JP6737571B2 - 吸水性樹脂及び吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、吸水性樹脂及び吸収性物品に関し、より詳しくは、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁用パッド等の衛生材料に好適に用いられる吸収体を構成する吸水性樹脂及びそれを用いてなる吸収性物品に関する。
吸水性樹脂は、近年、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁用パッド等の衛生材料の分野に広く使用されている。
このような吸水性樹脂としては、アクリル酸部分中和塩重合体架橋物が、優れた吸水能を有するとともに、その原料であるアクリル酸の工業的な入手が容易であるため、品質が一定で且つ安価に製造でき、しかも腐敗や劣化がおこりにくい等の数々の利点を有することから、好ましい吸水性樹脂であるとされている。
一方、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁用パッド等の吸収性物品は、主として中心部に配された、身体から***される尿、経血等の体液を吸収、保持する吸収体と、身体に接する側に配された液透過性の表面シート(トップシート)と、身体と接する反対側に配された液不透過性の裏面シート(バックシート)から構成されている。また、吸収体は、パルプ等の親水性繊維と吸水性樹脂とから構成されている。
近年、デザイン性、携帯時における利便性、流通時における効率等の観点から、吸収性物品の薄型化、軽量化に対する要求は高まっている。さらに、環境保全の観点から、資源を有効に利用し、樹木のような成長に長期間を要する天然素材の使用を極力回避する、いわゆるエコ・フレンドリーな志向にニーズが集まっている。従来、吸収性物品において一般的に行われている薄型化のための方法としては、例えば、吸収体中の吸水性樹脂を固定する役割である木材の解砕パルプ等の親水性繊維を減らし、吸水性樹脂を増加させる方法があった。
親水性繊維の比率を低くし、吸水性樹脂を多量に使用した吸収体は、嵩高い親水性繊維を減らし、液体を保持するという観点からは薄型化に好ましい。しかしながら、例えば薄型化した吸収性物品を着用した乳児が座った状態のように、吸水性樹脂を含む吸収体に変形や圧力等により荷重がかかった場合では、被吸収液の逆戻り(液戻り)を十分に防ぐことができない場合がある。さらに、このような吸収性物品の場合では、複数回の排尿に耐えられるものではなくなり、着用者に対して不快感をもたらす場合もある。
また、多量の吸水性樹脂が液体の吸収によって柔らかいゲル状になり、さらにこのゲルに荷重がかかった場合には、いわゆる「ゲルブロッキング現象」が発生し、液拡散性が格段に低下し、吸収体の液体の浸透速度が遅くなる場合がある。この「ゲルブロッキング現象」とは、特に吸水性樹脂が多く密集した吸収体が液体を吸収する際に、表層付近に存在する吸水性樹脂が液体を吸収し、表層付近で柔らかいゲルができ、このゲルが密になることで、吸収体内部への液体の浸透が妨げられ、内部の吸水性樹脂が効率よく液体を吸収できなくなる現象のことである。
そのため、これまでにも親水性繊維を減らし、吸水性樹脂を多量に使用した際に発生する問題を防ぐ手段として、例えば、特定の食塩水流れ誘導性、圧力下性能等を有するヒドロゲル吸収性重合体を使用する方法(特許文献1参照)、特定の吸水性樹脂前駆体に特定の表面架橋剤を加熱処理した吸水性樹脂を用いる方法(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、吸水性樹脂を多量に使用した吸収体としての吸収性能を必ずしも満足させるものではなく、また被吸収液を捕捉できずに液漏れが発生するといった問題も生じる傾向にある。
特表平9−510889号公報 特開平8−57311号公報
本発明は、前述したような実情に鑑みて提案されたものであり、吸水性能に優れ、吸収体に使用した場合に荷重下での吸収性能を向上させることができる吸水性樹脂及びその吸水性樹脂を含む吸収体を用いた吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、吸水性樹脂の貯蔵弾性率と遠心保持率との積で表される吸収容量弾性指数が所定の値以上である吸水性樹脂を吸収性物品に用いれば、優れた荷重下での吸収性能を奏することを見出した。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、水溶性エチレン性不飽和単量体を内部架橋剤の存在下で重合させ、かつ後架橋剤で後架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が16mL/g以上であり、かつ当該吸水性樹脂全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が85質量%以上であり、さらに300〜400μmの粒子の質量割合が20質量%以上であり、下記式(I)で表される吸収容量弾性指数が68000以上であることを特徴とする吸水性樹脂である。
吸収容量弾性指数=貯蔵弾性率[Pa]×遠心保持率[g/g] ・・・(I)
(2)また本発明は、前記(1)に係る発明において、当該吸水性樹脂の300〜400μmの粒子を分級して測定したtanδが2.00×10−2以下である吸水性樹脂である。
(3)本発明は、前記(1)又は(2)に記載の吸水性樹脂を含む吸収体を用いてなる吸収性物品である。
本発明に係る吸収性樹脂は、荷重下での吸水性能に優れ、且つ液体の吸収時に適度な弾性を有するゲルを形成することができる。そのため、当該吸水性樹脂を用いた吸収体を含む吸収性物品は、変形や圧力等により荷重がかかった状態においても経時的な被吸収液の逆戻りを効果的に抑制し、優れた荷重下での吸収性能を発揮させることができる。
吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を測定するための装置の構成を示す概略構成図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
≪1.吸水性樹脂≫
本発明に係る吸水性樹脂は、以下に述べる性質を有する。
本発明に係る吸水性樹脂は、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が16mL/g以上であり、当該吸水性樹脂全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が85%質量以上であり、300〜400μmの粒子の質量割合が20質量%以上であり、下記式(I)で表され吸収容量弾性指数が68000以上である。
吸収容量弾性指数=貯蔵弾性率[Pa]×遠心保持率[g/g] ・・・(I)
吸水性樹脂の粒度分布については、全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が85質量%以上であり、90質量%以上であることがより好ましい。さらに、全体の割合に占める300〜400μmの粒子の質量割合が20質量%以上であり、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、吸水性樹脂の粒子は、各々が単一の粒子からなる形態のほかに、微細な粒子(一次粒子)が凝集した形態(二次粒子)であってもよい。一次粒子の形状としては、略球状、不定形破砕状、板状等が挙げられる。逆相懸濁重合によって製造される一次粒子である場合には、真球状、楕円球状等のような円滑な表面形状を有する略球状の単粒子形状が挙げられるが、このような形状の一次粒子は、表面形状が円滑であることにより、粉体としての流動性が高くなるうえ、凝集した粒子が密に充填されやすいために衝撃を受けても破壊されにくく、粒子強度が高い吸水性樹脂となる傾向がある。
また、本発明に係る吸水性樹脂は、中位粒子径が200〜600μmであることが好ましく、250〜500μmであることがより好ましく、300〜400μmであることがさらに好ましい。
そして、本発明に係る吸水性樹脂では、前述したように、前記式(I)で表される吸収容量弾性指数が68000以上であることを特徴としている。当該指数がより高い吸水性樹脂であれば、それに用いられた吸収性物品の荷重下での吸収性能(浸透速度、液体逆戻り量等)がより優れることを見出した。なお、吸収容量弾性指数は70000以上であることが好ましく、72000以上であることがより好ましく、74000以上であることがさらに好ましい。また、吸収容量弾性指数は、200000以下であることが好ましく、150000以下であることがより好ましく、100000以下であることがさらに好ましい。
ここで、「貯蔵弾性率」とは、吸水性樹脂の300〜400μmの分級サンプルを、生理食塩水により50倍膨潤させて作製した膨潤ゲルを、動的粘弾性測定装置を用いて測定した数値をいう。この貯蔵弾性率は、ゲルの応力に対するひずみの比、つまりゲルの保形性(変形のしにくさ)を示す指標となる。
また、「遠心保持率」とは、吸水性樹脂サンプルを生理食塩水により60分間攪拌下に膨潤(吸収)させ、さらに167Gの遠心力で1分間かけて脱水した後、その吸水性樹脂が自重の何倍の膨潤倍率を保持できるかを示したパラメータである。
本発明に係る吸水性樹脂では、前記式(I)で表される吸収容量弾性指数が68000以上であり、このような性質を有する吸水性樹脂では、高い遠心保持率を有しながら、適度な弾性を有するゲルが形成されることにより、それを用いた吸収体における、変形や圧力等による経時的な被吸収液の逆戻りを効果的に抑制することができる。例えば、この吸収性樹脂を用いて紙オムツ等の吸収性物品を形成した場合に、複数回の排尿にも極めて有利となり、着用者に対する不快感を低減させ、より快適な使用が可能である。また、ゲルブロッキング現象を抑制することができ、吸収性物品の荷重下での吸収性能を向上させることもできる。
さらに、本発明に係る吸水性樹脂では、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が16ml/g以上である。また、この4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は、18ml/g以上であることが好ましく、20ml/g以上であることがより好ましい。なお、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能は、50ml/g以下であることが好ましく、40ml/g以下であることがより好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂では、前述したように、300〜400μmの粒子を分級して測定したtanδが、2.00×10−2以下であることが好ましい。ここで、tanδの詳細は、例えば「高分子の粘弾性」(John D.Ferry著、祖父江寛監訳、村上譲吉、高橋正夫共訳、東京化学同人、1964年10月発行)に記載されている。
一般的に、粘弾性評価において、高分子材料は弾性成分と粘性成分とからなるモデルで表され、弾性成分は、衝撃エネルギーを反発エネルギーに変換する成分であり、後者は衝撃エネルギーを散逸エネルギーに変換する成分である。振動ひずみによる動的粘弾性測定においては、物理的に、複素弾性率G=G’+iG’’(iは虚数単位)が示される。ここで、G’(貯蔵弾性率)及びG’’(損失弾性率)は、それぞれ高分子材料の弾性成分及び粘性成分の大きさを表している。そして、tanδ(損失係数)=G’’/G’は、材料が変形する際に失われるエネルギーの指標となる。
本発明に係る吸水性樹脂では、「tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率」で表されるtanδが好ましくは2.00×10−2以下であることにより、高い貯蔵弾性率を示すことを意味し、液体を吸収した際に生じるゲルブロッキング現象も抑制することが可能である。なお、tanδは1.00×10−2以上であることがより好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂は、貯蔵弾性率が1000Pa以上であることが好ましく、より好ましくは1200Pa以上、さらに好ましくは1500Pa以上である。なお、貯蔵弾性率の上限値としては、10000Pa以下であることが好ましく、5000Pa以下であることがより好ましく、2500Pa以下であることがさらに好ましく、2000Pa以下であることがよりさらに好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂は、遠心保持率が30g/g以上であることが好ましい。遠心保持率は、吸水性樹脂の液体の吸収容量の度合いを表す。本発明に係る吸水性樹脂においては、遠心保持率が好ましくは30g/g以上、より好ましくは36g/g以上、さらに好ましくは38g/g以上、よりさらに好ましくは40g/g以上である。なお、遠心保持率の上限値としては、60g/g以下程度であることが好ましく、55g/g以下であることがより好ましく、50g/g以下であることがさらに好ましい。
前述した吸水性樹脂の、遠心保持率、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能、中位粒子径(粒度分布)、貯蔵弾性率及びtanδは、いずれも、後述する実施例に記載の測定方法によって測定することができる。
なお、得られた吸水性樹脂に、諸性能を付与するために、目的に応じた添加剤を配合して吸水性樹脂組成物とすることができる。このような添加剤としては、無機粉末、界面活性剤、酸化剤、還元剤、金属キレート剤、ラジカル連鎖禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、消臭剤等が挙げられる。例えば、吸水性樹脂100質量部に対し、無機粉末として0.05〜5質量部の非晶質シリカを添加することで、吸水性樹脂の流動性を向上させることができる。
≪2.吸水性樹脂の製造方法≫
本発明に係る吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を内部架橋剤の存在下で重合させることによって製造することができる。
水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法は、代表的な重合法である水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法等が用いられる。水溶液重合法では、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、必要に応じて攪拌しながら、加熱することにより重合が行われる。また、逆相懸濁重合法では、水溶性エチレン性不飽和単量体を、炭化水素分散媒中、攪拌下で加熱することにより重合が行われる。本発明においては、精密な重合反応制御と広範な粒子径の制御が可能な観点から逆相懸濁重合法が好ましい。
本発明に係る吸水性樹脂に関して、その製造方法の一例を、以下に説明する。
吸水性樹脂の製造方法の具体例として、水溶性エチレン性不飽和単量体を炭化水素分散媒中で逆相懸濁重合させて吸水性樹脂を製造する方法においては、内部架橋剤の存在下、少なくともアゾ系化合物と過酸化物との存在下において重合を行う工程と、重合で得られた内部架橋構造を有する含水ゲル状物に後架橋剤で後架橋する工程とを有する。
<重合工程>
[水溶性エチレン性不飽和単量体]
水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては、「アクリ」及び「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様)及びその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体及びその4級化物等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体の中でも、工業的に入手が容易であること等の観点から、(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましく、(メタ)アクリル酸及びその塩がより好ましい。なお、これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
これらの中でも、アクリル酸及びその塩が吸水性樹脂の原材料として広く用いられており、これらアクリル酸部分中和塩に、前述の他の水溶性エチレン性不飽和単量体を共重合させて用いる場合もある。この場合、アクリル酸部分中和塩は、主となる水溶性エチレン性不飽和単量体として、総水溶性エチレン性不飽和単量体に対して70〜100モル%用いられることが好ましい。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶液の状態で炭化水素分散媒中に分散されて、逆相懸濁重合に供されるのが好ましい。水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶液とすることにより、炭化水素分散媒中での分散効率を上昇させることができる。この水溶液における水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度としては、20質量%〜飽和濃度以下の範囲であることが好ましい。また、水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度としては、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、45質量%以下であることがよりさらに好ましい。一方、水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度としては25質量%以上であることがより好ましく、28質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることがよりさらに好ましい。
水溶性エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、必要に応じてその酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されたものを用いてもよい。このようなアルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。また、これらのアルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いてもよい。なお、前述したアルカリ性中和剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
アルカリ性中和剤による水溶性エチレン性不飽和単量体の中和度としては、水溶性エチレン性不飽和単量体が有する全ての酸基に対する中和度として、10〜100モル%であることが好ましく、30〜90モル%であることがより好ましく、40〜85モル%であることがさらに好ましく、50〜80モル%であることがよりさらに好ましい。
[内部架橋剤]
内部架橋剤としては、使用する水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体を架橋できるものが挙げられ、例えば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同様〕、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のジオール、トリオール等のポリオール類と(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸エステル類又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N’’−トリアリルイソシアネート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、トリグリシジル化合物等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物等が挙げられる。これらの内部架橋剤の中でも、ポリグリシジル化合物を用いることが好ましく、ジグリシジルエーテル化合物を用いることがより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルを用いることが特に好ましい。これらの内部架橋剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
内部架橋剤の使用量としては、水溶性エチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.000001〜0.02モルであることが好ましく、0.00001〜0.01モルであることがより好ましく、0.00001〜0.005モルであることがさらに好ましく、0.00005〜0.002モルであることがよりさらに好ましい。
[炭化水素分散媒]
炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの炭化水素分散媒の中でも、特に、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており且つ安価である点で、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、炭化水素分散媒の混合物の例としては、エクソールヘプタン(エクソンモービル社製:ヘプタン及びその異性体の炭化水素75〜85質量%含有)等の市販品を用いても好適な結果を得ることができる。
炭化水素分散媒の使用量としては、水溶性エチレン性不飽和単量体を均一に分散し、重合温度の制御を容易にする観点から、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、100〜1500質量部であることが好ましく、200〜1400質量部であることがより好ましい。なお、後述するが、逆相懸濁重合は、1段(単段)もしくは2段以上の多段で行われ、前述した第1段目の重合とは、単段重合もしくは多段重合における1段目の重合反応を意味する(以下も同様)。
[分散安定剤]
(界面活性剤)
逆相懸濁重合では、水溶性エチレン性不飽和単量体の炭化水素分散媒中での分散安定性を向上させるために、分散安定剤を用いることもできる。その分散安定剤としては、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等を用いることができる。これらの界面活性剤の中でも、特に、単量体の分散安定性の面から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の使用量としては、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましい。
(高分子系分散剤)
また、逆相懸濁重合で用いられる分散安定剤としては、前述した界面活性剤と共に、高分子系分散剤を併せて用いてもよい。
高分子系分散剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの高分子系分散剤の中でも、特に、単量体の分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体を用いることが好ましい。これらの高分子系分散剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
高分子系分散剤の使用量としては、第1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましい。
[アゾ系化合物及び過酸化物]
吸水性樹脂の製造方法の一例では、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して、アゾ系化合物と過酸化物との存在下において逆相懸濁重合を行うことができる。
ここで、「アゾ系化合物と過酸化物との存在下」とは、必ずしも重合反応開始時点(化合物のラジカル開裂時点)において、アゾ系化合物と過酸化物とが共存している必要はなく、一方の化合物のラジカル開裂によるモノマー転化率が10%未満であるうちにもう一方の化合物が存在している状態を意味するが、重合反応の開始前にこれら両者が単量体を含む水溶液中に共存していることが好ましい。また、アゾ系化合物と過酸化物とが、別々の流路で重合反応系に添加されてもよいし、同流路で順次重合反応系に添加されてもよい。
なお、用いられるアゾ系化合物及び過酸化物の形態は、粉体であってもよいし、水溶液であってもよい。
(アゾ系化合物)
具体的に、アゾ系化合物としては、例えば、1−{(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ}ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレイン酸、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ化合物が挙げられる。これらの中でも、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物が、重合温度等の重合反応の調整の容易さや、高い遠心保持率、且つ荷重下での高い吸水能を有する吸水性樹脂が得られ易いという点から特に好ましい。これらアゾ系化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(過酸化物)
過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物類が挙げられる。これらの過酸化物の中でも、高い貯蔵弾性率を有する吸水性樹脂が得られ易い観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素を用いることが好ましく、さらに、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。これらの過酸化物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(アゾ系化合物及び過酸化物の使用量、使用割合)
アゾ系化合物及び過酸化物の使用量としては、水溶性エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.00005モル以上であることが好ましく、0.0001モル以上であることがより好ましい。また、水溶性エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.005モル以下であることが好ましく、0.001モル以下であることがより好ましい。
アゾ系化合物及び過酸化物の使用量割合としては、アゾ系化合物がアゾ系化合物及び過酸化物の使用量全量のうち40質量%以上である割合とすることが好ましく、50質量%以上である割合とすることがより好ましく、60質量%以上である割合とすることがさらに好ましく、70質量%以上である割合とすることがよりさらに好ましい。一方、アゾ系化合物がアゾ系化合物及び過酸化物の使用量全量のうち95質量%以下である割合とすることが好ましく、90質量%以下である割合とすることがより好ましく、85質量%以下である割合とすることがより好ましく、80質量%以下である割合とすることがよりさらに好ましい。また、質量比範囲(アゾ系化合物:過酸化物)としては、8:12〜19:1であることが好ましい。
[その他の成分]
この吸水性樹脂の製造方法の一例では、所望によりその他の成分を、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む水溶液に添加して逆相懸濁重合を行うようにしてもよい。その他の成分としては、増粘剤や連鎖移動剤等の各種の添加剤を添加することができる。
(増粘剤)
一例として、この吸水性樹脂の製造方法では、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む水溶液に対して増粘剤を添加して重合を行うようにしてもよい。このように増粘剤を添加して水溶液粘度を調整することによって、重合により得られる中位粒子径を制御することが可能である。
具体的に、増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸(部分)中和物、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を用いることができる。なお、重合時の攪拌速度が同じであれば、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の粘度が高いほど得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
[逆相懸濁重合]
吸水性樹脂の製造方法の一例として、水溶性エチレン性不飽和単量体を逆相懸濁重合させることができる。逆相懸濁重合を行うにあたっては、例えば、界面活性剤及び/又は高分子系分散剤の存在下に、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を、炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤や高分子系分散剤の添加時期は、単量体水溶液分散の前後どちらであってもよい。
その中でも、得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒量を低減しやすいという観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に、単量体水溶液を分散させた後に、さらに界面活性剤を添加して分散させてから重合を行うことが好ましい。
このような逆相懸濁重合を、1段もしくは2段以上の多段で行うことができる可能である。また、生産性を高める観点から2〜3段で行うことが好ましい。
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物に水溶性エチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、水溶性エチレン性不飽和単量体の他に、内部架橋剤と、前述したアゾ化合物と過酸化物とを、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加する水溶性エチレン性不飽和単量体の量を基準として、前述した水溶性エチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
重合反応の反応温度としては、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めるとともに、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行わせる観点から、20〜110℃であることが好ましく、40〜90℃であることがより好ましい。また、反応時間としては、0.5〜4時間とすることが好ましい。
<後架橋工程>
次に、本発明に係る吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られた内部架橋構造を有する含水ゲル状物に対して、後架橋剤で後架橋すること(後架橋反応)で得られる。この後架橋反応は、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合後以降に後架橋剤の存在下に行うことが好ましい。このように、重合後以降に、内部架橋構造を有する含水ゲル状物に対して後架橋反応を行うことによって、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を高めて、荷重下での吸水能やゲルの弾性等の諸性能を高めたものが得られる。
後架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。これらの後架橋剤の中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が特に好ましい。これらの後架橋剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
後架橋剤の使用量としては、重合に使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総量1モルに対して、0.00001〜0.01モルであることが好ましく、0.00005〜0.005モルであることがより好ましく、0.0001〜0.002モルであることが特に好ましい。
後架橋剤の添加方法としては、後架橋剤をそのまま添加しても、水溶液として添加してもよいが、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加してもよい。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて、又は水との混合溶媒として用いてもよい。
後架橋剤の添加時期としては、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合反応がほぼすべて終了した後であればよく、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、1〜400質量部の範囲の水分存在下に添加することが好ましく、5〜200質量部の範囲の水分存在下に添加することがより好ましく、10〜100質量部の範囲の水分存在下に添加することがさらに好ましく、20〜60質量部の範囲の水分存在下に添加することがよりさらに好ましい。これにより、荷重下での吸水能等を高めることが可能である。なお、水分の量は、重合反応系に含まれる水分と後架橋剤を添加する際に必要に応じて用いられる水分との合計量を意味する。
後架橋反応における反応温度としては、50〜250℃であることが好ましく、60〜180℃であることがより好ましく、60〜140℃であることがさらに好ましく、70〜120℃であることが特に好ましい。また、後架橋反応の反応時間としては、1〜300分間とすることが好ましく、5〜200分間とすることがより好ましい。
<乾燥工程>
前述した逆相懸濁重合を行った後、熱等のエネルギーを外部から加えることで、水、炭化水素分散媒等を蒸留により除去する乾燥工程を含んでいてもよい。逆相懸濁重合後の含水ゲルから脱水を行う場合、炭化水素分散媒中に含水ゲルが分散している系を加熱することで、水と炭化水素分散媒を共沸蒸留により系外に一旦留去する。このとき、留去した炭化水素分散媒のみを系内へ返送すると、連続的な共沸蒸留が可能である。その場合、乾燥中の系内の温度が、炭化水素分散媒の共沸温度以下に維持されるため、樹脂が劣化しにくい等の観点から好ましい。引き続き、水及び炭化水素分散媒を留去することにより、吸水性樹脂の粒子が得られる。この重合後における乾燥工程での処理条件を制御して脱水量を調整することにより、得られる吸水性樹脂の遠心保持率等を制御することが可能である。
乾燥工程では、蒸留による乾燥処理を常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。また、乾燥効率を高める観点から、窒素等の気流下で行ってもよい。乾燥処理を常圧下で行う場合においては、乾燥温度としては、70〜250℃であることが好ましく、80〜180℃であることがより好ましく、80〜140℃であることがさらに好ましく、90〜130℃であることが特に好ましい。また、乾燥処理を減圧下で行う場合においては、乾燥温度としては、40〜160℃であることが好ましく、50〜110℃であることがより好ましい。
なお、逆相懸濁重合により単量体の重合を行った後に後架橋剤で後架橋工程を行った場合には、その後架橋工程の終了後に、前述した蒸留による乾燥工程を行うようにする。または、後架橋工程と乾燥工程とを同時に行うようにしてもよい。
また、必要に応じて、吸水性樹脂に対し、重合後、乾燥中又は乾燥後に、キレート剤、還元剤、酸化剤、抗菌剤、消臭剤のような種々の添加剤を添加してもよい。
≪3.吸収体、吸収性物品≫
本発明に係る吸水性樹脂は、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁用パッド等の衛生材料に用いられる吸収体を構成するものであり、その吸収体を含む吸収性物品に好適に用いられる。
ここで、吸水性樹脂を用いた吸収体は、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維とより構成される。吸収体の構成としては、吸水性樹脂と親水性繊維とを均一な組成となるように混合することによって得られた混合分散体、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂が挟まれたサンドイッチ構造体、吸水性樹脂と親水性繊維とをティッシュで包んだ構造体等が挙げられる。なお、吸収体には、他の成分、例えば、吸収体の形態保持性を高めるための熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等の接着性バインダーが配合されていてもよい。
吸収体における吸水性樹脂の含有量としては、5〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましい。吸水性樹脂の含有量が5質量%未満であると、吸収体の吸収容量が低くなり、液モレ及び逆戻りを生じさせる可能性がある。一方で、吸水性樹脂の含有量が95質量%を超えると、吸収体がコスト高になり、さらに吸収体の感触が硬くなる。
親水性繊維としては、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維、親水化処理されたポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成樹脂からなる繊維等が挙げられる。
また、吸水性樹脂を用いた吸収体を、液体が通過し得る液体透過性シート(トップシート)と、液体が通過し得ない液体不透過性シート(バックシート)との間に保持することによって、吸収性物品とすることができる。液体透過性シートは、身体と接触する側に配され、液体不透過性シートは、身体と接する反対側に配される。
液体透過性シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の繊維からなる、エアスルー型、スパンボンド型、ケミカルボンド型、ニードルパンチ型等の不織布及び多孔質の合成樹脂シート等が挙げられる。また、液体不透過性シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる合成樹脂フィルム等が挙げられる。
≪4.実施例≫
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等により何ら限定されるものではない。
<4−1.評価試験方法について>
[吸水性樹脂の評価試験]
下記の実施例1〜4、及び、比較例1〜3にて得られた吸水性樹脂を、下記に示す各種の試験に供して評価した。
(1)遠心保持率
500mL容のビーカーに、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを量り取り、600r/minで攪拌させながら、吸水性樹脂2.0gを、ママコが発生しないように分散させた。攪拌させた状態で60分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定し、以下の式から遠心保持率を算出した。
遠心保持率(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g)
(2)4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能
図1に概略構成を示した測定装置Xを用いて、吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を測定した。
図1に示した測定装置Xは、ビュレット部1、導管2、測定台3、測定台3上に置かれた測定部4からなっている。ビュレット部1は、ビュレット10の上部にゴム栓14、下部に空気導入管11とコック12が連結されており、さらに、空気導入管11の上部はコック13が取り付けられている。ビュレット部1から測定台3までは、導管2が取り付けられており、導管2の直径は6mmである。測定台3の中央部には、直径2mmの穴が開いており、導管2が連結されている。測定部4は、円筒40と、この円筒40の底部に貼着されたナイロンメッシュ41と、重り42とを備えている。円筒40の内径は、2.0cmである。ナイロンメッシュ41は、200メッシュ(目開き75μm)に形成されている。そして、ナイロンメッシュ41上に所定量の吸水性樹脂5が均一に散布されるようになっている。重り42は、直径1.9cm、質量119.6gである。この重り42は、吸水性樹脂5上に置かれ、吸水性樹脂5に対して4.14kPaの荷重を均一に加えることができるようになっている。
このような構成の測定装置Xを用いて、先ず、ビュレット部1のコック12とコック13を閉め、25℃に調節された生理食塩水をビュレット10上部から入れ、ゴム栓14でビュレット上部の栓をした後、ビュレット部1のコック12、コック13を開けた。次に、測定台3中心部における導管2の先端と空気導入管11の空気導入口とが同じ高さになるように測定台3の高さの調整を行った。
一方、円筒40のナイロンメッシュ41上に0.10gの吸水性樹脂5を均一に散布して、この吸水性樹脂5上に重り42を置いた。測定部4は、その中心部が測定台3の中心部の導管口に一致するようにして置いた。
吸水性樹脂5が吸水し始めた時点から継続的に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wc(mL)を読み取った。吸水開始から、60分間経過後における吸水性樹脂の4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を、次式により求めた。
4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能(mL/g)=Wc÷0.10(g)
(3)貯蔵弾性率、損失弾性率、及びtanδ
測定する吸水性樹脂として、目開き400μmの篩を通過し、目開き300μmの篩上に保持されるものに調整し、その分級サンプルを生理食塩水で50倍に膨潤させて50倍膨潤ゲルを作製した。具体的には、先ず、100mL容のビーカーに、生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリングなし)を投入し、マグネチックスターラー(iuchi社製,HS−30D)の上に配置し、マグネチックスターラーを600r/minで回転するように調整した。次に、分級サンプル1.0gを攪拌中のビーカー内に投入し、回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、50倍膨潤ゲルを調製した。この50倍膨潤ゲルを遠沈管に移し、遠心力が671Gとなるように設定した遠心機(国産遠心機株式会社製、品番H−103NA SERIES)に4分間かけて脱気し、測定試料とした。
測定は、動的粘弾性測定装置レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製,品番AR2000eZ)に調製した測定試料をセットし、貯蔵弾性率G’(Pa)と損失弾性率G’’(Pa)の周波数ω(rad/秒)分散を測定した。なお、サンプルホルダーとしては直径60mmのパラレルプレートを用い、プレート間距離を3mmとした。また、ゲルの厚みは3000μmとした。測定温度は25℃とし、周波数ω=0.1〜300rad/秒の範囲、歪み=0.1%strainの条件で測定した。
そして、10rad/秒における貯蔵弾性率G’(Pa)と損失弾性率G’’(Pa)を求め、次にtanδの値をG’とG’’の比率(G’’/G’)から計算し、その値を吸水性樹脂のtanδとした。
(4)中位粒子径(粒度分布)
吸水性樹脂50gに、滑剤として、0.25gの非晶質シリカ(エボニックデグサジャパン株式会社製、カープレックス#80)を混合した。これを、下記[A]の篩の組み合わせを用いて中位粒子径を測定した。
[A]JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き400μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩、及び受け皿の順に組み合わせた。
組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として算出し粒度分布を求めた。この粒度分布に関して粒子径の大きい方から順に篩上を積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
なお、300〜400μmの粒径を有する吸水性樹脂の存在割合は、300μm目開きの篩上に残った吸水性樹脂の割合であり、同様に150〜850μmの粒径を有する吸水性樹脂の存在割合は、150μm、250μm、300μm、400μm、500μm、600μmの各目開きの篩上に残った吸水性樹脂の割合を全て加算した数値である。
[吸水性樹脂を使用した吸収体及び吸収性物品の評価試験]
(1)吸収体及び吸収性物品の作製
吸水性樹脂12gと解砕パルプ(レオニア社製 レイフロック)12gを用い、空気抄造によって均一混合することにより、40cm×12cmの大きさのシート状の吸収体コアを作製した。次に、吸収体コアの上下を、吸収体コアと同じ大きさで、坪量16g/mの2枚のティッシュッペーパーで挟んだ状態で、全体に196kPaの荷重を30秒間加えてプレスすることにより、吸収体を作製した。さらに、吸収体の上面に、吸収体と同じ大きさで、坪量22g/mのポリエチレン−ポリプロピレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを配置し、同じ大きさ、同じ坪量のポリエチレン製液体不透過性シートを吸収体の下面に配置して吸収体を挟みつけることにより、吸収性物品(大きさ:40×12cm)とした。
(2)人工尿の調製
人工尿として、イオン交換水に、NaCl:0.780質量%、CaCl:0.022質量%、MgSO:0.038質量%となるように配合して溶解させ、少量の青色1号を配合したものを調製した。
(3)浸透速度
水平の台上に吸収性物品を置いた。吸収性物品の中心部に、底面が10cm×10cmのプレートの中心に内径3cmの液投入用シリンダーを具備した質量2kgの測定器具を置くことで、吸収性物品に荷重をかけた状態とした。次に、80mLの人工尿をそのシリンダー内に一度に投入するとともに、ストップウォッチを用いて、人工尿がシリンダー内から完全に消失するまでの時間を測定し、1回目の浸透速度(秒)とした。次に、シリンダーをはずし、吸収性物品をそのままの状態で保存し、1回目の人工尿投入開始から30分後及び60分後にも、1回目と同じ位置に測定器具を用いて同様の操作を行い、2回目及び3回目の浸透速度(秒)を測定した。1回目〜3回目の合計を合計浸透速度とした。浸透速度が短いほど、吸収性物品として好ましいと言える。
(4)液体逆戻り量
前述した浸透速度の測定における1回目の人工尿投入開始から120分後、吸収性物品上の人工尿投入位置付近に、あらかじめ質量(Wd(g)、約50g)を測定しておいた10cm四方とした濾紙を置き、その上に底面が10cm×10cmの質量5kgの重りを載せた。5分間の荷重後、濾紙の質量(We(g))を測定し、増加した質量を液体逆戻り量(g)とした。液体逆戻り量が小さいほど、吸収性物品として好ましいと言える。
液体逆戻り量(g)=We−Wd
<4−2.実施例及び比較例について>
[実施例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン300gをとり、界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.74g、高分子分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW−15F)、アゾ系化合物として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.092g(0.339ミリモル)、過酸化物として過硫酸カリウム0.037g(0.137ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.058ミリモル)とイオン交換水43.8gを加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
そして、前述のように調製したモノマー水溶液をセパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことで第1段目の重合スラリー液を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.1gを滴下して75モル%の中和を行った後、アゾ系化合物として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、過酸化物として過硫酸カリウム0.052g(0.191ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.012g(0.067ミリモル)とイオン交換水15.9gを加えて溶解し、第2段目のモノマー水溶液を調製した。
前述のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、第2段目のモノマー水溶液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら236gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液4.42g(0.51ミリモル)を添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、乾燥品を得た。この乾燥品を目開き1000μmの篩を通過させ、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂234.1gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が94質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が36質量%であった。
[実施例2]
実施例2では、第2段目の重合後、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら239gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様とした。これにより、実施例1にて得られた吸水性樹脂とは遠心保持率等が異なる吸水性樹脂231.2gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が92質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が32質量%であった。
[実施例3]
実施例3では、1段目モノマー水溶液に溶解させる内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量を0.020g(0.116ミリモル)とし、第2段目の重合後、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら254gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様とした。これにより、実施例1にて得られた吸水性樹脂とは内部架橋剤量が異なる吸水性樹脂232.9gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が95質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が33質量%であった。
[実施例4]
実施例4では、第2段目の重合後、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら258gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例3と同様とした。これにより、実施例1にて得られた吸水性樹脂とは遠心保持率等が異なる吸水性樹脂226.0gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が95質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が33質量%であった。
[比較例1]
比較例1では、還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備し、このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン300gをとり、界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.74g、高分子分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW−15F)、過酸化物として過硫酸カリウム0.074g(0.274ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.058ミリモル)とイオン交換水43.8gを加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
そして、上述のように調製したモノマー水溶液をセパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことで第1段目の重合スラリー液を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.1gを滴下して75モル%の中和を行った後、過酸化物として過硫酸カリウム0.104g(0.382ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.012g(0.067ミリモル)と15.9gを加えて溶解し、第2段目のモノマー水溶液を調製した。
上述のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、第2段目の単量体水溶液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら257gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液4.42g(0.51ミリモル)を添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、乾燥品を得た。この乾燥品を目開き1000μmのふるいを通過させ、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂228.2gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が94質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が33質量%であった。
[比較例2]
比較例2では、第2段目の重合後、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら259gの水を系外へ抜き出したこと以外は、比較例1と同様とした。これにより、比較例1にて得られた吸水性樹脂とは遠心保持率等が異なる吸水性樹脂228.2gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が94質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が31質量%であった。
[比較例3]
比較例3では、比較例1にて得られた吸水性樹脂と比べ、より多くの架橋剤が添加された吸水性樹脂を得た。
具体的には、先ず、還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備し、このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン300gをとり、界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.74g、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ80℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW−15F)、過酸化物として過硫酸カリウム0.074g(0.274ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.018g(0.106ミリモル)と43.8gを加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
そして、上述のように調製したモノマー水溶液をセパラブルフラスコに添加して、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことで第1段目の重合スラリー液を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.1gを滴下して75モル%の中和を行った後、過酸化物として過硫酸カリウム0.104g(0.382ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.039g(0.222ミリモル)とイオン交換水15.9gを加えて溶解し、第2段目のモノマー水溶液を調製した。
上述のセパラブルフラスコ系内を25℃に冷却した後、第2段目の単量体水溶液の全量を、第1段目の重合スラリー液に添加して、系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で反応液を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留によりn−ヘプタンを還流しながら273gの水を系外へ抜き出した後、後架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの2質量%水溶液6.63g(0.761ミリモル)を添加し、80℃で2時間保持した。その後、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥することによって、乾燥品を得た。この乾燥品を目開き1000μmのふるいを通過させ、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂231.2gを得た。このようにして得られた吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。なお、得られた吸水性樹脂は、その全体の割合に占める150〜850μmの粒子の質量割合が94質量%であり、300〜400μmの粒子の質量割合が39質量%であった。
<4−3.評価結果について>
[吸水性樹脂の評価結果]
下記表1に、吸水性樹脂の評価結果を示す。なお、この表1には、下記式(I)で表される吸収容量弾性指数も併せて示す。
吸収容量弾性指数=貯蔵弾性率[Pa]×遠心保持率[g/g] ・・・(I)
Figure 0006737571
表1に示す結果から分かるように、実施例1〜4にて得られた吸水性樹脂は、目的の性能を有する吸水性樹脂であった。
[吸収性物品の評価結果]
次に、下記表2に、前述した実施例1〜3、及び比較例1、3にて得られた吸水性樹脂を用いて作製した吸収性物品に関して、その吸収性物品の人工尿の浸透速度、液体逆戻り量、拡散長の測定結果を示す。
Figure 0006737571
表2の結果に示すように、実施例1〜3にて得られた、吸収容量弾性指数が68000以上である吸水性樹脂を用いた吸収性物品は、比較例にて得られた吸水性樹脂を用いて作製した吸収性物品に比べ、荷重下での吸収性能である浸透速度や液体逆戻り量に優れることが実証された。
X 測定装置
1 ビュレット部
2 導管
3 測定台
4 測定部
5 吸水性樹脂

Claims (5)

  1. アクリル酸及び/又はその塩を内部架橋剤であるポリグリシジル化合物の存在下、アゾ系化合物が該アゾ系化合物及び過酸化物の使用量全量のうち40質量%以上の割合での該アゾ系化合物と該過酸化物との存在下で重合させ、かつ後架橋剤であるポリグリシジル化合物で後架橋することにより得られる吸水性樹脂であって、
    4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が16mL/g以上であり、
    液体逆戻り量が1.3g以下であり、
    当該吸水性樹脂全体の質量に占める150〜850μmの粒子の質量割合が85質量%以上であり、さらに300〜400μmの粒子の質量割合が20質量%以上であり、
    当該吸水性樹脂の300〜400μmの粒子を分級して測定したtanδが2.00×10−2以下であり、
    下記式(I)で表される吸収容量弾性指数が68000以上である
    ことを特徴とする吸水性樹脂(但し、水可溶分が12質量%以下である吸水性樹脂を除く。)。
    吸収容量弾性指数=貯蔵弾性率[Pa]×遠心保持率[g/g] ・・・(I)
    [上記液体逆戻り量の測定方法]
    前記吸水性樹脂12gと解砕パルプ(レオニア社製 レイフロック)12gを用い、空気抄造によって均一混合することにより、40cm×12cmの大きさのシート状の吸収体コアを作製する。次に、吸収体コアの上下を、吸収体コアと同じ大きさで、坪量16g/mの2枚のティッシュッペーパーで挟んだ状態で、全体に196kPaの荷重を30秒間加えてプレスすることにより、吸収体を作製する。さらに、吸収体の上面に、吸収体と同じ大きさで、坪量22g/mのポリエチレン−ポリプロピレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを配置し、同じ大きさ、同じ坪量のポリエチレン製液体不透過性シートを吸収体の下面に配置して吸収体を挟みつけることにより、吸収性物品(大きさ:40×12cm)とする。
    水平の台上に前記吸収性物品を置く。該吸収性物品の中心部に、底面が10cm×10cmのプレートの中心に内径3cmの液投入用シリンダーを具備した質量2kgの測定器具を置くことで、該吸収性物品に荷重をかけた状態とする。次に、80mLの人工尿を該シリンダー内に一度に投入する。次に、該シリンダーをはずし、該吸収性物品をそのままの状態で保存し、1回目の人工尿投入開始から30分後及び60分後にも、1回目と同じ位置に該測定器具を用いて同様の操作を行う。
    1回目の人工尿投入開始から120分後、前記吸収性物品上の人工尿投入位置付近に、あらかじめ質量(Wd(g)、約50g)を測定しておいた10cm四方とした濾紙を置き、その上に底面が10cm×10cmの質量5kgの重りを載せる。5分間の荷重後、該濾紙の質量(We(g))を測定し、下記(II)式で表される増加した質量を液体逆戻り量(g)とする。
    液体逆戻り量(g)=We−Wd ・・・(II)
    [上記tanδの測定方法]
    先ず、100mL容のビーカーに、生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバーを投入し、マグネチックスターラーの上に配置し、マグネチックスターラーを600r/minで回転するように調整する。次に、分級サンプル1.0gを攪拌中のビーカー内に投入し、回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、50倍膨潤ゲルを調製する。該50倍膨潤ゲルを遠沈管に移し、遠心力が671Gとなるように設定した遠心機に4分間かけて脱気し、測定試料を得る。
    次いで、前記測定試料を、動的粘弾性測定装置レオメーターにセットする。サンプルホルダーとして直径60mmのパラレルプレートを用い、プレート間距離を3mm、ゲルの厚みを3000μm、測定温度25℃、周波数ω=0.1〜300rad/秒の範囲、歪み=0.1%strainの条件で貯蔵弾性率と損失弾性率を測定する。このうち、10rad/秒における貯蔵弾性率と損失弾性率の比率(損失弾性率/貯蔵弾性率)をtanδとする。
    [上記貯蔵弾性率の測定方法]
    先ず、100mL容のビーカーに、生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバーを投入し、マグネチックスターラーの上に配置し、マグネチックスターラーを600r/minで回転するように調整する。次に、分級サンプル1.0gを攪拌中のビーカー内に投入し、回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、50倍膨潤ゲルを調製する。該50倍膨潤ゲルを遠沈管に移し、遠心力が671Gとなるように設定した遠心機に4分間かけて脱気し、測定試料を得る。
    次いで、前記測定試料を、動的粘弾性測定装置レオメーターに調製したにセットする。サンプルホルダーとして直径60mmのパラレルプレートを用い、プレート間距離を3mm、ゲルの厚みを3000μm、測定温度25℃、周波数ω=0.1〜300rad/秒の範囲、歪み=0.1%strainの条件で貯蔵弾性率を測定する。このうち、10rad/秒における貯蔵弾性率を上記(I)式に用いる。
    [上記遠心保持率の測定方法]
    0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを攪拌しながら、吸水性樹脂2.0gを分散させて60分間放置した後、綿袋中に注ぎ、脱水機を用いて遠心力が167Gの条件で1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定する。また、吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定する。下記(III)式から遠心保持率を算出する。
    遠心保持率(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g) ・・・(III)
    [上記4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能の測定方法]
    底部に200メッシュのナイロンメッシュが貼着された内径2.0cmの円筒の内部に、0.10gの前記吸水性樹脂を散布した後、該吸水性樹脂上に重りを置き4.14kPaの荷重を加える。直径2mmの穴を有する測定台の該穴上に、該円筒の中心と該穴が一致するように該円筒を置き、該穴と、空気導入口を備え、かつ生理食塩水が入ったビュレットとを導管を介して接続するとともに、該測定台における該導管の先端と、該空気導入口とが同じ高さとなるように配置する。ビュレット及び該空気導入口を開けて該吸水性樹脂の吸水を開始させ、開始から60分経過後における生理食塩水の減少量Wc(mL)を測定し、下記(IV)式から4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を算出する。
    4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能(mL/g)=Wc÷0.10(g)
    ・・・(IV)
    [上記水可溶分の測定方法]
    500mL容のビーカーに、生理食塩水500gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入し、該マグネチックスターラー(iuchi社製:HS−30D)の上に配置する。引続き該マグネチックスターラーバーを600rpmで回転するように調整し、さらに、該マグネチックスターラーバーの回転により生ずる渦の底部は、該マグネチックスターラーバーの上部近くになるように調整する。
    次に、前記吸水性樹脂の粒子2.0gを、前記ビーカー中の渦中央と該ビーカー側面の間に素早く流し込み分散させ、3時間撹拌する。撹拌後の該水性樹脂粒子の分散水を、JIS標準ふるい(目開き75μm)でろ過し、得られたろ液をさらに桐山式ロート(濾紙No.6)を用い吸引ろ過する。
    あらかじめ140℃で乾燥して恒量し、室温まで冷却した100ml容のビーカーに得られたろ液を80±0.01g量りとり、内温を140℃設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で恒量になるまで乾燥させ、ろ液固形分の質量Wf(g)を測定する。
    一方、前記吸水性樹脂の粒子を用いずに上記操作と同様に行い、ブランク質量Wg(g)を測定して、下記(V)式より水可溶分を算出する。
    水可溶分(質量%)=[(Wf−Wg)(500/80)]/2×100 ・・・(V)
  2. 前記アゾ系化合物の使用量が該アゾ系化合物及び前記過酸化物の使用量全量に対し95質量%以下である、請求項1に記載の吸水性樹脂。
  3. 前記内部架橋剤及び前記後架橋剤がエチレングリコールジグリシジルエーテルである、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂を含む吸収体を用いてなる吸収性物品。
  5. アクリル酸及び/又はその塩を内部架橋剤であるポリグリシジル化合物の存在下、アゾ系化合物が該アゾ系化合物及び過酸化物の使用量全量のうち40質量%以上の割合での該アゾ系化合物と該過酸化物との存在下で重合させ、かつ後架橋剤であるポリグリシジル化合物で後架橋することにより吸水性樹脂を製造する方法であって、
    前記吸水性樹脂は、4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能が16mL/g以上であり、かつ当該吸水性樹脂全体の質量に占める150〜850μmの粒子の質量割合が85質量%以上であり、さらに300〜400μmの粒子の質量割合が20質量%以上であり、下記式(I)で表される吸収容量弾性指数が68000以上である
    ことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
    吸収容量弾性指数=貯蔵弾性率[Pa]×遠心保持率[g/g] ・・・(I)
    [上記貯蔵弾性率の測定方法]
    先ず、100mL容のビーカーに、生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバーを投入し、マグネチックスターラーの上に配置し、マグネチックスターラーを600r/minで回転するように調整する。次に、分級サンプル1.0gを攪拌中のビーカー内に投入し、回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、50倍膨潤ゲルを調製する。該50倍膨潤ゲルを遠沈管に移し、遠心力が671Gとなるように設定した遠心機に4分間かけて脱気し、測定試料を得る。
    次いで、前記測定試料を、動的粘弾性測定装置レオメーターにセットする。サンプルホルダーとして直径60mmのパラレルプレートを用い、プレート間距離を3mm、ゲルの厚みを3000μm、測定温度25℃、周波数ω=0.1〜300rad/秒の範囲、歪み=0.1%strainの条件で貯蔵弾性率を測定する。このうち、10rad/秒における貯蔵弾性率を上記(I)式に用いる。
    [上記遠心保持率の測定方法]
    0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを攪拌しながら、吸水性樹脂2.0gを分散させて60分間放置した後、綿袋中に注ぎ、脱水機を用いて遠心力が167Gの条件で1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定する。また、吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb(g)を測定する。下記(II)式から遠心保持率を算出する。
    遠心保持率(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g) ・・・(II)
    [上記4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能の測定方法]
    底部に200メッシュのナイロンメッシュが貼着された内径2.0cmの円筒の内部に、0.10gの前記吸水性樹脂を散布した後、該吸水性樹脂上に重りを置き4.14kPaの荷重を加える。直径2mmの穴を有する測定台の該穴上に、該円筒の中心と該穴が一致するように該円筒を置き、該穴と、空気導入口を備え、かつ生理食塩水が入ったビュレットとを導管を介して接続するとともに、該測定台における該導管の先端と、該空気導入口とが同じ高さとなるように配置する。ビュレット及び該空気導入口を開けて該吸水性樹脂の吸水を開始させ、開始から60分経過後における生理食塩水の減少量Wc(mL)を測定し、下記(III)式から4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能を算出する。
    4.14kPa荷重下での生理食塩水吸水能(mL/g)=Wc÷0.10(g)
    ・・・(III)
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