JP6764814B2 - 内装材用の立毛表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、内装材としてフェルトなどの基材を下側に取り付けて使用し、吸音性が高く且つ低目付であっても地透けせず、主として自動車や車両の内装材に適した立毛表皮材に関する。
自動車には、フロアカーペットやラゲッジルームなどにおいて内装材が貼り付けられ、この内装材では、感触性と意匠性を向上させるために、ベロア調またはディロア調の柔らかい感触の立毛表皮材をプラスチックまたはフェルト製のシートの表面に貼着する。この立毛表皮材は、その下側にプラスチックまたはフェルトシートが貼着されることにより、吸音性を高めてトランクルームから車室内に侵入する騒音を低減し、さらに剛性および成形性を高くして一定の強度を保つことができる。
本出願人は、立体形状の内装材を得るために、実開昭58−184593号において立毛シートの裏面にポリオレフィン樹脂などの低融点樹脂を塗布している。また、特開平6−299453号においてプレーンタイプの立毛表皮材とフェルトシートとをニードルパンチングで絡合し、一体化した後に熱プレス成形することを提案している。特開平11−99869号は、緻密層の上に表皮を積層した表皮材層と、フェルトシートの基材層とを貼り合わせ、該緻密層は、主としてポリエチレンやゴムのような樹脂材料である。特開平11−342801号では、表皮材は絡合した2層の不織布からなり、第1表皮はポリプロピレンシートと溶着しやすいポリプロピレン繊維であり、第2表皮は第1表皮よりも高融点のポリエステルやナイロン繊維を用いる。
一方、特開2008−13090号は、立毛感などを有する表皮材を常温で接着可能である繊維基材に関し、この繊維基材としてフェルトシートと一体化されるスパンボンド不織布を用いる。スパンボンド不織布の全表面において、粒状溶融体が加熱前処理で分散形成されることにより、該フェルト基材を単独で再加熱すると、スパンボンド不織布が表面溶融して表皮材と貼り合わせて成形加工できる。
実開昭58−184593号明細書 特開平6−299453号公報 特開平11−99869号公報 特開平11−342801号公報 特開2008−13090号公報
実開昭58−184593号のように、立毛シートにポリオレフィン樹脂を塗布した後に熱プレス成形する場合には、生産性が良くても内装材の吸音性および通気性が損なわれ、型当たりによってポリオレフィン樹脂が滲み出る場合もある。特開平6−299453号、特開平11−99869号および特開平11−342801号のように、表皮材が通常繊度のポリエステル繊維であり、この表皮材とフェルトシートとを絡合一体化した後に熱プレス成形すると、該表皮材の溶融化が生じることはなくても、熱プレス成形によって表皮の立毛が平たく寝てしまい、感触性と美観が低下しやすい。
特開2008−13090号は、立毛感を有する表皮材をフェルト基材と貼り合わせる際に冷間プレスで成形することにより、熱プレス成形によって表皮の立毛が平たく寝ることがなく、表皮の色彩と立毛感を保持した内装材を得ることができる。この内装材の繊維基材は比較的欠陥が少ないけれども、表皮材としては風合いつまり感触性を向上させ、低目付でも地透けしにくくしかも吸音性能をいっそう高めることが要望されている。
本発明は、従来の立毛表皮材に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、内装材として基材とともに用いると、熱成形後に毛倒れが生じにくく、風合いを低下させることがなく、吸音性も優れている立毛表皮材を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、熱成形時に引っ張られても地透けが生じないので、軽量化が容易である立毛表皮材を提供することである。
本発明に係る立毛表皮材は、内装材において下側の基材とともに使用する。本発明の立毛表皮材では、繊度2.2〜6.6dt(デシテックス)である通常繊維40〜70%および繊度7.8dt以下である中空繊維30〜50%を混綿し、下方層は、繊度0.5〜2.5dtである極細繊維30〜60%および繊度2.5〜3.5dtである中細繊維40〜70%を混綿し、上方層および下方層を重合し、下方層側からニードルパンチすることによって全体を一体化させる。
本発明に係る立毛表皮材では、上方層において、さらに繊度4.4〜6.6dtである低融点繊維を0〜10%混綿してもよく、この低融点繊維は融点が110〜180℃である。上方層において、さらに繊度3.3〜6.6dtである難燃性繊維を0〜15%混綿してもよい、この難燃性繊維は難燃ポリエステル、レーヨンまたは耐炎化繊維であると好ましい。また、上方層の目付は60〜240g/m、下方層の目付は90〜360g/mであり、厚みが1〜10mmであると好ましい。
本発明に係る立毛表皮材を製造するには、上方層および下方層を重合した後に、下方層側からニードルパンチを2段階で行い、第1パンチの打ち込み本数は30〜80本/cmであり、第2パンチの打ち込み本数は100〜300本/cmであると好ましい。また、ニードルパンチで全体を一体化させた後に立毛処理を施し、さらに加熱処理を施す際に使用繊維に応じて加熱温度を調整し、ポリエステル繊維の場合には加熱処理を180〜250℃で60〜180秒行うと好ましい。
本発明に係る立毛表皮材は、繊維またはプラスチック基材の上方に貼着して一体化させ、これを内装材として用いることができる。立毛表皮材の上方層において所定量の中空繊維を含み、この中空繊維はクリンプの形状がスパイラル状で腰が強いために復元力が備わっており、さらに通常繊維よりも空隙率が高いので吸音性を向上させることができる。この結果、本発明の立毛表皮材は、熱成形後に毛倒れが生じにくく、所定の風合いおよび見た目を維持し且つ吸音性も優れている。本発明の立毛表皮材を備える内装材は、柔軟性を備えて車両内面などにフィットさせやすく、自動車や車両用としてだけでなく、防音断熱材などの産業資材用、スキーウェアの保温材また手袋や帽子の中詰めなどの防寒衣料用にも適用可能になる。
本発明に係る立毛表皮材は、上下2層のフェルト層からなり、下方層は細い繊度の繊維を絡合させているので、目付量を少なくして軽くしても、該下方層の中細および極細繊維によってカバーリングすることにより、熱成形時に引っ張られた際に地透けが目立たなくなり、内装材の軽量化が容易になる。本発明の立毛表皮材において、下方層の中細および極細繊維は、下方層側からニードルパンチすることによって表面立毛部の中へ混じり込み、表面立毛部の繊維が整列して、表面の食感がしなやかでソフトになる。
本発明に係る立毛表皮材を製造するには、上方層および下方層を重合した後に、下方層側からニードルパンチを2段階で行う。この際には、上層/下層それぞれのカード・クロスラッパーから放出されるラップが重合し、2層一括式のパンチラインで実施することにより、効率良い立毛表皮材の生産が可能になり且つ安価に製造することができる。本発明の立毛表皮材には、さらに低融点繊維を0〜10%混綿してもよく、低融点繊維の介在によって耐摩耗性が上がるけれども、多過ぎると立毛感が損なわれて風合いが悪くなる。
本発明に係る立毛表皮材を示す拡大断面図である。 図1の立毛表皮材にフェルト素材を貼り合わせた内装材を示す拡大断面図である。 立毛表皮材の製造工程の前半を例示する概略側面図である。 立毛表皮材の製造工程の後半を例示する概略側面図である。 立毛表皮材における上方層と下方層の繊維に移行状態を明確に示した写真である。 本発明の立毛表皮材および現行他社品にフェルト基材を貼り付けた内装材の吸音性を表示するグラフである。
本発明に係る立毛表皮材1は、図1に示すように、通常より太い繊維の上方層2および通常より細い繊維の下方層3を重ね合わせ、下方層側からニードルパンチすることによって全体を一体化させる。得たフェルト材は、さらに公知のランダムベロア機24(図4)などで立毛させることにより、表面に触感の良好な立毛5を一面に形成する。立毛表皮材1は、図2に例示するようにフェルト基材6を貼り合わせ、所望の厚みと重さの内装材7を得る。
上方層2では、繊度2.2〜6.6dtである通常繊維40〜70%および繊度7.8dt以下である中空繊維30〜50%を混綿すると好ましい。上方層2において、表面の滑らかさおよび立毛のボリューム感を出すために、用途的には細い繊度の通常繊維をベースとして使用し、中空繊維は、立毛表皮材1の吸音性能を向上させ、且つ立毛5が毛倒れしにくくなるように添加する。
上方層2において、繊度2.2〜6.6dt好ましくは2.5〜3.5dtである通常繊維を40〜70%加える。この通常繊維は、繊度が2.2dt未満であると立毛のボリューム感を出しにくく、繊度が6.6dtを越えると立毛表皮材1の表面の滑らかさが低下する。また、この通常繊維は上方層全量の40〜70%を加え、添加率が40%未満であると表皮材1のフラット感が低下し、70%を越えると立毛5の毛倒れを回避しにくくなる。
上方層2において、中空繊維は、一般に、中空率15〜25%で見掛け上の繊度が太くてクリンプがスパイラル状で腰があり、その繊度が7.8dtを越えると硬さが出て表皮表面の触感が損なわれるので、好ましくは繊度が5.5〜6.6dtである。中空繊維の添加率は30〜50%である。中空繊維を30%未満しか添加しない場合には立毛表皮材1にボリューム感を付与するのが難しく、一方、50%を超えると立毛表皮材1の柔軟性が損なわれやすい。一般に、中空繊維は、吸音性の良化および毛倒れのしにくさを考慮すると、約40%を添加することが好ましい。
中空繊維は、異形断面繊維の一種として、例えば、合成繊維の溶融紡糸において特殊な紡糸ノズル(口金)を用いて製造し、この点はポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系などでも同様であり、レーヨン紡糸の際には、その繊維内部に気泡を生じさせて中空断面をもつ糸を作る。中空繊維の断面形状は丸形よりもやや楕円形であり、ポリエステル繊維を溶融紡糸する際のノズルを変更し、紡糸、延伸、捲縮、切断の順で作製する。ノズルの断面形状は1C型や2C型などがあり、その中空製法には限定されないが、中空率は20%に近い方が望ましい。使用可能な中空繊維として、6.6dt×76mmの中空ポリエステル繊維(品番:BL−C HLW−17)、5.3dt×64mmの中空ポリエステル繊維(品番:FG39−C )などが例示できる。
上方層2には、立毛表皮材1の耐磨耗性を高めるために、繊度4.4〜6.6dtである低融点繊維を0〜10%添加してもよく、該低融点繊維の融点は110〜180℃であり、熱処理時に溶融することを要する。この際に、低融点繊維の添加率が10%を越えると、立毛表皮材1が硬くなって立毛感が損なわれ、風合いが悪くなる。
上方層2において、低融点繊維は、通常、通常繊維および中空繊維よりも融点が約40〜70℃低く、熱処理の際にバインダーとして全体の一体化および下方層3との接着に寄与する。低融点繊維には、低融点ポリエステル、低融点ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示でき、エチレンまたはブテンなどとのコポリマーでもよい。この低融点繊維は、通常の繊維よりも低融点であれば、公知の繊維や樹脂フィラメントまたはこれらの混合繊維も使用可能であり、並列や芯鞘構造などの複合繊維であってもよい。芯鞘構造ポリエステル繊維である場合、鞘の繊維は融点110℃などの低融点ポリエステルであり、芯の繊維は融点250℃のレギュラーポリエステルである。また、芯鞘構造PP/PE繊維である場合、鞘の繊維は融点130〜134℃のポリエチレンであり、芯の繊維は融点165℃のポリプロピレンである。
上方層2には、用途に応じて低融点繊維とともにまたはその代わりに、繊度3.3〜6.6dtである難燃性繊維を0〜15%添加することも可能である。難燃性繊維は、難燃性規格FMVSS302法に適合していれば、難燃ポリエステル繊維に限らず、レーヨンまたは耐炎化繊維であってもよい。難燃性繊維は、表皮材単体で難燃性を必要とする場合に添加し、その添加率が15%を越えると、立毛表皮材1の立毛感および風合いのいずれも低下する。
一方、下方層3では、繊度0.5〜2.5dtである極細繊維30〜60%および繊度2.5〜3.5dtである中細繊維40〜70%を混綿すると好ましい。下方層3は、通常、上方層2と比べて細い繊度の繊維からなり、下方層3の細い繊度の繊維によって内装材7の地透けを目立たなくする。この明細書では、一般的な繊維太さを比較表示するために通常繊維、極細繊維、中細繊維と分けて使用しているが、用語によって各繊維の繊度を峻別するわけではない。
下方層3において、繊度0.5〜2.5dtである極細繊維を30〜60%加える。極細繊維は、30%未満であると、カバーリングの効果が損なわれ且つ立毛表皮材1の吸音性能を高めるのが困難になり、60%を越えると、カード性の悪化つまりカード機からの紡出量が低下する。例えば、この極細繊維の繊度が2.2dtであれば、下方層3において40%を添加すると好ましい。下方層3に関して、実際には、極細繊維の用語は、通常の紡糸が困難な繊度1.1dt以下の繊維を意味するが、この明細書では一般的な繊維太さを表現するために使用する。短繊維の極細繊維を製造するには、メルトブロー法、遠心紡糸法、フラッシュ紡糸法、叩解法、混合紡糸法、タッグ紡糸法などを利用すればよい。
一方、繊度2.5〜3.5dtである中細繊維は、極細繊維の使用量に応じて添加量を定める。中細繊維は、下方層3における全体的に細さを統一するために繊度を2.5〜3.5dtに定めると好ましく、繊度が3.5dtを越えると地透け防止の効果が低下するので、好ましくは3.3dt以下である。
立毛表皮材1の生地条件について、上方層2では、通常、目付量が60〜240g/mであることが望ましく、さらに望ましくは70〜120g/mである。一方、下方層3では、通常、目付量が90〜360g/mであることが望ましく、さらに望ましくは100〜180g/mである。このため、立毛表皮材1の全体では、目付量が150〜600g/mであることが望ましく、さらに望ましくは180〜300g/mである。好適な仕様において、厚さは1〜10mmであり、最も望ましくは厚さが1〜5mmである。
立毛表皮材1の繊維素材としては、ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などが例示でき、好ましくは安価で扱い易いポリエステル繊維であり、低融点繊維と難燃性繊維を含む上方層2、下方層3およびフェルト基材6のいずれもポリエステル繊維製とすると、素材の統一が図られて内装材のリサイクルが容易になる。前記の繊維繊維素材として、合成繊維の短繊維のほかに、可能であれば同種類の反毛(回収再生綿)を適量含有させてもよい。
立毛表皮材1を連続的に製造するには、図3に概略で示す組合せ配置の製造機構8を利用すればよい。隣接する第1および第2カード・クロスラッパー10,12では、公知のカード機で通常繊維、中空繊維などまたはより細い2種の短繊維を混綿してウェブを形成し、この集積層をクロスラッパーで重ね合わせて所定の厚みの上方層ウェブ14,下方層ウェブ16を得ることができ、2層一括式のラインで実施することで、効率良く安価に作製できる。この際に、2組のカード・クロスラッパーでウェブ2枚を別個に作製してから重合することもできるが、工程数が増えるので製造コストが高くなる。
ウェブ14,16を搬送するコンベアには、クロスラッパー10,12の後方にパンチングマシン18,20を位置させる。パンチングマシン18,20では、下方層3へ上方層2の繊維を移行させないため、下方層3の側からニードルパンチを2回行い、例えば、1回目は針番手36〜40番手を用い、打ち込み本数は30〜80本/cmが望ましく、2回目は針番手36〜40番手を用い、打ち込み本数は100〜300本/cmが望ましい。
得た2層表皮材22は、図4においてランダムベロア機24を通して立毛させる。ランダムベロア機24には、ディロア機(ディロ社製)またはスーパールーパー機(フェラー社製)などが例示できる。ランダムベロア機24において、針番手38〜42番手のフォーク針25を使用し、打ち込み本数は300〜600本/cmであると望ましく、目的に応じてクラウン針を用いても、フォーク針とクラウン針を混ぜて使用してもよい。また、ベロア針使いでは、ベロア針のほかに、目的に応じてコード使いとしてもよく、ベロア針とコードを混ぜて使用してもよい。
図5は、立毛表皮材1における上方層2と下方層3の繊維に移行状態を明確化させた写真である。図5に示す立毛表皮材において、上方層2は、3.3dtの通常ポリエステル繊維60%と、6.6dtの中空ポリエステル繊維40%からなる目付100g/mの黒色ウェブ26であり、下方層3は、2.2dtの極細ポリエステル繊維40%と、3.3dtの中細ポリエステル繊維60%からなる目付150g/mの白色ウェブ28である。重合したウェブは、パンチングマシン18,20およびランダムベロア機24を通して立毛させる。
図5から明らかなように、立毛表皮材1では、黒色ウェブ26の上方層2と白色ウェブ28の下方層3とがはっきりと分かれており、上下層の繊維が混じり合うことはなく、立毛30は上下層の繊維が混合されている。この結果、下方層3をより細い繊維で構成すると、立毛表皮材1が引き伸ばされても地透けが目立ちにくくなる。また、上方層2に中空繊維を入れることにより、成形時の毛倒れが生じにくくなり、吸音性も向上する。
立毛表皮材1の熱処理は、上方層2に低融点樹脂が添加されるか否かに関係なく行うことにより、繊維に含まれる繊維油剤が飛び、ポリエステル繊維であるとセット性が生じることで毛倒れしにくくなる。図4に示す熱処理機31は、機内を循環する熱風によって均一に加熱する熱風サクションであり、ランダムベロア機24の後方に設置している。図5では、熱処理機31とランダムベロア機24を一連で示すが、工場のレイアウトに応じて両者を別個に据え付けてもよく、これは製造機構8についても同様である。この熱処理は、上方層2と下方層3の構成繊維によって異なり、ポリエステル繊維の場合には加熱温度180〜250℃で60〜180秒加熱することが望ましい。
得た立毛表皮材1は、所望の厚みの成形可能な内装材として使用する際には、適切な弾力性や吸音性などを有するフェルト基材6(図2)またはプラスチック基材などを常温または加熱処理で下方に貼り付ければよい。フェルト基材6またはプラスチック基材などの素材や使用は特に限定されることなく、通常、自動車用内装材としてはニードルフェルト材が適している。
立毛表皮材1にフェルト基材6を取り付けた内装材を成形加工するには、その表裏をヒーターで加熱し、特定型のコールドプレスで成形し、冷却した後に不必要な部分をトリミングプレス機によってトリムすればよい。この際に、ヒーターによる加熱温度は120℃〜220℃であっても、該内装材の立毛側の加熱温度を140℃程度に抑制することを要し、この立毛側の温度を200℃前後まで上げ過ぎると立毛風合いが損なわれてしまうことに留意すべきである。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。図1に示す立毛表皮材1を製造するために、上方層2として、繊度3.3dtの通常ポリエステル短繊維60%と、繊度6.6dtの中空ポリエステル短繊維40%とを混綿する。また、下方層3として、繊度3.3dtの中細ポリエステル短繊維60%と、繊度2.2dtの極細ポリエステル短繊維40%とを混綿する。これらの短繊維はいずれも黒色である。
図3のカード・クロスラッパー10,12において、上方ウェブの目付量は100g/m、下方ウェブの目付量は150g/mであり、全体の目付量を250g/mに定める。パンチングマシン18,20では、下方層3の側からニードルパンチを2回行い、1回目は針番手40番手を用い、打ち込み本数は40本/cm、2回目は針番手40番手を用い、打ち込み本数は123本/cmである。
2層表皮材22は、図4においてランダムベロア機24を通して立毛させる。ランダムベロア機24において、針番手40番手のフォーク針を使用し、打ち込み本数は450本/cmである。さらに、熱処理機31の熱風サクションにおいて、加熱温度205℃で90秒加熱する。得た立毛表皮材1の厚さは3mmである。
得た立毛表皮材1は、成形可能な内装材として使用する際に、フェルト基材6(図2)を常温または加熱処理で下方に貼り付ける。フェルト基材6として、自動車用内装材ではニードルフェルト材が適している。この内装材を成形加工するには、例えば、その表裏をヒーターで加熱し、特定型のコールドプレスで成形する。この際に、ヒーターによる加熱温度は120℃〜220℃であり、該内装材の立毛側の加熱温度は140℃程度に抑制する。立毛表皮材1は、加熱成形しても立毛のボリューム感が損なわれず、表面の風合いが向上し、吸音性能も優れている。立毛表皮材1は、2層繊維構造であるので低目付でも地透けしにくく、自動車のフロアカーペットやラゲッジルームに用いる成形内装材として適している。
上方層2として、繊度3.3dtの通常ポリエステル短繊維55%と、繊度6.6dtの中空ポリエステル短繊維40%と、繊度4.4dtの低融点ポリエステル繊維5%とを混綿し、5%の低融点エステル繊維を混綿する以外は、実施例1と同様に処理して立毛表皮材を作製する。
この立毛表皮材は、耐磨耗性が実施例1の立毛表皮材1よりも向上している。この立毛表皮材には、フェルト基材を常温または加熱処理で下方に貼り付ける。この内装材を成形加工するには、その表裏をヒーターで加熱し、特定型のコールドプレスで成形する。この際に、ヒーターによる加熱温度は120℃〜220℃であり、該内装材の立毛側の加熱温度は140℃程度に抑制する。この立毛表皮材は、加熱成形しても立毛のボリューム感が損なわれず、表面の風合いが向上し、耐磨耗性および吸音性能も優れている。
上方層2として、繊度3.3dtの通常ポリエステル短繊維50%と、繊度6.6dtの中空ポリエステル短繊維40%と、繊度4.4dtの低融点ポリエステル繊維5%と、繊度3.3dtの難燃エステル繊維5%とを混綿し、各5%の低融点ポリエステル繊維および難燃エステル繊維を混綿する以外は、実施例1と同様に立毛表皮材を作製する。
この立毛表皮材は、それ単体で難燃性を必要とする用途に使用する。この立毛表皮材は、加熱成形しても立毛のボリューム感が損なわれず、表面の風合いが向上し、難燃性、耐磨耗性および吸音性能も優れている。
実施例1で製造した立毛表皮材1を備える内装材について、現行他社品と製品と比較するために、目付量を200g/mまたは250g/mで製造し、厚さは2.5mmまたは3.0mmに定める。一方、現行他社品は、3.0mmピッチのポリエステル繊維250g/m2を立毛加工したベロア調フェルトであり、厚さは2.5mmに定める。
共通仕様のフェルト基材6は、フェルト本体層として、繊度7.8dtの通常ポリエステル繊維20%と、雑綿(古着反毛)20%と、繊度4.4dtの低融点ポリエステル繊維40%と、繊度4.4dtのポリプロピレン繊維20%とを混綿し、ニードルパンチで目付量約900g/mとする。また、表皮層として、繊度6.6dtの通常ポリエステル繊維60%と、繊度2.2dtの通常ポリエステル繊維40%で目付量250g/mとする。この表皮層と本体層を重ね合わせ、さらにポリプロピレン製のスパンボンド不織布を中間層の上に載せ、全体にニードルパンチを施して3層を一体的に複合化する。これを180℃で2分間加熱前処理をすると、基材表面で粒状に溶融した接着層を有するフェルト基材を得る。立毛表皮材をこのフェルト基材と貼り合わせる際に、該フェルト基材のみを200℃で1分間再加熱し、その接着層と立毛表皮材の裏面を重ね合わせ、接着と同時に成形加工する。
実施例1で製造した立毛表皮材1および現行他社の立毛表皮材とは、下記の表のように、いずれも前記のフェルト基材6を貼り合わせてから、全体の厚みおよび目付量を測定し、さらに密度を測定する。これらの製品である内装材について、垂直入射法による吸音データを測定し、その結果を図6のグラフに示す。
Figure 0006764814
図6のグラフから、実施例1の立毛表皮材1は、1層品である現行他社品と比べて、吸音性が明らかに向上した結果を得た。目付量200g/mの立毛表皮材1の吸音性は、従来工法で得た現行他社に対して、目付量が50g/m下がって約24%向上し、目付量250g/mの立毛表皮材1の吸音性は約65%向上する。立毛表皮材1は、2層構造であるから、それぞれの層が機能性を持ち、且つ複雑な繊度構成によって音の減衰が増大し、さらに中空ポリエステル繊維の添加によっても吸音性が増したものである。
1 立毛表皮材
2 上方層
3 下方層
5 立毛
6 フェルト基材
7 内装材

Claims (6)

  1. 内装材において下側の基材とともに使用する立毛表皮材であって、上方層は、繊度2.2〜6.6dtである通常繊維40〜70%および繊度7.8dt以下である中空繊維30〜50%を混綿し、下方層は、繊度0.5〜2.5dtである極細繊維30〜60%および繊度2.5〜3.5dtである中細繊維40〜70%を混綿し、上方層および下方層を重合し、下方層側からニードルパンチすることによって全体を一体化させる立毛表皮材。
  2. 上方層において、さらに繊度4.4〜6.6dtである低融点繊維を0〜10%混綿し、この低融点繊維は融点が110〜180℃であり、熱処理時に溶融する請求項1記載の立毛表皮材。
  3. 上方層において、さらに繊度3.3〜6.6dtである難燃性繊維を0〜15%混綿し、この難燃性繊維は難燃ポリエステル、レーヨンまたは耐炎化繊維である請求項1記載の立毛表皮材。
  4. 上方層の目付は60〜240g/m、下方層の目付は90〜360g/mであり、厚みが1〜10mmである請求項1記載の立毛表皮材。
  5. 上方層および下方層を重合した後に、下方層側からニードルパンチを2段階で行い、第1パンチの打ち込み本数は30〜80本/cmであり、第2パンチの打ち込み本数は100〜300本/cmである請求項1記載の立毛表皮材。
  6. ニードルパンチで全体を一体化させた後に立毛処理を施し、さらに熱処理を施す際に使用繊維に応じて加熱温度を調整し、ポリエステル繊維の場合には熱処理を180〜250℃で60〜180秒行う請求項1記載の立毛表皮材。
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