JP6737232B2 - シリコン単結晶の評価方法およびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、引き上げられたシリコン単結晶の縦断面図であり、欠陥分布とV/Gの関係の一例を模式的に示す。Vはシリコン単結晶の引き上げ速度であり、Gは引き上げ直後におけるシリコン単結晶の成長方向の温度勾配である。温度勾配Gは、CZ炉のホットゾーン構造の熱的特性により、シリコン単結晶の引き上げの進行中において、概ね一定とみなされる。このため、引き上げ速度Vを調整することにより、V/Gを制御することができる。
OSF(Oxidation induced Stacking Fault:酸素誘起積層欠陥)領域は、高温(一般的には1000℃から1200℃)で熱酸化処理した場合、OSF核がOSFとして顕在化する。
PV領域とPI領域は、COPも転位クラスターも含まず、PV領域は、as−grown状態で酸素析出核を含んでおり、熱処理を施した場合、酸素析出物(BMD)が発生し易い。図2に示すように、V/Gが大きくなると、Pv領域における空孔型点欠陥の濃度は高くなる。
PI領域は、as−grown状態でほとんど酸素析出核を含んでおらず、熱処理を施してもBMDが発生し難い。
特許文献1には、シリコン単結晶から切り出したウェーハを鏡面研磨してから、COPの個数を評価する方法が開示されている。
本発明によれば、酸素濃度の測定結果に基づいて、シリコン単結晶製造後の早い段階でLPDの発生状況を推定できる。
なお、固化率とは、シリコン単結晶を引き上げる前のシリコン融液の総重量に対する固化した重量の割合を意味する。
本発明によれば、第1のシリコン単結晶製造後の早い段階で得られたLPDの発生状況の推定結果に基づいて、第2のシリコン単結晶の製造条件を設定するため、不良品の数を減らすことができる。
〔実験1:シリコン単結晶の酸素濃度とLPDの発生状況との関係調査〕
まず、本実験で用いた単結晶引き上げ装置について説明する。
図3に示すように、単結晶引き上げ装置1は、CZ法(チョクラルスキー法)に用いられる装置であって、引き上げ装置本体2と、メモリ3と、制御部4とを備えている。
引き上げ装置本体2は、チャンバ21と、このチャンバ21内の中心部に配置された坩堝22と、この坩堝22を加熱するヒータ23と、引き上げ部24と、熱遮蔽体25とを備えている。
チャンバ21の上部には、Arガスなどの不活性ガスをチャンバ21内に導入するガス導入口21Aが設けられている。チャンバ21の下部には、チャンバ21内の気体を排出するガス排気口21Bが設けられている。
坩堝22は、ウェーハの原料である多結晶のシリコンを融解し、シリコン融液Mとするものである。坩堝22は、所定の速度で回転および昇降が可能な支持軸26に支持されている。
ヒータ23は、坩堝22の周囲に配置されており、坩堝22内のシリコンを融解する。
引き上げ部24は、一端に種結晶SCが取り付けられる引き上げケーブル241と、この引き上げケーブル241を昇降および回転させる引き上げ駆動部242とを備えている。
熱遮蔽体25は、ヒータ23から上方に向かって放射される輻射熱を遮断する。
メモリ3には、チャンバ21内のガス流量や炉内圧、ヒータ23に投入する電力、坩堝22やシリコン単結晶SMの回転数など、シリコン単結晶SMの製造に必要な各種情報を記憶している。
その後、ヒータ23を交換せずに、同じ単結晶引き上げ装置1を用いて複数のシリコン単結晶SMを製造した。
評価用のウェーハは、直胴部SM3における固化率が15%以下の領域(以下、第1領域という)から取得した。このウェーハに対してミラーエッチングを行った後、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectrometer:フーリエ変換赤外分光光度計)を用いてASTM F−121(1979)により酸素濃度を測定した。1枚のウェーハの酸素濃度測定結果を1バッチの測定結果とした。
LPDの測定は、第1領域における評価用ウェーハの取得領域よりも引き上げ方向下端側の領域から得たウェーハに対し、面取り、ラッピング、平面研削、エッチング、鏡面面取り、一次研磨など経て鏡面研磨を行い、表面検査装置(KLA−Tencor社製SP−1)を用いて、表面で観察される1枚あたりのLPDをカウントした。サイズが120nm以上のLPDを測定対象とし、100枚〜200枚程度のウェーハにおけるLPD測定結果の平均値を1バッチの測定結果とした。
図5および図6において、Nバッチ目の移動平均値とは、Nバッチ目を含む直近4バッチの平均値を意味する。なお、同じ単結晶引き上げ装置1を用いて、本実験の対象(COPを含むシリコン単結晶)と異なる品質のシリコン単結晶も製造したため、移動平均値は、品質が本実験の対象と異なるシリコン単結晶を含まない直近4バッチの平均値である。
本発明者は、この理由を以下のように推測した。
また、シリコン融液Mへの酸素のメインの供給元は坩堝22の底部であるため、ヒータ23下部の加熱比率が減少すると、坩堝22の底部の加熱量も減少し、シリコン融液Mへの酸素の供給量も減少する。以上のことから、ヒータバッチ数が増加すると、ヒータ23上部の劣化も進行し、その結果、シリコン単結晶SMの酸素濃度が低下すると推測した。
図7のデータに基づく近似直線LA1の式は、酸素濃度の移動平均値をX(×1017atoms/cm3)、LPDの移動平均値をY(個/枚)とした場合、以下の式(1)で表される。
Y=−103.72×X+1680.3 … (1)
したがって、酸素濃度の測定結果に基づいて、シリコン単結晶SMの製造後の早い段階でLPDの発生状況を推定できることが確認できた。そして、酸素濃度測定に用いたシリコン単結晶SMを第1のシリコン単結晶とした場合、酸素濃度の測定結果に基づいて、当該第1のシリコン単結晶以降に製造される第2のシリコン単結晶の製造条件を設定する、具体的に、引き上げ速度を遅くすることで、不良品の数を減らすことができる。
実験1のシリコン単結晶SMにおける固化率が15%を超え30%以下の領域(以下、第2領域という)、30%を超え50%以下の領域(以下、第3領域という)、50%を超える領域(以下、第4領域という)からウェーハを得た。そして、これらのウェーハにおけるヒータバッチ数と酸素濃度の移動平均値との関係、ヒータバッチ数とLPDの移動平均値との関係を求め、これらの関係から酸素濃度の移動平均値とLPDの移動平均値との関係を調べた。
第2領域の関係を図8に、第3領域の関係を図9に、第4領域の関係を図10にそれぞれ示す。
図8〜図10に示すように、各図のデータに基づく近似直線LA2〜LA4を参照すると、第2〜第4領域においても、第1領域と同様に、酸素濃度の移動平均値が大きくなると、LPDの移動平均値が小さくなることが確認できた。
図11に示すように、第1領域における相関が他の領域と比べて高かった。
本発明者は、この理由を以下のように推測した。
次に、本発明の一実施形態として、COPを含むシリコン単結晶SMの製造方法について図面を参照して説明する。
本実施形態では、抵抗率が8Ω・cm以上12Ω・cm以下、外周研削後の直胴部SM3の直径が200mmとなるようなp型のシリコン単結晶SMを製造する場合を例示する。また、シリコン単結晶SMの第1領域における酸素濃度とLPD発生状況との関係が、図7に示す関係となるような単結晶引き上げ装置1を用いる場合を例示する。さらに、メモリ3には、図7に示すような関係を示すLPD発生状況推定用情報が記憶されている。
なお、直胴部SM3の外周研削後の直径は、300mm、450mmなど他の大きさであってもよい。
次に、制御部4は、坩堝22を加熱することで、当該坩堝22内のポリシリコン素材(シリコン原料)およびドーパントを融解させ、シリコン融液Mを生成する。その後、制御部4は、図12に示すように、チャンバ21内を減圧下の不活性雰囲気に維持し、坩堝22を回転させつつ、ギャップGPがほぼ一定になるように上昇させながら、直胴部SM3にCOPを含む第1のシリコン単結晶SMを製造する(ステップS1:製造工程)。
このステップS3において、制御部4は、酸素濃度が判断閾値以下の場合、ウェーハ1枚あたりのLPDが品質基準値以上であると推定し、判断閾値未満の場合、品質基準値未満であると推定する。本実施形態では、判断閾値は、13.4×1017atoms/cm3であり、品質基準値は、300個である。
ここで、ステップS4における製造条件変更は、ステップS3の工程中にシリコン単結晶SMが製造されている場合には、当該シリコン単結晶SMについて行うのではなく、その次のバッチの第2のシリコン単結晶SMについて行われる。また、ステップS3の工程中にシリコン単結晶SMが製造されていない場合には、次のバッチの第2のシリコン単結晶SMについて行われる。
上記実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
従来、LPDの発生状況に基づく製造条件設定は、図13に示すように、本実施形態のステップS1,S2の工程を行った後、直胴部SM3の残りの部分に対して、スライスから鏡面研磨にかけての工程を行う(ステップS11)。そして、鏡面研磨後のウェーハのLPDを測定し(ステップS12)、LPDが品質基準値以上か否かに基づいて、製造条件を変更あるいは維持していた(ステップS13)。このような方法では、特にステップS11の工程に時間を要するため、第1のシリコン単結晶SMの製造バッチの次バッチを1バッチ目とした場合、例えば7バッチ目の途中でしかLPDの測定結果を得ることができず、8バッチ目からしか製造条件を設定することができない。この場合、1バッチ目から7バッチ目のシリコン単結晶SMが不良品になってしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態では、ステップS11,S12の工程を行わずに、評価用ウェーハの酸素濃度測定結果に基づきLPDの発生状況を推定し(ステップS3)、この推定結果に基づいて、製造条件を変更あるいは維持する(ステップS4,S6)。このように、時間を要するステップS11の工程を行わないため、例えば、2バッチ目の途中でLPDの推定結果を得ることができる。また、このLPDの推定結果に基づいて、3バッチ目(第2のシリコン単結晶SM)の製造条件を設定することができる。したがって、1バッチ目のシリコン単結晶SMが不良品であっても、2バッチ目以降のシリコン単結晶SMを良品にすることができ、不良品の数を減らすことができる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
例えば、判断閾値、品質基準値は、上記値に限らずニーズに応じて他の値にしてもよい。
第1領域に加えて、あるいは、第1領域に代えて、第2〜第4領域のうち少なくとも1つの領域のLPD発生状況推定用情報をメモリ3に記憶してもよい。この場合、制御部4は、作業者によって酸素濃度および評価用ウェーハの取得領域が入力されると、この取得領域に対応するLPD発生状況推定用情報と、酸素濃度とに基づいて、LPDの発生状況を推定してもよい。
ステップS3〜S6の処理を作業者が行ってもよい。
酸素濃度およびLPDの移動平均値に基づいて、酸素濃度とLPD発生状況との関係を求めたが、各バッチのデータをそのまま用いて求めてもよい。
Claims (4)
- COPを含むシリコン単結晶の直胴部から取得された評価用ウェーハの酸素濃度を測定する酸素濃度測定工程と、
前記酸素濃度測定工程における測定結果において、前記酸素濃度が低下する傾向が発生したとき、前記シリコン単結晶のLPDの発生状況を推定するLPD発生状況推定工程とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の評価方法。 - 請求項1に記載のシリコン単結晶の評価方法において、
前記酸素濃度測定工程は、直胴部における固化率が15%以下の領域における酸素濃度を測定することを特徴とするシリコン単結晶の評価方法。 - 前記評価用ウェーハは、前記シリコン単結晶のブロック分割時にサンプリングされたサンプルウェーハであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリコン単結晶の評価方法。
- 坩堝と、
前記坩堝を加熱することでシリコン融液を生成するヒータと、
種結晶を前記シリコン融液に接触させた後に引き上げる引き上げ部とを備えた単結晶引き上げ装置を利用したチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
COPを含む第1のシリコン単結晶を製造する製造工程と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の評価方法を用いて、前記第1のシリコン単結晶のLPDの発生状況を推定する評価工程と、
前記評価工程における推定結果に基づいて、COPを含む第2のシリコン単結晶の製造条件を設定する製造条件設定工程とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
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