JP6737027B2 - 光硬化性樹脂組成物およびその硬化膜を備えるカラーフィルター - Google Patents
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Description
さらにフォトスペーサーや配向膜が形成される。当該フォトスペーサーや配向膜は、塗工
液の状態で保護膜上に塗布されるが、その際、塗布性(リコート性)向上のため、保護膜
表面に対し塗布前洗浄が行われる。この塗布前洗浄にはUVオゾン洗浄が広く使用されて
おり、保護膜はフォトスペーサーや配向膜の塗布前洗浄時に光源である低圧水銀灯から発
せられる、主に185nmと254nmのUV光に曝される。このとき、254nmの光
は185nmの光と比較して強度が強く、且つ吸収されにくいため、保護膜のUV吸収性
が不十分だと、保護膜の下層(RGB画素)に254nmの光が到達してRGB画素の劣
化を招く恐れがある。
成分(A)を15〜60重量部、成分(B)を30〜60重量部、成分(C)を2〜40重量部、および成分(D)を成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部含有し、
成分(C)は、その含有量のうち少なくとも2重量部が下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物である、カラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物である。
成分(A):
(a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、
(a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および
(a3)(a1)と(a2)以外の炭素―炭素不飽和結合を有するモノマー
からなる共重合体と、
(a4)炭素―炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
の反応物であり、
(a1)を5〜25重量%、(a2)を10〜40重量%、(a3)を10〜70重量%および(a4)を10〜40重量%含み、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%となるカルボキシル基含有共重合体
(Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。)
(R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
(R7は、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、その硬化物がカラーフィルター用保護膜として好適に使用できるものであって、成分(A)カルボキシル基含有共重合体、成分(B)多官能アクリル酸エステル、成分(C)多官能エポキシ化合物および成分(D)光重合開始剤を含む。
成分(A)は、(a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、(a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および(a3)(a1)と(a2)以外の炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーを重合して得られる共重合体に、(a4)炭素−炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物を反応させて得ることができる。その際、成分(A)における(a1)の含有量が5〜25重量%、(a2)の含有量が10〜40重量%、(a3)の含有量が10〜70重量%および(a4)の含有量が10〜40重量%であって、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%であれば、パターン解像性、透明性、透湿性、耐薬品性、密着性等の良好な基本的物性を維持したまま、良好な平坦性が得られる。なお、(a1)〜(a4)は、それぞれ単独でも2種以上を併用しても良い。成分(A)の重合態様としては、直鎖状であっても分岐していても良い。分岐している重合態様とは、例えば、成長が終了している重合体のメチレン水素が、重合開始剤由来のラジカルに引き抜かれると炭素上にラジカルが発生し、そのラジカルが成長過程の重合体と再結合する場合である。
(a1)は、炭素−炭素不飽和結合と、カルボキシル基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a1)は、光硬化性樹脂組成物の現像工程において、現像液への溶解性に関与する成分である。中でも、アクリル酸およびメタクリル酸がパターン解像性の観点から好ましい。
(a2)は、炭素−炭素不飽和結合と、ヒドロキシル基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a2)は、自身が有するヒドロキシル基と(a4)のイソシアネート基との反応により、(a4)が有する炭素−炭素不飽和結合を成分(A)に導入するための成分である。(a2)は、パターン解像性の面から、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピルが好ましい。
(a3)は、炭素−炭素不飽和結合を有し、(a1)および(a2)に該当しない化合物であれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a3)としては、光硬化性樹脂組成物の硬化膜の透明性、耐熱性、硬度等の物性を向上することができるモノマーが周知であるため、目的に応じて適宜選択すれば良く、中でも下記式(2)〜(5)で表されるモノマーが好ましい。
(R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
(R7は、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基又は炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(a3)は、(a1)〜(a4)の合計量100重量%中に10〜70重量%含まれる。(a3)の含有量が10重量%を下回ると、成分(A)の親水性が高くなり過ぎるため現像残膜率が低下する。(a3)の含有量が70重量%を上回ると、成分(A)の疎水性が高くなり過ぎるためパターン解像性が悪化する傾向がある。
(a4)は、炭素−炭素不飽和結合と、イソシアネート基とを有していれば良く、このような用途に周知のいかなるモノマーも利用することができる。(a4)は自身が有するイソシアネート基と(a2)のヒドロキシル基との反応により、炭素−炭素不飽和結合を成分(A)に導入するための成分であり、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI:昭和電工(株)製)および2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI:昭和電工(株)製)がパターン解像性の面から好ましい。
成分(B)は、2官能以上のアクリル酸エステルであれば良く、このような用途に周知のいかなる化合物も利用することができ、2種以上を併用しても良い。成分(B)は炭素−炭素不飽和結合を有するため、成分(A)と同様に、フォトマスクを介した露光、現像を行うことにより光硬化性樹脂組成物の硬化膜にパターンを形成することができる。パターンを形成する際、パターン解像性を高めたい場合は、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE−3A:共栄社化学(株)製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ライトアクリレートPE−4A:共栄社化学(株)製)およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ライトアクリレートDPE−6A:共栄社化学(株)製)が好ましい。
成分(C)は、(C1)下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物を必須とし、(C2)その他の多官能エポキシ化合物を任意に混ぜても良い。すなわち、(C)は、(C1)のみで構成することもできるし、(C1)と(C2)の混合物とすることもできる。
(Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。)
成分(D)は、UV照射によりラジカルを発生し、成分(A)および成分(B)の重合反応の起点となる成分であり、このような用途に周知のいかなる光重合開始剤も利用することができる。少ない露光量にて使用したい場合は、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](OXE−01:BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(OXE−02:(同))、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure907:(同))および1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure184:(同))が好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物には、必要に応じてレベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、溶剤等を添加することができる。また、本発明の硬化を損なわない範囲において、クエンチング剤、炭酸ガス発生防止剤、可撓性付与剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、表面処理剤、難燃剤、帯電防止剤、イオントラップ剤、摺動性改良剤、耐衝撃性改良剤、揺変性付与剤、界面活性剤、表面張力低下剤、消泡剤、沈降防止剤、光拡散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、離型剤、蛍光剤等も添加することができる。
レベリング剤は、得られる保護膜の外観を向上させる目的で配合されるものであって、シリコン系、フッ素系、アクリル系等を特に制限無く使用することができる。レベリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
シランカップリング剤は、シランを利用して有機材料と無機材料とを結合する連結剤である。有機材料と反応結合する官能基として、一般にビニル基、エポキシ基、アミノ基などを有する。これらシランカップリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
酸化防止剤は、IRGANOX1010(BASFジャパン(株))、IRGANOX1035(同)、IRGANOX1076(同)、IRGANOX1098(同)、IRGANOX1135(同)、IRGANOX1330(同)、IRGANOX1726(同)、IRGANOX1425WL(同)、IRGANOX1520L(同)、IRGANOX245(同)、IRGANOX259(同)、IRGANOX3114(同)、IRGANOX5057(同)、IRGANOX565(同)、IRGANOX295(同)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
溶剤は、光硬化性樹脂組成物の使用に際して粘度等を調整する目的で添加される。具体的には、芳香族炭化水素、エーテル類、エステル及びエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、非プロトン性極性溶剤、グリコール誘導体等が挙げられる。これら溶剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
カラーフィルターは、上記光硬化性樹脂組成物を硬化した層を保護膜として備えており、当該硬化膜の254nmの光の透過率が0.05%以下であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物は、基板上に配置された着色層やブラックマトリックス層を覆うように塗布される。その塗布方法は特に限定されることは無く、グラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行った後、塗膜に所定のフォトマスクを介してパターン露光を行う。通常プリベーク温度は70〜140℃、時間は1〜5分程度であり、露光量は通常、10〜300mJ/cm2程度である。露光後、アルカリ現像液で現像処理して未露光部の塗膜を溶解する。露光に用いられる光源としては、通常、g線、h線、i線等の紫外線であり、アルカリ現像液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が用いられる。また、現像法としては、パドル現像法、浸漬現像法、シャワー式現像法等が採用される。現像後、本硬化加熱(ポストベーク)を経て樹脂硬化物の層を形成する。通常、ポストベーク温度は、180〜280℃、時間は15分〜2時間である。加熱手法は特に限定されるものではなく、例えば密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
<カルボキシル基含有共重合体(A−1)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量300mLの4つ口フラスコに、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)を75.2重量部仕込み、攪拌しながら加熱して96℃に昇温した。次いで、96℃の温度で、(a1)としてアクリル酸(AA)を5.0重量部、(a2)としてヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を19.5重量部、(a3)としてブチルアクリレート(BA)55.7重量部、過酸化物系重合開始剤(日油(株)製「パーヘキシルO」)6.0重量部、およびEDM18.8重量部を予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。その後、96℃の温度を3時間維持した後、120℃に昇温し、120℃の温度を2時間維持した。その後、80℃に冷却し、(a4)として2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)19.8重量部およびメトキノン(MQ)0.04重量部を滴下し、滴下後80℃の温度で3時間維持した。その結果、重量平均分子量(Mw)16,000の、カルボキシル基含有共重合体(A−1)の50%EDM溶液を得た。
下記表1に示す材料及び条件を用いて、A−1の合成と同様の方法でA−2〜A−10のカルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。なお、表1において組成(各成分の含有量)を示す数値は重量部である。
表1中の略号は次の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:ヒドロキシプロピルメタクリレート
HBA:ヒドロキシブチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
DiPF:ジイソプロピルフマレート
St:スチレン
CHMI:シクロヘキシルマレイミド
AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート
MOI:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
パーヘキシルO:日油(株)製の過酸化物系重合開始剤
MQ:メトキノン(重合禁止剤)
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
下記表2に示す材料及び条件を用いて、A−1の合成と同様の方法で、比較重合体であるA′−1、A′−2およびA′−6のカルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。A′−3、A′−4は、下記表2に示す材料及び条件を用いて(a4)′投入時にジメチルベンジルアミンを混合して滴下した以外はA−1の合成と同様の方法で、カルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。同様にA′−5は、下記表2に示す材料及び条件を用いて(a4)′投入時にピリジンを混合して滴下した以外はA−1の合成と同様の方法で、カルボキシル基含有共重合体の溶液を得た。なお、表2において組成(各成分の含有量)を示す数値は重量部である。
表1には記載されていない表2中の略号は次の通りである。
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
BeMA:ベンジルメタクリレート
TCDMA:トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート
DcHF:ジシクロヘキシルフマレート
GMA:グリシジルメタクリレート
DMBA:ジメチルベンジルアミン
各成分を下記表3および表4に示す配合量で溶解混合し、実施例1〜11及び比較例1〜16用のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物の塗工液を調製した。なお、表3および表4において、各成分の含有量を示す数値は重量部である。
[(B)多官能アクリル酸エステル]
PE-4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
DPE-6A:ジ ペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[(C1)ナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物]
(C1−1):
(C1−2):
(C1−3):
(C1−4):大阪ガスケミカル(株)製ナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物、商品名「OGSOL CG-500」
[(C2)その他の多官能エポキシ化合物]
VG3101L:(株)プリンテック製エポキシ樹脂、商品名「テクモアVG3101L」
Ep−157:三菱化学(株)製エポキシ樹脂、商品名「jER 157S70」
Cel2021P:ダイセル化学工業(株)製エポキシ樹脂、商品名「セロキサイド2021P」
EHPE-3150:ダイセル化学工業(株)製エポキシ樹脂、商品名「EHPE−3150」
Ep−828:三菱化学(株)製エポキシ樹脂、商品名「jER 828」
(C2−1):
(C2−2):
(C2−3):
[(D)光重合開始剤]
OXE−01:1、2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BSFジャパン(株)製)、商品名「IrgacureOXE01」
OXE−02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(同)、商品名「IrgacureOXE02」
[レベリング剤]
F−554:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−554」)
FTX−218:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「FTX−218」)
F−559:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−559」)
602A:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「フタージェント 602A」)
F−477:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F−477」)
BYK−307:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:「BYK−307」)
[シランカップリング剤]
OFS−6040:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:「OFS−6040」)
X−41−1059A:シラン化合物(信越化学(株)製、商品名:「X−41−1059A」)
X−41−1053:シラン化合物(信越化学(株)製、商品名:「X−41−1053」)
[その他添加剤]
TINUVIN:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF製、商品名:「TINUVIN400」)
[溶剤]
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MMBA:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
EEP:エチルエトキシプロピオネート
上記の手順で作成した硬化膜の中で、10μmホールパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。コンタクトホール内部および端部ともに残渣が観られないものを◎、コンタクトホールの端部のみ残渣が観られるものは○、コンタクトホールの内部と端部の両方に残渣が観られるものを×と評価した。
上述の手順で得られた薄膜(A)と薄膜(B)の膜厚から、以下の計算式より現像残膜率を算出した。
現像残膜率(%)=薄膜(B)の膜厚/薄膜(A)の膜厚×100
現像残膜率の評価は上記式で算出した値で評価し、表3及び4には当該現像残膜率(%)の値を示した。尚、現像残膜率が95%以上のものを◎、90%以上95%未満のものを○、90%を下回るものを×と評価する。
平坦性評価用のダミーカラーフィルターにおいて、赤色画素と緑色画素中心部分の高さの差、赤色画素と青色画素中心部分の高さの差、および緑色画素と青色画素中心部分の高さの差(画素間段差)を求めた。引き続き、テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、膜厚が1.5±0.05μmのパターンのない硬化膜(保護膜)をダミーカラーフィルター上に形成したのちに、同一部分の赤色画素と緑色画素中心部分の高さの差、赤色画素と青色画素中心部分の高さの差、および緑色画素と青色画素中心部分の高さの差を求めた。これらの段差は触針式表面粗度計(型式EK4000AK、小坂研究所(株)製)にて測定した。保護膜塗布前の画素間段差の内、最大値を塗布前最大画素間段差(d1)とし、保護膜塗布後の画素間段差の内、最大値を塗布後最大画素間段差(d2)とし、これらのd1、d2から下記の計算式により、保護膜による平坦化率Xを求めた。
平坦化率X(%)=((d1)−(d2))/(d1)×100
平坦性の評価は上記式で算出した平坦化率の値で評価し、表3及び4には当該平坦化率X(%)の値を示した。尚、平坦化率X(%)が、90%以上のものは○、90%を下回るものは×と評価する。
テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜を石英ガラス基板上に得た。この硬化膜付き基板を紫外−可視光分光光度計(型式UV−3700、(株)島津製作所製)を用いて波長200nm〜800nmまでスキャンし、光線透過率を測定した。UV吸収性の評価は254nmの透過率の値で評価し、表3及び4には当該透過率(%)を示した。本発明の目的に供するには、254nmの透過率0.05%以下が必要である。
テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜を無アルカリガラス基板上に得た。得られた基板をさらに230℃で60分間オーバーベークし、この硬化膜付き基板を紫外−可視光分光光度計(型式UV−3700、(株)島津製作所製)を用いて波長200nm〜800nmまでスキャンして光線透過率を測定した。透明性の評価は、380nm〜580nmの平均透過率の値で評価し、表3及び表4には当該平均透過率(%)の値を示した。尚、380nm〜580nmの平均透過率が98%以上のものを◎、95%以上及び98%未満のものは○、95%を下回るものを×と評価する。
UV吸収性および透明性の試験と同様の手順で得た硬化膜付きガラス基板を、N−メチルピロリドン中に25℃、30分間浸漬し、浸漬前後の膜厚変化が5%以下のものを○、5%を超えるものを×と評価した。
ポリイミドフィルム(カプトン100H:東レデュポン(株)製)で覆ったガラス基板を使用し、テストパターンを用いない以外は前述の硬化膜作成方法に従い、パターンのない硬化膜をポリイミドフィルム上に得た。ガラス基板を取り除いた後、硬化膜付きポリイミドフィルムを用いて、JIS K 8123に記載のカップ法に準拠した方法にて透湿度を測定した。温度および相対湿度は40℃、90%で実施した。透湿性の評価は透湿度の値で評価し、表3及び表4には当該透湿度(g/m2・24h)の値を示した。尚、透湿度が65g/m2・24h以下のものを○、65g/m2・24hを超えるものを×と評価する。
UV吸収性および透明性の試験と同様の手順で得た硬化膜付き基板をプレッシャークッカー試験(PCT)に通した後、JIS K 5600−5−6:1999 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)に準拠した方法にて密着性を評価した。PCTの条件は、120℃、湿度100%、圧力2気圧、試験時間6時間で実施した。カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがないものを◎、カットの交差点における塗膜の小さなはがれが観られるものを○、塗膜がカットの縁に沿って部分的又は全面的にはがれが観られるものを×と評価した。
Claims (3)
- 下記成分(A)、成分(B)多官能アクリル酸エステル、成分(C)多官能エポキシ化合物および成分(D)光重合開始剤を含むカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物であって、
成分(A)を15〜60重量部、成分(B)を30〜60重量部、成分(C)を2〜40重量部、および成分(D)を成分(A)〜(C)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部含有し、
成分(C)は、その含有量のうち少なくとも2重量部が下記式(1)の構造を有するナフチル基含有フルオレン型エポキシ化合物である、カラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物。
成分(A):
(a1)炭素−炭素不飽和結合とカルボキシル基を有するモノマー、
(a2)炭素−炭素不飽和結合とヒドロキシル基を有するモノマー、および
(a3)(a1)と(a2)以外の炭素−炭素不飽和結合を有するモノマー
からなる共重合体と、
(a4)炭素―炭素不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
の反応物であり、
(a1)を5〜25重量%、(a2)を10〜40重量%、(a3)を10〜70重量%および(a4)を10〜40重量%含み、(a1)〜(a4)の合計量が100重量%となるカルボキシル基含有共重合体
(Xは炭素数が2〜3のアルキレン基であり、nは0または1の整数である。) - (a3)は、下記式(2)〜(5)で表されるモノマーのいずれか1種または複数種である、請求項1に記載のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物。
(R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数が1〜8の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R3およびR4は、それぞれ独立して炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。)
(R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。)
(R7は、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基または炭素数6〜10のシクロアルキル基である。) - 請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルター保護膜用光硬化性樹脂組成物を硬化した保護膜を有するカラーフィルター。
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