プロドラッグ戦略を薬物開発の分野で採用して薬物動態プロファイルを改善する場合、プロドラッグは通常、生物活性を示すことに先立って非特異的な分解又は酵素が介在する生体内変化を介して親化合物に復帰することが予想される。本発明は、薬剤のリンパ輸送を促進し、且つ化合物の活性がある薬剤への復帰を改善することができる修飾されたグリセリド系化合物を開示する。
トリグリセリドのような食物脂質は独特の代謝経路を用いて、タンパク質や炭水化物のような他の栄養素とは全く異なるリンパ(及び最終的には全身の循環)へのアクセスを獲得する。摂取の後、食物トリグリセリドは腸管リパーゼによって加水分解され、トリグリセリドの各分子についてモノグリセリド1つと脂肪酸2つを放出する。モノグリセリド及び2つの脂肪酸は腸細胞に吸収されて、そこでそれらはトリグリセリドに再エステル化される。
再合成されたトリグリセリドは腸管リポタンパク質(主としてカイロミクロン)に組み立てられ、そのように形成されたカイロミクロンは腸細胞からエクソサイトーシスされ、その後、腸管リンパ管への優先的なアクセスを獲得する。リンパ管の中で、カイロミクロンの形態での脂質は、一連の毛細管、結節及び管から流出し、左鎖骨下静脈と内頸静脈の接合部で体循環に注ぐ。血液循環に入ったことに続いて、カイロミクロンでのトリグリセリドは、リポタンパク質リパーゼの発現が高い組織、たとえば、脂肪組織、肝臓及び潜在的に特定の型の腫瘍組織によって優先的に且つ効率的に取り込まれる。
脂質模倣化合物は、天然のトリグリセリドに類似して挙動し、体循環に達する前にリンパ系に輸送され、それを介して輸送されることが予想される。このようにして、親薬剤の薬物動態及び薬物力学のプロファイルを操作してリンパ組織及びリンパ系組織へのアクセスを向上させ、それによって初回通過代謝(及び可能性のある腸流出)の回避を介して経口での生体利用効率を促進してもよい。脂質模倣化合物は、リンパ、リンパ節及びリンパ系組織内での部位への、及び、たとえば、脂肪組織や一部の腫瘍のような脂質利用やリポタンパク質リパーゼの発現が高い部位への薬物ターゲティングも促進してもよい。
体循環を介した輸送の後、親薬物に容易に変換する脂質化プロドラッグは、消化(GI)管での遊離の薬物濃度を低下させ、それは、消化管の刺激を軽減すること、味覚マスキング、腸管での胆汁塩ミセルでの薬物の可溶化を促進すること(内在性のモノグリセリドとの類似性のゆえに)、及び受動性の膜透過性を向上させること(親油性を高めることによる)において利益を提供してもよい。脂質化されたプロドラッグは、脂質を単独を含む、又は脂質の界面活性剤及び/又は共溶媒との混合物を含む脂質小胞にて溶解性を高め、そうして、親薬物について可能であるものよりも、溶液で薬物が投与されるより高い用量を可能にする。
本発明者らは驚くべきことに、薬剤をグリセリド単位に連結する薬物−グリセリド結合体の部分が修飾されて、消化管における薬物−グリセリド結合体の安定性を改善し、腸管リンパへの輸送を促進し、最終的に薬剤/グリセリドプロドラッグからの薬剤の放出を促進することができることを見いだした。従って、薬剤をグリセリド単位に連結する「リンカー」を変えることによって、得られる化合物について最適な薬物動態プロファイルを達成することができる。
本明細書では、特に定義されない限り、用語「置換されていてもよい」は、基がヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アミノ、アミノアシル、チオ、アリールアルキル、アリールアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アシルアミノ、カルボキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、スルホ、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、トリハロメチル、ペンタフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメタンチオ、トリフルオロエテニル、モノ−及びジ−アルキルアミノ、モノ−及びジ−(置換されたアルキル)アミノ、モノ−及びジ−アリールアミノ、モノ−及びジ−ヘテロアリールアミノ、モノ−及びジ−ヘテロシクリル、アミノ、並びにアルキル、アリールヘテロアリール及びヘテロシクリルから選択される異なる置換基を有する非対称ジ−置換されたアミンから選択される1以上の基によってさらに置換されてもよいし、置換されなくてもよいことを意味するように解釈される。
本明細書で使用されるとき、単独で又は複合語にて使用される用語「アルケニル」は、エチレン性のモノ−、ジ−又はポリ−不飽和の、前に定義されたようなアルキルを含む少なくとも1つの炭素に対する炭素の二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を示す。好ましくはアルケニル基は直鎖アルケニル基である。「C2〜C20」のような接頭辞は、アルケニル基の中での炭素原子の数(この場合、2〜20)を示すように使用される。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル及び5−ドコセニル(C22)が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、単独で又は複合語にて使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素に対する炭素の三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を示す。好ましくはアルキニル基は直鎖アルキニル基である。「C2〜C20」のような接頭辞は、アルキニル基の中での炭素原子の数(この場合、2〜20)を示すように使用される。
本明細書で使用されるとき、単独で又は複合語にて使用される「複素環」又は「複素環基」のような用語は、窒素、硫黄及び酸素から成る群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する飽和、部分不飽和又は完全不飽和の単環式、二環式又は縮合多環式の環系を示す。「C5〜C8」のような接頭辞は、基の環状部分の中での炭素原子の数(この場合、5〜8)を示すように使用される。好適な複素環置換基の例には、そのそれぞれが1〜3の置換基でさらに置換されてもよいピロール、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、トリアゾール、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、フラザン、オキサジアゾール、ピペリジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン及びピラジンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、用語「リンカー」は、本明細書に記載されているような式(I)の化合物について「X」から「L」に橋渡しし、薬剤をグリセリド単位に連結する部分を示す。
本明細書で使用されるとき、用語「自壊基(self−immolative group)」は、リンカーと切断可能な結合を、且つ薬剤と安定な結合を形成する化学部分を示し、ここで、薬剤との結合はリンカーの切断の際、不安定になる。自壊基の例には、アセタール自壊基、パラ−ヒドロキシベンジルカルボニル自壊基、反転(flipped)エステル自壊基及びトリメチルロック自壊基が挙げられるが、これらに限定されない。多数の他の好適な自壊基が、たとえば、Blencoweら,Polym.Chem.2011,2,773−790及びKratzら.Chem.Med.Chem.2008,3,20−53にて記載されたように当該技術で既知である。
本明細書で使用されるとき、用語「薬剤」は、初回通過代謝を回避するために、又はリンパ系の中での標的化送達のために腸管リンパ系を介する輸送から利益を得ることになる活性のある薬剤又は画像化剤(造影剤)を示す。
好適な活性のある薬剤の例には、テストステロン、ミコフェノール酸、エストロゲン(エストロゲン)、モルヒネ、メトプロロール、ラロキシフェン、アルファキソロン、アトルバスタチンのようなスタチン、ペンタゾシン、プロプラノロール、L−DOPA、ブプレノルフィン、ミダゾラム、リドカイン、クロルプロマジン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ペンタゾシン、二硝酸イソソルビド、三硝酸グリセリル、オクスプレノロール、ラベタロール、ベラパミル、サルブタモール、エピチオスタノール、メルファラン、ロバスタチン、非ステロイド性抗炎症性薬物(NSAIDS、たとえば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例、セレコキシブ、ロフェコキシブ)、コルチコステロイド抗炎症性薬物(例、プレドニゾロン、プレドニゾン、デキサメタゾン)、抗マラリア性薬物(例、ヒドロキシクロロキン)、シクロホスファミド、ニトロソウレア、白金、メソトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン(例、ダウナルビシン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、イムノフィリンに作用する薬物(例、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、スルファサラジン、レフルノミド、ミコフェノレート、オピオイド、フィンゴリモド、ミリオシン、クロラムブシル、ドキソルビシン、ネララビン、コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾン、プララトレキサート、ビンブラスチン、ボルテゾミブ、チオテパ、ネララビン、ダウノルビシン塩酸塩、クロファラビン、シタラビン、ダサチニブ、イマチニブメシル酸塩、ポナチニブ塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ベンダムスチン塩酸塩、フルダラビンリン酸塩、ボスチニブ、ニロチニブ、オマセタキシンメペコハク酸塩、アナストロゾール、カペシタビン、レトロゾール、パクリタキセル、ゲムシタビン、フルベストラント、タモキシフェン、ラパチニブ、トレミフェン、イキサベピロン、エリブリン、アルベンダゾール、イベルメクチン、ジエチルカルバマジン、アルベンダゾール、ドキシサイクリン、クロサンテル、マラビロク、エンフビルチド、デオキシチミジン、ジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ザルシタビン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、テノフォビル、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、リルピビリン、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、リトナビル、アシクロビル及び医薬として活性のあるペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な造影剤の例には、蛍光顕微鏡用の、若しくは蛍光色素分子が生体内イメージングのために赤外線範囲で放射スペクトルを有する光学イメージングプローブのアレクサフルオルシリーズのような蛍光色素分子;ポジトロン放射断層撮影(PET)用に使用することができるガンマ放射体、たとえば、フルオロデオキシグルコース、又は、たとえば、ガドリニウム若しくは鉄のような磁気共鳴イメージングプローブをキレートするためのキレート剤が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、薬剤は、テストステロン又はその誘導体又は類似体である。テストステロン補充療法(TRT)は、性腺機能低下症(異常に低い血清テストステロンのレベルを特徴とする疾病)の患者に一般に使用されて血清テストステロンのレベルを正常範囲に回復させるので、たとえば、気分障害、性的機能不全等のような性腺機能低下症の症状の多数を緩和する。
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に治療上有効な量の式(IV)に係る化合物を投与することを含む、上昇したテストステロンのレベルが有益である疾患又は障害を治療又は予防する方法を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、上昇したテストステロンのレベルが有益である疾患又は障害を治療又は予防するための薬物の製造における式(IV)に係る化合物の使用を提供する。
その上別の実施形態では、本発明は、上昇したテストステロンのレベルが有益である疾患又は障害を治療又は予防するのに使用するための式(IV)の化合物を提供する。
上昇したテストステロンのレベルが有益であってもよい疾患又は障害には、性腺機能低下症、骨髄機能不全による貧血、腎不全による貧血、慢性呼吸不全、慢性心不全、ステロイド依存性の自己免疫疾患、エイズ消耗症、遺伝性の血管浮腫又は蕁麻疹、末期乳癌、又は月経閉止(menopause)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、薬剤はミコフェノール酸(MPA)である。MPAはリンパ球にてプリン合成経路に作用し、自己免疫疾患及び臓器移植拒絶の治療に広く使用されている免疫抑制剤である。
別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に治療上有効な量の式(VII)に係る化合物を投与することを含む、自己免疫疾患及び臓器移植拒絶を治療又は予防する方法を提供する。
一実施形態では、上文で定義されたような化合物についてのY及びZは、薬剤の腸管リンパへの安定な輸送を容易にするように選択されるであろう。別の実施形態では、Y及びZは、リンパ、リンパ球、リンパ系組織、たとえば、脂肪組織のようなリパーゼ活性の高い組織、特定の癌、肝臓又は体循環にて薬剤の放出を容易にするように選択されるであろう。その上別の実施形態では、Y及びZは、薬剤の腸管リンパへの安定な輸送を容易にするように、且つリンパ、リンパ球、リンパ系組織、たとえば、脂肪組織のようなリパーゼ活性の高い組織、特定の癌、肝臓又は体循環にて薬剤の放出を容易にするように選択される。
本発明の化合物は、薬剤の腸管リンパへの安定な輸送、及びリンパ、リンパ球、リンパ系組織、たとえば、脂肪組織のようなリパーゼ活性の高い組織、特定の癌、肝臓又は体循環における薬剤の放出に有用である。本発明の化合物は特に、初回通過代謝の回避から恩恵を得る薬剤、たとえば、50%を超える初回通過代謝を示す化合物の輸送及び放出に有用である。一実施形態では、薬剤は60%を超える初回通過代謝を示すであろうことが想定される。別の実施形態では、薬剤は70%を超える初回通過代謝を示すであろう。さらなる実施形態では、薬剤は80%を超える初回通過代謝を示すであろう。その上別の実施形態では、薬剤は90%を超える初回通過代謝を示すであろう。
腸管リンパへの安定な輸送、及びリンパ、リンパ球、リンパ系組織、たとえば、脂肪組織のようなリパーゼ活性の高い組織、特定の癌、肝臓又は体循環における放出から恩恵を受けてもよい薬剤には、テストステロン、ミコフェノール酸、エストロゲン(エストロゲン)、モルヒネ、メトプロロール、ラロキシフェン、アルファキソロン、アトルバスタチンのようなスタチン、ペンタゾシン、プロプラノロール、L−DOPA、ブプレノルフィン、ミダゾラム、リドカイン、クロルプロマジン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ペンタゾシン、二硝酸イソソルビド、三硝酸グリセリル、オクスプレノロール、ラベタロール、ベラパミル、サルブタモール、エピチオスタノール、メルファラン、ロバスタチン及び医薬として活性のあるペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物は、リンパ系、たとえば、リンパ、リンパ球及びリンパ系組織、並びに脂肪組織のようなリパーゼ活性が高い組織、特定の癌又は肝臓の中における薬剤の標的化された放出にも有用である。
リンパ系内又は脂肪組織にて標的化された放出から恩恵を受けてもよい薬剤には、非ステロイド性抗炎症性薬物(NSAIDS、たとえば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例、アスセレコキシブ)、コルチコステロイド抗炎症性薬物(例、プレドニゾロン、デキサメタゾン)、抗マラリア性薬物(例、ヒドロキシクロロキン)、シクロホスファミド、PPARアゴニスト(例、フィブラート)、ニトロソウレア、白金、メソトレキセート、アザチオプリン、メルカプトプリン、フルオロウラシル、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ミトラマイシン、イムノフィリンに作用する薬物(例、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、スルファサラジン、レフルノミド、ミコフェノレート、オピオイド、フィンゴリモド、ミリオシン、クロラムブシル、ドキソルビシン、ネララビン、コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニゾン、プララトレキサート、ビンブラスチン、ボルテゾミブ、チオテパ、ネララビン、ダウノルビシン塩酸塩、クロファラビン、シタラビン、ダサチニブ、イマチニブメシル酸塩、ポナチニブ塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ベンダムスチン塩酸塩、フルダラビンリン酸塩、ボスチニブ、ニロチニブ、オマセタキシンメペコハク酸塩、アナストロゾール、カペシタビン、レトロゾール、パクリタキセル、ゲムシタビン、フルベストラント、タモキシフェン、ラパチニブ、トレミフェン、イキサベピロン、エリブリン、アルベンダゾール、イベルメクチン、ジエチルカルバマジン、ドキシサイクリン、クロサンテル、マラビロク、エンフビルチド、デオキシチミジン、ジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ザルシタビン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、テノフォビル、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、リルピビリン、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、リトナビル、アシクロビル、並びにミコフェノール酸、シクロスポリン、タクロリムス及びシロリムスのような免疫抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
−Y−が非置換のアルキル基である本発明の化合物は、スキーム1で示すような標準のエステル結合形成の条件下で酸/トリグリセリド(IV)のアルコール含有薬剤(A−OH)との反応によって調製することができる。ほとんどの場合、酸/トリグリセリド(IV)は、酸無水物(I)(n=1について)又は二酸塩化物(II)(n>1について)からアクセスすることができ、ピリジンの存在下にて1,3−ジアシルグリセロール(III)で処理することによって相当するジカルボン酸から得ることができる。
−Y−がα−置換された又はβ−置換されたアルキル基である化合物の合成については、スキーム1に記載されている経路を介した無水物(I)又は二酸塩化物(II)の酸/トリグリセリド(IV)への変換は、出発物質が非対称であるために通常実現可能ではない。従って、スキーム1を介した合成は混合された酸/トリグリセリド生成物の形成をもたらすであろう。これらの場合、リンカー単位はさらに単純な出発物質から構築することができ、次いで順序の適当な点でジアシルグリセロール(III)と結合させ、最終的に酸/トリグリセリド(IV)を提供することができる。
α−アルキル置換されたアルキルリンカーを含有する化合物の合成については、スペーサーに必要とされる炭素の枠組みは、アルコール(VI)に由来するアルデヒドと安定化させたイリド(VII)との間でのウィッティヒ反応によって組み立てることができ、α−アルキル−α,β−不飽和エステル(VIII)が得られる。遊離の酸(IX)を遊離するエステルの加水分解の後、標準の条件下でのジアシルグリセロール(III)とのカップリングはトリグリセリド(X)を提供する。一工程の水素化/水素化分解は、飽和アルコール(XI)を提供し、PCCを用いてそれを先ずアルデヒド(XII)に酸化することができ、次いでピニックの条件下でさらに酸化して所望のα−置換された酸/トリグリセリド(IV)を得ることができる。
β−アルキル置換されたアルキルリンカーを含有する化合物の合成については、β−置換基が二酸塩化物(II)にて対称性を維持するので、n=1である特定の場合、上記スキーム1で要点が記された方法を使用することができる。上記スキーム3はn>1の場合でのβ−アルキル置換基を含有する化合物の合成方法を提供する。最初に、たとえば、n−BuLiのような強塩基を用いたTMSアセチレンの脱プロトン化とそれに続く求電子試薬としての臭化アルキル(XIII)の付加によってシリルアルキン(XIV)の形成を生じる。脱シリル化に続いて、PdIIとCuIが介在するアルキン(XV)のエノールトリフレート(XVI)とのソノガシラクロスカップリングによって必要とされるβ−アルキル置換基を含有するエニン(XVII)を得る。次いでエニン(XVII)の触媒的水素化はβ−メチル−ω−ヒドロキシエステル(XVIII)を生じ、グリセリド官能基の導入に備えて、それをTBDPSエーテル(XIX)に変換することができる。次いで、強制塩基性条件下(60℃でEtOHにおける2MのKOH)でのエステル(XIX)の加水分解とそれに続く得られた酸(XX)のジアシルグリセロール(III)との標準のカップリングによってこれを達成してトリグリセリド(XXI)を得る。次いでTBAFを用いた脱シリル化によってヒドロキシトリグリセリド(XI)を得て、スキーム2で要点を記したような類似の方法にてそれを標的の酸/トリグリセリド(IV)に変換する。
活性のある薬剤が、結合されて本発明の化合物を形成することができるカルボン酸基を有する場合、化合物は一般にスキーム4に従って調製することができる。グリセリドと所望のリンカーとの間にエステル結合を生成するには、標準のカップリング条件の存在下でω−ハロカルボン酸(XXII)を1,3−ジアシルグリセロール(III)とカップリングさせてω−ハロトリグリセリド(XXIII)を提供する。次いでハロゲン脱離基を適当なカルボキシレート求核試薬で置換することによってカルボン酸含有薬剤の結合を達成し、本発明の化合物(XXIV)を提供することができる。ハロカルボン酸(XXII)が市販されていない場合、さらに単純な前駆体からの合成が必要とされる。短い鎖(n=2、3)のα−若しくはβ−アルキル置換された例、又は長い鎖(例、n=12)の非置換の例については、必要な酸(XXII)は、相当するラクトン(実施例6、化合物aj〜amを参照のこと)の開環によってアクセスすることができる。長鎖のα−又はβ−アルキルの例(n>3)については、必要なハロトリグリセリド(XXIII)は、上記スキーム2及び3に記載されているヒドロキシトリグリセリド(XI)から調製することができる。
本発明の化合物が精製を必要とする場合、たとえば、再結晶及び、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及び順相又は逆相のシリカゲルクロマトグラフィを含むクロマトグラフィ法のような技法を使用してもよい。化合物は、核磁気共鳴(NMR)、質量分光分析及び/又は他の適当な方法によって特徴付けられてもよい。
本発明の化合物は1以上の立体異性体の形態(例、ジアステレオマー)で存在してもよいことが理解されるであろう。本発明は、単離された(例、エナンチオマー単離)又は組み合わせでの(ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物を含む)これら立体異性体の形態のすべてをその範囲内に包含する。
従って、本発明は、アミノ酸残基の不斉中心に関して、たとえば、約90%を超える、たとえば、約95%〜97%、又は99%を超える、実質的に純粋な立体異性体形態の化合物、並びにそのラセミ混合物を含むその混合物にも関する。そのようなジアステレオマーは、たとえば、キラル中間体を用いた不斉合成によって調製されてもよく、又は混合物は従来の方法、たとえば、クロマトグラフィ、又は分割剤の使用によって分割されてもよい。
化合物がプロトン化されてもよい又は脱プロトン化されてもよい(例、生理的pHにて)1以上の官能基を含む場合、化合物は医薬として許容され得る塩として調製されてもよく、及び/又は単離されてもよい。化合物は所与のpHで両性イオンであってもよいことが十分に理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、表現「医薬として許容され得る塩」は所与の化合物の塩を指し、ここで、塩は医薬として投与に好適である。そのような塩は、それぞれ酸又は塩基のアミン基又はカルボン酸基との反応によって形成されてもよい。
医薬として許容され得る酸付加塩は、無機酸及び有機酸から調製されてもよい。無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸の例には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。
医薬として許容され得る塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基から調製されてもよい。無機塩基に由来する相当する対イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミンを含む天然に存在するアミン及び環状アミンを含む1級アミン、2級アミン及び3級アミン、置換されたアミン、ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、及びN−エチルピペリジンが挙げられる。
本発明の化合物は結晶形態であってもよいし、又は溶媒和物(例、水和物)としてであってもよく、双方の形態は本発明の範囲内にあることが意図される。用語「溶媒和物」は溶質と溶媒によって形成される可変の化学量論の複合体である。そのような溶媒は溶質の生物活性を妨害すべきではない。溶媒は、例として水、エタノール又は酢酸であってもよい。溶媒和の方法は当該技術の範囲内で一般に既知である。
本発明の化合物の投与の経路は経口投与及び腸内投与を含むように意図される。従って、活性化合物は不活性の希釈剤と共に若しくは吸収できる食用担体と共に製剤化されてもよく、又はそれは、硬質若しくは軟質のシェルのゼラチンカプセル剤に被包されてもよく、又はそれは錠剤に圧縮されてもよく、又はそれは食事の食物と共に直接取り込まれてもよい。経口の治療用投与については、活性化合物は賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、経口又は舌下の錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウエハース等の形態で使用されてもよい。そのような治療上有用な組成物における活性化合物の量は、好適な投与量が得られるようなものである。
錠剤、トローチ剤、丸薬、カプセル剤等は、以下にリストにされているような成分も含有してもよい:ゴム、アカシアゴム、コーンスターチ若しくはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;及びスクロース、ラクトース若しくはサッカリンのような甘味剤が添加されていてもよく、又はペパーミント、冬緑油若しくはサクランボ風味のような風味剤が添加されていてもよい。単位剤形がカプセル剤である場合、それは、上記の種類の物質に加えて液体担体を含有してもよい。種々の他の物質がコーティングとして、又はさもなければ、投与量単位の物理的形状を改変するために存在してもよい。たとえば、錠剤、丸薬又はカプセル剤はシェラック、糖又はその双方で被覆されてもよい。シロップ又はエリキシルは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、色素及びサクランボ香料若しくはオレンジ香料のような香料を含有してもよい。当然、単位剤形を調製するのに使用される物質は採用される量にて医薬として純粋であり、且つ実質的に非毒性であるべきである。加えて、本発明の化合物は、消化管の特定の領域への活性ペプチドの特異的な送達を可能にするものを含む持続放出の調製物及び製剤に組み込まれてもよい。
経口送達用の脂質系製剤は当該技術で既知であり、それには、たとえば、通常1以上の脂質成分を含有する実質的に非水性のビヒクルが挙げられてもよい。脂質ビヒクル及び得られる脂質製剤は、脂質製剤分類システム(LFCS)に従ってそれらが共有する共通する特徴に従って以下に記載されているように有用に分類されてもよい(Pouton,C.W.,Eur.J.Pharm.Sci.11(Supp.2),S93−S98,2000;Pouton,C.W.,Eur.J.Pharm.Sci.29,278−287,2006)。
従って、脂質ビヒクル及び得られる脂質製剤は、任意で共溶媒と共に油/脂質及び/又は界面活性剤を含有してもよい。I型製剤は、たとえば、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリド及びそれらの組み合わせのような消化を必要とする油又は脂質を含む。II型製剤は、追加の水不溶性の界面活性剤を伴った、I型製剤で使用された脂質及び油を含有する水不溶性のSEDDSである。III型製剤は、追加の水溶性界面活性剤及び/又は共溶媒(IIIa型)又は大きな比率での水溶性成分(IIIb型)を伴った、I型製剤で使用された脂質及び油を含有するSEDDS又は自己マイクロ乳化薬物送達系(SMEDDS)である。IV型製剤は、親水性界面活性剤及び共溶媒(例、PEG、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノエチルエーテル)を優勢に含有し、水難溶性であるが、親油性ではない薬物に有用である。そのような脂質製剤(I型〜IV型)が本明細書で意図される。
一部の実施形態では、脂質ビヒクルは、追加の界面活性剤、共界面活性剤又は共乳化剤又は共溶媒を伴うことなく1以上の油又は脂質を含有し、換言すると、1以上の油又は脂質から本質的に成る。一部のさらなる実施形態では、脂質ビヒクルは、1以上の水不溶性界面活性剤と一緒に、必要に応じて1以上の共溶媒と一緒に、1以上の油又は脂質を含有する。一部のさらなる実施形態では、脂質ビヒクルは、1以上の水溶性界面活性剤と一緒に、必要に応じて1以上の共溶媒と一緒に、1以上の油又は脂質を含有する。一部の実施形態では、脂質ビヒクルは、油/脂質と界面活性剤と共溶媒との混合物を含有する。一部の実施形態では、脂質ビヒクルは、1以上の界面活性剤/共界面活性剤/共乳化剤及び/又は溶媒/共溶媒から本質的に成る。
本発明で使用されてもよい油又は脂質の例には、アーモンド油、ババス油、ブラックカラント種子油、ルリジサ油、カノーラ油、ヒマシ油、ココナッツ油、タラ肝油、コーン油、綿実油、月見草油、魚油、ブドウ種子油、辛子種子油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ピーナッツ油、菜種油、ベニバナ油、ゴマ油、サメ肝油、ダイズ油、ヒマワリ油、クルミ油、コムギ胚芽油、アボカド油、米糠油、水素添加ヒマシ油、水素添加ココナッツ油、水素添加綿実油、水素添加パーム油、水素添加ダイズ油、部分水素添加ダイズ油、水素添加植物油、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、分画化トリグリセリド、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/リノール酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルリノール酸グリセリド、飽和ポリグリコール化グリセリド、C8〜C12脂肪酸鎖を主として含有する合成中鎖トリグリセリド、C8〜C12脂肪酸鎖を主として含有する中鎖トリグリセリド、>C12の脂肪酸鎖を主として含有する長鎖トリグリセリド、修飾されたトリグリセリド、分画化トリグリセリド、及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明で使用されてもよいモノグリセリド及びジグリセリドの例には、加水分解されたココナッツ油(例、Capmul(登録商標)MCM)、加水分解されたコーン油(例、Maisine(商標)35−1)を含む8〜40の炭素原子の脂肪酸鎖を有するグリセロールモノエステル及びグリセロールジエステルが挙げられる。一部の実施形態では、モノグリセリド及びジグリセリドは、8〜18の炭素鎖長の脂肪酸鎖を有するグリセロールのモノ−又はジ−飽和脂肪酸エステルである(例、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、ジカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、及びジカプリン酸グリセリル)。
脂質製剤で使用するのに好適な界面活性剤には、Capryol(登録商標)90、Labrafac(登録商標)PG、Lauroglycol(登録商標)FCCのような商品名で販売されている,たとえば、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコールのような、しかし、これらに限定されないC8〜C22脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジ−エステル、パルミチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、ステアリン酸スクロースのような、しかし、これらに限定されない糖脂肪酸エステル;ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンのような、しかし、これらに限定されないソルビタン脂肪酸エステル;ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、及びポリソルベート80、ポリソルベート85のような、しかし、これらに限定されないポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシル40及びオレイン酸ポリオキシル40を含むが、これらに限定されないポリオキシエチレンモノ−及びジ−脂肪酸エステル;Labrasol(登録商標)、Gelucire(登録商標)44/14、Gelucire(登録商標)50/13、Labrafil(登録商標)のような商品名で販売されているようなC8〜C22脂肪酸のポリオキシエチレンモノ−及びジ−エステルとC8〜C22脂肪酸のグリセリルモノ−、ジ−、及びトリ−エステルとの混合物;Cremophor(登録商標)/KolliphorEL、Cremophor(登録商標)/Kolliphor(登録商標)RH40、Cremophor(登録商標)/Kollipohor(登録商標)RH60のような商品名で販売されているような、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水素添加ヒマシ油、及びポリオキシル60水素添加ヒマシ油のような、しかし、これらに限定されないポリオキシエチレンヒマシ油化合物;ポリオキシル20セトステアリルエーテル、及びポリオキシル10オレイルエーテルを含むが、これらに限定されないポリオキシエチレンアルキルエーテル;商品名で販売されてもよいようなDL−.アルファ.−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート;グリセリルモノ−、ジ−、及びトリ−エステル;C8〜C22脂肪酸のグリセリルモノ−、ジ−、及びトリ−エステル;スクロースモノ−、ジ−、及びトリ−エステル;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー407のような、しかし、これらに限定されないポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー;Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)78、Brij(登録商標)98のような商品名で販売されているような、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンセチルアルコール、ポリオキシエチレンステアリルアルコール、ポリオキシエチレンオレイルアルコールを含むが、これらに限定されないC8〜C22脂肪アルコールのポリオキシエチレンエーテル、又はそれらの2以上の混合物が挙げられる。
共乳化剤又は共界面活性剤が製剤で使用されてもよい。好適な共乳化剤又は共界面活性剤は、ホスホグリセリド;リン脂質、たとえば、レシチン、又は室温で液体である遊離の脂肪酸、たとえば、イソ−ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸及びカプロン酸であってもよい。
ポリマーを製剤で使用して薬物の沈殿を阻害してもよい。ある範囲のポリマーはこれらの特性を付与することが示されており、当業者に周知である。好適なポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセチルコハク酸、たとえば、メチルセルロースのような他のセルロース由来のポリマー;Eudragit E100を含むポリマーのEudragitシリーズのようなポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン又は、たとえば、Warrenら.Mol.Pharmaceutics,2013、10、2823−2848に記載されているようなその他が挙げられる。
製剤はまた、抗酸化剤、たとえば、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及び微細多孔性シリカのような固化剤、たとえば、アルミノ−メタ珪酸マグネシウム(Neusilin)を含む、液体系製剤に含まれる当業者に一般に知られる物質も含有してもよい。
別の実施形態では、化合物は、消化管又は腸細胞にてプロドラッグの安定性を高める酵素阻害剤と共に経口で同時投与されてもよい。特定の実施形態では、酵素阻害剤は膵臓リパーゼを阻害することが想定され、その例にはAlli及びOrlistatが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、酵素阻害剤は、たとえば、モノアシルグリセロールリパーゼのような細胞性リパーゼ酵素を阻害することが想定され、その例にはJZL184(4−ニトロフェニル−4−[ビス(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)(ヒドロキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボキシレート)が挙げられるが、これらに限定されない。
上述されているような化合物又は医薬として許容され得るその塩が対象に投与される唯一の有効成分であってもよい一方で、化合物と共に他の有効成分を投与することは本発明の範囲内にある。1以上の実施形態では、本発明の化合物の2以上の組み合わせが対象に投与されるであろうことが想定される。
本発明はまた、少なくとも1つの医薬として許容され得る担体又は希釈剤と一緒に、治療上有効な量の上述のとおり定義されたような化合物又は医薬として許容され得るその塩を含む医薬組成物も提供する。
用語「組成物」は、有効成分(他の担体と共に又はそれを伴わずに)が担体によって取り囲まれるカプセル剤を得るように、担体のような被包物質により有効成分の製剤を含むことが意図される。
当業者によって容易に十分に理解されるように、医薬として許容され得る担体の性質は治療される状態及び哺乳類の性質に左右されるであろう。特定の担体又は送達系の選択は当業者によって容易に決定され得ると考えられる。活性化合物を含有する製剤の調製では、注意を払って工程にて化合物の活性が破壊されないこと及び化合物が破壊されずに作用の部位に到達できることを保証すべきである。一部の状況では、たとえば、マイクロカプセル化のような当該技術で既知の手段によって化合物を保護することが必要であってもよい。
当業者は従来のアプローチを用いて本発明の化合物について適当な製剤を容易に決定してもよい。好まれるpH範囲、及び好適な賦形剤、たとえば、抗酸化剤の特定は、当該技術にて慣用的なことである。緩衝液系は、所望の範囲のpHを提供するために慣用的に使用されており、緩衝液系には、カルボン酸緩衝液、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩及びコハク酸塩が含まれる。BHT又はビタミンEのようなフェノール化合物、メチオニン又は亜硫酸塩のような還元剤、及びEDTAのような金属キレート剤を含む種々の抗酸化剤がそのような製剤について利用できる。
医薬として許容され得るビヒクル及び/又は希釈剤には、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。医薬として活性のある物質へのそのような媒体及び作用剤の使用は当該技術で周知である。従来の媒体又は作用剤が有効成分と非相溶性である限りを除いて、治療用組成物におけるその使用が意図される。補足的な有効成分も組成物に組み込むことができる。
化合物はまた、1以上の追加の治療剤と併用で投与されてもよい。併用は、上述されているような化合物の他の有効成分と別々の、連続的な、又は同時の投与を可能にしてもよい。併用は医薬組成物の形態で提供されてもよい。
用語「併用」は、本明細書で使用されるとき、上記で定義されたような併用相手が依存的に若しくは独立して投与され得る、又は区別される量の併用相手との異なる固定した併用の使用によって、すなわち、同時に若しくは異なる時点で投与され得る組成物又は一部のキットを指す。次いで併用相手は、たとえば、同時に、又は時間的に調整されて、異なる時点で一部のキットの部分について同じ若しくは異なる時間間隔で投与される。たとえば、治療される患者の亜集団のニーズ又は異なるニーズが患者の年齢、性別、体重等による可能性がある単一患者のニーズに対処するために、併用で投与される併用相手の総量の比は変化し得る。
投与の容易さ及び投与量の均一性のために単位剤形で組成物を製剤化することは特に有利である。単位剤形は本明細書で使用されるとき、治療される哺乳類対象のための単一の投与量として適する物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬として許容され得るビヒクルと関連して所望の治療効果を生じるように算出された所定の量の活性物質を含有する。本発明の新規の単位剤形についての仕様は、(a)活性物質及び達成される特定の治療効果の独特の特徴、及び(b)身体上の健康が本明細書で詳細に開示されているように損なわれている疾患状態を有する生きている対象にて疾患を治療するために活性物質を配合する当該技術に固有の制約によって、及び直接それらに応じて指示される。
上述のように、主要な有効成分は、単位剤形にて好適な医薬として許容され得るビヒクルと共に治療上有効な量で好都合で効果的な投与のために配合されてもよい。単位剤形は、たとえば、0.25μgから約2000mgに及ぶ量で主要な活性化合物を含有することができる。比率で表現すると、活性化合物は、担体の1mL当たり約0.25μg〜約2000mg存在してもよい。補足的な有効成分を含有する組成物の場合、投与量は、通常の用量と前記成分の投与の方法を参照して決定される。
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、所望の投与計画に従って投与されると、所望の治療活性を提供する化合物の量を指す。投与は一度に行われてもよく、数分若しくは数時間の間隔で行われてもよく、又はこれらの時間のいずれか1つにわたって連続して行われてもよい。好適な投与量は、投与量当たり、体重1kg当たり約0.1ng〜体重1kg当たり1gの範囲内にあってもよい。典型的な投与量は、投与量当たり、体重1kg当たり1μg〜1gの範囲、たとえば、投与量当たり、体重1kg当たり1mg〜1gの範囲にある。一実施形態では、投与量は、投与量当たり、体重1kg当たり1mg〜500mgの範囲であってもよい。別の実施形態では、投与量は、投与量当たり、体重1kg当たり1mg〜250mgの範囲であってもよい。さらに別の実施形態では、投与量は、投与量当たり、体重1kg当たり1mg〜100mgの範囲、たとえば、投与量当たり、体重当たり50mgまでであってもよい。
用語「治療」及び「治療する」は、本明細書で使用されるとき、動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトにおける状態又は疾患の治療を網羅し、それには、テストステロンの上昇したレベルが有益である疾患又は障害の治療が含まれる。用語「予防」及び「予防する」は、本明細書で使用されるとき、動物、好ましくは哺乳類、さらに好ましくはヒトにおける状態又は疾患の防御又は予防を網羅し、それには、テストステロンの上昇したレベルが有益である疾患又は障害の予防が含まれる。
本発明はここで、以下の非限定の実施例を参照して記載されるであろう。以下の実施例は一般式(I)を代表するものであり、本発明の例示化合物を調製する詳細な方法を提供する。
実施例1.Yが非置換のアルキル基を表し、LがX’(X’はOである)を表す式(I)の化合物を調製する方法
(a)5−((1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−5−オキソペンタン酸(IV)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(64.4mg,0.527ミリモル)をジグリセリド(III)(300mg,0.527ミリモル)と無水グルタール酸(I)(120mg,1.05ミリモル)のピリジン/THF/CH2Cl2(各1.5mL)溶液に加え、混合物を室温で2日間撹拌した。反応物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、1MのHCl及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜15%の酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の固形物として酸トリグリセリドIV(140mg、39%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.26(m,1H),4.31(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.44(t,J=7.4Hz,2H),2.42(t,J=7.4Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,4H),1.96(pent,J=7.3Hz,2H),1.67−1.54(m,4H),1.49−1.18(m,48H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)
(b)二塩化オクタンジオイル(II)
スベリン酸(84.2mg,0.483ミリモル)とDMF(一滴)の塩化チオニル(351μL,4.83ミリモル)における混合物を還流で1.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、トルエン(5mL)で希釈し、減圧下で濃縮して黄色の油として塩化二酸(II)(102mg、定量)を得、それを精製することなく使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ2.90(t,J=7.2Hz,4H),1.78−1.68(m,4H),1.42−1.35(m,4H)
(c)8−((1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−8−オキソオクタン酸(IV)
ジグリセリド(III)(50.0mg,0.0879ミリモル)とピリジン(71.1μL,0.879ミリモル)のCH2Cl2(2mL)溶液をCH2Cl2(1.5mL)における二塩化オクタンジオイル(II)(102mg,0.483ミリモル)に加え、混合物を室温で3.5時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水(10mL)と1MのHCl(3mL)で希釈し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を1MのHCl(30mL)とブライン(30mLで2回)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(20%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって淡黄色固形物として酸トリグリセリド(IV)(29.5mg、46%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.25(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.37−2.28(m,8H),1.68−1.56(m,8H),1.39−1.21(m,52H),0.87(t,J=6.8Hz,6H)
(d)1−((3R,5S,8S,9S,10S,13S,14S,17S)−17−アセチル−10,13−ジメチル−11−オキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イル) 10−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) デカンジオエート(2)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,5.2mg,42.5マイクロモル)とEDC・HCl(20.4mg,106マイクロモル)とアルファキソロン(22.6mg,68.0マイクロモル)を酸−TG(IV)(32.0mg,42.5マイクロモル)のCH2Cl2(1.5mL)溶液に加え、混合物を室温で22時間撹拌した。反応物をCH2Cl2で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(15%〜20%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物2(20.5mg、45%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.25(m,1H),5.00(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.71(t,J=9.0Hz,1H),2.56(d,J=11.9Hz,1H),2.48(d,J=12.0Hz,1H),2.34−2.18(m,10H),2.09(s,3H),1.86−1.37(m,18H),1.36−1.07(m,62H),1.00(s,3H),0.87(t,J=6.8Hz,6H),0.57(s,3H)
(e)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(1−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)−3−(4−(2−メトキシエチル)フェノキシ)プロパン−2−イル) デカンジオエート(XXV)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,5.6mg,45.4マイクロモル)とEDC・HCl(17.4mg,90.0マイクロモル)を予め調製したN−Boc−メトプロロール(16.7mg,45.4マイクロモル)と酸−TG(IV)(34.2mg,45.4マイクロモル)のCH2Cl2(2mL)溶液に加え、混合物を室温で19時間撹拌した。次いで反応物を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として保護されたプロドラッグ(XXV)(23.3mg、47%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.12(d,J=8.5Hz,2H),6.83−6.78(m,2H),5.33(m,1H),5.25(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),4.22−3.98(m,3H),3.55(t,J=7.1Hz,2H),3.47(m,1H),3.34(s,3H),3.31(m,1H),2.81(t,J=7.1Hz,2H),2.33−2.27(m,8H),1.64−1.56(m,8H),1.46(s,9H),1.37−1.20(m,56H),1.18(d,J=6.8Hz,3H),1.14(d,J=6.7Hz,3H),0.87(t,J=6.9Hz,6H)
(f)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(1−(イソプロピルアミノ)−3−(4−(2−メトキシエチル)フェノキシ)プロパン−2−イル) デカンジオエート(3)
トリフルオロ酢酸(TFA)(7.7μL,0.104ミリモル)をBoc カルバメート(XXV)(23.0mg,0.0209ミリモル)のCH2Cl2(1mL)溶液に加え、反応物を室温にて6時間撹拌した。この時点でのTLC分析は反応の緩慢な進行を示したのでさらなるTFA(15.4μL,0.208ミリモル)を加え、混合物を室温でさらに18時間撹拌した。トリエチルアミン(Et3N,50μL)を加え、N2の流れのもとで反応物を濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(20%〜40%〜60%の1%Et3Nを伴った酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油として化合物3(19.0mg、91%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.16−7.09(m,2H),6.87−6.81(m,2H),5.29−5.18(m,2H),4.29(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),4.11−4.08(m,2H),3.55(t,J=7.1Hz,2H),3.34(s,3H),2.99−2.88(m,2H),2.86−2.77(m,3H),2.35−2.28(m,8H),1.69−1.49(m,8H),1.37−1.16(m,56H),1.05(d,J=6.2Hz,6H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)
(g)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(6−ヒドロキシ−3−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ベンゾイル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)フェニル) デカンジオエート(4)の合成
2つのフェノール性ヒドロキシル基を含有するラロキシフェン(RAL)の場合、親分子のモノ−保護は、その後のカップリング工程での混合されたモノ−アシル及びビス−アシルの生成物の形成を防ぐために必要である。塩基の存在下での1当量のTBSCIによるラロキシフェンの処理は、クロマトグラフィによって部分的に分離することができる位置異性体モノシリルエーテルの混合物を生じる。標準の条件下での極性の低いフェノール異性体(XXVI)の酸−TG(IV)とのカップリングは保護されたプロドラッグ(XXVII)を生じる。TBAFを用いたシリル保護基の除去は化合物4を提供した。この手順を用いてフェノール(XXVI)の位置異性体も、相当する異性体プロドラッグに変換され得ることが言及されるべきである。
(g)(i)(6−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−2−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)メタノン(XXVI)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,108mg,0.882ミリモル)をDMF(10mL)におけるラロキシフェン塩酸塩(180mg,0.353ミリモル)に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、tert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(TBSCl,53.2mg,0.353ミリモル)を加え、得られた混合物を室温でさらに2.5時間撹拌した。反応物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、有機相を水(2×50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(0〜12.5%での1%Et3Nを伴ったMeOH/CH2Cl2)による精製によって、混合された位置異性体モノシリルエーテル及び未反応のラロキシフェンと共に、黄色の油として保護されたモノシリルエーテル(XXVI)(25.0mg、12%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(d,J=8.8Hz,2H),7.47(d,J=8.7Hz,1H),7.30(d,J=2.0Hz,1H),7.22(d,J=8.5Hz,2H),6.87(dd,J=8.7,2.0Hz,1H),6.65(d,J=7.9Hz,4H),4.06(t,J=5.9Hz,2H),2.75(t,J=5.9Hz,2H),2.55−2.47(m,4H),1.65−1.58(m,4H),1.48−1.41(m,2H),0.92(s,9H),0.11(s,6H)
(g)(ii)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(6−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−3−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ベンゾイル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)フェニル) デカンジオエート(XXVII)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,2.4mg,19.9マイクロモル)とEDC・HCl(9.5mg,49.8マイクロモル)を酸−TG(IV)(15.0mg,19.9マイクロモル)とXXVI(11.7mg,19.9マイクロモル)のCH2Cl2(0.6mL)溶液に加え、混合物を室温で6時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(0〜1.5%での1%Et3Nを伴ったMeOH/CH2Cl2)による精製によって、無色の油として保護されたプロドラッグ(XXVII)(16.0mg、61%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.74−7.67(m,3H),7.59(d,J=2.1Hz,1H),7.30−7.23(m,2H),7.06(dd,J=8.8,2.1Hz,1H),6.73(d,J=8.8Hz,2H),6.67(d,J=8.6Hz,2H),5.26(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),4.07(t,J=6.0Hz,2H),2.74(t,J=5.9Hz,2H),2.58(t,J=7.5Hz,2H),2.53−2.44(m,4H),2.35−2.27(m,6H),1.82−1.73(m,2H),1.68−1.53(m,10H),1.49−1.39(m,4H),1.38−1.19(m,54H),0.93(s,9H),0.87(t,J=6.8Hz,6H),0.12(s,6H)
(g)(iii)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(6−ヒドロキシ−3−(4−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)ベンゾイル)ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)フェニル) デカンジオエート(4)
フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF,THF中で0.1M,70.0μL,7.0マイクロモル)と酢酸(THF中で1.0M,10.0μL,10.0マイクロモル)をTBSエーテル(XXVII)(7.1mg,5.4マイクロモル)のTHF(0.4mL)溶液に0℃にて加え、混合物を0℃で50分間撹拌した。反応物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水及びブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(0〜2%での1%Et3Nを伴ったMeOH/CH2Cl2)による精製によって、淡黄色の油として化合物4(4.9mg、75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.77(d,J=8.8Hz,1H),7.66(d,J=8.9Hz,2H),7.59(d,J=2.1Hz,1H),7.19(d,J=8.6Hz,2H),7.08(dd,J=8.8,2.2Hz,1H),6.67(d,J=7.3Hz,2H),6.61(d,J=8.6Hz,2H),5.26(m,1H),4.30(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),4.09(t,J=5.7Hz,2H),2.77(t,J=5.8Hz,2H),2.62−2.50(m,6H),2.37−2.27(m,6H),1.82−1.73(m,2H),1.69−1.55(m,10H),1.50−1.19(m,58H),0.87(t,J=6.8Hz,6H)
実施例2.Yがα−メチル置換されたアルキル基を表し、LがX’(X’はOである)を表す式(I)の化合物を調製する方法
(h)(E)−メチル 10−(ベンジルオキシ)−2−メチルデセ−2−エノエート(VIII)
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC,39.7mg,0.184ミリモル)とセライト(30mg)をアルコール(VI)(29.0mg,0.123ミリモル)のCH2Cl2(1.5mL)溶液に加え、反応物を室温で1.5時間撹拌した。得られた暗色の懸濁液をシリカゲルの短いパッドを介して濾過し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、溶離液を減圧下で濃縮して粗精製のアルデヒドを得て、直ちにそれをトルエン(1.5mL)に再溶解した。イリド(VII)(85.5mg,0.245ミリモル)を加え、混合物を還流で20時間加熱した。反応物を室温に冷却し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(5%〜8%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって黄色の油としてα,β−不飽和メチルエステル(VIII)(26.2g、70%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.38−7.26(m,5H),6.76(m,1H),4.50(s,2H),3.73(s,3H),3.46(t,J=6.6Hz,2H),2.10−2.02(m,2H),1.83(d,J=1.3Hz,3H),1.65−1.58(m,2H),1.47−1.28(m,8H)
(i)(E)−10−(ベンジルオキシ)−2−メチルデセ−2−エン酸(IX)
水酸化ナトリウム(2.0M,256μL,0.512ミリモル)の溶液をメタノール(0.9mL)と水(0.65mL)におけるエステル(VIII)(26.0mg.0.0854ミリモル)に加え、混合物を室温で30分間、次いで0℃で20時間撹拌した。1MのHClの添加によって反応物をpH1に酸性化し、水(5mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(4×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して無色の油として粗精製の酸(IX)(24.8mg、定量)を得、それを精製することなく使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.39−7.26(m,5H),6.91(td,J=7.5,1.3Hz,1H),4.51(s,2H),3.47(t,J=6.6Hz,2H),2.23−2.15(m,2H),1.83(d,J=0.7Hz,3H),1.67−1.56(m,2H),1.49−1.25(m,8H)
(j)(E)−2−((10−(ベンジルオキシ)−2−メチルデセ−2−エノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(X)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,10.4mg,0.0854ミリモル)とEDC・HCl(40.9mg,0.214ミリモル)とジグリセリド(III)(77.7mg,0.137ミリモル)を酸(IX)(24.8mg,0.0854ミリモル)のCH2Cl2(2mL)溶液に加え、混合物を室温で17時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(3%〜7.5%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物としてトリグリセリド(2工程にわたって44.6mg、62%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.37−7.24(m,5H),6.76(m,1H),5.30(m,1H),4.50(s,2H),4.31(dd,J=11.8,4.5Hz,2H),4.22(dd,J=11.8,5.8Hz,2H),3.46(t,J=6.6Hz,2H),2.31(t,J=7.5Hz,4H),2.16(dt,J=7.4,7.4Hz,2H),1.81(d,J=1.1Hz,3H),1.66−1.55(m,6H),1.47−1.19(m,56H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(k)2−((10−ヒドロキシ−2−メチルデカノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XI)
3つ口フラスコにおけるベンジルエーテル(X)(40.0mg,47.6マイクロモル)の酢酸エチル(5mL)溶液を2回排気し、N2ガスを流し、次いで炭素上のパラジウム(10%w/w、12.7mg、11.9マイクロモル)を加え、得られた懸濁液を再び排気し、N2を2回流した。フラスコをH2バルーンで固定し、排気し、H2を3回流し、1気圧のH2のもとで反応混合物を室温で3時間撹拌した。セライトのパッドを介して反応物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で濃縮して無色の油として飽和アルコール(XI)(32.1mg)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.27(m,1H),4.29(dd,J=11.7,3.9Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,6.1Hz,2H),3.63(t,J=6.6Hz,2H),2.44(m,1H),2.30(t,J=7.6Hz,4H),1.67−1.50(m,8H),1.42−1.20(m,58H),1.14(d,J=7.0Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(l)2−((2−メチル−10−オキソデカノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XII)
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC,15.2mg,70.4マイクロモル)をアルコール(XI)(26.5mg,35.2マイクロモル)とセライト(20mg)のCH2Cl2(1mL)懸濁液に0℃で加え、混合物を室温で1時間撹拌した。シリカゲルの短いパッドを介して反応物を濾過し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の油として粗精製のアルデヒド(XII)(26.4mg)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ9.76(t,J=1.8Hz,1H),5.27(m,1H),4.29(ddd,J=11.9,4.3,3.1Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,6.1Hz,2H),2.42(m,1H),2.41(td,J=7.3,1.8Hz,2H),2.30(t,J=7.5Hz,4H),1.67−1.54(m,8H),1.44−1.18(m,56H),1.14(d,J=7.0Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(m)10−((1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−9−メチル−10−オキソデカン酸(IV)
塩化ナトリウム(28.6mg,0.317ミリモル)と一塩基性リン酸ナトリウム(NaH2PO4,29.5mg,0.246ミリモル)の水(0.5mL)溶液をt−BuOH(1mL)と2,3−ジメチル−2−ブテン(0.2mL)におけるアルデヒド(XII)(26.4mg,0.0352ミリモル)に一滴ずつ加え、反応物を室温で1.5時間撹拌した。反応物を水(5mL)で希釈し、水層をヘキサン(3×5mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して無色の油として粗精製の酸(IV)(27.0mg)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.27(m,1H),4.29(ddd,J=11.8,4.3,3.2Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,6.1Hz,2H),2.43(m,1H),2.36−2.28(m,6H),1.65−1.55(m,8H),1.38−1.19(m,56H),1.14(d,J=7.0Hz,3H),0.88(t,J=7.0Hz,6H)
実施例3.Yがβ−メチル置換されたアルキル基を表し、LがX’(X’はOである)を表す式(I)の化合物を調製する方法
(n)(7−(ベンジルオキシ)ヘプト−1−イン−1−イル)トリメチルシラン(XIV)
n−ブチルリチウム(n−BuLi,ヘキサン中で1.6M,765μL,1.23ミリモル)をTMS−アセチレン(198μL,1.40ミリモル)のTHF(1.5mL)溶液に−78℃でゆっくり加え、混合物を−78℃で5分間撹拌し、次いで室温に温め、さらに15分間撹拌した。反応物を再び−50℃に冷却し、臭化物(XIII)(90.0mg,0.350ミリモル)のTHF(1mL)溶液を一滴ずつ加え、混合物を−50℃で15分間、次いで室温で17時間撹拌した。反応物をブライン(15mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(4%〜5%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって、脱シリル化されたアルキン(XV)(9.7mg、1H−NMRの積分により14%)及び少量のPPh3も含有する、無色の油としてのTMSアルキン(XIV)(45.9mg、48%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.37−7.26(m,5H),4.50(s,2H),3.48(t,J=6.5Hz,2H),2.23(t,J=7.0Hz,2H),1.68−1.60(m,2H),1.58−1.42(m,4H),0.14(s,7H)
(o)((ヘプト−6−イン−1−イルオキシ)メチル)ベンゼン」(XV)
フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF,THF中で1.0M,201μL,0.201ミリモル)をシリルアルキン(XIV)とアルキン(XV)(合わせて55.6mg,0.215ミリモル)のTHF(1mL)における7:2混合物に0℃にてゆっくり加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物を水(5mL)及び飽和NH4Cl水溶液(3mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(4%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油としてアルキン(XV)(37.5mg、2工程にわたって53%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.39−7.27(m,5H),4.51(s,2H),3.49(t,J=6.5Hz,2H),2.21(td,J=6.9,2.6Hz,2H),1.95(t,J=2.7Hz,1H),1.70−1.61(m,2H),1.60−1.48(m,4H)
(p)(Z)−エチル 10−(ベンジルオキシ)−3−メチルデセ−2−エン−4−イノエート(XVII)
N2ガスを用いてPdCl2(PPh3)2(16.8mg,0.0240ミリモル)のDMF(1.5mL)懸濁液を5分間脱気し、次いで、CuI(9.1mg,0.0480ミリモル)とEt3N(66.8μL,0.480ミリモル)とアルキン(XV)(48.5mg,0.240ミリモル)及びエノールトリフラート(XVI)(94.3mg,0.360ミリモル)の脱気したDMF(2mL)溶液とを加えた。N2流を用いて混合物をさらに5分間脱気し、次いで0℃で1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、1MのHCl、飽和NaHCO3水溶液、水及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(4%〜5%の酢酸エチル/ヘキサン)によって淡黄色の油としてエニン(XVII)(46.6mg、62%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.37−7.24(m,5H),5.92(m,1H),4.50(s,2H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),3.48(t,J=6.5Hz,2H),2.45(t,J=7.0Hz,2H),2.01(d,J=1.4Hz,3H),1.69−1.59(m,4H),1.56−1.49(m,2H),1.27(t,J=7.1Hz,3H)
(q)エチル 10−ヒドロキシ−3−メチルデカノエート(XVIII)
2口フラスコにおけるベンジルエーテル(XVII)(31.4mg,0.100ミリモル)の酢酸エチル(8mL)溶液を2回排気し、N2ガスを流し、次いで炭素上のパラジウム(10%w/w,26.6mg,0.0250ミリモル)を加え、得られた懸濁液を再び排気し、N2ガスを3回流した。フラスコをH2バルーンで固定し、排気し、H2を3回流し、1気圧のH2のもとで反応混合物を室温で1時間撹拌した。セライトのパッドを介して反応物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で濃縮して無色の油として飽和アルコール(XVIII)(23.0mg、定量)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ4.12(q,J=7.1Hz,2H),3.63(t,J=6.6Hz,2H),2.28(dd,J=14.6,6.1Hz,1H),2.09(dd,J=14.6,8.1Hz,1H),1.94(m,1H),1.60−1.50(m,2H),1.25(t,J=6.6Hz,3H),1.40−1.13(m,10H),0.92(d,J=6.6Hz,3H)
(r)エチル 10−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−3−メチルデカノエート(XIX)
イミダゾール(9.6mg,0.141ミリモル)とtert−ブチル(クロロ)ジフェニルシラン(TBDPSCl,50.8μL,0.195ミリモル)をアルコール(XVIII)(18.0mg,0.0781ミリモル)のDMF(3mL)溶液に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、ブライン(2×15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(0.5%Et3Nを伴った4%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油としてTBDPSエーテル(XIX)(33.7mg、92%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.70−7.64(m,4H),7.45−7.33(m,6H),4.13(q,J=7.1Hz,2H),3.65(t,J=6.5Hz,2H),2.28(dd,J=14.6,6.0Hz,1H),2.09(dd,J=14.6,8.2Hz,1H),1.94(m,1H),1.60−1.50(m,2H),1.38−1.21(m,3H),1.05(s,J=2.9Hz,2H),1.05(s,9H),0.93(d,J=6.6Hz,3H)
(s)10−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−3−メチルデカン酸(XX)
水酸化カリウム(2.0M,427μL,0.853ミリモル)の溶液をエタノール(2mL)におけるエステル(XIX)(40.0mg.0.0853ミリモル)に加え、混合物を80℃で2時間加熱した。1MのHClの添加によって反応物をpH1に酸性化し、減圧下で有機溶媒を取り除いた。残留物を水(5mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(3×15mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して無色の油として粗精製の酸(XX)(37.6mg、定量)を得、精製することなくそれを使用した。高濃度で流すと、1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルの双方でシグナルのダブリングが認められた(4:1の比)。このことは、溶液における単量体種及び二量体種の双方の存在可能性を示唆している。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.74−7.63(m,4H),7.45−7.34(m,6H),3.65(t,J=6.5Hz,2H),2.35(dd,J=15.0,5.9Hz,1H),2.14(dd,J=15.0,8.2Hz,1H),1.95(m,1H),1.61−1.50(m,2H),1.38−1.18(m,10H),1.04(s,9H),0.96(d,J=6.6Hz,3H)
(t)2−((10−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−3−メチルデカノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XXI)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,10.1mg,0.0831ミリモル)とEDC・HCl(39.8mg,0.208ミリモル)とジグリセリド(III)(70.9mg,0.125ミリモル)を酸(XX)(36.6mg,0.0831ミリモル)のCH2Cl2(2.5mL)溶液に加え、混合物を室温で21時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(4%〜5%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物としてトリグリセリド(XXI)(39.9mg、2回の工程にわたって48%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.69−7.64(m,4H),7.44−7.34(m,6H),5.28(m,1H),4.29(ddd,J=11.8,4.2,0.6Hz,2H),4.14(dd,J=12.0,5.9Hz,2H),3.65(t,J=6.5Hz,2H),2.37−2.27(m,5H),2.11(dd,J=14.7,8.4Hz,1H),1.92(m,1H),1.67−1.50(m,8H),1.39−1.14(m,56H),1.04(s,9H),0.93(d,J=6.6Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(u)2−((10−ヒドロキシ−3−メチルデカノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XI)
フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF,THF中で1.0M,98.3μL,98.3マイクロモル)をTBDPSエーテル(XXI)(39.0mg,39.3マイクロモル)のTHF(2.5mL)溶液に0℃で加え、混合物を室温で3時間撹拌した。反応物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×15mL)で抽出し、有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物としてアルコール(XI)(21.8mg、74%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.28(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),3.64(t,J=6.6Hz,2H),2.36−2.27(m,5H),2.12(dd,J=14.7,8.2Hz,1H),1.93(m,1H),1.65−1.52(m,6H),1.39−1.16(m,58H),0.93(d,J=6.6Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(v)2−((3−メチル−10−オキソデカノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XII)
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC,12.0mg,55.8マイクロモル)をアルコール(XI)(21.0mg,27.9マイクロモル)とセライト(15mg)のCH2Cl2(1.5mL)の懸濁液に0℃で加え、混合物を室温で1.75時間撹拌した。シリカゲルの短いパッドを介して反応物を濾過し、酢酸エチルで溶出し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の油として粗精製のアルデヒド(XII)(20.9mg、定量)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ9.76(s,1H),5.28(m,1H),4.29(dd,J=11.6,3.5Hz,2H),4.14(dd,J=11.6,5.7Hz,2H),2.42(t,J=7.1Hz,2H),2.36−2.25(m,5H),2.12(dd,J=14.5,8.3Hz,1H),1.93(m,1H),1.72−1.53(m,6H),1.42−1.05(m,56H),0.93(d,J=6.5Hz,3H),0.88(t,J=6.6Hz,6H)
(w)10−((1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−8−メチル−10−オキソデカン酸(IV)
塩化ナトリウム(22.7mg,0.251ミリモル)と一塩基性リン酸ナトリウム(NaH2PO4,23.4mg,0.195ミリモル)の水(1mL)溶液をt−BuOH(1.5mL)と2,3−ジメチル−2−ブテン(0.3mL)におけるアルデヒド(XII)(20.9mg,0.0279ミリモル)に一滴ずつ加え、反応物を室温で2.25時間撹拌した。反応物を水(10mL)で希釈し、水層を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(0.5%AcOHを伴った10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として酸(IV)(16.1mg、75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.27(m,1H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=12.0,6.0Hz,2H),2.37−2.27(m,7H),2.12(dd,J=14.7,8.2Hz,1H),1.93(m,1H),1.67−1.55(m,6H),1.40−1.14(m,56H),0.93(d,J=6.6Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(x)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−((8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル) 3−メチルデカンジオエート(19)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,2.5mg,20.6マイクロモル)とEDC・HCl(9.9mg,51.4マイクロモル)とテストステロン(10.7mg,37.1マイクロモル)を酸−TG(IV)(13.6mg,17.7マイクロモル)のCH2Cl2(1mL)溶液に加え、混合物を室温で17時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物19(10mg、55%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.73(s,1H),5.27(m,1H),4.61(dd,J=9.0,7.9Hz,1H),4.29(dd,J=11.9,3.8Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,6.0Hz,2H),2.48−2.24(m,11H),2.23−1.99(m,4H),1.93(m,1H),1.85(m,1H),1.77(m,1H),1.72−1.22(m,68H),1.19(s,3H),1.16−0.96(m,4H),0.93(d,J=6.6Hz,3H),0.88(t,J=6.9Hz,6H),0.83(s,3H)
式(I)のさらなる例示化合物は表4にて以下に提供される。
実施例4.ZがC(O)R3を表し、R3がアセタール自壊基を表し、LがX’(X’はO又はN(R4)である)を表す式(I)の化合物を調製する方法
薬剤とアルキルスペーサーとの間に置かれるアセタール自壊リンカーを含有して親分子の全身放出を容易にする化合物の合成のために(Wittman,M.D.;ら,Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,811−814)、アルコールを持つ薬剤はスキーム5にて要点が記されるように酸/トリグリセリド(IV)との結合に先立って官能化され、且つ活性化されなければならない。無水酢酸と酢酸の混合物におけるDMSOによるアルコールの処理は(メチルチオ)メチル(MTM)エーテル(XXVIII)の形成を生じる。塩化スルフリルを用いたMTMエーテルの活性化は、酸/トリグリセリド(IV)のカルボキシレートと反応してアセタールを持つ化合物(XXIX)を生成することができる推定スルホキシド種を形成する。
(y)(8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−17−((メチルチオ)メトキシ)−1,2,6,7,8,9,10,11−12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−3H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−オン(XXVIII)
酢酸(44μL,0.769ミリモル)と無水酢酸(140μL,1.48ミリモル)をDMSO(216μL,3.04ミリモル)におけるテストステロン(36.1mg,0.125ミリモル)に加え、混合物を室温で2日と18時間撹拌した。この時点での反応混合物のLCMS分析は、未反応のテストステロンはなく、55%が所望のMTMエーテルに変換し、多数の他のテストステロン含有種が物質収支を構成することを示した。やや異なる条件下(以下の表を参照)で同じ規模にて合計5回の反応を行い、次いで所望の生成物の単離のために合わせた。合わせた反応混合物を水(15mL)で希釈し、10%K2CO3溶液を用いて中和した。水相を酢酸エチル(3×20mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液(40mL)及びブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(1%EtNを伴った10%〜15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって淡黄色の固形物としてテストステロンMTMエーテル(XXVIII)(113mg、52%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.73(s,1H),4.67(d,J=11.2Hz,1H),4.58(d,J=11.2Hz,1H),3.68(t,J=8.4Hz,1H),2.48−2.24(m,4H),2.13(s,3H),2.08−1.97(m,2H),1.93−1.80(m,2H),1.75−1.22(m,8H),1.19(s,3H),1.07−0.90(m,3H),0.82(s,3H)
(z)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (((8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7−8,9,10,11,12,13,14−15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)オキシ)メチル アジペート(21)
塩化スルフリル(CH2Cl2中で0.81M、100μL,80.9マイクロモル)をMTMエーテル(XXVIII)(22.3mg,63.9マイクロモル)のCH2Cl2(0.8mL)溶液に0℃で加え、反応物を0℃で30分間、次いで室温でさらに1時間撹拌した。反応物をN2流のもとで濃縮し、減圧下で乾燥させた。次いで、粗精製の残留物をCH2Cl2(0.8mL)に再溶解し、予め20分間撹拌した酸−TG(IV)(29.7mg,42.6マイクロモル)とDBU(7.6μL,51.1マイクロモル)のトルエン(0.8mL)溶液に加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。頒布物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜12.5%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって淡黄色の固形物として化合物21(18.8mg、44%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.72(s,1H),5.30−5.21(m,3H),4.29(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.13(dd,J=11.6,5.5Hz,2H),3.53(dd,J=8.3,8.3Hz,1H),2.48−2.22(m,12H),2.08−1.98(m,2H),1.92−1.80(m,2H),1.75−1.50(m,13H),1.49−1.20(m,49H),1.18(s,3H),1.17−0.83(m,5H),0.87(t,J=6.9Hz,6H),0.79(s,3H)
薬剤が1級又は2級のアミンを含有する場合、追加のカルバメート結合が含まれるアセタール自壊基の修飾型を使用することができる(スキーム6を参照)。クロロギ酸クロロメチルとのアミンの反応によってカルバミン酸クロロメチル(XXX)が得られる。次いで還流トルエンにおける酸−TG(IV)に由来するカルボキシレートによる処理によってハロゲン脱離基の置換を達成して修飾されたASIプロドラッグ(XXXI)を得る。
(aa)クロロメチル ((1S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)(メチル)カルバメート(XXX)
クロロギ酸クロロメチル(8.3μL,93.3マイクロモル)とピリジン(14.1μL,175マイクロモル)をCH2Cl2(4.5mL)におけるセルトラリン塩酸塩(20.0mg,58.3マイクロモル)に0℃にて加え、反応物を0℃で30分間、次いで室温で4時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO3水溶液(2×20mL)及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜15%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物としてカルバミン酸クロロメチル(XXX)(20.5mg、88%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(d,J=8.3Hz,1H),7.29(m,1H),7.23−7.19(m,2H),7.08(s,br,1H),6.97(m,1H),6.81(m,1H),5.93−5.83(m,2H),5.51(dd,J=10.5,6.4Hz,0.6H),5.33(m,0.4H),4.20(m,1H),2.77(s,1.2H),2.72(s,1.8H),2.29(m,1H),2.02(m,1H),1.79(m,2H)。注:分数積分は、N−メチルカルバメート官能基の周囲での制約された回転による回転異性体の約3:2の混合物の存在を反映する。
(ab)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 5−(((((1S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル) 3−メチルペンタンジオエート(7)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(8.6μL,57.2マイクロモル)とヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAI,5.8mg,14.3マイクロモル)を酸−TG(IV)(20.5mg,29.4マイクロモル)とクロロメチルエーテル(XXX)(11.8mg,29.6マイクロモル)のトルエン(1.5mL)溶液に加え、反応物を還流にて3時間加熱した。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(15mL)で希釈し、有機相を水(3×15mL)及びブライン(2×15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油として化合物7(21.1mg、68%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.33(d,J=8.3Hz,1H),7.31−7.27(m,1H),7.21−7.16(m,2H),7.09(d,J=2.0Hz,1H),6.96(d,J=7.2Hz,1H),6.80(td,J=8.0,2.0Hz,1H),5.89−5.82(m,2H),5.49(dd,J=10.3,6.5Hz,0.6H),5.37−5.30(m,0.4H),5.27(m,1H),4.33−4.25(m,2H),4.19(m,1H),4.15−4.10(m,2H),2.74(s,1.2H),2.69(s,1.8H),2.54−2.39(m,3H),2.36−2.23(m,3H),2.30(t,J=7.5Hz,4H),2.01(m,1H),1.84−1.70(m,2H),1.66−1.57(m,4H),1.33−1.20(m,48H),1.05(d,J=6.2Hz,2H),1.02(d,J=6.0Hz,1H),0.88(t,J=6.9Hz,6H).注:分数積分は、N−メチルカルバメート官能基の周囲での制約された回転による回転異性体の約3:2の混合物の存在を反映する。
実施例5.ZがC(O)R3を表し、R3がトリメチルロック自壊基を表し、LがX’(X’はO、NR4又はS(O)2NHである)を表す式(I)の化合物を調製する方法
薬剤とアルキルスペーサーとの間に再び置かれて親分子の全身放出を容易にする「トリメチルロック」(TML)自壊リンカー(Levine,M.N.;Raines,R.T.Chem.Sci.2012,3,2412−2420)を含有するプロドラッグの合成については、スキーム7にて要点が記されるように薬剤との結合に先立って酸/トリグリセリド(IV)はTML部分で官能化されなければならない。標準の条件下での酸−TG(IV)のTMLフェノール(XXXII)とのカップリングによってトリグリセリド(XXXIII)が得られ、スキーム4にて記載されたものに類似する方法でそれを所望の酸(XXXVI)に変換することができる。酸性条件下(10−カンファー硫酸)でTBSエーテル(XXXIII)脱保護を達成し、得られるアルコール(XXXIV)を2ステップ工程で酸化して酸(XXXVI)を提供する。次いで標準の条件下で、アルコール、アミン又はスルホンアミドを含有する薬剤へのカップリングを実施して標的化合物(XXXVII)を得ることができる。
(ac)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (2−(4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−2−メチルブタン−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル) アジペート(XXXIII)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,4.0mg,33.1マイクロモル)とEDC・HCl(12.6mg,66.2マイクロモル)を酸−TG(IV)(30.0mg,43.0マイクロモル)とフェノール(XXXII)(10.7mg,33.1マイクロモル)のCH2Cl2(1mL)溶液に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(4%〜6%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油としてTMLトリグリセリド(XXXIII)(19.8mg、59%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.80(d,J=2.0Hz,1H),6.52(d,J=1.9Hz,1H),5.27(m,1H),4.31(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),3.47(t,J=7.5Hz,1H),2.55(t,J=7.1Hz,2H),2.51(s,3H),2.39(t,J=7.0Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,4H),2.22(s,3H),2.02(t,J=7.5Hz,1H),1.82−1.72(m,4H),1.65−1.56(m,4H),1.45(s,6H),1.36−1.20(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H),0.84(s,9H),−0.03(s,6H)
(ad)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (2−(4−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル) アジペート(XXXIV)
10−カンファースルホン酸(MeOH中で0.122M,10μL,1.2マイクロモル)の溶液をCH2Cl2(0.4mL)とMeOH(0.4mL)におけるTBSエーテル(XXXIII)(6.1mg,6.1マイクロモル)に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物を水(5mL)で希釈し、水層を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して無色の油として粗精製のアルコール(XXXIV)(6.1mg、定量)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.82(d,J=1.4Hz,1H),6.53(d,J=1.2Hz,1H),5.27(m,2H),4.31(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),3.53(t,J=7.2Hz,2H),2.58(t,J=7.0Hz,2H),2.52(s,3H),2.40(t,J=6.9Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,4H),2.23(s,3H),2.04(t,J=7.2Hz,2H),1.82−1.72(m,4H),1.65−1.53(m,4H),1.48(s,6H),1.36−1.13(m,48H),0.88(t,J=6.7Hz,6H)
(ae)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (3,5−ジメチル−2−(2−メチル−4−オキソブタン−2−イル)フェニル) アジペート(XXXV)
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC,2.6mg,12.2マイクロモル)をアルコール(XXXIV)(5.4mg,6.1マイクロモル)とセライト(5mg)のCH2Cl2(0.5mL)懸濁液に0℃で加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物をシリカゲルの短いパッドを介して濾過し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、濾液を減圧下で濃縮して黄色の油として粗精製のアルデヒド(XXXV)(5.4mg、定量)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ9.53(t,J=2.6Hz,1H),6.84(d,J=1.4Hz,1H),6.57(d,J=1.8Hz,1H),5.27(m,1H),4.31(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.80(d,J=2.6Hz,2H),2.57(t,J=7.1Hz,2H),2.53(s,3H),2.40(t,J=7.0Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,5H),2.24(s,3H),1.83−1.72(m,4H),1.65−1.56(m,4H),1.55(s,6H),1.35−1.16(m,48H),0.88(t,J=6.7Hz,6H)
(af)3−(2−((6−((1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル)オキシ)−6−オキソヘキサノイル)オキシ)−4,6−ジメチルフェニル)−3−メチルブタン酸(XXXVI)
過マンガン酸カリウム(1:1のアセトン/水における0.0775M,200μL,15.5マイクロモル)の溶液をアセトン(0.5mL)と水(0.1mL)におけるアルデヒド(XXXV)(12.5mg,0.0340マイクロモル)に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を水(10mL)で希釈し、1MのHCl用いてpH2に酸性化し、水層を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として酸(XXXVI)(9.5mg、75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.82(d,J=1.3Hz,1H),6.56(d,J=1.7Hz,1H),5.26(m,1H),4.32(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),2.82(s,2H),2.60(t,J=7.0Hz,2H),2.55(s,3H),2.40(t,J=6.9Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,4H),2.22(s,3H),1.84−1.72(m,4H),1.66−1.49(m,4H),1.58(s,6H),1.36−1.19(m,48H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)
(ag)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (2−(4−(((8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,9,10,11,12,13−14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)オキシ)−2−メチル−4−オキソブタン−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル) アジペート(22)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,1.8mg,14.4マイクロモル)とEDC・HCl(6.9mg,36.1マイクロモル)とテストステロン(7.5mg,26.0マイクロモル)を酸(XXXVI)(13.0mg,14.4マイクロモル)のCH2Cl2(1mL)溶液に加え、混合物を室温で26時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(15%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物22(8.6mg、51%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.80(d,J=1.8Hz,1H),6.55(d,J=1.7Hz,1H),5.72(s,1H),5.27(m,1H),4.45(dd,J=9.1,7.3Hz,1H),4.31(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),2.80(ABq,2H),2.58(t,J=7.0Hz,2H),2.54(s,3H),2.48−2.23(m,10H),2.21(s,3H),2.11−1.97(m,2H),1.86−1.47(m,16H),1.55(s,6H),1.43−1.19(m,49H),1.17(s,3H),1.12−0.82(m,4H),0.88(t,J=6.9Hz,6H),0.65(s,3H)
(ah)1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル (2−(4−(((1S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)(メチル)アミノ)−2−メチル−4−オキソブタン−2−イル)−3,5−ジメチルフェニル) アジペート(1)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,0.9mg,7.8マイクロモル)とEDC・HCl(4.4mg,23.3マイクロモル)とEt3N(5.0μL,66.6マイクロモル)とセルトラリン塩酸塩(5.3mg,15.5マイクロモル)を酸(XXXVI)(7.0mg,7.8マイクロモル)のCH2Cl2(0.5mL)溶液に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(3mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物1(5.6mg、61%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.32(d,J=8.3Hz,0.7H),7.31(d,J=8.3Hz,0.3H),7.25−7.11(m,2H),7.09−7.02(m,1.3H),6.97−6.90(m,1H),6.87−6.78(m,2.4H),6.72(dd,J=8.3,2.0Hz,0.3H),6.58(d,J=1.5Hz,0.7H),6.55(d,J=1.5Hz,0.3H),5.88(dd,J=10.7,6.3Hz,0.7H),5.25(m,1H),4.94(dd,J=10.8,5.7Hz,0.3H),4.30(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.20−4.14(m,1H),4.14(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),3.07(d,J=15.4Hz,0.7H),3.00(d,J=4.9Hz,0.6H),2.82(d,J=15.4Hz,0.7H),2.64(s,2.1H),2.62−2.53(m,5.3H),2.48(t,J=7.1Hz,0.6H),2.39(t,J=7.1Hz,1.4H),2.31(t,J=7.6Hz,4.6H),2.23(s,2.1H),2.21(s,0.9H),1.99−1.91(m,1H),1.85−1.72(m,4H),1.71−1.53(m,13H),1.36−1.19(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H).注:分数積分は、N−メチルアミド官能基の周囲での制約された回転による回転異性体の約7:3の混合物の存在を反映する。
式(I)のさらなる例となるトリメチルロック含有化合物についての特徴的なデータは表5にて以下で提供される。
実施例6.Yが非置換のアルキル基、又は短鎖(n=2,3)α−若しくはβ−メチル置換されたアルキル基を表し、LがX’C(O)(X’はOである)を表す式(I)の化合物を調製する方法
(ai)2−((4−ブロモブタノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XXIII)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,64.4mg,0.527ミリモル)とN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,218mg,1.05ミリモル)を4−ブロモ酪酸(XXII)(141mg,0.844ミリモル)とIII(300mg,0.527ミリモル)のCH2Cl2(12mL)溶液に順次加え、混合物を室温で19時間撹拌した。得られた懸濁液をCH2Cl2(15mL)で希釈し、0℃に冷却し、セライトを介して濾過し、さらなるCH2Cl2(20mL)で洗浄した。有機相を1MのHCl、水、飽和NaHCO3水溶液、ブライン(各30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(5%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の固形物としてブロモトリグリセリド(XXIII)(352mg、93%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.27(m,1H),4.32(dd,J=12.0,4.2Hz,2H),4.14(dd,J=12.0,6.0Hz,2H),3.46(t,J=6.5Hz,2H),2.53(t,J=7.1Hz,2H),2.32(t,J=7.6Hz,4H),2.20−2.15(m,2H),1.65−1.58(m,4H),1.36−1.21(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,3H)
ω−ハロカルボン酸(XXII)が市販されていない一部の例では、合成は対応するラクトンにアクセスし、その後、以下で記載されているように開環することによって達成することができる。
(aj)オキサシクロヘキサデカン−2−オン(XXXVIII)
m−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA,70%純粋,687mg,2.79ミリモル)をシクロペンタデカノン(500mg,2.23ミリモル)のCH2Cl2(6mL)溶液に0℃で加え、反応物を室温で4日と22時間撹拌した。3日後に採取した反応アリコートの1H−NMR解析はケトンの74%の消費を示し、この時点で追加部分のm−CPBA(150mg)を加えた。4日と22時間後、反応物をCH2Cl2(6mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液(3×20mL)、水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(5%〜10%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油としてラクトン(XXXVIII)(463mg、86%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ4.15−4.11(m,2H),2.35−2.29(m,2H),1.71−1.58(m,4H),1.45−1.27(m,20H)
(ak)15−ヨードペンタデカン酸(XXII)
クロロトリメチルシラン(TMSCl,242μL,1.91ミリモル)をXXXVIII(153mg,0.636ミリモル)とヨウ化ナトリウム(286mg,1.91ミリモル)のアセトニトリル(1.5mL)懸濁液に加え、混合物を還流にて21時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水(10mL)及び10%Na2S2O3水溶液(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(50%酢酸エチル/ヘキサン)によって黄色の油としてヨード酸(XXII)(87.4mg、37%、70%純粋)を得た。1H−NMRスペクトルにおける幾つかの不純物シグナルがクロマトグラフィ後の強度で上昇するのが認められ、2つの微量成分の1つはヨウ素官能基の加水分解によって形成されたヒドロキシ酸であると疑われた(ヒドロキシについてδ3.53、ヨードについてδ3.18)。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ3.18(t,J=7.1Hz,2H),2.34(t,J=7.5Hz,2H),1.86−1.78(m,2H),1.68−1.57(m,2H),1.42−1.22(m,20H)
(al)3−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン(XXXIX)
n−ブチルリチウム(ヘキサン中で1.0M,5.49mL,5.49ミリモル)の溶液をTHF(4mL)中のジイソプロピルアミン(910μL,6.49ミリモル)に0℃で一滴ずつ加え、混合物を0℃で30分間撹拌してLDAの淡黄色の溶液を得、次いでそれを−40℃に冷却した。δ−バレロラクトン(500mg,4.99ミリモル)の冷却した(−40℃)THF(4mL)溶液をカニューレを介して一滴ずつ加え、得られた混合物を−40℃で10分間撹拌した後、−78℃に冷却した。次いでヨードメタン(466μL,7.49ミリモル)を一滴ずつ加え、混合物を4時間かけてゆっくり0℃に温めた。酢酸(320μL)をゆっくり添加することによって反応を止め、反応物を酢酸エチル(10mL)及び水(15mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液及びブライン(各30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(1%Et3Nを伴った15%〜17.5%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油としてα−メチル−δ−バレロラクトン(XXXIX)(144mg、25%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ4.37−4.26(m,2H),2.58(ddt,J=11.1,7.0,7.0Hz,1H),2.09(tt,J=12.4,6.2Hz,1H),1.98−1.83(m,2H),1.54(ddt,J=13.4,11.1,7.4Hz,1H),1.26(d,J=6.9Hz,3H)
(am)4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン(XL)
メチルリチウム(Et2O中で1.0M,2.00mL,2.00ミリモル)をCuI(190mg,1.00ミリモル)のEt2O(2mL)懸濁液に0℃で加え、淡黄色の反応混合物を直ちに−40℃に冷却した。カニューレを介して5,6−ジヒドロ2H−ピラン−2−オン(43.1μL,0.50ミリモル)のEt2O(2mL)溶液を一滴ずつ加え、反応物を−40℃で10分間、次いで0℃で10分間、及び室温で30分間撹拌した。得られた黄色の懸濁液を注射器によって、−40℃で激しく撹拌した飽和NH4Cl水溶液(5mL)と酢酸エチル(5mL)の混合物に移し、反応を止め、30分かけて室温にゆっくり温めた。反応物を水(5mL)で希釈し、酢酸エチル(3×15mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を1MのNa2S2O3及びブライン(各30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して黄色の油として粗精製のβ−メチル−δ−バレロラクトン(XL)(22.7mg、40%)を得、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ4.42(ddd,J=11.4,4.9,4.0Hz,1H),4.27(ddd,J=11.4,10.6,3.8Hz,1H),2.68(m,1H),2.17−2.06(m,2H),1.92(dqd,J=13.8,3.9,1.5Hz,1H),1.52(m,1H),1
(an)(E)−アリル 6−(4−(アリルオキシ)−6−メトキシ−7−メチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル)−4−メチル−ヘキセ−4−エノエート(XLI)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(602μL,4.03ミリモル)と臭化アリル(238μL,2.82ミリモル)をミコフェノール酸(250mg,0.809ミリモル)のDMF(15mL)溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)で希釈し、水相を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水及びブライン(各40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(30%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油としてアリルエステル(XLI)(292mg、93%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.09(ddt,J=17.1,10.4,5.9Hz,1H),5.86(ddt,J=17.2,10.4,5.7Hz,1H),5.37(dq,J=17.2,1.5Hz,1H),5.30−5.15(m,4H),5.13(s,2H),4.78(dt,J=5.9,1.3Hz,2H),4.52(dt,J=5.7,1.4Hz,2H),3.76(s,3H),3.41(d,J=6.5Hz,2H),2.44−2.39(m,2H),2.35−2.27(m,2H),2.17(s,3H),1.79(s,3H)
(ao)(E)−6−(4−(アリルオキシ)−6−メトキシ−7−メチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル)−4−メチルヘキセ−4−エン酸(XLII)
2MのNaOH(330μL,0.660ミリモル)と水(1mL)とMeOH(1.3mL)におけるエステル(XLI)(44.0mg,0.110ミリモル)の混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応物を1MのHClでpH1に酸性化し、水(5mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(40%〜60%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油として酸(XLII)(32.7mg、83%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.09(m,1H),5.36(ddd,J=17.2,3.1,1.5Hz,1H),5.25−5.16(m,2H),5.13(s,2H),4.77(dt,J=5.9,1.3Hz,2H),3.76(s,3H),3.42(d,J=6.7Hz,2H),2.45−2.39(m,2H),2.35−2.25(m,2H),2.17(s,3H),1.79(s,3H)
(ap)E)−2−((4−((6−(4−(アリルオキシ)−6−メトキシ−7−メチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル)−4−メチルヘキセ−4−エノイル)オキシ)ブタノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XLIII)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(18.5μL,124マイクロモル)をXLII(30.6mg,85.0マイクロモル)と臭化物(XXIII)(55.5mg,77.3マイクロモル)のトルエン(2mL)懸濁液に加え、混合物を還流にて3.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、1MのHCl(3〜4滴)の添加によって酸性化し、水(10mL)で希釈した。水相を酢酸エチル(3×15mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を水及びブライン(各30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(15%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油としてMPAトリグリセリド(XLIII)(56.2mg、73%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ6.10(ddt,J=17.2,10.4,5.9Hz,1H),5.37(dq,J=17.2,1.5Hz,1H),5.29−5.15(m,3H),5.13(s,2H),4.78(dt,J=5.9,1.3Hz,2H),4.30(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),4.06(t,J=6.4Hz,2H),3.77(s,3H),3.42(d,J=6.8Hz,2H),2.41−2.35(m,4H),2.34−2.25(m,6H),2.18(s,3H),1.97−1.88(m,2H),1.79(s,3H),1.65−1.52(m,4H),1.35−1.19(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(aq)(E)−2−((4−((6−(4−ヒドロキシ−6−メトキシ−7−メチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル)−4−メチルヘキセ−4−エノイル)オキシ)ブタノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(30)
1,3−ジメチルバルビツール酸(12.4mg,79.2マイクロモル)とPd(PPh3)4(9.2mg,7.92マイクロモル)をCH2Cl2(3mL)におけるアリルエーテル(XLIII)(39.5mg,39.6マイクロモル)に加え、混合物を30℃で2時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルの短いパッドに直接適用し酢酸エチル(40mL)で溶出し、濾液を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(15%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の固形物として化合物30(36.2mg、96%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(s,1H),5.30−5.21(m,2H),5.20(s,2H),4.30(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),4.06(t,J=6.4Hz,2H),3.76(s,3H),3.38(d,J=7.0Hz,2H),2.43−2.35(m,4H),2.34−2.27(m,6H),2.15(s,3H),1.97−1.89(m,2H),1.80(s,3H),1.65−1.52(m,4H),1.34−1.21(m,48H),0.87(t,J=6.9Hz,3H)
(ar)2−((5−((2−アセトキシベンゾイル)オキシ)ペンタノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(8)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(14.7mL,98.4ミリモル)をアセチルサリチル酸(アスピリン,14.8mg,81.9ミリモル)と臭化物(XXIII)(40.0mg,54.7ミリモル)のトルエン(2mL)懸濁液に加え、混合物を還流にて3.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(5mL)及び水(15mL)で希釈した。水層を分離し、1MのHClでpH2に酸性化し、次いで酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水及びブライン(各40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の固形物として化合物8(23.9mg、53%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ8.01(dd,J=7.9,1.6Hz,1H),7.56(ddd,J=8.1,7.5,1.7Hz,1H),7.31(td,J=7.7,1.2Hz,1H),7.10(dd,J=8.1,1.0Hz,1H),5.26(m,1H),4.31(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.28(t,J=6.9Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.40(t,J=6.9Hz,2H),2.35(s,3H),2.30(t,J=7.6Hz,4H),1.83−1.74(m,4H),1.64−1.54(m,4H),1.35−1.19(m,48H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
(as)2−((6−(((3R,5R)−7−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノイル)オキシ)ヘキサノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(9)の合成
アトルバスタチン(ATV)の場合、ジオール官能基はその後の反応におけるその妨害を防ぐためにアセトニド(イソプロピリデンアセタール)としてマスクされる必要がある。先に記載されたような還流トルエンにおけるATVアセトニド(XLIV)のDBUとω−ブロモ−TG(XXXIII)による処理によって保護されたプロドラッグ(XLV)が得られる。次いで酸性条件下でのジオールの脱保護は化合物9を提供する。
as(i)2−((4R,6R)−6−(2−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)エチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)酢酸(XLIV)
p−トルエンスルホン酸(p−TsOH,10.1mg,0.053ミリモル)を2,2−ジメトキシプロパン(1.5mL)とアセトン(1.5mL)におけるアトルバスタチン(160mg,0.265ミリモル)に加え、混合物を室温で15時間撹拌した。反応物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、有機相を水(25mL)及びブライン(2×25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(20%〜30%〜50%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の泡状物としてアセトニド/酸(XLIV)(72.2mg、46%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.22−7.13(m,9H),7.07(d,J=7.7Hz,2H),7.03−6.97(m,3H),6.86(brs,1H),4.20(m,1H),4.09(m,1H),3.85(m,1H),3.71(m,1H),3.57(m,1H),2.54(dd,J=15.8,6.8Hz,1H),2.43(dd,J=15.8,5.6Hz,1H),1.71−1.61(m,2H),1.53(d,J=7.1Hz,6H),1.38(s,3H),1,36(m,1H),1.34(s,3H),1.09(m,1H)
as(ii)2−((6−(2−((4R,6R)−6−(2−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)エチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセトキシ)ヘキサノイル)オキシ)−プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(XLV)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(4.3μL,29.0マイクロモル)をアセトニド−酸(XLIV)(11.6mg,19.3マイクロモル)とω−ブロモ−TG(XXIII)(12.0mg,16.1マイクロモル)のトルエン(1.5mL)溶液に加え、混合物を還流にて2.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、有機相を水(25mL)、飽和NaHCO3水溶液(25mL)及びブライン(25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(20%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の油としてATV−トリグリセリド(XLV)(13.0mg、64%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.23−7.12(m,9H),7.06(d,J=7.8Hz,2H),7.03−6.94(m,3H),6.86(brs,1H),5.25(m,1H),4.30(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.19(m,1H),4.14(dd,J=11.9,5.8Hz,2H),4.07(m,1H),4.07(t,J=6.6Hz,2H),3.82(m,1H),3.70(m,1H),3.57(m,1H),2.48(dd,J=15.7,7.0Hz,1H),2.36−2.27(m,7H),1.70−1.58(m,10H),1.53(d,J=7.1Hz,6H),1.36(s,3H),1.29(s,3H),1.44−1.20(m,51H),1.05(m,1H),0.88(t,J=6.9Hz,6H)
as(iii)2−((6−(((3R,5R)−7−(2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタノイル)オキシ)ヘキサノイル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル ジパルミテート(9)
p−トルエンスルホン酸(1.6mg,8.4ミリモル)をアセトニド(XLV)(35.2mg,27.9ミリモル)のCH2Cl2(0.5mL)とMeOH(1mL)の溶液に加え、反応物を室温で5.5時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(20%〜35%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油として化合物9(14.6mg、43%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.22−7.13(m,9H),7.06(d,J=7.6Hz,2H),7.02−6.96(m,3H),6.85(brs,1H),5.25(m,1H),4.30(dd,J=11.9,4.4Hz,2H),4.16(m,1H),4.14(dd,J=11.9,5.6Hz,2H),4.10(t,J=7.5Hz,2H),4.10(m,1H),3.94(m,1H),3.74(m,1H),3.58(m,1H),2.40(d,J=6.1Hz,2H),2.33(t,J=7.4Hz,2H),2.31(t,J=7.6Hz,4H),1.73−1.51(m,10H),1.54(d,J=7.4Hz,6H),1.50−1.34(m,3H),1.33−1.20(m,49H),0.88(t,J=6.9Hz,1H)
LがX’C(O)を表す式(I)のさらなる例示化合物を表6にて以下で提供する。
実施例7.ZがC(O)R3を表し、R3がp−ヒドロキシベンジルカルボニル(PHB)自壊基を表し、LがX’(X’がO、S又はNR4である)を表す式(I)の化合物を調製する方法
p−ヒドロキシベンジルカルボニル(PHB)自壊基を含有するプロドラッグの合成については、p−ヒドロキシベンジルアルコール(XLVI)の1級水酸基を先ずシリルエーテルとして保護し、遊離の水酸基を酸−TG(IV)と結合させてPHBトリグリセリド(XLVIII)を得る。珪素保護基を取り除いた後、クロロギ酸p−ニトロフェニル(PNP)による処理によって1級アルコール(XLIX)を活性化し、炭酸PNP(L)を得ることができる。次いで塩基性条件下で薬剤(AX’H)との反応によってPNP基の置換を達成して所望のPHBプロドラッグ(LI)を得る。
(at)4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)フェノール(XLVII)
イミダゾール(85.1mg,1.25ミリモル)とtert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(TBSCl,90.4mg,0.600ミリモル)を4−ヒドロキシベンジルアルコール(XLVI)(62.1mg,0.500ミリモル)のDMF(4mL)溶液に加え、混合物を室温で45分間撹拌した。反応物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、有機相を水(30mL)、飽和NaHCO3水溶液(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して無色の油としてTBSエーテル(XLVII)(119mg、定量)を得て、精製することなくそれを使用した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.21−7.15(m,2H),6.83−6.78(m,2H),4.66(s,2H),0.93(s,9H),0.08(s,6H)
(au)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−フェニル) デカンジオエート(XLVIII)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,11.8mg,0.0966ミリモル)とEDC・HCl(46.3mg,0.241ミリモル)を酸−TG(IV)(80.0mg,0.106ミリモル)とフェノール(XLVII)(23.0mg,0.0966ミリモル)のCH2Cl2(2.5mL)溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(10mL)で希釈し、シリカゲルを加え、混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(5%〜7.5%〜10%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の油としてPHBトリグリセリド(XLVIII)(60.7mg、2工程にわたって65%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.35−7.28(m,2H),7.05−6.99(m,2H),5.26(m,1H),4.72(s,2H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.53(t,J=7.5Hz,2H),2.32(t,J=7.5Hz,2H),2.30(t,J=7.5Hz,4H),1.78−1.70(m,2H),1.67−1.55(m,6H),1.43−1.20(m,56H),0.93(s,9H),0.87(t,J=6.8Hz,6H),0.09(s,6H)
(av)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル) デカンジオエート(XLIX)
10−カンファースルホン酸(2.1mg,8.91マイクロモル)をCH2Cl2(0.8mL)とMeOH(0.8mL)におけるTBSエーテル(XLVIII)(57.8mg,59.4マイクロモル)に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO3水溶液及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(25%〜35%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物としてアルコール(XLIX)(46.9mg、92%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.41−7.32(m,2H),7.10−7.01(m,2H),5.25(m,1H),4.67(s,2H),4.28(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.54(t,J=7.5Hz,2H),2.31(t,J=7.5Hz,2H),2.30(t,J=7.5Hz,4H),1.89(brs,1H),1.78−1.70(m,2H),1.65−1.55(m,6H),1.46−1.20(m,56H),0.87(t,J=6.9Hz,6H)
(aw)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−((((4−ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メタ−イル)フェン−イル) デカンジオエート(L)
クロロギ酸4−ニトロフェニル(13.9mg,69.1マイクロモル)とピリジン(7.8μL,96.0μL)をCH2Cl2(2mL)におけるアルコール(XLIX)(33.0mg,38.4マイクロモル)に0℃で加え、混合物を0℃で20分間、次いで室温で2.5時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO3水溶液及びブライン(各20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として炭酸PNP(L)(38.7mg、98%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ8.30−8.23(m,2H),7.49−7.43(m,2H),7.41−7.35(m,2H),7.15−7.09(m,2H),5.28(s,2H),5.26(m,1H),4.30(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.15(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.56(t,J=7.5Hz,2H),2.32(t,J=7.5Hz,2H),2.31(t,J=7.5Hz,4H),1.79−1.71(m,2H),1.66−1.55(m,6H),1.45−1.20(m,56H),0.87(t,J=6.9Hz,6H)
(ax)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−((((((8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]−フェナントレン−17−イル)オキシ)カルボニル)オキシ)メチル)フェニル) デカンジオエート(28)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,6.2mg,50.8マイクロモル)とDIPEA(CH2Cl2中で0.16M、80.0μL,12.7マイクロモル)をテストステロン(11.7mg,40.6マイクロモル)と炭酸PNP(L)(26.0mg,25.4マイクロモル)のCH2Cl2(0.8mL)溶液に加え、混合物を室温で4日と20時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液及びブライン(各2×15mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(10%〜20%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物28(9.8mg、33%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.43−7.38(m,2H),7.10−7.05(m,2H),5.73(s,1H),5.26(m,1H),5.12(s,2H),4.52(dd,J=8.9,7.8Hz,1H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.14(dd,J=11.9,5.9Hz,2H),2.54(t,J=7.5Hz,2H),2.47−2.17(m,11H),2.02(m,1H),1.89−1.81(m,2H),1.78−1.54(m,12H),1.47−1.19(m,59H),1.18(s,3H),1.10−0.93(m,4H),0.87(t,J=6.8Hz,6H),0.85(s,3H)
(ay)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 10−(4−(((((1S,4S)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェニル) デカンジオエート(6)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,6.3mg,51.2マイクロモル)とDIPEA(CH2Cl2中で0.59M、10.0μL,5.9マイクロモル)をセルトラリン塩酸塩(10.0mg,29.3マイクロモル)と炭酸PNP(L)(15.0mg,14.6マイクロモル)のCH2Cl2(0.6mL)溶液に加え、混合物を室温で18時間撹拌した。反応物をCH2Cl2(25mL)で希釈し、飽和NaHCO3(3×20mL)水溶液及びブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(3%〜6%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として化合物6(11.3mg、65%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.46−7.28(m,3.5H),7.25−7.16(m,2.5H),7.12−7.02(m,3H),6.95(d,J=7.2Hz,1H),6.81(m,1H),5.51(m,0.6H),5.36(m,0.4H),5.27(m,1H),5.20(s,2H),4.29(dd,J=11.9,4.3Hz,2H),4.19(m,1H),4.15(dd,J=11.9,5.6Hz,2H),4.15(dd,J=11.6,5.6Hz,1H),2.73(s,1.2H),2.69(s,1.8H),2.59−2.52(m,2H),2.36−2.24(m,7H),2.00(m,1H),1.83−1.69(m,4H),1.66−1.55(m,6H),1.45−1.19(m,56H),0.88(t,J=6.9Hz,6H).注:分数積分は、N−メチルカルバメート官能基の周囲での制約された回転による回転異性体の約3:2の混合物の存在を反映する。
実施例8.ZがC(O)R3を表し、R3が反転エステル自壊基を表し、LがX’(X’はO、S又はN(R4)である)を表す式(I)の化合物を調製する方法
反転エステル自壊(FSI)基は環化のメカニズムによって遊離の薬剤を遊離するように設計されている。FSIプロドラッグは、薬剤(A−X’H)を4−ブロモ酪酸(XXII)とカップリングさせて臭化物(LII)を得ることによって合成することができる。酸−TG(IV)に由来するカルボキシレートを用いた臭化物(LII)の置換は標的FSIプロドラッグ(LIII)にて所望のエステル結合を生成する。
(az)(8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメチル−3−オキソ−2,3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル 4−ブロモブタノエート(LII)
4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP,15.5mg,0.130ミリモル)とDCC(43.8mg,0.210ミリモル)をテストステロン(29.9mg,0.100ミリモル)と4−ブロモ酪酸(XXII)(21.0mg,0.130ミリモル)のCH2Cl2(3mL)溶液に加え、混合物を室温で24時間撹拌した。別の0.6当量の酸、1当量のDCC、0.6当量のDMAPを加え、混合物を室温でさらに2日間撹拌した。反応物をCH2Cl2(10mL)で希釈し、シリカゲルを加え、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(25%酢酸エチル/ヘキサン)による精製によって無色の固形物として臭化物(LII)(26.7mg、59%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.73(s,1H),4.62(dd,J=9.1,7.9Hz,1H),3.47(t,J=6.5Hz,2H),2.50(td,J=7.1,1.0Hz,2H),2.47−2.23(m,4H),2.22−2.13(m,3H),2.06−1.99(m,1H),1.85(m,1H),1.78(m,1H),1.74−1.63(m,2H),1.61−1.53(m,2H),1.52−1.32(m,3H),1.23−1.15(m,1H),1.19(s,3H)1.11−0.91(m,3H),0.83(s,3H).
(ba)1−(1,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロパン−2−イル) 5−(4−(((8R,9S,10R,13S,14S,17S)−10,13−ジメタ−イル−3−オキソ−2,3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)オキシ)−4−オキソブチル) 3−メチルペンタンジオエート(29)
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)(19μL,125.7マイクロモル)を酸−TG(IV)(43.8mg,62.9マイクロモル)と臭化物(LII)(27.5mg,62.9マイクロモル)とヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI,11.6mg,31.4マイクロモル)のトルエン(3mL)懸濁液に加え、混合物を還流にて6時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで酢酸エチル(10mL)及び水(10mL)で希釈し、水層を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(15%〜35%酢酸エチル/ヘキサン)によって無色の固形物として化合物29(18.6mg、28%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ5.72(s,1H),5.26(m,1H),4.61(dd,J=9.1,7.9Hz,1H),4.29(ddd,J=11.9,4.3,1.6Hz,2H),4.12(m,4H),2.50−2.12(m,16H),2.03−1.92(m,3H),1.84(m,1H),1.77(m,1H),1.74−1.54(m,8H),1.53−1.32(m,2H),1.31−1.21(m,49H),1.18(s,3H),1.16(m,1H),1.10−1.01(m,2H),1.02(d,J=6.5Hz,3H),0.95(m,1H),0.87(t,J=6.9Hz,6H),0.83(s,3H)
実施例8.ラットにおけるリンパ輸送の試験
本発明に記載されているプロドラッグがリンパへの輸送を促進することができたことを確認するために、腸管膜リンパ液の連続採取を可能にするように腸管膜リンパ管にカニューレを挿入する試験をラットにて行った。次いで対象とする化合物を含有する脂質製剤を動物に投与し、採取されたリンパ液及びリンパ液における薬物濃度を引き続き定量した。
本発明の化合物又は対照化合物の脂質系製剤は以前記載された(Trevaskis,N.L.ら,Pharmaceutical Research,2005,22(11),1863−1870)ように調製した。手短には、およそ2mgの化合物(化合物35及び化合物1の場合は1mg)と40mgのオレイン酸と25mgのツイーン80を平衡化するまでガラス製のバイアルで混合した(穏やかな加熱(50℃未満)を短時間適用してもよい)。続いて、5.6mL(リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)から成る水相を脂質相に加え(ミコフェノール酸、メトプロロール酒石酸塩、アトルバスタチンカルシウム、アスピリン及びセルトラリン塩酸塩を含む対照化合物の場合、各化合物は対照化合物を含有する製剤を調製するために脂質相の代わりにPBSに溶解した)、室温にて240μmの振幅及び20kHzの周波数で2分間作動する3.2mmのマイクロプローブチップを備えた超音波処理装置による超音波処理によって製剤を乳化した。製剤すべてにおける化合物の濃度はHPLC−MSを用いて検証した。
薬剤がミコフェノール酸(MPA)、メトプロロール(MET)、アトルバスタチン(ATV)、セルトラリン(SER)又はセレコキシブ(CEL)であるリンパ輸送試験用に雄性スプラーグドーリー(SD)系ラットを選択した。雌性SDラットはテストステロンが薬剤である試験用に選択した。これは、体外から投与されたテストステロンの定量を妨害する雄性ラットにおける相対的に高く且つ変動するレベルの内在性テストステロンの可能性を排除するためだった。ラット(240〜320g)は標準飼料で維持し、実験に先立って一晩絶食させ、水は自由摂取とした。麻酔したラットを37℃で加熱したパッド上に置き、以前記載された(Edwardsら.Advanced Drug Delivery,Reviews,2001,50(1),45−60)ように、十二指腸(製剤の投与及び水分補給のために)、腸管膜リンパ管(リンパ液の採取のために)、及び頸動脈(採血のために)にカニューレを挿入した。手術後、2.8mL/時間での通常の生理食塩水の十二指腸点滴を介して0.5時間ラットに水分補給した。脂質製剤を2.8mL/時間で2時間十二指腸から注入し、その後、実験の残りの時間は.注入を2.8mL/時間での通常の生理食塩水に変更した。リンパ液は、1,000IU/mLのヘパリン10μLを含有する予め秤量したエッペンドルフチューブに6〜8時間連続的に採取した。採取チューブを時間毎に交換し、リンパ液の流れを重量測定で測定した。時間毎のリンパ液試料のアリコートをアッセイに先立って−80℃で保存した。
リンパ液における薬物濃度は薬物全体として表し、遊離の薬物及び異なるグリセリドに会合した薬物を含む。これは、遊離の薬物の評価に先立ってリンパ液の加水分解(再エステル化されたグリセリドからの薬物の遊離)によってアッセイされる。
各時間の採取時間の間でのリンパ液へのMPA、TST、MET、ATV、SER又はCELの誘導体の輸送は、採取されたリンパ液の容量の生成物及びリンパ液で測定された濃度から算出した。図1は、0〜2時間の製剤の十二指腸からの注入後に関して、麻酔し、腸管膜リンパ管にカニューレを挿入した雌性SDラットにおける時間に対するテストステロン関連誘導体すべての累積リンパ輸送(投与された用量の%)を示す。各製剤は、40mgのオレイン酸と25mgのツイーン80と5.6mLのPBSとに分散された2mgの例示化合物又は対照、ウンデカン酸テストステロン(TU)を含有した。データは、TU(n=4)、Seribaらによって以前に記載されているテストステロンがコハク酸を介してトリグリセリド単位に結合している化合物(化合物41、n=4)及び化合物11(n=3)について、並びにn=1である化合物10と化合物14について平均値±SEMとして提示する。挿入図は、データの終点(8時間にわたりリンパ液に輸送された累積%用量)を棒グラフの形態で示す。図1及び表7にて明らかなように、例示化合物のそれぞれは、対照TUに比べてテストステロンの腸管リンパ系への送達を7〜9倍前後大きく向上させた。
図2は、0〜2時間の製剤の十二指腸からの注入後に関して、麻酔し、腸管膜リンパ管にカニューレを挿入した雄性SDラットにおける時間に対するMPA含有化合物全体の累積リンパ輸送(投与された用量の%)を示す。製剤は、40mgのオレイン酸と25mgのツイーン80と5.6mLのPBSとに分散された2mgの例示化合物又はMPA単独を含有した。データは平均値±SEMとして提示する。データは、MPAについてn=5、化合物30及び化合物34についてn=3、化合物31についてn=6、並びに化合物32、化合物33及び化合物35についてn=4の動物から得た。挿入図は、データの終点(8時間にわたりリンパに輸送された累積%用量)を棒グラフの形態で示す。
図2及び表8は、本発明の化合物がMPA単独に比べてMPAのリンパ輸送を43〜132倍有意に高めることを示す。リンカーの長さを伸ばすことはMPAの輸送を向上させ、化合物30はMPAのリンパ輸送を投与された用量の7.1%まで向上させ、化合物34は輸送を22.1%向上させる。リンカーの長さと輸送の増大との間の相関は、さらに長いアルキル鎖が天然のトリグリセリドの消化の結果生じるモノグリセリドをさらに密接に模倣するので、モノグリセリド中間体の再エステル化の容易さによると思われる。興味深いことに、リンカーの長さをさらに増やすことは効率的ではないと思われ、−Y−がC20アルキル基である化合物35の投与は、−Y−がC14アルキル基である化合物34で達成できるものより少ないリンパ輸送を生じた。図3及び表8から分かるように、薬剤とリンカーとの間のエステル結合をチオエステルで置き換えることは得られた化合物(例、化合物31及び化合物40を参照)のリンパ輸送を変化させない。
図4、図19及び表9から明らかであるように、グリセリドサブユニットへのエステル結合をα−メチル基又はβ−メチル基のいずれかによって保護することは化合物の腔内の安定性を高め、リンパ輸送を促進することができる。化合物18におけるβメチル分岐又は化合物16におけるαメチル分岐は、その直鎖対応物である化合物10又は化合物13(図19を参照)と比べて、消化液におけるモノグリセリド中間体を有意に安定させた。これによって、腸細胞にてさらに多くのモノグリセリド模倣中間体が吸収され、再エステル化されるのが可能になるので、リンパ系の薬物輸送が顕著に高くなる。
同様に、スペーサーにてメチル置換(グリセリド主鎖にアルキルスペーサーを連結するエステル結合に対するα−又はβ−のいずれか)を伴うTG模倣プロドラッグはGI腔内にてMPAの安定性を改善し(図23)、MPAのさらに良好なインビボリンパ輸送に向かう傾向を生じた(図5及び表10)。図5及び表10は、リンパ輸送が化合物36(9.1%)及び化合物38(12.1%)について化合物31(8.2%)よりも改善していること、並びに化合物37(12.6%)及び化合物39(28.4%)がそれぞれ化合物32(9.6%)及び化合物34(22.1%)よりも多いリンパ輸送をもたらすことを示す。
エステル結合を介してトリグリセリドの2’位に結合された本発明の化合物は、1’(又は3’)位での結合又はエーテル結合を介して連結された結合に比べてリンパ輸送を促進することにおいてさらに効果的である。
本発明者のデータは、位置的な特異性及び官能基の特異性がMPAプロドラッグの効率的なリンパ標的化に重要であることを示している。図6及び表11において、たとえば、化合物30及び化合物32のような本発明の化合物はMPAのリンパでの回収を43〜60倍上手く促進した。逆に、MPAがグリセロール単位の1’(又は3’)位で直接結合される化合物(化合物42)、MPAリンカー部分がエーテル結合を介してグリセロール単位に結合され、−Y−の同等物がC4アルキル基である化合物(化合物43)若しくはC6アルキル基である化合物(化合物44)、又はMPAがエーテル結合を介してグリセロール単位の1’位に結合され、−Y−の同等物がC8アルキル基である化合物(化合物45)は、リンパ輸送に不十分な基質であり、MPA単独のものと類似するリンパ輸送を生じた。
図7〜11及び表12は、TG模倣プロドラッグ戦略がMPA及びテストステロンを超えて化合物に拡大できるという追加の証拠を提供する。図面は、麻酔し、腸管膜リンパ管にカニューレを挿入したラットへのID注入後の化合物全体のリンパ輸送(用量の%)を提示する。データは、MET(図7)、ATV(図8)及びASP(図9)のリンパ輸送がそれぞれ化合物3、9及び8の投与後に向上することを示している。
図10は、本発明のその上さらなる証拠を提供し、MPAのようなカルボン酸末端薬物及びTSTのようなヒドロキシル末端薬物の例に加えて、たとえば、セルトラリン(SER)のようなアミン末端薬物のリンパ薬物輸送は、薬物とグリセリドとの間に自壊リンカーを組み込むグリセリド模倣プロドラッグの形成によって向上させることができることを示す。図10は、麻酔し、腸管膜リンパ管にカニューレを挿入したラットにおけるID注入後の化合物全体のリンパ輸送(用量の%)を提示し(データは、トリメチルロック自壊基と薬剤セルトラリンを組み入れる化合物1の平均値±範囲(n=2)として提示される)、リンパにてセルトラリン誘導体全体の41.0±7.0%の輸送を生じた。同様に、安息香酸パラヒドロキシル自壊基を含む(化合物6)又はアセタール自壊基とグリセリドへのエステル結合のメチル保護との組み合わせを含む(化合物7)修飾は、薬物単独に比べてリンパ薬物輸送の向上を提供する。さらなる例である、アミン含有薬物のトリメチルロック自壊プロドラッグとして、非ステロイド性抗炎症性薬物セレコキシブのプロドラッグ(CEL、化合物5)のリンパ輸送を図11にて示す。
実施例9.ラット及びイヌにおける薬物動態(PK)試験
本発明の化合物の経口での生体利用効率を評価するために、ラット及びイヌにて薬物動態試験を行った。ラットの試験では、雌性(テストステロン関連の試験用)及び雄性(アルファキソロン関連の試験用)のスプラーグドーリー系ラット(240〜320g)を麻酔し、薬物投与の前日に頸動脈にカニューレを挿入した。次いでラットの意識を回復させ、実験の開始に先立って一晩絶食させ、水は自由摂取とした。翌朝、2mLのPBSに分散させた1〜2mgの化合物、40mgのオレイン酸及び25mgのツイーン80を含有する脂質製剤にて経口強制投与を介して化合物(アルファキソロン(ALP)と化合物2を除く)を投与した(ラットにおけるリンパ輸送試験について上述したように、唯一の差異はここでの意識下の試験のための少量のPBSである)。ALPの経口製剤は0.5%(w/v)のカルボキシメチルセルロース1mLに懸濁された7.5mgのALPと生理食塩水における0.4%(v/v)のツイーン80を含有した。化合物2の経口製剤は1mLのPBSに分散された3mgの化合物と20mgのオレイン酸と12.5mgのツイーン80を含有した。血液試料は、投与の5分前から投与の24時間後まで頸動脈カニューレから採取し、5000rpmで5分間遠心分離して血漿を分離した。採血時間の間、ラットはずっと水を自由摂取したが、薬物投与後さらに8時間絶食のままにした。血漿試料はHPLC−MS−MSによる解析に先立って−80℃で保存した。この場合、試料は遊離の薬物(すなわち、グリセリドに会合していない薬物)についてアッセイし、アッセイに先立って(リンパ液試料での場合のように)加水分解はしなかった。従って、このデータは、リンパ液に輸送され、次いで体循環にて再エステル化された薬物−グリセリド複合体から遊離される薬物を反映する。
イヌの試験については、雌性グレイハウンド犬を試験開始の前少なくとも5日間大型動物研究施設で維持した。試験の開始前少なくとも4日間順化させた。薬剤投与の30分前まで12時間イヌを絶食させた。摂食状態の試験(TU又は化合物13についてn=4)については、イヌは薬剤投与の30分前に5%脂肪を含有する標準の市販イヌ用飼料を680g摂取した。絶食試験(化合物13についてn=1)については、イヌは投与の4時間後まで絶食のままだった。水は試験全体を通してイヌすべてが自由摂取した。試験当日、20ゲージの静脈内カテーテルを頭部静脈に挿入して採血を可能にした。カニューレ挿入後、イヌは自由に動き回った(拘束しなかった)。摂食状態の試験については、Andriol Testocaps(市販のTU製品)又は化合物13をイヌに与えた。Andriol TestocapsはMerck Sharp & Dohme(オーストラリア)Pty Limitedによって供給され、ラウログリコールFCC/ヒマシ油[40:60%(w/w)]にてTUの12.0%(w/w)溶液を含有する軟質ゼラチンカプセル剤として製剤化され、個々のカプセル剤の組成は40mgのTU、ラウログリセロールFCC、ヒマシ油、ゼラチン、グリセロール及びサンセットイエロー(E110)だった。化合物13は、30.5%w/wのダイズ油、30.5%w/wのMaisine35−1、31.6%w/wのCremophor EL及び7.4%w/wのエタノールから成る長鎖脂質系の自己乳化薬物送達システム(SEDDS)にて調製した。製剤を硬質ゼラチンカプセル剤に充填した。カプセル剤を咽頭の出来るだけ後部に置き、口を閉じさせ、喉を撫でて嚥下を刺激することによって、80mgのTUを含有するAndriol Testocapsの2つのカプセル剤又は2gのSEDDS製剤に溶解した90mgの化合物13の総用量を含有する化合物13の2つのカプセル剤を摂食させたグレイハウンド犬に投与した。続いて50mLの水を注射器を介して経口で投与した。化合物13製剤の2つのカプセル剤は絶食状態試験について絶食させたイヌにも投与した。経口投与の後、頭部静脈カニューレを介して投与前5分から投与後10時間まで血液試料(各およそ3mL)を採取した。カテーテルの開通性は、各採血後、少量のヘパリン添加生理食塩水(1〜2IU/mL)で洗い流すことによって維持した。24時間での血液試料は静脈穿刺によって採取した。遠心分離によって血漿を分離し、各血漿試料のアリコートをエッペンドルフチューブに移し、LC−MS−MSによる解析に先立って−80℃で保存した。
図12は、頸動脈にカニューレを挿入した意識のある雌性SDラットに製剤を経口強制投与した後の用量をノーマライズしたテストステロンの血漿濃度を示す。製剤は、40mgのオレイン酸、25mgのツイーン80及び2mLのPBSにて分散された1mgのTU、又はテストステロンを含有する本発明の2mgの化合物を含有した。用量は、テストステロンの2mg/kg相当の用量に対してノーマライズした。データは群すべて(各群についてn=4又は3)について平均値±SEMとして示す。挿入図は、棒グラフの形態でのテストステロンの用量をノーマライズした血漿AUC0−24h(ナノモル×時間/L)のプロットである。
C5を超える長さのリンカーを持つ本発明の化合物は投与後のテストステロンの全身曝露(経口での生体利用効率)で有意な増加を生じた。このことは図12及び表13によって実証され、ここで、4つの化合物すべてのリンパ輸送は類似していた(図1及び表7を参照)という事実にもかかわらず、化合物11、化合物13又は化合物14の経口投与後の親テストステロンの全身曝露は、化合物41又は化合物10の投与後に得られるものより10倍高かった(用量を基準化したテストステロンの血漿AUC0−24h)(TUで達成されるものより約12〜27倍高い)。この場合、さらに長いリンカーが薬剤放出の向上に重要であると思われる。
テストステロンの全身曝露を促進する本発明の化合物の有用性は、異なる動物、イヌにおいても示された。このことは、図13及び表14によって実証されている。ラットのデータに一致して、化合物13の経口投与後の親テストステロンの全身曝露は、TUの投与後に得られるものより有意に高かった(およそ8倍、用量をノーマライズしたテストステロンの血漿AUC0−24h)。特に、化合物13についての曝露の増加は、食物との同時投与によって影響を受けるとは思われなかった。
α−メチル基又はβ−メチル基により保護されたグリセリドへのエステル結合を持つ化合物は、より長鎖の類似体についてテストステロンの経口による生体利用効率を高める。
図4及び表9から明らかなように、メチル分岐のTG模倣プロドラッグはMG中間体を安定化することによってテストステロンのリンパ輸送を容易にする。しかしながら、メチル基による修飾は、プロドラッグ分子からの親テストステロンの全身放出も低下させ得る。図14及び表15にて示すように、たとえば、化合物18の投与の後、化合物18のリンパ輸送がおよそ2倍高かったとしても(表9を参照)、血漿におけるテストステロンの全身曝露はその直鎖対応物である化合物10よりも低かった。
リンパ輸送を改善し、全身性のテストステロンの放出を可能にするために、本発明者らは、メチル基の置換とさらに長いアルキル鎖長との組み合わせがα−メチル基又はβ−メチル基を伴う化合物で認められる曝露の低下を弱めることを見いだした。図14及び表15から、−Y−がC8アルキル基まで増えると、メチル基修飾の後、血漿における遊離のテストステロンの放出は直鎖(化合物13)と比べた場合、β−メチル化類似体について類似し、放出が幾分遅延すると思われたことは、潜在的に延長された放出を提供していることを理解することができる。
薬剤とリンカーとの間に自壊基を組み込む化合物は、全身性の系で親薬物の放出を容易にし、エステル結合の化合物よりも経口による高い生体利用効率を達成する。
図15及び表16で分かるように、化合物22及び化合物26(トリメチルロック自壊基を有する)の経口投与後、血漿におけるテストステロンの全身曝露は、それぞれ化合物11及び化合物13(自壊基を持たない相当する化合物、及び化合物13は前に最良の成績だったプロドラッグの1つだったことに気付く)の投与後達成されるものよりも高かった。TUと比べた場合、テストステロンの血漿AUCは、化合物22の投与後およそ40倍高く、化合物26の投与後およそ90倍高かった。同様に、β−メチル保護したテストステロンのプロドラッグ(リンパ輸送は高かった(図4)が、全身放出は不完全だった(図15))へのトリメチルロック自壊基の付加は、化合物25及び化合物27について全身曝露で顕著な増加を生じた(TUよりもおよそ60〜100倍高い)。
トリメチルロック自壊基は唯一の有効な自壊基ではなく、他の例が同様に有効であることも明らかである。たとえば、図16及び表17において、化合物21(アセタール自壊基を有する)は化合物11よりも高い全身性のテストステロンのレベルを生じた。この効果は、β−メチル保護したC5プロドラッグにアセタール自壊基を付加する場合(化合物18対化合物23)、一層さらに顕著であり、ここで、自壊類似体はTUに比べて90倍のテストステロンの全身曝露での増大を生じる。
自壊基の潜在的な利益のさらなる例示では、図17及び表18におけるデータは、反転エステル自壊(FSI)の有用性の証拠を提供している。化合物29についてのデータは、C5β−メチルテストステロンプロドラッグへの反転エステル基の挿入が、直鎖プロドラッグ(化合物10)及びβ−メチル保護された化合物(化合物18)の双方と比べると、経口投与後の全身性のテストステロンのレベルで有意な上昇を生じることを示している。パラヒドロキシベンジルカルボニル(PHB)自壊の付加(化合物28)もTUに比べてテストステロン曝露で上昇を生じたが、他の自壊よりも効果的ではなかった。
本発明の化合物はテストステロン以外の薬物、たとえば、高い初回通過効果を持つ別の薬剤であるアルファキソロン(ALP)の全身曝露を促進することができることがさらに明らかである(図18及び表19)。図18は、頸動脈にカニューレを挿入した意識のある雄性SDラットへの製剤の経口強制投与後のALPの血漿濃度を示す。製剤は、生理食塩水における0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロース及び0.4%(v/v)のツイーン80の1mLに懸濁された7.5mgのALP、又は20mgのオレイン酸、12.5mgのツイーン80及び1mLのPBSに分散された3mgの化合物2を含有した。データは化合物2の群(n=4)については平均値±SEMとして示し、対照化合物ALP群はn=1だった。懸濁製剤におけるALPの経口投与後、血漿濃度は極めて低く(定量の限界(LOD、10ng/mL)未満)、ALPの強力な初回通過代謝による可能性が最も高い。データは、それらがアッセイの定量限界未満であったことを実感する定性的指標として図18に示す。対照的に、化合物2は、ALP投与後のALPの非常に低い曝露のために相対的な生体利用効率の定量的比較が可能ではないけれども、対照化合物ALPに比べてALPの全身曝露(経口による生体利用効率)での明らかに顕著な増加を生じた。
実施例10.ラットの消化液又はブタの膵臓リパーゼによる化合物のインビトロ加水分解
MPA関連化合物のインビトロ加水分解をラットの消化液と共にインキュベートすることを介して実施した。ラットの消化液は十二指腸への管の入り口の直前の総胆管−膵管(すなわち、膵臓分泌の入り口ポイントの下)へのカニューレの挿入を介して麻酔したラットから採取した。これによって胆汁と膵液の同時採取が可能になった。消化液は2時間連続して採取し、その時間の間、ブランク脂質製剤(ラットのリンパ輸送試験で記載されたように調製したが、薬物は添加しなかった)を2.8mL/時間の速度で十二指腸に注入し、薬剤投与後の状態を模倣した。胆汁と膵液は37℃で維持し、採取の0.5時間以内にインビトロでのプロドラッグの加水分解実験に使用した。加水分解実験は、0.375mLのラット消化液を0.625mLの薬剤負荷した脂質製剤(ラットのリンパ輸送試験で記載されたようなもの)と共にインキュベート(37℃で)することによって実施した。消化液の製剤に対する容積比は胆汁及び膵液の流量(約1.5mL/時間)とインビボでのリンパ輸送試験の間での十二指腸内製剤の注入速度(2.8mL/時間)を模倣した。10μLのアリコート(0、2、5、10、15、30、60、90、120、180分で取り出した試料)を990μLのアセトニトリル:水(4:1、v/v)に加えて脂質分解を止め、1分間ボルテックスし、4500gで5分間遠心分離して解析前のタンパク質を沈殿させた。残留化合物濃度について上清をHPLC−MSによって解析し、化合物加水分解の可能性のある生成物を解析した。
実験のさらに高い処理能力を提供するために、特に述べられない限り、ブタ膵臓リパーゼとのインキュベートを介してTST関連化合物のインビトロ加水分解を実施した。これは、膵臓酵素のさらに再現性のよい供給源を提供し、向上した実験処理能力を容易にし、採取されるラット酵素よりもさらに大きな挑戦でもある(ラットの腸管液における酵素活性は低いため)。手短には、5mLの脂質分解緩衝液及び16.9μLの5MのNaOHにおける1gのブタパンクレアチンの分散によって膵臓リパーゼ溶液を加水分解実験に先立って調製した。懸濁液を良く混合し、5℃にて3500rpmで15分間遠心分離して上清を提供した。NaOHによってpH6.5に調整した0.474gのトリス−マレイン酸(2mM),0.206gのCaCl2.H2O(1.4mM)及び8.775gのNaCl(150mM)により1000mL量の脂質分解緩衝液を調製した。腸管におけるプロドラッグの加水分解の可能性を評価するために、20μLのプロドラッグ溶液(アセトニトリルに溶解した1mg/mL)と900μLの模擬腸管ミセル溶液[500mLの脂質分解緩衝液にて0.783gのNaTDC(3mM)と0.291gのホスファチジルコリン(0.75mM)で調製した]と100μLの酵素溶液とを37℃でインキュベートした。インキュベート溶液の20μL試料をインキュベートの0、5、10、15、30、60、90、120、及び180分後に取り出し、180μLのACNに加えて脂質分解を止めた。混合物をボルテックスし、5000rpmで5分間遠心分離して解析前にタンパク質を沈殿させた。残留化合物濃度について上清をHPLC−MSによって解析し、化合物加水分解の可能性のある生成物を解析した。
消化酵素とのインキュベートの際、プロドラッグのモノグリセリド形態が非常に急速に形成される。従って、当初の消化過程によって生成されるモノグリセリド形態の安定性によって模擬腸管の状態における安定性がさらに良好に評価される。モノグリセリド形態は、リンパ管への侵入前に腸細胞で吸収され、再エステル化されるにはインタクトなままでなければならない。新しく採取したラットの胆汁及び膵液(BPF)との(化合物10及び18)、又はブタの膵臓リパーゼとの(化合物13及び16)インビトロでのインキュベートの間での、化合物10(n=3)の化合物18(n=1)との、及び化合物13(n=3)の化合物16(n=3)とのモノグリセリド形態の安定性特性の比較は、α炭素又はβ炭素におけるメチル基の包含がモノグリセリド中間体の安定性を有意に高めることを示している(図19)。このことは、化合物10と比べた場合の化合物18のリンパ輸送における増加、及び図4における化合物16の高い程度のリンパ輸送と一致する。
図20〜22は、自壊リンカーを含有するプロドラッグを含むテストステロンプロドラッグの腔内安定性を改善するメチル置換の能力のさらなる証拠を提供する。ここで、自壊基は、腔内安定性を低下させることが予期されるのかもしれない。たとえば、図20では、化合物11又は化合物13のモノグリセリド形態はインビトロ脂質分解アッセイにて高度に安定ではなく、これは、トリメチルロック自壊類似体(化合物22及び化合物23)について類似したか、又はそれより悪化した。対照的に、メチル置換されたモノグリセリド(化合物25及び化合物27)はインビトロでの加水分解の挑戦のもとで顕著に安定であり、テストステロン曝露の増大を生じた(図15)。
図21では、類似の比較がアセタール自壊プロドラッグについて明らかであり、化合物21(自壊リンカーを伴う)の腔内安定性は化合物11のそれより低く、化合物24は化合物13より不十分な安定性を有した。化合物23におけるアセタール自壊に加えたβメチル保護の組み合わせは、有意に向上した腔内安定性(図21)及びインビボ曝露(図16)を生じた。
反転エステル自壊については、自壊の挿入に加えたβメチル置換の組み合わせ(化合物29)は、自壊ではない直鎖対応物(化合物10)に比べて腔内安定性の上昇を生じ(図22)、インビボでのテストステロン曝露で有意な増大を生じた(図17)。
同様に、新しく採取した胆汁と膵液(BPF)とのインビトロでのインキュベートの間での化合物31(n=5)、化合物32(n=4)、化合物34(n=1)、化合物36(n=2)、化合物37(n=1)、化合物38(n=1)及び化合物39(n=1)のモノグリセリド形態の安定性特性の比較は、MPA誘導体について図23に示されている。データは、n≧3のときに平均値±SEMとして、又はn=2のときに平均値±範囲として提示する。
リンカー(グリセリド主鎖にアルキル基を連結するエステル結合へのα−又はβ−)にてメチル置換を伴う化合物は、消化管(GI)腔内におけるモノグリセリド中間体の分解を効果的に低下させ、その直鎖対応物と比較すると向上したインビボのリンパ輸送を生じる。
化合物36、及び化合物38の化合物31との、化合物37の化合物32との、及び化合物39の化合物34とのモノグリセリド消化生成物の分解特性の比較は、安定性での有意な差異を明示している。GI腔内におけるプロドラッグの安定性の最適化もさらに良好なインビボのリンパ輸送の傾向を生じた。図5及び表10は、化合物36(9.1%)又は化合物38(12.1%)のリンパ輸送が化合物31(8.2%)よりやや良好であり、化合物37(12.6%)が化合物32(9.6%)より高い輸送を生じ、化合物39(28.4%)が化合物34(22.1%)よりも高かったことを示している。
データはまた、直鎖リンカーを含有するプロドラッグのモノグリセリド(MG)中間体(例、化合物31及び化合物32)がBPFにて相対的に急速に分解されることも実証している。これらMG中間体の不安定性は、モノアシルグリセロールリパーゼ及び膵臓リパーゼのような加水分解酵素を介した分解の結果生じると思われる。これは結果として、吸収され、再エステル化に利用できる薬物を結合したMG様中間体の利用可能性を低下させる。最終的に、これは薬物のリンパ輸送を低下させる。従って、分解からのMG中間体の保護は、薬剤のリンパ輸送を向上させるかもしれない。このことは、構造的に(例、α又はβメチル置換の組み込み)、又は酵素阻害剤の同時投与によって達成することができ、たとえば、図24及び表20におけるデータは化合物32のリンパ輸送が、モノアシルグリセロールリパーゼ阻害剤(JZL184)及び膵臓リパーゼ阻害剤(オルリスタット)との同時投与によって用量の9.6%から18.8%に増加したことを示している(p<0.05)。
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈が特に求めない限り、単語「comprise」及び、たとえば、「comprises」又は「comprising」のような変形は、述べられる整数又は整数若しくは工程の群を含むことを意図するが、他の整数又は整数の群を排除することは意図しないものとして理解されるであろう。
本明細書における従前の刊行物(又はそれに由来する情報)又は既知である任意の事柄に対する参照は、従前の刊行物(又はそれに由来する情報)又は既知である任意の事柄が、本明細書が関連する着目分野における共通する一般的な知識の一部を形成するという承認又は了解、又は如何なる示唆の形態でもなく、且つそのようなものとして解釈されるべきではない。