上記特許文献1に記載の雌型端子金具において、一対の弾性接触片は、金属板の縁部を上下に重ね、これら重なった縁部を前方へ延ばし、かつこれら重なった縁部を下方へ屈曲させることにより形成されている。すなわち、一対の弾性接触片は、それぞれ屈曲した2枚の金属板が互いにぴったりと重なり合うことにより形成されている。
しかしながら、実際上、それぞれ屈曲した2枚の金属板をぴったりと重ね合わせることは容易ではない。すなわち、設計図面上、2枚の屈曲した金属板がぴったりと重なり合うように、それぞれの金属板の屈曲の角度を設定しても、実際の製造時には、例えば折曲加工において生じる誤差等によって各金属板の屈曲の角度がばらつくため、2枚の屈曲した金属板を設計通りにぴったりと重ね合わせることは困難である。
例えば、実際に雌型端子金具を製造した結果、上側の金属板の下方への屈曲の角度が、下側の金属板の下方への屈曲の角度よりも小さくなり、それゆえ、一対の弾性接触片が、それらの先端に行くに従って互いに離れる状態となることが多い。一対の弾性接触片がこのような状態となった場合、雄型端子を雌型端子金具に接続する際に、次のような現象が生じる。
すなわち、一対の弾性接触片の先端部間の離間距離が大きい場合には、雄型端子を雌型端子金具の端子挿入口に挿入したとき、下側の弾性接触片が雄型端子に接触するものの、上側の弾性接触片が下側の弾性接触片から離れたままの状態となることがある。この状態では、下側の弾性接触片は雄型端子に押し上げられて弾性変形しているものの、上側の弾性接触片は弾性変形しておらず、元の形状を維持している。したがって、雄型端子に加わる力が下側の弾性接触片の弾性力(ばね力)のみとなる。この結果、雄型端子と雌型端子金具との電気的接続が不安定になるおそれがある。
また、一対の弾性接触片の先端部間の離間距離が小さい場合には、雄型端子を雌型端子金具の端子挿入口に挿入したとき、下側の弾性接触片が弾性変形した状態で雄型端子に接触し、かつ上側の弾性接触片が弾性変形した状態で下側の弾性接触片に接触する。それゆえ、双方の弾性力が雄型端子に加わる。しかしながら、上側の弾性接触片の下方への屈曲の角度が設計図面上の角度よりも小さくなっている場合には、雄型端子に加わる上側の弾性接触片の弾性力が設計上の値よりも小さくなっている。この結果、雄型端子と雌型端子金具との電気的接続が不確実となるおそれがある。
なお、各弾性接触片の下方への屈曲の角度を設計上大きくし、一対の弾性接触片が実際上ぴったりと重なり合い易くすることが考えられる。しかしながら、各弾性接触片の屈曲の角度は、雄型端子と接触したときに各弾性接触片の変形が弾性範囲を超えないように設定する必要がある。すなわち、弾性接触片の変形が弾性範囲を超えることによって弾性接触片が元の形状に戻らなくなり、弾性力が低下してしまうことを避けなければならない。それゆえ、各弾性接触片において設定可能な屈曲の角度には限度があり、その角度範囲は小さい。したがって、各弾性接触片の下方への屈曲の角度を設計上大きくして一対の弾性接触片が実際上ぴったりと重なり合い易くすることは困難である。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、実際の製造において構造上の誤差が生じても、金属板を曲げることにより形成された一対の金属片の双方の弾性力を相手方コネクタ端子に加えて、相手方コネクタ端子との確実かつ安定した電気的接続を形成することができるコネクタ端子およびコネクタを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のコネクタ端子は、前端側には相手方コネクタ端子が挿入される筒状の端子挿入部が形成され、後端側には電線が取り付けられる電線取付部が形成されたコネクタ端子であって、前記端子挿入部は、下壁部と、前記下壁部の左右方向一側の縁部から上方へ伸長する第1の側壁部と、前記第1の側壁部の上縁部から左右方向他側へ伸長する第1の上壁部と、前記下壁部の左右方向他側の縁部から上方へ伸長する第2の側壁部と、前記第2の側壁部の上縁部から左右方向一側へ前記第1の上壁部の上側を伸長し、前記第1の上壁部と重なり合う第2の上壁部と、前記第1の上壁部の前端部が前記第1の側壁部の前端部から分離して第1の曲がり位置で下方へ曲がることにより形成され、前記端子挿入部内に前記相手方コネクタ端子が挿入された状態において当該相手方コネクタ端子に圧力を加えつつ接触する接触片と、前記第2の上壁部の前端部が前記第2の側壁部の前端部から分離して前記第1の曲がり位置よりも前側に位置する第2の曲がり位置で下方へ曲がることにより形成され、前記端子挿入部内に前記相手方コネクタ端子が挿入された状態において当該相手方コネクタ端子に接触する前記接触片に圧力を加えつつ接触する補強片とを備え、前記端子挿入部に前記相手方コネクタ端子が挿入されていない状態において、前記補強片の前記第2の曲がり位置の部分と、前記接触片において前記補強片の前記第2の曲がり位置の部分と上下方向に対向する部分との間には間隙が形成され、前記補強片は前記第2の曲がり位置の部分から前方に向かうに従って前記接触片に接近し、前記接触片の前端側部分の下面には、前記端子挿入部内に前記相手方コネクタ端子が挿入されたときに当該相手方コネクタ端子と接触する接触部が設けられ、前記補強片の前端の前後方向における位置は、前記接触片における前記接触部の前後方向における位置に達し、前記端子挿入部内に前記相手方コネクタ端子が挿入されたときに前記補強片の前端が前記接触片の上面に接触することを特徴とする。
さらに、上述した本発明のコネクタ端子において、前記端子挿入部に前記相手方コネクタ端子が挿入されていない状態で、前記補強片において前記第2の曲がり位置よりも前端側の部分は前記接触片から離れている。
本発明のこの態様では、補強片の第2の曲がり位置が接触片の第1の曲がり位置よりも前方に設定されている。そして、補強片の第2の曲がり位置の部分と、接触片において補強片の第2の曲がり位置の部分と上下方向に対向する部分との間には間隙が形成されている。さらに、補強片は第2の曲がり位置の部分から前方に向かうに従って接触片に接近している。このような構造により、端子挿入部に相手方コネクタ端子が挿入されたときには、接触片が弾性変形することにより相手方コネクタ端子に圧力を加えつつ接触し、かつ補強片が弾性変形することにより当該接触片に圧力を加えつつ接触する。この結果、接触片および補強片の双方の弾性力によりコネクタ端子と相手方コネクタ端子との電気的な接続が形成される。したがって、コネクタ端子と相手方コネクタ端子との電気的接続の安定性および確実性を高めることができる。
また、補強片の第2の曲がり位置が接触片の第1の曲がり位置よりも前方に設定され、補強片の第2の曲がり位置の部分と、接触片において補強片の第2の曲がり位置の部分と上下方向に対向する部分との間に間隙が形成された本発明の構造では、接触片と補強片とがぴったりと重なり合う従来の構造と比較して、補強片の第2の曲がり位置が接触片の第1の曲がり位置よりも大きく前に配置されている。この結果、本発明の構造における補強片の第2の曲がり位置から前端までの長さを、従来の構造における補強片の第2の曲がり位置から前端までの長さよりも短くすることができる。したがって、本発明の構造において、製造時の誤差により、補強片の第2の曲がり位置における下方への曲がり角度が設計上の値よりも小さくなった場合に、それによって形成される補強片の前端の上下方向の位置ずれを、従来の構造と比較して小さくすることができる。この結果、当該誤差により、補強片の前端と接触片との間の距離が増大することを抑制することができる。このように、本発明の本態様によれば、製造時の誤差により、端子挿入部に挿入された相手方コネクタ端子に接触片および補強片の双方の弾性力が設計通りに加わらなくなり(すなわち、補強片の前端と接触片との間の距離が設定上の値よりも増大して補強片の弾性力が相手方コネクタ端子に設計通りに加わらなくなり)、そのためにコネクタ端子と相手方コネクタ端子との電気的接続の安定性または確実性が低下することを抑制することができる。
また、本発明の構造では、接触片と補強片とがぴったりと重なり合う従来の構造と比較して、補強片の第2の曲がり位置が接触片の第1の曲がり位置よりも大きく前に配置されているので、製造時の誤差により、補強片の第2の曲がり位置が後方に位置ずれし、または、接触片の第1の曲がり位置が前方に位置ずれしても、接触片と補強片とが互いに干渉することを抑制することができる。したがって、製造時のこのような誤差が生じた場合でも、相手方コネクタ端子に接触片および補強片の双方の弾性力を加え、コネクタ端子と相手方コネクタ端子との間の確実かつ安定した電気的接続を形成することができる。
また、本発明の構造では、補強片の前端の前後方向における位置が、接触片における接触部の前後方向における位置に達し、端子挿入部内に相手方コネクタ端子が挿入されたときに補強片の前端が接触片の上面に接触する。この構造により、端子挿入部に挿入された相手方コネクタ端子に補強片の弾性力を確実に加えることができ、コネクタ端子と相手方コネクタ端子との間の安定した電気的接続を確実に形成することができる。
また、上述した本発明のコネクタ端子において、前記端子挿入部に前記相手方コネクタ端子が挿入されていない状態において、前記補強片が下方へ曲がる角度は、前記接触片が下方へ曲がる角度よりも大きいことが好ましい。
本発明のこの態様によれば、補強片の第2の曲がり位置が接触片の第1の曲がり位置よりも前方に設定され、補強片の第2の曲がり位置の部分と、接触片において補強片の第2の曲がり位置の部分と上下方向に対向する部分との間には間隙が形成されている。そして、補強片が第2の曲がり位置において下方へ曲がる角度が、接触片が第1の曲がり位置において下方へ曲がる角度よりも大きい。この結果、補強片は第2の曲がり位置の部分から前方に向かうに従って接触片に接近する。これにより、端子挿入部に挿入された相手方コネクタ端子に接触片および補強片の双方の弾性力を確実に加えることができる。したがって、コネクタ端子と相手方コネクタ端子との間の安定した電気的接続を確実に形成することができる。また、補強片の曲がる角度を大きくすることにより、相手方コネクタ端子に加わる補強片の弾性力を大きくすることができ、コネクタ端子と相手方コネクタ端子との接続の確実性を高めることができる。
また、上述した本発明のコネクタ端子において、前、後、左、右に拡がる金属板において、左右方向中間部が第1の壁形成部となり、前記第1の壁形成部の左右方向一側が第2の壁形成部となり、前記第2の壁形成部の左右方向一側であって当該金属板の左右方向一側縁部が第3の壁形成部となり、前記第1の壁形成部の左右方向他側が第4の壁形成部となり、前記第4の壁形成部の左右方向他側であって当該金属板の左右方向他側縁部が第5の上壁形成部となり、前記下壁部は前記第1の壁形成部により形成され、前記第1の側壁部は、前記第2の壁形成部が前記第1の壁形成部に対して前記金属板の一方の表面が内側になるように90度折れ曲がることにより形成され、前記第1の上壁部は、前記第3の壁形成部が前記第2の壁形成部に対して前記一方の表面が内側になるように90度折れ曲がることにより形成され、前記第2の側壁部は、前記第4の壁形成部が前記第1の壁形成部に対して前記一方の表面が内側になるように90度折れ曲がることにより形成され、前記第2の上壁部は、前記第5の上壁形成部が前記第4の壁形成部に対して前記一方の表面が内側になるように90度折れ曲がることにより形成されていることが好ましい。
本発明のこの態様では、金属板が横断面矩形の筒状に折れ曲がり、金属板の左右方向一側縁部と左右方向他側縁部とが互いに重なり合い、これにより、互いに重なり合った第1の上壁部および第2の上壁部が形成されている。そして、第1の上壁部および第2の上壁部のそれぞれの前端部に接触片および補強片が形成されている。このような構造によれば、接触片を支持する第1の上壁部の後端部を、その上側から第2の上壁部の後端部により押さえることができる。これにより、端子挿入部に相手方コネクタ端子が挿入され、接触片が当該相手方コネクタ端子により上方に押し上げられたときに、接触片を支持する第1の上壁部の後端部が上方に位置ずれすることを、第2の上壁部の後端部により阻止することができる。よって、接触片の弾性力を相手方コネクタ端子に確実に加えることができる。
また、上述した本発明のコネクタ端子において、前記接触片の前端部には、前記端子挿入部内に前記相手方コネクタ端子が挿入されたときに前記相手方コネクタ端子の先端部が当たる下前方を向いた導入面が形成されていることが好ましい。
本発明のこの態様によれば、端子挿入部内に挿入された相手方コネクタ端子の先端部が、下前方を向いた導入面に当たるので、接触片の前端側を上方へ円滑に押し上げることができる。
また、上述した本発明のコネクタ端子において、前記端子挿入部において、前記導入面よりも前側に位置する前端部の上部には、前記相手方コネクタ端子を前記端子挿入部内へ案内する下前方を向いたガイド面が形成され、前記導入面の上端部の位置は、前記ガイド面の下端部の位置よりも高いことが好ましい。
本発明のこの態様によれば、ガイド面により端子挿入部内へ案内された相手方コネクタ端子を導入面に確実に当てることができ、相手方コネクタ端子を端子挿入部内へ円滑に進入させることができる。
上記課題を解決するために、本発明のコネクタは、コネクタハウジングと、前記コネクタハウジング内に設けられた上記本発明のコネクタ端子とを備えていることを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、上述した本発明のコネクタ端子の作用を発揮し得るコネクタを実現することができる。
本発明によれば、実際の製造においてコネクタ端子に構造上の誤差が生じても、金属板を曲げることにより形成された一対の金属片、すなわち接触片および補強片の双方の弾性力を相手方コネクタ端子に加えて、相手方コネクタ端子との確実かつ安定した電気的接続を形成することができる。
図1および図2は本発明の実施形態によるコネクタ端子が設けられたコネクタ、および相手方コネクタを示している。詳しくは、図1は当該コネクタ端子および相手方コネクタの外観斜視図であり、図2は図1中の矢示II−II方向から見た当該コネクタおよび相手方コネクタの断面図である。
コネクタ1は、図1に示すように、コネクタハウジング2を備え、さらに、図2に示すように、本発明の実施形態によるコネクタ端子36を備えている。
コネクタハウジング2は樹脂等の絶縁材料により箱状に形成されている。コネクタハウジング2の前端部は、相手方コネクタ21の嵌合穴23に嵌合するための嵌合部3となっている。また、コネクタハウジング2の上面には、コネクタ1を相手方コネクタ21に係止させるための係止片4が設けられている。
また、コネクタ1は複数のコネクタ端子36を備えている。コネクタハウジング2の内部には、これらのコネクタ端子36をそれぞれ収容するための複数の端子収容室5(1個のみ図示)が形成されている。これらの端子収容室5は、上段と下段に分かれ、それぞれの段において複数配置されている。なお、上段の各端子収容室5内に収容されたコネクタ端子36は、下段の各端子収容室5内に収容されたコネクタ端子36と向きが上下逆になっている。また、コネクタハウジング2の基端側の面には、コネクタ端子36が取り付けられた電線12を通すための複数の電線挿通孔6(1個のみ図示)が形成され、各電線挿通孔6は端子収容室5と連通している。また、コネクタハウジングの先端側の面には、相手方コネクタ21の相手方コネクタ端子24を挿入させるための複数の端子挿入孔7が形成され、各端子挿入孔7は端子収容室5と連通している。
また、コネクタハウジング2の下部には、コネクタ端子36を端子収容室5内に保持するための複数のランス8(1個のみ図示)が形成され、各ランス8の先端部は下段の端子収容室5の下面から上方に突出し、コネクタ端子36に形成されたランス係止孔54内に入り込んでいる。また、コネクタハウジング2の上部にも複数のランス8が形成され、各ランス8の先端部は上段の端子収容室5の上面から下方に突出し、コネクタ端子36のランス係止孔54内に入り込んでいる。
また、コネクタハウジング2にはリテーナ挿入孔9が形成されている。リテーナ挿入孔9はコネクタハウジング2内を左右方向に伸長している。リテーナ挿入孔9にはリテーナ10が挿入されている。リテーナ10は各コネクタ端子36に形成されたリテーナ当接部55に当接している。これにより、リテーナ10は、各コネクタ端子36を端子収容室5内に位置ずれまたは脱落が生じないように固定している。
一方、コネクタ1と接続される相手方コネクタ21は、樹脂等の絶縁材料により形成されたコネクタハウジング22を備え、コネクタハウジング22には、コネクタ1の嵌合部3が嵌合される嵌合穴23が形成されている。また、嵌合穴23内には、コネクタ端子36と接続される相手方コネクタ端子24が設けられている。相手方コネクタ端子24は、コネクタ端子36に対応するように複数設けられている。また、各相手方コネクタ端子24は導電性材料によりピン状に形成された雄型の端子である。また、コネクタハウジング22の上部には、コネクタ1の係止片4が係止される係止穴25が形成されている。
図3ないし図5は本発明の実施形態によるコネクタ端子36を示している。詳しくは、図3はコネクタ端子36の外観斜視図であり、図4は図3中の矢示IV−IV方向から見たコネクタ端子36の断面図であり、図5は図4中の矢示V−V方向から見たコネクタ端子36の断面図である。なお、以下のコネクタ端子36に関する説明において、前、後、左、右、上および下の方向は、説明の便宜上、図3ないし図9中の右下部に描いた矢示に従う。
コネクタ端子36は、電線と装置、または電線と電線とを電気的に接続する端子である。本実施形態においては、コネクタ端子36は、図2に示すように、コネクタ1に設けられ、コネクタ1が相手方コネクタ21に嵌合されたときに、相手方コネクタ21の相手方コネクタ端子24と電気的に接続される。
図3において、コネクタ端子36は、例えば銅合金等の導電性材料により形成されている。また、コネクタ端子36は端子挿入部37および電線取付部56を備えている。
端子挿入部37はコネクタ端子36の前端側に形成されている。端子挿入部37は、その前端に形成された挿入口38から相手方コネクタ端子24が挿入されることにより、コネクタ端子36と相手方コネクタ端子24とを電気的に接続する部分である。
端子挿入部37は横断面矩形状の筒状に形成されている。具体的には、端子挿入部37は、図5に示すように、端子挿入部37の下部において前後方向かつ左右方向に拡がる下壁部41と、下壁部41の左縁部から上方へ伸長する左壁部42と、左壁部42の上縁部から右方へ伸長する内側上壁部43と、下壁部41の右縁部から上方へ伸長する右壁部44と、右壁部44の上縁部から左方へ伸長する外側上壁部45とを備えている。左壁部42および右壁部44は下壁部41の左縁部および右縁部からそれぞれ垂直に立ち上がっており、それゆえ、左壁部42と右壁部44とは互いに平行である。また、内側上壁部43は左壁部42に対して垂直であり、外側上壁部45は右壁部44に対して垂直であり、それゆえ、内側上壁部43および外側上壁部45は互いに平行であり、また、これらは下壁部41と平行である。また、外側上壁部45は内側上壁部43の上側に位置し、内側上壁部43と重なり合っている。
また、図3に示すように、端子挿入部37は接触片48を備えている。接触片48は、端子挿入部37内に相手方コネクタ端子24が挿入されたときに、当該相手方コネクタ端子24の上面に圧力を加えつつ接触する部分である。接触片48は、内側上壁部43の前端部が左壁部42の前端部から分離し、当該分離した内側上壁部43の前端部が所定の位置(図4中の曲がり位置P1)で下方へ曲がることにより形成されている。内側上壁部43の前端部と左壁部42の前端部との分離は、内側上壁部43の前端部と左壁部42の前端部との間に切れ込み46を形成することにより実現されている。
また、図4に示すように、接触片48は、曲がり位置P1で下方へ曲がった後、下前方へ直線状に伸長し、その後、上方へ曲がり、その後、上前方へ伸長している。そして、接触片48の最下部の下面が接触部49となっている。端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入されたときには、接触片48の接触部49が相手方コネクタ端子24の上面に接触する。また、接触片48の上前方へ伸長した前端部が導入部50となっている。導入部50は下前方を向いた導入面50Aを有している。端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入されたときには、相手方コネクタ端子24の先端部が導入部50の導入面50Aに押し当たり、接触片48の前端側を上方へ押し上げる。
また、図3に示すように、端子挿入部37は補強片51を備えている。補強片51は、端子挿入部37内に相手方コネクタ端子24が挿入されたときに、当該相手方コネクタ端子24に接触する接触片48の上面に圧力を加えつつ接触する部分である。補強片51は、図3に示すように、外側上壁部45の前端部が右壁部44の前端部から分離し、当該分離した外側上壁部45の前端部が所定の位置(図4中の曲がり位置P2)で下方へ曲がることにより形成されている。外側上壁部45の前端部と右壁部44の前端部との分離は、外側上壁部45の前端部と右壁部44の前端部との間に切れ込み47を形成することにより実現されている。
また、図4に示すように、補強片51は、曲がり位置P2で下方へ曲がった後、下前方へ直線状に伸長している。そして、前後方向において、補強片51の前端部51Aの位置P4は、接触片48において端子挿入部37に挿入された相手方コネクタ端子24に接触する位置、すなわち接触部49の位置に達している。また、端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入されたときには、補強片51の前端部51Aが接触片48の上面に接触する。
また、図4に示すように、下壁部41の前端側の上面であって挿入口38に近い部分には、上方に突出する突出部52が形成されている。突出部52は、接触片48の接触部49の下方を含む、前後方向に広い範囲に亘って形成されている。また、突出部52は図5に示すように一対形成され、左右方向に並んでいる。端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入されたとき、突出部52の上端部が相手方コネクタ端子24の下面に接触する。
また、図4に示すように、端子挿入部37の前端部の上部にはガイド部53が形成されている。ガイド部53は、相手方コネクタ端子24を端子挿入部37内へ円滑に案内する機能を有している。ガイド部53は下前方を向いたガイド面53Aを有している。例えば、相手方コネクタ端子24の先端部が上方へ位置ずれしている場合には、相手方コネクタ端子24の先端がガイド部53のガイド面53Aに当たり、ガイド面53A上を滑って下後方へ移動し、端子挿入部37内へ入り込む。
また、導入部50の導入面50Aの上端部の高さ位置H1は、ガイド部53のガイド面53Aの下端部の高さ位置H2よりも高い。これにより、ガイド部53により端子挿入部37内へ案内された相手方コネクタ端子24は、導入面50Aに確実に当たるので、相手方コネクタ端子24は、端子挿入部37に円滑に進入することができる。すなわち、相手方コネクタ端子24の先端が導入部50の前端の縁部に当たってしまうと、相手方コネクタ端子24により接触片48を押し上げることができず、相手方コネクタ端子24が端子挿入部37の奥へそれ以上進入することができなくなってしまうが、そのようなことがない。
また、下壁部41には、コネクタハウジング2のランス8が入り込むランス係止孔54が形成されている。また、外側上壁部45には、リテーナ10が当接するリテーナ当接部55が形成されている。リテーナ当接部55は、外側上壁部45の後端部の一部を上方へ突出させることにより形成されている。
一方、コネクタ端子36の電線取付部56はコネクタ端子36の後端側に形成されている。電線取付部56はコネクタ端子36を電線12に取り付ける部分である。本実施形態において、電線12は、1本の芯線を絶縁被膜で覆うことにより形成された単芯ケーブルである。コネクタ端子36を電線12に取り付ける際には、電線12の端部の絶縁被膜が除去される。電線取付部56は、電線かしめ部57および芯線かしめ部58を備えている。電線かしめ部57はコネクタ端子36と電線12とを互いに結合して固定する部分である。電線かしめ部57は、電線12において、その端部から若干離れた、絶縁被膜が除去されていない部分をかしめて固定する。芯線かしめ部58はコネクタ端子36と芯線とを電気的に接続する部分である。芯線かしめ部58は、電線12の端部において絶縁被膜が除去されることによって露出した芯線をかしめて固定する。
図6は、コネクタ端子36の端子挿入部37を展開した状態を示している。端子挿入部37は図6に示す形状に切断または打ち抜き加工された金属板60が折れ曲がることにより形成されている。
前、後、左、右に拡がる全体的に見てほぼ四角形の金属板60において、左右方向中間部が第1の壁形成部61であり、第1の壁形成部61の左側が第2の壁形成部62であり、第2の壁形成部62の左側であって金属板60の左縁部が第3の壁形成部63である。また、第1の壁形成部61の右側が第4の壁形成部64であり、第4の壁形成部64の右側であって金属板60の右縁部が第5の壁形成部65である。
端子挿入部37において、下壁部41は金属板60の第1の壁形成部61により形成されている。また、左壁部42は、金属板60の第2の壁形成部62が第1の壁形成部61に対して金属板60の一方の表面60A(図6において手前の表面)が内側となるように90度折れ曲がることにより形成されている。また、内側上壁部43は、金属板60の第3の壁形成部63が第2の壁形成部62に対して表面60Aが内側となるように90度折れ曲がることにより形成されている。また、右壁部44は、金属板60の第4の壁形成部64が第1の壁形成部61に対して表面60Aが内側となるように90度折れ曲がることにより形成されている。また、外側上壁部45は、金属板60の第5の壁形成部65が第4の壁形成部64に対して表面60Aが内側となるように90度折れ曲がることにより形成されている。また、金属板60の左縁部である第3の壁形成部63上に、金属板60の右縁部である第4の壁形成部64が重なることにより、内側上壁部43上に外側上壁部45が重なる構造が形成されている。
また、金属板60において、切断または打ち抜き加工により、第2の壁形成部62の前端部と第3の壁形成部63の前端部との間に切れ込み46が形成されており、これにより、第3の壁形成部63の前端部が第2の壁形成部62の前端部と分離している。接触片48は、この分離した第3の壁形成部63の前端部51Aが、表面60Aが内側となるように折れ曲がることにより形成されている。また、切れ込み46の前後方向における位置を調整することにより接触片48の長さを調整することができ、もって接触片48の弾性特性を調整することができる。
また、金属板60において、切断または打ち抜き加工により、第4の壁形成部64の前端部と第5の壁形成部65の前端部との間に切れ込み47が形成されており、これにより、第5の壁形成部65の前端部が第4の壁形成部64の前端部と分離している。補強片51は、この分離した第5の壁形成部65の前端部51Aが、表面60Aが内側となるように折れ曲がることにより形成されている。また、切れ込み47の前後方向における位置を調整することにより補強片51の長さを調整することができ、もって補強片51の弾性特性を調整することができる。
また、ランス係止孔54は、金属板60の第1の壁形成部61の一部に打ち抜き加工により形成されている。また、各突出部52は金属板60の第1の壁形成部61の前部に成型によりそれぞれ形成されている。また、リテーナ当接部55は金属板60の第5の壁形成部65の後端部に成型により形成されている。また、金属板60の第4の壁形成部64の前端側の右部には、ガイド部53を展開した形状が切断または打ち抜き加工により形成されており、ガイド部53は、金属板60のこの部分が、表面60Aが内側となるように折れ曲がることにより形成されている。
図7は接触片48および補強片51を拡大して示している。図7に示すように、接触片48および補強片51は、互いに重なり合い、かつ互いに平行に前後方向に伸長する内側上壁部43および外側上壁部45の前端部がそれぞれ下方に折れ曲がることにより形成されている。補強片51が接触片48よりも上側に位置している。
接触片48は、内側上壁部43の前端部が曲がり位置P1で下方に折れ曲がることにより形成されている。補強片51は、外側上壁部45の前端部が曲がり位置P2で下方に折れ曲がることにより形成されている。曲がり位置P2は曲がり位置P1よりも前方に位置している。曲がり位置P2と曲がり位置P1との間には距離Dが設定されている。また、補強片51の外側上壁部45に対する角度βは、接触片48の内側上壁部43に対する角度αよりも大きい。このように、補強片51は、接触片48よりも前方の位置で接触片48よりも大きく下方へ曲がっている。
また、補強片51と接触片48との間には間隙C1が形成されている。そして、補強片51は曲がり位置P2から前方に向かうに従って接触片48に接近している。また、補強片51と接触片48との間の間隙C1の上下方向の大きさは、前方に向かうに従って小さくなっている。すなわち、補強片51の曲がり位置P2の部分と、接触片48において補強片51の曲がり位置P2の部分と上下方向に対向する部分との間の間隙の上下方向の大きさE1は、補強片51の前端部51Aの端面の下縁の前後方向における位置P3の部分と、接触片48において補強片51の位置P3の部分と上下方向に対向する部分との間の間隙の上下方向の大きさE2よりも大きい。距離D、角度αおよび角度βは、補強片51と接触片48との間に上下方向の大きさが前方に向かうに従って小さくなる間隙C1が形成されるようにそれぞれ設定されている。
また、距離D、角度αおよび角度βは、コネクタ端子36の実際の製造において所定の許容範囲内の誤差が生じた場合でも、補強片51と接触片48との間に上下方向の大きさが前方に向かうに従って小さくなる間隙C1が形成されるようにそれぞれ設定することが望ましい。また、外側上壁部45と内側上壁部43との間に一定の間隙C2が形成されることを許すように設計されている場合には、補強片51と接触片48との間隙C1の後端側の大きさE1が、外側上壁部45と内側上壁部43との間の間隙C2の大きさE3よりも大きくなるように、距離D、角度αおよび角度βを設定することが望ましい。また、実際の製造における所定の許容範囲内の誤差が生じた場合でも、補強片51と接触片48との間隙C1の前端側の大きさE2が0以上となるように距離D、角度αおよび角度βを設定することが望ましい。
図8は、コネクタ端子36の端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入される際のコネクタ端子36の動作を示している。図8(1)に示すように、相手方コネクタ端子24がコネクタ端子36の端子挿入部37に挿入される前の状態では、接触片48および補強片51はいずれも弾性変形しておらず、補強片51と接触片48との間には、上下方向の大きさが前方に向かうに従って小さくなる間隙C1が形成されている。また、相手方コネクタ端子24は、その先端部24Aの径寸法がその先端に向かうに従って小さくなる形状を有している。
図8(2)に示すように、相手方コネクタ端子24の端子挿入部37への挿入が開始されると、相手方コネクタ端子24の先端部24Aが接触片48の導入部50の上方に傾斜した下面に接触する。続いて、図8(3)に示すように、相手方コネクタ端子24が端子挿入部37の奥へ向かって押されると、接触片48が相手方コネクタ端子24の先端部24Aに押されて弾性変形して上方へ移動し、接触片48の上面が補強片51の前端部51Aに接触する。
続いて、図8(4)に示すように、相手方コネクタ端子24が端子挿入部37の奥へ押し込まれると、接触片48が相手方コネクタ端子24に押されて接触片48がさらに弾性変形して上方へさらに移動する。これと同時に、相手方コネクタ端子24が接触片48の下を通り、接触片48の接触部49が相手方コネクタ端子24の先端部よりも基端側の部分の上面に接触すると共に、接触片48の弾性力が相手方コネクタ端子24の上面に加わる。これと同時に、接触片48の上面に接触した補強片51の前端部51Aが、上方へ移動した接触片48に押され、補強片51が弾性変形して上方へ移動する。これにより、補強片51の弾性力が接触片48の上面に加わり、この結果、補強片51の弾性力が相手方コネクタ端子24の上面に加わる。
相手方コネクタ端子24が、図8(4)に示すように端子挿入部37の奥へ押し込まれた状態では、接触片48が相手方コネクタ端子24の上面に接触し、補強片51が接触片48の上面に接触し、かつ接触片48および補強片51の双方の弾性力が相手方コネクタ端子24の上面に加わる。これにより、コネクタ端子36と相手方コネクタ端子24との間には、確実かつ安定した電気的接続が形成される。したがって、互いに嵌合されたコネクタ端子36と相手方コネクタ端子24に大きな振動が頻繁に加わってもコネクタ端子36と相手方コネクタ端子24との間の電気的接続を保持することができる。
ここで、本発明の実施形態によるコネクタ端子36においては、補強片51と接触片48との間に、前方へ向かうに従って上下方向の大きさが小さくなる間隙C1が形成されるように、曲がり位置P1と曲がり位置P2との間の距離D、接触片48の曲がり角度α、および補強片51の曲がり角度βが設定されている。これにより、コネクタ端子36によれば、実際の製造時においてコネクタ端子36に生じた構造上の誤差によって、上述したコネクタ端子36と相手方コネクタ端子24との間に確実かつ安定した電気的接続を形成する効果が損なわれ、または低下することを抑制することができる。
仮に、接触片48と補強片51とが互いにぴったりと重なり合って両者間に隙間が形成されないように、曲がり位置P1と曲がり位置P2との間の距離D、接触片48の曲がり角度α、および補強片51の曲がり角度βを設定した場合には、実際の製造時においてコネクタ端子36に生じた構造上の誤差により、補強片51の曲がり角度βが接触片48の曲がり角度αよりも小さくなり、そのため、補強片51と接触片48とが前方に向かうに従って互いに離れる状態となることがある。このような誤差により生じた、補強片51の前端部51Aと接触片48との間の上下方向の離間距離が大きい場合には、相手方コネクタ端子24がコネクタ端子36の端子挿入部37に挿入されたとき、接触片48の接触部49は相手方コネクタ端子24に接触するものの、補強片51の前端部51Aは接触片48から離れたままの状態となることがある。この結果、相手方コネクタ端子24に加わる力が接触片48の弾性力のみとなり、相手方コネクタ端子24とコネクタ端子36との電気的接続が不安定になるおそれがある。
また、上述した誤差により生じた、補強片51の前端部51Aと接触片48との間の上下方向の離間距離が小さい場合には、相手方コネクタ端子24がコネクタ端子36の端子挿入部37に挿入されたとき、接触片48が弾性変形した状態で接触部49が相手方コネクタ端子24に接触し、かつ補強片51が弾性変形した状態で接触片48に接触し、接触片48および補強片51の双方の弾性力が相手方コネクタ端子24に加わる。しかしながら、補強片51の曲がり角度βが誤差により設計上の値よりも小さくなっている場合には、相手方コネクタ端子24に加わる補強片51の弾性力が設計上の値よりも小さくなっているため、相手方コネクタ端子24とコネクタ端子36との電気的接続が不確実となるおそれがある。
しかしながら、本発明の実施形態によるコネクタ端子36では、補強片51と接触片48との間に隙間C1が形成されるように、補強片51の曲がり位置P2が接触片48の曲がり位置P1よりも大きく前に配置されている。この結果、図7に示すように、補強片51の曲がり位置P2から前端部51Aまでの長さLを、接触片48と補強片51とがぴったりと重なり合うようにP1、P2、D、α、βを設定した場合と比較して短くすることができる。したがって、製造時の誤差により、補強片51の曲がり位置P2における曲がり角度βが設計上の値よりも小さくなった場合に、それによって形成される補強片51の前端部51Aの上下方向の位置ずれを小さくすることができる。この結果、当該誤差により、補強片51の前端部51Aと接触片48との間の上下方向における離間距離が増大することを抑制することができる。
したがって、コネクタ端子36によれば、製造時の誤差により、曲がり角度βが設計上の値よりも小さくなった場合でも、相手方コネクタ端子24が端子挿入部37への挿入されたときに、補強片51の前端部51Aを接触片48に確実に接触させ、補強片51を確実に弾性変形させ、補強片51の弾性力を相手方コネクタ端子24に確実に加えることができる。また、相手方コネクタ端子24に加わる弾性力の大きさが、製造時の誤差により減少する程度を小さくすることができ、補強片51から相手方コネクタ端子24へ加わる十分な弾性力を確保することができる。
また、コネクタ端子36によれば、接触片48と補強片51とがぴったりと重なり合うようにP1、P2、D、α、βを設定した場合と比較して、補強片51の曲がり位置P2が接触片48の曲がり位置P1よりも大きく前に配置されているので、製造時の誤差により、補強片51の曲がり位置P2が後方に位置ずれし、または、接触片48の曲がり位置P1が前方に位置ずれしても、接触片48と補強片51とが互いに干渉することを抑制することができる。したがって、製造時のこのような誤差が生じた場合でも、相手方コネクタ端子24に補強片51の十分な弾性力を確実に加えることができる。
このように、本発明の実施形態によるコネクタ端子36によれば、製造時の誤差によって、コネクタ端子36と相手方コネクタ端子24との間に確実かつ安定した電気的接続を形成する効果が損なわれ、または低下することを抑制することができる。
また、コネクタ端子36によれば、接触片48と補強片51とがぴったりと重なり合うようにP1、P2、D、α、βを設定した場合と比較して、補強片51の曲がり角度βを大きくすることができ、また、角度βの設定の自由度が増す。これにより、相手方コネクタ端子24に加わる補強片51の弾性力を、その弾性範囲内で大きくすることができ、また、そのような角度βの設定を容易に行うことが可能になる。
また、本発明の実施形態によるコネクタ端子36は、次のような効果を奏する。すなわち、コネクタ端子36では、図6に示すように、金属板60が横断面矩形状の筒状に折れ曲がり、金属板60の左縁部と右縁部とが互いに重なり合い、これにより、図5に示すように、互いに重なり合った内側上壁部43および外側上壁部45が形成されている。そして、内側上壁部43および外側上壁部45のそれぞれの前端部に接触片48および補強片51が形成されている。このような構造によれば、接触片48を支持する内側上壁部43の後端部を、その上側から外側上壁部45の後端部により押さえることができる。これにより、端子挿入部37に相手方コネクタ端子24が挿入され、接触片48が当該相手方コネクタ端子24により上方に押し上げられたときに、接触片48を支持する内側上壁部43の後端部(特に内側上壁部43の後端部の右縁側)が上方に位置ずれすることを、外側上壁部45の後端部(特に外側上壁部45の後端部と右壁部44の後端部とがつながった隅部)により阻止することができる。よって、接触片48の弾性力を相手方コネクタ端子24に確実に加えることができる。
例えば、図9に示す比較例によるコネクタ端子336では、金属板の左縁部が180度折り曲がることにより、互いに重なり合う内側上壁部343および外側上壁部345が形成されている。このような構造の場合、接触片348を支持する内側上壁部343の後端部を、その上側から外側上壁部345の後端部により押さえることができない。このため、端子挿入部337に相手方コネクタ端子24が挿入され、接触片348が当該相手方コネクタ端子24により上方に押し上げられたときに、接触片348、それを支持する内側上壁部343、補強片、およびそれを支持する外側上壁部345が一体的に、左壁部342の上縁部を基点として上方へ立ち上がるように回動してしまう。この結果、接触片348の弾性力を相手方コネクタ端子24に十分に加えることができなくなる。本発明の実施形態によるコネクタ端子36では、このようなことは生じない。
なお、上述した実施形態によるコネクタ端子36は、補強片51の前端部51Aの前後方向における位置P4が、接触片48の接触部49の位置に達している。しかし、補強片51の前端部51Aの前後方向における位置を、接触片48の接触部49の位置よりも前側または後ろ側に設定してもよい。
また、上述した実施形態によるコネクタ端子36は、内側上壁部43が左壁部42の上縁部から右方に伸長し、外側上壁部45が右壁部44の上縁部から左方に伸長する構成としたが、内側上壁部が右壁部の上縁部から左方に伸長し、外側上壁部が左壁部の上縁部から右方に伸長する構成としてもよい。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコネクタ端子およびコネクタもまた本発明の技術思想に含まれる。