器を持つ際に使用者の手に付着したり、周辺環境に意図せずに放散されるため問題となっている。
なお、従来技術においては、例えば、内コップと外コップを備える構造とすることで結露水が周辺環境に放散されることを抑制する技術などは提案されているが、結露の発生(結露水の付着)を抑制する技術については開示されていない。
このため、本発明は、結露の発生を抑制し得る新規形態の容器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、基材層と、基材層よりも外面側に配置される吸収層と、を備える容器において、吸収層に繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含有させることにより、結露の発生が抑制された容器が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 基材層と、吸収層と、を備え、
吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含み、
吸収層は、基材層よりも外面側に配置されてなる容器。
[2] 胴部材と底部材から構成され、
胴部材が、基材層と、吸収層と、を備える[1]に記載の容器。
[3] 基材層は、パルプ、樹脂、ガラス及び金属から選択される少なくとも1種を含む[1]又は[2]に記載の容器。
[4] 吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、親水性高分子と、を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の容器。
[5] 親水性高分子はポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドから選択される少なくとも1種である[4]に記載の容器。
[6] 吸収層の厚みが10μm以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の容器。
[7] 基材層に吸収層が積層している領域(X)における下記式1で算出される吸水率が80%以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の容器。
式1:吸水率(%)=(WB−WA)/WA×100
ここで、WBはイオン交換水に24時間浸漬させた後の領域(X)の重量を表し、WAはイオン交換水に浸漬させる前の領域(X)の重量を表す。
[8] 基材層に吸収層が積層している領域(X)のヘーズが70%以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の容器。
[9] 吸収層は、接着層を介して基材層に積層している[1]〜[8]のいずれかに記載の容器。
[10] さらに透過層を備え、
透過層は、吸収層よりも外面側に配置されている[1]〜[9]のいずれかに記載の容器。
[11] 基材層の一部が外側表面に露出している[1]〜[10]のいずれかに記載の容器。
[12] 冷物品収容用である[1]〜[11]のいずれかに記載の容器。
本発明によれば、結露の発生が抑制された容器を得ることができる。
図1は、本発明の容器の一実施形態を説明する概略図である。 図2は、本発明の容器の層構成を説明する平面図である。 図3は、本発明の容器の一実施形態を説明する概略図である。 図4は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。 図5は、本発明の容器の層構成を説明する平面図である。 図6は、本発明の容器の層構成を説明する平面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
(容器)
本発明は、基材層と、吸収層と、を備える容器に関する。ここで、吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含み、吸収層は、基材層よりも外面側に配置されている。
図1は、本発明の容器100の一実施形態を説明する概略図である。図1に示されるように、容器100は、内面側に基材層20、外面側に吸収層30を備えている。なお、図1では、基材層20と吸収層30の層構成を理解しやすいように描いているため、各層の厚みや厚みの比率は実際の容器の構成とは必ずしも同一ではない。基材層20の内側には、内容物を収容する収容部が形成されている。基材層20は、内容物に直接接するよう、最内面に設けられていることが好ましい。このため、基材層20の収容部側の面には撥水性を発揮し得る層が設けられていることが好ましい。
図2は、本発明の容器100を上面からみた平面図である。なお、図2では、基材層20と吸収層30の層構成を理解しやすいように描いているため、各層の厚みや厚みの比率は実際の容器の構成とは必ずしも同一ではない。
図2に示されるように、吸収層30は基材層20よりも外面側に設けられている。図2に示されるように、吸収層30は、基材層20に直接接するように積層されていてもよい。また、図2に示されるように、吸収層30は、容器100の最外面を構成する層であってもよい。なお、後述するように、吸収層30と基材層20の間には他の層が設けられていてもよい。例えば、吸収層30と基材層20の間には接着層25が設けられていてもよい。また、後述するように、吸収層30の外面側にはさらに透過層40が設けられていてもよい。
本発明の容器は、上記構成を有するものであるため、容器の収容部に冷たい飲料等の冷物品を収容した場合であっても、容器の外周面に結露が発生することを抑制することができる。これは、容器の吸収層が結露水を吸収し得る機能を有するためである。吸収層は結露水を吸収し得る機能を有するため、容器の外周面に発生する結露水を吸収し、これにより、容器の外周面に結露水が付着することを抑制することができる。このように、本発明の容器は結露の発生を抑制することができ、使用時に結露水が手に付いたり、垂れたりすることに伴う不快感を低減することができる。
上述したように、本発明の容器は、結露水の吸収が可能な吸収層を備えるものであるため、内容物として冷物品を収容することに適している。すなわち、本発明の容器は冷物品収容用の用途に好ましく用いられる。中でも、本発明の容器は、冷食品収容用や冷飲料収容用の用途に特に好ましく用いられる。
また、本発明の容器は、基材層と吸収層が一体となった容器である。すなわち、基材層と吸収層は一つの積層体を構成しており、該積層体が容器形状に成形されている。このため、本発明の容器は製造が容易であり、また、コンパクトな設計とすることができるため保管スペースをとらない等の利点を有している。
なお、本発明の容器は上記構成を有するものであるため、保温性や断熱性にも優れている。すなわち、吸収層は、収容部に温かい飲料等を収容した場合に、内容物の熱さを使用者の持ち手に伝えにくくする働きをし、かつ内容物が冷めないように保温する働きもする。さらに、本発明の容器において、吸収層は滑り止め機能を発揮することもできる。吸収層は、使用者の持ち手に馴染みやすいため、容器が持ち手から滑り落ちることを防止することができる。
図1に示されるように、本発明の容器100は、胴部材と底部材から構成されるものであることが好ましい。このように本発明の容器100は、底面に対向する上面に開口部を備えるものであることが好ましい。なお、容器100は、さらに蓋部材を備えるものであってもよく、このような場合、蓋部材は開口部を覆うように胴部材に係合もしくは接合されることが好ましい。
なお、容器100は、胴部材と底部材といった少なくとも2つの部材を組み合わせて形成されるものであることが好ましいが、胴部材と底部材に区別されない部材から構成されてもよい。例えば、容器100は、一連の部材から構成されるお椀形状や直方体形状であってもよく、三角形状の部材を複数組み立て構成される逆三角錐形状であってもよい。
容器100が胴部材と底部材から構成されるものである場合、底部材の形状は特に限定されるものではない。底部材の形状は、図1に示されるように円形であることが好ましいが、四角形、三角形、楕円形等であってもよい。このような場合、胴部材は底部材の形状に沿って側壁(側面)を構成する。例えば、底部材が円形である場合、胴部材は円形の底部材の側壁(側面)となり、筒状に組み立てられる。
容器が胴部材と底部材から構成されるものである場合、胴部材が、基材層と、吸収層と、を備えるものであることが好ましい。この場合、底部材は基材層のみから構成されるものであってもよい。すなわち、吸収層は容器の側面にのみ設けられるものであってもよい。この場合、底部材の基材層は底面において外側表面に露出することになる。
容器が胴部材と底部材から構成されるものである場合、図1に示されるように吸収層30は、胴部材の全部に設けられるものであってもよく、図3に示されるように、吸収層30は、胴部材の一部に設けられるものであってもよい。吸収層30が、胴部材の一部に設けられるものである場合、基材層20の一部が側面の外側表面に露出していてもよい。吸収層30が、胴部材の一部に設けられるものである場合、吸収層30がない部分で発生した結露を、部分的に設けた吸収層30により吸収することで、周辺環境への放散を防止することもできる。図3では、吸収層30は、胴部材の下方に設けられており、胴部材の上方において、基材層20が露出している。このように、吸収層30は、胴部材の底辺から任意の高さまでの領域に設けられることが好ましい。この場合、吸収層30が設けられる任意の高さは、容器の高さの50%以上の高さであることが好ましく、60%以上の高さであることがより好ましく、70%以上の高さであることがさらに好ましい。これにより、吸収層30は結露水を十分に吸収することができ、また、容器100の製造コストを抑制することもできる。
なお、図3では、基材層20と吸収層30の層構成を理解しやすいように描いているため、各層の厚みや厚みの比率は実際の容器の構成とは必ずしも同一ではない。
なお、吸収層は、胴部材の高さ方向の中央領域にのみ設けられていてもよい。例えば、胴部材において使用者の把持部分付近に吸収層を設けてもよい。また、吸収層は、胴部材の外周面の円周方向に沿って、かつ高さ方向に向かって間欠的に設けられていてもよい。すなわち、吸収層は胴部材にストライプ状となるように設けられていてもよい。また、吸収層は、胴部材にパターン状に設けられていてもよく、例えば、水玉模様状や格子模様状に設けられていてもよい。なお、このような場合、吸収層は胴部材の表面積に対して40%以上の領域に設けられていることが好ましく、50%以上の領域に設けられていることがより好ましく、60%以上の領域に設けられていることがさらに好ましい。これにより、吸収層は結露水をより効果的に吸収しつつ、滑り止め機能を発揮することもできる。
容器の開口部の平面積と底部材の平面積は同じであってもよく、異なっていてもよい。特に、容器が冷飲料の収容用として用いられる場合は、図1に示されるように、開口部の平面積>底部材の平面積であることが好ましい。
本発明の容器において、吸収層は吸水性に優れている。このため、吸収層は内容物として冷物品を収容した際に生じる結露水を吸収することができ、これにより容器表面に結露水が付着することを抑制することができる。具体的には、基材層に吸収層が積層している領域(X)における下記式1で算出される容器の吸水率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、120%以上であることが一層好ましく、180%以上であることがより一層好ましく、200%以上であることが特に好ましい。なお、吸水率の上限値は特に限定されるものではなく、例えば、5000%とすることができる。
式1:吸水率(%)=(WB−WA)/WA×100
ここで、WBはイオン交換水に24時間浸漬させた後の領域(X)の重量を表し、WAはイオン交換水に浸漬させる前の領域(X)の重量を表す。なお、本明細書において吸水率を算出する際には、例えば、容器において基材層と吸収層が積層した箇所を5cm角に切り出し試験片とし、試験片をイオン交換水に浸漬する前後の重量を測定することで算出する。なお、吸水率を算出する際に用いる試験片の大きさは特に限定されるものではない。
本発明の容器において、吸収層は透明性に優れている。このため、基材層にも透明な材質を用いることで、容器全体の透明性を高めることができ、容器のヘーズ値を低下させることができる。このような場合、収容部に収容した内容物を外側から視認することができ、意匠性を高めることもできる。例えば、容器のいずれか一面において基材層に吸収層が積層している領域(X)のヘーズ値は70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、30%以下であってもよく、10%以下であってもよい。
ここで、領域(X)のヘーズ値は、基材層と吸収層が積層した箇所を、例えば5cm角に切り出して試験片とし、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定する。なお、ヘーズを測定する際に用いる試験片の大きさは特に限定されるものではない。
なお、吸収層のヘーズ値も上記範囲内であることが好ましい。すなわち、吸収層は高い透明性を有していることが好ましい。これにより、例えば、基材層に文字や絵柄が印刷されている場合であっても、吸収層は文字や絵柄の視認性を低下させることがない。吸収層のヘーズ値を測定する際には容器から吸収層を剥離した後に、5cm角に切り出した試験片について、例えば、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、JIS K 7136に準拠して、D65光源によるヘーズを測定する。
(基材層)
本発明の容器は基材層を備える。基材層は、内容物に直接接するよう、最内面に設けられていることが好ましい。このため、基材層の収容部側の面には撥水性を発揮し得る層が設けられていることが好ましい。
基材層は、パルプ、樹脂、ガラス及び金属から選択される少なくとも1種を含む層であることが好ましい。中でも、基材層は、パルプ及び樹脂から選択される少なくとも1種を含む層であることがより好ましい。なお、基材層を樹脂から構成した場合、基材層の光透過性を高めることができ、これにより、容器のヘーズ値を低下させることができる。これにより、容器の内容物の視認性を高め、意匠性を高めることもできる。
基材層がパルプを含む層である場合、パルプを主成分とする紙層の少なくとも一方の面が樹脂成分でラミネートされた多層体を基材層として用いることが好ましい。この場合、ラミネートするための樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、イソシアネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、植物由来材料(バイオプラスチック)、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を挙げることができる。中でも、ヒートシール可能なポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は好ましく用いられる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられ、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は特に好ましく用いられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体が挙げられる。
上述したような樹脂成分をラミネートする際には、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、サーマルラミネーション法、溶融押し出しラミネーション法等の方法を採用することができる。樹脂成分の密着性を高めるために、紙層には予めコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品を用いた酸化処理等公知の表面処理を施してもよい。また、紙層と樹脂成分のラミネート層の間には、プライマーコート層、アンカーコート層、接着層等を設けてもよい。
なお、本明細書において、パルプとは、繊維幅が1000nmよりも大きいセルロース繊維成分をいい、後述する微細繊維状セルロースとは区別されるものである。基材層は微細繊維状セルロースを含んでもよいが、微細繊維状セルロースの含有量は基材層の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%以下であることがより好ましい。
基材層が樹脂を含む層である場合、その樹脂種は特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができる。基材層を構成する樹脂は、透明性の高い樹脂種であることが好ましい。
基材層が金属を含む層である場合、その金属種は特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム等を挙げることができる。
基材層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい、また、基材層の厚みは、5000μm以下であることが好ましい。
基材層の外表面には、印刷層が設けられていてもよい。例えば、文字や絵柄等を基材層の外表面に印刷してもよい。印刷層は基材層の外表面の材質に合わせて、公知の方法で設けられる。
(吸収層)
本発明の容器は上述した基材層の外面側に吸収層を備える。吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む。なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースともいう。
吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースに加えて、さらに親水性高分子を含有していることが好ましい。親水性高分子としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、メタクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリアクリルアミドなどを挙げることができる。中でも、親水性高分子は、ポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
吸収層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、吸収層の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、微細繊維状セルロースの含有量は、吸収層の全質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
吸収層が親水性高分子を含む場合、吸収層に含まれる親水性高分子の含有量は、吸収層の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、親水性高分子の含有量は吸収層の全質量に対して、99.5質量%以下であることが好ましく、99.0質量%以下であることがより好ましく、95.0質量%以下であることがさらに好ましい。
吸収層は、上述した成分以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、界面活性剤、有機イオン、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、架橋剤等を挙げることができる。
吸収層中に含まれる任意成分の含有量は、吸収層の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
吸収層は吸水性に優れており、下記式1で算出される吸収層の吸水率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、120%以上であることが一層好ましく、180%以上であることがより一層好ましく、200%以上であることが特に好ましい。なお、吸水率の上限値は特に限定されるものではなく、例えば、1500%とすることができる。
式1:吸水率(%)=(Wb−Wa)/Wa×100
ここで、Wbはイオン交換水に24時間浸漬させた後の吸収層の重量を表し、Waはイオン交換水に浸漬させる前の吸収層の重量を表す。なお、本明細書において吸水率を算出する際には、例えば、容器から吸収層を剥離し、その後、5cm角に切り出した吸収層をイオン交換水に浸漬する前後の重量を測定することで算出する。なお、吸水率を算出する際に用いる試験片の大きさは特に限定されるものではない。
吸収層のヘーズ値は70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることが特に好ましい。吸収層のヘーズ値は、容器から吸収層を剥離した後に、5cm角に切り出した試験片について、例えば、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、JIS K 7136に準拠して、D65光源によるヘーズを測定した値である。なお、ヘーズを測定する際に用いる試験片の大きさは特に限定されるものではない。
吸収層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることが一層好ましく、40μm以上であることが特に好ましい。なお、吸収層の厚みの上限値は特に制限されるものではないが、例えば500μmとすることができる。吸収層の厚みを上記範囲内とすることにより、容器の外周面に結露が発生することを抑制しやすくなる。
吸収層の内面側および外面側の少なくとも一方には、印刷層が設けられていてもよい。例えば、文字や絵柄等を吸収層の外表面に印刷してもよい。印刷層は吸収層の外表面の材質に合わせて、公知の方法で設けられる。
<微細繊維状セルロース>
吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む。なお、繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば1000nm以下である。繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば2nm以上1000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることがとくに好ましい。繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、繊維状セルロースによる強度や剛性、寸法安定性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。なお、繊維状セルロースは、たとえば単繊維状のセルロースである。
繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば電子顕微鏡を用いて以下のようにして測定される。まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
繊維状セルロースの繊維長は、とくに限定されないが、たとえば0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上800μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制できる。また、繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることも可能となる。なお、繊維状セルロースの繊維長は、たとえばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、とくに限定されないが、たとえば20以上10000以下であることが好ましく、50以上1000以下であることがより好ましい。軸比を上記下限値以上とすることにより、微細繊維状セルロースを含有する吸収層を形成しやすい。また、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
本実施形態における繊維状セルロースは、たとえば結晶領域と非結晶領域をともに有している。とくに、結晶領域と非結晶領域をともに有し、かつ軸比が高い微細繊維状セルロースは、後述する微細繊維状セルロースの製造方法により実現されるものである。
本実施形態における繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基(単に亜リン酸基ともいう)を有する。吸収層が亜リン酸基を有する繊維状セルロースを含むことで、吸収層の吸水率が高くなりやすい傾向となり、結露の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明では、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基は、例えば、下記式(2)で表される置換基である。
式(2)中、bは自然数であり、mは任意の数であり、b×m=1である。αは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。中でも、αは水素原子であることが特に好ましい。なお、式(2)におけるαには、セルロース分子鎖に由来する基は含まれない。
式(2)のαで表される飽和−直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はn−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロピル基、又はt−ブチル基等が挙げられるが、特に限定されない。飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、又はアリル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロペニル基、又は3−ブテニル基等が挙げられるが、特に限定されない。不飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、特に限定されない。芳香族基としては、フェニル基、又はナフチル基等が挙げられるが、特に限定されない。
また、αにおける誘導基としては、上記各種炭化水素基の主鎖又は側鎖に対し、カルボキシ基、ヒドロキシ基、又はアミノ基などの官能基のうち、少なくとも1種類が付加又は置換した状態の官能基が挙げられるが、特に限定されない。また、Rの主鎖を構成する炭素原子数は特に限定されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。Rの主鎖を構成する炭素原子数を上記範囲とすることにより、亜リン酸基の分子量を適切な範囲とすることができ、繊維原料への浸透を容易にし、微細セルロース繊維の収率を高めることもできる。
式(2)におけるβb+は有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、脂肪族アンモニウム、又は芳香族アンモニウムが挙げられ、無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、若しくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、若しくはマグネシウム等の2価金属の陽イオン、又は水素イオン等が挙げられるが、特に限定されない。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて適用することもできる。有機物又は無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βを含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、又はカリウムのイオンが好ましいが、特に限定されない。
なお、微細繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基由来の置換基に加えて、さらにリン酸基又はリン酸基に由来する基を有していてもよい。リン酸基又はリン酸基に由来する基は、例えば、下記式(1)もしくは(3)で表される置換基である。なお、リン酸基又はリン酸基に由来する基は、下記式(3)で表されるような縮合リンオキソ酸基であってもよい。
式(1)中、a及びbは自然数であり、mは任意の数である(ただし、a=b×mである)。α及びα’のうちa個がO-であり、残りはORである。ここで、Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。なお、式(1)におけるαは、セルロース分子鎖に由来する基であってもよい。
式(3)中、a及びbは自然数であり、mは任意の数であり、nは2以上の自然数である(ただし、a=b×mである)。α1,α2,・・・,αn及びα’のうちa個がO-であり、残りはR又はORのいずれかである。ここで、Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。なお、式(3)におけるαは、セルロース分子鎖に由来する基であってもよい。
式(1)及び(3)における各基の具体的例示は、式(2)における各基の具体的例示と同様である。また、式(1)及び(3)におけるβb+の具体的例示は、式(2)におけるβb+の具体的例示と同様である。
微細繊維状セルロースが亜リン酸基を置換基として有することは、微細繊維状セルロースを含有する分散液について赤外線吸収スペクトルの測定を行い、1210cm-1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収を観察することで確認できる。また、繊維状セルロースがリン酸基を置換基として有することは、繊維状セルロースを含有する分散液について赤外線吸収スペクトルの測定を行い、1230cm-1付近にリン酸基に基づく吸収を観察することで確認できる。また、繊維状セルロースが亜リン酸基やリン酸基を置換基として有することは、NMRを用いて化学シフトを確認する方法や、元素分析に滴定を組み合わせる方法などでも確認できる。
繊維状セルロースに対する亜リン酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることが特に好ましい。また、繊維状セルロースに対する亜リン酸基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.50mmol/g以下であることがさらに好ましく、3.00mmol/g以下であることが特に好ましい。亜リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。また、亜リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維状セルロースを含むシートなどにおいて良好な特性を発揮することができる。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、亜リン酸基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量を示す。
繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基(亜リン酸基を含む)の導入量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。中和滴定法による測定では、得られた繊維状セルロースを含有するスラリーに、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを加えながらpHの変化を求めることにより、導入量を測定する。
図4は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図4の上側部に示すような滴定曲線を得る。図4の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図4の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図4において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
なお、上述のリンオキソ酸基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量を示すことから、酸型の繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、リンオキソ酸基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(C型))を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
なお、滴定法によるリンオキソ酸基量の測定においては、水酸化ナトリウム水溶液1滴の滴下量が多すぎる場合や、滴定間隔が短すぎる場合、本来より低いリンオキソ酸基量となるなど正確な値が得られないことがある。適切な滴下量、滴定間隔としては、例えば、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5〜30秒に10〜50μLずつ滴定するなどが望ましい。また、繊維状セルロース含有スラリーに溶解した二酸化炭素の影響を排除するため、例えば、滴定開始の15分前から滴定終了まで、窒素ガスなどの不活性ガスをスラリーに吹き込みながら測定するなどが望ましい。
また、亜リン酸基に加えて、リン酸基、縮合リン酸基のいずれかまたは両方を含む場合において検出されるリンオキソ酸が、亜リン酸、リン酸、縮合リン酸のどれに由来するのかを区別する方法としては、例えば、酸加水分解などの縮合構造を切断する処理を行ってから上述した滴定操作を行う方法や、酸化処理などの亜リン酸基をリン酸基へ変換する処理を行ってから上述した滴定操作を行う方法などが挙げられる。
<微細繊維状セルロースの製造工程>
<繊維原料>
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料としては、たとえばホヤ類に含まれるセルロースや、酢酸菌が生成するバクテリアセルロースを利用することも出来る。また、セルロースを含む繊維原料に代えて、キチン、キトサンなどの直鎖型の含窒素多糖高分子が形成する繊維を用いることも出来る。
<亜リン酸基導入工程>
亜リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、亜リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、亜リン酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態に係る亜リン酸基導入工程では、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を、尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」ともいう)の存在下で行ってもよい。一方で、化合物Bが存在しない状態において、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を行ってもよい。
化合物Aを化合物Bとの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態、湿潤状態またはスラリー状の繊維原料に対して、化合物Aと化合物Bを混合する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料を用いることが好ましく、特に乾燥状態の繊維原料を用いることが好ましい。繊維原料の形態は、とくに限定されないが、たとえば綿状や薄いシート状であることが好ましい。化合物Aおよび化合物Bは、それぞれ粉末状または溶媒に溶解させた溶液状または融点以上まで加熱して溶融させた状態で繊維原料に添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、溶媒に溶解させた溶液状、特に水溶液の状態で添加することが好ましい。また、化合物Aと化合物Bは繊維原料に対して同時に添加してもよく、別々に添加してもよく、混合物として添加してもよい。化合物Aと化合物Bの添加方法としては、とくに限定されないが、化合物Aと化合物Bが溶液状の場合は、繊維原料を溶液内に浸漬し吸液させたのちに取り出してもよいし、繊維原料に溶液を滴下してもよい。また、必要量の化合物Aと化合物Bを繊維原料に添加してもよいし、過剰量の化合物Aと化合物Bをそれぞれ繊維原料に添加した後に、圧搾や濾過によって余剰の化合物Aと化合物Bを除去してもよい。
本実施態様で使用する化合物Aは、亜リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種である。亜リン酸基を有する化合物としては亜リン酸を挙げることができ、亜リン酸としては、たとえば99%亜リン酸(ホスホン酸)が挙げられる。亜リン酸基を有する化合物の塩としては、亜リン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。これらのうち、リンオキソ酸基の導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、亜リン酸、亜リン酸のナトリウム塩、亜リン酸のカリウム塩、または、亜リン酸のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は、特に限定されないが、たとえば化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合において、繊維原料(絶乾質量)に対するリン原子の添加量が0.5質量%以上100質量%以下となることが好ましく、1質量%以上50質量%以下となることがより好ましく、2質量%以上30質量%以下となることがさらに好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。一方で、繊維原料に対するリン原子の添加量を上記上限値以下とすることにより、収率向上の効果とコストのバランスをとることができる。
本実施態様で使用する化合物Bは、上述のとおり尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種である。化合物Bとしては、たとえば尿素、ビウレット、1−フェニル尿素、1−ベンジル尿素、1−メチル尿素、および1−エチル尿素などが挙げられる。反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
繊維原料(絶乾質量)に対する化合物Bの添加量は、とくに限定されないが、たとえば1質量%以上500質量%以下であることが好ましく、10質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上350質量%以下であることがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応においては、化合物Bの他に、たとえばアミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、たとえばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、たとえばメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、特にトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
亜リン酸基導入工程においては、繊維原料に化合物A等を添加又は混合した後、当該繊維原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、亜リン酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば攪拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
本実施形態に係る加熱処理においては、たとえば薄いシート状の繊維原料に化合物Aを含浸等の方法により添加した後、加熱する方法や、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練又は攪拌しながら加熱する方法を採用することができる。これにより、繊維原料における化合物Aの濃度ムラを抑制して、繊維原料に含まれるセルロース繊維表面へより均一に亜リン酸基を導入することが可能となる。これは、乾燥に伴い水分子が繊維原料表面に移動する際、溶存する化合物Aが表面張力によって水分子に引き付けられ、同様に繊維原料表面に移動してしまう(すなわち、化合物Aの濃度ムラを生じてしまう)ことを抑制できることに起因するものと考えられる。
また、加熱処理に用いる加熱装置は、たとえばスラリーが保持する水分、及び化合物Aと繊維原料中のセルロース等が含む水酸基等との脱水縮合(リン酸エステル化)反応に伴って生じる水分、を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましい。このような加熱装置としては、例えば送風方式のオーブン等が挙げられる。装置系内の水分を常に排出することにより、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもできる。このため、軸比の高い微細繊維状セルロースを得ることが可能となる。
加熱処理の時間は、たとえば繊維原料から実質的に水分が除かれてから1秒以上300分以下であることが好ましく、1秒以上1000秒以下であることがより好ましく、10秒以上800秒以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、亜リン酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
亜リン酸基導入工程は、少なくとも1回行えば良いが、2回以上繰り返して行うこともできる。2回以上の亜リン酸基導入工程を行うことにより、繊維原料に対して多くの亜リン酸基を導入することができる。
繊維原料に対する亜リン酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることが特に好ましい。また、繊維原料に対する亜リン酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.00mmol/g以下であることがさらに好ましい。亜リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
<洗浄工程>
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じて亜リン酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶剤により亜リン酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
<アルカリ処理工程>
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、亜リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。本実施形態においては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをアルカリ化合物として用いることが好ましい。また、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水または有機溶剤のいずれであってもよい。中でも、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水、またはアルコールに例示される極性有機溶剤などを含む極性溶媒であることが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であることがより好ましい。アルカリ溶液としては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は、特に限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましい。アルカリ処理工程における亜リン酸基導入繊維のアルカリ溶液への浸漬時間は、特に限定されないが、たとえば5分以上30分以下であることが好ましく、10分以上20分以下であることがより好ましい。アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は、特に限定されないが、たとえば亜リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の使用量を減らすために、亜リン酸基導入工程の後であってアルカリ処理工程の前に、亜リン酸基導入繊維を水や有機溶剤により洗浄してもよい。アルカリ処理工程の後であって解繊処理工程の前には、取り扱い性を向上させる観点から、アルカリ処理を行った亜リン酸基導入繊維を水や有機溶剤により洗浄することが好ましい。
<酸処理工程>
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
酸処理の方法としては、特に限定されないが、たとえば酸を含有する酸性液中に繊維原料を浸漬する方法が挙げられる。使用する酸性液の濃度は、特に限定されないが、たとえば10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、使用する酸性液のpHは、特に限定されないが、たとえば0以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。酸性液に含まれる酸としては、たとえば無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、たとえばギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸または硫酸を用いることがとくに好ましい。
酸処理における酸溶液の温度は、特に限定されないが、たとえば5℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上90℃以下がより好ましい。酸処理における酸溶液への浸漬時間は、特に限定されないが、たとえば5分以上120分以下が好ましく、10分以上60分以下がより好ましい。酸処理における酸溶液の使用量は、特に限定されないが、たとえば繊維原料の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
<解繊処理>
亜リン酸基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
解繊処理工程においては、たとえば亜リン酸基導入繊維を、分散媒により希釈してスラリー状にすることが好ましい。分散媒としては、水、および極性有機溶剤などの有機溶剤から選択される1種または2種以上を使用することができる。極性有機溶剤としては、とくに限定されないが、たとえばアルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、非プロトン極性溶媒等が好ましい。アルコール類としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としてはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。また、亜リン酸基導入繊維を分散媒に分散させて得たスラリー中には、例えば水素結合性のある尿素などの亜リン酸基導入繊維以外の固形分が含まれていてもよい。
<吸収層の製造工程>
吸収層の製造工程は、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースの分散液と、樹脂溶液を混合し、混合液を得る工程を含むことが好ましい。なお、微細繊維状セルロースの分散液と、樹脂溶液における各々分散媒の種類は、特に限定されないが、たとえば水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合物を挙げることができる。中でも、溶媒は水であることが好ましい。
微細繊維状セルロースの分散液中における微細繊維状セルロースの含有量は、分散液の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、微細繊維状セルロースの含有量は、分散液の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
樹脂溶液中の樹脂濃度は、樹脂溶液の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、樹脂濃度は、樹脂溶液の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
微細繊維状セルロースと樹脂の混合液から吸収層となるシートを形成する場合は、混合液を基材上に塗工する塗工工程、又は混合液を抄紙する抄紙工程を含む。
<<塗工工程>>
塗工工程では、たとえば混合液(スラリー)を基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによりシートを得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
塗工工程で用いる基材の材質は、特に限定されないが、スラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂製のフィルムや板または金属製のフィルムや板が好ましいが、特に限定されない。例えばアクリル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂のフィルムや板、アルミ、亜鉛、銅、鉄板の金属のフィルムや板、および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレスのフィルムや板、真ちゅうのフィルムや板等を用いることができる。
塗工工程において、スラリーの粘度が低く、基材上で展開してしまう場合には、所定の厚み及び坪量のシートを得るため、基材上に堰止用の枠を固定して使用してもよい。堰止用の枠としては、特に限定されないが、たとえば乾燥後に付着するシートの端部が容易に剥離できるものを選択することが好ましい。このような観点から、樹脂板または金属板を成形したものがより好ましい。本実施形態においては、例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛板、銅板、鉄板等の金属板、及びこれらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を成形したものを用いることができる。
スラリーを基材に塗工する塗工機としては、とくに限定されないが、たとえばロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。シートの厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターがとくに好ましい。
スラリーを基材へ塗工する際のスラリー温度および雰囲気温度は、特に限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上50℃以下であることがさらに好ましく、20℃以上40℃以下であることが特に好ましい。塗工温度が上記下限値以上であれば、スラリーをより容易に塗工できる。塗工温度が上記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
塗工工程においては、シートの仕上がり坪量が好ましくは10g/m2以上200g/m2以下となるように、より好ましくは20g/m2以上150g/m2以下となるように、スラリーを基材に塗工することが好ましい。坪量が上記範囲内となるように塗工することで、強度に優れたシートが得られる。
塗工工程は、上述のとおり、基材上に塗工したスラリーを乾燥させる工程を含む。スラリーを乾燥させる工程は、特に限定されないが、たとえば非接触の乾燥方法、もしくはシートを拘束しながら乾燥する方法、またはこれらの組み合わせにより行われる。非接触の乾燥方法としては、特に限定されないが、たとえば熱風、赤外線、遠赤外線もしくは近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、または真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線または近赤外線による乾燥は、とくに限定されないが、たとえば赤外線装置、遠赤外線装置または近赤外線装置を用いて行うことができる。加熱乾燥法における加熱温度は、特に限定されないが、たとえば20℃以上150℃以下とすることが好ましく、25℃以上105℃以下とすることがより好ましい。加熱温度を上記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができる。また、加熱温度を上記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制及び繊維状セルロースの熱による変色の抑制を実現できる。
<<抄紙工程>>
抄紙工程は、抄紙機により混合液(スラリー)を抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、とくに限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
抄紙工程は、スラリーをワイヤーにより濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、このシートをプレス、乾燥することにより行われる。スラリーを濾過、脱水する際に用いられる濾布としては、特に限定されないが、たとえば繊維状セルロースは通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないものであることがより好ましい。このような濾布としては、特に限定されないが、たとえば有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては特に限定されないが、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。本実施形態においては、たとえば孔径0.1μm以上20μm以下であるポリテトラフルオロエチレンの多孔膜や、孔径0.1μm以上20μm以下であるポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられる。
シート化工程において、スラリーからシートを製造する方法は、たとえばスラリーを無端ベルトの上面に吐出し、吐出されたスラリーから分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、ウェブを乾燥させてシートを生成する乾燥セクションとを備える製造装置を用いて行うことができる。搾水セクションから乾燥セクションにかけて無端ベルトが配設され、搾水セクションで生成されたウェブが無端ベルトに載置されたまま乾燥セクションに搬送される。
抄紙工程において用いられる脱水方法としては、特に限定されないが、たとえば紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられる。これらの中でも、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、さらにロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、抄紙工程において用いられる乾燥方法としては、特に限定されないが、たとえば紙の製造で用いられている方法が挙げられる。これらの中でも、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、近赤外線ヒーター、赤外線ヒーターなどを用いた乾燥方法がより好ましい。
(接着層)
吸収層30は、基材層20に直接接するように積層されていてもよいが、吸収層30と基材層20の間には他の層が設けられていてもよい。この場合、図5に示すように、吸収層30と基材層20の間には接着層25が設けられることが好ましい。すなわち、吸収層30は、接着層25を介して基材層20に積層していてもよい。なお、図5では、基材層20、接着層25及び吸収層30の層構成を理解しやすいように描いているため、各層の厚みや厚みの比率は実際の容器の構成とは必ずしも同一ではない。
接着層を構成する接着剤として、例えば、アクリル系樹脂を挙げることができる。また、アクリル系樹脂以外の接着剤としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、スチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂や、SBR、NBR等のゴム系エマルジョンなどが挙げられる。
接着層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。また、接着層の厚みは、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。ここで、接着層の厚さは、ウルトラミクロトームUC−7(JEOL社製)によって容器の胴部材の断面を切り出し、当該断面を電子顕微鏡、拡大鏡又は目視で観察して測定される値である。
(透過層)
吸収層30の外面側にはさらに透過層40が設けられていてもよい。図6に示されるように、透過層40は、吸収層30よりも外面側に配置されている。容器100においては、内面側から基材層20、吸収層30及び透過層40がこの順で積層されていてもよく、さらに、各層の間には接着層等の他の層が設けられていてもよい。すなわち、容器100においては、内面側から基材層20、接着層、吸収層30、接着層及び透過層40がこの順で積層されていてもよい。なお、図6では、基材層20、吸収層30及び透過層40の層構成を理解しやすいように描いているため、各層の厚みや厚みの比率は実際の容器の構成とは必ずしも同一ではない。
透過層は、水分を透過し得る層である。透過層は水分を透過させることができるため、吸収層における吸水率を低下させることがない。その上で、透過層は、容器の意匠性を高めたり、また、容器の使用感を高めたりする働きをする。例えば、透過層としてパルプを含む層を採用した場合は、容器表面のベタつき感を抑制でき、使用者の持ち手部分の爽快感を高めることができる。
透過層は、パルプ及び樹脂から選択される少なくとも1種を含む層であることが好ましい。中でも、透過層は、パルプを含む層であることがより好ましく、例えば、透過層は紙であることが好ましい。なお、透過層を樹脂等から構成した場合は、透過層の水分透過性を高めるために、透過層となるシートに細孔を設けてもよい。このように、細孔を有する透過層も好ましく用いられる。
透過層の厚みは特に限定されるものではないが、例えば、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい、また、透過層の厚みは、5000μm以下であることが好ましい。
透過層の内面側および外面側の少なくとも一方には、印刷層が設けられていてもよい。例えば、文字や絵柄等を透過層の外表面に印刷してもよい。印刷層は透過層の外表面の材質に合わせて、公知の方法で設けられる。
(容器の製造方法)
容器の製造工程は、以下の(a)工程もしくは(b)工程のいずれかを含むことが好ましい。
(a)工程:基材層と吸収層とを備える積層シートを得て、該積層シートを容器形状に成形する。
(b)工程:基材層を容器形状に成形した後に、吸収層を基材層の外周面に設ける。
なお、容器の製造工程においては、上述したように吸収層となるシートを予め作製した後に、基材層と重ね合わせてもよく、基材層の上に吸収層形成用のスラリーを塗工し、乾燥させることで吸収層を形成してもよい。基材層の上に吸収層形成用のスラリーを塗工し、乾燥させる際には、上述した<<塗工工程>>と同様の条件を採用してもよい。
(a)工程において積層シートを容器形状に成形する前や、(b)工程において基材層を容器形状に成形する前には、各シート部材を所望の形状となるように裁断する。容器形状に成形する際には、例えば、公知の成形機を用いて成形することができ、例えば、カップ成形機等を用いることができる。
(a)工程において積層シートを得る際や、(b)工程において吸収層を基材層の外周面に設ける際には、例えば吸収層に接着剤を塗工し、この塗工面を基材層の外周面側に貼合することができる。この場合、接着剤としては、UV硬化型の接着剤を用いてもよい。UV硬化型の接着剤を用いる場合は、吸収層を接着層を介して基材層に貼合した後に吸収層側から紫外線を照射することで吸収層と基材層を強固に接着することができる。
また、(a)工程において積層シートを得る際や、(b)工程において吸収層を基材層の外周面に設ける際に接着剤を用いない場合は、吸収層を水に浸した後に基材層の外周面側に貼合してもよく、吸収層を形成するスラリーを基材層の外周面上に塗工し、乾燥させることで吸収層を形成してもよい。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
[亜リン酸化パルプの作製]
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、亜リン酸(ホスホン酸)と尿素の混合水溶液を添加して、亜リン酸(ホスホン酸)33質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調製し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースに亜リン酸基を導入し、亜リン酸化パルプを得た。
次いで、得られた亜リン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、亜リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後の亜リン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後の亜リン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下の亜リン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該亜リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施された亜リン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後の亜リン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
これにより得られた亜リン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1210cm-1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプに亜リン酸基(ホスホン酸基)が付加されていることが確認された。また、得られた亜リン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。なお、得られた亜リン酸化パルプについて、後述する〔亜リン酸基量の測定〕に記載の測定方法で測定される亜リン酸基量(第1解離酸量)は1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。
[解繊処理]
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液Aを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
[ポリビニルアルコールの溶解]
イオン交換水に、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、ポバール105、重合度:500、ケン化度:98〜99mol%)を20質量%になるように加え、95℃で1時間撹拌し、溶解した。上記の手順でポリビニルアルコール水溶液を得た。
[微細繊維状セルロース含有シートの作製]
微細繊維状セルロース分散液A、および上記ポリビニルアルコール水溶液をそれぞれ固形分濃度が0.6質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、希釈後の微細繊維状セルロース分散液10質量部に対し、希釈後のポリビニルアルコール水溶液が90質量部になるように混合し、混合液Aを得た。さらに、シートの仕上がり坪量が60g/m2になるように混合液Aを計量して、市販の透明アクリル板上に展開した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後、70℃の乾燥機で24時間乾燥し、後に吸収層となる微細繊維状セルロース含有シートAを得た。微細繊維状セルロース含有シートAの厚みは50μmであった。
[容器の形成]
内面がポリエチレンでラミネートされた市販の紙コップ(筒状の胴部材と底部材から構成され、開口部口径70.5mm、全高67.5mmの紙コップ)を用意した。この紙コップの底面から全高の75%までの高さの外周面を覆うような形状に、微細繊維状セルロース含有シートAを裁断した(裁断した形状は円錐台となる)。次いで、裁断後の微細繊維状セルロース含有シートAの一方の面に、絵筆を用いてUV硬化型アクリル樹脂系接着剤(アイカ工業社製、Z−587−16)を塗工した。この微細繊維状セルロース含有シートAを、接着剤の塗工面が紙コップの外周面に接するよう、紙コップに貼りあわせた。この際、微細繊維状セルロース含有シートAの短い方の弧と紙コップの胴部材の底辺が一致するように貼りあわせた。さらに、この紙コップを横向きに倒した状態で、紫外線照射量200mJ/cm2に設定したUVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)に通し、UV硬化型アクリル樹脂系接着剤を硬化させた。さらに紙コップを横向きに倒した状態で底面の中心点と、開口部の中心点を結ぶ線を軸として90°回転させた後に、UVコンベア装置に通す工程を3回行い、全面のUV硬化型アクリル樹脂系接着剤を硬化させた。上記の手順により、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及び微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[実施例2]
[ポリエチレンオキサイドの溶解]
イオン交換水に、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)を1質量%になるように加え、1時間撹拌して溶解した。上記の手順でポリエチレンオキサイド水溶液を得た。
[微細繊維状セルロース含有シートの作製]
実施例1で作製した微細繊維状セルロース分散液A、および上記ポリエチレンオキサイド水溶液をそれぞれ固形分濃度が0.6質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、希釈後の微細繊維状セルロース分散液100質量部に対し、希釈後のポリエチレンオキサイド水溶液が20質量部になるように混合し、混合液Bを得た。さらに、シートの仕上がり坪量が75g/m2になるように混合液Bを計量して、市販の透明アクリル板上に展開した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の枠(内寸180mm×180mm、高さ50mm)を配置した。その後、70℃の乾燥機で24時間乾燥し、後に吸収層となる微細繊維状セルロース含有シートBを得た。微細繊維状セルロース含有シートBの厚みは50μmであった。
[容器の形成]
微細繊維状セルロース含有シートAの代わりに、上記微細繊維状セルロース含有シートBを用いた以外は実施例1の[容器の形成]と同様にし、基材層、接着層、及び吸収層を備えた容器を形成した。
[実施例3]
実施例1の[容器の形成]において、紙コップの代わりに、市販のポリスチレン製のコップ(筒状の胴部材と底部材から構成され、開口部口径70.0mm、全高68.6mmのコップ)を用いた以外は実施例1と同様にし、ポリスチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及び微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[実施例4]
実施例2の[容器の形成]において、紙コップの代わりに、市販のポリスチレン製のコップ(筒状の胴部材と底部材から構成され、開口部口径70.0mm、全高68.6mmのコップ)を用いた以外は実施例2と同様にし、ポリスチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及び微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[実施例5]
実施例1の[容器の形成]において裁断した微細繊維状セルロース含有シートAと同様の形状に、包装用紙(王子エフテックス社製、グラファン;厚み30μm)を裁断した。この包装用紙をイオン交換水に10秒間浸漬させたのち、実施例1で得た容器の微細繊維状セルロース含有シートAが存在する部分に重なるように巻きつけ、静置した。さらに、この紙コップを底面を下として直立させた状態で、50℃の乾燥機で24時間乾燥させた。上記の手順により、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、微細繊維状セルロースを含む吸収層、及び紙による透過層を備えた容器を形成した。
[実施例6]
実施例1の[容器の形成]において、アクリル樹脂系接着剤を用いず、以下の手順で容器を形成した。
内面がポリエチレンでラミネートされた市販の紙コップ(筒状の胴部材と底部材から構成され、開口部口径70.5mm、全高67.5mmの紙コップ)を用意した。この紙コップの底面から全高の75%までの高さの外周面を覆うような形状に、微細繊維状セルロース含有シートAを裁断した(裁断した形状は円錐台となる)。次いで、裁断後の微細繊維状セルロース含有シートAをイオン交換水に10秒間浸漬させた。この微細繊維状セルロース含有シートAを、紙コップに貼りあわせた。この際、微細繊維状セルロース含有シートAの短い方の弧と紙コップの胴部材の底辺が一致するように貼りあわせた。さらに、この紙コップを底面を下として直立させた状態で、50℃の乾燥機で24時間乾燥させた。上記の手順により、紙とポリエチレンを含む基材層、及び微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[実施例7]
実施例1の[微細繊維状セルロース含有シートの作製]において、シートの仕上がり坪量が18g/m2になるように混合液Aを計量して、市販の透明アクリル板上に展開した以外は実施例1と同様にし、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及び微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた容器を形成した。なお、ここで微細繊維状セルロース含有シートの厚みは15μmであった。
[比較例1]
実施例1において、微細繊維状セルロース含有シートAの貼りあわせを行わず、紙とポリエチレンを含む基材層のみを備えた容器を準備し、後述の測定、評価に供した。
[比較例2]
実施例1の[微細繊維状セルロース含有シートの作製]において、微細繊維状セルロース分散液Aを混合せず、ポリビニルアルコールのみで構成されたシートを作製した。ここで、シートの厚みは50μmであった。その他の手順は実施例1と同様にし、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及びポリビニルアルコールを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[比較例3]
実施例2の[微細繊維状セルロース含有シートの作製]において、微細繊維状セルロース分散液Aを混合せず、ポリエチレンオキサイドのみで構成されたシートを作製した。また、シートの仕上がり坪量は63.5g/m2になるようにポリエチレンオキサイド水溶液を計量して、市販の透明アクリル板上に展開した。ここで、シートの厚みは50μmであった。その他の手順は実施例2と同様にし、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及びポリエチレンオキサイドを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[比較例4]
実施例3において、微細繊維状セルロース含有シートAの貼りあわせを行わず、ポリスチレンによる基材層のみを備えた容器を準備し、後述の測定、評価に供した。
[比較例5]
実施例3の[微細繊維状セルロース含有シートの作製]において、微細繊維状セルロース分散液Aを混合せず、ポリビニルアルコールのみで構成されたシートを作製した。ここで、シートの厚みは50μmであった。その他の手順は実施例3と同様にし、ポリスチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及びポリビニルアルコールを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[比較例6]
実施例4の[微細繊維状セルロース含有シートの作製]において、微細繊維状セルロース分散液Aを混合せず、ポリエチレンオキサイドのみで構成されたシートを作製した。また、シートの仕上がり坪量は63.5g/m2になるようにポリエチレンオキサイド水溶液を計量して、市販の透明アクリル板上に展開した。ここで、シートの厚みは50μmであった。その他の手順は実施例4と同様にし、ポリスチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及びポリエチレンオキサイドを含む吸収層を備えた容器を形成した。
[比較例7]
実施例1の[容器の形成]において、微細繊維状セルロース含有シートAの代わりに、包装用紙(王子エフテックス社製、グラファン;厚み30μm)を使用した。その他の手順は実施例1と同様にし、紙とポリエチレンを含む基材層、アクリル樹脂を含む接着層、及び紙による透過層を備えた容器を形成した。
[測定]
[繊維幅]
微細繊維状セルロースの繊維幅は下記の方法で測定した。湿式微粒化装置にて処理をして得られた上記微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
[亜リン酸基量]
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図4)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を亜リン酸基量(mmol/g)とした。
[容器の吸水率]
実施例及び比較例で得た容器の胴部材から5cm角の試験片(吸収層と基材層が積層された片)を切り出した。この際、試験片の一端が胴部材の底辺となるように切り出した。次いで、この試験片の重量WAを測定したのち、イオン交換水に浸漬させて24時間保持した。その後試験片をイオン交換水から引き上げ、キムワイプで試験片表面に付着した水分を拭き取った後、試験片の重量WBを測定した。重量WA、WBより、容器の吸水率を下記の式1にしたがって吸水率を算出した。
吸水率(%)=(WB−WA)/WA×100 ・・・(式1)
[容器のヘーズ]
実施例及び比較例で得た容器から、[容器の吸水率]と同様に5cm角の試験片(吸収層と基材層が積層された片)を切り出した。この試験片について、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、JIS K 7136に準拠して、D65光源によるヘーズを測定した。
[評価]
[結露水の付着]
実施例及び比較例で得た容器に、5℃に冷却したイオン交換水を容器の底面から全高の75%の高さまで注ぎ、次いで28℃、相対湿度80%の環境に10分間静置した。静置後に容器の底面から75%までの高さの外周面を観察し、下記の基準にしたがって、容器への結露水の付着の程度を評価した。
評価5:観察部に結露水の付着が認められない。
評価4:結露水の付着程度が一般的な紙コップ(比較例1相当)より明確に少ない。
評価3:結露水の付着程度が一般的な紙コップ(比較例1相当)よりやや少ない。
評価2:結露水の付着程度が一般的な紙コップ(比較例1相当)と同等である。
評価1:結露水の付着程度が一般的な紙コップ(比較例1相当)より多い。
[内容物の視認性]
青色の水性染料をイオン交換水で1質量%となるように希釈し、容器の底面から全高の75%の高さまで注いだ。次いで、容器を側面から観察し、下記の基準にしたがって、内容物の視認性を評価した。
評価3:内容物が示す青色が明瞭に確認できる。
評価2:内容物が示す青色が不明瞭であるものの確認できる。
評価1:内容物が示す青色が確認できない。
表から明らかなように、微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた実施例の容器では、比較例で得た容器に対し、結露水の付着が抑制されていた。基材層にポリスチレンを用い、かつ微細繊維状セルロースを含む吸収層を備えた実施例3及び4の容器では、内容物の視認性も良好な結果となった。また、透過層を備える実施例5の容器は、使用感が良好であった。
20 基材層
25 接着層
30 吸収層
40 透過層
100 容器

Claims (11)

  1. 基材層と、吸収層と、を備え、
    上面に開口部を有する容器であって、
    前記吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含み、
    前記吸収層の厚みは10μm以上であり、
    前記吸収層は、前記基材層よりも外面側に配置されてなる容器。
  2. 胴部材と底部材から構成され、
    前記胴部材が、前記基材層と、前記吸収層と、を備える請求項1に記載の容器。
  3. 前記基材層は、パルプ、樹脂、ガラス及び金属から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の容器。
  4. 前記吸収層は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、親水性高分子と、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
  5. 前記親水性高分子はポリビニルアルコール及びポリエチレンオキサイドから選択される少なくとも1種である請求項4に記載の容器。
  6. 前記基材層に前記吸収層が積層している領域(X)における下記式1で算出される吸水率が80%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の容器。
    式1:吸水率(%)=(W−W)/W×100
    ここで、Wはイオン交換水に24時間浸漬させた後の領域(X)の重量を表し、Wはイオン交換水に浸漬させる前の領域(X)の重量を表す。
  7. 前記基材層に前記吸収層が積層している領域(X)のヘーズが70%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の容器。
  8. 前記吸収層は、接着層を介して前記基材層に積層している請求項1〜のいずれか1項に記載の容器。
  9. さらに透過層を備え、
    前記透過層は、前記吸収層よりも外面側に配置されている請求項1〜のいずれか1項に記載の容器。
  10. 前記基材層の一部が外側表面に露出している請求項1〜のいずれか1項に記載の容器。
  11. 冷物品収容用である請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器。

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