JP6758022B2 - 血管内皮細胞増殖因子受容体阻害ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR2)の活性を阻害するペプチド等に関する。
悪性腫瘍が成長するためには酸素や栄養が必要である。そこで、悪性腫瘍は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などを分泌し、自身に向かって血管を新生させる。この血管新生を阻害することができれば腫瘍の成長や悪性化を抑制することができると考えられるため、これまでにも、VEGFやその受容体である血管内皮増殖因子受容体VEGFR2を標的とした種々の分子標的治療が提案されてきた。
VEGFR2は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内チロシンキナーゼドメインからなり、細胞外ドメインを通じてVEGFと相互作用する。VEGFR2は、二量体VEGFが結合すると二量体化し、細胞内チロシンキナーゼドメインによる自己リン酸化を通じて活性化される。VEGFR2の活性化は、細胞の遊走、増殖、生存を引き起こし、血管新生を生じさせる。VEGFとVEGFR2との相互作用又はそれによって生じるシグナル伝達を阻害することにより、悪性腫瘍のほか、網膜血管症などの病的血管新生を抑制することができ、臨床上有用であると考えられる(例えば、非特許文献1〜4参照)。
実際、抗VEGF中和抗体、抗VEGFR2中和抗体、VEGFR2のリン酸化を阻害する化合物の開発が進められており、実用化されているものもある(上記非特許文献1参照)。抗VEGF抗体は、化学療法との併用で一定の効果が確認されているが、高価であり、低分子化が求められている。また、低分子のVEGFR2のリン酸化阻害剤も開発されているが特異性に問題を残している。
渋谷正史、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)122, 498-503(2003) Q.T. Ho, et al.、Int. J. Biochem. Cell Biol., 39, 1349-57(2007) Zhang, J., et al.、Nat. Rev. Cancer, 9, 28-39 (2008) Scott, A. M., et al.、Nat. Rev. Cancer, 12, 278-87 (2012)
本発明は、VEGFR2に対して高い特異性で強く結合してその機能を阻害し、安価に製造することが可能なVEGFR2阻害ペプチドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、VEGFR2に高い親和性を有するペプチドを見出し、VEGFR2を発現する血管内皮細胞に当該ペプチドを投与すると、VEGFR2のリン酸化が生じないこと、血管内皮細胞の増殖を著しく抑制できること、血管新生が抑制される傾向があることを確認するとともに、ペプチドの配列を最適化して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕以下のアミノ酸配列を含むペプチド:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15
〔式中、Xaa2はVal又はその誘導体、Xaa6はAsp又はその誘導体、Xaa7はPro又はその誘導体、Xaa8はTrp又はその誘導体、Xaa10はAsn又はその誘導体、Xaa11はGly又はその誘導体、Xaa12はLeu又はその誘導体を表し、Xaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、及びXaa13〜Xaa15は、
それぞれ独立に任意のアミノ酸又はその誘導体を表す。〕;
〔2〕Xaa1は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa3は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa4は、Gly、His、Ser、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa5は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa9は、脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa13は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa14は、疎水性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa15は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体である、上記〔1〕に記載のペプチド;
〔3〕Xaa1は、Val、Thr、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa3は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa4は、His又はその誘導体であり、
Xaa5は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa9は、Val又はその誘導体であり、
Xaa13は、芳香族性アミノ酸又はその誘導体であり、
Xaa14は、Phe、Leu、Ile及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa15は、Pro、Ser、及びそれらの誘導体から選択される、上記〔1〕又は〔2〕に記載のペプチド;
〔4〕Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8が、VVRHTDPW、VVVHTDPW、VVRHNDPW、VVSHPDPW、VVSHHDPW、VVKHSDPW、VVKHPDPW、IVRHPDPW、IVTHSDPW、VVTHSDPW、TVTHTDPW、TVKHTDPW、TVRHTDPW、TVYHSDPW、及びVVVSTDPWからなる群より選択される、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載のペプチド;
〔5〕Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15が、VNGLWLR、VNGLWFP、VNGLWFY、VNGLWLW、VNGLWLQ、ANGLWLA、及びVNGLYLDからなる群より選択される、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載のペプチド;
〔6〕Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15が、HVTHQDPWVNGLWIA、VVSHHDPWVNGLFIA、VVVHADPWVNGLWIQ、VVKHPDPWVNGLYFH、VVQHRDPWVNGLWFP、SVVHSDPWVNGLYLS、AVKHSDPWVNGLYLP、SVTHIDPWVNGLYLP、KVSHFDPWVNGLWLP、TVTHRDPWVNGLILS、QVSHPDPWVNGLILQ、TVYSDDPWVNGLWLR、SVYGLDPWINGLRFV、TVFHTDPWVNGLWIS、TVRHTDPWVNGLWIS、TVKHPDPWVNGLWIS、TVTHSDPWVNGLFLP、VVTHPDPWVNGLFLP、TVTHIDPWVNGLWLP、TVVHADPWVNGLYLP、TVVHSDPWVNGLWLP、TVIHPDPWVNGLWLP、IVSHPDPWVNGLWLP、SVSHPDPWVNGLWLP、EVSHPDPWVNGLWIP、IVYHADPWVNGLWLS、VVRHSDPWVNGLWID、VVYSSDPWVNGLHLT、TVSHPDPWVNGLWIR、TVYHPDPWVNGLWIR、TVWHPDPWVNGLWIY、EVKHPDPWVNGLWIY、TVVHPDPWVNGLWIS、TVRHPDPWVNGLWLS、TVRHPDPWVNGLWFS、TVSHPDPWVNGLWLQ、TVTHPDPWVNGLWLP、TVTHPDPWVNGLYLP、TVYHPDPWVNGLWLP、TVVHPDPWVNGLWLP、TVFHPDPWVNGLWIP、AVTHSDPWVNGLWLP、TVTHSDPWVNGLWFP、EVSHPDPWVNGLWFP、AVSHPDPWVNGLWFP、及びSVVHHDPWVNGLWFPからなる群より選択される、上記〔1〕に記載のペプチド;
〔7〕上記〔1〕から〔6〕のいずれかに1項に記載のペプチドのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、付加又は置換されているペプチドであって、血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR2に対する阻害活性を有する、ペプチド;
〔8〕以下のアミノ酸配列を含むペプチド:
Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30
〔式中、Xaa24はHis又はその誘導体、Xaa25はPro又はその誘導体を表し、Xaa16〜Xaa23及びXaa26〜Xaa30は任意のアミノ酸を表す。〕;
〔9〕Xaa16は、疎水性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa17は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa18は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa19は、芳香族性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa20は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa21は、疎水性の脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa22は、陽電荷を持つアミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa23は、疎水性の脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa26は、疎水性の脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa27は、電荷を持たない親水性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa28は、疎水性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa29は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa30は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体である、上記〔8〕に記載のペプチド;
〔10〕Xaa16は、Ile、Val、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa17は、Gly、Asn、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa18は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa19は、芳香族性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa20は、任意のアミノ酸又はそれらの誘導体であり、
Xaa21は、Ile、Val、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa22は、Lys、Arg、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa23は、Val又はその誘導体であり、
Xaa26は、Ile、Val、及びそれらの誘導体から選択され、
Xaa27は、Ser又はその誘導体であり、
Xaa28は、Leu又はその誘導体であり、
Xaa29は、Glu又はその誘導体であり、
Xaa30は、Pro、芳香族アミノ酸又はその誘導体である、上記〔8〕又は〔9〕に記載のペプチド;
〔11〕Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23が、VNGYRVKV、VNGYSIKV、INGYKIKV、IGPYKIRV、IGPYRIRL、YGPYAIKV、IGPYVIKV、IGRFRIKV、LGRWSIKV、IGSFVIRV、IRGFRIRV、VGPYRIRV、VGIYQIRV、IGHYRVKV、及びIGHYRVKVからなる群より選択される、上記〔7〕から〔9〕のいずれか1項に記載のペプチド;
〔12〕Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30が、HPISLAP、HPISLSP、HPISLEP、HPISLEY、HPISLEW、HPISLLP、HPVSLEP、HPVSFEP、HPVSLES、HPVSLEY、HPVTLAW、HPVGLWP、及びHPISLERからなる群より選択される、上記〔8〕から〔11〕のいずれか1項に記載のペプチド;
〔13〕Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30が、LNGYYVKVHPVSLEP、LNGYRVKVHPISLEP、VGPYAVKVHPISLSP、VGHYRVKVHPISLLP、IGAYKVKVHPISLQP、LGPYRVKVHPISLHF、IGPYLVKVHPVSLHF、IGEYRVKVHPISLAP、IGPYRVKVHPVSLLP、IGIYRVKVHPVSLEP、IGPYAVKVHPVSLEP、IGTWVVKVHPVSLEP、INSYVVKVHPISLEP、ILGYFVKVHPVSLDP、YNGFAVKVHPISLEN、VNGYAVKVHPVSLEP、VNGYIVKVHPVSLEP、IYGFAVKVHPVSLEP、IGIYRVKVHPISLEY、IGIFRVKVHPISLEP、IGIYRVKVHPISLEP、IGRYAVKVHPISLEP、IGPYWVKVHPISLLP、IGPYHVKVHPVSLEP、IGPWFVKVHPVSLEP、IGPYRVKVHPVSLEY、IGPYRVKVHPISLEW、VNGYRVKVHPISLDW、LYGYRVKVHPISLEP、IGIYRVKVHPISLEP、IGPYRVKVHPISLEP、IGPYWVKVHPISLEP、IGPYRVKVHPVSLEP、IGPYRIKVHPVSLEP、VGPYRVKVHPVSLEP、IGPYVVKVHPVSLEP、IGPYRVKVHPVSLEY、IGPYWVKVHPVSLEW、及び、INGYYVKVHPVSLDWからなる群より選択される、上記〔8〕に記載のペプチド;
〔14〕上記〔8〕から〔13〕のいずれかに1項に記載のペプチドのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、付加又は置換されているペプチドであって、血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR2に対する阻害活性を有する、ペプチド;及び
〔15〕上記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載のペプチドを含む医薬、に関する。
本発明に係るペプチドによれば、VEGFとVEGFR2との相互作用を阻害し、血管新生を抑制することが可能である。したがって、本発明に係るペプチドは、病的血管新生が関与する疾患、例えば悪性腫瘍、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、動脈硬化などの予防や治療に有用であると考えられる。本発明に係るペプチドは、VEGFR2に高い特異性で結合するため副作用が少ないものと考えられ、またタンパク質製剤に比較して安価に製造できるという利点もある。本発明に係るペプチドを、リン酸化阻害剤等、他の作用機序をもつ医薬と併用すれば、血管新生をより強力に阻害することが可能である。
図1Aは、VEGFR2に結合する環状ペプチドを選択するために用いたTRAP display法の概要を示す。図中、Puはピューロマイシンを表す。 図1Bは、ペプチドの環状化のためにN末端に配した2種類のフェニルアラニンのアナログ(ClAc-L-PheとMCAB-L-Pheを表す)。 図2は、TRAP display法によるセレクションによるVEGFR2結合環状ペプチドのセレクションにおける、各ラウンド後のcDNAの回収率を示す。 図3は、TRAP display法によって選択されたVEGFR2結合環状ペプチドのヒトVEGFR2又はマウスVEGFR2との結合の解離定数をBLI法(ForteBio社)によって求めた結果を示す。 図4は、VEGFR2とリン酸化VEGFR2のいずれにも結合する抗total VEGFR2抗体と、リン酸化VEGFR2のみに結合する抗リン酸化VEGFR2抗体の特異性をウエスタンブロッティングで確認した結果を示す。 図5は、環状ペプチドBL1とL1が、VEGF刺激によるVEGFR2の自己リン酸化を用量依存的に阻害することをドットブロッティング法によって確認した結果を示す。 図6は、環状ペプチドL1及びBL1によるHUVECに対する増殖阻害活性をBrdU法を用いて調べた結果を示す。 図7は、環状ペプチドによる血管新生阻害効果を調べた結果を示す。 図8は、L1のペプチド配列のうちXaa9〜Xaa15をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。 図9は、L1のペプチド配列のうちXaa1〜Xaa8をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。 図10は、L1のペプチド配列のうちXaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、Xaa13〜Xaa15をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。 図11は、BL1のペプチド配列のうちXaa24〜Xaa30をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。 図12は、BL1のペプチド配列のうちXaa16〜Xaa23をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。 図13は、BL1のペプチド配列のうちXaa16〜Xaa20、Xaa26、Xaa29、Xaa30をランダムにしたライブラリーを作製し、TRAP display法でVEGFR2に結合するものをセレクションした結果、選択されたペプチドのアミノ酸配列を示す。
本発明に係るペプチドの一態様は、下記式〔I〕で表される15アミノ酸を含み、式中、Xaa2はVal又はその誘導体、Xaa6はAsp又はその誘導体、Xaa7はPro又はその誘導体、Xaa8はTrp又はその誘導体、Xaa10はAsn又はその誘導体、Xaa11はGly又はその誘導体、Xaa12はLeu又はその誘導体を表し、Xaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、及びXaa13〜Xaa15は任意のアミノ酸又はその誘導体を表す。
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15…〔I〕
本明細書において「アミノ酸又はその誘導体」は、その最も広い意味で用いられ、天然アミノ酸に加え、人工のアミノ酸変異体や誘導体を含む。アミノ酸は慣用的な一文字表記又は三文字表記で示される場合もある。本明細書においてアミノ酸又はその誘導体としては、天然タンパク性L-アミノ酸;非天然アミノ酸;アミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられる。非天然アミノ酸の例として、主鎖の構造が天然型と異なる、α,α-二置換アミノ酸(α-メチルアラニンなど)、N-アルキル-α-アミノ酸、D-アミノ酸、β-アミノ酸、α-ヒドロキシ酸や、側鎖の構造が天然型と異なるアミノ酸(ノルロイシン、ホモヒスチジンなど)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸、ホモフェニルアラニン、ホモヒスチジンなど)及び側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸など)が挙げられるがこれに限定しない。
式〔I〕において、Xaa2はVal又はその誘導体、Xaa6はAsp又はその誘導体、Xaa7はPro又はその誘導体、Xaa8はTrp又はその誘導体、Xaa10はAsn又はその誘導体、Xaa11はGly又はその誘導体、Xaa12はLeu又はその誘導体を表す。
後述する実施例に示されるとおり、本発明者らは、
ClAc-L-Phe-Val-Val-Val-Ser-Thr-Asp-Pro-Trp-Val-Asn-Gly-Leu-Tyr-Ile-Asp-Cys
で表されるペプチド(以下「L1」という。)が、VEGFR2に高特異的に強く結合し、その機能を阻害することを見出した。そして、VEGFR2への結合性の観点から配列を最適化したところ、Xaa2、Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa10、Xaa11、及びXaa12は、最適化の前後にわたりすべてのペプチドにおいて同一のアミノ酸であることを確認した。したがって、15アミノ酸の中でもこれらの7アミノ酸は、VEGFR2との結合に特に重要であるものと考えられる。
その他のアミノ酸残基、すなわち、Xaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、Xaa13〜Xaa15は、それぞれ独立に任意のアミノ酸又はその誘導体から選択される。
Xaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、Xaa13〜Xaa15は、以下の特徴を有するものから選択されることも好ましい。
Xaa1:あらゆるアミノ酸及びその誘導体。特にVal又はThr。
Xaa3:あらゆるアミノ酸及びその誘導体。
Xaa4:His、Ser、Gly及びその誘導体。特にHis。
Xaa5:あらゆるアミノ酸及びその誘導体。特にSer、Thr、Proなど。
Xaa9:脂肪族アミノ酸及びその誘導体。Val、Ala、Ileなど。特にVal。
Xaa13:あらゆるアミノ酸及びその誘導体。特に芳香族性アミノ酸。
Xaa14:疎水性アミノ酸及びその誘導体。Leu、Phe、Ileなど。
Xaa15:あらゆるアミノ酸及びその誘導体。特にPro又はSer。
上記Xaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、Xaa13〜Xaa15の特徴は、VEGFR2に結合してその活性を阻害するL1の配列と、これを最適化したものに見られた特徴であるから、上記の特徴のいずれかを有するペプチドは、L1と同様にVEGFR2阻害活性を有する可能性が極めて高いと考えられる。
式〔I〕のペプチドは、Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8が、VVRHTDPW、VVVHTDPW、VVRHNDPW、VVSHPDPW、VVSHHDPW、VVKHSDPW、VVKHPDPW、IVRHPDPW、IVTHSDPW、VVTHSDPW、TVTHTDPW、TVKHTDPW、TVRHTDPW、TVYHSDPW、及びVVVSTDPWからなる群より選択されるものであってもよい。
また、式〔I〕のペプチドは、Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15が、VNGLWLR、VNGLWFP、VNGLWFY、VNGLWLW、VNGLWLQ、ANGLWLA、及びVNGLYLDから選択されるものであってもよい。
式〔I〕のペプチドは、以下の配列から選択されるものであってもよい。
HVTHQDPWVNGLWIA、VVSHHDPWVNGLFIA、VVVHADPWVNGLWIQ、VVKHPDPWVNGLYFH、VVQHRDPWVNGLWFP、SVVHSDPWVNGLYLS、AVKHSDPWVNGLYLP、SVTHIDPWVNGLYLP、KVSHFDPWVNGLWLP、TVTHRDPWVNGLILS、QVSHPDPWVNGLILQ、TVYSDDPWVNGLWLR、SVYGLDPWINGLRFV、TVFHTDPWVNGLWIS、TVRHTDPWVNGLWIS、TVKHPDPWVNGLWIS、TVTHSDPWVNGLFLP、VVTHPDPWVNGLFLP、TVTHIDPWVNGLWLP、TVVHADPWVNGLYLP、TVVHSDPWVNGLWLP、TVIHPDPWVNGLWLP、IVSHPDPWVNGLWLP、SVSHPDPWVNGLWLP、EVSHPDPWVNGLWIP、IVYHADPWVNGLWLS、VVRHSDPWVNGLWID、VVYSSDPWVNGLHLT、TVSHPDPWVNGLWIR、TVYHPDPWVNGLWIR、TVWHPDPWVNGLWIY、EVKHPDPWVNGLWIY、TVVHPDPWVNGLWIS、TVRHPDPWVNGLWLS、TVRHPDPWVNGLWFS、TVSHPDPWVNGLWLQ、TVTHPDPWVNGLWLP、TVTHPDPWVNGLYLP、TVYHPDPWVNGLWLP、TVVHPDPWVNGLWLP、TVFHPDPWVNGLWIP、AVTHSDPWVNGLWLP、TVTHSDPWVNGLWFP、EVSHPDPWVNGLWFP、AVSHPDPWVNGLWFP、及び、SVVHHDPWVNGLWFP。
本発明に係るペプチドの別の一態様は、下記式〔II〕で表される15アミノ酸を含み、式中、Xaa24はHis又はその誘導体、Xaa25はPro又はその誘導体を表し、Xaa16〜Xaa23及びXaa26〜Xaa30は任意のアミノ酸又はその誘導体を表す。
Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20- Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30…〔II〕
式〔II〕において、Xaa24はHis又はその誘導体、Xaa25はPro又はその誘導体を表す。
後述する実施例に示されるとおり、本発明者らは、
MCAB-L-Phe-Ile-Gly-His-Tyr-Arg-Val-Lys-Val-His-Pro-Ile-Ser-Leu-Glu-Arg-Cysで表されるペプチド(以下「BL1」という。)が、VEGFR2に高特異的に強く結合し、その機能を阻害することを見出した。そして、VEGFR2への結合性の観点から配列を最適化したところ、Xaa24及びXaa25は、最適化の前後にわたりすべてのペプチドにおいて同一のアミノ酸であることを確認した。したがって、15アミノ酸の中でもこれらの2アミノ酸は、VEGFR2との結合に特に重要であるものと考えられる。
その他のアミノ酸残基、すなわち、Xaa16〜Xaa23、及びXaa26〜Xaa30は、それぞれ独立に任意のアミノ酸又はその誘導体から選択される。
Xaa16〜Xaa23、及びXaa26〜Xaa30は、以下の特徴を有するものから選択されることも好ましい。
Xaa16:疎水性アミノ酸、又はそれらの誘導体。特にVal、Ile。
Xaa17:任意のアミノ酸又はその誘導体。特にGly、Asn。
Xaa18:任意のアミノ酸又はその誘導体。Pro、Glyなど。
Xaa19:芳香族性アミノ酸又はその誘導体。
Xaa20:任意のアミノ酸又はその誘導体。Argなど。
Xaa21:疎水性の脂肪族アミノ酸。特にIle、Val。
Xaa22:陽電荷を持つアミノ酸。Lys、Argなど。
Xaa23:疎水性の脂肪族アミノ酸。特にVal。
Xaa26:疎水性の脂肪族アミノ酸。特にVal、Ile。
Xaa27:電荷を持たない親水性アミノ酸。特にSer。
Xaa28:疎水性アミノ酸。特にLeu。
Xaa29:任意のアミノ酸又はその誘導体。特にGlu。
Xaa30:任意のアミノ酸又はその誘導体。特にPro、芳香族アミノ酸。
上記Xaa16〜Xaa23、及びXaa26〜Xaa30の特徴は、VEGFR2に結合してその活性を阻害するBL1の配列と、これを最適化したものに見られた特徴であるから、上記の特徴のいずれかを有するペプチドは、BL1と同様にVEGFR2阻害活性を有する可能性が極めて高いと考えられる。
式〔II〕のペプチドは、Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23が、VNGYRVKV、VNGYSIKV、INGYKIKV、IGPYKIRV、IGPYRIRL、YGPYAIKV、IGPYVIKV、IGRFRIKV、LGRWSIKV、IGSFVIRV、IRGFRIRV、VGPYRIRV、VGIYQIRV、IGHYRVKV、及びIGHYRVKVからなる群より選択されるものであってもよい。
また、式〔II〕のペプチドは、Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30が、HPISLAP、HPISLSP、HPISLEP、HPISLEY、HPISLEW、HPISLLP、HPVSLEP、HPVSFEP、HPVSLES、HPVSLEY、HPVTLAW、HPVGLWP、及びHPISLERから選択されるものであってもよい。
式〔II〕のペプチドは、以下の配列から選択されるものであってもよい。
LNGYYVKVHPVSLEP、LNGYRVKVHPISLEP、VGPYAVKVHPISLSP、VGHYRVKVHPISLLP、IGAYKVKVHPISLQP、LGPYRVKVHPISLHF、IGPYLVKVHPVSLHF、IGEYRVKVHPISLAP、IGPYRVKVHPVSLLP、IGIYRVKVHPVSLEP、IGPYAVKVHPVSLEP、IGTWVVKVHPVSLEP、INSYVVKVHPISLEP、ILGYFVKVHPVSLDP、YNGFAVKVHPISLEN、VNGYAVKVHPVSLEP、VNGYIVKVHPVSLEP、IYGFAVKVHPVSLEP、IGIYRVKVHPISLEY、IGIFRVKVHPISLEP、IGIYRVKVHPISLEP、IGRYAVKVHPISLEP、IGPYWVKVHPISLLP、IGPYHVKVHPVSLEP、IGPWFVKVHPVSLEP、IGPYRVKVHPVSLEY、IGPYRVKVHPISLEW、VNGYRVKVHPISLDW、LYGYRVKVHPISLEP、IGIYRVKVHPISLEP、IGPYRVKVHPISLEP、IGPYWVKVHPISLEP、IGPYRVKVHPVSLEP、IGPYRIKVHPVSLEP、VGPYRVKVHPVSLEP、IGPYVVKVHPVSLEP、IGPYRVKVHPVSLEY、IGPYWVKVHPVSLEW、及び、INGYYVKVHPVSLDW。
本明細書において、親水性アミノ酸とは、Asp、Glu、Arg、Lys、His、Gly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr又はこれらの親水性の誘導体をいい、疎水性アミノ酸とは、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Tyr、Trp、Phe、Pro又はこれらの疎水性の誘導体をいう。疎水性の脂肪族アミノ酸とは、Ala、Leu、Val、Ile、又はこれらの疎水性の誘導体をいい、芳香族性アミノ酸とは、Tyr、Trp、Phe又はこれらの誘導体をいい、陽電荷を持つアミノ酸とはLys、Arg、His又はこれらの陽電荷を持つ誘導体をいい、電荷を持たない親水性アミノ酸とは、Gly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln又はこれらの電荷を持たない親水性の誘導体をいう。
また、本発明に係るペプチドは、式〔I〕又は〔II〕で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、付加又は置換されているペプチドであって、血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR2に対する阻害活性を有するものも包含する。
本明細書において、「1又は数個のアミノ酸が欠失、付加、若しくは置換されているペプチド」という場合、欠失等されるアミノ酸の個数は、そのペプチドが、VEGFR2阻害活性を有する限り特に限定されないが、例えば、1個、2個、3個、4個、5個等とすることができる。欠失、付加、置換される場所は、ペプチドの末端であっても、中間であってもよく、1ヶ所であっても2ヶ所以上であってもよい。
本明細書において、VEGFR2阻害活性を有するとは、VEGFR2の活性を、in vitro及び/又はin vivoで阻害する活性を有することをいい、かかる阻害活性の有無は当業者が公知の方法に従って確認することができる。阻害活性を確認する方法としては、例えば、VEGF存在下で、VEGFR2を発現するHUVEC(Human Umbilical Vein Endothelial Cells)とペプチドとをインキュベートしてVEGFR2のリン酸化の有無をドットブロッティング法によって調べる方法、VEGFR2を発現するHUVEC細胞にペプチドを投与して増殖の有無や速度を調べる方法、HUVECをVEGFの存在下で線維芽細胞と共培養し、ここにペプチドを投与して血管新生の有無を調べる方法、担癌マウスなどのモデル動物にペプチドを投与して血管新生の有無を調べる方法などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、VEGFR2阻害活性を有するという場合、in vitro又はin vivoにおいて、上記VEGFR2のリン酸化を抑制すること、HUVEC細胞の増殖を抑制又は遅延すること、血管新生を抑制又は遅延等することなどを意味し、これらの効果のうちいずれか一つでも示す場合には、VEGFR2阻害活性を有するという。
本発明のペプチドは、そのC末端がカルボキシル基又はカルボキシレート基のみでなく、アミドやエステルになっていてもよい。また、本発明のポリペプチドには、ポリペプチドの塩も含まれる。ポリペプチドの塩としては、生理学的に許容される塩基や酸との塩が用いられ、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等)の付加塩、有機酸(p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等)の付加塩、無機塩基(水酸化アンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等)、アミノ酸の付加塩等が挙げられる。
本発明のペプチドは、本発明の課題を解決するものである限り、リン酸化、メチル化、アセチル化、アデニリル化、ADPリボシル化、糖鎖付加などの修飾が加えられたものであってもよい。他のペプチドやタンパク質と融合させたものであってもよい。
本発明のペプチドは、液相法、固相法、液相法と固相法を組み合わせたハイブリッド法等の化学合成法、遺伝子組み換え法、無細胞翻訳合成等、公知のペプチドの製造方法によって製造することができる。
固相法は、例えば、水酸基を有するレジンの水酸基と、α-アミノ基が保護基で保護された第一のアミノ酸(通常、目的とするペプチドのC末端アミノ酸)のカルボキシ基をエステル化反応させる。エステル化触媒としては、1-メシチレンスルホニル-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(MSNT)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)等の公知の脱水縮合剤を用いることができる。
次に、第一アミノ酸のα−アミノ基の保護基を脱離させるとともに、主鎖のカルボキシ基以外のすべての官能基が保護された第二のアミノ酸を加え、当該カルボキシ基を活性化させて、第一及び第二のアミノ酸を結合させる。さらに、第二のアミノ酸のα-アミノ基を脱保護し、主鎖のカルボキシ基以外のすべての官能基が保護された第三のアミノ酸を加え、当該カルボキシ基を活性化させて、第二及び第三のアミノ酸を結合させる。これを繰り返して、目的とする長さのペプチドが合成されたら、すべての官能基を脱保護する。
固相合成のレジンとしては、Merrifield resin、MBHA resin、Cl-Trt resin、SASRIN resin、Wang resin、Rink amide resin、HMFS resin、Amino-PEGA resin(メルク社)、HMPA-PEGA resin(メルク社)等が挙げられる。これらのレジンは、溶剤(ジメチルホルムアミド(DMF)、2−プロパノール、塩化メチレン等)で洗浄してから用いてもよい。
α-アミノ基の保護基としては、ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)基、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、ベンジル基、アリル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基等が挙げられる。Cbz基はフッ化水素酸、水素化等によって脱保護でき、Boc基はトリフルオロ酢酸(TFA)により脱保護でき、Fmoc基はピペリジンによる処理で脱保護できる。
α-カルボキシ基の保護は、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル等を用いることができる。
アミノ酸のその他の官能基として、セリンやトレオニンのヒドロキシ基はベンジル基やtert−ブチル基で保護することができ、チロシンのヒドロキシ基は2−ブロモベンジルオキシカルボニル希やtert−ブチル基で保護する。リジン側鎖のアミノ基、グルタミン酸やアスパラギン酸のカルボキシ基は、α−アミノ基、α−カルボキシ基と同様に保護することができる。
カルボキシ基の活性化は、縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCあるいはWSC)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチル]-1H-ベンゾトリアゾリウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HBTU)等が挙げられる。
レジンからのペプチド鎖の切断は、TFA、フッ化水素(HF)等の酸で処理することによって行うことができる。
遺伝子組み換え法や無細胞翻訳系によるペプチドの製造は、本発明のペプチドをコードする核酸(DNA又はRNA)を用いて行うことができる。
本発明のペプチドをコードする核酸は、公知の方法又はそれに準ずる方法で調製することができる。例えば、自動合成装置によって合成することができる。得られたDNAをベクターに挿入するために制限酵素認識部位を加えたり、できたペプチド鎖を酵素などで切り出すためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を組み込んでもよい。
本発明のペプチドをコードする核酸は、発現ベクターのプロモータの下流に挿入して発現させることができる。ベクターとしては、大腸菌由来プラスミド(pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、pUC118、pBluescript II等)、枯草菌由来プラスミド(pUB110、pTP5、pC1912、pTP4、pE194、pC194等)、酵母由来プラスミド(pSH19、pSH15、YEp、YRp、YIp、YAC等)、バクテリオファージ(λファージ、M13ファージ等)、ウイルス(レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、バキュロウイルス等)、コスミド等を使用することができる。
プロモータは、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。宿主が動物細胞である場合は、例えば、SV40(simian virus 40)由来プロモータ、CMV(cytomegalovirus)由来プロモータを用いることができる。宿主が大腸菌である場合は、trpプロモータ、T7プロモータ、lacプロモータ等を用いることができる。
発現ベクターには、DNA複製開始点(ori)、選択マーカー(抗生物質抵抗性、栄養要求性等)、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、タグ(FLAG、HA、GST、GFPなど)をコードする核酸等を組み込むこともできる。
本発明に係るペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターは、以下に示すとおりin vitroで宿主を形質転換し、本発明のペプチドを発現させるために用いてもよく、そのまま対象に投与して、in vivoで本発明のペプチドを発現させるために用いることもできる。
形質転換に用いる宿主は、ベクターとの関係で適宜選択することができ、例えば、大腸菌、枯草菌、バチルス属菌)、酵母、昆虫又は昆虫細胞、動物細胞等が用いられる。動物細胞として、例えば、HEK293T細胞、CHO細胞、COS細胞、ミエローマ細胞、HeLa細胞、Vero細胞を用いることができる。形質転換は、宿主の種類に応じ、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等、公知の方法に従って行うことができる。
形質転換体を常法に従って培養することにより、目的とするペプチドが発現する。培地は、宿主の種類等に応じて適宜選択される。
形質転換体の培養物からのペプチドの精製は、培養細胞を回収し、適当な緩衝液に懸濁してから超音波処理、凍結融解などの方法により細胞を破壊し、遠心分離やろ過によって粗抽出液を得る。培養液中にペプチドが分泌される場合には、上清を回収する。
粗抽出液又は培養上清からの精製も公知の方法又はそれに準ずる方法(例えば、塩析、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、SDS−PAGE法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー等)で行うことができる。
得られたペプチドは、公知の方法又はそれに準ずる方法で遊離体から塩に、又は塩から遊離体に変換してもよい。
翻訳合成系は、無細胞翻訳系としてもよい。無細胞翻訳系は、無細胞タンパク質合成系とも呼ばれ、大腸菌等の細胞をそのまま使用せず、大腸菌などの細胞内に存在する成分を利用する翻訳系であり、主として細胞抽出液を用いるものと、細胞抽出液の各成分を精製したもので再構成した反応液(再構成型無細胞翻訳系)を用いるものがある。無細胞翻訳系によれば、発現産物を精製することなく高い純度で得ることができる。
主として細胞抽出液を用いるものとしては、例えば、大腸菌抽出液、コムギ胚芽抽出液、ウサギ赤血球抽出液、昆虫細胞抽出液を用いるものが挙げられる。
再構成型無細胞翻訳系は、それぞれ精製したリボソームタンパク質、アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、リボソームRNA、アミノ酸、rRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子(IF)、伸長因子(EF)、終結因子(RF)、リボソーム再生因子、その他の翻訳に必要な因子等で構築することができる。
これらを含む系には、透析を用いて連続的にエネルギーを供給してもよい。DNAからの転写を併せて行うためにRNAポリメラーゼを含む系としてもよい。市販されている無細胞翻訳系として、大腸菌由来の系としてはロシュ・ダイアグノスティックス社のRTS-100(登録商標)、PGI社のPURESYSTEM(登録商標)等、小麦胚芽抽出液を用いた系としてはゾイジーン社やセルフリーサイエンス社のもの等を使用できる。
無細胞翻訳系によれば、発現産物を精製することなく純度の高い形で得ることができる。
無細胞翻訳系においては、天然のアミノアシルtRNA合成酵素に合成されるアミノアシルtRNAに代えて、所望のアミノ酸、ヒドロキシ酸、又はカルボン酸を任意のアンチコドンを有するtRNAに連結(アシル化)した人工のアミノアシルtRNAを用いてもよい。かかるアミノアシルtRNAは、人工のリボザイムを用いて合成することができる。
かかるリボザイムとしては、フレキシザイム(flexizyme)(H. Murakami, H. Saito, and H. Suga, (2003), Chemistry & Biology, Vol. 10, 655-662; H. Murakami, D. Kourouklis, and H. Suga, (2003), Chemistry & Biology, Vol. 10, 1077-1084; H. Murakami, A. Ohta, H. Ashigai, H. Suga (2006) Nature Methods 3, 357-359 "The flexizyme system: a highly flexible tRNA aminoacylation tool for the synthesis of nonnatural peptides";N. Niwa, Y. Yamagishi, H. Murakami, H. Suga (2009) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 19, 3892-3894 "A flexizyme that selectively charges amino acids activated by a water-friendly leaving group";及びWO2007/066627等)が挙げられる。フレキシザイムは、原型のフレキシザイム(Fx)、及び、これから改変されたジニトロベンジルフレキシザイム(dFx)、エンハンスドフレキシザイム(eFx)、アミノフレキシザイム(aFx)等の呼称でも知られる。
フレキシザイムによれば、所望のアミノ酸、ヒドロキシ酸又はカルボン酸を、任意のコドンを有するtRNAに結合させることができるので、所望のコドンを、所望のアミノ酸、ヒドロキシ酸又はカルボン酸と関連付けて翻訳することができる。所望のアミノ酸としては、特殊アミノ酸を用いてもよい。
特殊アミノ酸の例を下表に示すが、これらに限定されない。なお、表中DBEとCMEは、特殊アミノ酸をフレキシザイムでtRNAに結合させるときのエステルの種類であり、DBEは、3,5-dinitrobenzyl esterを意味し、CMEは、cyanomethyl esterを意味する。
本発明のペプチドは、一態様として環状化されていてもよく、環状化されたペプチドも本発明のペプチドに包含される。本明細書において環状化とは、1つのペプチド内において、1アミノ酸以上離れた2つのアミノ酸が直接に、又はリンカー等を介して間接的に結合し、分子内に環状の構造を作ることを意味する。
環状化は、ジスルフィド結合、ペプチド結合、アルキル結合、アルケニル結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、C-S-C結合、C-N-C結合、C=N-C結合、アミド結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、アミン結合、チオアミド結合などによることができるが、これらに限定されない。
ペプチドを環状化することにより、ペプチドの構造を安定化させ、標的への親和性を高めることができる場合がある。
ペプチドを環状化するために、例えば、以下の官能基1を有するアミノ酸と、対応する官能基2を有するアミノ酸を含めることにより、自発的な反応によって翻訳合成されたペプチドを大環状化することができる。官能基1と2はどちらがN末端側にきてもよく、N末端とC末端に配置してもよいし、一方を末端アミノ酸、他方を非末端アミノ酸としてもよいし、両方を非末端アミノ酸としてもよい。
式中、X1はCl、Br、又はIであり、Arは置換基を有していてもよい芳香環を示す。
(A−1)の官能基を有するアミノ酸としては、例えば、クロロアセチル化したアミノ酸を用いることができる。クロロアセチル化アミノ酸としては、N-chloroacetyl-L-alanine、N-chloroacetyl-L-phenylalanine、N-chloroacetyl-L-tyrosine、N-chloroacetyl-L-tryptophan、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-chloroacetyl-L-diaminopropanoic acid、γ-N-chloroacetyl-L-diaminobutyric acid、σ-N-chloroacetyl-L-ornithine、ε-N-chloroacetyl-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
(A−2)の官能基を有するアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8-mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、Kawakami, T. et al., Nature Chemical Biology 5, 888-890 (2009);Yamagishi, Y. et al., ChemBioChem 10, 1469-1472 (2009);Sako, Y. et al., Journal of American Chemical Society 130, 7932-7934 (2008);Goto, Y. et al., ACS Chemical Biology 3, 120-129 (2008);Kawakami T. et al, Chemistry & Biology 15, 32-42 (2008)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(B−1)の官能基を有するアミノ酸としては、例えば、propargylglycine、homopropargylglycine、2-amino-6-heptynoic acid、2-amino-7-octynoic acid、2-amino-8-nonynoic acidを用いることができる。また、4-pentynoyl化や5-hexynoyl化したアミノ酸を用いることもできる。4-pentynoyl化アミノ酸としては、N-(4-pentenoyl)-L-alanine、N-(4-pentenoyl)-L-phenylalanine、N-(4-pentenoyl)-L-tyrosine、N-(4-pentenoyl)-L-tryptophan、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-(4-pentenoyl)-L-diaminopropanoic acid、γ-N-(4-pentenoyl)-L-diaminobutyric acid、σ-N-(4-pentenoyl)-L-ornithine、ε-N-(4-pentenoyl)-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
(B−2)の官能基を有するアミノ酸としては、例えば、azidoalanine、2-amino-4-azidobutanoic acid、azidoptonorvaline、 azidonorleucine、2-amino-7-azidoheptanoic acid、2-amino-8-azidooctanoic acidを用いることができる。また、azidoacetyl化や3-azidopentanoyl化したアミノ酸を用いることもできる。azidoacetyl化アミノ酸としては、N-azidoacetyl-L-alanine、N-azidoacetyl-L-phenylalanine、N-azidoacetyl-L-tyrosine、N-azidoacetyl-L-tryptophan、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-azidoacetyl-L-diaminopropanoic acid、γ-N-azidoacetyl-L-diaminobutyric acid、σ-N-azidoacetyl-L-ornithine、ε-N-azidoacetyl-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、Sako, Y. et al., Journal of American Chemical Society 130, 7932-7934 (2008)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(C−1)の官能基を有するアミノ酸としては、N-(4-aminomethyl-benzoyl)-phenylalanine (AMBF)、4-3-aminomethyltyrosineが挙げられる。
(C−2)の官能基を有するアミノ酸としては、5-hydroxytryptophan (WOH)が挙げられる。
環状化方法は、例えば、Yamagishi, Y. et al., ChemBioChem 10, 1469-1472 (2009)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(D−1)の官能基を有するアミノ酸としては、例えば、2-amino-6-chloro-hexynoic acid、2-amino-7-chloro-heptynoic acid、2-amino-8-chloro-octynoic acid、などが挙げられる。
(D−2)の官能基を有するアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8-mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、WO2012/074129に記載された方法に従って行うことができる。
(E−1)のアミノ酸としては、例えば、N-3-chloromethylbenzoyl-L-phenylalanine、N-3-chloromethylbenzoyl-L-tyrosine、N-3-chloromethylbenzoyl-L-tryptophane、が挙げられる。
(E−2)のアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8-mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
本発明に係る医薬組成物は、上述したペプチドを有効成分として含み、ペプチドがVEGFR2に結合し、その活性を阻害することを通じて、悪性腫瘍、網膜血管症などにおける血管新生を抑制することが可能である。
上記医薬組成物の投与形態は特に限定されず、経口的投与でも非経口的投与でもよい。非経口投与としては、例えば、筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射等の注射投与、経皮投与、経粘膜投与(経鼻、経口腔、経眼、経肺、経膣、経直腸)投与等が上げられる。
医薬組成物中のペプチドは、代謝及び***されやすい性質に鑑みて、各種の修飾を行うことができる。例えば、ポリペプチドにポリエチレングリコール(PEG)や糖鎖を付加して血中滞留時間を長くし、抗原性を低下させることができる。また、ポリ乳酸・グリコール(PLGA)などの生体内分解性の高分子化合、多孔性ヒドロキシアパタイト、リポソーム、表面修飾リポソーム、不飽和脂肪酸で調製したエマルジョン、ナノパーティクル、ナノスフェア等を徐放化基剤として用い、これにポリペプチドを内包させてもよい。経皮投与する場合、弱い電流を皮膚表面に流して角質層を透過させることもできる(イオントフォレシス法)。
医薬組成物は、有効成分をそのまま用いてもよいし、薬学的に許容できる担体、賦形剤、添加剤等を加えて製剤化してもよい。剤形としては、例えば、液剤(例えば注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末剤、坐剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤等が挙げられる。
製剤化は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、溶解補助剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤などを適宜使用し、常法により行うことができる。
製剤化に用いられる成分の例としては、精製水、食塩水、リン酸緩衝液、デキストロース、グリセロール、エタノール等薬学的に許容される有機溶剤、動植物油、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、コーンスターチ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ぺクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガント、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、高級アルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、等が挙げられるがこれらに限定されない。
ペプチドの経粘膜吸収されにくい難吸収性薬物の吸収を改善する吸収促進剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類、ラウリル硫酸ナトリウム、サポニン等の界面活性剤;グリココール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸等の胆汁酸塩;EDTA、サリチル酸類等のキレート剤;カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、混合ミセル等の脂肪酸類;エナミン誘導体、N-アシルコラーゲンペプチド、N-アシルアミノ酸、シクロデキストリン類、キトサン類、一酸化窒素供与体等を用いてもよい。
丸剤又は錠剤は、糖衣、胃溶性、腸溶性物質で被覆することもできる。
注射剤は、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、アルコール類等を含むことができる。さらに、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解剤、溶解補助剤、防腐剤等を加えることができる。
本発明の医薬組成物は、VEGFR2の機能阻害を通じて、病的血管新生が関与するとされる種々の疾患の治療又は予防に有効である。病的血管新生が関与する疾患としては、例えば、悪性腫瘍(頭頸部癌、頸部癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、腎細胞癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、大腸癌(直腸結腸癌を含む)、皮膚癌、卵巣癌、膀胱癌、繊維肉腫、扁平上皮癌、神経外胚葉、甲状腺腫瘍、前立腺癌、リンパ腫、肝細胞腫、中皮腫、類表皮癌、神経系腫瘍(星状細胞腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経繊維腫、神経膠芽腫、上衣腫、神経鞘腫、神経繊維肉腫、神経芽細胞腫、下垂体部腫瘍(例えば、下垂体腺腫)、髄芽細胞腫、黒色腫、脳腫瘍、)、骨肉腫、カポジ肉腫、リンパ系の造血器腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセル白血病、およびバーキットリンパ腫を含む)、骨髄系の造血器腫瘍(急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球白血病を含む)、間葉に由来する腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫、および他の肉腫、例えば軟部組織および骨を含む))、良性腫瘍(例えば、甲状腺の良性腫瘍または良性前立腺肥大症)、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、動脈硬化などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、上記疾患に有用な他の医薬や治療法と併用投与してもよい。例えば悪性腫瘍であれば、各種の化学療法、外科的治療、放射線療法と組み合わせてもよい。併用投与される医薬としては、例えば、本発明のペプチドとは異なる機序で、VEGFとVEGFR2の相互作用及びそれに基づくシグナル伝達を阻害するものでもよい。具体的には、VEGFR2のチロシンキナーゼ阻害剤や、VEGFR2の下流のシグナル阻害剤などが挙げられる。
本発明の医薬組成物を哺乳類(例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ウマ、サル、ブタ等)、特にヒトに投与する場合の投与量は、症状、患者の年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与間隔、有効成分の種類、製剤の種類によって異なり、特に限定されないが、例えば、30μg〜1000mg、100μg〜500mg、100μg〜100mgを1回又は数回に分けて投与することができる。注射投与の場合、患者の体重により、1μg/kg〜3000μg/kg、3μg/kg〜1000μg/kgを1回又は数回に分けて投与してもよい。
実施例に示されるとおり本発明のペプチドはマウスVEGFR2にも結合し、動物用医薬又は試験薬としても有用である。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
〔1〕TRAP display法によるVEGFR2に結合する環状ペプチドのセレクション
VEGFR2に結合する環状ペプチドを選択するために、図1Aに示されるTRAP display法によるセレクションを設計した。以下、TRAP display法を簡単に説明するが、T. Ishizawa, T. Kawakami, P. C. Reid, H. Murakami (2013) J. Am. Chem. Soc. 135, 5433-5440に従って行ってもよい。まず、開始アミノ酸とC末端のCys残基との間にランダムな8〜15アミノ酸を挟むペプチドライブラリーをコードする(NNK)8-15の配列を含むDNAライブラリーを作製した。
このDNAライブラリーの転写によって得られたmRNAライブラリーをペプチドライブラリーに翻訳した。翻訳されたぺプチドライブラリーは、それぞれをコードするmRNAにピューロマイシンリンカーを介して提示(display)される。
翻訳する際、開始アミノ酸として、異なる方法でクロロアセトアミド修飾した2種類のフェニルアラニンのアナログ(ClAc-L-Phe及びMCAB-L-Phe。図1B参照)を用い、2種類のペプチドライブラリーを作製した。それぞれのライブラリーは、Metを除いた19種類のタンパク質性アミノ酸と、上記フェニルアラニンのアナログのいずれかを持つ開始tRNA(H. Murakami, A. Ohta, H. Ashigai, H. Suga (2006) Nature Methods 3, 357-359によりFlexizymeを用いて調製)を用いて調製した。これにより、翻訳されたライブラリーにおいて、クロロアセチル基とCys残基の反応により各ペプチドが環状化される。
逆転写反応を行った後に、磁気ビーズに固定したVEGFR2の細胞外ドメインに結合するペプチドを選択し、得られたDNA-環状ペプチド複合体のDNAをPCRで増幅した。このDNAを用いて、再びペプチドライブラリーを調製して同様の操作を行った。この一連の操作を1ラウンドとし、8ラウンドの操作を行った。セレクションの各ラウンドで回収されたcDNA量は、リアルタイムPCRで決定した。また、6ラウンド以降は、選択圧を高めて選択操作を行った。
それぞれのライブラリーから、7ラウンドの選択操作後に、VEGFR2に結合するペプチドが得られた(図2)。
開始アミノ酸としてClAc-L-Pheを用いたライブラリーで選択されたペプチドの配列を以下に示す。以下、このペプチドをL1と呼ぶ。
ClAc-L-Phe-Val-Val-Val-Ser-Thr-Asp-Pro-Trp-Val-Asn-Gly-Leu-Tyr-Ile-Asp-Cys(配列番号:136)
開始アミノ酸としてMCAB-L-Pheを用いたライブラリーで選択されたペプチドの配列を以下に示す。以下、このペプチドをBL1と呼ぶ。
MCAB-L-Phe-Ile-Gly-His-Tyr-Arg-Val-Lys-Val-His-Pro-Ile-Ser-Leu-Glu-Arg-Cys(配列番号:137)
〔2〕L1及びBL1のVEGFR2結合能
続いて、L1及びBL1のC末端をアミド化グリシンとして、標準的なFmoc基を用いた固相合成により合成した。
(1) ClAc-Phe-Val-Val-Val-Ser-Thr-Asp-Pro-Trp-Val-Asn-Gly-Leu-Tyr-Ile-Asp-Cys-Gly(配列番号:138)の合成
市販のRink Amide-ChemMatrix resin (0.60 mmol/g) 0.05 mmol分をペプチド合成機Discoveryの反応槽に入れ、Fmoc/HBTU/HOBt法を用い、固相合成を行なった。Fmocアミノ酸の側鎖保護基はSer、Thr、Asp、TyrにはBut基、Trp、LysにはBoc基、Asn、CysにはTrt基を用いた。得られたPhe-Val-Val-Val-Ser-Thr-Asp-Pro-Trp-Val-Asn-Gly-Leu-Tyr-Ile-Asp-Cys-Gly-resin (0.025 mmol)を2-chloroacetic acid 9.5 mg (0.1 mmol)、HBTU 37.9 mg (0.1 mmol)、HOBt 13.5 mg (0.1 mmol)、DIEA 17.0 μl (0.2 mmol)で処理することでClAc基を導入した。
この樹脂の全て(0.025 mmol)をTFA、水、triisopropylsilane、3,6-dioxa-1,8-octanedithiol (92.5:2.5:2.5:2.5)の混合液1 ml中で室温、1時間攪拌した後、反応溶液にエーテルを加え、白色粉末を析出させ遠心分離後、上清を除き、3分間真空乾燥させた。残渣をDMSO 2.5 mlに溶解後、0.5 M TEAを0.8 ml加え、30分間反応させ環状化させた。得られた粗ペプチドをHPLCにより、0.1% トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水の濃度勾配で精製した。
(2) MCAB-Phe-Ile-Gly-His-Tyr-Arg-Val-His-Pro-Ile-Ser-Leu-Glu-Arg-Cys-Gly(配列番号:139)の合成
市販のRink Amide-ChemMatrix resin (0.60 mmol/g) 0.05 mmol分をペプチド合成機Discoveryの反応槽に入れ、Fmoc/HBTU/HOBt法を用い、固相合成を行なった。Fmocアミノ酸の側鎖保護基はArgにはPbf基、Ser、Glu、TyrにはBut基、His、CysにはTrt基を用いた。得られたPhe-Ile-Gly-His-Tyr-Arg-Val-His-Pro-Ile-Ser-Leu-Glu-Arg-Cys-Gly-resin (0.025 mmol)を3-(2-chloroacetamido)benzoic acid 21.4 mg (0.1 mmol)、HBTU 37.9 mg (0.1 mmol)、HOBt 13.5 mg (0.1 mmol)、DIEA 17.0 μl (0.2 mmol)で処理することでMCAB基を導入した。
この樹脂の全て(0.025 mmol)をTFA、水、triisopropylsilane、3,6-dioxa-1,8-octanedithiol (92.5:2.5:2.5:2.5)の混合液1 ml中で室温、3時間攪拌した後、反応溶液にエーテルを加え、白色粉末を析出させ遠心分離後、上清を除き、3分間真空乾燥させた。残渣をDMSO 2.5 mlに溶解後、0.5 M TEAを0.8 ml加え、30分間反応させ環状化させた。得られた粗ペプチドをHPLCにより、0.1% トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水の濃度勾配で精製した。
合成された環状ペプチドL1及びBL1を用いて、ヒトVEGFR2又はマウスVEGFR2との結合の解離定数をBLI法(ForteBio社)を用いて求めた。VEGFR2とFcとの融合タンパク質をAnti-human IgG Capture Biosensorsに固定し、様々な濃度の環状ペプチドL1又はBL1について解析した。温度は30℃とした。
結果を図3及び下表に示す。
選択されたペプチドは、VEGFR2に対して高い親和性を有し、またVEGFR1及びVEGFR3には結合しないことから、VEGFR2に対する高い特異性を有することが確認された。また、マウスVEGFR2にも結合し、動物実験にも使用できることが示唆された。
〔3〕L1及びBL1によるVEGFR2活性阻害の確認
次に、合成されたペプチドのVEGFR2阻害活性を確認した。初めに、VEGF依存的なVEGFR2自己リン酸化へのペプチドの影響を、VEGFR2を発現するHUVECを用いて調べた。
VEGFR2のリン酸化レベルは、抗total VEGFR2抗体と抗リン酸化VEGFR2抗体を用いて、HUVECのライセートのドットブロッティングにより測定した。
まず、VEGFで刺激した又は刺激していないHUVECのライセートを7.5%SDS-PAGEで分離し、それぞれの抗体で染色した(結果を図4に示す)。これらの抗体によりVEGFの刺激によりリン酸化されたVEGFR2とリン酸化されていないVEGFR2を識別できることが確認できた。
ドットブロッティング法のために、まずHUVEC細胞を様々な濃度のL1又はBL1で15分間処理し、続いて10ng/mLのVEGFで7分間処理した。このHUVECのライセートを用いて、抗total VEGFR2抗体と抗リン酸化VEGFR2抗体で全VEGFR2とリン酸化VEGFR2をドットブロットした。
ドットブロッティングの結果を図5に示す。エラーバーは、±1 s.d.を示す。ペプチドとVEGFの処理を両方行わなかったものと、ペプチド処理のみ行わなかったものをコントロールとし、後者のリン酸化を100%とした。
BL1及びL1のいずれも、VEGF刺激によるVEGFR2の自己リン酸化を用量依存的に阻害することが確認された。BL1はIC50=20nM、L1はIC50=50nMであった。
図中rBL1は、BL1の逆配列のペプチドを示す。rBL1にはリン酸化阻害活性は見られなかったことから、ペプチドのアミノ酸の構成成分ではなく配列が重要であることが示唆された。
続いて、L1及びBL1によるHUVECに対する増殖阻害活性をBrdU法を用いて調べた。HUVEC細胞を様々な濃度の環状ペプチドL1又はBL1で30分処理し、続いて環状ペプチドと10ng/mLのVEGFとで共インキュベートした。24時間後、環状ペプチドとVEGFの存在下で、BrdUを用いて細胞を4時間標識した。その後、細胞を固定し、ペルオキシダーゼ結合抗BrdU抗体で染色し、ペルオキシダーゼ活性をテトラメチルベンジジン発色基質で検出した。ペプチドとVEGFの処理を両方行わなかったものと、ペプチド処理のみ行わなかったものをコントロールとした。
結果を図6に示す。エラーバーは、±1 s.d.を示す。いずれのペプチドも、HUVECの増殖を阻害することが確認された。L1はIC50=60 nM、BL1はIC50= 60nMであった。一方で、BL1の逆配列のペプチドであるrBL1はHUVECの増殖を抑制しなかった。
次に、クラボウの血管新生キットを用いてVEGF依存的な血管新生に対するL1及びBL1の影響を調べた。HUVECを、10ng/mLのVEGFと様々な濃度のL1又はBL1の存在下でヒト皮膚由来線維芽細胞と共培養した。
37℃で培養し、3日後、6日後、8日後、に同濃度のVEGFとペプチドを補給し、11日後にHUVEC細胞を固定した後、抗CD31抗体で染色して可視化し、同キットの画像解析サービスを利用して解析した。コントロールとして、ペプチドの代わりに血管新生阻害剤Suraminを50μM培地に加えた。
結果を図7に示す。L1投与群では、10μMでSuraminよりも強い血管新生阻害効果が見られた。
〔4〕ペプチドのアミノ酸配列の最適化
L1、BL1が、特異性の高いVEGFR2阻害活性を示すことが確認できたので、次に、L1及びBL1の配列を最適化した。
(L1の最適化)
L1の最適化は、環状化に用いる両端のアミノ酸を除いた15アミノ酸について、C末端側7アミノ酸と、N末端側8アミノ酸を、それぞれランダム化したペプチドライブラリーをコードするDNAライブラリーを作製し、上記〔1〕と同様の方法で環状化ペプチドライブラリーを作製して行った(以下、各ペプチドの環状化に用いられる両端のアミノ酸を除く15アミノ酸残基を、N末端側からXaa1、Xaa2・・・Xaa15とよぶ)。選択されたペプチド配列を、それぞれ図8及び9に示す。
さらに、この結果をもとに、L1のXaa1、Xaa3〜Xaa5、Xaa9、Xaa13〜Xaa15をランダム化したペプチドライブラリーをコードするDNAライブラリーを作製し、上記〔1〕と同様の方法で環状化ペプチドライブラリーを作製して2回目の最適化を行った。2回目の最適化で最終的に選択されたペプチド配列を図10に示す。
図中太線で囲んだ部分は、完全にもとの配列(L1の配列)に収束したものを意味する。この部位の配列は、VEGFR2との結合に必須のものである可能性が高い。点線で囲んだアミノ酸は、完全にもとの配列でないものに収束したものを意味する。この部位のアミノ酸は、もとの配列よりもVEGFR2との結合に適したものである可能性が高い。また、一点鎖線で囲んだアミノ酸は、完全にもとの配列ではないものに置き換わったものを意味する。この部位のアミノ酸は、VEGFR2との結合において重要でないものである可能性が高い。
なお、2回目の最適化の過程では、以下のペプチドも選択された。
HVTHQDPWVNGLWIA、VVSHHDPWVNGLFIA、VVVHADPWVNGLWIQ、VVKHPDPWVNGLYFH、VVQHRDPWVNGLWFP、SVVHSDPWVNGLYLS、AVKHSDPWVNGLYLP、SVTHIDPWVNGLYLP、KVSHFDPWVNGLWLP、TVTHRDPWVNGLILS、QVSHPDPWVNGLILQ、TVYSDDPWVNGLWLR、SVYGLDPWINGLRFV、TVFHTDPWVNGLWIS、TVRHTDPWVNGLWIS、TVKHPDPWVNGLWIS、TVTHSDPWVNGLFLP、VVTHPDPWVNGLFLP、TVTHIDPWVNGLWLP、TVVHADPWVNGLYLP、TVVHSDPWVNGLWLP、TVIHPDPWVNGLWLP、IVSHPDPWVNGLWLP、SVSHPDPWVNGLWLP、EVSHPDPWVNGLWIP、IVYHADPWVNGLWLS、VVRHSDPWVNGLWID、及びVVYSSDPWVNGLHLT。
各残基のアミノ酸の傾向を以下に説明する。
Xaa1は、様々なアミノ酸が許容されるが、特にVal又はThrなどが望ましいことが示唆された。
Xaa2は、元の配列と同じValに完全に収束し、ValであることがVEGFR2との結合に必須であることが示唆された。
Xaa3は、特に傾向が見られず、VEGFR2との結合においては重要性が高くないことが示唆された。
Xaa4は、もとの配列ではSerであったのに対し、最適化後の配列ではHisが多かった。したがって、Hisであることが望ましい可能性が高いが、GlyやSerなど他のアミノ酸であっても結合する。
Xaa5は、特に傾向が見られず、VEGFR2との結合においては重要性が高くないことが示唆された。
Xaa6〜Xaa8は、もとの配列と同じAsp-Pro-Trpに完全に収束した。これらの配列はVEGFR2との結合に必須である可能性が高い。
Xaa9は、疎水性の脂肪族アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。特にValが望ましいことが示唆された。
Xaa10〜Xaa12は、もとの配列と同じAsn-Gly-Leuに完全に収束した。これらの配列はVEGFR2との結合に必須である可能性が高い。
Xaa13は、もとの配列ではTyrであったのに対し、最適化後の配列ではTrpが多かった。したがって、Trpであることが望ましい可能性が高いが、Ile、Phe、Tyr、Hisであっても結合する。
Xaa14は、Ile、Leu、Pheであり、疎水性アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa15は、もとの配列ではAspであったが、最適化後の配列では、様々なアミノ酸が許容されていた。特にPro、Serが望ましいことが示唆された。
Xaa1〜Xaa15が上記の特徴を有するペプチドは、L1と同様にVEGFR2阻害活性を有する可能性が高い。
(BL1の最適化)
BL1の最適化も、L1と同様に、環状化に用いる両端のアミノ酸を除いた15アミノ酸について、C末端側7アミノ酸と、N末端側8アミノ酸を、それぞれランダム化したペプチドライブラリーをコードするDNAライブラリーを作製し、上記〔1〕と同様の方法で環状化ペプチドライブラリーを作製して行った(以下、各ペプチドの環状化に用いられる両端のアミノ酸を除く15アミノ酸残基を、N末端側からXaa16、Xaa17・・・Xaa30と呼ぶ。)。選択されたペプチド配列を、それぞれ図11及び図12に示す。
さらに、この結果をもとに、BL1のXaa16〜Xaa20、Xaa26、Xaa29〜Xaa30をランダム化したペプチドライブラリーをコードするDNAライブラリーを作製し、上記〔1〕と同様の方法で環状化ペプチドライブラリーを作製して2回目の最適化を行った。2回目の最適化で最終的に選択されたペプチド配列を図13に示す。
図中太線で囲んだ部分は、完全にもとの配列(BL1の配列)に収束したものを意味する。この部位の配列は、VEGFR2との結合に必須のものである可能性が高い。
なお、2回目の最適化の過程では、以下のペプチドも選択された。
LNGYYVKVHPVSLEP、LNGYRVKVHPISLEP、VGPYAVKVHPISLSP、VGHYRVKVHPISLLP、IGAYKVKVHPISLQP、LGPYRVKVHPISLHF、IGPYLVKVHPVSLHF、IGEYRVKVHPISLAP、IGPYRVKVHPVSLLP、IGIYRVKVHPVSLEP、IGPYAVKVHPVSLEP、IGTWVVKVHPVSLEP、INSYVVKVHPISLEP、ILGYFVKVHPVSLDP、YNGFAVKVHPISLEN、VNGYAVKVHPVSLEP、VNGYIVKVHPVSLEP、IYGFAVKVHPVSLEP、IGIYRVKVHPISLEY、IGIFRVKVHPISLEP、IGIYRVKVHPISLEP、IGRYAVKVHPISLEP、IGPYWVKVHPISLLP、IGPYHVKVHPVSLEP、IGPWFVKVHPVSLEP、IGPYRVKVHPVSLEY、IGPYRVKVHPISLEW、及びVNGYRVKVHPISLDW。
各残基のアミノ酸の傾向を以下に説明する。
Xaa16は、疎水性アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。Ile、Valが望ましいことが示唆された。
Xaa17は、様々なアミノ酸が許容されるが、特にGly、Asnが多かった。
Xaa18は、特に傾向が見られず、VEGFR2との結合においては重要性が高くないことが示唆された。
Xaa19は、Tyr、Phe、Trpであり、芳香族性アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa20は、特に傾向が見られず、VEGFR2との結合においては重要性が高くないことが示唆された。
Xaa21は、Ile又はValであり、疎水性の脂肪族アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa22は、Lys又はArgであり、陽電荷を持つアミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa23は、疎水性の脂肪族アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。特にValが多かった。
Xaa24及びXaa25は、との配列と同じHis-Proに完全に収束した。これらの配列はVEGFR2との結合に必須である可能性が高い。
Xaa26は、Val又はIleであり、疎水性の脂肪族アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa27は、Serが多く、Thr、Glyの場合もあり、電荷を持たない親水性アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa28は、Leuが多く、Pheの場合もあり、疎水性アミノ酸であることが望ましいことが示唆された。
Xaa29は、様々なアミノ酸が許容されるが、特にGluが多かった。
Xaa30は、様々なアミノ酸が許容されるが、特にProと芳香族アミノ酸が多かった。
Xaa16〜Xaa30が上記の特徴を有するペプチドは、BL1と同様にVEGFR2阻害活性を有する可能性が高い。

Claims (8)

  1. 以下のアミノ酸配列を含む環状ペプチドであって、Xaa1の一つ上流のアミノ酸と、Xaa15の一つ下流のアミノ酸が互いに結合したペプチド
    Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15
    〔式中、Xaa2はVal又はその誘導体、Xaa6はAsp又はその誘導体、Xaa7はPro又はその誘導体、Xaa8はTrp又はその誘導体、Xaa10はAsn又はその誘導体、Xaa11はGly又はその誘導体、Xaa12はLeu又はその誘導体を表し、Xaa4は、Gly、His、Ser、及びそれらの誘導体から選択され、Xaa9は、脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、Xaa13は、芳香族性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、Xaa1、Xaa3、Xaa5、Xaa14及びXaa15は、それぞれ独立に任意のアミノ酸又はその誘導体を表す。〕。
  2. 以下のアミノ酸配列を含み、血管内皮細胞増殖因子受容体VEGFR2に結合してその機能を阻害するペプチド:
    Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15
    〔式中、Xaa2はVal又はその誘導体、Xaa6はAsp又はその誘導体、Xaa7はPro又はその誘導体、Xaa8はTrp又はその誘導体、Xaa10はAsn又はその誘導体、Xaa11はGly又はその誘導体、Xaa12はLeu又はその誘導体を表し、Xaa4は、Gly、His、Ser、及びそれらの誘導体から選択され、Xaa9は、脂肪族アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、Xaa13は、芳香族性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択され、Xaa1、Xaa3、Xaa5、Xaa14及びXaa15は、それぞれ独立に任意のアミノ酸又はその誘導体を表す。〕。
  3. Xaa4は、His、Ser、及びそれらの誘導体から選択され、
    Xaa9は、Val、Ala、及びそれらの誘導体から選択され、
    Xaa13は、Trp、Tyr、及びそれらの誘導体から選択され、
    Xaa14は、疎水性アミノ酸及びそれらの誘導体から選択される、請求項1又は2に記載のペプチド。
  4. Xaa1は、Val、Thr、及びそれらの誘導体から選択され、
    Xaa4は、His又はその誘導体であり、
    Xaa9は、Val又はその誘導体であり、
    Xaa14は、Phe、Leu、Ile、及びそれらの誘導体から選択され、
    Xaa15は、Pro、Ser、及びそれらの誘導体から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載のペプチド。
  5. Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8が、VVRHTDPW(配列番号:1)、VVVHTDPW(配列番号:2)、VVRHNDPW(配列番号:3)、VVSHPDPW(配列番号:4)、VVSHHDPW(配列番号:5)、VVKHSDPW(配列番号:6)、VVKHPDPW(配列番号:7)、IVRHPDPW(配列番号:8)、IVTHSDPW(配列番号:9)、VVTHSDPW(配列番号:10)、TVTHTDPW(配列番号:11)、TVKHTDPW(配列番号:12)、TVRHTDPW(配列番号:13)、TVYHSDPW(配列番号:14)、及びVVVSTDPW(配列番号:15)からなる群より選択される、請求項1からのいずれか1項に記載のペプチド。
  6. Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15が、VNGLWLR(配列番号:16)、VNGLWFP(配列番号:17)、VNGLWFY(配列番号:18)、VNGLWLW(配列番号:19)、VNGLWLQ(配列番号:20)、ANGLWLA(配列番号:21)、及びVNGLYLD(配列番号:22)からなる群より選択される、請求項1からのいずれか1項に記載のペプチド。
  7. Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15が、HVTHQDPWVNGLWIA(配列番号:23)、VVSHHDPWVNGLFIA(配列番号:24)、VVVHADPWVNGLWIQ(配列番号:25)、VVKHPDPWVNGLYFH(配列番号:26)、VVQHRDPWVNGLWFP(配列番号:27)、SVVHSDPWVNGLYLS(配列番号:28)、AVKHSDPWVNGLYLP(配列番号:29)、SVTHIDPWVNGLYLP(配列番号:30)、KVSHFDPWVNGLWLP(配列番号:31)、TVTHRDPWVNGLILS(配列番号:32)、QVSHPDPWVNGLILQ(配列番号:33)、TVYSDDPWVNGLWLR(配列番号:34)、SVYGLDPWINGLRFV(配列番号:35)、TVFHTDPWVNGLWIS(配列番号:36)、TVRHTDPWVNGLWIS(配列番号:37)、TVKHPDPWVNGLWIS(配列番号:38)、TVTHSDPWVNGLFLP(配列番号:39)、VVTHPDPWVNGLFLP(配列番号:40)、TVTHIDPWVNGLWLP(配列番号:41)、TVVHADPWVNGLYLP(配列番号:42)、TVVHSDPWVNGLWLP(配列番号:43)、TVIHPDPWVNGLWLP(配列番号:44)、IVSHPDPWVNGLWLP(配列番号:45)、SVSHPDPWVNGLWLP(配列番号:46)、EVSHPDPWVNGLWIP(配列番号:47)、IVYHADPWVNGLWLS(配列番号:48)、VVRHSDPWVNGLWID(配列番号:49)、VVYSSDPWVNGLHLT(配列番号:50)、TVSHPDPWVNGLWIR(配列番号:51)、TVYHPDPWVNGLWIR(配列番号:52)、TVWHPDPWVNGLWIY(配列番号:53)、EVKHPDPWVNGLWIY(配列番号:54)、TVVHPDPWVNGLWIS(配列番号:55)、TVRHPDPWVNGLWLS(配列番号:56)、TVRHPDPWVNGLWFS(配列番号:57)、TVSHPDPWVNGLWLQ(配列番号:58)、TVTHPDPWVNGLWLP(配列番号:59)、TVTHPDPWVNGLYLP(配列番号:60)、TVYHPDPWVNGLWLP(配列番号:61)、TVVHPDPWVNGLWLP(配列番号:62)、TVFHPDPWVNGLWIP(配列番号:63)、AVTHSDPWVNGLWLP(配列番号:64)、TVTHSDPWVNGLWFP(配列番号:65)、EVSHPDPWVNGLWFP(配列番号:66)、AVSHPDPWVNGLWFP(配列番号:67)、及びSVVHHDPWVNGLWFP(配列番号:68)からなる群より選択される、請求項1又は2に記載のペプチド。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載のペプチドを含む医薬。
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