JP6742178B2 - Mtf測定装置およびそのプログラム - Google Patents
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Description
インメガサイクルチャートを用いた手法は、テストチャートとして、一般社団法人映像情報メディア学会(ITE:The Institute of Image Information and Television Engineers)が提供しているテストチャート(ITE高精細度インメガサイクルチャート:図10参照)を用いて、当該チャートをカメラで撮像した画像から、CTF(Contrast Transfer Function)を空間周波数特性として測定する手法である。
図10に示すように、インメガサイクルチャートは、映像周波数1MHzから36MHzまでに相当する白黒の縦縞を並べ、チャート中心と4つのコーナー部分に800TVL/ph(27.7MHz)の縦縞を並べた矩形波のパターンを有している。
図11(a)に、垂直方向から数度傾いた境界が直線となる白黒パターンのROI画像(垂直エッジ画像)を示し、図11(b)に、水平方向から数度傾いた境界が直線となる白黒パターンのROI画像(水平エッジ画像)を示している。
そして、Slanted−edge法は、図12(b)に示すように、水平軸(x軸)に投影された画素の画素値をサブピクセル単位ごとに平均化することで、エッジの特性を示すエッジプロファイルを生成する。
そして、Slanted−edge法は、エッジプロファイルを微分することで、線広がり関数(LSF:Line Spread Function)を求め、そのLSFをフーリエ変換することでMTFを求める。
あるいは、Slanted−edge法においては、図11(b)のROI画像(水平エッジ画像)を90°回転させて、図11(a)のROI画像(垂直エッジ画像)と同様に、エッジ画像の画素を水平軸(x軸)に投影してMTFを求めている。
そのため、より正確にカメラの空間周波数特性を測定するためには、Slanted−edge法を用いることが好ましいといえる。
特に、Slanted−edge法は、MTFの測定に際し、エッジの傾きを求める等の演算コストを伴う処理が発生するため、正確な周波数特性を求めるためには時間を要してしまうとうい問題がある。
そして、MTF測定装置は、MTF算出手段によって、フレーム選択手段で選択されたフレームにおいて、Slanted−edge法を用いて、所定領域(ROI)のMTFを算出する。
これによって、MTF測定装置は、フォーカスの合った画像から、一度のMTFの計算で、正確にMTFを測定することができる。
そして、MTF測定装置は、カメラのフォーカス位置をフォーカス位置選択手段で選択されたフォーカス位置に固定して撮像したフレームを入力し、MTF算出手段によって、当該フレームにおいて、Slanted−edge法を用いて、所定領域(ROI)のMTFを算出する。
これによって、MTF測定装置は、フォーカス位置の移動に伴う動きぼけがなく、フォーカス位置が完全に固定された状態で撮像された画像から、一度のMTFの計算で、正確にMTFを測定することができる。
本発明によれば、エッジ広がり量の測定によって、MTFの計算に最適なフォーカスの合った画像またはフォーカス位置を決定した後、MTFを計算することができる。
そのため、本発明は、従来のSlanted−edge法のように、フォーカス位置の調整とMTFの演算とを繰り返してMTFを測定する手法に比べて、フォーカス調整に要する時間を大きく削減することができ、高速かつ正確にMTFを測定することができる。
≪第1実施形態≫
[MTF測定装置の構成]
最初に、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るMTF測定装置1の構成について説明する。
また、垂直方向の周波数特性を測定する場合、カメラ2は、図2(b)のように、境界線を斜め水平方向にした状態でテストチャートCを撮像する。そして、操作者は、図2(b)のように、テストチャートCを撮像した映像からROIを指定する。この場合、ROIによって、垂直方向で明度(基準白レベル、基準黒レベル)が異なる水平エッジ画像が特定される。
MTF測定装置1は、映像入力手段10と、ROI特定手段11と、ROI切り出し手段12と、エッジ広がり量測定手段13と、フレーム選択手段14と、MTF算出手段15と、を備える。
このとき、映像入力手段10は、フレームを、当該フレームを特定する番号(フレーム番号)と対応付けてROI切り出し手段12に出力する。なお、カメラ2から、タイムコードが記録された映像信号を入力される場合、フレームを特定する番号としてタイムコードを用いてもよい。
ここでは、映像入力手段10は、操作者の指示によって、映像の入力と終了が指示され、フォーカスを動かしている間の映像を入力する。
なお、エッジ広がり量測定手段13は、ROI切り出し手段12にフレームが入力されるたびにエッジ広がり量を測定することとしてもよいし、ROI切り出し手段12にフォーカスを動かしている状態のROI切り出し映像をすべて記憶手段(不図示)に記憶した後にそれぞれのフレームにおいてエッジ広がり量を測定することとしてもよい。
すなわち、エッジの広がりは、フォーカスが合っているか否かを判定する基準となる。
そこで、エッジ広がり量測定手段13は、ROI切り出し手段12で切り出されたROIの領域において、フレームごとに、フォーカスが合っているか否かを判定する基準として、エッジの広がりの度合いを示すエッジ広がり量を測定する。
ここでは、ROIで特定される画像として垂直エッジ画像を用いて、水平方向のエッジ広がり量を計測する例を説明する。
ここでは、左の基準の信号レベルがW、右の基準の信号レベルがBとなる例で示したが、左の基準の信号レベルがB、右の基準の信号レベルがWとなるエッジ画像を用いても同様の手法で測定できる。
これによって、エッジ広がり量測定手段13は、基準白Wと基準黒Bとの間で、異なる明度の範囲をエッジの広がり(画素数)として特定することができる。
ここでは、エッジ広がり量測定手段13は、ROI(垂直エッジ画像)のすべてのラインでエッジの広がりを特定しその総和または平均を求めることでエッジ広がり量としてもよい。なお、エッジ広がり量は、少なくとも1ラインで測定したエッジの広がりとしてもよいが、ノイズ等の影響を考慮して、統計量(エッジ広がりの総和、平均)を用いることが好ましい。
なお、ROIで特定される画像が垂直エッジ画像(図2(a))であるか水平垂直エッジ画像(図2(b))であるかは、予め外部から設定されることとしてもよいし、ROIの水平画素数、垂直画素数の大きさによって、エッジ広がり量測定手段13が判別することとしてもよい。
図1に戻って、MTF測定装置1の構成について説明を続ける。
このMTF算出手段15は、一般的なSlanted−edge法を用いて、ROI(エッジ画像)から、MTFを算出する。すなわち、MTF算出手段15は、エッジ画像からエッジの特性を示すエッジプロファイルを生成し、エッジプロファイルを微分することで、線広がり関数(LSF)を求め、LSFをフーリエ変換することでMTFを求める。
なお、MTF測定装置1は、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラム(MTF測定プログラム)で動作させることができる。
次に、図5を参照(構成については、適宜図1参照)して、本発明の第1実施形態に係るMTF測定装置1の動作について説明する。
まず、MTF測定装置1は、ROI特定手段11によって、MTF測定領域を特定するROI特定情報を入力する(ステップS1)。ここでは、MTF測定装置1は、カメラ2が撮像したテストチャートCの撮像画像上で指定された矩形領域(ROI)を特定するROI特定情報(例えば、対角点の座標)を入力する。
そして、MTF測定装置1は、ROI切り出し手段12によって、入力された映像から、ステップS1で入力されたROI特定情報で特定されるROIの領域をフレーム単位で切り出す(ステップS3)。
これによって、フォーカス位置の異なるフレーム(ROIの領域)が、順次、ROI切り出し手段12で切り出されることになる。
すなわち、MTF算出手段15は、フレーム選択手段14から出力される、ステップS5で選択したフレーム番号のROIで特定される画像からMTFを算出する。
[MTF測定装置の構成]
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るMTF測定装置1Bの構成について説明する。
MTF測定装置1Bは、カメラ2Bの空間周波数特性を表すMTFを測定するものである。MTF測定装置1Bは、MTF測定装置1(図1参照)と同様に、エッジ画像のエッジ広がり量によって、フォーカス位置を特定して、そのフォーカス位置で撮像されたROIでMTFを測定する。ただし、MTF測定装置1Bは、カメラ2Bのフォーカス位置を指定する機能を有する。
ここでは、MTF測定装置1Bは、被測定対象のカメラ2Bを接続している。
テストチャートCは、図1で説明したものと同一であるため、説明を省略する。
MTF測定装置1Bは、映像入力手段10Bと、ROI特定手段11と、ROI切り出し手段12と、エッジ広がり量測定手段13Bと、MTF算出手段15Bと、フォーカス位置選択手段16と、フォーカス位置指定手段17と、を備える。
ROI特定手段11およびROI切り出し手段12は、図1で説明したMTF測定装置1の構成と同じものであるため、説明を省略する。以下、映像入力手段10B、エッジ広がり量測定手段13B、フォーカス位置選択手段16、フォーカス位置指定手段17、MTF算出手段15Bの順に説明する。
このとき、映像入力手段10Bは、フレームを、フォーカス位置と対応付けてROI切り出し手段12に出力する。
なお、フォーカス位置選択手段16は、操作者によるフォーカス位置の移動が完了した後に動作することとする。例えば、フォーカス位置選択手段16は、操作者によるフォーカス位置の移動後、外部から操作者によって指示されることで動作する。
なお、MTF算出手段15BにおけるMTFの算出手法は、MTF算出手段15(図1参照)と同様に、一般的なSlanted−edge法を用いればよい。
ここで、フォーカス位置指定手段17によって指定されたフォーカス位置にフォーカス調整後、フォーカスを動かしていない状態でエッジ広がり量に変化がないため、MTF算出手段15Bは、フォーカス調整後のいずれかのフレームをMTF測定対象フレームとする。
さらに、MTF測定装置1Bは、フォーカスの合った状態でフォーカス位置を固定してMTFを測定するため、動画像のフレームレートに依存する1フレーム期間内での、フォーカスリングの移動に伴う動きぼけがなく、精度よくMTFを測定することができる。
なお、MTF測定装置1Bは、図示を省略したコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラム(MTF測定プログラム)で動作させることができる。
次に、図7を参照(構成については、適宜図6参照)して、本発明の第2実施形態に係るMTF測定装置1Bの動作について説明する。
まず、MTF測定装置1Bは、ROI特定手段11によって、MTF測定領域を特定するROI特定情報を入力する(ステップS10)。
そして、MTF測定装置1Bは、ROI切り出し手段12によって、入力された映像から、ステップS10で入力されたROI特定情報で特定されるROIの領域をフレーム単位で切り出す(ステップS12)。
これによって、フォーカス位置の異なるフレーム(ROIの領域)が、順次、ROI切り出し手段12で切り出されることになる。
そして、MTF測定装置1Bは、ROI切り出し手段12によって、入力された映像から、ステップS10で入力されたROI特定情報で特定されるROIの領域をフレーム単位で切り出す(ステップS17)。
以上、本発明の実施形態に係るMTF測定装置1,1Bの構成および動作について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
ここでは、MTF測定装置1,1Bは、フォーカスを動かしてカメラ2,2Bが撮像したテストチャートCの映像(動画像)を入力した。しかし、フォーカス位置を動かす対象をテストチャートCとしてもよい。例えば、テストチャートCを印刷あるいは貼付した金属板、ガラス板等を垂直に固定し、カメラ2,2Bの光軸方向に移動させるXステージを用いてもよい。この場合、カメラ2Bはフォーカス位置を出力する機能や、フォーカス位置にフォーカスを合わせる機能を有する必要はなく、Xステージがその機能を有することになる。これによって、カメラ2,2Bのフォーカスリングよりもフォーカス位置を微細に調整することができる。
また、ここでは、テストチャートCとして、垂直または水平方向の周波数特性を測定する単方向のエッジを有するチャートを用いた。しかし、テストチャートCは、例えば、特開2010−237177号公報に記載のような複数の方向にエッジ(直線)を有する多方向MTF測定用チャートを用いてもよい。
その場合、ROI特定手段11は、多方向MTF測定用チャートを撮像した画像から複数のROIを特定することとする。そして、エッジ広がり量測定手段13,13Bは、複数のROIごとにエッジ広がり量を測定する。なお、エッジの方向によって、ROIを斜めに傾けて設定する場合、エッジ広がり量測定手段13,13Bは、そのROIの画像をその傾きに応じて回転させてから、エッジ広がり量を測定すればよい。
これによって、撮像する多方向MTF測定用チャートがカメラ2,2Bの光軸に対してあおりが発生している場合でも、個々のROIで最適なフォーカス位置のフレームを用いて、精度よくMTFを算出することができる。
また、ここでは、ROI切り出し手段12で逐次ROIを切り出すこととしたが、ROIを含んだ連続するフレームをそのまま記憶して、フレーム内のROIの領域でMTFを測定することとしてもよい。
また、ここでは、測定したMTFをそのまま外部に出力することとした。しかし、MTF測定装置1,1Bは、MTF算出手段15,15Bの後段にグラフ生成手段を備える構成としてもよい。
このグラフ生成手段は、例えば、横軸に周波数、縦軸にMTFをとった座標上にMTF算出手段15,15Bで算出した空間周波数ごとのMTFをプロットすることで、視覚化可能なグラフを生成する。このグラフ生成手段が、生成したグラフを表示装置に出力することで、操作者がカメラ2,2BのMTFの解析結果を視認することができる。
また、ここでは、エッジ広がり量測定手段13,13Bで、隣接画素間の明度差が予め定めた明度差を超える画素の明度を、明部と暗部との間の明度と判定して、エッジ広がり量を測定することとした。
しかし、ROIに含まれる画素の中で、明度の信号レベルWと暗部の信号レベルBとの間の予め定めた範囲の明度を持つ画素数を数えることで、エッジの広がり量を測定してもよい。この場合、明部の信号レベルWや暗部の信号レベルBは、隣接画素間の明度差が予め定めた明度差を超えない画素の信号レベルの平均値から求めてもよいし、予め映像信号レベルから測定して手動で設定しておいてもよい。
10 映像入力手段
11 ROI特定手段
12 ROI切り出し手段
13 エッジ広がり量測定手段
14 フレーム選択手段
15 MTF算出手段
16 フォーカス位置選択手段
17 フォーカス位置指定手段
18 フレーム記憶手段
2 カメラ
20 フォーカスレンズ
21 駆動部
C テストチャート(MTF測定用チャート)
Claims (6)
- カメラの撮像素子に対して垂直方向または水平方向から所定角度傾いた境界が直線となる白黒パターンを撮像して、前記カメラの空間周波数特性を表すMTFを測定するMTF測定装置であって、
フォーカス位置を動かして前記カメラが前記白黒パターンを撮像した複数のフレームにおいて、エッジを含む所定領域で、明部と暗部との間の明度となる画素数をエッジ広がり量として測定するエッジ広がり量測定手段と、
前記複数のフレームにおいて、前記エッジ広がり量測定手段で測定されたエッジ広がり量が最小のフレームを選択するフレーム選択手段と、
このフレーム選択手段で選択されたフレームにおいて、前記所定領域のMTFを算出するMTF算出手段と、
を備えることを特徴とするMTF測定装置。 - カメラの撮像素子に対して垂直方向または水平方向から所定角度傾いた境界が直線となる白黒パターンを撮像して、前記カメラの空間周波数特性を表すMTFを測定するMTF測定装置であって、
フォーカス位置を動かして前記カメラが前記白黒パターンを撮像した複数のフレームにおいて、エッジを含む所定領域で、明部と暗部との間の明度となる画素数をエッジ広がり量として測定するエッジ広がり量測定手段と、
前記複数のフレームにおいて、前記エッジ広がり量測定手段で測定されたエッジ広がり量が最小のフレームを撮像したフォーカス位置を選択するフォーカス位置選択手段と、
前記カメラのフォーカス位置を前記フォーカス位置選択手段で選択されたフォーカス位置に固定して撮像したフレームを入力し、当該フレームにおいて、前記所定領域のMTFを算出するMTF算出手段と、
を備えることを特徴とするMTF測定装置。 - 前記エッジ広がり量測定手段は、
前記所定領域の画像が水平方向で明度が異なるエッジ画像の場合、前記所定領域のすべてのラインごとの前記明部と前記暗部との間の明度となる画素数の総和または平均を、前記エッジ広がり量として測定し、
前記所定領域の画像が垂直方向で明度が異なるエッジ画像の場合、前記所定領域のすべてのカラムごとの前記明部と前記暗部との間の明度となる画素数の総和または平均を、前記エッジ広がり量として測定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のMTF測定装置。 - 前記エッジ広がり量測定手段は、隣接画素間の明度差が予め定めた明度差を超える画素の明度を、前記明部と前記暗部との間の明度と判定して、前記エッジ広がり量を測定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のMTF測定装置。
- 前記エッジ広がり量測定手段は、前記所定領域において、前記明部と前記暗部との間の予め定めた範囲の明度を持つ画素の総数を前記エッジ広がり量として測定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のMTF測定装置。
- コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のMTF測定装置の各手段として機能させるためのMTF測定プログラム。
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