JP6757481B1 - 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計 - Google Patents

調速機、脱進機、ムーブメント及び時計 Download PDF

Info

Publication number
JP6757481B1
JP6757481B1 JP2020012472A JP2020012472A JP6757481B1 JP 6757481 B1 JP6757481 B1 JP 6757481B1 JP 2020012472 A JP2020012472 A JP 2020012472A JP 2020012472 A JP2020012472 A JP 2020012472A JP 6757481 B1 JP6757481 B1 JP 6757481B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
escapement
escape
fixing portion
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020012472A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021117183A (ja
Inventor
雅行 幸田
雅行 幸田
久 藤枝
久 藤枝
鈴木 重男
重男 鈴木
Original Assignee
セイコーウオッチ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by セイコーウオッチ株式会社 filed Critical セイコーウオッチ株式会社
Priority to JP2020012472A priority Critical patent/JP6757481B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6757481B1 publication Critical patent/JP6757481B1/ja
Priority to CH000080/2021A priority patent/CH717087B1/fr
Priority to CN202110124601.3A priority patent/CN113267983A/zh
Publication of JP2021117183A publication Critical patent/JP2021117183A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G04HOROLOGY
    • G04BMECHANICALLY-DRIVEN CLOCKS OR WATCHES; MECHANICAL PARTS OF CLOCKS OR WATCHES IN GENERAL; TIME PIECES USING THE POSITION OF THE SUN, MOON OR STARS
    • G04B15/00Escapements
    • G04B15/14Component parts or constructional details, e.g. construction of the lever or the escape wheel
    • GPHYSICS
    • G04HOROLOGY
    • G04BMECHANICALLY-DRIVEN CLOCKS OR WATCHES; MECHANICAL PARTS OF CLOCKS OR WATCHES IN GENERAL; TIME PIECES USING THE POSITION OF THE SUN, MOON OR STARS
    • G04B17/00Mechanisms for stabilising frequency
    • G04B17/04Oscillators acting by spring tension
    • G04B17/06Oscillators with hairsprings, e.g. balance
    • G04B17/063Balance construction
    • GPHYSICS
    • G04HOROLOGY
    • G04BMECHANICALLY-DRIVEN CLOCKS OR WATCHES; MECHANICAL PARTS OF CLOCKS OR WATCHES IN GENERAL; TIME PIECES USING THE POSITION OF THE SUN, MOON OR STARS
    • G04B17/00Mechanisms for stabilising frequency
    • G04B17/32Component parts or constructional details, e.g. collet, stud, virole or piton
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16BDEVICES FOR FASTENING OR SECURING CONSTRUCTIONAL ELEMENTS OR MACHINE PARTS TOGETHER, e.g. NAILS, BOLTS, CIRCLIPS, CLAMPS, CLIPS OR WEDGES; JOINTS OR JOINTING
    • F16B11/00Connecting constructional elements or machine parts by sticking or pressing them together, e.g. cold pressure welding
    • F16B11/006Connecting constructional elements or machine parts by sticking or pressing them together, e.g. cold pressure welding by gluing

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Gears, Cams (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Electromechanical Clocks (AREA)

Abstract

【課題】大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な時計用部品、この時計用部品を備えたてんぷ、ムーブメント及び時計を提供する。【解決手段】時計におけるムーブメントの構成部品として用いられる時計用部品9であって、接着剤により被接着部材40が接着固定される固定部36と、固定部36に設けられ、接着剤が塗布される領域を所望の範囲に制限する接着領域制限部37と、を有する。固定部36は、貫通孔41であって、貫通孔41の開口縁部43には、接着領域制限部37として段差部44が設けられている。段差部44は、貫通孔41における開口縁部43の全周に亘って設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、調速機、脱進機、ムーブメント及び時計に関するものである。
従来、時計のムーブメントにおいて、脱進機を用いて一定の振動を維持することにより、時計を駆動させる構成が知られている。これらの時計では、脱進機を正確に動作させるための技術が種々提案されている。
例えば特許文献1には、ローラーと、第1のがんぎ車を備える第1の可動脱進部、及び第2のがんぎ車を備える第2の可動脱進部と、第1の可動脱進部と第2の可動脱進部を機械的に結合する手段と、第1及び第2の爪石を保持するアンクルとを備えた脱進機の構成が開示されている。ローラーは、第1のがんぎ車と協働する第3の衝突爪石と、第2のがんぎ車と協働する第4の衝突爪石を備える。特許文献1に記載の技術によれば、簡素な構成により、脱進機と、脱進機に結合された調速部材と、の干渉を抑制することで脱進機の精度を高めることができるとされている。
特開2012−168172号公報
ところで、これらの脱進機は、例えば振り座やアンクル、がんぎ車等の種々の時計用部品により構成されている。各時計用部品は、他の部品と接着により固定され、又は他の部品を接着により固定する場合がある。このように、製造時に接着を要する時計用部品においては、接着剤が時計用部品の表面から大きく盛り上がって突出する可能性がある。このため、部品同士のクリアランスを確保するために部品同士の距離を離す必要があり、ムーブメントが大型化するおそれがあった。さらに、接着剤の塗布量や塗布範囲にばらつきが生じた場合、脱進機の精度及び時計の計時精度に影響を及ぼすおそれがあった。
そこで、本発明は、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な調速機、脱進機、これらを備えたムーブメント及び時計を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一つの形態の調速機は、接着剤により被接着部材が接着固定される固定部と、前記固定部に設けられ、前記接着剤が塗布される領域を所望の範囲に制限する接着領域制限部と、を有し、前記固定部は、凹部であって、前記凹部の開口縁部には、前記接着領域制限部として段差部が設けられている
この構成によれば、調速機は接着領域制限部を有し、接着領域制限部により、調速機に塗布される接着剤の領域を所望の範囲に制限できる。これにより、接着領域制限部を有しない従来技術と比較して、調速機からの接着剤の突出量を抑えることができる。よって、部品同士のクリアランスが確保し易くなり、部品間の距離を近づけて配置することができる。また、部品ごとに接着剤の塗布量や塗布範囲にばらつきが生じることなく、所定量の接着剤を安定的に塗布できる。よって、これらの調速機をムーブメントに組み込んだ際に、接着剤の塗布量の違いによる重心のアンバランス(片重り)の発生を抑制できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な調速機を提供できる。
この構成によれば、調速機に設けられた段差部に接着剤を塗布することにより、所定量の接着剤を安定的に塗布できる。また、段差部を設けることにより、調速機の表面から接着剤が突出するのを抑制できる。よって、簡素な構成により接着領域制限部を設け、調速機の片重り及び大型化を抑制できる。
また、前記調速機は、前記固定部及び前記接着領域制限部が設けられた振り座を有し、前記固定部には、前記被接着部材として振り石が接着固定される
この構成によれば、振り座に振り石を接着固定する場合に好適に利用できる。振り座は、回転軸を中心として往復回動し、この回動周期が時計の計時精度に影響を及ぼす。このため、振り座に上述の接着領域制限部を形成することで、振り座に対して振り石を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することで振り座が往復回動する際の重心アンバランスにより生じる姿勢差を抑制できる。よって、時計の計時精度を向上可能な調速機とすることができる。また、振り座からの接着剤の突出量を抑えることができるので、振り座に近接して他の部品を配置できる。
また、前記調速機は、前記段差部は、前記凹部における前記開口縁部の全周に亘って設けられている。
この構成によれば、段差部は、凹部における開口縁部の全周に亘って設けられているので、段差部が開口縁部の一部に設けられる場合と比較して、固定部及び被接着部材に対する接着剤の接触面積(接着面積)を増加させることができる。これにより、被接着部材をより強固に固定できる。
また、前記調速機は、前記固定部は、前記被接着部材が配置される貫通孔を有し、前記固定部における前記被接着部材の前記貫通孔の貫通方向における突出高さは、前記段差部の底部よりも高く、かつ前記段差部の頂部以下となるように接着固定される。
この構成によれば、被接着部材の端面は、段差部の底部よりも頂部側に位置するので、段差部に接着剤が充填された場合に、段差部の内部に位置する被接着部材の端面周辺の側面に接着剤を塗布できる。よって、被接着部材に対する接着剤の接着面積を増加させ、被接着部材をより強固に固定できる。
また、前記調速機は、MEMSプロセスにより形成されている。
この構成によれば、調速機はMEMSプロセスにより形成されるので、接着領域制限部を有する調速機を容易に形成することができる。また、調速機のような微細な部品に対しても適用できる。よって、特に微細で精密な部品である調速機において、接着剤の量及び塗布範囲を好適に設定可能な接着領域制限部を有する構成とすることができる。
本発明の一つの形態の脱進機は、接着剤により被接着部材が接着固定される固定部と、前記固定部に設けられ、前記接着剤が塗布される領域を所望の範囲に制限する接着領域制限部と、を有し、前記固定部は、凹部であって、前記凹部の開口縁部には、前記接着領域制限部として段差部が設けられている。
この構成によれば、脱進機は接着領域制限部を有し、接着領域制限部により、脱進機に塗布される接着剤の領域を所望の範囲に制限できる。これにより、接着領域制限部を有しない従来技術と比較して、脱進機からの接着剤の突出量を抑えることができる。よって、部品同士のクリアランスが確保し易くなり、部品間の距離を近づけて配置することができる。また、部品ごとに接着剤の塗布量や塗布範囲にばらつきが生じることなく、所定量の接着剤を安定的に塗布できる。よって、これらの脱進機をムーブメントに組み込んだ際に、接着剤の塗布量の違いによる重心のアンバランス(片重り)の発生を抑制できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な脱進機を提供できる。
また、この構成によれば、脱進機に設けられた段差部に接着剤を塗布することにより、所定量の接着剤を安定的に塗布できる。また、段差部を設けることにより、脱進機の表面から接着剤が突出するのを抑制できる。よって、簡素な構成により接着領域制限部を設け、脱進機の片重り及び大型化を抑制できる。
また、前記脱進機は、がんぎ歯車に前記固定部及び前記接着領域制限部が設けられたがんぎ車を有し、前記固定部には、前記被接着部材としてがんぎ軸部が接着固定される。
この構成によれば、がんぎ歯車とがんぎ軸部とを接着固定する場合に好適に利用できる。がんぎ歯車は、がんぎ軸部を中心としてがんぎ軸部と一体に一定周期で回転することにより、時計の計時精度を維持している。このため、がんぎ歯車に上述の接着領域制限部を形成することで、がんぎ歯車及びがんぎ軸部を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することでがんぎ歯車が回転する際の回転トルクのバラツキを抑制できる。よって、がんぎ歯車を一定の周期で回転させ、時計の計時精度を向上できる。また、がんぎ歯車からの接着剤の突出量を抑えることができるので、がんぎ歯車に近接して他の部品を配置できる。
また、前記脱進機は、アンクル体に前記固定部及び前記接着領域制限部が設けられたアンクルを有し、前記固定部には、前記被接着部材として爪石が接着固定される。
この構成によれば、アンクル体に爪石を接着固定する場合に好適に利用できる。アンクル体は、回転軸を中心として往復回動し、この回動周期が時計の計時精度に影響を及ぼす。このため、アンクル体に上述の接着領域制限部を形成することで、アンクル体に対して爪石を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することでアンクル体が往復回動する際の重心アンバランスにより生じる脱進機誤差、及び姿勢差を抑制できる。よって、時計の計時精度を向上可能な脱進機とすることができる。また、アンクル体からの接着剤の突出量を抑えることができるので、アンクル体に近接して他の部品を配置できる。
また、前記脱進機は、前記段差部は、前記凹部における前記開口縁部の全周に亘って設けられている。
この構成によれば、段差部は、凹部における開口縁部の全周に亘って設けられているので、段差部が開口縁部の一部に設けられる場合と比較して、固定部及び被接着部材に対する接着剤の接触面積(接着面積)を増加させることができる。これにより、被接着部材をより強固に固定できる。
また、前記脱進機は、前記固定部は、前記被接着部材が配置される貫通孔を有し、前記固定部における前記被接着部材の前記貫通孔の貫通方向における突出高さは、前記段差部の底部よりも高く、かつ前記段差部の頂部以下となるように接着固定される。
この構成によれば、被接着部材の端面は、段差部の底部よりも頂部側に位置するので、段差部に接着剤が充填された場合に、段差部の内部に位置する被接着部材の端面周辺の側面に接着剤を塗布できる。よって、被接着部材に対する接着剤の接着面積を増加させ、被接着部材をより強固に固定できる。
また、前記脱進機は、MEMSプロセスにより形成されている。
この構成によれば、脱進機はMEMSプロセスにより形成されるので、接着領域制限部を有する脱進機を容易に形成することができる。また、脱進機のような微細な部品に対しても適用できる。よって、特に微細で精密な部品である脱進機において、接着剤の量及び塗布範囲を好適に設定可能な接着領域制限部を有する構成とすることができる。
本発明の一つの形態のムーブメントは、上述の調速機を備える。
この構成によれば、上述の小型で高精度な調速機を備えるので、ムーブメントの大型化を抑制しつつ、ムーブメントの計時精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な調速機を備えた、高性能なムーブメントを提供できる。
本発明の一つの形態のムーブメントは、上述の脱進機を備える。
この構成によれば、上述の小型で高精度な脱進機を備えるので、ムーブメントの大型化を抑制しつつ、ムーブメントの計時精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な脱進機を備えた、高性能なムーブメントを提供できる。
本発明の一つの形態の時計は、上述のムーブメントを備える。
この構成によれば、上述の小型で高精度なムーブメントを備えるので、時計を小型化しつつ、計時精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な調速機又は脱進機を備えた、小型かつ計時精度の良い時計を提供できる。
本発明によれば、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な調速機、脱進機、これらを備えたムーブメント及び時計を提供できる。
実施形態に係る時計の外観図。 実施形態に係るムーブメントを表側から見た平面図。 実施形態に係る脱進機及び調速機の側面図。 実施形態に係る脱進機を表側から見た平面図。 実施形態に係る振り座を表側から見た斜視図。 実施形態に係る振り座を裏側から見た斜視図。 図6における振り石及び接触爪石の図示を省略した振り座の斜視図。 図6のVIII−VIII線に沿う断面図。 実施形態に係るがんぎ車を裏側から見た斜視図。 実施形態に係るアンクルを表側から見た斜視図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(時計)
図1は、実施形態に係る時計1の外観図である。
時計1は、ケース蓋(不図示)及びガラス2を有する時計ケース3内に、ムーブメント4や、時刻に関する情報を示す目盛り等を有する文字板5、各種指針(時針6、分針7及び秒針8)等が組み込まれて構成されている。
(ムーブメント)
図2は、実施形態に係るムーブメント4を表側から見た平面図である。図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント4を構成する各種部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各種部品を簡略化して図示している。また、以下の説明では、ムーブメント4の基板を構成する地板10に対して時計ケース3(図1参照)のガラス2側(文字板5側、図1参照)をムーブメント4の「裏側」と称し、ケース蓋側(文字板5とは反対側)をムーブメント4の「表側」と称する。ムーブメント4は、地板10と、表輪列11と、1個以上の時計用部品9を有する調速機12及び脱進機13と、を備える。
(表輪列)
表輪列11は、香箱車14、二番車15、三番車16及び四番車17を有する。香箱車14は、地板10と図示しない香箱受との間に軸支されており、内部に図示しないぜんまい(動力源)が収容されている。ぜんまいは、角穴車18が回転することによって巻き上げられる。角穴車18は、りゅうず19に連結された図示しない巻真の回転によって、同じく図示しない巻上輪列を介して回転する。
二番車15、三番車16及び四番車17は、地板10と図示しない輪列受との間に軸支されている。これら二番車15、三番車16及び四番車17は、巻き上げられたぜんまいの弾性復元力によって香箱車14が回転すると、この回転に基づいて順に回転する。
すなわち、二番車15は香箱車14と噛合しており、香箱車14の回転に基づいて回転する。なお、二番車15が回転すると、この回転に基づいて図示しない筒かなが回転する。筒かなには、分針7(図1参照)が取り付けられており、筒かなの回転によって分針7が「分」を表示する。分針7は、脱進機13及び調速機12によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。
二番車15が回転すると、この回転に基づいて図示しない日の裏車が回転し、さらに日の裏車の回転に基づいて図示しない筒車が回転する。なお、日の裏車及び筒車は、表輪列11を構成する部品である。筒車には、時針6(図1参照)が取り付けられており、筒車の回転によって時針6が「時」を表示する。時針6は、脱進機13及び調速機12によって調速された回転速度、例えば12時間で1回転する。
三番車16は、二番車15と噛合しており、二番車15の回転に基づいて回転する。四番車17は、三番車16に噛合しており、三番車16の回転に基づいて回転する。四番車17には、秒針8(図1参照)が取り付けられており、四番車17の回転に基づいて秒針8が「秒」を表示する。秒針8は、脱進機13及び調速機12によって調速された回転速度、例えば1分間で1回転する。なお、表輪列11は、四番車17とがんぎ車21との間に中間車を設けた構成であってもよい。
四番車17には、がんぎかな20(図4参照)を介して後述するがんぎ車21が噛合している。これにより、がんぎ車21には、主に二番車15、三番車16及び四番車17を介して、香箱車14内に収容されたぜんまいからの動力(回転エネルギー)が伝達される。これにより、がんぎ車21は第一軸線O1回りに回転する。
(調速機)
図3は、実施形態に係る脱進機13及び調速機12の側面図(図2のIII矢視図)である。図4は、実施形態に係る脱進機13を表側から見た平面図である。
図2及び図3に示すように、調速機12は、主にてんぷ22を備える。てんぷ22は、てん真23と、てん輪24と、不図示のひげぜんまいと、時計用部品9としての振り座25と、を備える。てんぷ22は、ひげぜんまいを動力源として、第一軸線O1と平行な第二軸線O2回りに、香箱車14の出力トルクに応じた一定の回動周期(振り角)で往復回動(正逆回転)する。
てん真23は、第二軸線O2と同軸上に設けられている。てん真23における軸方向の両端には、先細りした上ほぞ部23a(表側端部)及び下ほぞ部23b(裏側端部)がそれぞれ形成されている。上ほぞ部23aは、軸受を介しててんぷ受(いずれも不図示)に支持されている。下ほぞ部23bは、軸受30を介して地板10に支持されている。よって、てん真23は、てんぷ受及び地板10に対して第二軸線O2回りに回転可能に支持されている。てん真23の外周部の一部は、ツキガタ28を有する小つば29となっている。ツキガタ28は、てん真23の外周部から径方向の内側に曲面状に凹んでいる。ツキガタ28は、後述するアンクルハコ69(図4参照)と振り石38とが係合しているときに、後述する剣先70が小つば29と接触することを防止する逃げ部として機能する。
てん輪24は、リム部33と、連結部34と、を有する。リム部33は、第二軸線O2を中心とする環状に形成されている。連結部34は、てん真23とリム部33との間に設けられ、てん真23の径方向に沿って延びている。連結部34は、てん真23とリム部33とを連結している。連結部34は、周方向に等間隔に複数(本実施形態では4個)設けられている。
不図示のひげぜんまいは、てん真23の外周部に取り付けられている。具体的に、てん真23の外周部にはひげ玉(不図示)が外嵌固定され、このひげ玉にひげぜんまいの内端部が固定されている。てん真23は、ひげぜんまいから伝えられた動力によって、第二軸線O2周りに一定の振り角で正逆回転する。
図3及び図4に示すように、てん真23には、時計用部品9として、てんぷ22の構成部品であると共に脱進機13の構成部品でもある振り座25が外嵌固定されている。振り座25は、第二軸線O2の軸方向において、てん真23に設けられた小つば29より裏側に取り付けられている。振り座25は、第二軸線O2と同軸上に配置されている。振り座25は、例えば金属材料や単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料により形成されている。振り座25は、例えばMEMSプロセスにより形成されている。なお、振り座25の製造方法としては、例えば電鋳加工、フォトリソグラフィ技術のような光学的な手法を取り入れたLIGAプロセス、DRIE、金属粉末射出成形(MIM)等であってもよい。
図5は、実施形態に係る振り座25を表側から見た斜視図である。図6は、実施形態に係る振り座25を裏側から見た斜視図である。図7は、図6における振り石38及び接触爪石39の図示を省略した振り座25の斜視図である。図8は、図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図5から図7に示すように、振り座25は、第二軸線O2の軸方向を厚み方向とする平板状に形成されている。振り座25は、てん真挿通孔35と、固定部36と、接着領域制限部37と、を有する。
てん真挿通孔35は、第二軸線O2と同軸上に設けられている。てん真挿通孔35は、振り座25を第二軸線O2の軸方向に沿って貫通している。てん真挿通孔35には、てん真23(図3参照)が挿通されて固定されている。
固定部36は、振り座25に設けられた凹部である。固定部36は、接着剤45により振り座25に振り石38や接触爪石39等の被接着部材40を接着固定する。具体的に、固定部36は、第一貫通孔41(請求項の貫通孔)と、第一スリット42と、を有する。
第一貫通孔41は、振り座25を第二軸線O2の軸方向に沿って貫通している。第一貫通孔41は、軸方向から見て、径方向の外側に平面を有し、かつ径方向の内側に円弧上に膨らんだ半円形状に形成されている。第一貫通孔41には、ルビー等の人工宝石から形成された振り石38が軽圧入されている。
振り石38は、貫通孔の形状に対応して、径方向の外側に平坦面を有し、かつ径方向の内側に弧状面を有する平面視半円形状に形成されている。図5に示すように、振り石38は、振り座25から表側に向けて突出している。振り石38は、詳しくは後述する接着剤45(図7参照)により振り座25に固定されている。
第一スリット42は、軸方向から見て、径方向に沿って延びるとともに径方向の外側に開口するU字状に形成されている。第一スリット42には、接触爪石39が挿入されている。具体的に、接触爪石39は、第一スリット42内に径方向の外側から挿入され、接着剤45により振り座25に固定されている。接触爪石39は、振り石38と同様に例えばルビー等の人工宝石によって形成されている。接触爪石39は、振り座25の径方向に沿って延びた矩形板状に形成され、先端部が振り座25の外周縁よりも径方向の外側に突出している。接触爪石39は、振り座25よりも第二軸線O2の軸方向の両側に突出しないように配置されている。
このように形成された接触爪石39は、てんぷ22(図3参照)の回転によって、後述するがんぎ車21との接触(衝突)及び離間を繰り返すことが可能とされている(図4も参照)。がんぎ車21のがんぎ歯52が接触爪石39に接触することで、がんぎ車21から接触爪石39にエネルギーが伝えられる。
図6及び図7に示すように、接着領域制限部37は、振り座25の裏側を向く面に設けられている。接着領域制限部37は、固定部36の開口縁部43に設けられている。接着領域制限部37は、接着剤45が塗布される領域を所望の範囲に制限している。具体的に、接着領域制限部37は、振り座25に形成された段差部44である。段差部44は、振り座25の厚みを減じるように振り座25の裏側の端面から凹んで形成されている。段差部44は、軸方向から見て、固定部36より外側かつ固定部36の形状に沿って形成されている。段差部44は、固定部36における開口縁部43の全周に亘って設けられている。本実施形態において、段差部44は、第一貫通孔41及び第一スリット42の開口縁部43であって、かつ振り座25の裏側を向く面にそれぞれ形成されている。
図8に示すように、段差部44内には、接着剤45が充填されている。第一貫通孔41に振り石38が配置された状態で、振り石38の裏側の端面38aの振り座25に対する突出高さは、段差部44の底部47よりも高く、かつ段差部44の頂部48以下となっている。本実施形態において、振り石38の裏側の端面38aは、段差部44の頂部48(すなわち、振り座25の裏側を向く面)と面一となるように配置されている。また、接着剤45の表面45aは、段差部44の頂部48と面一となるように段差部44に充填されている。これにより、段差部44に接着剤45が充填された際、接着剤45が振り石38の側面38bに塗布される。なお、振り石38の端面38aは、段差部44の底部47と頂部48との間に位置していてもよい。この場合、振り石38の側面38bに加えて振り石38の裏側の端面38aにも接着剤45が塗布される。
(脱進機)
図2に示すように、脱進機13は、表輪列11と調速機12とを連結している。脱進機13は、表輪列11からの駆動力を調速機12に伝達するとともに、調速機12により回転速度が調速されることで表輪列11の回転を制御する。図3に示すように、脱進機13は、てんぷ22より裏側に設けられている。脱進機13は、がんぎ車21と、アンクル49と、を有する。
図3及び図4に示すように、がんぎ車21は、がんぎ軸部50と、時計用部品9としてのがんぎ歯車51と、を有する。
がんぎ軸部50は、第一軸線O1と同軸に設けられている。がんぎ軸部50には、四番車17と噛合するがんぎかな20が形成されている。がんぎ軸部50における軸方向の両端には、先細りした上ほぞ部50a及び下ほぞ部50bがそれぞれ形成されている。がんぎ車21は、上ほぞ部50a及び下ほぞ部50bを介して、地板10(図2参照)と図示しない輪列受との間に軸支されている。がんぎ軸部50は、第一軸線O1回りに回転する。
がんぎ歯車51は、がんぎかな20より第一軸線O1の軸方向における裏側に設けられている。図3に示すように、がんぎ歯車51は、軸方向において振り座25と同等の位置に設けられている。がんぎ車21は、がんぎ軸部50に例えば圧入等によって一体的に固定されている。図4に示すように、がんぎ歯車51は、外周部に複数のがんぎ歯52を有する。がんぎ歯車51は、第一軸線O1を回転中心としてがんぎ軸部50と一体回転する。
図9は、実施形態に係るがんぎ車21を裏側から見た斜視図である。
がんぎ歯車51は、例えば振り座25と同様に金属材料や単結晶シリコン等の結晶方位を有する材料により形成されている。がんぎ歯車51の製造方法としては、MEMSプロセスや、電鋳加工、フォトリソグラフィ技術のような光学的な手法を取り入れたLIGAプロセス、DRIE、金属粉末射出成形(MIM)等が挙げられる。
がんぎ歯車51は、中央部分に固定部36として軸挿通孔53が形成された円環状のハブ部54と、ハブ部54から径方向の外側に向かって延びるとともに、周方向に等間隔をあけて配置された複数のスポーク部55と、が一体に形成されることで構成されている。中央の軸挿通孔53には、がんぎ軸部50が挿通されている。がんぎ軸部50は、接着剤45によりがんぎ歯車51に固定されている。
スポーク部55は、周方向に等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。スポーク部55は、径方向の外側に向かうにしたがって先細りとなるように形成されている。スポーク部55は、径方向の外側に位置する先端部分が周方向の一方に向けて屈曲するように形成されている。この屈曲した先端部分が、がんぎ歯52として機能する。がんぎ歯52のうち、周方向の他方に面する側面は、接触爪石39に接触するとともに、後述する入爪石61及び出爪石62に係合する作用面52aとされている。各スポーク部55の基端部分には、肉抜き孔56が形成されている。肉抜き孔56は、第一軸線O1の軸方向から見て、スポーク部55に沿って径方向に延びるとともに、径方向の内側に向かうにつれて周方向の一方に湾曲している。
がんぎ歯車51は、上述の振り座25と同様に、固定部36(軸挿通孔53)の開口縁部43に接着領域制限部37としての段差部44を有する。本実施形態において、段差部44は、がんぎ歯車51のうち裏側を向く面(がんぎかな20と反対側の面)に設けられている。段差部44は、軸挿通孔53の開口縁部43の全周に亘って形成されている。つまり、がんぎ歯車51の軸挿通孔53にがんぎ軸部50が配置された状態で、段差部44は、がんぎ軸部50の外周部に設けられている。段差部44には、接着剤45が充填される。これにより、がんぎ歯車51とがんぎ軸部50とが固定されている。
図4に示すように、このように構成されたがんぎ車21は、てんぷ22(図3参照)が第一回転方向W1に回転したときに、伝達された動力をてんぷ22に対して直接的に伝えると共に、てんぷ22が第一回転方向W1と逆向きの第二回転方向W2に回転したときに、伝達されたトルクを、後述のアンクル49を介しててんぷ22に対して間接的に伝える役割を担っている。
図10は、実施形態に係るアンクル49を表側から見た斜視図である。
図4及び図10に示すように、アンクル49は、てんぷ22の回転に基づいて第一軸線O1と平行な第三軸線O3回りに回動する。アンクル49は、がんぎ車21の回転を制御、すなわちがんぎ車21の回転の開始及び回転の停止を制御する。図10に示すように、アンクル49は、アンクル真57と、時計用部品9としてのアンクル体58と、被接着部材40としての入爪石61及び出爪石62と、を有する。
アンクル真57は、第三軸線O3と同軸に配置されている。アンクル真57における軸方向の両端には、先細りした上ほぞ部57a及び下ほぞ部57bがそれぞれ形成されている。アンクル真57は、上ほぞ部57a及び下ほぞ部57bを介して、地板10(図2参照)と図示しないアンクル受との間に軸支されている。
アンクル体58は、例えば圧入等によりアンクル真57に一体に固定されている。アンクル体58は、例えば電鋳加工やMEMSプロセス等によって板状に形成されている。図3に示すように、アンクル体58は、がんぎ車21及び振り座25よりも第一軸線O1の軸方向における表側に配置されている。図10に示すように、アンクル体58は、2本のアンクルビーム63,64と、固定部36と、接着領域制限部37と、を有する。
2本のアンクルビーム63,64は、アンクル真57から径方向に沿ってそれぞれ延びている。アンクル体58における2本のアンクルビーム63,64の接続部分65には、アンクル真57を固定するためのアンクル真挿通孔66が形成されている。アンクル体58は、アンクル真挿通孔66内にアンクル真57が圧入等によって嵌め込まれることで、アンクル真57と一体に固定されている。
図4に示すように、一方のアンクルビーム63は、アンクル真57が固定された接続部分65から、振り座25側に向けて延びるように形成されている。他方のアンクルビーム64は、アンクル真57が固定された接続部分65から、がんぎ車21の回転方向の進行側(振り座25と反対側)に向けて延びるように形成されている。各アンクルビーム63,64には、がんぎ車21と同様に、肉抜き孔67が適宜設けられている。
図4及び図10に示すように、一方のアンクルビーム63の先端部には、第三軸線O3の周方向に並んで配置された一対のクワガタ68が設けられている。クワガタ68の内側は、てん真23側に向けて開口すると共に、てんぷ22の往復回動に伴って移動する振り石38が係脱可能に収容されるアンクルハコ69とされている。
さらに、一方のアンクルビーム63の先端部には、剣先70が取り付けられている。
剣先70は、一方のアンクルビーム63の先端部に対して第三軸線O3の軸方向の表側から例えば圧入等によって嵌め込まれることで、アンクルビーム63に一体に固定されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば一方のアンクルビーム63の先端部に接着剤45、カシメ等を利用して剣先70を固定してもよい。
剣先70は、平面視で一対のクワガタ68間に位置(すなわちアンクルハコ69の内側に位置)し、クワガタ68よりもてん真23側に僅かに突出するように延びている。剣先70は、第三軸線O3の軸方向において、振り石38よりも表側であって、かつ小つば29(図3参照)と同等の高さに位置するように固定されている。
図3に示すように、剣先70の先端部は、振り石38がアンクルハコ69から離脱している状態において、小つば29の外周面のうちツキガタ28を除いた部分に対して若干の隙間をあけて径方向に対向する。剣先70の先端部は、振り石38がアンクルハコ69に係合している状態において、ツキガタ28内に収容される。
図10に示すように、固定部36は、各アンクルビーム63,64にそれぞれ設けられた凹部である。固定部36は、接着剤45によりアンクル体58に入爪石61や出爪石62等の被接着部材40を接着固定する。具体的に、固定部36は、一方のアンクルビーム63に設けられた第二貫通孔71と、他方のアンクルビーム64に設けられた第二スリット72と、を有する。
第二貫通孔71は、アンクル体58を第三軸線O3の軸方向に沿って貫通している。第二貫通孔71は、軸方向から見て、がんぎ車21側に傾斜面71aを有する四角形状に形成されている。第二貫通孔71には、ルビー等の人工宝石から形成された入爪石61が軽圧入されている。
入爪石61は、第二貫通孔71の形状に対応して、がんぎ車21側に傾斜面61aを有する四角形状に形成されている。入爪石61は、接着剤45によりアンクル体58に固定されている。入爪石61は、アンクル体58から裏側に向けて突出している。入爪石61の裏側の端部は、がんぎ車21と軸方向において同等の位置まで延びている(図3参照)。図4に示すように、入爪石61は、がんぎ歯車51におけるがんぎ歯52の作用面52aに対して係脱可能とされ、がんぎ車21の停止及び停止解除を行う。
第二スリット72は、軸方向から見て、がんぎ車21側に開口するU字状に形成されている。第二スリット72には、出爪石62が挿入されている。具体的に、出爪石62は、第二スリット72の開口側から第二スリット72内に挿入され、接着剤45によりアンクル体58に固定されている。出爪石62は、入爪石61と同様に例えばルビー等の人工宝石によって形成されている。出爪石62は、第二スリット72に沿って延びた矩形板状に形成され、先端部がアンクル体58の外周縁よりも外側に突出している。図10に示すように、出爪石62は、アンクル体58から裏側に向けて突出している。出爪石62の裏側の端部は、がんぎ車21と軸方向において同等の位置まで延びている。出爪石62は、がんぎ歯車51におけるがんぎ歯52の作用面52aに対して係脱可能とされ、がんぎ車21の停止及び停止解除を行うとともに、がんぎ車21に伝わった動力を、アンクル体58を介しててんぷ22に伝える。
アンクル体58の接着領域制限部37は、上述の振り座25及びがんぎ歯車51と同様に、固定部36の開口縁部43に設けられている。接着領域制限部37は、段差部44である。段差部44は、アンクル体58の固定部36における開口縁部43の全周に亘って形成されている。具体的に、段差部44は、第二貫通孔71及び第二スリット72の開口縁部43であって、かつアンクル体58の表側を向く面にそれぞれ形成されている。段差部44には、接着剤45が充填される。これにより、アンクル体58に入爪石61及び出爪石62が固定される。アンクル体58に設けられた段差部44と入爪石61及び出爪石62との第三軸線O3の軸方向における位置関係は、上述の振り座25に設けられた段差部44と振り石38の端面38aとの位置関係と同等である。
このように形成されたアンクル49は、上述したようにてんぷ22の回転に基づいて第三軸線O3回りを回動する。
具体的には、図4に示すように、アンクル49は、てんぷ22(図3参照)の往復回動に伴って移動する振り石38によって、てんぷ22の回転方向とは反対の方向に向けて第三軸線O3回りに回動する。このとき、入爪石61及び出爪石62は、アンクル49の回動によってがんぎ歯車51の回転軌跡Rに対する進入と退避とを交互に繰り返す。これにより、がんぎ歯車51におけるがんぎ歯52の作用面52aを、入爪石61の係合面、或いは出爪石62の係合面に対して係合させることが可能となる。
特に、入爪石61及び出爪石62は、第三軸線O3を挟んで配置されているので、がんぎ歯52と入爪石61とが係合しているときに、出爪石62ががんぎ歯52から離脱し、がんぎ歯52と出爪石62とが係合しているときに、入爪石61ががんぎ歯52から離脱する。
(作用、効果)
次に、上述の時計用部品9、てんぷ22、ムーブメント4及び時計1の作用、効果について説明する。
本実施形態の時計用部品9によれば、時計用部品9(本実施形態における振り座25、がんぎ歯車51及びアンクル体58)は接着領域制限部37を有し、接着領域制限部37により、時計用部品9に塗布される接着剤45の領域を所望の範囲に制限できる。これにより、接着領域制限部37を有しない従来技術と比較して、時計用部品9からの接着剤45の突出量を抑えることができる。よって、部品同士のクリアランスが確保し易くなり、部品間の距離を近づけて配置することができる。また、部品ごとに接着剤45の塗布量や塗布範囲にばらつきが生じることなく、所定量の接着剤45を安定的に塗布できる。よって、これらの時計用部品9をムーブメント4に組み込んだ際に、接着剤45の塗布量の違いによる重心のアンバランス(片重り)の発生を抑制できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な時計用部品9を提供できる。
固定部36は凹部であって、凹部の開口縁部43には、接着領域制限部37として段差部44が設けられている。このため、時計用部品9に設けられた段差部44に接着剤45を塗布することにより、所定量の接着剤45を安定的に塗布できる。また、段差部44を設けることにより、時計用部品9の表面から接着剤45が突出するのを抑制できる。よって、簡素な構成により接着領域制限部37を設け、時計用部品9の片重り及び大型化を抑制できる。
段差部44は、凹部における開口縁部43の全周に亘って設けられているので、段差部44が開口縁部43の一部に設けられる場合と比較して、時計用部品9及び被接着部材40(本実施形態における振り石38、接触爪石39、がんぎ軸部50、入爪石61及び出爪石62)に対する接着剤45の接触面積(接着面積)を増加させることができる。これにより、被接着部材40をより強固に固定できる。
被接着部材40の端面(例えば、本実施形態における振り石38の端面38a)は、段差部44の底部47よりも頂部48側に位置するので、段差部44に接着剤45が充填された場合に、段差部44の内部に位置する被接着部材40の側面(例えば、振り石38の側面38b)に接着剤45を塗布できる。よって、被接着部材40に対する接着剤45の接着面積を増加させ、被接着部材40をより強固に固定できる。
時計用部品9はMEMSプロセスにより形成されるので、接着領域制限部37を有する時計用部品9を容易に形成することができる。また、時計用部品9のような微細な部品に対しても適用できる。よって、特に微細で精密な部品である時計用部品9において、接着剤45の量及び塗布範囲を好適に設定可能な接着領域制限部37を有する構成とすることができる。
振り座25に固定部36及び接着領域制限部37が設けられ、固定部36には、被接着部材40として振り石38が接着固定される。これにより、振り座25に振り石38を接着固定する場合に好適に利用できる。振り座25は、回転軸を中心として往復回動し、この回動周期が時計1の計時精度に影響を及ぼす。このため、振り座25に上述の接着領域制限部37を形成することで、振り座25に対して振り石38を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することで振り座25が往復回動する際の重心アンバランスにより生じる姿勢差を抑制できる。よって、時計1の計時精度を向上可能な時計用部品9とすることができる。また、振り座25からの接着剤45の突出量を抑えることができるので、振り座25に近接して他の部品を配置できる。
アンクル体58に固定部36及び接着領域制限部37が設けられ、固定部36には、被接着部材40として入爪石61及び出爪石62が接着固定される。これにより、アンクル体58に入爪石61及び出爪石62を接着固定する場合に好適に利用できる。アンクル体58は、第三軸線O3を中心として往復回動し、この回動周期が時計1の計時精度に影響を及ぼす。このため、アンクル体58に上述の接着領域制限部37を形成することで、アンクル体58に対して入爪石61及び出爪石62を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することでアンクル体58が往復回動する際の重心アンバランスにより生じる脱進機誤差、及び姿勢差を抑制できる。よって、時計1の計時精度を向上可能な時計用部品9とすることができる。また、アンクル体58からの接着剤45の突出量を抑えることができるので、アンクル体58に近接して他の部品を配置できる。
がんぎ歯車51に固定部36及び接着領域制限部37が設けられ、固定部36には、被接着部材40としてがんぎ軸部50が接着固定される。これにより、がんぎ歯車51とがんぎ軸部50とを接着固定する場合に好適に利用できる。がんぎ歯車51は、がんぎ軸部50を中心としてがんぎ軸部50と一体に一定周期で回転することにより、時計1の計時精度を維持している。このため、がんぎ歯車51に上述の接着領域制限部37を形成することで、がんぎ歯車51及びがんぎ軸部50を安定的に固定するとともに、片重りを抑制することでがんぎ歯車51が回転する際の回転トルクのバラツキを抑制できる。よって、がんぎ歯車51を一定の周期で回転させ、時計1の計時精度を向上できる。また、がんぎ歯車51からの接着剤45の突出量を抑えることができるので、がんぎ歯車51に近接して他の部品を配置できる。
本実施形態のてんぷ22によれば、上述の時計用部品9を備えるので、てんぷ22における各時計用部品9を互いに近接して配置することができるとともに、各時計用部品9の片重りを抑制できる。よって、てんぷ22を小型化するとともに、片重りによる姿勢差を抑制し、てんぷ22の精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な時計用部品9を備えた、小型で高精度なてんぷ22を提供できる。
本実施形態のムーブメント4によれば、上述の小型で高精度なてんぷ22を備えるので、ムーブメント4の大型化を抑制しつつ、ムーブメント4の計時精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な時計用部品9を備えた、高性能なムーブメント4を提供できる。
本実施形態の時計1によれば、上述の小型で高精度なムーブメント4を備えるので、時計1を小型化しつつ、計時精度を向上できる。
したがって、大型化を抑制するとともに計時精度を向上可能な時計用部品9を備えた、小型かつ計時精度の良い時計1を提供できる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、固定部36が貫通孔41,71及びスリット42,72を有する構成としたが、これに限られない。固定部36は、例えば時計用部品9を貫通することなく設けられる有底の凹部であってもよい。
上述の実施形態では、接着剤45は、接着剤45の表面45aが段差部44の頂部48と面一となるように段差部44に充填される構成としたが、これに限られない。接着剤45は、接着剤45の表面45aが段差部44の頂部48に達しない高さとなるように充填されてもよい。
また、接着剤45の表面45aが段差部44の頂部48から突出してもよい。このように接着剤45が頂部48から突出した場合であっても、段差部44を有しない従来技術と比較して、同じ量の接着剤45を用いた場合の接着剤45の突出高さを抑えることができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 時計
4 ムーブメント
9 時計用部品
22 てんぷ
25 振り座
36 固定部
37 接着領域制限部
38 振り石
38a 振り石の裏側の端面(端面)
40 被接着部材
41 第一貫通孔(貫通孔)
43 開口縁部
44 段差部
45 接着剤
47 底部
48 頂部
50 がんぎ軸部
51 がんぎ歯車
58 アンクル体
61 入爪石(爪石)
62 出爪石(爪石)
71 第二貫通孔(貫通孔)

Claims (14)

  1. 接着剤により被接着部材が接着固定される固定部と、
    前記固定部に設けられ、前記接着剤が塗布される領域を所望の範囲に制限する接着領域制限部と、
    を有し、
    前記固定部は、凹部であって、
    前記凹部の開口縁部には、前記接着領域制限部として段差部が設けられている調速機
  2. 記固定部及び前記接着領域制限部が設けられた振り座を有し、
    前記固定部には、前記被接着部材として振り石が接着固定される請求項に記載の調速機
  3. 前記段差部は、前記凹部における前記開口縁部の全周に亘って設けられている請求項1又は請求項2に記載の調速機
  4. 前記固定部は、前記被接着部材が配置される貫通孔を有し、
    前記固定部における前記被接着部材の前記貫通孔の貫通方向における突出高さは、前記段差部の底部よりも高く、かつ前記段差部の頂部以下となるように接着固定される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の調速機
  5. MEMSプロセスにより形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の調速機
  6. 接着剤により被接着部材が接着固定される固定部と、
    前記固定部に設けられ、前記接着剤が塗布される領域を所望の範囲に制限する接着領域制限部と、
    を有し、
    前記固定部は、凹部であって、
    前記凹部の開口縁部には、前記接着領域制限部として段差部が設けられている脱進機
  7. がんぎ歯車に前記固定部及び前記接着領域制限部が設けられたがんぎ車を有し
    前記固定部には、前記被接着部材としてがんぎ軸部が接着固定される請求項に記載の脱進機
  8. アンクル体に前記固定部及び前記接着領域制限部が設けられたアンクルを有し
    前記固定部には、前記被接着部材として爪石が接着固定される請求項に記載の脱進機
  9. 前記段差部は、前記凹部における前記開口縁部の全周に亘って設けられている請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の脱進機
  10. 前記固定部は、前記被接着部材が配置される貫通孔を有し、
    前記固定部における前記被接着部材の前記貫通孔の貫通方向における突出高さは、前記段差部の底部よりも高く、かつ前記段差部の頂部以下となるように接着固定される請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の脱進機
  11. MEMSプロセスにより形成されている請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の脱進機
  12. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の調速機を備えるムーブメント
  13. 請求項6から請求項11のいずれか1項に記載の脱進機を備えるムーブメント
  14. 請求項12又は請求項13に記載のムーブメントを備える時計。
JP2020012472A 2020-01-29 2020-01-29 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計 Active JP6757481B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020012472A JP6757481B1 (ja) 2020-01-29 2020-01-29 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計
CH000080/2021A CH717087B1 (fr) 2020-01-29 2021-01-28 Composant de pièce d'horlogerie, balancier spiral, mouvement et pièce d'horlogerie.
CN202110124601.3A CN113267983A (zh) 2020-01-29 2021-01-29 钟表用零件、摆轮游丝机构、机芯和钟表

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020012472A JP6757481B1 (ja) 2020-01-29 2020-01-29 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6757481B1 true JP6757481B1 (ja) 2020-09-16
JP2021117183A JP2021117183A (ja) 2021-08-10

Family

ID=72432311

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020012472A Active JP6757481B1 (ja) 2020-01-29 2020-01-29 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6757481B1 (ja)
CN (1) CN113267983A (ja)
CH (1) CH717087B1 (ja)

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH115664A (de) * 1925-02-25 1926-07-01 Bilstein August Fa Basküleverschluss.
CH426653A (fr) * 1964-01-31 1967-06-30 Tissot Horlogerie Dispositif de fixation de l'extrémité intérieure d'un spiral réglant d'un mouvement d'horlogerie, procédé de fabrication de ce dispositif, et organe de moulage pour la mise en oeuvre du procédé
JPS5942994U (ja) * 1982-09-16 1984-03-21 ジエコ−株式会社 時計、計器等に於ける防水処理構造
JPS6146918A (ja) * 1984-08-13 1986-03-07 Olympus Optical Co Ltd レンズ保持装置
JPH07272302A (ja) * 1994-03-31 1995-10-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd 対物レンズ装置
JP2001350074A (ja) * 2000-06-07 2001-12-21 Azuma Koki:Kk 光ピックアップのレンズ取付構造
JP3991215B2 (ja) * 2002-09-20 2007-10-17 株式会社ジェイテクト 動圧軸受装置
JP2007171128A (ja) * 2005-12-26 2007-07-05 Seiko Instruments Inc 時計
JP5161607B2 (ja) * 2008-02-21 2013-03-13 シチズン時計河口湖株式会社 表示板
JP5596487B2 (ja) * 2010-10-07 2014-09-24 日本発條株式会社 圧電アクチュエータ及びヘッド・サスペンション
JP6210535B2 (ja) * 2013-07-25 2017-10-11 セイコーインスツル株式会社 脱進機、時計用ムーブメントおよび時計
JP2016138834A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 シチズンホールディングス株式会社 構造体及びその製造方法
EP3118692B1 (fr) * 2015-07-16 2018-12-26 Nivarox-FAR S.A. Fixation de ressort-spiral d'horlogerie par collage
JP6531754B2 (ja) * 2016-12-21 2019-06-19 カシオ計算機株式会社 機器ケース及び時計
JP6949740B2 (ja) * 2018-01-24 2021-10-13 リンナイ株式会社 調理装置
EP3570118B1 (fr) * 2018-05-14 2022-01-12 ETA SA Manufacture Horlogère Suisse Piton pour la fixation d'un ressort spiral d'un mouvement d'horlogerie et procédé de fabrication d'un tel piton
JP6558761B1 (ja) * 2018-06-19 2019-08-14 セイコーインスツル株式会社 脱進機、時計用ムーブメント及び時計

Also Published As

Publication number Publication date
CH717087A2 (fr) 2021-07-30
JP2021117183A (ja) 2021-08-10
CN113267983A (zh) 2021-08-17
CH717087B1 (fr) 2024-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8882339B2 (en) Immobilizing device for a toothed wheel
US8500323B2 (en) Timepiece including a high frequency mechanical movement
US6942378B2 (en) Detent escapement for timepiece
JP2797071B2 (ja) ツールビョン機構を備えた機械時計
JP2003194963A (ja) 定力装置
JPH05249253A (ja) 時計ムーブメントおよび時計
TW200827954A (en) Mobile micromechanical element with shock controlled rotation
JP2019219249A (ja) 脱進機、時計用ムーブメント及び時計
JP6757481B1 (ja) 調速機、脱進機、ムーブメント及び時計
JP6537177B2 (ja) 時計用歯車、アンクル、てんぷ、時計用ムーブメント、及び機械式時計
CN108572537B (zh) 擒纵机、钟表用机芯以及钟表
JP2002311161A (ja) 偏心錘付時計
JP7485506B2 (ja) 小型時計ムーブメント用の調速装置
JP2023532440A (ja) 可撓性枢動軸を備えた時計用オシレーター
JP6748318B1 (ja) 脱進調速機、時計用ムーブメントおよび時計
JP6444059B2 (ja) てんぷ、調速機、ムーブメントおよび時計
JP6869759B2 (ja) 脱進機、時計用ムーブメント及び時計
US20230305494A1 (en) Balance, Timepiece, And Method For Manufacturing Balance
JP7476768B2 (ja) テンプ、ムーブメント、機械式時計およびテンプの製造方法
CN111610707B (zh) 温度补偿型摆轮游丝机构、机芯以及钟表
JP2015025721A (ja) 時計用歯車、脱進機構、時計用ムーブメントおよび機械式時計
US20230341818A1 (en) Three-dimensional karussel for a horological movement
US20230341817A1 (en) Three-dimensional karussel- or tourbillon-type regulating member provided with a peripheral ball bearing
JP2021177171A (ja) 計時器のディテントエスケープ
JP2024086614A (ja) 可撓性調整手段を備えた時計の共振器のヒゲゼンマイ及び関連材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200129

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200218

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200811

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200828

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6757481

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250