JP6758116B2 - 複合型不織布の製造装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、不織布は基材となるウエブ(フリースと称される場合もある)を形成するウエブ形成工程と、ウエブを構成している繊維を互いに結合させる繊維結合工程とを経て製造される。そして、ウエブ形成工程および繊維結合工程のそれぞれについて、従来から多くの提案がなされている。
ここで、上記特許文献1においてパルプウエブの製造例が開示されているように、その製造には湿式法が採用される場合が多い。この湿式法は、従来の抄紙製造に類似の工程を経てパルプウエブを得るものである。
よって、湿式法により不織布用のパルプウエブを製造すると、そのための設備投資が大型化すると共に、必要な動力エネルギーが増加することになる。また、その設備メンテナンスなどにも費用が嵩むので、不織布製造コストの増加が懸念される。
更に、製造設備が大きくなると、製品の切替えが困難となり、切替えに要する時間が長くなるので、この点でも製造コストの増加が懸念される。
を促進する水流交絡部と、前記水流交絡部の下流で、脱水、乾燥の処理を施して一体化した積層体を得る脱水・乾燥部とを、有し、前記水流交絡部の上流側に、前記予備的積層体にウオータミストを吹き付けて湿らせるプレウエット部が配置してあることを特徴とする複合型不織布の製造装置により達成することができる。
また、前記予め準備された合成繊維製のウエブは、スパンボンド法によって製造したウエブとするのが望ましい。
また、複合型不織布の装置を全体しても小型化されるので、パルプ繊維層(パルプウエブ)と合成繊維層(合成繊維ウエブ)との配合比や種類変更などを行う場合に、湿式法の場合と比較して、容易に行えるため製品の切替えが容易となる。よって、多品種多用途の製造に適した複合型不織布の製造装置を提供できる。
図1に示す複合型不織布の製造装置1は、上流側にパルプエアレイド部としてのエアレイド装置2、合成繊維層供給部としての合成繊維ウエブ供給装置3、そして積層形成部としてのサクション装置4が配設されている。サクション装置4はエアレイド装置2の下側に対向するように配置されている。
搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡部としての水流噴射(ウオータジェット)装置5、脱水・乾燥部として乾燥装置6が配置されている。上記乾燥装置6の下流には連続して製造される複合型の不織布CWebを巻き取るための巻取装置7が更に設けてある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維FPに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
さらに、原料パルプRPは、例示のようにロールパルプの形態で供給される場合が多いので、上記解繊装置21としてハンマーミルやディスクミル型等を採用するのが好ましい。ここでの解繊処理は、必要に応じて一段或いは複数段としてもよい。
また、上記原料パルプRPと共に、コットン等の天然繊維や、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維を追加配合するようにしてもよい。このような配合を採用する際には、別途エアレイドヘッドを追加してウエブ層を重ねるか、開繊したパルプを風送するダクトに別の繊維を混合する風送ラインを追加すればよい。
上記合成繊維ウエブSWとしては、スパンボンド法により形成された連続フィラメントのウエブを用いるのが好ましい。そして、ここでの合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択するのが好ましい。
その際に、積層位置24ではサクション装置4のサクション部42による吸引力が搬送ワイヤ43を通過し、その上の合成繊維ウエブSWおよびパルプ繊維FPに作用する。よって、上記積層位置24を経て下流側に移動した積層状態のウエブは下側の合成繊維層(合成繊維ウエブSW)と、その上に載置されたパルプ繊維層(パルプウエブ)とが積層された状態の予備的積層体PWebとなる。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んで合成繊維ウエブSW上でのパルプ繊維FPの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流噴射装置5の上流側にパルプ繊維FPに飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウオータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、合成繊維ウエブSWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
図1で例示的に示している水流噴射装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図1では例示しているのは4段)に水流噴射ノズル51が配置されている。第1段目の水流噴射ノズルを低圧で吹き付ける事により、上述したプレウエット装置30の代用としてもよい。
図1では、搬送方向TDに対して直角な方向(装置1の幅方向)におけるノズルの様子は図示していないが、幅方向においても複数の水流噴射ノズルが配置してある。水流噴射ノズルの数や、その配置位置などは、水流交絡処理を施す予備的積層体PWebに応じて適宜に設計すればよい。すなわち、水流噴射装置5には平面視において格子状に複数の水流噴射ノズル51が配備されるが、水流噴射ノズル51の具体的な構造は任意、適宜に変更される。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流噴射装置5を出るときには上側のパルプ繊維層と下側の合成繊維ウエブとの十分な交絡処理が実現される。
上記搬送ワイヤ55としては、例えばメッシュサイズ40×40〜100×100のものを用いることが好ましい。また、製品化後の複合型の不織布CWebに凹凸パターン等を付与する目的で、搬送ワイヤ55には、デザインパターンシートを設けたり、タテ糸、ヨコ糸の径を個別に設定してもよい。
水流噴射装置5を出た直後にあっては、ウエブはウエット状態であり、乾燥前にあってはパルプ繊維同士の結合は十分に確立されてはいない。
なお、乾燥されたパルプ繊維同士は水素結合により結合することになる。そして、先に説明したように、原料パルプRPと共に例えば熱融着繊維を追加配合していた場合、加熱により、熱融着繊維同士或いはパルプ繊維も融着して新たな結合が実現される。よって、パルプ繊維に熱融着性のある繊維を追加配合した場合には、より強固な結合を実現した複合型の不織布CWebが得られる。
このように連続的に製造される複合型の不織布CWebは巻取装置7のローラ71に巻き取られて一連の工程が完了する。
ここで例示したように、エアスルードライヤにより乾燥を行うと、完成した不織布CWebを嵩高く、厚みのある高級感のある製品に仕上げることができるので好ましい。
また、製品となる複合型の不織布CWebのエンボス形状の保形性を優先したいという場合もある。この場合には、乾燥装置の下流側にエンボス装置を配置するのがよい。そして、この場合には熱エンボス (凹凸パターンの金属製ロール)装置を採用するのが好ましい。
また、上述した説明では、脱水・乾燥部6の一例としてエアスルードライヤを用いる場合を好適例として説明したがこれに限らない。ウエット状態のウエブを脱水・乾燥させるためサクションによる脱水装置と他の乾燥装置とを組合せた装置構成などとしてもよい。
2 エアレイド装置(パルプエアレイド部)
3 合成繊維ウエブ供給装置(合成繊維層供給部)
4 サクション装置(積層形成部)
5 水流噴射装置(水流交絡部)
6 乾燥装置(脱水・乾燥部)
7 巻取装置
21 解繊機
22 ダクト
23 エアレイドホッパ
24 積層位置
28 挟持ローラ
30 プレウエット装置(プレウエット部)
31 噴霧ノズル
32 サクション装置
41 サクション装置本体
42 サクション部
43 搬送ワイヤ
51 水流噴射ノズル
52 サクション装置
55 搬送ワイヤ
FP パルプ繊維
PWeb 予備的積層体
CWeb 積層体(複合型不織布)
SW 合成繊維ウエブ
Claims (5)
- パルプ繊維層と合成繊維層とを積層して一体化してある複合型不織布を製造する製造装置であって、
原料パルプを乾燥状態で解繊して空気の流れに乗せて分散させて、積層位置にパルプ繊維を供給するパルプエアレイド部と、
予め準備された合成繊維製のウエブを前記合成繊維層として、前記積層位置へ供給する合成繊維層供給部と、
前記積層位置に対向して配備され、前記合成繊維層と、当該合成繊維層の上に載置される前記パルプ繊維によって形成される前記パルプ繊維層とに、負圧を印加して予備的積層体を形成させる積層形成部と、
前記積層形成部の下流で、前記予備的積層体に向けてウオータジェットを吹き付けて水流交絡処理を施し、前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進する水流交絡部と、
前記水流交絡部の下流で、脱水、乾燥の処理を施して一体化した積層体を得る脱水・乾燥部とを、有し、
前記水流交絡部の上流側に、前記予備的積層体にウオータミストを吹き付けて湿らせるプレウエット部が配置してある、ことを特徴とする複合型不織布の製造装置。 - 前記脱水・乾燥部は、エアスルードライヤを含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の複合型不織布の製造装置。
- 前記脱水・乾燥部の上流側または下流側にエンボス装置が配置してある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の複合型不織布の製造装置。
- 前記予め準備された合成繊維製のウエブは、スパンボンド法によって製造したウエブである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の複合型不織布の製造装置。
- パルプ繊維層と合成繊維層とを積層して一体化してある複合型の不織布を製造する方法であって、
原料パルプを乾燥状態で解繊して空気の流れに乗せて分散させて、積層位置にパルプ繊維を供給するパルプエアレイド工程と、
予め準備された合成繊維製のウエブを前記合成繊維層として、前記積層位置へ供給する合成繊維層供給工程と、
前記積層位置に対向して配備され、前記合成繊維層と、当該合成繊維層の上に載置される前記パルプ繊維によって形成される前記パルプ繊維層とに、負圧を印加して予備的積層体を形成させる積層形成工程と、
前記積層形成工程後に、前記予備的積層体に向けてウオータジェットを吹き付けて水流交絡処理を施し、前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進する水流交絡工程と、
前記水流交絡工程後に、脱水、乾燥の処理を施して一体化した積層体を得る脱水・乾燥工程とを、含み、
前記水流交絡工程の前に、前記予備的積層体にウオータミストを吹き付けて湿らせるプレウエット工程を更に含む、ことを特徴とする複合型不織布の製造方法。
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