JP6737027B2 - 光硬化性樹脂組成物およびその硬化膜を備えるカラーフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルター保護膜用として好適な光硬化性樹脂組成物、およびその組成物を硬化したUV吸収性に優れる保護膜を有するカラーフィルターに関する。
近年、液晶表示装置(液晶パネル)が急速に普及したことに伴い、液晶表示装置に用いられる高品質なカラーフィルターの需要も高まっている。カラーフィルターは、透明基板上に、所定パターンに形成されたブラックマトリックス層や赤、緑、青などの複数の色(RGB画素)が所定順序に配列された着色層と、保護膜とを重ねた構造であり、着色層の通過光を赤、緑、青の3つの基本色にし、それらの光を加法混色することにより中間色や白色を含む映像の色を作り出す役割を有している。その保護膜は、液晶表示装置の製造時又は使用時においてカラーフィルターを物理的及び化学的に保護する役割を担っており、透湿性や耐薬品性に優れることが求められる。また、保護膜は、液晶表示装置の色彩や表示に悪影響を及ぼさないように、透明性や平坦性と言った性能も要求される。さらに、液晶パネルへの密着性を向上させること等を目的に、保護膜にパターンを形成したい場合は、感光性を有する保護膜材が求められる。この場合、上記性能に加えて、高いパターン解像性が必要となる。そこで、この種の保護膜には、アルカリ現像性を有するネガ型レジストが広く適用されている。このネガ型レジストの基本組成は(A)炭素-炭素不飽和結合を有する共重合体をベースに(B)多官能アクリル酸エステル、(C)多官能エポキシ樹脂、(D)光重合開始剤を加えた組成となっている。
ところで、カラーフィルターは複数の材料を層状に重ねた構造であり、保護膜上には、
さらにフォトスペーサーや配向膜が形成される。当該フォトスペーサーや配向膜は、塗工
液の状態で保護膜上に塗布されるが、その際、塗布性(リコート性)向上のため、保護膜
表面に対し塗布前洗浄が行われる。この塗布前洗浄にはUVオゾン洗浄が広く使用されて
おり、保護膜はフォトスペーサーや配向膜の塗布前洗浄時に光源である低圧水銀灯から発
せられる、主に185nmと254nmのUV光に曝される。このとき、254nmの光
は185nmの光と比較して強度が強く、且つ吸収されにくいため、保護膜のUV吸収性
が不十分だと、保護膜の下層(RGB画素)に254nmの光が到達してRGB画素の劣
化を招く恐れがある。
さらに、近年ではRGB画素の薄膜化が進んでおり、従来の発色を維持するために、RGB画素の顔料・染料の配合割合が増加し、アクリル樹脂等のバインダーの割合が少なくなってきている。顔料・染料はバインダー成分と比較してUVを吸収し易く劣化し易い。そのため、RGB画素自体も、従来と比較して劣化し易い組成となってきている。また、近年では配向膜の配向処理方法として、従来のラビング法に代わり、UV照射による光配向が採用され始めており、製造プロセスにおいてもUV照射の負荷が増大しつつあることから、保護膜にUV吸収性を付与することが求められている。
従って、保護膜に高いUV吸収性を持たせることでRGB画素の劣化を防止することが出来るため、従来にも増して保護膜に高いUV吸収性が求められている。一方、可視光域の透過率に関しては、高い画像視認性を確保するため従来通り高いことが望まれている。つまり、短波長(254nm)では高いUV吸収性を有し、可視光域では、透過率の高い保護膜が望まれている。
このような背景から、保護膜には従来から必要とされる、パターン解像性、平坦性、透明性、耐薬品性、密着性、透湿性等の諸物性を維持しながらUV吸収性を付与することが求められている。
例えば、特許文献1では、上述(A)としてジシクロヘキシルフマレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、スチレンからなる重合体に2-アクリロイルイソシアネートを付加した共重合体、(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(C)としてビスフェノールエポキシ樹脂であるEP-1001、(D)として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(Irgacure369)を用いた組成にてパターン解像性、透明性、耐薬品性等の諸物性に優れる保護膜の報告がなされている。しかしながら、適用しているエポキシ樹脂(EP−1001)では、膜密度が低くなるため、透湿性が不十分である。また、共重合体に含まれるスチレンやEP−1001では、十分なUV吸収性を発現できない。
特許文献2においては、(A)としてメタクリル酸、ベンジルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレートからなる重合体にメタクリル酸グリシジルを付加したカルボン酸含有共重合体、(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(C)として9,9−ビス(6−グリシジルオキシナフタレン−2−イル)フルオレン(7.5)、(D)として1、2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IrgacureOXE01)を用いた組成にてパターン解像性、透明性、透湿性等の諸物性に優れる保護膜の報告がなされている。しかしながら、メタクリル酸グリシジルを付加した上記樹脂では、Tgが高く、流動性が低いため、平坦性が不十分である。
特開2007−137947号公報 特開2013−76821号公報
このように、保護膜に求められる諸物性を維持しながらUV吸収性、平坦性に優れる保護膜を開発することは容易ではなく、これまで、これらを満足する保護膜は未だ開発されていなかった。
本発明の目的とするところは、従来から求められているパターン解像性、透明性、耐薬品性、密着性等の基本的物性を維持したまま、UV吸収性に優れ、かつ平坦性も良好なカラーフィルター保護膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物と、これを硬化した保護膜を備えるカラーフィルターを提供することにある。
本発明は、下記成分(A)、成分(B)多官能アクリル酸エステル、成分(C)多官能エポキシ化合物および成分(D)光重合開始剤を含むカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物であって、
成分(A)を15〜60重量部、成分(B)を30〜60重量部、成分(C)を2〜40重量部、および成分(D)を成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部含有し、
成分(C)は、その含有量のうち少なくとも2重量部が下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物である、カラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物である。
成分(A):
(a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、
(a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および
(a3)(a1)と(a2)以外の炭素―炭素不飽和結合を有するモノマー
からなる共重合体と、
(a4)炭素―炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
の反応物であり、
(a1)を5〜25重量%、(a2)を10〜40重量%、(a3)を10〜70重量%および(a4)を10〜40重量%含み、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%となるカルボキシル基含有共重合体
Figure 0006737027

(Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。)
当該光硬化性樹脂組成物の成分(A)を構成する(a3)は、下記式(2)〜(5)で表されるモノマーのいずれか1種または複数種であることが好ましい。
Figure 0006737027

(Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
Figure 0006737027

(RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
Figure 0006737027

(RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006737027

(Rは、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
また、前記光硬化性樹脂組成物を硬化した保護膜を有するカラーフィルターも提供することができる。
本明細書中において数値範囲を表す「○○〜△△」の記載は、特に明示されていない限り、その上限及び下限を含む。すなわち、正確に言えば、「○○以上、△△以下」を意味する。また、本明細書中における「透明性」の用語は、別途記載が無い限り、可視光の透過率が高い性質を意味する。
本発明のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物によれば、パターン解像性、透明性、透湿性、耐薬品性、密着性等の基本的物性を維持したまま、UV吸収性に優れ、かつ平坦性も良好なカラーフィルター保護膜を形成することができる。特に、成分(C)として、前記式(1)で表されるナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物を所定量含有することで、高いUV吸収性を発現する。
≪カラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物≫
本発明の光硬化性樹脂組成物は、その硬化物がカラーフィルター用保護膜として好適に使用できるものであって、成分(A)カルボキシル基含有共重合体、成分(B)多官能アクリル酸エステル、成分(C)多官能エポキシ化合物および成分(D)光重合開始剤を含む。
<成分(A):カルボキシル基含有共重合体>
成分(A)は、(a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、(a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および(a3)(a1)と(a2)以外の炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる共重合体に、(a4)炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物を反応させて得ることができる。その際、成分(A)における(a1)の含有量が5〜25重量%、(a2)の含有量が10〜40重量%、(a3)の含有量が10〜70重量%および(a4)の含有量が10〜40重量%であって、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%であれば、パターン解像性、透明性、透湿性、耐薬品性、密着性等の良好な基本的物性を維持したまま、良好な平坦性が得られる。なお、(a1)〜(a4)は、それぞれ単独でも2種以上を併用しても良い。成分(A)の重合態様としては、直鎖状であっても分岐していても良い。分岐している重合態様とは、例えば、成長が終了している重合体のメチレン水素が、重合開始剤由来のラジカルに引き抜かれると炭素上にラジカルが発生し、そのラジカルが成長過程の重合体と再結合する場合である。
(a1)〜(a3)の重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を用いることができる。より具体的には、重合開始剤の存在下において、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法を用いることができる。また、必要に応じて触媒や溶媒などの添加物を重合反応系に添加しても良い。得られた(a1)〜(a3)の共重合体に対して、公知のヒドロキシル基とイソシアネート基の反応により、(a4)を付加することができる。成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、3,000〜100,000が好ましい。成分(A)の重量平均分子量(Mw)が3,000を下回ると膜密度が低くなるため、耐薬品性が悪化する傾向があり、重量平均分子量(Mw)が100,000を上回ると現像液への溶解性が低下するため、パターン解像性が悪化する傾向がある。
成分(A)は(a4)により導入された炭素−炭素不飽和結合により、フォトリソグラフィーによる露光工程においてフォトマスクを介して露光する際、露光部ではUV照射により成分(D)光重合開始剤から発生したラジカルを起点に重合反応が進み、その後の現像工程において現像液に対して不溶化させることができる。一方、未露光部は重合反応が進行しないため、現像液への溶解性は変わらない。すなわち、成分(A)は、フォトマスクを介して露光することにより、その後の現像工程にて現像液に対する溶解性の差を発現することができるため、硬化性樹脂組成物の硬化膜にパターンを形成することができる。
成分(A)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部中に15〜60重量部含まれ、パターン解像性、現像残膜率および密着性の面から好ましくは30〜50重量部含まれる。成分(A)の含有量が15重量部を下回ると、UV照射による重合反応が不十分となり、パターン解像性が低下する。成分(A)の含有量が60重量部を超えるとUV照射による重合反応に伴う硬化収縮が大きくなり下地との密着性が低下する。このため、硬化膜と下地の界面から水蒸気が侵入し易くなるため、透湿性が悪化する傾向がある。なお、成分(A)は1種でも良いし、2種以上を併用しても良い。
<(a1):炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー>
(a1)は、炭素−炭素不飽和結合と、カルボキシル基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a1)は、光硬化性樹脂組成物の現像工程において、現像液への溶解性に関与する成分である。中でも、アクリル酸およびメタクリル酸がパターン解像性の観点から好ましい。
(a1)は(a1)〜(a4)の合計量100重量%中に5〜25重量%含まれ、パターン解像性と現像残膜率の面から好ましくは10〜20重量%含まれる。(a1)の含有量が5重量%を下回ると、現像液への溶解性が乏しくなり、パターン解像性が低下する。(a1)の含有量が25重量%を超えると現像液への溶解性が高くなり過ぎるため、現像残膜率が低下する。
<(a2):炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー>
(a2)は、炭素−炭素不飽和結合と、ヒドロキシル基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a2)は、自身が有するヒドロキシル基と(a4)のイソシアネート基との反応により、(a4)が有する炭素−炭素不飽和結合を成分(A)に導入するための成分である。(a2)は、パターン解像性の面から、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピルが好ましい。
(a2)は(a1)〜(a4)の合計量100重量%に対して10〜40重量%含まれ、パターン解像性、現像残膜率および密着性の面から好ましくは20〜40重量%含まれる。(a2)の含有量が10重量%を下回ると、(a4)の導入量が不足し、UV照射による重合反応が不十分となるため、パターン解像性が低下する。(a2)の含有量が40重量%を超えると(a4)の導入量が過剰となり、UV照射による重合反応に伴う硬化収縮が大きくなるため下地との密着性が低下する。
<(a3):(a1)と(a2)以外の炭素−炭素不飽和結合を有するモノマー>
(a3)は、炭素−炭素不飽和結合を有し、(a1)および(a2)に該当しない化合物であれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a3)としては、光硬化性樹脂組成物の硬化膜の透明性、耐熱性、硬度等の物性を向上することができるモノマーが周知であるため、目的に応じて適宜選択すれば良く、中でも下記式(2)〜(5)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 0006737027

(Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
Figure 0006737027

(RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
Figure 0006737027

(RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006737027

(Rは、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基又は炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(a3)は、(a1)〜(a4)の合計量100重量%中に10〜70重量%含まれる。(a3)の含有量が10重量%を下回ると、成分(A)の親水性が高くなり過ぎるため現像残膜率が低下する。(a3)の含有量が70重量%を上回ると、成分(A)の疎水性が高くなり過ぎるためパターン解像性が悪化する傾向がある。
<(a4):炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物>
(a4)は、炭素−炭素不飽和結合と、イソシアネート基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a4)は自身が有するイソシアネート基と(a2)のヒドロキシル基との反応により、炭素−炭素不飽和結合を成分(A)に導入するための成分であり、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI:昭和電工(株)製)および2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI:昭和電工(株)製)がパターン解像性の面から好ましい。
また、(a4)は成分(A)のTgを低下させるため、成分(A)の流動性を上げる作用がある。同時に成分(A)の極性も高めるため、オゾン処理等により親水化したカラーフィルターとの親和性を良化する。これらにより、良好な平坦性を発現することができる。
(a4)は(a1)〜(a4)の合計量100重量%中に10〜40重量%含まれ、パターン解像性、現像残膜率および密着性の面から好ましくは20〜40重量%含まれる。(a4)の含有量が10重量%を下回ると、UV照射による重合反応が不十分となり、パターン解像性が低下する。(a4)の含有量が40重量%を超えるとUV照射による硬化反応において、硬化収縮が大きくなり過ぎるため、下地との密着性が低下する。
<成分(B):多官能アクリル酸エステル>
成分(B)は、2官能以上のアクリル酸エステルであれば良く、このような用途に周知のいかなる化合物も利用することができ、2種以上を併用しても良い。成分(B)は炭素−炭素不飽和結合を有するため、成分(A)と同様に、フォトマスクを介した露光、現像を行うことにより光硬化性樹脂組成物の硬化膜にパターンを形成することができる。パターンを形成する際、パターン解像性を高めたい場合は、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE−3A:共栄社化学(株)製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ライトアクリレートPE−4A:共栄社化学(株)製)およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ライトアクリレートDPE−6A:共栄社化学(株)製)が好ましい。
成分(B)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部中に30〜60重量部含まれ、パターン解像性、現像残膜率および密着性の面から好ましくは35〜50重量部含まれる。成分(B)の含有量が30重量部を下回ると、UV照射による重合反応が不十分となり、パターン解像性が低下する。成分(B)の含有量が60重量部を超えるとUV照射による重合反応に伴う硬化収縮が大きくなり下地との密着性が低下する。
<成分(C):多官能エポキシ化合物>
成分(C)は、(C1)下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物を必須とし、(C2)その他の多官能エポキシ化合物を任意に混ぜても良い。すなわち、(C)は、(C1)のみで構成することもできるし、(C1)と(C2)の混合物とすることもできる。
Figure 0006737027

(Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。)
成分(C)は、成分(A)が含有するカルボキシル基とポストベーク時に反応することにより膜強度を向上させる役割を担っている。(C1)は、前記(C)の膜強度を向上させる役割に加えて、UV吸収性を発現する成分である。一方、(C2)は2官能以上のエポキシ化合物であれば良く、このような用途に周知のいかなるエポキシ化合物も利用することができる。中でも、現像性の面から、テクモアVG3101L((株)プリンテック)、jER157S70(三菱化学(株))、セロキサイド2021P((株)ダイセル)およびEHPE−3150((株)ダイセル)が好ましい。なお、(C1)及び(C2)は、それぞれ単独でも2種以上を利用してもよい。
成分(A)〜(C)の合計100重量部中の成分(C)の含有量は、2〜40重量部である。成分(C)の含有量が40重量部を超えると相溶性が悪化し、塗膜が白化するため、透明性が低下する。(C)成分の含有量のうち、必須の(C1)は少なくとも2重量部である。すなわち、(C1)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部中に2〜40重量部含まれ、透明性の面から好ましくは2〜20重量部含まれる。(C1)の含有量が2重量部を下回ると、十分なUV吸収性を発現することができない。一方、任意成分である(C2)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部中に0〜38重量部添加することができる。
<成分(D):光重合開始剤>
成分(D)は、UV照射によりラジカルを発生し、成分(A)および成分(B)の重合反応の起点となる成分であり、このような用途に周知のいかなる光重合開始剤も利用することができる。少ない露光量にて使用したい場合は、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](OXE−01:BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(OXE−02:(同))、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907:(同))および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure184:(同))が好ましい。
成分(D)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部含まれる。成分(D)の含有量が0.1重量部を下回るとUV照射による重合反応が進行せず、パターンを良好に形成することができなくなる。成分(D)の含有量が5重量部を上回ると、UV照射による重合反応の起点が多くなり過ぎるため、未露光部においても重合反応が進行し易くなり、パターン解像性が悪化する。また、UV照射による分解物が多くなるため透明性も悪化する。
<添加剤>
本発明の光硬化性樹脂組成物には、必要に応じてレベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、溶剤等を添加することができる。また、本発明の硬化を損なわない範囲において、クエンチング剤、炭酸ガス発生防止剤、可撓性付与剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、表面処理剤、難燃剤、帯電防止剤、イオントラップ剤、摺動性改良剤、耐衝撃性改良剤、揺変性付与剤、界面活性剤、表面張力低下剤、消泡剤、沈降防止剤、光拡散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、離型剤、蛍光剤等も添加することができる。
<レベリング剤>
レベリング剤は、得られる保護膜の外観を向上させる目的で配合されるものであって、シリコン系、フッ素系、アクリル系等を特に制限無く使用することができる。レベリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、シランを利用して有機材料と無機材料とを結合する連結剤である。有機材料と反応結合する官能基として、一般にビニル基、エポキシ基、アミノ基などを有する。これらシランカップリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は、IRGANOX1010(BASFジャパン(株))、IRGANOX1035(同)、IRGANOX1076(同)、IRGANOX1098(同)、IRGANOX1135(同)、IRGANOX1330(同)、IRGANOX1726(同)、IRGANOX1425WL(同)、IRGANOX1520L(同)、IRGANOX245(同)、IRGANOX259(同)、IRGANOX3114(同)、IRGANOX5057(同)、IRGANOX565(同)、IRGANOX295(同)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
<溶剤>
溶剤は、光硬化性樹脂組成物の使用に際して粘度等を調整する目的で添加される。具体的には、芳香族炭化水素、エーテル類、エステル及びエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、非プロトン性極性溶剤、グリコール誘導体等が挙げられる。これら溶剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
光硬化性樹脂組成物の混合方法は特に限定されず、全成分を同時に混合しても良いし、各成分を順次溶解しても良い。また、混合する際の投入順序や作業条件は特に制約されない。
<カラーフィルター保護膜の形成>
カラーフィルターは、上記光硬化性樹脂組成物を硬化した層を保護膜として備えており、当該硬化膜の254nmの光の透過率が0.05%以下であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物は、基板上に配置された着色層やブラックマトリックス層を覆うように塗布される。その塗布方法は特に限定されることは無く、グラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行った後、塗膜に所定のフォトマスクを介してパターン露光を行う。通常プリベーク温度は70〜140℃、時間は1〜5分程度であり、露光量は通常、10〜300mJ/cm程度である。露光後、アルカリ現像液で現像処理して未露光部の塗膜を溶解する。露光に用いられる光源としては、通常、g線、h線、i線等の紫外線であり、アルカリ現像液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が用いられる。また、現像法としては、パドル現像法、浸漬現像法、シャワー式現像法等が採用される。現像後、本硬化加熱(ポストベーク)を経て樹脂硬化物の層を形成する。通常、ポストベーク温度は、180〜280℃、時間は15分〜2時間である。加熱手法は特に限定されるものではなく、例えば密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
<カルボキシル基含有共重合体(A−1)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量300mLの4つ口フラスコに、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)を75.2重量部仕込み、攪拌しながら加熱して96℃に昇温した。次いで、96℃の温度で、(a1)としてアクリル酸(AA)を5.0重量部、(a2)としてヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を19.5重量部、(a3)としてブチルアクリレート(BA)55.7重量部、過酸化物系重合開始剤(日油(株)製「パーヘキシルO」)6.0重量部、およびEDM18.8重量部を予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。その後、96℃の温度を3時間維持した後、120℃に昇温し、120℃の温度を2時間維持した。その後、80℃に冷却し、(a4)として2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)19.8重量部およびメトキノン(MQ)0.04重量部を滴下し、滴下後80℃の温度で3時間維持した。その結果、重量平均分子量(Mw)16,000の、カルボキシル基含有共重合体(A−1)の50%EDM溶液を得た。
<カルボキシル基含有共重合体(A−2〜A−10)の合成>
下記表1に示す材料及び条件を用いて、A−1の合成と同様の方法でA−2〜A−10のカルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。なお、表1において組成(各成分の含有量)を示す数値は重量部である。
Figure 0006737027

表1中の略号は次の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:ヒドロキシプロピルメタクリレート
HBA:ヒドロキシブチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
DiPF:ジイソプロピルフマレート
St:スチレン
CHMI:シクロヘキシルマレイミド
AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート
MOI:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
パーヘキシルO:日油(株)製の過酸化物系重合開始剤
MQ:メトキノン(重合禁止剤)
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
なお、重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用いて、カラムとして東ソー(株)製「TSKgel HZM−M」を用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
<カルボキシル基含有共重合体(A′−1〜A′−6)の合成>
下記表2に示す材料及び条件を用いて、A−1の合成と同様の方法で、比較重合体であるA′−1、A′−2およびA′−6のカルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。A′−3、A′−4は、下記表2に示す材料及び条件を用いて(a4)′投入時にジメチルベンジルアミンを混合して滴下した以外はA−1の合成と同様の方法で、カルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。同様にA′−5は、下記表2に示す材料及び条件を用いて(a4)′投入時にピリジンを混合して滴下した以外はA−1の合成と同様の方法で、カルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。なお、表2において組成(各成分の含有量)を示す数値は重量部である。
Figure 0006737027

表1には記載されていない表2中の略号は次の通りである。
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
BeMA:ベンジルメタクリレート
TCDMA:トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート
DcHF:ジシクロヘキシルフマレート
GMA:グリシジルメタクリレート
DMBA:ジメチルベンジルアミン
<実施例1〜11、比較例1〜16>
各成分を下記表3および表4に示す配合量で溶解混合し、実施例1〜11及び比較例1〜16用のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物の塗工液を調製した。なお、表3および表4において、各成分の含有量を示す数値は重量部である。
Figure 0006737027

Figure 0006737027
表3及び表4中の略号及び化合物の構造は次の通りである。
[(B)多官能アクリル酸エステル]
PE-4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
DPE-6A:ジ ペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[(C1)ナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物]
(C1−1):
Figure 0006737027

(C1−2):
Figure 0006737027

(C1−3):
Figure 0006737027

(C1−4):大阪ガスケミカル(株)製ナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物、商品名「OGSOL CG-500」
[(C2)その他の多官能エポキシ化合物]
VG3101L:(株)プリンテック製エポキシ樹脂、商品名「テクモアVG3101L」
Ep−157:三菱化学(株)製エポキシ樹脂、商品名「jER 157S70」
Cel2021P:ダイセル化学工業(株)製エポキシ樹脂、商品名「セロキサイド2021P」
EHPE-3150:ダイセル化学工業(株)製エポキシ樹脂、商品名「EHPE−3150」
Ep−828:三菱化学(株)製エポキシ樹脂、商品名「jER 828」
(C2−1):
Figure 0006737027

(C2−2):
Figure 0006737027

(C2−3):
Figure 0006737027

[(D)光重合開始剤]
OXE−01:1、2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BSFジャパン(株)製)、商品名「IrgacureOXE01」
OXE−02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(同)、商品名「IrgacureOXE02」
[レベリング剤]
F−554:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−554」)
FTX−218:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「FTX−218」)
F−559:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−559」)
602A:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「フタージェント 602A」)
F−477:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−477」)
BYK−307:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:「BYK−307」)
[シランカップリング剤]
OFS−6040:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:「OFS−6040」)
X−41−1059A:シラン化合物(信越化学(株)製、商品名:「X−41−1059A」)
X−41−1053:シラン化合物(信越化学(株)製、商品名:「X−41−1053」)
[その他添加剤]
TINUVIN:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF製、商品名:「TINUVIN400」)
[溶剤]
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MMBA:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
EEP:エチルエトキシプロピオネート
得られた実施例1〜11および比較例1〜16用のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物の塗工液は、それぞれメンブレンフィルター(材質:PE、孔径:0.2μm)で濾過した後、更に中空系フィルター(材質:PP、孔径:0.02μm)で濾過した。濾過した塗工液を、スピンコーター(型式1H−DX−2、ミカサ(株)製)により10cm角の石英ガラスもしくは無アルカリガラス基板上に回転塗布した。塗布後、基板を90℃のクリーンオーブン中にて2分間乾燥処理して薄膜(A)を得た。この薄膜(A)にキヤノン(株)製g+h+i線マスクアライナー(PLA-501F)にてラインとスペース幅が1:1となった種々の線幅およびコンタクトホールのテストパターンをi線照度換算で40mJ/cm露光し、0.4wt%テトラヒドロキシアンモニウムヒドロキシドで23℃、60秒間現像することで、ラインとスペース幅が1:1のライン&スペースパターンおよびコンタクトホールパターンが形成された薄膜(B)を得た。この薄膜(B)を230℃のクリーンオーブンにて30分間加熱することにより、膜厚1.5μmの硬化膜を得た。薄膜(A)、薄膜(B)及び硬化膜を用いて、パターン解像性、現像残膜率、平坦性、UV吸収性、透明性、耐薬品性、透湿性、および密着性の評価を以下の方法で行った。その結果も表3及び表4に示した。
<パターン解像性>
上記の手順で作成した硬化膜の中で、10μmホールパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。コンタクトホール内部および端部ともに残渣が観られないものを◎、コンタクトホールの端部のみ残渣が観られるものは○、コンタクトホールの内部と端部の両方に残渣が観られるものを×と評価した。
<現像残膜率>
上述の手順で得られた薄膜(A)と薄膜(B)の膜厚から、以下の計算式より現像残膜率を算出した。
現像残膜率(%)=薄膜(B)の膜厚/薄膜(A)の膜厚×100
現像残膜率の評価は上記式で算出した値で評価し、表3及び4には当該現像残膜率(%)の値を示した。尚、現像残膜率が95%以上のものを◎、90%以上95%未満のものを○、90%を下回るものを×と評価する。
<平坦性>
平坦性評価用のダミーカラーフィルターにおいて、赤色画素と緑色画素中心部分の高さの差、赤色画素と青色画素中心部分の高さの差、および緑色画素と青色画素中心部分の高さの差(画素間段差)を求めた。引き続き、テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、膜厚が1.5±0.05μmのパターンのない硬化膜(保護膜)をダミーカラーフィルター上に形成したのちに、同一部分の赤色画素と緑色画素中心部分の高さの差、赤色画素と青色画素中心部分の高さの差、および緑色画素と青色画素中心部分の高さの差を求めた。これらの段差は触針式表面粗度計(型式EK4000AK、小坂研究所(株)製)にて測定した。保護膜塗布前の画素間段差の内、最大値を塗布前最大画素間段差(d1)とし、保護膜塗布後の画素間段差の内、最大値を塗布後最大画素間段差(d2)とし、これらのd1、d2から下記の計算式により、保護膜による平坦化率Xを求めた。
平坦化率X(%)=((d1)−(d2))/(d1)×100
平坦性の評価は上記式で算出した平坦化率の値で評価し、表3及び4には当該平坦化率X(%)の値を示した。尚、平坦化率X(%)が、90%以上のものは○、90%を下回るものは×と評価する。
<UV吸収性>
テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜を石英ガラス基板上に得た。この硬化膜付き基板を紫外−可視光分光光度計(型式UV−3700、(株)島津製作所製)を用いて波長200nm〜800nmまでスキャンし、光線透過率を測定した。UV吸収性の評価は254nmの透過率の値で評価し、表3及び4には当該透過率(%)を示した。本発明の目的に供するには、254nmの透過率0.05%以下が必要である。
<透明性>
テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜を無アルカリガラス基板上に得た。得られた基板をさらに230℃で60分間オーバーベークし、この硬化膜付き基板を紫外−可視光分光光度計(型式UV−3700、(株)島津製作所製)を用いて波長200nm〜800nmまでスキャンして光線透過率を測定した。透明性の評価は、380nm〜580nmの平均透過率の値で評価し、表3及び表4には当該平均透過率(%)の値を示した。尚、380nm〜580nmの平均透過率が98%以上のものを◎、95%以上及び98%未満のものは○、95%を下回るものを×と評価する。
<耐薬品性>
UV吸収性および透明性の試験と同様の手順で得た硬化膜付きガラス基板を、N−メチルピロリドン中に25℃、30分間浸漬し、浸漬前後の膜厚変化が5%以下のものを○、5%を超えるものを×と評価した。
<透湿性>
ポリイミドフィルム(カプトン100H:東レデュポン(株)製)で覆ったガラス基板を使用し、テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜をポリイミドフィルム上に得た。ガラス基板を取り除いた後、硬化膜付きポリイミドフィルムを用いて、JIS K 8123に記載のカップ法に準拠した方法にて透湿度を測定した。温度および相対湿度は40℃、90%で実施した。透湿性の評価は透湿度の値で評価し、表3及び表4には当該透湿度(g/m・24h)の値を示した。尚、透湿度が65g/m・24h以下のものを○、65g/m・24hを超えるものを×と評価する。
<密着性>
UV吸収性および透明性の試験と同様の手順で得た硬化膜付き基板をプレッシャークッカー試験(PCT)に通した後、JIS K 5600−5−6:1999 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)に準拠した方法にて密着性を評価した。PCTの条件は、120℃、湿度100%、圧力2気圧、試験時間6時間で実施した。カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがないものを◎、カットの交差点における塗膜の小さなはがれが観られるものを○、塗膜がカットの縁に沿って部分的又は全面的にはがれが観られるものを×と評価した。
表3の結果から、実施例1〜11では、成分(A)〜(D)を適量含有し、且つ成分(C)に特定構造の(C1)を所定量含有することで、従来から求められていたパターン解像性、現像残膜率、平坦性、透明性、耐薬品性、透湿性、密着性を維持しながら、優れたUV吸収性が得られていた。
一方、表4の結果から、比較例1は、成分(A)中の(a2)および(a4)の含有量が過少のため、パターン解像性と耐薬品性が悪化した。比較例2は、成分(A)中の(a1)の含有量が過少のため、パターン解像性が悪化した。また、成分(A)中の(a2)および(a4)の含有量が過多のため、密着性も悪化した。比較例3は、成分(A)の含有量が過少のためパターン解像性と現像残膜率が悪化した。比較例4は、成分(A)の含有量が過多のため透湿性と密着性が悪化した。比較例5〜7は成分(A)中に(a4)を含まないため、平坦性が悪化した。また、比較例5〜7に観られる透明性の悪化は、A′−3、A′−4を合成する際に使用したDMBA、並びにA′−5を合成する際に使用したピリジンによる影響である。比較例8〜13は、成分(C)に(C1)ナフチル基含有フルオレン型エポキシを含有しないため、UV吸収性が悪化した。また、比較例13の結果から、(C1)ナフチル基含有フルオレン型エポキシの代わりに一般の紫外線吸収剤を通常使用される添加量で用いても、本発明の目的とするUV吸収性は発現できないことが確認された。比較例14は(C1)ナフチル基含有フルオレン型エポキシの含有量が過少のため、UV吸収性が悪化した。比較例15及び16は、成分(C)の含有量、すなわち(C1)と(C2)の合計量が過多のため、相溶性が悪くなり、平坦性および透明性が悪化した。

Claims (3)

  1. 下記成分(A)、成分(B)多官能アクリル酸エステル、成分(C)多官能エポキシ化合物および成分(D)光重合開始剤を含むカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物であって、
    成分(A)を15〜60重量部、成分(B)を30〜60重量部、成分(C)を2〜40重量部、および成分(D)を成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部含有し、
    成分(C)は、その含有量のうち少なくとも2重量部が下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物である、カラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物。
    成分(A):
    (a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、
    (a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および
    (a3)(a1)と(a2)以外の炭素−炭素不飽和結合を有するモノマー
    からなる共重合体と、
    (a4)炭素―炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
    の反応物であり、
    (a1)を5〜25重量%、(a2)を10〜40重量%、(a3)を10〜70重量%および(a4)を10〜40重量%含み、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%となるカルボキシル基含有共重合体
    Figure 0006737027

    (Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。)
  2. (a3)は、下記式(2)〜(5)で表されるモノマーのいずれか1種または複数種である、請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006737027

    (Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
    Figure 0006737027

    (RおよびRは、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
    Figure 0006737027

    (RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
    Figure 0006737027

    (Rは、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
  3. 請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物を硬化した保護膜を有するカラーフィルター。
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