JP6743055B2 - 接着性樹脂組成物、積層体および積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂組成物、積層体および積層体の製造方法に関する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ゴムのようなしなやかな弾力性と硬質プラスチックのような強靭さを合わせ持つことから、代表的な熱可塑性エラストマーとして幅広い分野・用途で利用されてきた。
熱可塑性ポリウレタン樹脂層を、例えば、他の樹脂層に積層させることにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂の弾力性と強靭性を維持しつつ、熱可塑性ポリウレタン樹脂の弱点である粘着性、ハンドリング性等を改良したポリウレタン系多層フィルムが作製されている。
ポリウレタン系多層フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)、酢酸ビニル含有量が7〜35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体層(B)、ポリエチレン系樹脂層、又は、ポリプロピレン系樹脂層(C)が、この順序に積層されているポリウレタン系多層フィルムが記載されている。ここで、特許文献1では、樹脂層(C)は最終的に熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)から剥離させるものである。すなわち、特許文献1では、熱可塑性ポリウレタン樹脂層(A)と樹脂層(C)との層間接着強度を向上させる目的でエチレン−酢酸ビニル共重合体層(B)が設けられているわけではない。
特開平8−230119号公報
ポリウレタン系多層フィルムは、特にポリオレフィン樹脂により構成されたフィルムとの多層フィルムとして使用する場合に要求される技術水準が、ますます高くなっている。本発明者らは、ポリウレタン系多層フィルムに関し、以下のような課題を見出した。
本発明者らの検討によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層上にエチレン・極性モノマー共重合体により構成された樹脂層を設けたポリウレタン系多層フィルムは層間接着性が低く、取り扱い性に劣ることが明らかになった。
さらに、本発明者らの検討によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高めるために、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量を高めると、層間接着性がある程度向上するものの、まだまだ十分に満足するものではないことが明らかになった。
すなわち、本発明者らは、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量を調整するだけでは、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高いレベルで得ることができないことを明らかにした。
以上から、本発明者らは、従来のポリウレタン系多層フィルムには、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高いレベルで向上させるという観点において、改善の余地があることを見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を実現できる樹脂組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、極性モノマーの含有量が特定値以上であるエチレン・極性モノマー共重合体と、グリシジル基含有エチレン系共重合体とを組みわせて用いることにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を実現できる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す接着性樹脂組成物、積層体および積層体の製造方法が提供される。
[1]
熱可塑性ポリウレタン樹脂層に接する樹脂層の形成に用いられる接着性樹脂組成物であって、
エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン・極性モノマー共重合体(A)と、
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)(ただし、上記エチレン・極性モノマー共重合体(A)を除く)と、
を含み、
上記エチレン・極性モノマー共重合体(A)中の極性モノマーの含有量は、上記接着性樹脂組成物中の樹脂成分全体に対して21質量%以上である接着性樹脂組成物。
[2]
上記[1]に記載の接着性樹脂組成物において、
シランカップリング剤により変性されたエチレン・極性モノマー共重合体(C)(ただし、上記エチレン・極性モノマー共重合体(A)および上記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)を除く)をさらに含む接着性樹脂組成物。
[3]
上記[2]に記載の接着性樹脂組成物において、
上記エチレン・極性モノマー共重合体(C)はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む接着性樹脂組成物。
[4]
上記[2]または[3]に記載の接着性樹脂組成物において、
上記エチレン・極性モノマー共重合体(C)の変性における上記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
上記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部がシランカップリング剤により変性されている接着性樹脂組成物。
[6]
上記[5]に記載の接着性樹脂組成物において、
上記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の変性における上記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
上記接着性樹脂組成物中の上記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量に対する上記エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量の質量比が1以上30以下である接着性樹脂組成物。
[8]
上記[1]乃至[7]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
上記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
[9]
上記[1]乃至[8]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
上記エチレン・極性モノマー共重合体(A)がエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む接着性樹脂組成物。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
上記接着性樹脂組成物中のカルボン酸変性樹脂の含有量が4質量%以下である接着性樹脂組成物。
[11]
上記[1]乃至[10]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物において、
JIS K7106に準じて、温度23℃の条件下で測定される曲げ剛性率が40MPa以下である接着性樹脂組成物。
[12]
熱可塑性ポリウレタン樹脂層と、
上記熱可塑性ポリウレタン樹脂層の少なくとも一方の面に設けられ、かつ、上記[1]乃至[11]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物により構成された樹脂層と、
を備える積層体。
[13]
上記[12]に記載の積層体において、
耐圧ホース、燃料チューブ、多層チューブ、衣料用フィルム、体液処理用フィルム、医療用テープ、建材用防水シート、防汚テープ、補修テープおよびマスキングテープからなる群から選択される積層体。
[14]
上記[12]または[13]に記載の積層体を製造するための製造方法であって、
上記[1]乃至[11]いずれか一つに記載の接着性樹脂組成物と、熱可塑性ポリウレタン樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物と、を共押出成形する工程を含む積層体の製造方法。
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を実現できる樹脂組成物を提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明に係る実施形態の積層体の構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、数値範囲の「X〜Y」は特に断りがなければ、X以上Y以下を表す。また、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは」アクリル、メタクリルまたはアクリルとメタクリルの両方を意味する。
1.接着性樹脂組成物(P)について
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)は、熱可塑性ポリウレタン樹脂層に接する樹脂層の形成に用いられるものであり、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)(ただし、エチレン・極性モノマー共重合体(A)を除く)と、を含む。
そして、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、エチレン・極性モノマー共重合体(A)中の極性モノマーの含有量が、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性や、得られる樹脂層の柔軟性を向上させる観点から、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体に対して21質量%以上、好ましくは23質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは28質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
また、エチレン・極性モノマー共重合体(A)中の極性モノマーの含有量の上限は特に限定されないが、得られる樹脂層の機械的特性や耐熱性、取扱い性、加工性をより良好にする観点から、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体に対して好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは38質量%以下である。
極性モノマーが酢酸ビニルの場合、極性モノマーの含有量は、例えば、JIS K7192:1999に準拠して測定することができる。
また、極性モノマーが不飽和カルボン酸エステルの場合は、極性モノマーの含有量は、例えば、不飽和カルボン酸エステルに帰属する赤外吸収スペクトル(IR)により測定される。例えば、不飽和カルボン酸エステルがアクリル酸エチル(EA)の場合、EAに帰属する860cm−1の吸光度から求める。ただし、検量線は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)によりEA濃度を求め、IRの860cm−1の吸光度との相関によって求める。
また、本実施形態において、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体とは、エチレン・極性モノマー共重合体(A)やグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)、後述のエチレン・極性モノマー共重合体(C)、その他の成分に含まれる樹脂等の樹脂成分の合計量を意味する。
また、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)は、後述のエチレン・極性モノマー共重合体(C)をさらに含む場合、エチレン・極性モノマー共重合体(A)、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)中の極性モノマーの総含有量が、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性や、得られる樹脂層の柔軟性をさらに向上させる観点から、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体に対して21質量%以上であることが好ましく、より好ましくは23質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは28質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。
また、極性モノマーの上記総含有量の上限は特に限定されないが、得られる樹脂層の機械的特性や耐熱性、取扱い性、加工性をより良好にする観点から、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体に対して好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは38質量%以下である。
本発明者らの検討によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層上にエチレン・極性モノマー共重合体により構成された樹脂層を設けたポリウレタン系多層フィルムは層間接着性が低く、取り扱い性に劣ることが明らかになった。
さらに、本発明者らの検討によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高めるために、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量を高めると、層間接着性がある程度向上するものの、まだまだ十分に満足するものではないことが明らかになった。
すなわち、本発明者らは、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量を調整するだけでは、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高いレベルで得ることができないことを明らかにした。
以上から、本発明者らは、従来のポリウレタン系多層フィルムには、熱可塑性ポリウレタン樹脂層とエチレン・極性モノマー共重合体層との層間接着性を高いレベルで向上させるという観点において、改善の余地があることを見出した。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、極性モノマーの含有量が上記下限値以上であるエチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)とを組みわせて用いることにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を実現できる樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を有する樹脂層を実現することができる。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量とグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量との合計含有量は、接着性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量とグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量との合計含有量が上記範囲内であると、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、機械的特性、耐熱性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量は、接着性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、50質量%以上99質量%以下が好ましく、60質量%以上98質量%以下がより好ましく、70質量%以上97質量%以下が特に好ましい。エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量が上記範囲内であると、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、機械的特性、耐熱性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)は、接着性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、1質量%以上50質量%以下が好ましく、2質量%以上40質量%以下がより好ましく、3質量%以上30質量%以下が特に好ましい。グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量が上記範囲内であると、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、機械的特性、耐熱性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。
接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体を100質量%としたとき、グリシジル基の含有量は0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.08質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上1質量%以下が特に好ましい。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、接着性樹脂組成物(P)中のグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量に対するエチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量の質量比が1以上30以下であることが好ましく、5以上25以下であることがより好ましい。これにより、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、機械的特性、耐熱性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、JIS K7106に準じて、温度23℃の条件下で測定される曲げ剛性率が40MPa以下であることが好ましく、30MPa以下であることがより好ましく、20MPa以下であることが特に好ましい。曲げ剛性率が上記範囲を満たすと、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。このような曲げ剛性率を達成するためには、接着性樹脂組成物(P)の組成を適宜調整すればよい。
曲げ剛性率の下限値は特に限定されないが、耐熱性や機械的特性を向上させる観点から、好ましくは1MPa以上であり、より好ましくは2MPa以上である。
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、接着性樹脂組成物(P)中のカルボン酸変性樹脂の含有量は、接着性樹脂組成物(P)の全体を100質量%としたとき、好ましくは4質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。カルボン酸変性樹脂中のカルボキシル基はグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)中のグリシジル基と反応してゲルを生じる場合がある。そのため、接着性樹脂組成物(P)中のカルボン酸変性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、加工時や調製時に接着性樹脂組成物(P)がゲル化したり、得られる樹脂層に凝集物が発生したりすることを抑制することができる。
ここで、カルボン酸変性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトまたは共重合させた変性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
以下、接着性樹脂組成物(P)を構成する各成分について説明する。
<エチレン・極性モノマー共重合体(A)>
本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体はエチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種を含む。本実施形態において極性モノマーとは官能基を有するモノマーを意味する。
本実施形態に係るエチレン・ビニルエステル共重合体としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
本実施形態に係るエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルの少なくとも1種とを共重合した重合体である。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸のアルキルエステルと、からなる共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸エステルにおける不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸のアルキルエステルにおけるアルキル部位としては、炭素数1〜12のものを挙げることができ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。本実施形態では、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は、1〜8が好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。これらの不飽和カルボン酸エステルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、および(メタ)アクリル酸n−ブチル等から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましい。
本実施形態において、好ましいエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。その中でも(メタ)アクリル酸エステルとして1種類の化合物からなる共重合体が好ましい。このような共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソオクチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等が挙げられる。
エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含むことがより好ましい。
なお、本実施形態においてはエチレン・極性モノマー共重合体(A)は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、加工安定性をより向上させる観点から、JIS K7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、エチレン・極性モノマー共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上150g/10分以下であることが好ましく、0.2g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましく、0.5g/10分以上50g/10分以下であることがさらに好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体(A)のMFRは、異なるMFRを有するエチレン・極性モノマー共重合体(A)を複数ブレンドして調整してもよい。
本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、各重合成分を高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。また、エチレン・極性モノマー共重合体(A)は市販されているものを用いてもよい。
<グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)>
本実施形態に係るグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等から選択される一種または二種以上が挙げられる。
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)中の(メタ)アクリル酸グリシジルに由来の構成単位の含有割合は、好ましくは2質量%以上30質量%以下、より好ましくは3質量%以上25質量%以下である。
(メタ)アクリル酸グリシジルに由来の構成単位の含有割合が上記範囲内であると、得られる樹脂層の接着性や柔軟性、取扱い性、加工性等のバランスをより一層良好なものとすることができる。
なお、「(メタ)アクリル酸グリシジル」とは、メタクリル酸グリシジルおよびアクリル酸グリシジルの少なくとも一方または両方を表す。
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位の中で「エチレン由来の構成単位」の含有量が最も多いことをいう。例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸ビニルとの各々に由来する構成単位からなる共重合体の場合には、エチレン由来の構成単位の比率が、(メタ)アクリル酸グリシジル由来の構成単位や酢酸ビニル由来の構成単位よりも大きいことをいう。
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)における「エチレン由来の構成単位」の占める割合は、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。このとき、エチレン系共重合体は、エチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル以外の他のモノマー単位(例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等)をさらに含むことができる。
具体的には、エチレンに由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸グリシジルに由来の構成単位とを含有する共重合体のほか、この2つの構成単位のほかに、さらに酢酸ビニルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の少なくとも一方を含有する共重合体が挙げられる。
酢酸ビニルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
酢酸ビニルに由来の構成単位および(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合の下限値は、特に制限はないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上が望ましい。さらには、酢酸ビニルに由来の構成単位または(メタ)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合は、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、さらに0.5〜20質量%、特に1〜20質量%の範囲が好ましい。
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)は、1種を単独でまたは共重合比等の異なる共重合体の2種以上またはモノマー種の異なる共重合体の2種以上を組み合わせて用いることができる。
グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部はシランカップリング剤により変性されていることが好ましい。これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性をより一層良好なものとすることができる。
ここで、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)において、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)における上記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
ここで、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)へのシランカップリング剤の変性は、例えば、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤とを加熱下(例えば、100℃〜200℃)で反応させる方法(変性方法1)や、重合開始剤を用いて、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)に、重合性基を有するシランカップリング剤をグラフト重合させる方法(変性方法2)等がある。
変性方法1では、シランカップリング剤中のアミノ基またはエポキシ基と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)中のグリシジル基と、が反応することにより、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の側鎖にシランカップリング剤が導入される。
変性方法2では、例えば、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、重合性基を有するシランカップリング剤と、ラジカル重合開始剤とを、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の融点以上、かつラジカル重合開始剤の分解温度以上の温度で溶融混練することにより製造することができる。なお、これらの反応は溶液中でも行なうこともできる。
重合開始剤としては通常用いられるものを用いることができるが、有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては重合開始剤として使用可能な公知の有機過酸化物を用いることができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド化合物、アルキルパーオキシエステル化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
中でも、ジアルキルパーオキサイド化合物が好ましく、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3がより好ましい。
重合性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態において、加工安定性をより向上させる観点から、JIS K7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上30g/10分以下であることがより好ましく、1g/10分以上20g/10分以下であることがさらに好ましい。
変性に使用する重合開始剤はグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部の量で含有させることができる。
シランカップリング剤は、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性をより一層良好なものとすることができる。
<エチレン・極性モノマー共重合体(C)>
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)は、シランカップリング剤により変性されたエチレン・極性モノマー共重合体(C)をさらに含むことが好ましい。これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性をより一層良好なものとすることができる。
本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体(C)におけるエチレン・極性モノマー共重合体としては、例えば、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体等が挙げられる。
エチレン・ビニルエステル共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン・酪酸ビニル共重合体、エチレン・ステアリン酸ビニル共重合体等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
本実施形態に係るエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルの少なくとも1種とを共重合した重合体である。
具体的には、エチレンと、不飽和カルボン酸のアルキルエステルと、からなる共重合体を例示することができる。
不飽和カルボン酸エステルにおける不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸のアルキルエステルにおけるアルキル部位としては、炭素数1〜12のものを挙げることができ、より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等のアルキル基を例示することができる。本実施形態では、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は、1〜8が好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。これらの不飽和カルボン酸エステルは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、および(メタ)アクリル酸n−ブチル等から選択される一種または二種以上を含むことがより好ましい。
本実施形態において、好ましいエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。その中でも(メタ)アクリル酸エステルとして1種類の化合物からなる共重合体が好ましい。このような共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソオクチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等が挙げられる。
エチレン・極性モノマー共重合体(C)におけるエチレン・極性モノマー共重合体は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸n−ブチル共重合体から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含むことがより好ましい。
なお、本実施形態においてはエチレン・極性モノマー共重合体(C)は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・極性モノマー共重合体(C)におけるエチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーの含有量は、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以上45質量%以下であり、特に好ましくは8質量%以上30質量%以下である。
極性モノマーが酢酸ビニルの場合、極性モノマーの含有量は、例えば、JIS K7192:1999に準拠して測定することができる。また、極性モノマーが不飽和カルボン酸エステルの場合は、極性モノマーの含有量は、例えば、不飽和カルボン酸エステルに帰属する赤外吸収スペクトル(IR)により測定される。例えば、不飽和カルボン酸エステルがアクリル酸エチル(EA)の場合、EAに帰属する860cm−1の吸光度から求める。ただし、検量線は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)によりEA濃度を求め、IRの860cm−1の吸光度との相関によって求める。
本実施形態において、加工安定性をより向上させる観点から、JIS K7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、エチレン・極性モノマー共重合体(C)のメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上300g/10分以下であることが好ましく、0.2g/10分以上200g/10分以下であることがより好ましく、0.5g/10分以上180g/10分以下であることがさらに好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体(C)のMFRは、異なるMFRを有するエチレン・極性モノマー共重合体(C)を複数ブレンドして調整してもよい。
本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体(C)におけるエチレン・極性モノマー共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、各重合成分を高温、高圧下でラジカル共重合することによって得ることができる。また、エチレン・極性モノマー共重合体(C)におけるエチレン・極性モノマー共重合体は市販されているものを用いてもよい。
エチレン・極性モノマー共重合体(C)の少なくとも一部はシランカップリング剤により変性されている。これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性をより一層良好なものとすることができる。
ここで、本実施形態に係るエチレン・極性モノマー共重合体(C)における上記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
ここで、エチレン・極性モノマー共重合体(C)へのシランカップリング剤の変性は、例えば、前述したグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)へのシランカップリング剤の変性と同様の方法を挙げることができる。
また、エチレン・極性モノマー共重合体(C)へのシランカップリング剤の変性と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)へのシランカップリング剤の変性とを同時におこなってもよい。
ここで、エチレン・極性モノマー共重合体(C)へのシランカップリング剤の変性と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)へのシランカップリング剤の変性とを同時におこなう場合、変性に使用する重合開始剤はグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)の合計100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部の量で含有させることができる。
シランカップリング剤は、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)の合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.02〜3質量部の量で含有させることができる。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への接着性をより一層良好なものとすることができる。
シランカップリング剤の含有量は、接着性樹脂組成物(P)中の樹脂成分全体を100質量%としたとき、0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。ここで、シランカップリング剤の上記含有量は、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)やエチレン・極性モノマー共重合体(C)にグラフトされているシランカップリング剤も含む。
<その他の成分>
本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)には、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン・極性モノマー共重合体(A)、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)、およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)以外の樹脂や添加剤を含有してもよい。
その他の樹脂としては特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。添加剤としては特に限定されないが、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、光安定剤、発泡剤、潤滑剤、結晶核剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、触媒失活剤、無機充填剤、有機充填剤、耐衝撃性改良剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、加工助剤、離型剤、加水分解防止剤、耐熱安定剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、難燃剤、難燃助剤、放熱剤、光拡散剤、抗菌剤、防黴剤、分散剤等を挙げることができる。その他の成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<接着性樹脂組成物(P)の調製方法>
接着性樹脂組成物(P)の調製方法としては特に限定されないが、例えば、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、必要に応じてエチレン・極性モノマー共重合体(C)と、その他の樹脂と、添加剤と、をドライブレンドして混合することにより調製する方法、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、必要に応じてエチレン・極性モノマー共重合体(C)と、その他の樹脂と、添加剤と、を押出機で溶融混練することにより調製する方法、等を適用することができる。
2.積層体
本実施形態に係る積層体10は、図1に示すとおり、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15と、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15の少なくとも一方の面に設けられ、かつ、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)により構成された樹脂層20と、を少なくとも備える。
熱可塑性ポリウレタン樹脂層15の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。
樹脂層20の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。
熱可塑性ポリウレタン樹脂層15を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂は特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、ハードセグメントとしてポリウレタンを有し、ソフトセグメントとしてポリエーテル;アジペート系ポリエステル、カプロラクトン系ポリエステル等のポリエステル;ポリカーボネート等を有するブロック共重合体が挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15と樹脂層20との接着性により優れる観点から、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15を構成する熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、ハードセグメントとしてポリウレタンを有し、ソフトセグメントとしてポリエーテルを有するブロック共重合体(ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーとも呼ぶ。)が好ましい。
また、本実施形態に係る積層体10は、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15と樹脂層20のみで構成されていてもよいし、積層体10に様々な機能を付与する観点から、熱可塑性ポリウレタン樹脂層15と樹脂層20以外の層(以下、その他の層とも呼ぶ。)を樹脂層15および/または樹脂層20の表層側に有していてもよい。その他の層としては、例えば、基材層、無機物層、ガスバリア層、帯電防止層、ハードコート層、接着層、反射防止層、防汚層、シーラント層、アンダーコート層等を挙げることができる。その他の層は1層単独で有してもよいし、2層以上を組み合わせて有してもよい。
本実施形態に係る積層体10は特に限定されないが、例えば、耐圧ホース、燃料チューブ、多層チューブ、衣料用フィルム、体液処理用フィルム、医療用テープ、建材用防水シート、防汚テープ、補修テープおよびマスキングテープからなる群から選択される少なくとも一種として好適に用いることができる。
3.積層体の製造方法
本実施形態に係る積層体10の製造方法は特に限定されず、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形法を適用することができる。例えば、T−ダイ押出機あるいはインフレーション成形機等を用いる公知の方法によって行うことができる。
例えば、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、必要に応じてエチレン・極性モノマー共重合体(C)と、その他の樹脂と、添加剤と、を含有する接着性樹脂組成物(P)をT−ダイ押出機のホッパーから供給してTダイ先端から熱可塑性ポリウレタン樹脂層15上にフィルム状に押出成形することにより得ることができる。
また、本実施形態に係る積層体10の製造方法において、一般に使用されている多層フィルムの成形法を適用することができる。例えば、多層T−ダイ押出機あるいは多層インフレーション成形機等を用いる公知の方法によって行うことができる。
例えば、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)と、必要に応じてエチレン・極性モノマー共重合体(C)と、その他の樹脂と、添加剤と、を含有する接着性樹脂組成物(P)と、熱可塑性ポリウレタン樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物と、を多層T−ダイ押出機の主押出機および従押出機のホッパーから供給してTダイ先端からシート状に共押出成形することにより得ることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
接着性樹脂組成物の調製に用いた成分の詳細は以下の通りである。
<エチレン・極性モノマー共重合体(A)>
EVA1:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:67質量%、酢酸ビニル含有量:33質量%)
EVA2:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:72質量%、酢酸ビニル含有量:28質量%)
EVA3:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:68質量%、酢酸ビニル含有量:32質量%)
EVA4:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:60質量%、酢酸ビニル含有量:40質量%)
EVA5:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:54質量%、酢酸ビニル含有量:46質量%)
EVA6:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:81質量%、酢酸ビニル含有量:19質量%)
EVA7:エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含有量:90質量%、酢酸ビニル含有量:10質量%)
EMA1:エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(エチレン含有量:76質量%、メタクリル酸メチル含有量:24質量%)
<シランカップリング剤により変性されたグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)の混合物の調製>
エチレン・メタクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体(EGMAVA、住友化学(株)製、ボンドファースト7B、エチレン含有量:83質量%、メタクリル酸グリシジル含有量:12質量%、酢酸ビニル含有量:5質量%、MFR(190℃、2160g荷重):7g/10分):49.1質量部、エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量:15質量%):49.1質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM503」):1.5質量部および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富(株)製、商品名「ルペロックス101」):0.3質量部を予め混合し、溶融温度220℃にて40mmφ単軸押出機で、EGMAVAおよびエチレン・酢酸ビニル共重合体にシランカップリング剤である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをグラフト変性させることにより、シランカップリング剤により変性されたグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)の混合物を得た。なお、表1では、この混合物を(B)および(C)の混合物と表記する。
[実施例1]
表1に示す配合でエチレン・極性モノマー共重合体(A)とグリシジル基含有エチレン系共重合体(B)およびエチレン・極性モノマー共重合体(C)の混合物を押出機に投入し、以下の条件で溶融混練することにより接着性樹脂組成物(P)を調製し、次いで、得られた接着性樹脂組成物(P)をシート状に押出成形することにより、接着性樹脂組成物(P)により構成された厚み500μmの樹脂シート(P)を作製した。
押出機:40mm異型押出機(L/D=26mmφ、ナカタニ社製)
混練条件:温度:180℃、回転数:60min−1
得られた接着性樹脂組成物(P)により構成された樹脂シート(P)について、以下の評価をおこなった。その結果を表1に示す。
<評価>
(1)接着性評価
真空加熱貼合機(NPC社製二重真空槽貼合機、LM−50×50S)を用いて、得られた樹脂シート(P)を200μm厚のポリエーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(大日精化工業社製レザミンP−1288)により構成された熱可塑性ポリウレタン樹脂層上に積層させ、温度170℃、圧力0MPa(ゲージ圧力)、シール時間2分、そして温度170℃、圧力0.5MPa(ゲージ圧力)、シール時間6分の条件で、樹脂シート(P)と熱可塑性ポリウレタン樹脂層とを貼り合わせた。その後、貼り合わせたものを大気中に静置し、自然冷却によって徐冷した。完成した積層体のシート部分に25mm幅のスリットを入れて試験片とし、引張試験機に設置した。引張速度100mm/分で積層体の樹脂シート(P)を引き離し、接着強度(N/25mm)の平均値および最大値を求めた。得られた結果を表1に示す。
(2)曲げ剛性率
JIS K7106に準じて23℃で樹脂シート(P)の曲げ剛性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2〜3、比較例1〜7]
表1に示す配合とした以外は実施例1と同様にして樹脂シート(P)および積層体をそれぞれ作製し、実施例1と同様の評価をそれぞれおこなった。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006743055
実施例1〜3の樹脂シート(P)は熱可塑性ポリウレタン樹脂層に対する接着性が優れていた。また、グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)を含有させてもエチレン・極性モノマー共重合体(A)が有する曲げ剛性が低下しないことが確認できた。これに対し、比較例1〜7の樹脂シート(P)は熱可塑性ポリウレタン樹脂層に対する接着性が劣っていた。
以上から、本実施形態に係る接着性樹脂組成物(P)によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂層への高い接着性を有する樹脂層を実現することができることが確認できた。
この出願は、2016年1月8日に出願された日本出願特願2016−002508号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (15)

  1. 熱可塑性ポリウレタン樹脂層に接する樹脂層の形成に用いられる接着性樹脂組成物であって、
    エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン・極性モノマー共重合体(A)と、
    グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)(ただし、前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)を除く)と、
    シランカップリング剤により変性されたエチレン・極性モノマー共重合体(C)(ただし、前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)および前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)を除く)と、
    を含み、
    前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)中の極性モノマーの含有量は、前記接着性樹脂組成物中の樹脂成分全体に対して21質量%以上である接着性樹脂組成物。
  2. 請求項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記エチレン・極性モノマー共重合体(C)はエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む接着性樹脂組成物。
  3. 請求項またはに記載の接着性樹脂組成物において、
    前記エチレン・極性モノマー共重合体(C)の変性における前記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部がシランカップリング剤により変性されている接着性樹脂組成物。
  5. 請求項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の変性における前記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性ポリウレタン樹脂層に接する樹脂層の形成に用いられる接着性樹脂組成物であって、
    エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される少なくとも一種のエチレン・極性モノマー共重合体(A)と、
    グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)(ただし、前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)を除く)と、
    を含み、
    前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)中の極性モノマーの含有量は、前記接着性樹脂組成物中の樹脂成分全体に対して21質量%以上であり、
    前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の少なくとも一部がシランカップリング剤により変性されている接着性樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の変性における前記シランカップリング剤は重合性基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤およびエポキシ基を有するシランカップリング剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記接着性樹脂組成物中の前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)の含有量に対する前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量の質量比が1以上30以下である接着性樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記グリシジル基含有エチレン系共重合体(B)はエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選択される一種または二種以上を含む接着性樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)がエチレン・酢酸ビニル共重合体を含む接着性樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    前記接着性樹脂組成物中のカルボン酸変性樹脂の含有量が4質量%以下である接着性樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物において、
    JIS K7106に準じて、温度23℃の条件下で測定される曲げ剛性率が40MPa以下である接着性樹脂組成物。
  13. 熱可塑性ポリウレタン樹脂層と、
    前記熱可塑性ポリウレタン樹脂層の少なくとも一方の面に設けられ、かつ、請求項1乃至12いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物により構成された樹脂層と、
    を備える積層体。
  14. 請求項13に記載の積層体において、
    耐圧ホース、燃料チューブ、多層チューブ、衣料用フィルム、体液処理用フィルム、医療用テープ、建材用防水シート、防汚テープ、補修テープおよびマスキングテープからなる群から選択される積層体。
  15. 請求項13または14に記載の積層体を製造するための製造方法であって、
    請求項1乃至12いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物と、熱可塑性ポリウレタン樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物と、を共押出成形する工程を含む積層体の製造方法。
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