以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両の概略>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両1の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る車両1における電池パック10の位置の一例を示す模式図である。
車両1は、本実施形態に係る電池パック10を搭載する車両の一例である。具体的には、車両1は、図1に示したように、駆動輪59a,59b,59c,59dを駆動するための駆動源として、駆動モータ63f,63rを備える電気自動車である。駆動輪59a,59b,59c,59dは、車両1の前左輪、前右輪、後左輪、後右輪にそれぞれ相当する。なお、以下では、車両1の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向とし、鉛直上側及び鉛直下側をそれぞれ上方向及び下方向として、説明する。
駆動モータ63fは、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bと接続されている。一方、駆動モータ63rは、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dと接続されている。駆動モータ63fによって生成された駆動力は、減速機61fを介して、駆動輪59a及び駆動輪59bへそれぞれ伝達される。一方、駆動モータ63rによって生成された駆動力は、減速機61rを介して、駆動輪59c及び駆動輪59dへそれぞれ伝達される。減速機61f,61rは、駆動モータ63f,63rから入力される動力を所定の減速比で変換して、各駆動輪へそれぞれ出力する機能を有する。減速機61f,61rの当該機能は、例えば、ギヤによって実現される。なお、車両1の構成から減速機61f,61rは省略されてもよく、その場合には、駆動モータ63fと駆動輪59a,59bの各々は直接的に接続されてもよく、駆動モータ63rと駆動輪59c,59dの各々は直接的に接続されてもよい。
駆動モータ63f,63rは、図示しないインバータ装置を介して電池パック10内の複数の電池モジュールと電気的に接続されている。電池パック10から供給される直流電力は、インバータ装置によって交流電力に変換され、駆動モータ63f,63rへ供給される。それにより、駆動モータ63f,63rによって動力が生成される。
電池パック10は、具体的には、高電圧(例えば、350V)の電力供給源である。例えば、電池パック10内の複数の電池モジュールに蓄電される電力は、インバータ装置を介して、駆動モータ63f,63rへ供給される他、車両1内の各種装置へ供給される電力を蓄電する低電圧バッテリへ供給され得る。
電池パック10は、例えば、車両1の床下に位置する。具体的には、電池パック10は、図2に示したように、車両1の車室の底部に相当するフロアパネル55より下方、かつ、車両1の底部を覆うアンダーカバー57より上方に位置する。より具体的には、電池パック10は、車両の床下において、フロントシート51の下方からリアシート53の下方へ延在するように設けられる。また、電池パック10の後部は、上方側へ突出しており、電池パック10の後部における突出した部分は、リアシート53の内部の空間に収容される。換言すると、電池パック10の後部の高さは、前部の高さと比較して、高くなっている。電池パック10の前部は、電池パック10内に設けられる電池モジュールの高さに対応した高さを有し、電池パック10の前部において、電池モジュールは、前後方向及び左右方向に併設される。一方、電池パック10の後部は、電池モジュールの高さの2倍以上の高さを有し、電池パック10の後部において、電池モジュールは上下2段に配置されている。
このように、本実施形態に係る電池パック10では、複数の電池モジュールの少なくとも一部が他の電池モジュールに対して鉛直方向の上方側に位置する多段配置が採用される。それにより、電池パック10を搭載するための空間としての車両1の床下を効率的に利用することができるので、より多くの電池モジュールを電池パック内に設けることが可能となる。ゆえに、車両1の走行可能な距離をより長くすることが実現される。
ここで、電池モジュールの多段配置を採用した場合、上述したように、電池パック10の筐体内における上方側空間内で、媒体流路からの液体の媒体の漏出等によって、液体が生じ得る。本実施形態に係る電池パック10によれば、上方側空間内で発生した液体が下方側の電池モジュールの端子等の高電圧部と接触することによる漏電の発生を防止することが可能となる。以下では、そのような電池パック10の詳細について、説明する。
<2.電池パック>
続いて、図3〜図8を参照して、本実施形態に係る電池パック10の詳細について説明する。図3は、本実施形態に係る電池パック10の外観の一例を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図4では、筐体110の前側面部112、左側面部113、及び上面部111が取り外された状態の電池パック10が示されている。電池パック10は、図3及び図4に示したように、複数の電池モジュール121と、複数の電池モジュール121を収容する筐体110と、電池モジュール121の各々を温調するために設けられる媒体流路130と、一部の電池モジュール121を支持するブラケット190と、を備える。なお、電池パック10には、外部の装置との通信や電池モジュール121の充放電に関する制御を行う制御装置及び各種センサが含まれ得る。
本実施形態に係る電池パック10では、上述したように、複数の電池モジュール121の少なくとも一部が他の電池モジュール121に対して鉛直方向の上方側に位置する多段配置が採用される。以下では、上方側の電池モジュール121及び下方側の電池モジュール121を、それぞれ区別して電池モジュール121u及び電池モジュール121dとも称する。また、筐体110内において上方側の電池モジュール121uが収容される空間を上方側空間160uと称し、下方側の電池モジュール121dが収容される空間を下方側空間160dと称する。ブラケット190は、具体的には、上方側の電池モジュール121uを支持する。本実施形態では、後述するように、上方側空間160u内で生じる液体が、ブラケット190により、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導かれることによって、電池パック10内における漏電の発生を防止することが可能となる。このようなブラケット190の詳細については、後述する。
筐体110は、図3及び図4に示したように、底面部116、前側面部112、左側面部113、後側面部114、右側面部115、及び上面部111を含む。底面部116、前側面部112、左側面部113、後側面部114、右側面部115、及び上面部111の内部には閉空間が形成され、当該閉空間内に複数の電池モジュール121が収容される。
底面部116は、例えば、略矩形状を有する板状部材によって形成される。また、底面部116は、金属材料によって形成され得る。
前側面部112、左側面部113、後側面部114、及び右側面部115は、それぞれ底面部116の対応する辺と接続される。前側面部112及び後側面部114は、車両1の幅方向に延在して互いに対向する側面部であり、左側面部113及び右側面部115は、車両1の前後方向に延在して互いに対向する側面部である。各側面部は、例えば、板状部材によって形成される。また、各側面部は、金属材料によって形成され得る。各側面部は、底面部116に対して、例えば、溶接等によって、接合され得る。また、互いに隣接する側面部は、例えば、溶接等によって、接合され得る。なお、底面部116及び各側面部は、例えば板状部材に対してプレス加工を行うことによって、一体として形成されてもよい。
上面部111は、底面部116と対向し、各側面部の上端部と接続される。上面部111の後部111rの上下方向の位置は、前部111fと比較して高くなっており、後部111rと前部111fとの間には段差部111dが形成される。また、上面部111は、例えば、板状部材を折り曲げることによって形成される。上面部111は、金属材料又は樹脂によって形成され得る。上面部111は、各側面部に対して、例えば、ネジ締結等によって、取り外し可能に固定され得る。
電池モジュール121は、複数のセルを含んで構成され、筐体110に複数収容される。当該複数のセルは、各電池モジュール121において、電気的に直列に接続される。また、このような複数の電池モジュール121は、電池パック10において、電気的に直列又は並列に接続される。例えば、複数の電池モジュール121の一部は、互いに電気的に直列に接続され、他の一部は、互いに電気的に並列に接続されてもよい。本実施形態では、上述したように、複数の電池モジュール121の少なくとも一部は、他の電池モジュール121に対して鉛直方向の上方側に位置する。具体的には、電池モジュール121は、図4に示したように、筐体110内の後部において、上下2段に配置されている。
筐体110内の下部には、底面部116と対向する内底部125が設けられる。下方側の電池モジュール121dは、筐体110内において、内底部125より上方、かつ、上面部111の前部111fより下方の空間に収容される。ゆえに、当該空間が下方側空間160dに相当する。下方側の電池モジュール121dは、下方側空間160dにおいて、例えば、左右方向及び前後方向に複数並設されてもよい。具体的には、下方側の電池モジュール121dは、図4に示したように、左右方向及び前後方向にそれぞれ3個及び4個配置され、合計で12個設けられてもよい。
ここで、筐体110内において、下方側空間160dより下方には、底面部116及び内底部125によって、二重底部140が形成される。二重底部140の内部の空間145には、後述するように、上方側空間160u内で生じる液体が、ブラケット190によって、導かれる。
一方、上方側の電池モジュール121uは、筐体110の後部において上方側へ突出した部分の内部の空間に収容される。ゆえに、当該空間が上方側空間160uに相当する。具体的には、上方側空間160uは、筐体110内において、下方側空間160dより上方、かつ、上面部111の後部111rより下方の空間に相当する。上方側の電池モジュール121uは、上方側空間160uにおいて、例えば、左右方向に複数並設されてもよい。具体的には、上方側の電池モジュール121uは、図4に示したように、左右方向に3個配置されてもよい。当該3個の上方側の電池モジュール121uに対して鉛直方向の下方側には、例えば、3個の下方側の電池モジュール121dが位置する。このように、電池モジュール121は、筐体110内の後部において、上下2段に配置されている。
媒体流路130は、複数の電池モジュール121の各々の近傍に設けられる。当該媒体流路130内において、複数の電池モジュール121の各々を温調可能な媒体が循環する。媒体として、例えば、不凍液等の液体が適用される。なお、媒体として、気体が適用されてもよい。
電池パック10において、例えば、熱伝導性プレート123が電池モジュール121の各々の下面に当接して設けられ、媒体流路130は、当該熱伝導性プレート123の内部を通って設けられる。熱伝導性プレート123は、具体的には、比較的高い熱伝導性を有する金属材料によって形成される。それにより、熱伝導性プレート123の内部を循環する媒体と、電池モジュール121の各々との間において、熱伝導性プレート123を介して熱交換が行われることによって、電池モジュール121の各々が温調され得る。例えば、電池モジュール121が媒体と比較して高温である場合には電池モジュール121は冷却され、電池モジュール121が媒体と比較して低温である場合には電池モジュール121は昇温される。熱伝導性プレート123は、具体的には、上方側の電池モジュール121u及び下方側の電池モジュール121dの各々について、設けられる。以下では、上方側の熱伝導性プレート123及び下方側の熱伝導性プレート123を、それぞれ区別して熱伝導性プレート123u及び熱伝導性プレート123dとも称する。例えば、図4に示したように、上方側空間160uにおいて、上方側の3個の電池モジュール121uの下方に上方側の熱伝導性プレート123uが設けられ、下方側空間160dにおいて、下方側の12個の電池モジュール121dの下方に下方側の熱伝導性プレート123dが設けられる。
図5及び図6は、上方側の熱伝導性プレート123u及び下方側の熱伝導性プレート123dの各々における媒体流路130の経路の一例をそれぞれ示す模式図である。媒体流路130は、熱伝導性プレート123の内部に形成される内部流路133と、媒体が貯留される図示しないタンクから内部流路133へ送られる媒体が通過する入力側流路131と、内部流路133から当該タンクへ送られる媒体が通過する出力側流路135と、を含む。以下では、上方側の内部流路133及び下方側の内部流路133を、それぞれ区別して内部流路133u及び内部流路133dとも称する。
具体的には、入力側流路131は、筐体110内において分岐して、上方側の熱伝導性プレート123uの内部に形成される内部流路133u及び下方側の熱伝導性プレート123dの内部に形成される内部流路133dの入口側と接続される。また、出力側流路135は、筐体110内において分岐して、上方側の熱伝導性プレート123uの内部に形成される内部流路133u及び下方側の熱伝導性プレート123dの内部に形成される内部流路133dの出口側と接続される。入力側流路131及び出力側流路135は、例えば、コネクタ接続等によって、内部流路133の入口側及び出口側とそれぞれ接続され得る。また、車両1には、媒体流路130内で媒体を循環させる図示しないポンプが設けられ、当該ポンプが駆動されることによって、媒体流路130内で媒体が循環し得る。
上方側の熱伝導性プレート123uにおいて、内部流路133uは、上方側の電池モジュール121uの各々の下方を通って設けられる。内部流路133uは、例えば、図5に示したように、左端の電池モジュール121uの左下方後方側から右端の電池モジュール121uの下方へ進んだ後、左端の電池モジュール121uの左下方前方側へ戻るように設けられる。それにより、内部流路133uを循環する媒体と、上方側の電池モジュール121uの各々との間において、上方側の熱伝導性プレート123uを介して熱交換が行われることによって、上方側の電池モジュール121uの各々が温調され得る。
また、下方側の熱伝導性プレート123dにおいて、内部流路133dは、下方側の電池モジュール121dの各々の下方を通って設けられる。内部流路133dは、例えば、図6に示したように、左後端の電池モジュール121dの左下方から右後端の電池モジュール121dの下方へ進んだ後、右前端の電池モジュール121dの下方へ進む。次に、内部流路133dは、左端の電池モジュール121dの下方へ進んだ後、右端の電池モジュール121dの下方へ戻り、後方の電池モジュール121dの下方へ進む。そして、内部流路133dは、前側の電池モジュール121dから順に、このように左右方向に往復しながら進んだ後、左後端の電池モジュール121dの左下方へ戻るように設けられる。それにより、内部流路133dを循環する媒体と、下方側の電池モジュール121dの各々との間において、下方側の熱伝導性プレート123dを介して熱交換が行われることによって、下方側の電池モジュール121dの各々が温調され得る。
なお、電池モジュール121の下面と熱伝導性プレート123の上面との間には、電池モジュール121と熱伝導性プレート123との隙間を埋め、各部材間の接触面積を増大させることによって、熱伝導を促進させるための熱伝導部材(例えばアクリル樹脂製のシート)が挿設されてもよい。それにより、内部流路133を循環する媒体と電池モジュール121の各々との間における熱交換の効率が向上される。
ブラケット190は、上方側の電池モジュール121uを支持する。図7は、本実施形態に係るブラケット190の構成の一例を示す分解斜視図である。図8は、本実施形態に係る電池パック10の内部の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図8は、電池パック10の後部における前後方向に直交する断面である図3に示したA−A断面についての断面図である。A−A断面は、後述する天板部170の前方側の貫通穴173及び前方側の脚部180を通る断面である。なお、図8では、上方側空間160u内で生じる液体の流れが、破線の矢印によって示されている。図7及び図8に示したように、ブラケット190は、具体的には、内底部125上に固定される一対の脚部180と、当該一対の脚部180の上部に固定される天板部170と、を含む。
図8に示したように、天板部170の上部には、上方側の電池モジュール121u及び熱伝導性プレート123uが配設される。ゆえに、天板部170は、上方側空間160uの底部に位置する。また、天板部170の上面には、凹部171が形成される。なお、凹部171の周縁部は、当該凹部171において最も下方に位置する部分と比較して、高くなっている。それにより、天板部170の凹部171に、上方側空間160u内で生じる液体が貯留され得る。天板部170は、例えば、板状部材に凹部171に相当する部分を形成することによって、形成され得る。凹部171に相当する部分は、プレス加工や切削加工等によって、形成され得る。また、天板部170は、例えば、金属材料によって形成され得る。
天板部170は、上方側空間160u内で生じる液体を貯留可能な本発明に係る貯留部に相当する。天板部170によって貯留された当該液体は、後述するように、脚部180へ送られた後、脚部180によって、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部140の内部の空間145へ導かれる。ブラケット190には、貯留部に相当する天板部170が設けられるので、上方側空間160u内で生じる液体の量が比較的多い場合であっても、当該液体が脚部180へ送られるより前に上方側空間160uから溢れ出ることを防止することができる。よって、上方側空間160u内で生じる液体を、より確実に、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導くことができる。
ここで、媒体流路130内を循環する媒体として液体の媒体が利用される場合において、上方側空間160u内で、媒体流路130から媒体が漏出することによって、液体が生じ得る。具体的には、熱伝導性プレート123uの一部において割れが発生した場合や、入力側流路131又は出力側流路135と内部流路133との接続部分において部材間の緩みが発生した場合等に、媒体流路130から媒体が漏出し得る。図8では、熱伝導性プレート123uの一部において割れが発生した場合において、内部流路133から漏出した媒体の流れを、矢印C10によって、概略的に示している。また、上方側空間160u内で、結露が発生することによっても、液体が生じ得る。具体的には、周囲の空気と接する電池モジュール121uや熱伝導性プレート123uの表面において、結露が発生し得る。図8では、電池モジュール121uの側面における結露によって生じた媒体の流れを、矢印C20によって、概略的に示している。このように、上方側空間160u内で生じる液体は、媒体流路130から漏出した媒体及び結露により生じる液体のうちの少なくとも一方であってもよい。なお、上方側空間160u内で生じる液体は、上述した例に限定されず、他の液体であってもよい。
天板部170の凹部171の底部には、貫通穴173が設けられる。天板部170の凹部171の底部は、例えば、図7に示したように、略矩形状を有してもよく、貫通穴173は、当該底部の四隅に各々設けられてもよい。貫通穴173は、プレス加工や切削加工等によって、形成され得る。凹部171に貯留された液体は、貫通穴173を通って下方へ送られる。ここで、貫通穴173の下方には、後述するように、脚部180が位置する。ゆえに、凹部171に貯留された液体は、貫通穴173を通って脚部180へ送られる。
脚部180は、例えば、図7に示したように、前後方向に一対並設される。脚部180の各々は、具体的には、図7及び図8に示したように、左右の各端部185において、内底部125上に固定され、中央部181において、上方側へ突出する。また、中央部181は、左右方向へ延在し、各端部185と中央部181の両端との間には、中央側に向けて上昇するように延在する傾斜部183が設けられる。
脚部180の上面側には、当該脚部180が延在する方向に沿って、溝部187が設けられる。脚部180は、例えば、溝部187に相当する部分を角柱形状の部材の一側面に長手方向に沿って形成した後に、当該部材を折り曲げることによって形成され得る。溝部187に相当する部分は、プレス加工、切削加工、又は押出し加工等によって、形成され得る。また、脚部180は、例えば、金属材料によって形成され得る。また、脚部180の左右の各端部185は、例えば、溶接等によって、内底部125上に固定され得る。
一対の脚部180の中央部181の上部には、天板部170が固定される。天板部170は、例えば、溶接等によって、一対の脚部180の中央部181の上部に固定され得る。具体的には、天板部170は、天板部170の貫通穴173の下方に脚部180の中央部181の溝部187が位置するように、脚部180に固定される。より具体的には、図7に示したように、天板部170の前方側の貫通穴173の下方に前方側の脚部180の中央部181の溝部187が位置し、天板部170の後方側の貫通穴173の下方に後方側の脚部180の中央部181の溝部187が位置する。ゆえに、天板部170に貯留された液体は、図8に示したように、凹部171から、貫通穴173を通って、各脚部180の中央部181の溝部187へ送られる。その後、当該液体は、傾斜部183を降下し、各端部185へ送られ、各端部185の先端から放出される。
ここで、内底部125において、脚部180の各端部185の先端と当接する部分には、貫通穴127が設けられている。また、貫通穴127より下方には、底面部116及び内底部125によって形成される二重底部140の内部の空間145が位置する。このように、脚部180は、天板部170の貫通穴173の下方から二重底部140の内部の空間145へ向かって延在する。それにより、天板部170の凹部171から、貫通穴173を通って、脚部180へ送られた液体は、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部140の内部の空間145へ導かれる。
脚部180は、貯留部に相当する天板部170に貯留された液体を、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導く本発明に係る導通部に相当する。このように、ブラケット190は、上方側空間160u内で生じる液体を貯留可能な貯留部に相当する天板部170と、当該貯留部に貯留された液体を、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導く導通部に相当する脚部180と、を含む。それにより、ブラケット190は、上方側空間160u内で生じる液体を、二重底部140の内部の空間145へ導くことができる。このように、ブラケット190は、上方側空間160u内で生じる液体を、上方側空間160uから下方側空間160dとは異なる他の空間へ導く本発明に係る導通部材に相当する。
本実施形態に係る電池パック10によれば、上記導通部材に相当するブラケット190が設けられることによって、上方側空間160u内で液体が生じた場合に、当該液体を下方側空間160dとは異なる他の空間へ導くことができる。ゆえに、上方側空間160u内で生じた液体が上方側空間160uから落下すること等により、下方側空間160dへ侵入することを防止することができる。よって、当該液体が下方側の電池モジュール121dの端子等の高電圧部と接触することを防止することができる。従って、電池パック10内における漏電の発生を防止することが可能となる。
また、上述したように、上記導通部材は、上方側の電池モジュール121uを支持するブラケット190であってもよい。それにより、電池パック10において、導通部材と異なる他の部材を、上方側の電池モジュール121uを支持するための部材として、設けることを省略することができる。ゆえに、電池パック10における部品点数を低減することができるので、電池パック10を小型化及び軽量化することができる。
また、上述したように、上方側空間160u内で生じる液体は、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部140の内部の空間145へ導かれてもよい。ここで、電池パック10では、外部からの水や砂等の異物の混入を防止する観点から、筐体110の内部を外部から密閉することが好ましい。ゆえに、二重底部140を筐体110内に設け、上方側空間160u内で生じる液体が導かれる空間として、二重底部140の内部の空間145を利用することによって、筐体110の内部を外部から密閉しつつ、電池パック10内における漏電の発生を防止することが可能となる。
また、二重底部140の内部の空間145は、下方側空間160dより下方に位置し、二重底部140の上部に設けられる貫通穴127を介して下方側空間160dと接続される。ゆえに、二重底部140の内部の空間145は、貫通穴127が設けられる部分を除いて、外部から離隔されている。よって、車両1の走行時において電池パック10が比較的大きく揺れ動かされる場合であっても、上方側空間160u内で生じる液体が当該空間145へ導かれた後に当該空間145から溢れ出ることを防止することができる。
なお、電池パック10が、車両1の床下に位置する場合には、比較的大きな荷重が、電池パック10の筐体110の底部に対して、外部から入力され得る。ゆえに、二重底部140を筐体110内に設けることによって、筐体110の底部に対して外部から入力される荷重によって、電池パック10が破損することを防止することができる。
<3.変形例>
続いて、図9〜図12を参照して、各種変形例に係る電池パックについて説明する。以下で説明する各種変形例では、図3〜図8を参照して説明した本実施形態に係る電池パック10と比較して、主にブラケットの脚部の構成が異なる。ゆえに、以下では、各種変形例に係るブラケットについて、主に説明する。
[3−1.第1の変形例]
まず、図9及び図10を参照して、電池パック内における漏電の発生を、より効果的に、防止することができる第1の変形例に係る電池パック20について説明する。
図9は、第1の変形例に係るブラケット290の構成の一例を示す分解斜視図である。図10は、第1の変形例に係る電池パック20の内部の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図10は、第1の変形例に係る電池パック20の後部における、図3に示したA−A断面と対応する断面ついての断面図である。なお、図10では、上方側空間160u内で生じる液体の流れが、破線の矢印によって示されている。図9及び図10に示したように、第1の変形例に係るブラケット290では、図7及び図8を参照して説明した本実施形態に係るブラケット190と比較して、脚部280の構成が異なる。
第1の変形例に係る脚部280は、例えば、図9に示したように、前後方向に一対並設される。脚部280の各々は、具体的には、図9及び図10に示したように、左右の各端部285において、内底部125上に固定され、中央部281において、上方側へ突出する。また、中央部281は、左右方向へ延在し、各端部285と中央部281の両端との間には、中央側に向けて上昇するように延在する傾斜部283が設けられる。
第1の変形例に係る脚部280は、管形状を有する。具体的には、脚部280の内部には、当該脚部280が延在する方向に沿った空間が設けられる。また、当該空間は、一方の端部285の先端から他方の端部285の先端へ貫通して設けられる。図9及び図10では、左右の各端部285の先端に設けられる開口部284が示されている。また、第1の変形例に係る脚部280では、中央部281の上部において、天板部170の貫通穴173と対応する位置に貫通穴282が形成される。脚部280は、角管形状の部材を折り曲げることによって形成され得る。なお、脚部280の横断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状又は楕円形状であってもよい。また、脚部280は、例えば、金属材料によって形成され得る。また、貫通穴282は、切削加工等によって、形成され得る。また、脚部280の左右の各端部285は、例えば、溶接等によって、内底部125上に固定され得る。
一対の脚部280の中央部281の上部には、天板部170が固定される。天板部170は、例えば、溶接等によって、一対の脚部280の中央部281の上部に固定され得る。具体的には、天板部170は、天板部170の貫通穴173の下方に脚部280の中央部281の貫通穴282が位置するように、脚部280に固定される。より具体的には、図9に示したように、天板部170の前方側の貫通穴173の下方に前方側の脚部280の中央部281の貫通穴282が位置し、天板部170の後方側の貫通穴173の下方に後方側の脚部280の中央部281の貫通穴282が位置する。ゆえに、天板部170に貯留された液体は、図10に示したように、凹部171から、貫通穴173及び貫通穴282を通って、各脚部280の中央部281の内部の空間へ送られる。その後、当該液体は、傾斜部283の内部の空間を降下し、各端部285へ送られ、各端部285の先端に設けられた開口部284から放出される。
ここで、内底部125において、脚部280の各端部285の先端と当接する部分には、貫通穴127が設けられている。また、貫通穴127より下方には、底面部116及び内底部125によって形成される二重底部140の内部の空間145が位置する。このように、脚部280は、天板部170の貫通穴173の下方から二重底部140の内部の空間145へ向かって延在する。それにより、天板部170の凹部171から、貫通穴173及び貫通穴282を通って、脚部280へ送られた液体は、脚部280の内部の空間を通過して、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部140の内部の空間145へ導かれる。
このように、第1の変形例では、導通部に相当する脚部280は、管形状を有し、貯留部に相当する天板部170に貯留された液体は、当該脚部280の内部の空間を通過して、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導かれる。ここで、車両1の走行時には、電池パック20が比較的大きく揺れ動かされる場合がある。第1の変形例によれば、上方側空間160u内で生じる液体は、管形状の脚部280の内部の空間を通過して、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導かれるので、電池パック20が比較的大きく揺れ動かされる場合であっても、当該液体が脚部280から溢れ出ることを防止することができる。ゆえに、上方側空間160u内で生じる液体を、より確実に、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導くことができる。よって、上方側空間160u内で生じる液体が下方側空間160dへ侵入することを、より効果的に、防止することができる。従って、電池パック内における漏電の発生を、より効果的に、防止することができる。
[3−2.第2の変形例]
続いて、図11及び図12を参照して、電池パック内における漏電の発生を、さらに効果的に、防止することができる第2の変形例に係る電池パック30について説明する。
図11は、第2の変形例に係るブラケット390の構成の一例を示す分解斜視図である。図12は、第2の変形例に係る電池パック30の内部の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図12は、第2の変形例に係る電池パック30の後部における、図3に示したA−A断面と対応する断面ついての断面図である。なお、図12では、上方側空間160u内で生じる液体の流れが、破線の矢印によって示されている。図11及び図12に示したように、第2の変形例に係るブラケット390では、図9及び図10を参照して説明した第1の変形例に係るブラケット290と比較して、主に脚部380の左右の各端部385の構成が異なる。
第2の変形例に係る脚部380は、第1の変形例に係る脚部280と同様に、管形状を有する。具体的には、脚部280の内部には、当該脚部280が延在する方向に沿った空間が設けられる。ここで、第2の変形例に係る脚部380では、第1の変形例と異なり、左右の各端部385の先端は閉鎖されている。また、第2の変形例に係る脚部380では、左右の各端部385の下部に、貫通穴382が設けられる。脚部380は、角管形状の部材を折り曲げた後に、両端部の開口部を閉鎖することによって形成され得る。なお、脚部380の横断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状又は楕円形状であってもよい。また、脚部380は、例えば、金属材料によって形成され得る。また、貫通穴382は、切削加工等によって、形成され得る。また、脚部380の左右の各端部385は、例えば、溶接等によって、内底部325上に固定され得る。
また、第2の変形例では、内底部325において、脚部380の各端部385の貫通穴382と対応する位置に貫通穴327が設けられている。第2の変形例では、第1の変形例と同様に、天板部170に貯留された液体は、図12に示したように、凹部171から、貫通穴173及び貫通穴282を通って、各脚部380の中央部281の内部の空間へ送られる。その後、当該液体は、傾斜部283の内部の空間を降下し、各端部385へ送られる。ここで、第2の変形例では、各端部385へ送られた液体は、各端部385の下部に設けられた貫通穴382及び内底部325に設けられた貫通穴327から下方へ放出される。
ここで、貫通穴327より下方には、底面部116及び内底部325によって形成される二重底部340の内部の空間345が位置する。このように、脚部380は、天板部170の貫通穴173の下方から二重底部340の内部の空間345へ向かって延在する。それにより、天板部170の凹部171から、貫通穴173及び貫通穴282を通って、脚部280へ送られた液体は、脚部380の内部の空間を通過した後、貫通穴382及び貫通穴327を通って、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部340の内部の空間345へ導かれる。
このように、第2の変形例では、導通部に相当する脚部380は、上方側空間160uと、下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部340の内部の空間345とを連通する。ここで、車両1の走行時には、上述したように、電池パック30が比較的大きく揺れ動かされる場合がある。第2の変形例によれば、管形状の脚部380によって、上方側空間160uと、下方側空間160dとは異なる他の空間とが連通されるので、電池パック30が比較的大きく揺れ動かされる場合であっても、当該液体が上方側空間160u又は上記他の空間の各々と脚部380との接続部分から溢れ出ることを防止することができる。ゆえに、上方側空間160u内で生じる液体を、さらに確実に、下方側空間160dとは異なる他の空間へ導くことができる。よって、上方側空間160u内で生じる液体が下方側空間160dへ侵入することを、さらに効果的に、防止することができる。従って、電池パック内における漏電の発生を、さらに効果的に、防止することができる。
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、電池パック10には、筐体110内において上方側の電池モジュール121uが収容される上方側空間160u内で生じる液体を、当該上方側空間160uから、下方側の電池モジュール121dが収容される下方側空間160dとは異なる他の空間へ導く導通部材が設けられる。ゆえに、上方側空間160u内で生じた液体が上方側空間160uから落下すること等により、下方側空間160dへ侵入することを防止することができる。よって、当該液体が下方側の電池モジュール121dの端子等の高電圧部と接触することを防止することができる。従って、電池パック10内における漏電の発生を防止することが可能となる。
また、上記では、導通部材が、上方側の電池モジュール121uを支持するブラケット190である例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。例えば、導通部材として、上方側の電池モジュール121uを支持するブラケットとは異なる部材が適用されてもよい。
また、上記では、上方側空間160u内で生じる液体が、上方側空間160uから下方側空間160dとは異なる他の空間としての二重底部140の内部の空間145へ導かれる例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。上方側空間160u内で生じる液体は、二重底部140の内部の空間145と異なる空間へ導かれてもよい。例えば、当該他の空間として、筐体110の側面部と下方側空間160dとの間の空間が利用されてもよい。具体的には、筐体110内において、側面部と対向する内側面部が設けられ、当該側面部及び当該内側面部によって形成される二重側面部の内部の空間が、当該他の空間として、利用されてもよい。また、当該他の空間として、筐体110の外部の空間が利用されてもよい。その場合、上方側空間160u内で生じる液体を当該他の空間へ送るために、筐体110に開口部が設けられることが考えられる。ゆえに、筐体110の密閉性を確保するために、例えば、当該開口部を開閉可能な機構を設けることが好ましい。
また、上記では、電池パック10が、車両1の床下に位置する例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。電池パック10は、車両1の床下と異なる部分に位置してもよい。例えば、電池パックは、車両1においてリアシート53より後方の空間に位置してもよい。
また、上記では、電池パック10の後部において、電池モジュール121が上下2段に配置されている例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。例えば、電池パック10において、電池モジュール121は、3段以上に配置されていてもよい。また、電池パック10の後部とは異なる部分において、電池モジュール121が多段配置されていてもよい。
また、上記では、各図面を参照して、電池パック10の各構成要素について説明したが、各構成要素の形状は、特に限定されず、図面に示した形状は、一例に過ぎない。
また、上記では、電池パック10を搭載する車両1が、前左輪及び前右輪を駆動するための駆動モータ63fと、後左輪及び後右輪を駆動するための駆動モータ63rと、が設けられる電気自動車である例について説明したが、本発明の技術的範囲は、係る例に限定されない。電池パック10を搭載する車両として、他の構成を有する車両が適用されてもよい。例えば、電池パック10は、各駆動輪について駆動モータが設けられる電気自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10は、ハイブリッド自動車に搭載されてもよい。また、電池パック10が搭載される車両に設けられる駆動モータの数は、特に限定されない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。