JP6738165B2 - 機械部品、ムーブメントおよび時計 - Google Patents

機械部品、ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Description

本発明は、機械部品、ムーブメントおよび時計に関する。
従来、軽量化のため、シリコンを用いた機械構造部品が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この機械構造部品は、例えばシリコン基材とその表面を覆う合金層とを有する。この機械構造部品は、機械的強度を高めるために、シリコン基材を合金層で覆い、しかも加熱によってシリコン基材の表面を結晶性がない構造としている。
特開2009−79234号公報
しかしながら、前記機械構造部品は、合金層とシリコン基材との熱膨張率差によって合金層に応力が生じやすく、これが破損の原因となる可能性がある。そのため、信頼性の高い機械部品が要望されていた。
本発明の一態様は、信頼性の高い機械部品、ムーブメントおよび時計を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様は、板状の基材と、前記基材の第1主面に設けられた第1金属層と、前記基材の第1主面とは反対の第2主面に設けられた第2金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層とを接続する接続層と、を備え、前記基材は、前記第1主面から前記第2主面にかけて形成された複数の貫通孔を有し、前記接続層の少なくとも一部は、前記貫通孔内に形成され、前記第1金属層および前記第2金属層は、前記第1主面および前記第2主面のうち、前記基材の外縁部の少なくとも一部を含む接触部を除いた領域に形成されている、機械部品を提供する。
この構成によれば、第1金属層と第2金属層とを接続する接続層が複数の貫通孔内に形成されているため、基材と金属層との一体性を高め、機械的強度を向上させることができる。よって、信頼性に優れた機械部品が得られる。
前記構成によれば、基材に軽量の材料(例えばシリコン)を用いることによって全体を軽量化することができる。そのため、機械的強度の向上および軽量化が可能となり、エネルギーロスを少なくして伝達効率を改善することができる。また、基材に貫通孔が形成されているため、落下等により衝撃が加えられることなどにより基材に割れが生じた場合にも割れが大きく広がることがない。そのため、機械部品の耐久性を高めることができる。さらに、接触部には金属層が形成されていないため、基材に硬度の高い材料(例えばシリコン)を用いれば、接触部の摩耗を抑制でき、注油量を低減することができる。
前記構成によれば、機械的強度を十分に高めることができるため、高温の加熱処理は不要であり、金属層と基材との熱膨張率差による応力の問題は生じない。また、高温の加熱処理は不要であるため、量産性の点でも優れている。
(2)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記複数の貫通孔のうち一部が前記接触部に形成されている機械部品を提供する。
この構成によれば、貫通孔の内部にも潤滑油を保持することができるため、潤滑油の保持量を多くすることができる。
(3)本発明の一態様は、前記機械部品において、前記貫通孔内に形成された前記接続層が前記貫通孔を閉塞するように形成されている機械部品を提供する。
この構成によれば、基材の両面の金属層間の接続強度をさらに高めることができる。よって、機械部品の機械的強度を高めることができる。
(4)本発明の一態様は、第1主面から前記第1主面とは反対の第2主面にかけて形成された複数の貫通孔を有する板状の基材を作製する工程と、前記第1主面および前記第2主面のうち、前記基材の外縁部の少なくとも一部である接触部を覆うマスクを形成する工程と、前記第1主面および前記第2主面にそれぞれ第1金属層および第2金属層を形成するとともに、前記貫通孔内に前記第1金属層と前記第2金属層とを接続する接続層を形成する工程と、前記マスクを除去する工程と、を含む機械部品の製造方法を提供する。
この方法によれば、容易な操作で、機械的強度に優れ、信頼性の高い機械部品を作製することができる。
(5)本発明の一態様は、前記機械部品を備えたムーブメントを提供する。
この構成によれば、前記機械部品を備えているため、信頼性に優れたムーブメントが得られる。
(6)本発明の一態様は、前記ムーブメントを備えた時計を提供する。
この構成によれば、前記機械部品を備えているため、信頼性に優れた時計が得られる。
本発明の一態様によれば、第1金属層と第2金属層とを接続する接続層が複数の貫通孔内に形成されているため、基材と金属層との一体性を高め、機械的強度を向上させることができる。よって、信頼性に優れた機械部品が得られる。
第1実施形態の時計用部品を示す平面図および拡大図である。 図1の時計用部品の貫通孔を示す断面図である。 図1の時計用部品の接触部を示す断面図である。 図1の時計用部品の接触部に潤滑油が付着した状態の一例を示す断面図である。 図1の時計用部品の接触部に潤滑油が付着した状態の他の例を示す断面図である。 基材を示す平面図および拡大図である。 前図の基材の貫通孔を示す断面図である。 第2実施形態の時計用部品の製造方法を示す工程図である。 前図に続く工程図である。 第2実施形態の時計用部品を示す平面図である。 前図に示す時計用部品の断面図である。 第3実施形態の時計用部品の製造方法を示す工程図である。 前図に続く工程図である。 前図に続く工程図である。 前図に続く工程図である。 第1実施形態の時計用部品の第1変形例を示す平面図である。 第1実施形態の時計用部品の第2変形例を示す平面図である。 第1実施形態の時計用部品の第3変形例を示す平面図である。 第1実施形態の時計用部品の第4および第5変形例を示す平面図である。 コンプリートの平面図である。 ムーブメント表側の平面図である。
[時計用部品](第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る時計用部品10(機械部品)について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は時計用部品10を示す平面図および拡大図である。図2は時計用部品10の貫通孔5を示す断面図である。図2は図1のI−I線に沿う断面図である。図3は時計用部品10の接触部6を示す断面図である。図3は図1のII−II線に沿う断面図である。なお、平面視とは、時計用部品10の厚さ方向に平行に見ることをいう。
図1〜図3に示すように、時計用部品10は、基材1と、第1金属層2と、第2金属層3と、接続層4とを備えている。ここに例示する時計用部品10は、がんぎ車である。
基材1は、特に限定されないが、シリコン、樹脂などの非金属材料からなることが好ましい。なかでも特に、シリコンが好ましい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、および非晶質シリコンなどがある。
樹脂としては、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドチック、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、AS樹脂などが使用できる。樹脂には、ガラス繊維、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム等の強化繊維、構造強化物が含まれていてもよい。
図1および図2に示すように、基材1は板状に形成されている。基材1の一方の面(図2の上面)を第1主面1aという。基材1の他方の面(第1主面1aとは反対の面。図2の下面)を第2主面1bという。
基材1は、主部11と、主部11の外周縁から外側に向かって突出された複数の歯部12とを備えている。歯部12の先端部13は、アンクルの爪石部(図18参照)が係止可能な凸部13aを有する。
図3に示すように、先端部13は、基材1の外縁部1cの少なくとも一部を含む部分であり、他の機械部品(アンクル。図18参照)に接触可能な箇所を含む接触部6である。接触部6の主面6aは第1主面1a側の面であり、主面6bは第2主面1b側の面である。
図1に示すように、基材1は、複数の貫通孔5を有する。貫通孔5の断面形状(第1主面1aに平行な断面の形状)は、例えば円形とすることができる。なお、貫通孔5の断面形状は特に限定されず、楕円形、多角形、不定形などであってよい。
貫通孔5の内径は、例えば0.1μm〜100μmとすることができる。複数の貫通孔5は、平面視において基材1の全領域にわたって均等に分散して形成されていることが好ましい。
第1主面1aの面積あたりの貫通孔5の数は、例えば101〜106個/mm2である。貫通孔5の数をこの範囲とすることによって、時計用部品10の機械的強度を高めることができる。
図2に示すように、貫通孔5は、基材1の第1主面1aから第2主面1bにかけて形成されている。貫通孔5は、例えば第1主面1aおよび第2主面1bに対して垂直な方向に形成されている。なお、貫通孔5の形成方向は、第1主面1aおよび第2主面1bに対して垂直でなくてもよい。
第1金属層2および第2金属層3は、それぞれ基材1の第1主面1aおよび第2主面1bに設けられる。
第1金属層2および第2金属層3は金属材料からなる。金属材料としては、例えば、Cu、Cr、Ni、Fe、Ag、Zn、Pd、Au、Ti、Al、W、Ptおよびそれらの合金のうち1または2以上を挙げることができる。
第1金属層2および第2金属層3の厚さは、例えば0.1〜200μmとすることができる。
第1金属層2および第2金属層3は、第1主面1aおよび第2主面1bのうち、接触部6(歯部12の先端部13)を除いた領域の全域に形成されている。
アンクル(図示略)と接触する箇所を含む接触部6は、第1金属層2および第2金属層3が形成されないため、基材1が露出している。基材1に硬度の高い材料(例えばシリコン)を用いれば、接触部6の摩耗を抑制できるため、注油量を低減することができる。
図3に示すように、歯部12には、金属層2,3の外縁2a,3aの側面と接触部6の主面6a,6bとによって、段部15,15が形成されている。段部15,15には、主面6a,6bと、主面6a,6bから立ち上がる外縁2a,3aの側面とによって空間16,16が確保されている。
図4に示すように、空間16,16に、潤滑油20を保持することができる。潤滑油20としては、精密機械用油が使用でき、例えばいわゆる時計油が好ましい。
図5に示すように、複数の貫通孔5のうち少なくとも一部は、接触部6に形成されていてもよい。その場合には、貫通孔5の内部にも潤滑油20を保持することができるため、潤滑油20の保持量を多くすることができる。
図2に示すように、接続層4は、第1金属層2と第2金属層3とを接続する層であって、金属材料からなる。金属材料としては、例えば、Cu、Cr、Ni、Fe、Ag、Zn、Pd、Au、Ti、Al、W、Ptおよびそれらの合金のうち1または2以上を挙げることができる。接続層4は、金属層2,3と同じ材料で形成されていてもよい。
接続層4の少なくとも一部は、貫通孔5の内面に形成されている。接続層4の厚さは、例えば0.05μm〜50μmとすることができる。貫通孔5の内面に形成された接続層4は、貫通孔5の形成方向(基材1の厚さ方向)の一端が第1金属層2に接続され、他端が第2金属層3に接続されている。接続層4は、第1金属層2および第2金属層3に一体化されていることが好ましい。接続層4は貫通孔5の内面に全周にわたって形成されているのが好ましい。図2に示す接続層4は、貫通孔5内に空間を残して形成されているが、接続層4は貫通孔5を満たして(閉塞して)形成されていてもよい。
なお、接続層は、貫通孔5内だけでなく例えば主部11の外周面等にも形成されていてもよい。
[時計用部品の製造方法](第1実施形態)
第1実施形態の時計用部品の製造方法について、図1、図2、図6および図7を参照して説明する。
(第1工程:基材の作製)
図6および図7に示すように、例えば、シリコンなどからなる母材から、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術(例えばフォトリソグラフィ、ドライエッチング等)によって、貫通孔5を有する基材1を作製する。
(第2工程:金属層および接続層の形成)
図1および図2に示すように、基材1の主面1a,1bのうち接触部6を除く領域に第1金属層2および第2金属層3を形成するとともに、貫通孔5の内面に接続層4を形成する。金属層2,3および接続層4は、例えば金属ナノ粒子を用いて3Dプリンタにより形成した層を焼成する方法によって形成することができる。
これによって、時計用部品10を得る。
[時計用部品の製造方法](第2実施形態)
時計用部品10の製造には、次の方法を採用してもよい。以下、第2実施形態の時計用部品の製造方法について、図1、図2、図6〜図9を参照して説明する。
(第1工程:基材の作製)
図6および図7に示すように、例えば、シリコンなどからなる母材から、MEMS技術によって、貫通孔5を有する基材1を作製する。
(第2工程:マスクの形成)
図8に示すように、接触部6を覆うレジスト21(マスク)を形成する。
(第3工程:金属層および接続層の形成)
図9に示すように、めっき(例えば無電解めっき)、スパッタリング、蒸着、CVD法などによって、基材1の主面1a,1bの全面に第1金属層2および第2金属層3を形成するとともに、貫通孔5の内面に接続層4を形成する(図2参照)。
(第4工程:マスクの除去)
図1および図2に示すように、レジスト21(マスク)を基材1から除去し、接触部6を露出させる。
これによって、時計用部品10を得る。
時計用部品10は、第1金属層2と第2金属層3とを接続する接続層4が複数の貫通孔5内に形成されているため、基材1と金属層2,3との一体性を高め、機械的強度を向上させることができる。よって、信頼性に優れた時計用部品10が得られる。
時計用部品10は、基材1に軽量の材料(例えばシリコン)を用いることによって全体を軽量化することができる。そのため、機械的強度の向上および軽量化が可能となり、エネルギーロスを少なくして伝達効率を改善することができる。
また、基材1に貫通孔5が形成されているため、落下等により衝撃が加えられることなどにより基材1に割れが生じた場合にも割れが大きく広がることがない。そのため、時計用部品10の耐久性を高めることができる。
さらに、接触部6には金属層2,3が形成されていないため、基材1に硬度の高い材料(例えばシリコン)を用いれば、接触部6の摩耗を抑制でき、注油量を低減することができる。
時計用部品10は、機械的強度を十分に高めることができるため、高温の加熱処理は不要であり、金属層2,3と基材1との熱膨張率差による応力の問題は生じない。高温の加熱処理は不要であるため、量産性の点でも優れている。
前述の製造方法によれば、容易な操作で機械的強度に優れた時計用部品10を作製することができる。
[時計用部品](第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る時計用部品10A(機械部品)について、図10および図11を参照して説明する。
図10は時計用部品10Aを示す平面図である。図11は時計用部品10の貫通孔5を示す断面図である。
図10および図11に示すように、時計用部品10Aは、図1および図2に示す時計用部品10の構成に加えて、第1積層金属層22と、第2積層金属層23と、接続層24とを備えている点で、時計用部品10と異なる。
第1積層金属層22は第1金属層2の外面に形成されている。第2積層金属層23は第2金属層3の外面に形成されている。
第1積層金属層22および第2積層金属層23は金属材料からなる。金属材料としては、例えば、Cu、Cr、Ni、Fe、Ag、Zn、Pd、Au、Ti、Al、W、Ptおよびそれらの合金のうち1または2以上を挙げることができる。
第1積層金属層22および第2積層金属層23の厚さは、例えば0.1〜200μmとすることができる。
接続層24は、貫通孔5内の接続層4の内側に形成されている。接続層24は貫通孔5を閉塞して形成することができる。
接続層24は、金属材料からなる。金属材料としては、例えば、Cu、Cr、Ni、Fe、Ag、Zn、Pd、Au、Ti、Al、W、Ptおよびそれらの合金のうち1または2以上を挙げることができる。接続層24は、金属層22,23と同じ材料で形成されていてもよい。
[時計用部品の製造方法](第3実施形態)
第3実施形態の時計用部品の製造方法について、図6、図7、図10〜図15を参照して説明する。
(第1工程:基材の作製)
図6および図7に示すように、例えば、シリコンなどからなる母材から、MEMS技術によって、貫通孔5を有する基材1を作製する。
(第2工程:金属層および接続層の形成)
図12に示すように、めっき(例えば無電解めっき)、スパッタリング、蒸着、CVD法などによって、基材1の主面1a,1bの全面に第1金属層2および第2金属層3を形成するとともに、貫通孔5の内面に接続層4を形成する(図2参照)。
(第3工程:マスクの形成)
図13に示すように、接触部6に相当する金属層2,3を覆うレジスト25(マスク)を形成する。
(第4工程:積層金属層および接続層の形成)
図14に示すように、めっきなどにより、金属層2,3の外面に第1積層金属層22および第2積層金属層23を形成するとともに、貫通孔5内に接続層24を形成する(図11参照)。
(第5工程:マスクの除去)
図15に示すように、レジスト25(マスク)を基材1から除去し、接触部6表面の金属層2,3を露出させる。
(第6工程:マスクの除去)
図10および図11に示すように、接触部6の金属層2,3を除去し、接触部6を露出させる。
これによって、時計用部品10Aを得る。
時計用部品10Aでは、貫通孔5内に接続層24が形成されているため、基材1の両面の金属層間の接続強度を高めることができる。また、金属層2,3の外面に積層金属層22,23が形成されているため、基材1の両面の金属層に十分な厚みを与え、その機械的強度を高めることができる。よって、信頼性に優れた時計用部品10Aが得られる。
また、接続層24を、貫通孔5を閉塞して形成することによって、基材1の両面の金属層2,22と金属層3,23の間の接続強度をさらに高めることができる。よって、時計用部品10Aの機械的強度を高めることができる。
時計用部品10Aでは、第1実施形態の時計用部品10と同様に、機械的強度の向上および軽量化が可能となるため、エネルギーロスを少なくし、伝達効率を改善することができる。また、貫通孔5が形成されているため、時計用部品10Aの耐久性を高めることができる。
さらに、接触部6には金属層2,3,22,23が形成されていないため、基材1に硬度の高い材料(例えばシリコン)を用いれば、接触部6の摩耗を抑制でき、注油量を低減することができる。
前述の製造方法によれば、容易な操作で機械的強度に優れた時計用部品10Aを作製することができる。
[時計用部品](時計用部品10の第1変形例)
図16に、時計用部品10の第1変形例である時計用部品10Bを示す。
時計用部品10Bは、円板状の主部31と、主部31の外周縁に径方向外方に向かって突出するように形成された複数の歯32とを有する歯車である。歯31は、隣接する歯車(図示略)の歯と噛合可能である。
時計用部品10Bの基材1Bの外縁部1Bcを含む部分である接触部33を除いて、主部31の基材1B両面にはそれぞれ金属層2,3が形成されている。
[時計用部品](時計用部品10の第2変形例)
図17に、時計用部品10の第2変形例である時計用部品10Cを示す。
時計用部品10Cは、主部34が、環状のリム部35と、リム部35の内側の環状のハブ部36と、リム部35とハブ部36とを連結する複数のスポーク部37とを有する。歯32は、リム部35の外周縁に形成されている。
時計用部品10Cの基材1Cの外縁部1Ccを含む部分である接触部33を除いて、主部34の基材1C両面にはそれぞれ金属層2,3が形成されている。
[時計用部品](時計用部品10の第3変形例)
図18に、時計用部品10の第3変形例である時計用部品10Dを示す。
時計用部品10Dは、時計用部品10(がんぎ車)を脱進させて規則正しく回転させるアンクルである。
時計用部品10Dは、3つのアンクルビーム38によってT字状に形成されたアンクル体39と、アンクル真40と、を備え、アンクル真40によってアンクル体39が回動可能に構成されている。
3つのアンクルビーム38のうち2つのアンクルビーム38A,38Bの先端には、爪石部41が突出形成されている。爪石部41は時計用部品10(がんぎ車)の歯部12の先端部13に係止可能である。残りの1つのアンクルビーム38であるアンクルビーム38Cの先端には、クワガタ42が形成されている。
時計用部品10Dは、爪石部41の先端縁部は、金属層2,3がない接触部44である。アンクルビーム38Cの先端縁部およびクワガタ42の内縁部は、金属層2,3がない接触部45である。時計用部品10Dの基材1Dの両面のうち接触部44,45を除く部分にはそれぞれ金属層2,3が形成されている。
[時計用部品](時計用部品10の第4および第5変形例)
図19に、時計用部品10の第4変形例である時計用部品10Eと、第5変形例である時計用部品10Fとを示す。
時計用部品10Eは、アンクルであって、アンクルビーム38A,38Cに、アンクルビーム38A,38Cの長さ方向に沿って中空部46,47が形成されたこと以外は図18に示す時計用部品10Dと同じ構造である。時計用部品10Eの基材1Eの両面のうち接触部44,45を除く部分にはそれぞれ金属層2,3が形成されている。
時計用部品10Fは、主部48が、環状のリム部49と、環状のハブ部50と、リム部49とハブ部50とを連結するスポーク部51とを有すること以外は図1に示す時計用部品10と同じ構造である。時計用部品10Fの基材1Fの両面のうち接触部6を除く部分にはそれぞれ金属層2,3が形成されている。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースの風防のある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「文字板側」と称する。
地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。以下、図面を参照して、本発明に係るムーブメントおよび時計の一実施形態について説明する。なお、参照する図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図20は、コンプリートの平面図である。
図20に示すように、時計200のコンプリート200aは、時に関する情報を示す目盛り201などをもつ文字板202と、時を示す時針203a、分を示す分針203bおよび秒を示す秒針203cを含む針203と、を備えている。
図21は、ムーブメント表側の平面図である。なお、図21では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略している。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、地板102と香箱受160との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、地板102と輪列受162との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針203b(図20参照)が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針203a(図20参照)が「時」を表示するようになっている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142およびてんわ82で構成されている。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんわ82は、軸部材81を中心として一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
ムーブメント100においては、表輪列の歯車、がんぎ車130、アンクル142などに、実施形態の時計用部品の構造を採用することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
1,1B,1C,1D,1E,1F…基材
1a…第1主面
1b…第2主面
1c,1Bc,1Cc…外縁部
2…第1金属層
3…第2金属層
4,24…接続層
5…貫通孔
6,33,44,45…接触部
10,10A〜10F…時計用部品(機械部品)
21,25…レジスト(マスク)

Claims (6)

  1. 板状の基材と、前記基材の第1主面に設けられた第1金属層と、前記基材の第1主面とは反対の第2主面に設けられた第2金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層とを接続する接続層と、を備え、
    前記基材は、前記第1主面から前記第2主面にかけて形成された複数の貫通孔を有し、
    前記接続層の少なくとも一部は、前記貫通孔内に形成され、
    前記第1金属層および前記第2金属層は、前記第1主面および前記第2主面のうち、前記基材の外縁部の少なくとも一部を含む接触部を除いた領域に形成されている、機械部品。
  2. 前記複数の貫通孔のうち一部は、前記接触部に形成されている、請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記貫通孔内に形成された前記接続層は、前記貫通孔を閉塞するように形成されている、請求項1または2に記載の機械部品。
  4. 第1主面から前記第1主面とは反対の第2主面にかけて形成された複数の貫通孔を有する板状の基材を作製する工程と、
    前記第1主面および前記第2主面のうち、前記基材の外縁部の少なくとも一部である接触部を覆うマスクを形成する工程と、
    前記第1主面および前記第2主面にそれぞれ第1金属層および第2金属層を形成するとともに、前記貫通孔内に前記第1金属層と前記第2金属層とを接続する接続層を形成する工程と、
    前記マスクを除去する工程と、を含む、機械部品の製造方法。
  5. 請求項1〜のうちいずれか1項に記載の機械部品を備えた、ムーブメント。
  6. 請求項5に記載のムーブメントを備えた、時計。
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