以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明に係る撮像ユニットを含むシステムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡システムについて説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。図1に示す内視鏡システム1は、被検体内に先端部を挿入することによって被検体の体内画像を撮像する内視鏡2と、内視鏡2の先端から出射する照明光を発生する光源装置3と、内視鏡2が撮像した撮像信号に所定の信号処理を施すとともに、内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する処理装置4と、処理装置4の信号処理により生成された体内画像を表示する表示装置5と、を備える。
内視鏡2は、可撓性を有する細長形状をなす挿入部21と、挿入部21の基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部22と、操作部22から挿入部21が延びる方向と異なる方向に延び、光源装置3および処理装置4に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード23と、を備える。
挿入部21は、光を受光して光電変換を行うことにより信号を生成する画素が2次元状に配列された撮像素子を内蔵した先端部211と、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部212と、湾曲部212の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部213と、を有する。挿入部21は、被検体内に挿入され、外光の届かない位置にある生体組織などの被写体を撮像素子によって撮像する。
先端部211には、グラスファイバ等を用いて構成されて光源装置3が発光した光の導光路をなすライトガイドや、このライトガイドの先端に設けられた照明レンズが設けられるとともに、集光用の光学系や、光学系の結像位置に設けられ、光学系が集光した光を受光して電気信号に光電変換して所定の信号処理を施す撮像素子を有する後述する撮像ユニットが設けられている。光学系は、一または複数のレンズを用いて構成され、画角を変化させる光学ズーム機能および焦点を変化させるフォーカス機能を有する。
操作部22には、挿入部21が延出する折れ止部221と、下部側の側部に配設される鉗子口222と、中途部のグリップ部を構成する操作部本体223と、後述の撮像ユニット内に設けられた移動レンズを進退操作して、例えば、ピント調整のフォーカシング機能またはワイド/テレなどの倍率調整を行うズーミング機能を操作するための操作レバー224と、上部側に設けられた2つの湾曲操作ノブ225a,225bからなる湾曲操作部225と、送気送水制御部226と、吸引制御部227と、複数のスイッチから構成された主に撮像機能を操作するスイッチ部228と、が設けられている。なお、操作部22の鉗子口222は、先端部211の先端開口部まで主に挿入部21内に挿通配置された図示しない処置具チャンネルの開口部を構成している。
ユニバーサルコード23は、照明光を導光するライトガイドや、一または複数の信号線をまとめた集合ケーブルを少なくとも内蔵している。集合ケーブルは、撮像信号を伝送するための信号線や、撮像素子を駆動するための駆動信号を伝送するための信号線、内視鏡2に関する固有情報などを含む情報を送受信するための信号線を含む。ユニバーサルコード23は、コネクタ部23aを介して光源装置3および処理装置4に接続している。
内視鏡2の先端部211の構成について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図であって、撮像ユニットの構成を説明する部分断面図である。図2では、光学装置6は側面からみた模式図で示している。図2に示すように、先端部211の内部には、観察光学系やイメージセンサを備えた光学装置6が配設されている。この光学装置6は、硬質な先端硬性部材211aに挿嵌配置され、側面方向からセットビス211bにより先端硬性部材211aと固定されている。
また、光学装置6の先端側の外周部には、先端硬性部材211aとの水密を確保するためのOリング211cが配設されている。先端硬性部材211aの先端側には、先端部211の先端面を構成する先端カバー211dが接着固定されている。
なお、先端カバー211dに形成される孔部である先端開口部は、上述したように、先端部211内の処置具チャンネル214の開口部を構成する。
また、先端硬性部材211aの基端側には湾曲部212を構成する複数の湾曲駒212aが連設され、これら先端硬性部材211aおよび湾曲駒212aの外周部は、先端挿入部ゴム部材215によって一体的に被覆されている。この先端挿入部ゴム部材215の先端側外周部は、糸巻接着部211eにより、先端硬性部材211aに固定されている。
なお、先端部211に配設される洗浄チューブ、照明用のライトガイドバンドルなどの部材については、従来から周知な構成であるため、それらの説明を省略する。
続いて、光学装置6の構成について、図3〜図6を参照して説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図であって、第1の光学特性を有する場合の撮像ユニットの構成を説明する断面図である。図4は、図3に示すA−A線に対応する断面図である。図5は、図3に示すB−B線に対応する断面図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図であって、第2の光学特性を有する場合の撮像ユニットの構成を説明する断面図である。先端部211の内部には、図2に示すような光学装置6及びアクチュエータ7が配設されている。光学装置6は、先端部211において、例えば、硬質な先端硬性部材に挿嵌配置され、側面方向からセットビスにより先端硬性部材と固定されている。アクチュエータ7は、移動枠62が移動する駆動力を発生させる。本明細書では、光学装置6とアクチュエータ7とにより、撮像ユニットを構成するものとして説明する。
光学装置6は、対物レンズL11やレンズL12,L13を保持する前枠61と、撮影倍率を変更するズームや、フォーカスを合わせるためのレンズL21を保持し、当該光学装置6の光軸Nに沿って移動可能な移動枠62と、移動枠62の摺動面及び先端側の当接面を有するガイド枠63と、レンズL31及びイメージセンサSを保持するセンサ枠64と、前枠61及びレンズL41を保持するとともに、ガイド枠63を保持する保持枠65と、を備えている。また、光学装置6は、アクチュエータ7の一部を把持する把持部66と、アクチュエータ7の先端、及び把持部66を被覆するカバー67とを有する。保持枠65は、センサ枠64に接続している。本実施の形態1では、対物レンズL11、レンズL12,L13,L21,L31,L41により、観察光学系を構成している。なお、本実施の形態1では、対物レンズL11、レンズL12,L13,L21,L31,L41が、光学パワーを有するレンズであるものとして説明する。光学パワーを有するレンズとは、光を屈折させる性能を有するレンズのことをいう。
イメージセンサSの前面側、具体的には光を受光する受光面側には、レンズL31や芯出しカバーガラスL32などの光学部材が設けられている。芯出しカバーガラスL32は、例えば、光透過性を有する接着剤によってイメージセンサSの受光面側に固着されている。また、イメージセンサSの背面側には、操作部22などに設けられたコネクタと電気的に接続しているFPC(図示せず)などが電気的に接続されている。なお、本実施の形態1において、芯出しカバーガラスL32は、観察光学系を構成するものではなく、光学パワーを有しない光学部材であるものとして説明する。
イメージセンサSは、対物レンズL11などを通過した光を光電変換して電気信号(撮像信号)を生成する。具体的には、イメージセンサSは、光量に応じた電荷を蓄積するフォトダイオードや、フォトダイオードから転送される電荷を電圧レベルに変換するコンデンサなどをそれぞれ有する複数の画素がマトリックス状に配列され、各画素が光を光電変換して電気信号を生成し、複数の画素のうち読み出し対象として任意に設定された画素が生成した電気信号を順次読み出して、撮像信号として出力する。イメージセンサSは、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて実現される。
ここで、イメージセンサSの背面側には、積層基板216が、図示しないFPCなど
を介して電気的に接続されている。さらに、積層基板216には、ケーブル217から分岐した複数の通信線が接続されている。このケーブル217は、内視鏡2の内部に挿通配置されており、ユニバーサルコード23を介して、ビデオプロセッサと電気的に接続される。
また、光学装置6の基端側外周部には補強枠218aが連設され、この補強枠218aの外周には、ケーブル217の先端部分まで被覆する熱収縮チューブ218bが設けられている。
なお、光学装置6の基端部分から補強枠218aおよび熱収縮チューブ218bによって形成された中空空間には、積層基板216などを水密保持するとともに、保護するための接着剤などの保護剤219が充填されている。
前枠61は、筒状をなす固定枠であり、上述した対物レンズL11やレンズL12,L13を内部で保持している。
移動枠62は、筒状をなす本体部62aと、本体部62aの該側面から延出してなり、アクチュエータ7の端部が当接する操作桿62bと、操作桿62bのアクチュエータ7が当接する側と反対側の面から突出する円柱状の軸部材62cとを有する。本体部62aは、内部でレンズL21を保持するとともに、前枠61の一部を収容可能な孔をなす第1収容部621と、保持枠65が保持するレンズL41の一部を収容可能な孔をなす第2収容部622とを有する。
ここで、移動枠62は、光軸Nの方向の長さを十分に確保して、固定枠(すなわち、前枠61及び保持枠65)に対するチルトを防止するため、レンズL21よりも先端側及び基端側が光軸Nに沿って延設されている。移動枠62は、第1収容部621の内径が前枠61のレンズL13を保持する部分の外径よりも大きく、移動枠62が前枠61側に位置する際に、前枠61の移動枠62側の端部、及び移動枠62の前枠61側の端部がオーバーラップすることが可能となっている。
ガイド枠63は、移動枠62と保持枠65との間に設けられ、移動枠62と保持枠65との間のクリアランスを埋めるとともに、移動枠62が保持するレンズL21の光軸Nが、光学装置6の光軸Nからずれないようにガイドする。ガイド枠63は、筒状をなす本体部63aと、本体部63aの該側面から延出してなり、移動枠62の操作桿62bが当接するストッパ63bと、移動枠62を光軸Nに沿った方向であって、イメージセンサS側に移動させる付勢力を与えるリターンスプリング63cとを有する。ストッパ63bには、リターンスプリング63cおよび軸部材62cの一部を収容可能な穴部631が形成されている。
ガイド枠63には、その内周側と外周側とを貫通するスリット632が設けられている。このスリット632は、保持枠65のスリット651に重畳するよう光軸Nに沿って延びており、基端側はガイド枠63の基端において開放されている。ここで、ガイド枠63は、光軸Nに沿った長さを十分に確保して保持枠65に対するチルトを防止するため、その基端側がレンズL41の近傍まで延出されている。
本実施の形態1では、移動枠62は、ガイド枠63の内周面に摺接され、光軸Nの方向に沿ってガイドされる。すなわち、移動枠62は、保持枠65の内部にガイド枠63を介して摺接され、光軸Nに沿った方向(図3の矢印Y)への進退移動が可能となっている。
操作桿62bは、保持枠65のスリット651及びガイド枠63のスリット632を介して保持枠65の外周側に突出し、ストッパ63bに対向している。この操作桿62bには、ストッパ63bとの対向面側に、穴部631に対向する軸受部623が設けられ、この軸受部623には穴部631内に突出する軸部材62cが保持されている。さらに、軸部材62cの外周には、一端側が穴部631内に保持されたリターンスプリング63cが巻装され、このリターンスプリング63cによって、操作桿62bはイメージセンサS側に付勢されている。
センサ枠64は、有底筒状をなす本体部64aからなる。センサ枠64の底部には、レンズL31が挿嵌される孔をなすレンズ保持孔641が設けられている。また、センサ枠64の外周には、把持部66の一部を収容可能な凹形状をなす凹部642が形成されている。
保持枠65は、筒状をなす本体部65aからなる。本体部65aは、先端側で前枠61と接続するとともに、基端側でセンサ枠64と接続している。また、本体部65aは、内部でガイド枠を保持している。
ここで、センサ枠64及び保持枠65は、互いに対向する側の端部がオーバーラップすることにより接続している。本実施の形態1では、センサ枠64が、観察光学系の一部をなすレンズL31を保持している。このため、レンズL31が保持枠65側で保持されている場合と比して、観察光学系における絞り位置が、センサ枠64側に移動する。換言すれば、センサ枠64が、観察光学系における絞り位置側に移動する。これにより、撮像ユニットの光軸方向の小型化、すなわち先端部211における硬質長の短縮が可能となり、内視鏡2の操作性を向上させることができる。
また、保持枠65には、その内周側と外周側とを貫通するスリット651が設けられている。このスリット651は、光軸Nに沿って延びており、先端側が保持枠65の先端において開放されている。スリット651は、光軸Nの方向の端部であって、イメージセンサS側の端部において操作桿62bが当接可能である。すなわち、移動枠62は、ストッパ63bとスリット651との間で往復移動が可能である。
把持部66は、センサ枠64の凹部642に収容される凸状をなす凸部66aを有する。凸部66aは、凹部642が形成する中空空間よりも小さい。このため、凸部66aは、凹部642の内部において、三次元的に配置することが可能であり、決定した位置において、接着剤等によって固着される。また、把持部66には、アクチュエータ7の一部を保持するアクチュエータ保持孔661が形成されている。
カバー67は、操作桿62b及びストッパ63bにおける保持枠65からの突端側に設けられており、スリット632,651を水密に閉塞する。
アクチュエータ7は、先端側が、把持部66のアクチュエータ保持孔661に保持されたガイド管71を有する。このガイド管71内には、当該ガイド管71の先端から突没自在なプッシュロッド72が設けられ、このプッシュロッド72の先端には、操作桿62bに対して接離可能に当接する当接部材としてのヘッド部73が固設されている。ヘッド部73は、保持枠65に固定されている調整リング80に挿通されている。調整リング80は、ヘッド部73を内部で摺動させることでヘッド部73の移動方向を案内している。
また、プッシュロッド72には、ガイド管71内に挿通された駆動ワイヤ74の先端側が連結され、この駆動ワイヤ74の基端側には、形状記憶合金からなる形状記憶素子75(図2参照)が連結されている。さらに、ガイド管71内において、駆動ワイヤ74の外周側には、リターンスプリング63cよりも強い付勢力にてプッシュロッド72をストッパ63b側に付勢するためのプッシュスプリング76が巻装されている。
形状記憶素子75は、例えば、加熱時に収縮され、且つ、冷却時に伸張するよう設定されており、ガイド管71内において伸縮可能な状態にて保持されている。また、形状記憶素子75には図示しないペルチェ素子等の熱源が併設されており、この熱源は、操作レバー224に対する操作状態に応じて、形状記憶素子75を加熱或いは冷却することが可能となっている。
そして、形状記憶素子75は、冷却によって伸張すると、プッシュスプリング76の付勢力を解放する方向(すなわち、光軸Nに沿う先端側の方向)に駆動ワイヤ74を動作させる。これにより、プッシュロッド72の先端側は、ガイド管71から突出され、リターンスプリング63cの付勢力に抗して操作桿62bを押圧する。これにより、操作桿62bは、ストッパ63bに当接する位置まで移動する。この操作桿62bの移動に伴い、移動枠62は、予め設定された第1の焦点距離(第1の光学特性)を実現するための進出位置までレンズL21を移動させる(図3参照)。
一方、形状記憶素子75は、加熱によって収縮すると、プッシュスプリング76の付勢力に抗する方向(すなわち、光軸Nに沿う基端側の方向)に駆動ワイヤ74を動作させる。これにより、プッシュロッド72の先端側は、ガイド管71内に退避される。これにより、操作桿62bは、リターンスプリング63cに付勢されて調整リング80に当接する位置まで移動する。この操作桿62bの移動に伴い、移動枠62は、予め設定された第2の焦点距離(第2の光学特性)を実現するための退避位置までレンズL21を移動させる(図6参照)。その際、移動枠62の基端側は、保持枠65に保持されているレンズL41と干渉することなくオーバーラップする。
以上説明したように構成された光学装置6において、第1の焦点距離を実現するためのレンズL21の進出位置は、例えば、光学装置6の組立時に、各固定枠等の相対位置が調整されることにより、微調整される。すなわち、光学装置6を組み立てる際には、操作桿62bがストッパ63bに当接された状態において、前枠61、ガイド枠63、及び保持枠65は、光学特性を確認しながら互いの相対位置が位置決めされ、接着剤等を介して固定される。
一方、第2の焦点距離を実現するためのレンズL21の退避位置は、例えば、前枠61、ガイド枠63、及び保持枠65が位置決め固定された後に、保持枠65上における調整リング80の光軸Nの方向の位置が調整されることにより、微調整される。すなわち、レンズL21の退避位置を調整する際には、操作桿62bが調整リング80に当接された状態において、光学特性を確認しながら調整リング80を図示しない治具で位置調整し、操作桿62bと調整リング80との当接位置を変化させることによって調整される。そして、このように、移動枠62の保持枠65上における光軸Nの方向の位置を適正な位置に調整した状態にて、調整リング80は、保持枠65の外周面に、接着剤等を介して固定される。
光学装置6の製造において、規定の光学特性になるように前枠61、移動枠62及び保持枠65の位置が三次元的に調整されると、アクチュエータ7のヘッド部73が操作桿62bに当接する位置の調整を行う。この際、例えば、まず、アクチュエータ保持孔661にガイド管71を挿通し、その後、ガイド管71にプッシュロッド72を挿通する。プッシュロッド72の先端にヘッド部73を取り付けた後、把持部66の凸部66aが凹部642に収容された状態で、操作桿62bに対するヘッド部73の位置を決定する。その後、この決定した位置における凸部66aと凹部642との位置関係で、凸部66aを凹部642に固着させる。凸部66aと凹部642とは、例えば接着剤により固定される。なお、位置関係を保持しつつ凸部66aを凹部642に固着させることができれば、この他の接着手段を用いることができる。その後、カバー67でストッパ63b等を覆うことによって、スリット632,651を水密に閉塞する。
これにより、光学装置6において、レンズの個体差や保持位置によって、前枠61、移動枠62、センサ枠64及び保持枠65の相対的な位置関係が光学装置6の間で異なる場合であっても、操作稈62bに対するヘッド部73の当接位置を調整してアクチュエータ7を配設することができる。
上述した本発明の実施の形態1によれば、センサ枠64に対し、アクチュエータ7を把持する把持部66を別体として、センサ枠64に対する把持部66の固定位置を調整可能としたので、前枠61、移動枠62及びガイド枠63が一体に固定された保持枠65と、イメージセンサSを保持するセンサ枠64との位置調整を行うことによって、光軸Nと垂直な方向における枠の相対的な位置関係が光学装置6の間でずれた場合であっても、それぞれの装置において操作稈62bに対するヘッド部73の当接位置を調整して、移動枠62が光軸に対して傾斜しないように操作桿62bをプッシュすることが可能である。この結果、本実施の形態1に係る光学装置6によれば、観察光の伝達経路を高精度に調整することができ、この光学装置6を備えた内視鏡により生成された画像の画質の劣化を抑制することができる。
また、上述した本実施の形態1によれば、把持部66を介してセンサ枠64にアクチュエータ7を固定するようにしたので、例えば、保持枠65にアクチュエータ7を固定する場合と比して、センサ枠64に加わる保持枠65の煽り力を小さくすることができる。これにより、保持枠65の煽り力によるセンサ枠64の変形を抑制する。なお、保持枠65にアクチュエータ7を固定する場合に、センサ枠64に加わる保持枠65の煽り力が大きくなると、該煽り力によりセンサ枠64が変形するとともに、煽り力による荷重が芯出しカバーガラスL32とイメージセンサSとの間の接着部分に加わる。これにより、イメージセンサSから芯出しカバーガラスL32が剥離してしまうおそれがあった。これに対し、本実施の形態1では、煽り力により芯出しカバーガラスL32とイメージセンサSとの間の接着部分に加わる荷重が小さいため、イメージセンサSから芯出しカバーガラスL32が剥離してしまうことを抑制できる。
また、上述した実施の形態1では、光源装置3が、処理装置4とは別体であるものとして説明したが、光源装置3と処理装置4とが一体であってもよい。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、把持部66とカバー67とが別体であるものとして説明したが、把持部とカバーとを一体化してもよい。図7は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図であって、撮像ユニットの構成を説明する断面図である。図8は、図7に示すC−C線に対応する断面図である。なお、上述した構成要素と同じ構成要素には、同一の符号が付してある。
本実施の形態2に係る光学装置6Aは、上述した実施の形態1に係る光学装置6の構成に対し、把持部66及びカバー67に代えて、把持部を一体化したカバー68を備える。カバー68は、図7,8に示すように、上述した把持部66の機能を担う把持部68aと、該把持部68aを含み、操作桿62b及びストッパ63bにおける保持枠65からの突端側に設けられており、スリット632,651を水密に閉塞するカバー部68bとを有する。
把持部68aは、センサ枠64の凹部642に収容される凸状をなす凸部68cを有する。凸部68cは、凸部66aと同様に、凹部642が形成する中空空間よりも小さい。また、把持部68aには、アクチュエータ7の一部を保持するアクチュエータ保持孔681が形成されている。
本実施の形態2においても、光学装置6Aを製造する際、前枠61、移動枠62、センサ枠64、及び保持枠65の位置が決定されると、アクチュエータ7のヘッド部73が操作桿62bに当接する位置の調整を行う。この際、例えば、まず、アクチュエータ保持孔681にガイド管71を挿通し、その後、ガイド管71にプッシュロッド72を挿通する。プッシュロッド72の先端にヘッド部73を取り付けた後、把持部68aの凸部68cが凹部642に収容された状態で、操作桿62bに対するヘッド部73の位置を決定する。その後、この決定した位置における凸部68cと凹部642との位置関係で、凸部68cを凹部642に固着させる。凸部68cと凹部642とは、例えば接着剤により固定される。その後、カバー部68bでストッパ63b等を覆うことによって、スリット632,651を水密に閉塞する。
上述した本発明の実施の形態2によれば、センサ枠64に対し、アクチュエータ7を把持する把持部68aを別体として、センサ枠64に対する把持部68aの固定位置を調整可能としたので、前枠61、移動枠62及びガイド枠63が一体に固定された保持枠65と、イメージセンサSを保持するセンサ枠64との位置調整を行うことによって、光軸Nと垂直な方向における枠の相対的な位置関係が光学装置6の間でずれた場合であっても、それぞれの装置において操作稈62bに対するヘッド部73の当接位置を調整して、移動枠62が光軸に対して傾斜しないように操作桿62bをプッシュすることが可能である。この結果、本実施の形態1に係る光学装置6によれば、観察光の伝達経路を高精度に調整することができ、この光学装置6を備えた内視鏡により生成された画像の画質の劣化を抑制することができる。
また、上述した本実施の形態2によれば、把持部68aとカバー部68bとを一体化するようにしたので、カバー部68bの内部の水密性を一段と確実に確保できるとともに、光学装置6の製造における部品点数を削減することができる。
なお、上述した本実施の形態1,2では、センサ枠64が、レンズL31を保持しているものとして説明したが、移動枠62や保持枠65がレンズL31を保持するなど、センサ枠64が、芯出しカバーガラスL32のみを保持するものであってもよい。各枠が保持するレンズは、上述した構成に限らず、内視鏡2の特性に応じて、枚数やレンズの種類が選択され、配置される。
また、上述した本実施の形態1,2では、把持部66とガイド管71とが別体であるものとして説明したが、把持部66に対してガイド管71を一体化してもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、センサ枠と把持部とが一体であり、センサ枠が、光学パワーを有するレンズを保持している。図9は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図であって、撮像ユニットの構成を説明する断面図である。なお、上述した構成要素と同じ構成要素には、同一の符号が付してある。
本実施の形態3に係る光学装置6Bは、上述した実施の形態1に係る光学装置6の構成に対し、センサ枠64及び把持部66に代えて、把持部を一体化したセンサ枠69を備える。
センサ枠69は、有底筒状をなす本体部69aと、上述した把持部66の機能を担う把持部69bとを備える。すなわち、センサ枠69は、上述した把持部66の機能を担う把持部69bが一体的に設けられた構成となっている。センサ枠69は、芯出しカバーガラスL32を介してイメージセンサSを保持する。センサ枠69の底部には、光学パワーを有するレンズL31が挿嵌される孔をなすレンズ保持孔691が設けられている。また、把持部69bには、アクチュエータ7の一部を保持するアクチュエータ保持孔692が形成されている。なお、レンズL31は、凸レンズ系の正の光学パワーを有するレンズであってもよいし、凹レンズ系の負の光学パワーを有するレンズであってもよい。
ここで、一般的な撮像ユニットでは、センサ枠が、芯出しカバーガラスL32のみを保持している。これに対し、本実施の形態3に係る光学装置6Bは、イメージセンサSに光を結像させるレンズをセンサ枠69が保持して、配置を固定しているため、従来の撮像ユニットの構成と比して、製造時のピント調整精度を向上させることができる。
また、上述した実施の形態では、本発明に係る撮像ユニットが、観察対象が被検体内の生体組織などである内視鏡2を用いた内視鏡システム1の観察光学系として機能するものとして説明したが、材料の特性を観測する工業用の内視鏡や、カプセル型の内視鏡を用いた内視鏡システムであっても適用できる。本発明に係る撮像ユニットは、体内、体外を問わず適用可能である。
以上のように、本発明に係る撮像ユニット及び内視鏡は、レンズを保持する枠同士の位置がずれた場合であっても、画質の劣化を抑制するのに有用である。