JP6763413B2 - インク、印刷装置、印刷方法及び造形物の製造方法 - Google Patents
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Description
MxWyOz ・・・(I)
ここで、元素MはCs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、Wはタングステンであり、Oは酸素である。
また、x/yの値は、0.001≦x/y≦1.1の関係を満足することが好ましく、特にx/yが0.33付近であることが好適である。加えて、z/yの値は、2.2≦z/y≦3.0の関係を満足することが好ましい。具体的には、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Tl0.33WO3などである。
具体的に積分値は、
セシウム酸化タングステン:LaB6=1:0.58
である。従って、LaB6を用いた光熱変換層では、セシウム酸化タングステンを用いた光熱変換層と比べても、約0.58倍の高さが得られる。
次に、本実施形態の熱膨張性シート20に印刷を施し、立体画像を形成する立体画像形成システム50について説明する。図4(a)〜図4(c)に示すように、立体画像形成システム50は、制御ユニット51と、印刷ユニット52と、膨張ユニット53と、表示ユニット54と、天板55と、フレーム60と、を備える。図4(a)は、立体画像形成システム50の正面図であり、図4(b)は、天板55を閉じた状態における立体画像形成システム50の平面図であり、図4(c)は、天板55を開いた状態における立体画像形成システム50の平面図である。なお、図4(a)〜図4(c)において、X方向は水平方向と同一であり、Y方向はシートが搬送される搬送方向Dと同一であり、更にZ方向は鉛直方向と同一である。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する。
次に、図6に示すフローチャート及び図7(a)〜図7(e)に示す熱膨張性シート20の断面図を参照して、立体画像形成システム50によって熱膨張性シート20に立体画像を形成する処理の流れを説明する。立体画像形成処理によって造形物が製造されるため、立体画像形成処理は造形物の製造方法でもある。
立体画像形成処理は、図6に示すプロセスの順番に限られず、以下に詳細に記述するように各ステップの順番は入れ替えることが可能である。
特に本実施形態のインク10は色味が抑制されているため、表側変換層41を構成するインク10がカラーインク層42の色味へ影響を与えることを抑制することができる。従って、本変形例のステップS21に示すように、表側変換層41とカラーインク層42とを1つの工程で形成し、表側変換層41とカラーインク層42とを同時に形成することが可能となる。
比較例として、従来、光熱変換層を形成するために使用されているカーボンを含む黒色インク(顔料インク)を用いて光熱変換層を形成し、熱膨張性シートを発泡、膨張させた例を図10(a)に示す。図10(a)は、光熱変換層の印刷後のインク濃度(黒濃度)と熱膨張層の膨張後の膨張高さ(発泡高さ)との関係を示すグラフである。具体的には、黒色インクは、一般にインクジェットプリンタ用として市販されているカーボンを含む黒色の顔料インクを使用した。上述した実施形態と同様の構成を採る熱膨張性シートの表面上に、インクジェットプリンタを使用して、同一の画像を異なる複数の濃度で黒インクによって印刷し、それにより複数の光熱変換層を形成した。なお、光熱変換層は熱膨張性シートの表面のみに形成した。また、ハロゲンランプを使用し、同一条件で各光熱変換層へ光を照射し、それぞれの濃度における熱膨張性シートの膨張高さ(mm)を測定した。黒濃度は、イグザクト反射分光濃度計(サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて測定した。
本実施形態のインク10に対応するインクを用いて光熱変換層を形成し、熱膨張性シートを発泡、膨張させた例を図10(b)に示す。図10(b)は、光熱変換層の印刷後のインク濃度(黒濃度)と熱膨張層の膨張後の膨張高さ(発泡高さ)との関係を示すグラフである。具体的に、本実施形態のインク10に相当するインクとしては、通常のインク成分と同様の成分を含み、着色剤を含まないインク中に、無機赤外線吸収剤としてセシウム酸化タングステンを、5.3重量%で混合させたものを用いた。このインクを用いて、比較例と同様に同一の画像を異なる濃度で印刷し、複数の光熱変換層を形成した。なお、光熱変換層は熱膨張性シートの表面のみに形成した。また、比較例と同様に、同一条件で光を光熱変換層へ照射し、それぞれの濃度における熱膨張性シートの膨張高さ(mm)を測定した。また、黒濃度は、比較例と同様の反射分光濃度計を用いて測定した。
次に、実施例2では、無機赤外線吸収剤として六ホウ化ランタン(LaB6)を、溶媒(ファインソルブTH、三協化学株式会社製)中に、0.18重量%で混合させ、インクとした。刷毛を使用して、このインクを熱膨張性シート上に塗布した。2回〜5回の塗布を行い、光熱変換層を形成した。2回以上塗布する場合は、直前に塗布した場所に重ねて塗布した。熱膨張性シートとしては実施例1、比較例と同じものを使用した。なお、光熱変換層は熱膨張性シートの表面のみに形成した。また、実施例1及び比較例と同様に、同一条件で光を光熱変換層へ照射した。また、黒濃度は、熱膨張層の発泡後、比較例と同じ反射分光濃度計を用いて測定した。
本実施形態では、印刷装置として、制御ユニット51、膨張ユニット53等を備える立体画像形成システム50を例に挙げているが、これに限られず、印刷装置は、図5に示すようなインクジェット式の印刷ユニット52のみから構成されてもよい。
熱膨張性シートの熱膨張層の少なくとも一部を膨張させるために使用される光熱変換層を形成するインクであって、
該インクは、赤外領域の少なくともいずれかの領域で、可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤を含む、
ことを特徴とするインク。
[付記2]
前記無機赤外線吸収剤は、金属酸化物、金属ホウ化物、又は金属窒化物である、
ことを特徴とする付記1に記載のインク。
[付記3]
前記無機赤外線吸収剤は、タングステン系酸化物又は六ホウ化金属化合物である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載のインク。
[付記4]
前記無機赤外線吸収剤は、セシウム酸化タングステン又は六ホウ化ランタンである、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1つに記載のインク。
[付記5]
熱膨張性シートの熱膨張層の少なくとも一部を膨張させるために使用する光熱変換層を印刷するための印刷装置であって、
赤外領域の少なくともいずれかの領域で、可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤を含むインクを用いて、前記熱膨張性シートの一方及び/又は他方の面上に前記光熱変換層を印刷する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記6]
熱膨張性シートの熱膨張層の少なくとも一部を膨張させるために使用する光熱変換層を印刷するための印刷方法であって、
赤外領域の少なくともいずれかの領域で、可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤を含むインクを用いて、前記熱膨張性シートの一方及び/又は他方の面上に前記光熱変換層を印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
[付記7]
熱膨張性シートの熱膨張層の少なくとも一部を光熱変換層を用いて膨張させることによる造形物の製造方法であって、
赤外領域の少なくともいずれかの領域で、可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤を含むインクを用いて、前記熱膨張性シートの一方及び/又は他方の面上に前記光熱変換層を形成する工程を備える、
ことを特徴とする造形物の製造方法。
[付記8]
前記熱膨張性シートの一方の面に設けられた熱膨張層上にカラー画像を印刷するカラー印刷工程を備え、
前記熱膨張性シートの一方の面上に前記光熱変換層を形成する工程と、前記カラー印刷工程とは、同時に行われる、
ことを特徴とする付記7に記載の造形物の製造方法。
[付記9]
前記熱膨張性シートの一方の面に設けられた熱膨張層上にカラー画像を印刷するカラー印刷工程を備え、
前記カラー印刷工程は、前記熱膨張性シートの一方の面上に前記光熱変換層を形成する工程の前に行われる、
ことを特徴とする付記7に記載の造形物の製造方法。
Claims (10)
- 所定の加熱により膨張する熱膨張層に重なるように、前記加熱に適用される光熱変換層をパターン形成するためのインクであって、
赤外領域の少なくともいずれかの領域で可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤としてタングステン系酸化物又は六ホウ化金属化合物を含み、
前記熱膨張層に重なるように形成された所定のインク受容層に前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物が受容されることによって、前記加熱に伴って形成される前記熱膨張層の表面凹凸に対しての前記インク受容層による被覆性を維持させたままで、前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物が受容された部分の前記インク受容層を、前記光熱変換層に変性させる、
ことを特徴とするインク。 - 前記無機赤外線吸収剤として前記タングステン系酸化物及び六ホウ化金属化合物を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインク。 - 前記無機赤外線吸収剤を、20重量%から0.10重量%の割合で含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。 - 前記インク受容層は、多孔質シリカ又はポリビニールアルコールを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。 - 赤外領域の少なくともいずれかの領域で可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤としてタングステン系酸化物又は六ホウ化金属化合物を含むインクを熱膨張層に重なるように形成されたインク受容層上に所定の塗布手段で印刷して前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物を前記インク受容層に受容させることで、加熱に伴って形成される前記熱膨張層の表面凹凸に対しての前記インク受容層による被覆性を維持させたままで、前記インクが印刷された領域のインク受容層を、光熱変換層に変性させる、
ことを特徴とする印刷装置。 - 赤外領域の少なくともいずれかの領域で可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤としてタングステン系酸化物又は六ホウ化金属化合物を含むインクを熱膨張層に重なるように形成されたインク受容層上に印刷して前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物を前記インク受容層に受容させることで、加熱に伴って形成される前記熱膨張層の表面凹凸に対しての前記インク受容層による被覆性を維持させたままで、前記インクが印刷された領域のインク受容層を、光熱変換層に変性させる、
ことを特徴とする印刷方法。 - 熱膨張層の少なくとも一部を光熱変換層を用いて膨張させることによる造形物の製造方法であって、
赤外領域の少なくともいずれかの領域で可視光領域と比較して高い吸光率を有する無機赤外線吸収剤としてタングステン系酸化物又は六ホウ化金属化合物を含むインクを熱膨張層に重なるように形成されたインク受容層上に印刷して前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物を前記インク受容層に受容させることで、加熱に伴って形成される前記熱膨張層の表面凹凸に対しての前記インク受容層による被覆性を維持させたままで、前記インクが印刷された領域のインク受容層を、前記光熱変換層に変性させる光熱変換層形成工程を備える、
ことを特徴とする造形物の製造方法。 - 前記インク受容層上にカラーインクを印刷して前記カラーインクを前記インク受容層に受容させることで、前記カラーインクが印刷された領域のインク受容層を前記カラーインクに対応した色味のカラー層に形成するカラー層形成工程を備え、
前記光熱変換層形成工程は、前記インクを前記カラー層としての前記インク受容層上に印刷して前記タングステン系酸化物又は前記六ホウ化金属化合物を前記カラー層に受容させることで、前記インクが印刷された領域のカラー層を前記カラー層の色味が維持された前記光熱変換層に形成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の造形物の製造方法。 - 前記光熱変換層としての前記インク受容層上にカラーインクを印刷して前記カラーインクを前記光熱変換層に受容させることで、前記カラーインクが印刷された領域の光熱変換層を前記カラーインクに対応した色味のカラー層に形成するカラー層形成工程を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の造形物の製造方法。 - 前記光熱変換層形成工程と前記カラー層形成工程は、所定の単位領域毎に連続して実施される、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の造形物の製造方法。
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