JP6746001B2 - 車載燃料ポンプ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料ポンプを制御する車載燃料ポンプ制御装置に関するものである。
車両のエンジンに燃料を供給する燃料ポンプは、燃料フィルタを透過して異物が侵入することによって異常が発生することがあった。
近年、プラグインハイブリッド車のような環境車両が普及している。都市部においてプラグインハイブリッド車のEV(Electric Vehicle)走行を多用する使用形態では、燃料消費が著しく抑制されるため、燃料劣化に起因する燃料ポンプ異常の発生も懸念されている。
例えば、特許文献1に記載された燃料ポンプの制御装置は、燃料ポンプを駆動するブラシレスモータの駆動電流を検出し、検出した駆動電流に基づき、異物噛み込み等によって生じる燃料ポンプの負荷異常を判定していた。
特開2014−202132号公報
従来の燃料ポンプの制御装置は以上のように構成されているので、モータコイルのインダクタンス成分および電流検出回路に設けられたノイズフィルタの影響により、燃料ポンプ異常の発生初期に生じる瞬時的な駆動電流の変動を検出することができなかった。そのため、燃料ポンプの異常発生の兆候を検出することができないという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、燃料ポンプの異常発生の兆候を検出することを目的とする。
この発明に係る車載燃料ポンプ制御装置は、燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料ポンプを制御する車載燃料ポンプ制御装置であって、燃料ポンプを駆動する多相ブラシレスモータの1回転角を複数の領域に分割し、分割した複数の領域のそれぞれにおける多相ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出部と、速度検出部により検出された複数の領域のそれぞれにおける回転速度を評価基準と比較して燃料ポンプの異常を検出する異常検出部とを備えるものである。
異常検出部は、複数の領域のそれぞれにおける回転速度と評価基準から評価値を算出し、評価値が第1閾値以上になる領域が存在する場合に当該領域における異物噛み込み異常を検出するとともに、評価値が第1閾値より大きい第2閾値以上になる領域が存在する場合に重度の異常であると判別する一方、評価値が第1閾値より大きい第2閾値以上になる領域が存在しない場合に軽度の異常であると判別する。
また、異常検出部は、複数の領域のそれぞれにおける回転速度と評価基準から評価値を算出し、評価値が第1閾値以上になる領域が存在する場合に当該領域における異物噛み込み異常を検出するとともに、評価値が第1閾値以上になる領域が複数存在する場合に重度の異常であると判別する一方、評価値が第1閾値以上になる領域が複数存在しない場合に軽度の異常であると判別する。
また、異常検出部は、複数の領域のそれぞれにおける回転速度と評価基準から評価値を算出し、評価値が第3閾値以上で、かつ、第3閾値よりも大きい第4閾値未満である領域が時間と共に変移する場合、流動性異物による異常を検出すると共に当該異常を軽度な異常と判別し、評価値が第3閾値以上で、かつ、第4閾値以上である領域がある場合、異物噛み込み異常を検出すると共に当該異常を重度な異常と判別する。
この発明によれば、多相ブラシレスモータのロータ回転に同期した複数の領域における回転速度に基づいて、ブラシレス燃料ポンプモータの異常発生初期における負荷変動を確認することができるため、燃料ポンプの異常発生の兆候を検出できる。
実施の形態1に係る車載燃料ポンプ制御装置を用いた燃料供給システムの構成例を示すブロック図である。 実施の形態1におけるブラシレス燃料ポンプモータの軸方向の断面構成を示す図である 図2のブラシレス燃料ポンプモータをA−A′線に沿って切断した断面図である。 実施の形態1におけるU相端子電圧、U相誘起電圧およびU相ゼロクロス信号を示すグラフである。 実施の形態1において多相ブラシレスモータの1回転角を第1〜第4領域に分割した例を示すグラフである。 実施の形態1のブラシレス燃料ポンプモータが定常回転している状態における第1〜第4領域の速度偏差分布を示すグラフである。 実施の形態1のブラシレス燃料ポンプモータに異物噛み込みが発生した状態における第1〜第4領域の速度偏差分布を示すグラフである。 実施の形態2において多相ブラシレスモータの1回転角を第1〜第12領域に分割した例を示すグラフである。 実施の形態3に係る車載燃料ポンプ制御装置の動作例を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る車載燃料ポンプ制御装置の動作の具体例を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る車載燃料ポンプ制御装置の動作の具体例を示すフローチャートである。 実施の形態4に係る車載燃料ポンプ制御装置の動作例を示すフローチャートである。 実施の形態5において、異物噛み込みによる燃料ポンプの異常発生時の速度偏差分布の時間変化例を示すグラフである。 実施の形態5において、流動性異物による燃料ポンプの異常発生時の速度偏差分布の時間変化例を示すグラフである。 実施の形態5に係る車載燃料ポンプ制御装置の動作例を示すフローチャートである。 図16Aおよび図16Bは、各実施の形態に係る車載燃料ポンプ制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成例を示すブロック図である。燃料供給システムは、車載燃料ポンプ制御装置1、ブラシレス燃料ポンプモータ2、およびエンジン制御装置3を備える。車載燃料ポンプ制御装置1とエンジン制御装置3との間は、信号線によって接続される。この信号線を通じて、エンジン制御装置3から車載燃料ポンプ制御装置1へ目標回転速度などの制御指令値が送信され、車載燃料ポンプ制御装置1からエンジン制御装置3へ燃料ポンプ異常発生などのダイアグ情報が送信される。車載燃料ポンプ制御装置1とブラシレス燃料ポンプモータ2との間は、モータケーブルで接続される。モータケーブルは、ブラシレス燃料ポンプモータ2のU相、V相およびW相のステータコイルに接続される。
車載燃料ポンプ制御装置1は、駆動回路10、制御部11、速度検出部12、および異常検出部13を備える。図示しないバッテリと電源ケーブルと電源回路を通じて車載燃料ポンプ制御装置1へ、ブラシレス燃料ポンプモータ2を駆動するための電力と車載燃料ポンプ制御装置1の動作用電力が供給される。
図2は、実施の形態1におけるブラシレス燃料ポンプモータ2の軸方向の断面構成を示す図である。図2に示されるブラシレス燃料ポンプモータ2は、燃料タンク内の燃料をエンジンへ供給するための燃料ポンプ2bと、この燃料ポンプ2bを駆動するための多相ブラシレスモータ2aとが一体化された構成である。多相ブラシレスモータ2aは、ステータ鉄心100、ステータコイル101、上記モータケーブルが接続されるステータコイル端子102、鉄フレーム103、ロータマグネット104、ロータ鉄心105、ロータシャフト106、軸受107,108、およびスラスト軸受109を含む。燃料ポンプ2bは、インペラ110、ポンプケース111,112,113、逆止弁114、吸入口115、および吐出口116を含む。
なお、ブラシレス燃料ポンプモータ2は、図2に示される構成に限定されるものではない。例えば、多相ブラシレスモータ2aと燃料ポンプ2bとが別体で構成されてもよい。
図3は、図2のブラシレス燃料ポンプモータ2をA−A′線に沿って切断した断面図である。実施の形態1では、ブラシレス燃料ポンプモータ2の多相ブラシレスモータ2aとして、図3に示されるような3相ブラシレスモータを例示する。3相ブラシレスモータの場合、駆動回路10は、例えば6個のスイッチング素子10U1,10U2,10V1,10V2,10W1,10W2を有する3相インバータによって構成される。
図3に示される3相ブラシレスモータは、3相のステータコイル101、6スロットのステータ鉄心100、および4極に着磁されたロータマグネット104を備える。3相のステータ鉄心100は、U相ステータ鉄心100U1,100U2、V相ステータ鉄心100V1,100V2、およびW相ステータ鉄心100W1,100W2から構成される。ステータコイル101は、U相ステータコイル101U1,101U2、V相ステータコイル101V1,101V2、およびW相ステータコイル101W1,101W2から構成される。
ブラシレス燃料ポンプモータ2において、ロータシャフト106にはDカット加工が施されている。このDカット加工部106aにおいて、ロータシャフト106とインペラ110が微小な隙間117をもって連結されている。そのため、インペラ110は、Dカット加工部106aによってロータシャフト106の回転方向に拘束され、隙間117によってロータシャフト106の軸方向に移動可能に保持される。ロータシャフト106が正方向に回転すると、ロータシャフト106と共にインペラ110が回転する。燃料は、インペラ110の回転により図示しない燃料フィルタを通過して吸入口115から吸入され、ポンプケース111,112の各流路を介して、ポンプケース113に設けられた吐出口116へ圧送される。なお、ポンプケース111とポンプケース112との間に位置するインペラ110は、燃料の流体膜によってポンプケース111,112に直接的に接触することなく回転する。
ブラシレス燃料ポンプモータ2を駆動するためには、ロータマグネット104の磁極位置に応じた通電パターンで、車載燃料ポンプ制御装置1の駆動回路10を駆動する必要がある。そのためには、車載燃料ポンプ制御装置1はロータマグネット104の磁極位置を検出する必要がある。しかしながら、ブラシレス燃料ポンプモータ2は図示しない燃料タンク内で燃料に浸漬されているため、ロータマグネット104の磁極位置を検出するセンサをブラシレス燃料ポンプモータ2に設置するのは好ましくない。そのため、ブラシレス燃料ポンプモータ2は、後述するように、ステータコイル101に生じる誘起電圧に基づくセンサレス駆動が行われる。
図4は、実施の形態1におけるU相端子電圧、U相誘起電圧およびU相ゼロクロス信号を示すグラフである。
ステータコイル101は、図3に示されるU相ステータコイル101U1,101U2、V相ステータコイル101V1,101V2、およびW相ステータコイル101W1,101W2により構成されている。各相で生じる誘起電圧は、ロータマグネット104の磁束がU相ステータコイル101U1,101U2、V相ステータコイル101V1,101V2、およびW相ステータコイル101W1,101W2に鎖交して発生するため、図4に示されるように、ロータマグネット104の回転に同期した正弦波状の電圧波形となる。実施の形態1のロータマグネット104は4極の着磁が行われているため、ロータシャフト106が1回転する間に2周期の誘起電圧が生じる。
図4において、駆動回路10のハイサイド側のスイッチング素子10U1がオンしている期間(ハイサイドオン期間)またはローサイド側のスイッチング素子10U2がオンしている期間(ローサイドオン期間)は、U相端子電圧がハイレベルまたはローレベルに固定されてしまうため、誘起電圧は観測不可能である。これに対し、スイッチング素子10U1,10U2がオフしている期間(オフ期間)は、U相端子電圧が誘起電圧に一致するため、誘起電圧は観測可能である。
次に、速度検出部12および制御部11の動作を説明する。
実施の形態1において、ロータシャフト106の1回転角あたり電気的に2周期の誘起電圧が各相に生じるため、各相のゼロクロス信号の電気的1/2周期はロータシャフト106の1/4回転角に相当する。車載燃料ポンプ制御装置1の速度検出部12は、オフ期間におけるU相端子電圧、つまりU相誘起電圧を検出し、検出したU相誘起電圧と所定の基準電圧とを比較することによってゼロクロス点を検出してU相ゼロクロス信号を生成する。
図5は、実施の形態1において多相ブラシレスモータ2aの1回転角、つまり機械的1周期を第1〜第4領域に分割した例を示すグラフである。速度検出部12は、U相ゼロクロス信号の連続した立ち上がりエッジと立ち下がりエッジで挟まれた電気的1/2周期を1つの領域とし、この電気的1/2周期の時間を測定することで機械的な1/4回転角の回転速度を演算し、回転角度を示す速度信号を生成する。図5の例において、速度検出部12は、機械的1周期を電気的1/2周期ごとに分割して第1〜第4領域を設定する。機械的1周期における領域の数は、ステータコイル101の相数とロータマグネット104の極数に応じる。速度検出部12は、領域ごとの回転速度を示す速度信号を、異常検出部13および制御部11に出力する。
制御部11は、速度検出部12から出力される3相のゼロクロス信号のエッジ位置を基準に所定の電気位相で駆動回路10の各スイッチング素子を駆動することにより、3相のステータコイル101への通電切り替えを制御する。
また、制御部11は、速度検出部12から出力される3相の速度信号を用いて、多相ブラシレスモータ2aの平均回転速度を算出する。そして、制御部11は、エンジン制御装置3から指示された目標回転速度と上記平均回転速度との速度偏差を算出し、速度偏差がゼロに漸近するように駆動回路10の出力電圧を制御する。
次に、異常検出部13の動作を説明する。
異常検出部13は、速度検出部12から出力される速度信号を用いて、第1〜第4領域ごとに、平均回転速度を算出する。異常検出部13は、例えばエンジン制御装置3から指示される目標回転速度を、制御部11を介して受け取り、この目標回転速度を評価基準として用いて評価基準と領域ごとの平均回転速度との速度偏差を求める。そして、異常検出部13は、第1〜第4領域の速度偏差の分布に基づいて、ブラシレス燃料ポンプモータ2の異物噛み込みによる異常発生を検出する。異常検出部13は、異常発生を検出した場合に制御部11へ通知する。制御部11は、異常発生の通知を異常検出部13から受け取ると、燃料ポンプ2bの異常発生をエンジン制御装置3に通知する。
図6は、実施の形態1のブラシレス燃料ポンプモータ2が定常回転している状態における第1〜第4領域の速度偏差分布を示すグラフである。図6におけるブラシレス燃料ポンプモータ2は、異物噛み込み等の異常が発生していない正常な状態であって、エンジン制御装置3から一定の目標回転速度が指示され一定の速度で回転している定常回転状態である。この状態において、目標回転速度と領域ごとの平均回転速度との速度偏差は、ゼロ偏差を中心にほぼ均一な分布となる。なお、図6に示されるグラフにおいて、速度偏差が正の値である場合は回転速度が遅く、速度偏差が負の値である場合は回転速度が速い。
図7は、実施の形態1のブラシレス燃料ポンプモータ2に異物噛み込みが発生した状態における第1〜第4領域の速度偏差分布を示すグラフである。図7におけるブラシレス燃料ポンプモータ2は、エンジン制御装置3から一定の目標回転速度が指示されている状態であって、吸入口115から侵入した異物が第2領域に相当する箇所に滞留し、インペラ110と接触している状態である。この状態における速度偏差の分布は、図7に示されるように、異物が滞留した第2領域の速度偏差が突出した不均一な分布となる。
異物に起因した、ブラシレス燃料ポンプモータ2の異常発生初期における負荷トルク変動は、ブラシレス燃料ポンプモータ2のトルク性能に比べて十分に軽微であるためエンジンの動作に影響を与えることはない。異常検出部13は、速度偏差分布をもとに、ブラシレス燃料ポンプモータ2の異常発生の兆候を、エンジンの動作に影響を与えない初期段階で検出することが可能となる。
なお、実施の形態1ではU相ゼロクロス信号に基づく異常検出方法を説明したが、異常検出部13は、V相またはW相のゼロクロス信号に基づいて異常を検出してもよいし、ゼロクロス信号以外のロータ回転に同期した信号に基づいて異常を検出してもよい。
また、実施の形態1では、ステータコイル101の相数が3相でありロータマグネット104の極数が4極であるブラシレス燃料ポンプモータ2を用いたが、相数および極数はこれらに限定されるものはない。異常検出部13は、ブラシレス燃料ポンプモータ2の仕様に応じて分割された領域の回転速度と評価基準との速度偏差に基づいて異常を検出すればよい。
以上のように、実施の形態1に係る車載燃料ポンプ制御装置1は、速度検出部12と、異常検出部13とを備える。速度検出部12は、燃料ポンプ2bを駆動する多相ブラシレスモータ2aの1回転角を複数の領域に分割し、分割した複数の領域のそれぞれにおける多相ブラシレスモータ2aの回転速度を検出する。異常検出部13は、速度検出部12により検出された複数の領域のそれぞれにおける回転速度を評価基準と比較して燃料ポンプ2bの異常を検出する。このように、車載燃料ポンプ制御装置1は、多相ブラシレスモータ2aのロータ回転に同期した複数の領域における回転速度に基づいて、ブラシレス燃料ポンプモータ2の異常発生初期における負荷変動を確認することができるため、燃料ポンプ2bの異常発生の兆候を検出できる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成は、実施の形態1の図1〜図3に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1〜図3を援用する。
図8は、実施の形態2において多相ブラシレスモータ2aの1回転角を第1〜第12領域に分割した例を示すグラフである。速度検出部12は、U相、V相、およびW相の誘起電圧を検出し、検出したU相、V相、およびW相の誘起電圧と所定の基準電圧とを比較することによってゼロクロス点を検出してU相、V相、およびW相のゼロクロス信号を生成する。U相、V相、およびW相のゼロクロス信号は、電気角でそれぞれ位相が120度ずれる。速度検出部12は、U相、V相、およびW相のゼロクロス信号の排他的論理和を演算し、ロータ回転に同期した回転同期信号を生成する。速度検出部12は、回転同期信号の連続した立ち上がりエッジと立ち下がりエッジで挟まれた電気的1/6周期を1つの領域とし、この電気的1/6周期の時間を測定することで機械的な1/12回転角の回転速度を演算し、回転角度を示す速度信号を生成する。このように、図8の例では、速度検出部12は、ブラシレス燃料ポンプモータ2が備える3相ブラシレスモータの電気角1周期を6個の領域に分割する。
ここで、ブラシレス燃料ポンプモータ2のロータマグネット104の極数をk極とすると、ロータシャフト106が1回転する機械的1周期あたりの電気的周期がk/2周期となる。そのため、速度検出部12は、機械的1周期を6×k/2個の領域に分割して、領域ごとの回転速度を検出することになる。
以上のように、実施の形態2の多相ブラシレスモータ2aの相数は3相であり、速度検出部12は、多相ブラシレスモータ2aの電気角1周期を6個の領域に分割する。これにより、速度検出部12は、3相ブラシレスモータのU相、V相、およびW相のゼロクロス信号を用いて、容易に回転速度検出用の領域を分割することができる。また、多相ブラシレスモータ2aの1回転角を多数の領域に分割するので、回転速度検出および異常検出の分解能を向上させることができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、車載燃料ポンプ制御装置1による燃料ポンプ2bの異物噛み込み異常の検出方法の一例を説明する。
実施の形態3に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成は、実施の形態1の図1〜図3に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1〜図3を援用する。
図9は、実施の形態3に係る車載燃料ポンプ制御装置1の動作例を示すフローチャートである。車載燃料ポンプ制御装置1は、図9のフローチャートに示される動作を繰り返し行うことにより、回転動作中のブラシレス燃料ポンプモータ2の挙動に基づいて異常を検出する。
ステップST101において、異常検出部13は、エンジン制御装置3から制御部11に対して、予め定められた範囲内の目標回転速度が指示されているかどうかを判定する。異常検出部13は、予め定められた範囲内の目標回転速度が指示されている場合(ステップST101“YES”)、ステップST102へ進み、予め定められた範囲外の目標回転速度が指示されている場合(ステップST101“NO”)、ステップST101を繰り返す。
このステップST101の判定は、多相ブラシレスモータ2aが定常回転状態であるかどうかを判定するものである。
具体的には、例えば、異常検出部13は、エンジン制御装置3から指示される多相ブラシレスモータ2aの目標回転速度の変動が予め定められた範囲内の定常状態である場合(ステップST101“YES”)、多相ブラシレスモータ2aが定常回転状態であると判定し、ステップST102へ進む。目標回転速度の変動は、下式に表されるように、現在の目標回転速度から前回の異常検出実施時の目標回転速度を減算した速度偏差の絶対値である。

目標回転速度の変動=|現在の目標回転速度−前回の目標回転速度|
また、例えば、異常検出部13は、エンジン回転数がアイドリング回転数に保持された状態である場合、つまりエンジンがアイドリング状態である場合(ステップST101“YES”)、多相ブラシレスモータ2aが定常回転状態であると判定し、ステップST102へ進む。その際、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3からエンジン回転数を示す情報を受け取る。
異常検出部13は、上記いずれの具体例でも、目標回転速度の変動が無い安定した状態で精度よく異常検出を実施することができる。
ステップST102において、異常検出部13は、速度検出部12から出力される速度信号を用いて、現在領域の回転速度が検出されたかどうかを判定する。異常検出部13は、現在領域の回転速度が検出された場合(ステップST102“YES”)、ステップST103へ進み、現在領域の回転速度が検出されていない場合(ステップST102“NO”)、ステップST102を繰り返す。
ステップST103において、異常検出部13は、速度検出部12により検出された所定回数の現在領域の回転速度を用いて、つまりロータシャフト106が所定回数回転する間に検出された現在領域の回転速度を用いて、移動平均値を算出して保存する。
なお、異常検出部13は、図9のフローチャートに示される動作を繰り返し行う際の初期段階であって現在領域の回転速度の検出値が所定回数分に満たない場合、上記移動平均値の代わりに、所定回数分に満たない数の現在領域の回転速度の検出値を用いて平均値を算出して保存する。
ステップST104において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域で回転速度の移動平均値が更新されたかどうかを判定する。異常検出部13は、全領域で移動平均値が更新された場合(ステップST104“YES”)、ステップST105へ進み、移動平均値が更新されていない領域が残っている場合(ステップST104“NO”)、ステップST101へ戻る。
ステップST105において、異常検出部13は、領域ごとの回転速度の移動平均値を所定の評価基準と比較し、領域ごとの評価値を算出する。所定の評価基準は、例えばエンジン制御装置3から指示される目標回転速度である。なお、評価基準については実施の形態6において詳述する。

評価値=|評価基準−領域ごとの回転速度|
ステップST106において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第1閾値以上になる領域があるかどうかを判定する。第1閾値は、エンジンの動作に影響を与えない程度に十分に軽微なブラシレス燃料ポンプモータ2の負荷変動に相当する値であり、異常検出部13に予め設定されているものとする。異常検出部13は、評価値が第1閾値以上になる領域が少なくとも1つある場合(ステップST106“YES”)、ステップST107へ進み、評価値が第1閾値以上になる領域がない場合(ステップST106“NO”)、ステップST101へ戻る。
ステップST107において、異常検出部13は、評価値が第1閾値以上になる領域における異物噛み込み異常の発生を検出する。
ステップST108において、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3に対し、燃料ポンプ2bの異常発生を通知する。
以上のように、実施の形態3の異常検出部13は、機械的1周期を分割した複数の領域のそれぞれにおける回転速度と評価基準から評価値を算出し、評価値が第1閾値以上になる領域が存在する場合に当該領域における異物噛み込み異常を検出する。これにより、燃料ポンプ2bに侵入した異物によって生じる負荷変動を異常発生の初期段階で検出することができる。また、異常が発生している領域を識別することができる。
また、実施の形態3の異常検出部13は、ステップST101においてエンジン制御装置3から指示される多相ブラシレスモータ2aの目標回転速度の変動が予め定められた範囲内の定常状態である場合に燃料ポンプ2bの異常検出を実施する。これにより、目標回転速度の変動が無い安定した状態で精度よく異常検出を実施することができる。
また、実施の形態3の異常検出部13は、ステップST101においてエンジンがアイドリング状態である場合に燃料ポンプ2bの異常実施してもよい。この場合にも、目標回転速度の変動が無い安定した状態で精度よく異常検出を実施することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、燃料ポンプ2bの異常が軽度か重度かを判別する例を説明する。
実施の形態4に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成は、実施の形態1の図1〜図3に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1〜図3を援用する。
図10は、実施の形態4に係る車載燃料ポンプ制御装置1の動作例を示すフローチャートである。車載燃料ポンプ制御装置1は、図10のフローチャートに示される動作を繰り返し行うことにより、回転動作中のブラシレス燃料ポンプモータ2の挙動に基づいて異常を検出する。なお、図10のフローチャートに示されるステップST101〜ST107の動作は、図9のフローチャートに示されるステップST101〜ST107の動作と同じである。
ステップST110において、異常検出部13は、評価値が第1閾値以上になる領域について、その評価値の度合いが重度の異常に相当するかどうかを判定する。異常検出部13は、評価値の度合いが重度の異常に相当する場合(ステップST110“YES”)、ステップST111へ進み、評価値の度合いが重度の異常に相当しない場合(ステップST110“NO”)、ステップST112へ進む。
ステップST111において、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3に対し、燃料ポンプ2bの重度の異常発生を通知する。
一方、ステップST112においては、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3に対し、燃料ポンプ2bの軽度の異常発生を通知する。
次に、燃料ポンプ2bの異常が軽度か重度かを判別する具体例を2つ説明する。
図11は、実施の形態4に係る車載燃料ポンプ制御装置1の動作の具体例を示すフローチャートである。図11に示されるように、ステップST120において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第1閾値以上になる領域が複数ある場合(ステップST120“YES”)、重度の異常と判定してステップST111へ進む。一方、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第1閾値以上になる領域が1つ以下である場合(ステップST120“NO”)、軽度の異常と判定してステップST112へ進む。
図12は、実施の形態4に係る車載燃料ポンプ制御装置1の動作の具体例を示すフローチャートである。図12に示されるように、ステップST130において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第2閾値以上になる領域があるかどうかを判定する。第2閾値は、第1閾値より大きい値であり、異常検出部13に予め設定されているものとする。異常検出部13は、評価値が第2閾値以上になる領域が少なくとも1つある場合(ステップST130“YES”)、重度の異常と判定してステップST111へ進む。一方、異常検出部13は、評価値が第2閾値以上になる領域がない場合(ステップST130“NO”)、軽度の異常と判定してステップST112へ進む。
以上のように、実施の形態4の異常検出部13は、評価値の度合いに応じて重度の異常と軽度の異常とを判別する。これにより、緊急性がある重度の異常と緊急性がない軽度の異常を判別できるため、エンジン制御装置3は、燃料ポンプ2bの重度の異常と軽度の異常のそれぞれに対して適切な車両の制御を行うことができる。
より具体的には、実施の形態4の異常検出部13は、多相ブラシレスモータ2aの1回転角を分割した複数の領域のうち、評価値が第1閾値以上になる領域が複数存在する場合に重度の異常と判別する。または、異常検出部13は、評価値が、第1閾値より大きい第2閾値以上になる領域が存在する場合に重度の異常と判別する。これらの判別手法により、簡単な手法で容易に緊急性がある重度の異常と緊急性がない軽度の異常を判別できる。
実施の形態5.
実施の形態5では、車載燃料ポンプ制御装置1は、燃料ポンプ2bの異物噛み込みによる異常に加えて、流動性異物による異常も検出する。
実施の形態5に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成は、実施の形態1の図1〜図3に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1〜図3を援用する。
図13は、実施の形態5において、異物噛み込みによる燃料ポンプ2bの異常発生時の速度偏差分布の時間変化例を示すグラフである。図14は、実施の形態5において、流動性異物による燃料ポンプ2bの異常発生時の速度偏差分布の時間変化例を示すグラフである。図13および図14において、tは速度偏差分布が検出された時刻であり、nは自然数である。また、図13および図14において、機械的1周期は第1〜第12領域に分割されている。
図13の例では、燃料ポンプ2bに侵入した異物が第3領域に相当する箇所に滞留しているため、t=0からt=nへと時間が経過しても第3領域の速度偏差は大きいままである。これに対し、図14の例では、燃料ポンプ2bに侵入した異物が特定の領域に相当する箇所に滞留せず流動しているため、t=0からt=nへの時間の経過に伴い速度偏差の大きい領域が変移する。そこで、実施の形態5では、車載燃料ポンプ制御装置1は、速度偏差が大きい領域、つまり異常が発生している領域が時間の経過に伴い変移するかどうかによって、異物噛み込みによる異常と流動性異物による異常とを判別する。
図15は、実施の形態5に係る車載燃料ポンプ制御装置1の動作例を示すフローチャートである。車載燃料ポンプ制御装置1は、図15のフローチャートに示される動作を繰り返し行うことにより、回転動作中のブラシレス燃料ポンプモータ2の挙動に基づいて異常を検出する。図15のフローチャートに示されるステップST101,ST102の動作は、図9のフローチャートに示されるステップST101,ST102の動作と同じである。
ステップST203において、異常検出部13は、速度検出部12により検出された現在領域の回転速度を保存する。
ステップST204において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域において回転速度が保存されたかどうかを判定する。異常検出部13は、全領域において回転速度が保存された場合(ステップST204“YES”)、ステップST205へ進み、回転速度が保存されていない領域が残っている場合(ステップST204“NO”)、ステップST101へ戻る。
ステップST205において、異常検出部13は、領域ごとの回転速度の保存値を所定の評価基準と比較し、領域ごとの評価値を算出する。所定の評価基準は、例えばエンジン制御装置3から指示される目標回転速度である。
ステップST206において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第3閾値以上になる領域があるかどうかを判定する。第3閾値は、エンジンの動作に影響を与えない程度に十分に軽微なブラシレス燃料ポンプモータ2の負荷変動に相当する値であり、異常検出部13に予め設定されているものとする。異常検出部13は、評価値が第3閾値以上になる領域が少なくとも1つある場合(ステップST206“YES”)、ステップST208へ進み、評価値が第3閾値以上になる領域がない場合(ステップST206“NO”)、ステップST207へ進む。
なお、評価値が第3閾値以上になる領域が少なくとも1つある場合(ステップST206“YES”)、異常検出部13は、燃料ポンプ2bの異常発生を検出し、ステップST208以降の動作により、この異常が異物噛み込みによるものか流動性異物によるものかを判別する。
ステップST207において、異常検出部13は、後述する評価値最大領域番号の過去値をリセットし、ステップST101へ戻る。
ステップST208において、異常検出部13は、ステップST206にて評価値が第3閾値以上になった領域のうち、評価値が最大となった領域を示す番号の現在値を、評価値最大領域番号の現在値として保存する。
ステップST209において、異常検出部13は、評価値最大領域番号を過去に保存したかどうか、つまり評価値最大領域番号の過去値があるかどうかを判定する。異常検出部13は、評価値最大領域番号の過去値がある場合(ステップST209“YES”)、ステップST211へ進み、評価値最大領域番号の過去値がない場合(ステップST209“NO”)、ステップST210へ進む。
ステップST210において、異常検出部13は、ステップST208にて保存した評価値最大領域番号の現在値を過去値として保存することによって、評価値最大領域番号を更新し、ステップST101へ戻る。
ステップST211において、異常検出部13は、機械的1周期の全領域のうち、評価値が第4閾値以上になる領域があるかどうかを判定する。第4閾値は、第3閾値より大きい値であり、異常検出部13に予め設定されているものとする。異常検出部13は、評価値が第4閾値以上になる領域が少なくとも1つ以上ある場合(ステップST211“YES”)、ステップST215へ進み、評価値が第4閾値以上になる領域がない場合(ステップST211“NO”)、ステップST212へ進む。
ステップST212において、異常検出部13は、評価値最大領域番号の現在値と過去値が異なるかどうかを判定する。異常検出部13は、評価値最大領域番号の現在値と過去値が異なる場合(ステップST212“YES”)、ステップST213へ進み、評価値最大領域番号の現在値と過去値が同じである場合(ステップST212“NO”)、ステップST210へ進む。
ステップST213において、異常検出部13は、流動性異物による燃料ポンプ2bの異常と判定する。流動性異物による燃料ポンプ2bの異常が発生した場合、燃料ポンプ2bの動作に伴って異常発生領域が変移しているので、燃料ポンプ2bの動作により異常発生要因の流動性異物が排出される可能性が高い。そのため、異常検出部13は、流動性異物による燃料ポンプ2bの異常を、軽度の異常と判定する。
ステップST214において、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3に対し、燃料ポンプ2bの軽度の異常発生を通知する。
ステップST215において、異常検出部13は、異物噛み込みによる燃料ポンプ2bの異常と判定する。評価値が第4閾値以上になる領域がある場合、異物噛み込みによる過度な負荷増大が予測されるため、異常検出部13は、異物噛み込みによる燃料ポンプ2bの異常を、重度の異常と判定する。
ステップST216において、異常検出部13は、制御部11を介してエンジン制御装置3に対し、燃料ポンプ2bの重度の異常発生を通知する。
以上のように、実施の形態5の異常検出部13は、多相ブラシレスモータ2aの1回転角を分割した複数の領域のそれぞれにおける回転速度と評価基準から評価値を算出し、評価値が第3閾値以上で、かつ、第3閾値よりも大きい第4閾値未満である領域が時間と共に変移する場合、流動性異物による異常を検出すると共に当該異常を軽度な異常と判別する。一方、異常検出部13は、評価値が第3閾値以上で、かつ、第4閾値以上である領域がある場合、異物噛み込み異常を検出すると共に当該異常を重度な異常と判別する。これにより、燃料ポンプ2bに侵入した流動性異物により生じる軽度の異常と、異物噛み込みによる重度の異常を、異常発生の初期段階で検出することができる。エンジン制御装置3は、燃料ポンプ2bの重度の異常と軽度の異常のそれぞれに対して適切な車両の制御を行うことができる。
実施の形態6.
実施の形態6では、図9〜図12のフローチャートに示されるステップST105および図15のフローチャートに示されるステップST205で用いられる評価基準の例を説明する。
実施の形態6に係る車載燃料ポンプ制御装置1を用いた燃料供給システムの構成は、実施の形態1の図1〜図3に示された構成と図面上は同一であるため、以下では図1〜図3を援用する。
上記実施の形態3〜5で説明したように、評価基準は、例えばエンジン制御装置3から指示される多相ブラシレスモータ2aの目標回転速度である。その場合、評価基準と第i(iは自然数)領域の回転速度とを比較して算出される評価値は、下式で表される。異常検出部13は、ブラシレス燃料ポンプモータ2の目標回転速度を基準に燃料ポンプ2bの異常を検出するため、異常発生領域を容易に検出でき、燃料ポンプ2bの異常を初期段階で検出することができる。

第i領域の評価値=|目標回転速度−第i領域の回転速度|
また、評価基準は、機械的1周期を分割した複数の領域のそれぞれにおける回転速度のうち、最も低い回転速度であってもよい。その場合、評価基準と第i領域の回転速度とを比較して算出される評価値は、下式で表される。異常検出部13は、機械的1周期の全領域の回転速度のうち最も低い回転速度を基準に燃料ポンプ2bの異常を検出するため、エンジン制御装置3から指示される目標回転速度に影響されることなく異常発生領域を容易に検出でき、燃料ポンプ2bの異常を初期段階で検出することができる。

第i領域の評価値=|全領域における回転速度の最低値−第i領域の回転速度|
また、評価基準は、機械的1周期を分割した複数の領域すべての回転速度を平均した平均回転速度であってもよい。その場合、評価基準と第i領域の回転速度とを比較して算出される評価値は、下式で表される。異常検出部13は、機械的1周期の全領域の回転速度の平均回転速度を基準に燃料ポンプ2bの異常を検出するため、エンジン制御装置3から指示される目標回転速度に影響されることなく異常発生領域を容易に検出でき、燃料ポンプ2bの異常を初期段階で検出することができる。

第i領域の評価値=|全領域における回転速度の平均値−第i領域の回転速度|
最後に、各実施の形態に係る車載燃料ポンプ制御装置1のハードウェア構成を説明する。
図16Aおよび図16Bは、各実施の形態に係る車載燃料ポンプ制御装置1のハードウェア構成例を示す図である。車載燃料ポンプ制御装置1における駆動回路10は、例えば3相インバータである。車載燃料ポンプ制御装置1における制御部11、速度検出部12、および異常検出部13の各機能は、処理回路により実現される。即ち、車載燃料ポンプ制御装置1は、上記各機能を実現するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアとしての処理回路20であってもよいし、メモリ22に格納されるプログラムを実行するプロセッサ21であってもよい。
図16Aに示すように、処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路20は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部11、速度検出部12、および異常検出部13の機能を複数の処理回路20で実現してもよいし、各部の機能をまとめて1つの処理回路20で実現してもよい。
図16Bに示すように、処理回路がプロセッサ21である場合、制御部11、速度検出部12、および異常検出部13の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ22に格納される。プロセッサ21は、メモリ22に格納されたプログラムを読みだして実行することにより、各部の機能を実現する。即ち、車載燃料ポンプ制御装置1は、プロセッサ21により実行されるときに、図9等のフローチャートで示されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ22を備える。また、このプログラムは、制御部11、速度検出部12、および異常検出部13の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
ここで、プロセッサ21とは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータ等のことである。
メモリ22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、またはフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスクまたはフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
なお、制御部11、速度検出部12、および異常検出部13の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、車載燃料ポンプ制御装置1における処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
この発明に係る車載燃料ポンプ制御装置は、燃料ポンプの異常発生の兆候を検出するようにしたので、燃料劣化に起因する燃料ポンプ異常が発生しやすいプラグインハイブリッド車に搭載される燃料ポンプ制御装置などに用いるのに適している。
1 車載燃料ポンプ制御装置、2 ブラシレス燃料ポンプモータ、2a 多相ブラシレスモータ、2b 燃料ポンプ、3 エンジン制御装置、10 駆動回路、10U1,10U2,10V1,10V2,10W1,10W2 スイッチング素子、11 制御部、12 速度検出部、13 異常検出部、20 処理回路、21 プロセッサ、22 メモリ、100 ステータ鉄心、100U1,100U2 U相ステータ鉄心、100V1,100V2 V相ステータ鉄心、100W1,100W2 W相ステータ鉄心、101 ステータコイル、101U1,101U2 U相ステータコイル、101V1,101V2 V相ステータコイル、101W1,101W2 W相ステータコイル、102 ステータコイル端子、103 鉄フレーム、104 ロータマグネット、105 ロータ鉄心、106 ロータシャフト、106a Dカット加工部、107,108 軸受、109 スラスト軸受、110 インペラ、111,112,113 ポンプケース、114 逆止弁、115 吸入口、116 吐出口、117 隙間。

Claims (9)

  1. 燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料ポンプを制御する車載燃料ポンプ制御装置であって、
    前記燃料ポンプを駆動する多相ブラシレスモータの1回転角を複数の領域に分割し、分割した前記複数の領域のそれぞれにおける前記多相ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出部と、
    前記速度検出部により検出された前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度を評価基準と比較して前記燃料ポンプの異常を検出する異常検出部とを備え、
    前記異常検出部は、
    前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度と前記評価基準から評価値を算出し、前記評価値が第1閾値以上になる領域が存在する場合に当該領域における異物噛み込み異常を検出するとともに、
    当該評価値が前記第1閾値より大きい第2閾値以上になる領域が存在する場合に重度の異常であると判別する一方、当該評価値が前記第1閾値より大きい第2閾値以上になる領域が存在しない場合に軽度の異常であると判別することを特徴とする車載燃料ポンプ制御装置。
  2. 燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料ポンプを制御する車載燃料ポンプ制御装置であって、
    前記燃料ポンプを駆動する多相ブラシレスモータの1回転角を複数の領域に分割し、分割した前記複数の領域のそれぞれにおける前記多相ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出部と、
    前記速度検出部により検出された前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度を評価基準と比較して前記燃料ポンプの異常を検出する異常検出部とを備え、
    前記異常検出部は、
    前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度と前記評価基準から評価値を算出し、前記評価値が第1閾値以上になる領域が存在する場合に当該領域における異物噛み込み異常を検出するとともに、
    当該評価値が前記第1閾値以上になる領域が複数存在する場合に重度の異常であると判別する一方、当該評価値が前記第1閾値以上になる領域が複数存在しない場合に軽度の異常であると判別することを特徴とする車載燃料ポンプ制御装置。
  3. 前記多相ブラシレスモータの相数は3相であり、
    前記速度検出部は、前記多相ブラシレスモータの電気角1周期を6個の領域に分割することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車載燃料ポンプ制御装置。
  4. 燃料タンクの燃料をエンジンに供給する燃料ポンプを制御する車載燃料ポンプ制御装置であって、
    前記燃料ポンプを駆動する多相ブラシレスモータの1回転角を複数の領域に分割し、分割した前記複数の領域のそれぞれにおける前記多相ブラシレスモータの回転速度を検出する速度検出部と、
    前記速度検出部により検出された前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度を評価基準と比較して前記燃料ポンプの異常を検出する異常検出部とを備え、
    前記異常検出部は、前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度と前記評価基準から評価値を算出し、前記評価値が第3閾値以上で、かつ、前記第3閾値よりも大きい第4閾値未満である領域が時間と共に変移する場合、流動性異物による異常を検出すると共に当該異常を軽度な異常と判別し、前記評価値が前記第3閾値以上で、かつ、前記第4閾値以上である領域がある場合、異物噛み込み異常を検出すると共に当該異常を重度な異常と判別することを特徴とする車載燃料ポンプ制御装置。
  5. 前記評価基準は、エンジン制御装置から指示される前記多相ブラシレスモータの目標回転速度であることを特徴とする請求項4記載の車載燃料ポンプ制御装置。
  6. 前記評価基準は、前記多相ブラシレスモータの1回転角を分割した前記複数の領域のそれぞれにおける回転速度のうち、最も低い回転速度であることを特徴とする請求項4記載の車載燃料ポンプ制御装置。
  7. 前記評価基準は、前記多相ブラシレスモータの1回転角を分割した前記複数の領域すべての回転速度を平均した平均回転速度であることを特徴とする請求項4記載の車載燃料ポンプ制御装置。
  8. 前記異常検出部は、エンジン制御装置から指示される前記多相ブラシレスモータの目標回転速度の変動が予め定められた範囲内の定常回転状態である場合に前記燃料ポンプの異常検出を実施することを特徴とする請求項4記載の車載燃料ポンプ制御装置。
  9. 前記異常検出部は、エンジンがアイドリング状態である場合に前記燃料ポンプの異常検出を実施することを特徴とする請求項4記載の車載燃料ポンプ制御装置。
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