JP6764853B2 - 非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物 - Google Patents
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Description
水性インクジェット印刷方式は、かつて、印刷ヘッドが走査型であるために印刷に時間がかかる、水性媒体の乾燥が遅いなどの問題から、多量の印刷物の製造に適さないとされていた。
しかし、一方で、通常の印刷方式のような製版工程を必要とせず、また、電子写真方式を含めても、非常に簡単な装置の構成で印刷が可能であるなどの利点があるため、個人や家庭で利用されることがほとんどであった。
そのため、上記の印刷や乾燥にかかる時間などの問題を解決できれば、オフィスや商業印刷等の産業用途においても、他の印刷方式と競合してなお利用する価値は十分にあると考えられる。このような理由から、インクジェット印刷方式を産業用途で利用するために、最近は印刷装置とインクの両面から、積極的に印刷の高速化と低価格の印刷用紙を適用する技術が検討されている。
また、水性インクは非吸収性メディアに対して不均一に濡れ広がる傾向があり、均一な濃度のベタ画像部分で、まだら状の模様が発生する。
このような不具合は印刷物の価値を損なうため、対策が求められている。加えて、本来のインクジェット印刷方式で要求されるインク性能である、保存安定性、ノズル詰りを起こさずに安定して吐出できる吐出安定性、液滴の飛翔性なども備えていなければならない。
しかしながら、このような先行技術によっても、ドット拡張性及びベタ部の均一性は不十分であるため、近年更に高まっている印刷品質の要求レベルに達していない。
また、基材として、普通紙、光沢紙等の吸収メディア対応であって、アセチレンジオール化合物系界面活性剤を2種併用している水性インクジェット用インク組成物の例は特許文献5〜7に挙げられているが、これを非吸収性メディアに印字しても、ドット拡張性及びベタ部の均一性については不十分であるため、近年更に高まっている印刷品質の要求レベルに達していない。
また、アセチレンジオール化合物系界面活性剤は、水性インクジェット用インク組成物の表面張力を低下させる効果が高い一方で、水性インクジェット用インク組成物から分離する傾向が強く、保存安定性に対する悪影響が認められる。
以上のように、水性インクジェット印刷方式で、コート紙やポリ塩化ビニルシート等の非吸収性メディアの利用が検討される中、ドット拡張性に優れ、かつベタ部の均一性に優れ、さらに保存安定性が良好な水性インクジェット用インク組成物を得ることは困難というのが現状である。
(1)アルカリ可溶性樹脂で被覆されてなる顔料、塩基性化合物、水溶性有機溶剤、界面活性剤A、及び、界面活性剤Bを含有する非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物であって、界面活性剤Aが式(1)で表わされるアセチレンジオール系化合物であり、界面活性剤Aの含有量が、水性インクジェット用インク組成物中に0.1〜1質量%であり、界面活性剤Bがアセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られるHLB4〜9の化合物であり、界面活性剤Bの含有量が、水性インクジェット用インク組成物中に0.4〜2.5質量%であり、静的表面張力が27〜32mN/mである非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
式(1)
(2)界面活性剤Bの含有量が、水性インクジェット用インク組成物中に0.8〜2.5質量%であり、且つ界面活性剤Aの含有量と界面活性剤Bの含有量との含有比率が界面活性剤Bの含有量/界面活性剤Aの含有量=1.5〜10の範囲である(1)記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
(3)ガラス転移温度20℃以下の樹脂エマルジョンを含んでなる(1)又は(2)記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
(4)アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料のアルカリ可溶性樹脂の酸価が40〜300KOHmg/gであり、その酸基の50〜90%を中和するために必要な塩基性化合物をインク中に含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
(5)水溶性有機溶剤の含有量が、非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物中に20〜40質量%である(1)〜(4)のいずれかに記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
式(1)
本発明によると、印刷時においてインクがメディアの表面に着弾後、式(1)で表されるアセチレンジオール化合物により低下されたインクの表面張力を反映して、インク液滴のメディア表面に対する接触角を低下させてメディア表面への濡れを促進し、ドットを十分に拡張させる。さらに、アセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られるHLB4〜9の化合物により、インク液滴をメディア上で均一に濡れ広がらせ、ベタ画像部分で均一なベタを形成する。
さらに、アセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られるHLB4〜9の化合物は、HLBが低いアセチレンジオール系化合物系界面活性剤と非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物を相溶させる機能を持ち、両者が分離することを抑制する。
本発明では、以下のグリフィンの式により定義されるHLB値を用いている。
[グリフィンの式]
HLB=20×界面活性剤中の親水部の式量の総和/界面活性剤の分子量
(アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料)
アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料は、塩基性化合物の存在下にアルカリ可溶性樹脂を溶解した水性溶液に顔料を分散させて得られた分散液を、酸析法や再公表WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段や転相乳化法等により、顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させ、得られた沈殿物をろ過、水洗い、さらに必要であれば乾燥することによりアルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料を得ることができる。アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料は、アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料のアニオン性基の酸基の一部、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜80%を中和するために必要な塩基性化合物をインク中に含有させて中和し、各種分散機を用いて水性媒体中に再分散させて使用する。このことにより、分散安定性に優れるものとなる。
上記アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料に使用される顔料としては、一般にインクジェット用インクで使用される各種の無機顔料や有機顔料を挙げることができる。具体的には、上記無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、群青、紺青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料(白色、黒色等の無彩色の着色顔料も含める)、及び、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。上記有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記顔料としては、特に、鮮明な色相の表現を可能とする点から、具体的には、C.I.Pigment Red 5、7、12、57:1、122、146、202、242、282等の赤色系顔料;C.I.Pigment Blue 1、2、15:3、15:4、16、17、60等の青色系顔料;C.I.Pigment Violet 19、23等の紫色系顔料;C.I.Pigment Yellow 12、13、14、17、74、83、93、128、139、151、154、155、180、185、213等の黄色系顔料;C.I.Pigment Black 7(カーボンブラック);C.I.Pigment Green 7、36等の緑色顔料;C.I.Pigment Orange 34、71等の橙色顔料等が好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料に使用されるアルカリ可溶性樹脂としては、通常のインクや塗料の顔料分散用として使用されている、塩基性化合物の存在下で水性媒体に可溶の共重合体樹脂が利用できる。
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有する単量体、顔料との吸着性を向上させるための疎水性基を含有する単量体、好ましくは、炭素数12以上24以下のアルキル基及び芳香族の環状炭化水素基を有する単量体との共重合体、あるいはこれらの単量体と必要に応じて他の重合可能な単量体と共に反応させて得られる共重合体を利用できる。
前記アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、通常重量平均分子量が3,000〜200,000であるのが好ましく、より好ましくは7,000〜100,000である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000未満の場合には顔料の分散安定性や得られる印刷物の耐擦過性が低下する傾向にあり、一方200,000を超えると、粘度が高くなるため好ましくない。
酸価は、アルカリ可溶性樹脂を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を使用してクロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような無機塩基性化合物や、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンのような有機塩基性化合物などが挙げられる。これら塩基性化合物は、単独または2種以上を混合して用いることができる。中でも、顔料分散の点からモノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンが好適である。
本発明の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物で使用する水溶性有機溶剤は、水と共に水性媒体として使用される。
上記水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水が好ましい。
また、水溶性有機溶剤を含有させることにより、保存安定性、吐出安定性、インクの飛翔性等で、より優れたインクジェット印刷適性を付与することができる場合がある。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記モノアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、またはこれらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜6のアルコールである。
上記多価アルコール類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等が挙げられる。
上記多価アルコールの低級アルキルエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。
上記ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記エーテル類の具体例としては、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
上記エステル類の例としては、プロピレンカルボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、酪酸エチル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、及びε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム等の環状エステル等が挙げられる。
上記窒素含有化合物類の例としては、尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、オクチルピロリドン等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤の含有量は、非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物中20〜40質量%が好ましい。
本発明にて使用される界面活性剤Aとしては、式(1)で表わされるアセチレングリコル系化合物が使用できる。
式(1)
具体例としては、エアープロダクツ社製のサーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50等が挙げられる。
上記界面活性剤Aの含有量は、水性インクジェット用インク組成物中0.1〜1質量%であることが好ましく、0.2〜0.7質量%であることがさらに好ましい。界面活性剤Aの含有量が0.1質量%未満の場合はドット拡張性が悪化する傾向にあり、一方1質量%を超える場合はインクの保存安定性が悪化する傾向にあるので好ましくない。
本発明にて使用される界面活性剤Bの例としては、アセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られるHLB4〜9の化合物が使用できる。具体例としては、エアープロダクツ社製のサーフィノール420、サーフィノール440等が挙げられる。
上記界面活性剤Bの含有量は、水性インクジェット用インク組成物中0.4〜2.5質量%であることが好ましく、0.8〜2.5質量%であることがさらに好ましい。界面活性剤Bの含有量が0.4質量%未満の場合はインクの保存安定性及び印刷物のベタ均一性が低下する傾向にあり、一方2.5質量%を超える場合はインクの保存安定性が悪化する傾向にあるので好ましくない。
非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物のドット拡張性、ベタ均一性、及び保存安定性の点からは、界面活性剤Aの含有量と界面活性剤Bの含有量との含有比率が界面活性剤Bの含有量/界面活性剤Aの含有量=1.5〜10の範囲であることが好ましい。
樹脂エマルジョンとしては、ガラス転移温度20℃以下のアクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、ポリ塩化ビニル系樹脂エマルジョン、ポリブタジエン系樹脂エマルジョン、ポリエチレン系樹脂エマルジョン等が挙げられる。中でも、得られる印刷物の外観及び各種耐性に優れる事から、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョンが好ましい。
ガラス転移温度が20℃以上の樹脂のエマルジョンを使用すると、塗膜の乾燥性や非吸収基材への密着性が低下するので好ましくない。
樹脂エマルジョンの含有量は、非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物中、固形分として1〜10質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。
樹脂エマルジョンの含有量が固形分として1質量%未満の場合は、得られる印刷物の外観及び各種耐性が低下する傾向にあり、一方10質量%を超える場合はインクの吐出が不安定になる傾向にあるので好ましくない。
ガラス転移温度は、下記のWoodの式により求めた理論上のガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・+Wx/Tgx
(式中、Tg1〜Tgxはアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1〜Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、Woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である。)
さらに、本発明の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物には、目的に応じて公知の顔料分散剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、PH調整剤等の添加剤を添加することもできる。
以上の構成成分を用いて非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物を製造する方法としては、顔料、塩基性化合物の存在下にアルカリ可溶性樹脂を水中に溶解した水性樹脂ワニス、必要に応じて顔料分散剤等を混合した後、各種分散機、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等を利用して顔料を分散した後、酸析法や再公表WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段や転相乳化法等により、顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させた顔料を得、次いで得られた顔料表面にアルカリ可溶性樹脂を析出させた顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水に再分散し、さらに残りの材料を添加して、非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物を調製する方法等を挙げることができる。
このようにして得られた本発明の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物は製造後の初期粘度が2.0〜10.0mmPa・s、好ましくは3.0〜7.0mmPa・sの範囲、静的表面張力が27〜32mN/mの範囲とする。
次に、本発明の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物を用いた印刷方法について説明する。
本発明の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物の印刷用メディアとしては、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙等のコート紙、ポリ塩化ビニルシートのようなプラスチック系基材等の非吸収性基材が利用できる。
なお、普通紙やオフセット紙等の未コート紙にも利用できる。
そして、例えば、本発明の上記非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物を、インクカートリッジに収容し、該インクカートリッジをシングルパス方式等のインクジェット記録装置に装着して、ノズルから上記印刷用基材へ噴射することによりインクジェット印刷をすることができる。
ガラス転移温度40℃、重量平均分子量30,000、酸価185mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体25質量部を水酸化カリウム3.9質量部と水71.1質量部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の水性樹脂ワニスAを得た。
ガラス転移温度40℃、重量平均分子量30,000、酸価150mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体25質量部を水酸化カリウム3.2質量部と水71.8質量部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の水性樹脂ワニスBを得た。
上記水性樹脂ワニスAの32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。このワニスに、更にカーボンブラック(商品名プリンテックス90、デグサ社(現オリオンエンジニアードカーボンズ社、以下同じ)製)の20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、水性ブラックインクベース1を調製した。
上記水性樹脂ワニスBの32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。このワニスに、更にカーボンブラック(商品名プリンテックス90、デグサ社製)の20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、水性ブラックインクベース1を調製した。
上記水性樹脂ワニスAの32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。このワニスに、更にイエロー顔料(商品名ノバパームイエロー4G01、クラリアント社製)の20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、水性イエローインクベースを調製した。
上記水性樹脂ワニスAの32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。このワニスに、更にマゼンタ顔料(商品名インクジェットマゼンタE5B02、クラリアント社製)の20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、水性マゼンタインクベースを調製した。
上記水性樹脂ワニスAの32質量部に水48質量部を加え混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。このワニスに、更にシアン顔料(商品名ヘリオゲンブルーL7101F、BASF社製)の20質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、水性シアンインクベースを調製した。
サーフィノール104PG50(固形分50%、HLB4、エアープロダクツ社製)
<界面活性剤B>
サーフィノール420(固形分100%、HLB4、エアープロダクツ社製)
サーフィノール440(固形分100%、HLB8、エアープロダクツ社製)
<その他の界面活性剤>
サーフィノール465(固形分100%、HLB13−14、エアープロダクツ社製)
ネオクリルA−1092(固形分48.5%、スチレン−アクリル系エマルジョン、DSM Neoresins社製、ガラス転移温度6℃)
(アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料の製造)
上記各水性インクジェット用の各色のインクベースを顔料濃度が5%となるように水で希釈した後、希釈液に対して陽イオン交換樹脂(DOWEX MONOSPHERE (H)650C、ダウケミカル社製)を5%添加し攪拌して、pHが4未満となるまでイオン交換し、各樹脂被覆顔料を得た。その後、イオン交換樹脂をメッシュで濾過した後、吸引濾過し、各樹脂被覆顔料を含有する含水ケーキ(固形分25%)を得た。
上記各樹脂被覆顔料を含有する含水ケーキに、各樹脂被覆顔料中のアルカリ可溶性樹脂酸価の80%を中和する水酸化ナトリウムと顔料濃度が12%となるような水を加えた後、高圧乳化分散装置:ゴーリンホモジナイザー(A.P.V. GAULIN INK. 製)で攪拌し、各水性顔料分散液を得た。
次いで、表1の質量割合となるように、上記各水性顔料分散液、樹脂エマルジョン、プロピレングリコール、界面活性剤A、界面活性剤B、水を攪拌混合して、表1に記載の実施例1〜10、比較例1〜6の水性インクジェット用インク組成物を得た。
以下の評価方法により評価し、それらの結果を表1に示す。
(保存安定性)
実施例1〜10、比較例1〜6の水性インクジェット用インク組成物をガラス瓶に充填し、23℃で7日間静置した後、水性インクジェット用インク組成物の分離状態を観察して、保存安定性を評価した。
評価基準
○:液相の分離がなく、均一であるもの
△:液相の分離が僅かに認められるもの
×:液相の分離が認められる、不均一なもの
実施例1〜10、比較例1〜6の水性インクジェット用インク組成物の2μLをOKトップコート紙(王子製紙社製)の上に滴下して、23℃において接触角計DM701(協和界面科学社製)を用いて接触角を測定して、ドット拡張性を評価した。
評価基準
○:接触角が14°以下のもの
△:接触角が14°を超えるが18°以下のもの
×:接触角が18°を超えるもの
実施例1〜10、比較例1〜6の水性インクジェット用インク組成物を、0.1mmワイヤーバーを用いてOKトップコート紙(王子製紙社製)に展色して、展色面の均一性を評価した。
評価基準
○:展色面が均一なもの
△:展色面がやや不均一なもの
×:展色面が不均一であり、まだら模様が認められるもの
これに対して、界面活性剤A及びBが共に本発明にて規定される範囲よりも多く配合されてなる比較例1のインク組成物は保存安定性及びドット拡張性に劣る結果となった。また界面活性剤Aを本発明にて規定される範囲よりも多く配合し、界面活性剤Bを配合しなかった比較例2によると保存安定性とベタ均一性に劣る結果となった。さらに界面活性剤Aを配合せず、界面活性剤Bを配合した比較例3によれば保存安定性、ドット拡張性及びベタ均一性に劣る結果となった。また界面活性剤A及びBのいずれも配合せず、界面活性剤としてサーフィノール465を使用した比較例4によればドット拡張性及びベタ均一性の性質が不十分であった。さらにサーフィノール465と、界面活性剤A又はBを使用した比較例5及び6よれば保存安定性及びドット拡張性に劣る結果となった。
Claims (4)
- アルカリ可溶性樹脂で被覆されてなる顔料、塩基性化合物、水溶性有機溶剤、界面活性剤A、及び、界面活性剤Bを含有する非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物であって、界面活性剤Aが式(1)で表わされるアセチレンジオール系化合物であり、界面活性剤Aの含有量が、水性インクジェット用インク組成物中に0.2〜0.7質量%であり、界面活性剤Bがアセチレンジオール系化合物にエチレンオキサイドを付加して得られるHLB4〜9の化合物であり、界面活性剤Bの含有量が、水性インクジェット用インク組成物中に0.8〜2.5質量%であり、且つ界面活性剤Aの含有量と界面活性剤Bの含有量との含有比率が界面活性剤Bの含有量/界面活性剤Aの含有量=1.5〜10の範囲であって、静的表面張力が27〜32mN/mである非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
式(1)
- ガラス転移温度20℃以下の樹脂エマルジョンを含んでなる請求項1記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
- アルカリ可溶性樹脂で被覆された顔料のアルカリ可溶性樹脂の酸価が40〜300KOHmg/gであり、その酸基の50〜90%を中和するために必要な塩基性化合物をインク中に含有する請求項1又は2に記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
- 水溶性有機溶剤の含有量が、非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物中に20〜40質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非吸収性基材印刷用水性インクジェット用インク組成物。
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