図1は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図1において、画像形成装置1は、例えば現像剤としてのブラック(K)トナーで印刷可能な電子写真式プリンタとしての構成を備えている。装置内には、レジストローラ8、9、排出ローラ13、14、15、16を有する用紙搬送路が形成されており、この用紙搬送路の最上流には、記録用紙4を収納する給紙カセット3が配置され、最下流にはカバー35上面のスタッカ38が設けられている。なお、本実施例では、画像形成装置1を単色のブラックトナーを扱うモノクロプリンタとして説明するが、複数色の現像剤としてのトナーを扱うカラープリンタや特殊トナーを扱うプリンタ等であっても良い。
給紙カセット3の記録用紙4は、ホッピングローラ7によって一枚ずつ用紙搬送路に繰り出される。ホッピングローラ7の下流には、記録用紙4の斜行を矯正し、所定のタイミングで記録用紙を送り出すレジストローラ8、9が配置されている。
そのレジストローラ8、9の下流には、後述するようにトナー現像が形成される感光ドラム25を備えた現像ユニット2と、感光ドラム25に形成されたトナー現像を記録用紙5に転写する転写部材である転写ローラ10とが、感光ドラム25と共に記録用紙5を挟持するように配置されている。
現像ユニット2および転写ローラ10の下流には、トナー画像を記録用紙5に定着させるため、ヒートローラ12とバックアップローラ11とで構成される定着ユニットが配設されている。この定着ユニットによってトナー画像が定着された記録用紙6は、排出ローラ13、14、15、16によって装置外のスタッカ38に送られる。なお、ここでは、各搬送段階にある記録用紙に異なる符号4、5、6を付して説明している。
蓋部としてのカバー35は、画像形成装置1の上面を形成するとともに、現像ユニット2を覆う開閉可能なものである。このカバー35は、画像形成装置1の回転支点35aを中心として回動可能に設けられている。
図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙5が現像ユニット2を通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光ドラム25の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、図1に示す画像形成装置1を構成する際の配置方向を示している。
図2は、第1の実施例における現像ユニットの構成を示す概略側断面図である。
図2において、現像ユニット2は、現像剤像としてのトナー像を形成するものである。
現像ユニット2には、表面に電荷を貯えることができ、露光によって表面の電荷を除去することができる感光ドラム25が矢印方向に回転可能に配置されている。
この感光ドラム25の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光ドラム25の表面に一定の圧力で接触して電荷を供給して帯電させる帯電部材である帯電ローラ24、画像形成装置1(図1)の本体側に配設されて帯電された感光ドラム25の表面に、例えばLED(Light Emitting Diode)ヘッド等の光源による光を照射して静電潜像を形成する露光手段であるLEDヘッド17が配設される。
さらに、LEDヘッド17の下流には、静電潜像が形成された感光ドラム25の表面に、所定色(ここではブラック)の現像剤としてのトナーを付着させて静電潜像を現像する現像部30、感光ドラム25上のトナー現像を転写ローラ10によって記録用紙5に転写した際に残留した転写残トナーを清掃するクリーニングローラ26が配設されている。
現像装置に相当する現像部30は、後述する攪拌部材28を備え、収容する未使用の現像剤としてのトナーを攪拌部材28によって攪拌しながらその下部に形成された後述する長孔形状の下部排出口44に導いて供給する現像剤収容体としてのトナーカートリッジ18、トナーカートリッジ18から供給されたトナーを貯蔵するトナー保持空間20、トナー保持空間20に供給されたトナーを攪拌しながら供給部材であるトナー供給ローラ21に導く攪拌部材27、感光ドラム25に接触して配置される現像部材である現像ローラ22、現像ローラ22にトナーを供給するトナー供給ローラ21、現像ローラ22上のトナーを均一に薄層化する現像剤層規制部材23を有し、感光ドラム25の表面に形成された静電潜像に現像ローラ22上のトナーを付着させて顕像化、即ち現像する。
さらに、現像ユニット2は、後述するようにトナーカートリッジ18を、トナー保持空間20の上方において、着脱自在に配置するように構成されているものであり、以後、現像ユニット2の、着脱自在なトナーカートリッジ18を除いた部分を現像ユニット本体2aと称す。
現像ユニット本体2aには、トナーカートリッジ18からのトナー補給を受けるためのトナー補給口32が、トナーカートリッジ18の開口部としての下部排出口44に対向する位置に設けられている。
したがって、トナーカートリッジ18に収容されたトナーは、下部排出口44を通過して現像ユニット本体2aに供給される。
ここで、各駆動部材への駆動力の伝達経路について図2を参照しながら説明する。
現像ユニット2の感光ドラム25は、片側に固着されたドラムギヤを有し、画像形成装置1の駆動部からギヤを介して駆動を受けて矢印方向に回転する。現像ローラ22は、回転軸に固着されたギヤで感光体ドラム25のドラムギヤから駆動を受けて矢印方向に回転する。現像ローラ22のギヤとトナー供給ローラ22の回転軸に固着されたギヤは、アイドルギヤを介して連結されて同方向に回転し、トナー供給ローラ22のギヤは現像ユニット2内の攪拌部材27を回転させるギヤを駆動して攪拌部材27を矢印方向に回転する。また攪拌部材27を回転させるギヤは、後述するように、トナーカートリッジ18の装着時において、トナーカートリッジ18内の攪拌部材28を回転させるための攪拌部材駆動ギヤに連結され、これによりトナーカートリッジ18の攪拌部材28は矢印が示す方向に回転する。
図1、図2に示すように、上記した現像ユニット2の感光ドラム25に対向する位置には、導電性のゴム等によって形成された転写ローラ10が、記録用紙5を静電吸引して搬送する転写ベルトを介して圧接された状態で配設されている。この転写ローラ10は、感光ドラム25上のトナー現像を記録用紙5に転写するが、この転写時に、感光ドラム25の表面電位と転写ローラ10の表面電位に所定の電位差を持たせるための電位が印加される。
ヒートローラ12とバックアップローラ11とを有する定着ユニットは、上述したように、現像ユニット2と転写ローラ10とによって、図2に示すように記録用紙5上に転写された転写済みトナー19を加圧・加熱することによって定着する。
図1に開閉途中の状態を点線で示すように、画像形成装置1の上面を形成するカバー35は、トナーカートリッジ18を含む現像ユニット2を覆うものであり、回転支点35aを中心とし、図中矢印Cが示す閉方向および図中矢印Dが示す開方向に回動(開閉)可能に設けられている。
このカバー35を開けることにより、画像形成装置本体に装着された現像ユニット本体2aに対してトナーカートリッジ18が着脱可能となる。
図4は第1の実施例における画像形成装置の外観斜視図であり、図4(a)はカバー35を閉じた状態の画像形成装置1、図4(b)はカバー35を開けた状態の画像形成装置1を示している。また、図5は第1の実施例におけるカバーの斜視図である。
図5に示すように、カバー35には、画像形成装置本体に形成された係合部と係合してカバー35が閉じた状態を保持するレバー91が形成されている。また、カバー35には、カバー35の開閉状態を検知するためのリブ92が形成されている。
さらに、カバー35には、図6に示すトナーカートリッジ18側に向かって突出するリブ351が形成されている。
図6は第1の実施例におけるカバー開状態の説明図であり、画像形成装置1にはカバー35の開閉状態を検知する開閉検知センサ93が配設されている。この開閉検知センサ93は、カバー35に形成されたリブ92が挿入されたことを検知することによりカバー35の閉状態を検知し、またリブ92が抜かれたことを検知することによりカバー35の開状態を検知する。
画像形成装置1は、開閉検知センサ93でカバー35の開状態を検知すると、印刷動作を行うことなく、ディスプレイ等の表示手段にカバーが開状態である旨を表示する。
図3は第1の実施例におけるトナーカートリッジの外観斜視図である。
図3(a)は、トナーカートリッジ18を斜め下方から見た外観斜視図であり、図3(b)は、トナーカートリッジ18を図3(a)と同方向からみた分解斜視図である。
図3に示すように、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ18は、外筒部材40、内筒部材50、攪拌部材28、及びサイドケース60を備えている。
次に、トナーカートリッジ18のこれらの各構成要素について説明する。
外筒部材40は、方形部41と円筒部42からなり、各内部が連続する空間を形成して、ここに未使用トナーを収納する。この外筒部材40の一方の端部側は、全面が開口とされ、この開口部を塞ぐようにサイドケース60が溶接等により固着される。このサイドケース60には、後述するように、攪拌部材28の一端を回転自在に軸支するための軸受け部61が形成されている。外筒部材40の円筒部42の下方には、内部に収納したトナーを排出するための開口部としての下部排出口44a、44b、44cが長手方向に沿って形成されている。円筒部42の他方の端部側は、後述する内筒部材50の所定部を受入れるために開いた状態となっている。
内筒部材50は、外形が略円筒状のシャッタ部51と、攪拌部材28の駆動伝達機構を有する操作部としてのレバー部52とが結合したものであり、レバー部52の回動に伴ってシャッタ部51も一体となって回動する。この内筒部材50のシャッタ部51を外筒部材40の開口46から内部に挿入して実装すると、図3(a)に示すように、シャッタ部51は外筒部材40の内部に、レバー部52は外筒部材40の外部に露出した状態に配置され、シール部材63によって両部材間の隙間が密閉された状態となる。さらに内筒部材50は、この状態で、ユーザによるレバー操作によって矢印G、H方向の力を受けると、シャッタ部51が外筒部材40の円筒部42の内周面と摺接しながら所定範囲で回動可能に外筒部材40に保持される。
内筒部材50の略円筒形状のシャッタ部51には、内筒部材50が矢印H方向に最大限回動されて印刷位置に配置されたとき、外筒部材40の下部排出口44a、44b、44cと対向する位置に供給開口53a、53b、53cが形成されている。従って、このとき、トナーカートリッジ18内のトナーは、下部排出口44a、44b、44cを介して外部に排出可能となる。
また、内筒部材50の略円筒形状のシャッタ部51には、内筒部材50が矢印G方向に回動されてトナーカートリッジ取外し位置または出荷位置に配置されたとき、外筒部材40の下部排出口44a、44b、44cに対向する外周曲面部56にシール部材62が貼られており、このシール部材62が下部排出口44a、44b、44cを覆って密閉し、下部排出口44a、44b、44cを閉じる。従って、このとき、トナーカートリッジ18内のトナーは、下部排出口44a、44b、44cから外部に漏れる虞がない。
このように、レバー部52は、トナーカートリッジ18内に回動可能に設けられ、下部排出口44a、44b、44cの開閉を行う。
さらに、シャッタ部51のレバー部側には側壁58が形成され、この側壁58の中心部分には円筒中心軸を中心とし、後述する軸受け部材71の突出円筒部71aを受入れる軸受孔58aが形成されている。
内筒部材50のレバー部52は、レバー本体52a、レバー本体52aの所定位置に回転自在に軸支されたアイドルギヤ72、レバー本体52a内に配置されて、レバー本体52aとシャッタ部51とによって回転自在に保持される軸受け部材71を有する。なお、レバー部52の各所定の位置の詳細な説明は後述する。
軸受け部材71は、一端側に前記したシャッタ部51の側壁58の軸受け孔58aに嵌入して回転自在に保持される突出円筒部71aが形成され、他端側にレバー本体52aの内部に形成されたポスト68を受入れて回転自在とされる軸受け孔71bが形成され、さらにこの軸受け孔71bの外周にはアイドルギヤ72と噛合する駆動受けギヤ71cが形成されている。従ってシャッタ部51とレバー部52が結合して一体に組まれた際に、軸受け部材71は、レバー本体52a内にあって回転自在に保持され、且つ噛合するアイドルギヤ72が後述するように外部から駆動力を受けて回転するのに伴って回転可能となっている。このとき、側壁58と軸受け部材71間にはシール部材64が介在し、シャッタ部51内のトナーがレバー本体52aの内部に漏れないように考慮されている。
シャッタ部51の側壁58の軸受け孔58aに嵌入して、シャッタ部51の内側に突き出た突出円筒部71aは、このシャッタ部51内において、前記したサイドケース60に形成された軸受け部61と共に攪拌部材28を保持する。
図7は第1の実施例における現像ユニットの外観斜視図、図8は第1の実施例における現像ユニット本体の外観斜視図である。
図7において、現像ユニット2は、トナーカートリッジ18が現像ユニット本体2aに装着された状態を示している。また図8は現像ユニット2からトナーカートリッジ18が取り外された状態を示しており、図3に示すトナーカートリッジ18の下部排出口44a、44b、44cと対向する位置の現像ユニット本体2aにトナー補給口32a、32b、32cが形成されている。
なお、本実施例では、現像ユニット本体2aに3つのトナー補給口32a、32b、32cが形成されているものとしているが、1つのトナー補給口を形成するようにしても良い。この場合、図3に示す図3に示すトナーカートリッジ18の下部排出口44a、44b、44cおよび供給開口53a、53b、53cも1つの下部排出口および供給開口とする。
次に、レバー部の各所定の位置を図9から図12に基づいて説明する。
図9から図12は第1の実施例におけるレバー部の位置の説明図であり、図9はレバー部が出荷位置、図10はレバー部がトナーカートリッジ取外し位置、図11はレバー部がトナー排出開始位置、図12はレバー部が印刷位置に配置されている状態を示している。
なお、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)は図7におけるAA断面図、図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)は図7におけるBB断面図、図9(c)、図10(c)、図11(c)、図12(c)はレバー部52の各所定位置における斜視図である。
図9に示すように、レバー部52が、図中矢印Gが示す方向に最大限回転させた出荷位置に配置された場合、外筒部材40に形成された規制孔40bに、内筒部材50の外周面に形成された内筒リブ50aが嵌合し、レバー部52の回動が規制されて出荷位置に保持される。
この出荷位置では、供給開口53と下部排出口44が対向していないため、トナーカートリッジ18に収容されたトナーは外部に排出されない。また、図7に示すトナーカートリッジ18は、現像ユニット本体2aと係合し、現像ユニット本体2aから取り外すことはできないようになっている。
なお、画像形成装置が製品として出荷される場合、レバー部52は出荷位置に配置される。
図10に示すように、レバー部52が、出荷位置から図中矢印Hが示す方向に所定の力を超えた回転力で回転させられると、内筒部材50の外周面に形成された内筒リブ50aは規制孔40bから外れ、外筒部材40に形成された摺動溝40aに嵌り、内筒リブ50aが摺動溝40a内で摺動可能になり、レバー部52は回動可能になる。内筒リブ50aが摺動溝40a内に嵌った状態でレバー部52を図中矢印Gが示す方向に内筒リブ50aが摺動溝40aの端部の壁に当接するまで回動させた位置が、トナーカートリッジ取外し位置となる。
このトナーカートリッジ取外し位置では、供給開口53と下部排出口44が対向していないため、下部排出口44は閉じられた状態であり、トナーカートリッジ18に収容されたトナーは外部に排出されない。また、図7に示すトナーカートリッジ18は、現像ユニット本体2aとの係合が解除され、現像ユニット本体2aから取り外すことが可能になる。
図11に示すように、レバー部52がトナーカートリッジ取外し位置から図中矢印Hが示す方向に回転させられると、レバー部52は、内筒リブ50aが摺動溝40aの範囲内で回動する。内筒リブ50aが摺動溝40a内に嵌った状態でレバー部52を図中矢印Hが示す方向に所定量回動させた位置が、トナー排出開始位置となる。
このトナー排出開始位置では、供給開口53と下部排出口44が対向し始め、トナーカートリッジ18に収容されたトナーは外部に排出され始める。また、図7に示すトナーカートリッジ18は、現像ユニット本体2aと係合し、現像ユニット本体2aから取り外すことはできないようになっている。
図12に示すように、レバー部52がトナー排出開始位置から図中矢印Hが示す方向に回転させられると、レバー部52は、内筒リブ50aが摺動溝40aの範囲内で回動する。内筒リブ50aが摺動溝40a内に嵌った状態でレバー部52を図中矢印Hが示す方向に内筒リブ50aが摺動溝40aの端部の壁に当接するまで回動させた位置が、印刷位置となる。
この印刷位置では、供給開口53と下部排出口44が対向し、トナーカートリッジ18に収容されたトナーは外部に排出される。また、図7に示すトナーカートリッジ18は、現像ユニット本体2aと係合し、現像ユニット本体2aから取り外すことはできないようになっている。
次に、レバー部がトナーカートリッジ取外し位置に配置されたとき、画像形成装置のカバーを閉じた場合のレバー部とカバーの各部位の位置関係を図13に基づいて説明する。なお、図13はレバー部がトナーカートリッジ取外し位置に配置されたときのレバー部とカバーの断面図である。
図13において、レバー部52は、突出部としてのレバー本体52aの先端部に操作先端部522を有している。
操作先端部522は、断面の形状が台形状のレバー本体52aの先端部に形成されるとともに、直線状(平面状)に形成された頂部523を有している。頂部523は、レバー部52の回動方向における中点523bにおいて、中点523bとレバー部52の回転支点52bとを結ぶ線と、直線状の頂部523とがなす角度は直角となるように形成されている。
また、レバー部52の回動方向における頂部523の端部にカバー35と当接する当接部523aが形成されている。
カバー35のレバー部52側には板状部材としてのリブ351が形成されている。リブ351には、レバー部52側に突出する突出部353が形成され、その突出部353を挟んで直線部352と、直線部354とが形成されている。
規制部としての突出部353は、レバー部52の当接部523aと当接してレバー部52の回動を規制するものである。
この突出部353は、直線部352から連続する傾斜部353aおよび直線部354から連続する傾斜部353bを有し、その傾斜部353bにおいてトナーカートリッジ取外し位置に配置されたレバー部52の当接部523aと当接するように形成されている。
図中矢印CおよびDが示す回動方向におけるカバー35の傾斜部353bの長さはLであり、レバー部52がトナーカートリッジ取外し位置に配置されているときに、カバー35が、図中矢印Cが示す方向に閉じられた場合、傾斜部353bは長さLの全体にわたってレバー部52の当接部523aと当接する。
直線部354は、突出部353よりカバー35の回転支点35a(図1参照)側に形成されている。
また、直線部354の突出部353の反対側にはレバー部52から離れる方向に傾斜する傾斜部355が形成されている。
このように、本実施例のカバー35には、レバー部52がトナーカートリッジ取外し位置(即ち、下部排出口44は閉じられている位置(図10参照))に配置されているときに、カバー35が閉じる方向に回動され、レバー部52の当接部523aと当接した場合、レバー部52の回転軌跡上に配置され、レバー部52の回動を規制する突出部353が形成されている。
上述した構成の作用について説明する。
トナーカートリッジのレバー部の各位置において、カバーが閉じられた場合のカバーとトナーカートリッジのレバー部の作用を図14から図17に基づいて説明する。
図14は第1の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部が出荷位置の説明図である。
図14に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52が出荷位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じた状態(図5に示すレバー91が画像形成装置1の本体に係合された状態)にすると、カバー35はトナーカートリッジ18のレバー部52と接触することなく、閉じた状態が保持される。
カバー35の直線部352および突出部353の傾斜部353aは、レバー部52の操作先端部522と対向する位置に接触することなく配置される。
このとき、リブ92が開閉検知センサ93に検知され、カバー35の閉状態が検出される。
なお、この出荷位置にレバー部52が配置され、カバー35が閉じられた状態では、レバー部52の回動をカバー35の直線部352で規制するため、トナーカートリッジ18のレバー部52が出荷位置から回動して取外し位置等へ配置されることはない。
図15は第1の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部が取外し位置の説明図である。図15(b)はカバー35とレバー部52を拡大した図である。
図15に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52が取外し位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接する。
このとき、図15(b)に示すように、カバー35のリブ351に形成された突出部353の傾斜部353bが、レバー部52の頂部523の当接部523aの回転軌跡523c上に配置され、当接部523aと当接し、傾斜部353bは長さL(図13参照)の全体にわたってレバー部52の当接部523aと当接する。即ち、突出部353の傾斜部353bは、レバー部52の当接部523aの回転力を平面で受け止める構成としている。このように、突出部353は、レバー部52の回転力を傾斜部353b(平面)で分散するようにしているため、レバー部52の回転を確実に規制することができる。
したがって、レバー部52は、カバー35から加わる力Fによって回転することはない。なお、力Fは、レバー部52の当接部523aとカバー35の傾斜部353bとが当接している部位のカバー35の回動方向における中点353cにおいて、カバー35からレバー部52の当接部523aに加わる力である。この力Fは、中点353cを通るカバー35の回転軌跡353dの中点353cにおける接線353eの方向、かつ図中矢印Cが示すカバー35の回動方向に働く力となる。
このように、本実施例では、トナーカートリッジ18のレバー部52が取外し位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じた場合、カバー35のリブ351に形成された突出部353の傾斜部353bが、レバー部52の頂部523の当接部523aの回転軌跡523c上に配置され、当接部523aと当接し、レバー部52の回転を確実に規制することができる。
なお、突出部353はレバー部52の回転軌跡523c上に配置されればその形状は限定されない。しかし、本実施例のように、レバー部52が取外し位置に配置された状態でカバー35を画像形成装置1の本体に対して閉じた場合、突出部353の傾斜部353bを、レバー部52の頂部523の当接部523aと面接触する形状とすることにより、レバー部52の回転力を面で受け止めることができ、その回転力を分散させることができる。したがって、レバー部52の回転を確実に規制することができる。
また、カバー35は、傾斜部353bがレバー部52の当接部523aと当接しているため、回動が規制され、図15(a)に示すように、カバー35が閉じられることがなく、リブ92が開閉検知センサ93によって検出されることはない。そのため、画像形成装置が印刷動作を開始してトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
図16は第1の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部がトナー排出開始位置の説明図である。図16(b)はカバー35とレバー部52を拡大した図である。
図16に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52がトナー排出開始位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接する。
このとき、カバー35のリブ351に形成された直線部354が、レバー部52の回転支点52bを通る鉛直線52dより傾斜部353b側(図中右側)においてレバー部52の頂部523の端部と当接する。
リブ351の直線部354が当接したレバー部52は、その直線部354に対して滑るとともに案内されて図中矢印G示す方向に回転し、図15に示す取外し位置まで回転する。
レバー部52は、取外し位置まで回転すると、図15に示すように、カバー35の傾斜部353bに当接するため、その回転が規制される。
このように、カバー35は、傾斜部353bがレバー部52の当接部523aと当接しているため、回動が規制され、リブ92が開閉検知センサ93によって検出されることはなく、画像形成装置が印刷動作を開始してトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
なお、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接してもレバー部52が回転しない場合は、カバー35の回動が規制され、リブ92が開閉検知センサ93によって検出されることはなく、画像形成装置が印刷動作を開始してトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
このように、本実施例では、トナーカートリッジ18のレバー部52がトナー排出開始位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、リブ351の直線部354が当接したレバー部52は、その直線部354に対して滑るとともに案内されて回転し、取外し位置まで回転する。レバー部52は、取外し位置まで回転すると、カバー35の傾斜部353bに当接するため、その回転が確実に規制される。
なお、カバー35のリブ351に形成された直線部354が、レバー部52の回転支点52bを通る鉛直線52dより傾斜部353bの反対側(図中左側)においてレバー部52の頂部523の端部と当接する場合、リブ351の直線部354が当接したレバー部52は、その直線部354に対して滑るとともに案内されて図中矢印G示す方向と反対の方向に回転し、図17に示す印刷位置まで回転する。したがって、トナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
図17は第1の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部が印刷位置の説明図である。
図17に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52が印刷位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じた状態(図5に示すレバー91が画像形成装置1の本体に係合された状態)にすると、カバー35はトナーカートリッジ18のレバー部52と接触することなく、閉じた状態が保持される。
カバー35に形成された収容部356は、レバー部52の操作先端部522と対向する位置に接触することなく配置される。
このとき、リブ92が開閉検知センサ93に検知され、カバー35が閉じられたことが検出される。
なお、この印刷位置にレバー部52が配置され、カバー35が閉じられた状態では、レバー部52の回動をカバー35の収容部356の壁で規制するため、トナーカートリッジ18のレバー部52が印刷位置から回動することはない。
このように、本実施例では、トナーカートリッジ18のレバー部52がトナーカートリッジ取り外し位置に配置されている状態(トナーを現像ユニットへ供給しない状態)でカバー35を閉じる方向に回動させたとき、トナーカートリッジ18のレバー部52と当接する突出部353をカバー35のリブ351に形成したことにより、カバー35に押されて回転するレバー部52の回転を突出部353で規制するとともに、カバー35の回動も規制し、カバー35が閉じられないようにすることができ、トナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
特に、ユーザがトナーカートリッジ18を現像ユニット本体2aに装着する場合、レバー部52をトナーカートリッジ取り外し位置等の印刷位置以外(出荷位置を除く)に配置されている状態のままカバー35を閉じ、カバー35の突出部353がレバー部52に当接した状態で強い力を加えてカバー35を閉じた場合であっても、レバー部52の回転は突出部353で規制され、レバー部52は出荷位置へ回転することもない。したがって、トナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
以上説明したように、第1の実施例では、トナーカートリッジのレバー部と当接する突出部をカバーのリブに形成したことにより、レバー部の回転を規制するとともに、カバーの回動も規制し、カバーが閉じられないようにすることができ、トナー不足による印刷品位の低下を抑制することができるという効果が得られる。
第2の実施例の構成は、第1の実施例のカバーのリブに湾曲部を形成した構成としている。その第2の実施例の構成を図18の第2の実施例におけるレバー部とカバーの位置関係の説明図に基づいて説明する。図18はレバー部がトナーカートリッジ取外し位置に配置されたときのレバー部とカバーの断面図である。
なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図18において、直線部354と連続する湾曲部357が形成されている。この湾曲部357は、図13に示す第1の実施例の直線部354の一部を残して所定の第1の曲率で凹部として形成されたものである。
このように、本実施例では、突出部353と反対側の直線部354の端部に連続する凹状の湾曲部357が形成されている。
上述した構成の作用について説明する。
図19は第2の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部が取外し位置の説明図である。図19(b)はカバー35とレバー部52を拡大した図である。
図19に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52が取外し位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接する。
このとき、カバー35のリブ351に形成された突出部353の傾斜部353bが、レバー部52の頂部523の当接部523aと当接し、傾斜部353bは長さL(図13参照)の全体にわたってレバー部52の当接部523aと当接する。
したがって、第1の実施例と同様に、レバー部52は、カバー35から加わる力Fによって回転することはない。
また、カバー35のリブ351の直線部354におけるリブ351の高さL1は、リブ351の直線部352の高さL0よりも高くなるように設定されている。ここで、高さとは、カバー35の上面板からの距離である。
図20は第2の実施例におけるトナーカートリッジのレバー部がトナー排出開始位置の説明図である。図20(b)(c)はカバー35とレバー部52を拡大した図である。
図20(a)(b)に示すように、トナーカートリッジ18のレバー部52がトナー排出開始位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接する。
このとき、カバー35のリブ351に形成された湾曲部357が、レバー部52の頂部523の回動方向における両端部である当接部523aおよび当接部523dと当接する。
レバー部52は、湾曲部357と二か所で当接すると、その回動が停止される。したがって、レバー部52の回動が湾曲部357によって規制される。
なお、カバー35のリブ351に形成された湾曲部357が、レバー部52の頂部523の両端部でなく一端部と当接した場合、カバー35を、さらに回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、レバー部52が(図中矢印Gが示す方向に)回動し、図20(c)に示すように、突出部353の傾斜部353bが、レバー部52の頂部523の回動方向における端部である当接部523dと当接する。したがって、湾曲部357が、レバー部52の頂部523の両端部でなく一端部と当接した場合もレバー部52の回動が突出部353によって規制される。
このように、カバー35は、湾曲部357がレバー部52の当接部523aおよび当接部523dの二か所において当接しているため、回動することがなく、リブ92が開閉検知センサ93によって検出されることがないため、画像形成装置が印刷動作を開始してトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
また、トナーカートリッジ18のレバー部52が取外し位置以外の位置に配置された場合にもレバー部52の回動を規制するようにしたため、カバー35のリブ92が開閉検知センサ93によって検出されることがなく、カバー35が閉まらない状態を確実に作り上げることができる。
なお、リブ351の直線部354にレバー部52が当接した場合、リブ351の直線部354に当接したレバー部52は、その直線部354に案内されて図中矢印G示す方向に回転し、図19に示す取外し位置まで回転する。
ここで、第2の実施例の変形例を説明する。
図21は第2の実施例の変形例におけるトナーカートリッジのレバー部が取外し位置の説明図である。図21(b)はカバー35とレバー部52を拡大した図である。
図21において、カバー35のリブ351の直線部354におけるリブ351の高さL2は、図19に示す高さL1よりも高くなるように設定されている。
また、直線部354と傾斜部355との間に形成された湾曲部357aは、図20に示す湾曲部357の第1の曲率よりも大きい所定の第2の曲率で凹部として形成されている。即ち、湾曲部357aは、リブ351における直線部354のカバー35からの距離に応じて曲率が決定されて形成されている。
この変形例においても、トナーカートリッジ18のレバー部52がトナー排出開始位置に配置された状態でカバー35を、回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、カバー35のリブ351が、トナーカートリッジ18のレバー部52の操作先端部522と当接する。
このとき、カバー35のリブ351に形成された湾曲部357aが、レバー部52の頂部523の回動方向における両端部である当接部523aおよび当接部523d(図20参照)と当接する。
レバー部52は、湾曲部357aと二か所で当接すると、その回動が停止される。したがって、レバー部52の回動が湾曲部357aによって規制される。
このように、変形例では湾曲部357aの第2の曲率を第1の曲率よりも大きくしているため、湾曲部357aはレバー部52の二か所と接触し易くなり、より確実にレバー部52の回動を規制することができる。
この変形例のように、湾曲部357aの第2の曲率を第1の曲率よりも大きくする場合、湾曲部357aの曲率は、レバー部52の頂部523の当接部523aと回転支点52bとの距離(半径)をrとしたときの曲率(1/r)より大きくなるように形成することが好ましい。これは、湾曲部357aとレバー部52の二か所とを確実に接触させて、より確実にレバー部52の回動を規制するためである。
なお、カバー35のリブ351に形成された湾曲部357aが、レバー部52の頂部523の両端部でなく一端部と当接した場合、カバー35を、さらに回転支点35aを中心として回動させて画像形成装置1の本体に対して閉じると、レバー部52が回動し、突出部353の傾斜部353bが、レバー部52の頂部523の回動方向における端部である当接部523d(図20参照)と当接する。したがって、湾曲部357aが、レバー部52の頂部523の両端部でなく一端部と当接した場合もレバー部52の回動が突出部353によって規制される。
このように、カバー35のリブ351に湾曲部357aを形成したことにより、開閉検知センサ93のよるカバー35の開状態の誤検知を抑制することができ、よりトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、トナーカートリッジのレバー部と当接し、レバー部の回転を規制する湾曲部をカバーのリブの突出部より回転支点側に形成したことにより、トナーカートリッジ取り外し位置以外にレバー部が配置されている場合であっても、レバー部の回転を規制するとともに、カバーの回動も規制し、カバーが閉じられないようにすることができ、トナー不足による印刷品位の低下を抑制することができるという効果が得られる。
リブの高さを高く形成することにより、より確実にカバーの開状態を検知することができ、確実にトナー不足による印刷品位の低下を抑制することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られるものでなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
また、画像形成装置を単色のトナーを扱うプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複数色のトナーを扱うカラープリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。