JP6756864B2 - 新規の粘度指数向上剤 - Google Patents

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Description

本発明は、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを含み、かつ7.0〜7.5の平均炭素数および300,000g/mol以上の質量平均分子量を有するポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー、その製造、かかるポリマーを含む潤滑剤組成物、ならびに潤滑剤組成物、特にエンジン油(EO)組成物の高温高剪断性能を向上させるためのその使用に関する。
発明の背景
モーター油の配合は、一般にSAE J300規格(SAE=Society of Automotive Engineers、自動車技術者協会)により定められている。この規格では、モーター油がSAE粘度グレードxW−y(ここで、x=0、5、10、15、20、35であり、かつy=8、12、16、20、30、40、50、60である)に分類されている。これは、例えば動粘度KVおよび高温高剪断粘度HTHSにより行われ、これらのパラメーターは、エンジン保護にとって重要である。通常は、潤滑油への添加剤の添加によって潤滑剤の特性を向上させる。その増粘効率を向上させ、かつエンジンを保護するために、通常は潤滑剤に粘度指数(VI)向上剤が添加される。
VI向上剤の増粘効率は、所定の添加率でのそのKV100(100℃での動粘度)によって規定される。同一の添加率でKV100が比較的高いことが、性能基準および正味の添加費用に有益であると考えられる。増粘効率の向上に伴って高温高剪断安定性HTHS100も増大してしまうことは当技術分野において周知であり、これは、新規のVI向上剤の開発には慎重なバランスが必要とされることを意味している。
さらに、VI向上剤の添加率を低下させるためには、所定のHTHS150での増粘効率を向上させることが望ましい。VI向上剤の増粘効率が高ければ添加率は低くなり、つまり目標とするHTHS150値に達するのに必要なポリマーがより少なくなる。このことから、最適なVI向上剤について次のような仮定が導かれる。最良の燃費結果を達成するには、添加率、最小KV40およびHTHS100を低く抑えるべく、所定のHTHS150条件で高い増粘効率を提供することが望ましく、その際、KV100は、J300規格で要求されている値を十分に上回ることが望ましい。典型的には、優れた燃費性能に向けたVI向上剤が開発されると、例えば所定の2.6mPa・sのHTHS150での0W20配合物においてHTHS100値は最小限に抑えられる。この場合に見られる典型的な効果の1つに、これと並行してKV100値が低下してしまうことが挙げられる。これは、100℃での高温高剪断(HTHS)増粘性の低下と並行して100℃での増粘性が低下するためである。
潤滑油組成物、特にエンジン油配合物のためのより厳格な配合基準を満たすべく、VI向上剤のKV100、HTHS100、HTHS150性能をさらにより向上させることが依然として必要である。例えばSAE J300によれば、十分なエンジン保護のためには、0W20エンジン油配合物についてのKV100は、所定の2.6mPa・sのHTHS150において少なくとも6.9mm/sであることが望ましい。これは、最適な燃費のためにはHTHS100およびKV40を最小限に抑えつつ、一方でKV100を>6.9cStに保つ必要があることを意味する。
さらにSAE J300によれば、0W20エンジン油の低温ポンピング粘度(MRV)が、−40℃で降伏応力なしで最大60,000mPa・sであることが望ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーが効率的なVI向上剤であることは、当技術分野において周知である。
米国特許第5834408号明細書(US 5834408)には、1.0〜2.0、好ましくは1.0〜1.5の多分散度を有する、メチルメタクリラート、ラウリルメタクリラートおよびステアリルメタクリラートを含むポリアルキルメタクリラート系ポリマーが開示されている。かかるポリマーは、潤滑油組成物における流動点降下剤として主に利用される。しかし、エンジン油配合物におけるかかるポリマーの性能ならびにKV40、KV100およびHTHS100に対するその効果に関する詳細は記載されていない。
米国特許第6746993号明細書(US 6746993)には、特定のアルキルメタクリラートを特定の範囲で含有するポリアルキルメタクリラート系ポリマーが開示されている。質量平均分子量は総じて5,000〜2,000,000g/molの範囲であってよいが、実施例では20,000〜60,000g/molという狭い範囲内のみである。しかし、エンジン油配合物におけるかかるポリマーの性能ならびにKV40、KV100およびHTHS100に対するその効果に関する詳細は記載されていない。
驚くべきことに、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを含み、かつ少なくとも300,000g/molの質量平均分子量Mおよび7.0〜7.5の平均炭素数を有するポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーが、潤滑油組成物、特にエンジン油配合物における粘度指数向上剤として性能プロフィールの向上を示すことが見出された。
発明の詳細な説明
本発明の第一の対象は、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを含むポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーにおいて、平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーに関する。
平均炭素数とはモル炭素数に相当し、これを、コポリマーの組成に基づいて、すなわち各アルキル(メタ)アクリラートのアルキル数のモル平均の算出によって算出した。
本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーの質量平均分子量は、好ましくは300,000〜2,000,000g/molの範囲にあり、より好ましくは300,000〜1,000,000g/molの範囲にあり、特に好ましくは500,000〜1,000,000g/molの範囲にある。本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは100,000〜300,000g/molの範囲にあり、より好ましくは100,000〜200,000g/molの範囲にあり、特に好ましくは110,000〜150,000g/molの範囲にある。
好ましくは、本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーは、2〜8の範囲の、より好ましくは3〜7の範囲の多分散度(D)M/Mを有する。
およびMは、市販のポリメチルメタクリラート標準物質を用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定される。この測定は、ポリメチルメタクリラート(PMMA)校正物質を用いた40℃でのテトラヒドロフラン中でのRI(屈折率)検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって行われる。
本発明の好ましい第一の対象は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーに関する。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーの全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)および(b)の割合の合計は、100質量%である。
用語「(メタ)アクリラート」とは、アクリル酸のエステルおよびメタクリル酸のエステルの双方を意味する。メタクリル酸エステルのエステルが好ましい。
本発明により使用するためのC1〜4アルキル(メタ)アクリラートは、(メタ)アクリル酸と1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコールとのエステルである。用語「C1〜4アルキル(メタ)アクリラート」には、特定の長さのアルコールと(メタ)アクリル酸との個々のエステルと、同様に異なる長さのアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルの混合物とが包含される。適切なC1〜4アルキル(メタ)アクリラートとしては、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラートおよびtert−ブチル(メタ)アクリラートが挙げられる。特に好ましいC1〜4アルキル(メタ)アクリラートは、メチル(メタ)アクリラートおよびn−ブチル(メタ)アクリラートである。メチルメタクリラートおよびn−ブチルメタクリラートが特に好ましい。
本発明により使用するためのC10〜16アルキル(メタ)アクリラートは、(メタ)アクリル酸と10〜16個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコールとのエステルである。用語「C10〜16アルキル(メタ)アクリラート」には、特定の長さのアルコールと(メタ)アクリル酸との個々のエステルと、同様に異なる長さのアルコールとメタクリル酸とのエステルの混合物とが包含される。適切なC10〜16アルキル(メタ)アクリラートとしては、例えばデシル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、2−メチルドデシル(メタ)アクリラート、トリデシル(メタ)アクリラート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、ペンタデシル(メタ)アクリラートおよびヘキサデシル(メタ)アクリラートが挙げられる。これらの中で、直鎖C12〜14アルコール混合物のメタクリル酸エステル(C12〜14アルキルメタクリラート)が特に好ましい。
本発明により使用するためのC18〜24アルキル(メタ)アクリラートは、(メタ)アクリル酸と18〜24個の炭素原子を有する直鎖アルコールとのエステルである。用語「C18〜24アルキル(メタ)アクリラート」には、特定の長さのアルコールと(メタ)アクリル酸との個々のエステルと、同様に異なる長さのアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルの混合物とが包含される。適切な直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートとしては、例えばオクタデシル(メタ)アクリラート、ノナデシル(メタ)アクリラート、エイコシル(メタ)アクリラートおよびドコシル(メタ)アクリラートが挙げられる。これらの中で、特に好ましいメタクリル酸エステルは、直鎖C18アルコールのメタクリル酸エステルである。
本発明のさらなる好ましい第一の対象は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを10〜14質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーに関する。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーの全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
本発明によるポリマーは、それを含む潤滑油組成物の(例えば所定の2.6mPa・sのHTHS150での)低いKV40およびHTHS100値へのその寄与によって特徴付けられる。
したがって、本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーは、文書SAE J300に定められた粘度特性を有する一般的なグレードのモーター油のいずれにも使用することができる。
したがって本発明のさらなる対象は、潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の動粘度およびHTHS性能を高めるための、本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーの使用に関する。
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーを添加することによって、潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の動粘度およびHTHS性能を高める方法に関する。
本発明のさらなる対象は、(所定のHTHS150となるように配合した場合、例えば0W20配合物についてはHTHS150が2.6mPa・sとなるように配合した場合、)潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の所定のHTHS150でのKV100を維持しつつHTHS100を減少させるための本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーの使用に関する。
本発明のさらなる対象は、本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーを添加することによって、(所定のHTHS150となるように配合した場合、例えば0W20配合物についてはHTHS150が2.6mPa・sとなるように配合した場合、)潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の所定のHTHS150でのKV100を維持しつつHTHS100を減少させる方法に関する。
本発明の第二の対象は、
(A)基油を60〜80質量%と、
(B)平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であることを特徴とする、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを含むポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを20〜40質量%と
を含む添加剤組成物に関する。
各成分(A)および(B)の含分は、添加剤組成物の全質量を基準とする。特定の一実施形態において、成分(A)および(B)の割合の合計は、100質量%である。
添加剤組成物に使用される基油には、潤滑粘度の油が含まれる。かかる油としては、天然油および合成油、水添分解、水添およびハイドロフィニッシングにより得られた油、未精製油、精製油、再精製油またはそれらの混合物が挙げられる。
また、基油は、米国石油学会(API)により規定された通りに定められてもよい(2008年4月版“Appendix E−API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils”,第1.3部副題1.3.“Base Stock Categories”を参照のこと)。
現在、APIにより、潤滑剤ベースストックの5つのグループが定められている(API 1509, Annex E − API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils, September 2011)。グループI、IIおよびIIIは、含まれる飽和分および硫黄分ならびにその粘度指数により分類される鉱油であり、グループIVは、ポリ−α−オレフィンであり、グループVは、他のすべてのものであり、例えばエステル油類が含まれる。以下の表に、これらのAPI分類を例示する。
Figure 0006756864
本発明による添加剤組成物または潤滑組成物の製造への使用に適した無極性基油の100℃での動粘度(KV100)は、ASTM D445によれば、好ましくは2〜10mm/sの範囲にあり、より好ましくは3〜5mm/sの範囲にある。
本発明により使用することができるさらなる基油は、グループII、IIIのフィッシャー・トロプシュ系基油である。
フィッシャー・トロプシュ系基油は、当技術分野において知られている。用語「フィッシャー・トロプシュ系」は、基油がフィッシャー・トロプシュ法の合成生成物であるか、または同合成生成物から誘導されることを意味する。フィッシャー・トロプシュ系基油は、GTL(Gas−To−Liquid、ガス液化)基油とも呼ばれる場合がある。本発明の潤滑組成物において基油として好都合に使用することのできる適切なフィッシャー・トロプシュ系基油は、例えば欧州特許第0776959号明細書(EP 0776959)、同第0668342号明細書(EP 0668342)、国際公開第97/21788号(WO 97/21788)、同第00/15736号(WO 00/15736)、同第00/14188号(WO 00/14188)、同第00/14187号(WO 00/14187)、同第00/14183号(WO 00/14183)、同第00/14179号(WO 00/14179)、同第00/08115号(WO 00/08115)、同第99/41332号(WO 99/41332)、欧州特許第1029029号明細書(EP 1029029)、国際公開第01/18156号(WO 01/18156)、同第01/57166号(WO 01/57166)および同第2013/189951号(WO 2013/189951)に開示された基油である。
特に、エンジン油配合物について、APIグループIIもしくはIIIまたはその混合物の基油が使用される。
本発明の添加剤組成物は好ましくは、該添加剤組成物の全質量を基準として、基油(A)を65〜75質量%と、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(B)を25〜35質量%とを含む。
本発明による好ましい添加剤組成物は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(B)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
本発明によるさらなる好ましい添加剤組成物は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを10〜14質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(B)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
添加剤組成物は、潤滑油組成物の動粘度およびHTHS性能へのその寄与によって特徴付けられる。
したがって、本発明のさらなる対象は、潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の動粘度およびHTHS性能を高めるための、本発明による添加剤組成物の使用に関する。
本発明のさらなる対象は、本発明による添加剤組成物を添加することによって、潤滑油組成物、特にエンジン油配合物の動粘度およびHTHS性能を高める方法に関する。
本発明のさらなる対象は、(所定のHTHS150となるように配合した場合、例えば0W20配合物についてはHTHS150が2.6mPa・sとなるように配合した場合、)潤滑油組成物、特にエンジン油配合物のKV100を高めつつHTHS100を減少させるための本発明による添加剤組成物の使用に関する。
本発明のさらなる対象は、本発明による添加剤組成物を添加することによって、(所定のHTHS150となるように配合した場合、例えば0W20配合物についてはHTHS150が2.6mPa・sとなるように配合した場合、)潤滑油組成物、特にエンジン油配合物のKV100を高めつつHTHS100を減少させる方法に関する。
本発明のさらなる対象は、さらに
(C)平均炭素数が12.0〜13.0であり、かつ質量平均分子量Mが10,000〜100,000g/molであることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを、添加剤組成物の全質量を基準として0〜3質量%
含む、上記の添加剤組成物に関する。
平均炭素数とはモル炭素数に相当し、これを、コポリマーの組成に基づいて、すなわち各アルキル(メタ)アクリラートのアルキル数のモル平均の算出によって算出した。
成分(C)は、流動点降下剤(PPD)として添加される。PPDの有効性は、潤滑油が流動できなくなる直前の温度(流動点)を測定することによって定量化されてきた。したがって、PPDは伝統的には、流動点を降下させるその能力に基づいて選択されていた。しかし、流動点が潤滑油の低温性能の唯一の指標であるわけではない。エンジン油のもう1つの重要な性能指標は、ASTM D4684に準拠して測定される低温での油のポンピング性である。ポンピング性は、低剪断速度粘度および降伏応力に関して測定される。これらのパラメーターはどちらも標準化冷却プロファイル(TP−1)を使用したMini Rotary Viscometer(MRV)により測定され、それによれば、油は、(0Wグレードの場合には)ASTM D4684に記載の速度で−5〜−40℃に冷却される。国際エンジン油規格SAE J300には、ASTM D4684に準拠した油のポンピング性も重要な要件として含まれている。
成分(C)はさらに、平均炭素数が12.5〜13.0であることを特徴とする。ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーの質量平均分子量は、好ましくは50,000〜90,000g/molの範囲にある。
成分(C)のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーはさらに、
(a)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを88〜98質量%と、
(b)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを2〜6質量%と、
(c)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを0〜10質量%と
を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(C)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
成分(C)のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーはさらに、
(a)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを95〜97質量%と、
(b)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを3〜5質量%と
を含む。
各成分(a)および(b)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(C)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)および(b)の割合の合計は、100質量%である。
本発明の第三の対象は、
(A)基油を81.4〜98.97質量%と、
(B)平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを1〜3質量%と、
(C)平均炭素数が12.0〜13.0であり、かつ質量平均分子量Mが10,000〜100,000g/molであることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを0.03〜0.6質量%と、
(D)1種以上のさらなる添加剤を0〜15質量%と
を含む潤滑油組成物に関する。
各成分(A)、(B)、(C)および(D)の含分は、潤滑油組成物の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(A)、(B)、(C)および(D)の割合の合計は、100質量%である。
本発明による潤滑油組成物は、ASTM D7042に準拠して測定した場合にそのKV40値が低く、かつKV100値が高く、かつASTM D6616に準拠して測定した場合にそのHTHS100値が低く、かつその添加率が低いことを特徴とする。
SAE J300に準拠して0W20配合物に対して所定の2.6mPa・sのHTHS150目標値となるように配合した場合、本発明の潤滑油配合物は、33〜36mm/s(異なるPPDを用いた場合には33〜37mm/s)の範囲のKV40値を示す。
KV100値は、J300規格で定められているように6.9〜9.3mm/sの範囲にある。
本発明による潤滑油組成物はさらに、粘度指数(VI)が高いことを特徴とする。VIは、0W20配合物については少なくとも215であり、好ましくは215〜240の範囲にある。
好ましくは、1種以上の添加剤(D)の全濃度は、潤滑油組成物の全質量を基準として0.05〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。
本発明による好ましい潤滑油組成物は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(B)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
本発明によるさらに好ましい潤滑油組成物は、
(a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
(b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
(c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを10〜14質量%と
を含む上記のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(B)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
成分(C)はさらに、平均炭素数が12.5〜13.0であることを特徴とする。ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーの質量平均分子量は、好ましくは50,000〜90,000g/molの範囲にある。
成分(C)のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーはさらに、
(a)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを88〜98質量%と、
(b)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを2〜6質量%と、
(c)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを0〜10質量%と
を含む。
各成分(a)、(b)および(c)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(C)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)の割合の合計は、100質量%である。
成分(C)のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーはさらに、
(a)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを95〜97質量%と、
(b)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを3〜5質量%と
を含む。
各成分(a)および(b)の含分は、ポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマー(C)の全組成を基準とする。特定の一実施形態において、成分(a)および(b)の割合の合計は、100質量%である。
本発明による潤滑油組成物は、成分(D)として、従来のVI向上剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、流動点降下剤(上記で成分(C)として規定したもの以外のもの)、摩耗防止添加剤、極圧添加剤、摩擦調整剤、腐食防止添加剤、染料およびそれらの混合物からなる群から選択される、さらなる添加剤を含んでもよい。
従来のVI向上剤としては、水添スチレン−ジエンコポリマー(HSD、米国特許第4116917号明細書(US 4116917)、米国特許第3772196号明細書(US 3772196)および米国特許第4788316号明細書(US 4788316))、特にブタジエンおよびイソプレンをベースとするもの、ならびにオレフィンコポリマー(OCP, K. Marsden: “Literature Review of OCP Viscosity Modifiers”, Lubrication Science1(1988), 265)、特にポリ(エチレン−co−プロピレン)型のもの(これはしばしば分散作用を示すN/O官能型で存在する場合もある)、またはPAMA(これは通常は、分散剤、摩耗保護添加剤および/または摩擦調整剤として、好ましい添加剤作用を示してN官能型で存在する(ブースター))(独国特許出願公開第1520696号明細書(DE 1520696)、Roehm and Haas、国際公開第2006/007934号(WO 2006/007934)、RohMax Additives)が挙げられる。
潤滑油、特にモーター油向けのVI向上剤および流動点改善剤についての書籍は、例えば、T. Mang, W. Dresel(eds.);“Lubricants and Lubrication”, Wiley−VCH, Weinheim 2001: R. M. Mortier, S.T. Orszulik(eds.):“Chemistry and Technology of Lubricants”、Blackie Academic & Professional、London 1992;またはJ. Bartz:“Additive fuer Schmiserstoffe”, Expert−Verlag, Renningen−Malmsheim 1994に詳説されている。
適切な分散剤には、ポリ(イソブチレン)誘導体、例えばポリ(イソブチレン)スクシンイミド(PIBSI、ホウ素化PIBSIを含む);およびN/O官能性を有するエチレン・プロピレンオリゴマーが含まれる。
分散剤(ホウ素化分散剤を含む)は、好ましくは潤滑油組成物の全量を基準として0〜5質量%の量で使用される。
適切な消泡剤は、シリコーン油、フルオロシリコーン油、フルオロアルキルエーテル等である。
消泡剤は、好ましくは潤滑油組成物の全量を基準として0.005〜0.1質量%の量で使用される。
好ましい界面活性剤としては、金属含有化合物、例えばフェノキシド;サリチラート;チオホスホナート、特にチオピロホスホナート、チオホスホナートおよびホスホナート;スルホナートおよびカーボナートが挙げられる。金属として、これらの化合物は特に、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムを含有してもよい。これらの化合物は、好ましくは中性または過塩基化形態で使用することができる。
界面活性剤は、潤滑油組成物の全量を基準として好ましくは0.2〜1質量%の量で使用される。
適切な酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオナート;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオナート;2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等が挙げられる。中でも、ビス−フェノール系酸化防止剤およびエステル基含有フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
アミン系酸化防止剤としては、例えばモノアルキルジフェニルアミン、例えばモノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン等;ジアルキルジフェニルアミン、例えば4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミン等;ポリアルキルジフェニルアミン、例えばテトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン等;ナフチルアミン、具体的には、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミンおよびさらにアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、例えばブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミン等が挙げられる。中でも、ジフェニルアミンとしては、その酸化防止作用の観点からナフチルアミンが好ましい。
適切な酸化防止剤は、硫黄およびリンを含有する化合物、例えばジチオリン酸金属塩、例えばジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、「OOSトリエステル」=ジチオリン酸とオレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステルからの活性化された二重結合との反応生成物(燃焼時に無灰);有機硫黄化合物、例えばジアルキルスルフィド、ジアリールスルフィド、ポリスルフィド、変性チオール、チオフェン誘導体、ザンテート、チオグリコール、チオアルデヒド、硫黄含有カルボン酸;複素環式硫黄/窒素化合物、特にジアルキルジメルカプトチアジアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール;ビス(ジアルキルジチオカルバミン酸)亜鉛およびメチレンビス(ジアルキルジチオカルバマート);有機リン化合物、例えばトリアリールホスファイトおよびトリアルキルホスファイト;有機銅化合物、ならびに過塩基性カルシウム系およびマグネシウム系のフェノキシドおよびサリチラートからなる群からさらに選択されてもよい。
酸化防止剤は、潤滑油組成物の全量を基準として0〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の量で使用される。
流動点降下剤(上記で成分(C)として規定したもの以外のもの)には、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィン・ナフタレン縮合物、塩素化パラフィン・フェノール縮合物、ポリアルキルスチレン等が含まれる。流動点降下剤の量は、潤滑油組成物の全量を基準として好ましくは0.1〜5質量%である。
好ましい摩耗防止添加剤および極圧添加剤としては、硫黄含有化合物、例えばジチオリン酸亜鉛、ジ−C3〜12−アルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、リン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、ジスルフィド、硫化オレフィン、硫化油および脂肪、硫化エステル、チオカーボナート、チオカルバマート、ポリスルフィド等;リン含有化合物、例えばホスファイト、ホスファート、例えばトリアルキルホスファート、トリアリールホスファート、例えばトリクレシルホスファート、アミンで中和したモノアルキルホスファート、アミンで中和したジアルキルホスファート、エトキシル化モノアルキルホスファート、エトキシル化ジアルキルホスファート、ホスホナート、ホスフィン、それらの化合物のアミン塩または金属塩等;硫黄およびリン含有耐摩耗性剤、例えばチオホスファイト、チオホスファート、チオホスホナート、それらの化合物のアミン塩または金属塩等が挙げられる。
耐摩耗性剤は、潤滑油組成物の全量を基準として0〜3質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜0.9質量%の量で存在することができる。
使用される摩擦調整剤としては、機械的に活性な化合物、例えばモリブデンジスルフィド、グラファイト(フッ素化グラファイトを含む)、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリイミド;吸着層を形成する化合物、例えば長鎖カルボン酸、脂肪酸エステル、エーテル、アルコール、アミン、アミド、イミド;摩擦化学反応によって層を形成する化合物、例えば飽和脂肪酸、リン酸およびチオリン酸エステル、キサントゲナート、硫化脂肪酸;ポリマー様層を形成する化合物、例えばエトキシル化ジカルボン酸部分エステル、ジアルキルフタラート、メタクリラート、不飽和脂肪酸、硫化オレフィンまたは有機金属化合物、例えばモリブデン化合物(ジチオリン酸モリブデンおよびジチオカルバミン酸モリブデンMoDTC)ならびにZnDTPとのそれらの組合せ、銅含有有機化合物を挙げることができる。
摩擦調整剤は、潤滑油組成物の全量を基準として0〜6質量%、好ましくは0.05〜4質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の量で使用することができる。
上記に列記した一部の化合物は、複数の機能を果たし得る。ZnDTPは、例えば主に摩耗防止添加剤および極圧添加剤であるが、酸化防止剤および腐食防止剤(ここでは、金属不動態化剤/不活性化剤)の特性も示す。
上記に詳述された添加剤は、特にT. Mang, W. Dresel (eds.): “Lubricants and Lubrication”, Wiley−VCH, Weinheim 2001; R. M. Mortier, S. T. Orszulik (eds.): “Chemistry and Technology of Lubricants”に詳細に記載されている。
本発明によるポリアルキル(メタ)アクリラート系ポリマーは、フリーラジカル重合により、および制御されたフリーラジカル重合の関連する方法、例えばATRP(=原子移動ラジカル重合)またはRAFT(=可逆的付加開裂連鎖移動)により製造可能である。
標準的なフリーラジカル重合は、特に、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Editionに詳述されている。一般的には、重合開始剤および場合により連鎖移動剤がこの目的に使用される。
使用可能な開始剤としては、当技術分野で広く知られているアゾ開始剤、例えばAIBNおよび1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、およびペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノアート、ケトンペルオキシド、tert−ブチルペロクトアート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボナート、上記の2種以上の化合物同士の混合物、ならびに上記の化合物と、同様にフリーラジカルを形成し得る不特定の化合物との混合物が挙げられる。適切な連鎖移動剤は特に、油溶性メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタンもしくは2−メルカプトエタノールまたはテルペンのクラスの連鎖移動剤、例えばテルピノレンである。
ATRP法自体は公知である。これは、「リビング」フリーラジカル重合であると考えられるが、この機序の説明は何ら制限を意図するものではない。このプロセスにおいて、遷移金属化合物が移動性原子基を有する化合物と反応する。この反応は、移動性原子基の遷移金属化合物への移動によるものである。その結果、金属が酸化される。この反応によってフリーラジカルが形成され、これがエチレン性基に付加する。一方で、該原子基の遷移金属化合物への移動は可逆的であるため、該原子基は、成長中のポリマー鎖に戻される。その結果、制御された重合系が形成される。したがって、該ポリマーの形成、分子量および分子量分布を制御することができる。
この反応の概要は、例えばJ.−S. Wang, et al., J. Am. Chem. Soc, vol. 117, p. 5614−5615 (1995)、Matyjaszewski, Macromolecules, vol. 28, p. 7901−7910 (1995)に記載されている。加えて、国際公開第96/30421号(WO 96/30421)、同第97/47661号(WO 97/47661)、同第97/18247号(WO 97/18247)、同第98/40415号(WO 98/40415)および同第99/10387号(WO 99/10387)には、上記で説明したATRPの変形例が開示されている。加えて、本発明のポリマーを例えばRAFT法によって得ることもできる。この方法は、例えば国際公開第98/01478号(WO 98/01478)および同第2004/083169号(WO 2004/083169)に詳細に記載されている。
重合は、標準圧力下で行われてもよいし減圧下で行われてもよく、また昇圧下で行われてもよい。重合の温度も重要ではない。ただし総じて、重合の温度は、−20〜200℃の範囲にあり、好ましくは50〜150℃の範囲にあり、より好ましくは80〜130℃の範囲にある。
重合は、溶媒を使用して行われてもよいし溶媒を使用せずに行われてもよい。用語「溶媒」は、本明細書では広義に理解されるべきである。溶媒は、使用されるモノマーの極性に従って選択され、100Nの油、比較的軽質の軽油および/または芳香族炭化水素、例えばトルエンまたはキシレンを使用することが好ましい。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
実験の部
略語
AMA アルキルメタクリラート
ADVN 2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)−バレロニトリル
BMA C−アルキルメタクリラート=n−ブチルメタクリラート
Chevron 100R Chevron Neutral Oil 100R、Chevron社製のグループIIの基油、KV100 4.1cSt
Chevron 150R Chevron Neutral Oil 150R、Chevron社製のグループIIの基油、KV100 5.3cSt
DDM ドデカンチオール
DPMA C12〜15−アルキルメタクリラート(平均炭素数=13.4)、直鎖77%
GPC ゲル浸透クロマトグラフィー
IDMA C10−アルキルメタクリラート(イソデシルメタクリラート)、直鎖0%
HTHS100 100℃における高温高剪断粘度、ASTM D6616に準拠して測定
HTHS150 150℃における高温高剪断粘度、ASTM D4683に準拠して測定
KV ASTM D445に準拠して測定した動粘度
KV40 ASTM D7042に準拠して測定した40℃における動粘度
KV100 ASTM D7042に準拠して測定した100℃における動粘度
LMA ラウリルメタクリラート、C12が73%、C14が27%、すべて直鎖
MMA C−アルキルメタクリラート=メチルメタクリラート
数平均分子量
質量平均分子量
OLOA 55501 DI(分散剤抑制剤)PCMO用パッケージ、Oronite社より市販
PCMO 乗用車用モーター油
PDI 多分散度
PPD 流動点降下剤
SMA ステアリルメタクリラート、C14が6%、C16が30%、C18が64%、すべて直鎖
tBPO tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート
VI ISO 2909に準拠して測定した粘度指数
Yubase 4 SK Lubricants社製のグループIIIの基油、KV100は4.2cSt。
試験方法
本発明および比較例によるポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを、その分子量およびPDIに関して特性決定した。
ポリメチルメタクリラート校正物質を用いた40℃でのテトラヒドロフラン中でのRI(屈折率)検出器を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、質量平均分子量Mおよび数平均分子量Mを測定した。PSS−SDV Linear XL 10μ2カラムとPSS−SDV 100Aカラムとの組合せを使用した。流量は、1mL/分であった。注入体積は、100μLであった。
本発明および比較例によるポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを含む潤滑油組成物を、その粘度指数(VI)、ASTM D7042による40℃での動粘度(KV40)および100℃での動粘度(KV100)、ASTM D6616による100℃での高温高剪断粘度(HTHS100)、およびASTM D4683による150℃での高温高剪断粘度(HTHS150)に関して特性決定した。これらをさらに、ASTM D4684に準拠して−40℃での低剪断粘度および降伏応力を測定することにより、MRV(ミニロータリー粘度測定)低温ポンピング性について評価した。溶解性試験のために、ポリマー7.5質量%を、80℃で、75質量%のYubase 4と25質量%のPAO4との基油混合物に1時間溶解させた。その後、この溶液を25℃で1日保持し、次いで外観を観察した。
ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーの合成
ポリマーA〜Jの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、131gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて100℃に加熱した。
このフラスコに、60分間かけて全開始剤の10質量%を加えた。次いで、このフラスコに、60分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を45分間かけてこのフラスコに加えた。
供給終了の60分後に、このフラスコに0.41gのtBPOを加えた。この反応混合物を105℃で60分間保持し、次いで364gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、実施例ポリマーA〜Iおよび比較例ポリマーJを得た。ポリマーJの組成は、米国特許第5834408号明細書(US 5834408)の例10のモノマー組成に相当する。
ポリマーKの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、131gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて110℃に加熱した。
このフラスコに、60分間かけて全開始剤の15質量%を加えた。次いで、このフラスコに、60分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を45分間かけてこのフラスコに加えた。
この反応混合物を105℃で30分間保持し、次いで277gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーKを得た。
ポリマーLの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、200gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて100℃に加熱した。
このフラスコに、60分間かけて全開始剤の10質量%を加えた。次いで、このフラスコに、60分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を45分間かけてこのフラスコに加えた。
供給終了の60分後に、このフラスコに0.41gのtBPOを加えた。この反応混合物を105℃で60分間保持し、次いで294gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーLを得た。
ポリマーMの製造
比較例ポリマーMを、ポリマーAの製造について上記で開示したプロトコールに従って製造した。
ポリマーNの製造
ポリマーNは、米国特許第5834408号明細書(US 5834408)の例10に相当し、これを、該明細書に開示されているプロトコールに従って製造した(特に第5欄第50行〜第7欄第12行参照)。
ポリマーOの製造
ポリマーOの組成は、米国特許第5834408号明細書(US 5834408)の例10のモノマー組成に相当するが、ただし比較例ポリマーOを、ポリマーAの製造に関して上記で開示したプロトコールに従って製造した。ポリマーOは、ポリマーAと類似のMを有する。
ポリマーPの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、12gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて120℃に加熱した。
このフラスコに、30分間かけて全開始剤の10質量%を加えた。次いで、このフラスコに、40分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を30分間かけてこのフラスコに加えた。
この反応混合物を105℃で30分間保持した。次いで98gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーPを得た。
ポリマーQの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、98gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて100℃に加熱した。
このフラスコに、60分間かけて全開始剤の10質量%を加えた。次いで、このフラスコに、60分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を45分間かけてこのフラスコに加えた。
供給終了の60分後に、このフラスコに0.37gのtBPOを加えた。この反応混合物を105℃で60分間保持し、次いで14gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーQを得た。
ポリマーRの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、16gのChevron 150Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて120℃に加熱した。
このフラスコに、45分間かけて全開始剤の10質量%を加えた。次いで、このフラスコに、45分間かけて全開始剤フィード混合物の20質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げ、次いで、残りの開始剤フィード混合物を45分間かけてこのフラスコに加えた。
この反応混合物を105℃で30分間保持し、次いで158gのChevron 150Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーRを得た。
ポリマーSの製造
冷却器、スターラーおよび熱電対を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに、まず表1に示すモノマーとDDMとからなるモノマー混合物と、7gのChevron 100Rとを充填した。このモノマー混合物を、窒素ガス雰囲気下で30分間かけて120℃に加熱した。
このフラスコに、90分間かけて全開始剤の22質量%を加えた。次いで、このフラスコに、60分間かけて全開始剤フィード混合物の32質量%を加えた。その後、反応温度を105℃に上げた。次いで、残りの開始剤フィード混合物を52分間かけてこのフラスコに加えた。
この反応混合物を105℃で30分間保持した。次いで95gのChevron 100Rを加えて105℃で60分間撹拌して、比較例ポリマーSを得た。
表1に、実施例および比較例の製造に使用した反応混合物を示す。
得られるポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの正味の組成を、以下の表2にまとめる。モノマー含有量の合計は、100質量%である。DDMの量は、全モノマー含有量に対して与えられる。
Figure 0006756864
Figure 0006756864
得られたポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの特徴的な質量平均分子量M、数平均分子量M、多分散度(PDI)およびその平均炭素数を以下の表3にまとめる。
Figure 0006756864
ポリマーA〜Iは、本発明によるものである。すなわち、その組成、分子量および平均炭素数は、特許請求の範囲内にある。
平均炭素数が特許請求の範囲よりも高いことから、ポリマーJは比較例である。後述の配合結果から、エンジン油配合物におけるこのポリマーの性能は許容できないことが明らかである。
質量平均分子量Mおよび平均炭素数が特許請求の範囲外であることから、ポリマーKは比較例である。後述の配合結果から、エンジン油配合物におけるこのポリマーの性能は許容できないことが明らかである。
平均炭素数が特許請求の範囲外であることから、ポリマーLは比較例である。このポリマーは、エンジン油配合物に不溶であった。
質量平均分子量Mが特許請求の範囲外であることから、ポリマーMは比較例である。後述の配合結果から、エンジン油配合物におけるこのポリマーの性能は許容できないことが明らかである。
質量平均分子量Mおよび平均炭素数が特許請求の範囲外であることから、ポリマーNは比較例である。ポリマーNの組成および分子量は、米国特許第67469993号明細書(US 67469993)の実施例15に相当する。後述の配合結果から、エンジン油配合物におけるこのポリマーの性能は許容できないことが明らかである。
平均炭素数が特許請求の範囲外であることから、ポリマーOは比較例である。この組成物も同様に米国特許第67469993号明細書(US 67469993)の実施例15に相当するが、このポリマーをより高い分子量で製造した。後述の配合結果から、分子量をより高くしても、エンジン油配合物におけるこのポリマーの性能の向上にはつながらないことが明らかである。このポリマーはエンジン油配合物に不溶であった。
ポリマーA、F、G、HおよびIは、いずれも組成が同一であるが、質量平均分子量が異なる(表3に示すデータ参照)。組成が同一であることはまた、それらが同一の含有量のC18〜24(メタ)アクリラートを有し、そしてそれに基づいて同一の平均炭素数を有することを意味する。
0W20エンジン油配合物における対応するポリマーの性能に対するMの影響を示すために、ポリマーA、F、G、HおよびIと組成が同一であるがMがより低いポリマーMを製造した。表4bから分かるように、HTHS100値は、分子量が300,000g/molを上回る対応するポリマーのHTHS100値よりもはるかに高い。
比較例ポリマーNは、米国特許第6746993号明細書(US 6746993)の実施例15に相当する。0W20エンジン油配合物における性能を、表4bに示す(配合例14参照)。HTHS100値は、質量平均分子量が300,000g/mol以上であるポリマーのHTHS100値よりもはるかに高いことが分かる。この配合物は、降伏応力については合格であったが、著しく高いHTHS100値を有した。したがってこれは、燃料消費がポリマーA〜Iよりもはるかに高度であることを意味する。
が高いことのみが求められているわけではなく平均炭素数も重要な役割を果たすことを示すために、ポリマーNと組成が同一であるがMが高いポリマーOを製造した。このポリマーは、0W20エンジン油配合物には不溶であった(表4bに開示された配合例15参照)。
ポリマーP、Q、RおよびSは、異なる流動点降下剤PPDを表す。
ポリマーPは、本発明によるものである。すなわち、その組成、分子量および平均炭素数は、特許請求の範囲内にある。
ポリマーQは、ポリマーPと組成が同一であり、したがって平均炭素数も同一であるが、分子量がはるかに高いことから、比較例である。
ポリマーRおよびSは、その組成および平均炭素数が特許請求の範囲外であることから、比較例である。
配合物におけるVI向上剤の評価
潤滑油組成物のKV100およびHTHS100性能に対する、本発明により製造されたポリマーおよび比較例ポリマーの効果を実証するために、様々な配合例を製造して対応する値を測定した。SAE J300に準拠した0W20の配合目標を使用することによって、基油としてYubase 4を含有する配合物を製造した。すなわち、上記表2に記載の通りにポリマーを添加することによって、2.6mPa・sのHTHS150目標となるようにこれを配合した。得られた添加率は、本発明によるポリマーについて典型的には6〜8質量%であった。DIパッケージとして、市販のOLOA 55501を使用した。これを、いずれの例についても8.9質量%という通常の量で添加した。配合例はいずれも、ポリマーQをも含む。
特徴的なEO配合特性(KV100、HTHS100、HTHS80)を測定し、表4にまとめる。
Figure 0006756864
Figure 0006756864
Figure 0006756864
降伏応力について:見掛け粘度が≦60,000mPa・sで、かつ降伏応力が<35Paであれば、結果は合格とした。
配合物1〜9はポリマーA〜Iを含み、かつ本発明によるものである。それらはいずれも0W20配合物に可溶であり、そしていずれも5.0〜5.2mPa・sという比較的低いHTHS100値を示す。それとは対照的に、ポリマーJ〜Pを含む配合例10〜15は比較例であり、5.3〜5.8mPa・sという著しくより高いHTHS100値を示す。配合例1〜9はさらに、7.85〜8.93mm/sの範囲のKV100値および33.50〜35.39mm/sの範囲のKV40値を有する。
配合例12および15は、0W20配合物には不溶である。
最終配合物に対するPPDの影響を示すために、基油としてYubase 4を含む様々なPPDを使用することによって、またSAE J300に準拠した0W20の配合目標を使用することによって、さらなる配合例を製造した。すなわち、上記表2に記載の通りにポリマーおよびPPDを添加することによって、2.6mPa・sのHTHS150目標となるようにこれを配合した。DIパッケージとして、市販のOLOA 55501を使用した。これを、いずれの例についても8.9質量%という通常の量で添加した。特徴的なEO配合特性(KV100、HTHS100、HTHS80)を測定し、表5にまとめる。
Figure 0006756864
配合例16に関して、ポリマーA(VII)およびポリマーP(PPD)は、本発明によるものである。すなわち、その組成、分子量および平均炭素数は特許請求の範囲内である。
配合例17〜19に関して、PPDとしてのポリマーQ、R、Sは、本発明によらない。すなわち、分子量および/または平均炭素数は、特許請求の範囲外である。
配合物16は、降伏応力なしで、5.0〜5.2mPa・sという比較的低いHTHS100値および60,000mPa・sより低いMRVを示す。しかし、配合例17〜19はいずれも降伏応力に関して不合格であった。

Claims (18)

  1. 直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%含むポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーにおいて、平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であり、前記平均炭素数は、モル炭素数に相当し、コポリマーの組成に基づいて算出されるものであり、かつ前記質量平均分子量Mは、ポリメチルメタクリラート校正物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものであることを特徴とする、ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  2. 直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを10〜14質量%含む、請求項1記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  3. (a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
    (b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
    (c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
    を含む、請求項1記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  4. (a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
    (b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
    (c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを10〜14質量%と
    を含む、請求項1記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  5. 300,000〜1,000,000g/molの範囲の質量平均分子量Mを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  6. 100,000〜300,000g/molの範囲の数平均分子量Mを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  7. 100,000〜200,000g/molの範囲の数平均分子量Mを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー。
  8. (A)基油を60〜80質量%と、
    (B)平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であることを特徴とする、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%含むポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを20〜40質量%と
    を含み、前記平均炭素数は、モル炭素数に相当し、コポリマーの組成に基づいて算出されるものであり、かつ前記質量平均分子量Mは、ポリメチルメタクリラート校正物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである、添加剤組成物。
  9. さらに、
    (C)平均炭素数が12.0〜13.0であり、かつ質量平均分子量Mが10,000〜100,000g/molであることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを、前記添加剤組成物の全質量を基準として0〜3質量%
    含む、請求項8記載の添加剤組成物。
  10. 前記基油(A)は、APIグループI、II、III、IVおよびVの油ならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8または9記載の添加剤組成物。
  11. 前記基油(A)は、ASTM D445に準拠して測定した場合に、3〜5mm/sのKV100を有することを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項記載の添加剤組成物。
  12. 前記ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)は、
    (a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
    (b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
    (c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
    を含むことを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載の添加剤組成物。
  13. 成分(C)のポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーはさらに、
    (a)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを88〜98質量%と、
    (b)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを2〜6質量%と、
    (c)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを0〜10質量%と
    を含むことを特徴とする、請求項記載の添加剤組成物。
  14. 潤滑油組成物の所定のHTHS150でのKV100を維持しつつHTHS100を減少させる方法であって、
    (a)請求項8から13までのいずれか1項記載の添加剤組成物を潤滑油組成物に添加するステップと、
    (b)前記潤滑油組成物のKV100を維持しつつHTHS100を減少させるステップと
    を含む、方法。
  15. 潤滑油組成物の全質量を基準として、
    (A)基油を81.4〜98.97質量%と、
    (B)平均炭素数が7.0〜7.5であり、かつ質量平均分子量Mが300,000g/mol以上であることを特徴とする、直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%含むポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを1〜3質量%と、
    (C)平均炭素数が12.0〜13.0であり、かつ質量平均分子量Mが10,000〜100,000g/molであることを特徴とするポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマーを0.03〜0.6質量%と、
    (D)1種以上のさらなる添加剤を0〜15質量%と
    を含み、前記平均炭素数は、モル炭素数に相当し、コポリマーの組成に基づいて算出されるものであり、かつ前記質量平均分子量Mは、ポリメチルメタクリラート校正物質を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである、潤滑油組成物。
  16. 前記ポリアルキル(メタ)アクリラート系コポリマー(B)は、
    (a)直鎖または分枝鎖C1〜4アルキル(メタ)アクリラートを20〜35質量%と、
    (b)直鎖または分枝鎖C10〜16アルキル(メタ)アクリラートを50〜65質量%と、
    (c)直鎖C18〜24アルキル(メタ)アクリラートを7〜15質量%と
    を含むことを特徴とする、請求項15記載の潤滑油組成物。
  17. 成分(D)は、慣用のVI向上剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、流動点降下剤、摩耗防止添加剤、極圧添加剤、摩擦調整剤、腐食防止添加剤、染料およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15または16記載の潤滑油組成物。
  18. 潤滑油組成物が、エンジン油配合物であることを特徴とする、請求項14記載の方法。
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