JP6735188B2 - 粒状洗剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、界面活性剤を含有する粒子のほかに、無機塩を含有する粒子を配合するなど、主成分が異なる複数種の粒子(以下、多粒子ともいう。)を混合した粒状洗剤が各種提案されている。かかる多粒子の混合物からなる粒状洗剤にあっては、製造時に均一に混合しても、輸送時の振動によって分級が生じ、製品を使用する際に、安定した性能が発揮されなくなる場合がある。具体的には、容器の上層と下層とで、粒状洗剤(混合物)の成分組成が異なってしまうという課題がある。
特許文献2には、界面活性剤を含有する粒子群と、非潮解性中性塩を含有する粒子群の混合物において、各粒子群の粒径と混合比を制御することによって、冷水での溶解性を改善する方法が記載されている。
特許文献3には、界面活性剤を含有する粒子群と、漂白剤粒子の粒子群と、水溶性サルフェートの粒子群との混合物において、各粒子群の粒径と混合比を制御することによって、流動性を改善する方法が記載されている。
本発明は、振動分級抑制性が良好な粒状洗剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
[1] 下記粒子群(A)を30〜85質量%、下記粒子群(B)を5〜30質量%、下記粒子群(C)を10〜40質量%含むことを特徴とする、粒状洗剤。
粒子群(A):界面活性剤を含有し、水溶性無機塩の含有量が80質量%未満である界面活性剤含有粒子(a)の群であり、平均粒子径が100〜700μm、嵩密度が0.7〜1.1kg/Lである粒子群。
粒子群(B):水溶性無機塩を80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(b)の群であり、平均粒子径が600μm以上、嵩密度が1.2kg/L以下である粒子群。
粒子群(C):炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれる1種以上を合計で80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群であり、平均粒子径が100〜500μm、嵩密度が1.3kg/L以下である粒子群。
[2] 粒子群(B)の含有量に対する、粒子群(C)の含有量の質量比を表す(C)/(B)が1以上、4未満である、[1]の粒状洗剤。
[3] 上記粒子群(A)30〜85質量%と、上記粒子群(B)5〜30質量%と、上記粒子群(C)10〜40質量%を粉体混合することを特徴とする、粒状洗剤の製造方法。
[5]前記水溶性無機塩含有粒子(c)が、炭酸水素ナトリウムおよび塩化ナトリウムの一方または両方を合計で80質量%以上含有する、[1]または[2]の粒状洗剤。
本発明において、嵩密度はJIS K3362(2008)に従って測定される値である。
[粒度分布および平均粒子径の測定方法]
本発明において、粒度分布および平均粒子径は以下の篩い分け法で測定した値である。
平均粒子径は、目開き1400μm、1180μm、1000μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm及び75μmの10段の篩と、受け皿とを用いた分級操作により測定する。
分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1400μmの篩の上から100g/回の試料を入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩上及び受け皿上に残留した試料(分級サンプル)を篩目ごとに回収する。各粒子径の分級サンプルの質量を測定し、質量頻度(%)を算出する。
平均粒子径を求める場合は、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とし、下記(1)式により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これを平均粒子径とする。
本発明の粒状洗剤は、粒子群(A)と粒子群(B)と粒子群(C)を含有する粒状の組成物である。
粒子群(A)を構成する界面活性剤含有粒子(a)と、粒子群(B)を構成する水溶性無機塩含有粒子(b)と、粒子群(C)を構成する水溶性無機塩含有粒子(c)はそれぞれ独立した粒子として存在している。
粒子群(A)は、界面活性剤を含有し、水溶性無機塩の含有量が80質量%未満である界面活性剤含有粒子(a)の群である。粒子群(A)を構成する界面活性剤含有粒子(a)は1種単独でもよく、組成が異なる2種以上を組み合わせてもよい。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、特に限定されず、粒状洗剤等に配合されている界面活性剤を使用でき、例えばアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
中でもアニオン界面活性剤の1種以上およびノニオン界面活性剤の1種以上の一方または両方を含むことが好ましい。
(1−1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の種類は特に制限されない。下記式(1)で表されるものが好ましい。
R1−CH(SO3M)−COOR2 ・・・(1)
式(1)中、R1は、炭素数8〜20、好ましくは炭素数14〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜3であることが好ましい。洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩として、例えばα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(MES)が好ましい。
(1−3)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(1−4)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(1−5)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(1−6)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(1−7)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(1−8)炭素数2〜4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(1−9)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(1−10)炭素数10〜20のアルキル基を有するモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(1−11)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(1−12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。
アニオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(2−1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル、さらに好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2−2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(2−3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(2−4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(2−5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(2−6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(2−7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(2−8)グリセリン脂肪酸エステル。
(3−1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3−2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3−3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
界面活性剤含有粒子(a)は、粒子の流動性や製造性の点で、界面活性剤に加えて、水溶性無機塩を含むことが好ましい。
水溶性無機塩としては、洗浄性ビルダー等として粒状洗剤に通常使用される水溶性無機塩を使用できる。
例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状ケイ酸ナトリウム、非晶質アルカリ金属ケイ酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属ケイ酸塩の複合体等が挙げられる。
これらの水溶性無機塩は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムとしては、無水物が好適に使用される。本明細書における「炭酸ナトリウム」、「硫酸ナトリウム」との記載は、無水物を指す。
粒子群(A)中での界面活性剤に対する水溶性無機塩の質量比(水溶性無機塩/界面活性剤)が1〜5となる範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2〜3である。水溶性無機塩/界面活性剤が上記の範囲内であると、該粒子群(A)を用いて製造された粒状洗剤の水への溶解性が優れるとともに、流動性も良好となりやすい。また、水溶性無機塩/界面活性剤が1以上であると、界面活性剤濃度を低く抑えつつ、優れた洗浄力を得ることができる。また、水溶性無機塩/界面活性剤が5以下であると、粒子群(A)の製造(造粒)を問題なく行うことができる。
界面活性剤含有粒子(a)は、必要に応じて、界面活性剤および水溶性無機塩以外の他の任意成分をさらに含有してもよい。該他の任意成分としては、粒状洗剤に配合される公知の成分を用いることができ、例えば有機ビルダー、水不溶性無機塩、蛍光剤、ポリマー類、酵素安定剤、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等が挙げられる。
界面活性剤含有粒子(a)中の有機ビルダーの含有量は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量に対し、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
これらの中でもゼオライトが、洗浄力の向上に寄与するビルダーとして好適に用いられる。ゼオライトとはアルミノケイ酸塩の総称であり、アルミノケイ酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれも用いることができる。カチオン交換能の点から結晶性アルミノケイ酸塩が好ましい。結晶性アルミノケイ酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適である。
界面活性剤含有粒子(a)中のゼオライトの含有量は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量に対し、1〜15質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、ゼオライトを用いたことによる洗浄力向上効果が得られやすく、上限値以下であると、ゼオライトを用いたことによるすすぎ性悪化などが生じにくい。
ただし、粒子群(A)中のゼオライトの含有量は、粒状洗剤の見た目の溶解性の観点からも、粒状洗剤中の水不溶成分(ゼオライト等)の総含有量が粒状洗剤の総質量に対して10質量%未満になる範囲内とすることが好ましい。
粒子群(A)の嵩密度は0.7〜1.1kg/Lであり、0.8〜1.1kg/Lが好ましく、0.8〜1.0kg/Lがより好ましい。粒子群(A)の嵩密度が上記範囲の下限値以上であると粒状洗剤の流動性をより高められ、上限値以下であると分級をより良好に抑制できる。
例えば、粒子群(A)を構成する原料(界面活性剤、任意成分)の一部を水に分散・溶解して噴霧乾燥用スラリーを調製し(スラリー調製工程)、噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥機により乾燥して噴霧乾燥粒子を得る(噴霧乾燥工程)。ついで、得られた噴霧乾燥粒子を残りの原料と共に造粒する(造粒工程)。これにより、粒子群(A)が得られる。その後、必要に応じて粒子群(A)を篩い分けて、所望する平均粒子径、粒度分布に調整してもよい(篩分工程)。
粒子群(B)は、水溶性無機塩を80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(b)の群である。ただし、炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物の合計の含有量が80質量%以上である粒子は、水溶性無機塩含有粒子(b)には含まれず、後述の水溶性無機塩含有粒子(c)に該当する。
粒子群(B)を構成する水溶性無機塩含有粒子(b)は1種単独でもよく、組成が異なる2種以上を組み合わせてもよい。
バインダーとしては有機水溶性高分子化合物又は無機水溶性高分子化合物が用いられる。有機水溶性高分子化合物と無機水溶性高分子化合物を併用してもよい。
有機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する高分子化合物である。このような有機水溶性高分子化合物であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
有機水溶性高分子化合物としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物及び合成高分子化合物等が挙げられる。具体的にはビニル系高分子化合物、多糖類、ポリエーテル系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ペプチド系高分子化合物、ポリウレタン、及びそれらの誘導体等を用いることができる。この中でも、ビニル系高分子化合物、多糖類、その誘導体及びポリエステル系高分子化合物から選ばれる1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
ビニル系高分子化合物としては、例えば、ビニル系ポリカルボン酸塩類(アクリル酸系高分子化合物)、ビニル系ポリスルホン酸塩、ポリビニルピリジン塩、ポリビニルイミダゾリウム塩等が挙げられる。多糖類としては、各種天然又は合成多糖類を用いることができる。
ペプチド系高分子化合物又はその誘導体の具体例としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、ポリリジン、ポリアルギニン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリウレタンとしては、例えば、水溶性ポリウレタン等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール等のその他の水溶性高分子化合物も用いることができる。
アニオン性基を有する水溶性有機高分子化合物としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基を有する高分子化合物、アニオン性基を有する水溶性多糖類が挙げられる。カルボキシル基を有する水溶性有機高分子化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メタクリル酸、フマル酸、2−ヒドロキシアクリル酸、シトラコン酸等のモノマーを重合させてなるポリマー及びその塩、並びにこれらのモノマーとその他のビニル系モノマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリカルボン酸(塩)が挙げられる。スルホ基を有する水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のモノマーを重合してなるモノマー及びその塩、並びにこれらのポリマーとその他のビニル系ポリマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリスルホン酸(塩)等が挙げられる。アニオン性基を有する水溶性多糖類としては、例えば、ポリウロン酸塩、アルギン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、カラゲーナン、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ノニオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリエチレングリコール等の合成高分子化合物、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストラン、プルラン等の多糖類が挙げられる。
無機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する化合物である。このような無機水溶性高分子化合物であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。無機水溶性高分子化合物としては、金属アルコキシドの前駆体化合物を含む溶液を加水分解・縮重合反応することによって得られるものが好ましく、特に珪酸塩が好ましい。
珪酸塩は古くから石鹸に配合され、水ガラスとして知られており、その構造に基づき、陰イオンの形による分類に従って分類することができる(Friedrich Liebau,“Structural Chemistry of Silicates” p72,Springer−Verlag,1985年発行)。
詳細には、Siに結合する酸素の架橋酸素数(Si−O−Si)で分類でき、その架橋酸素数が4、3、2、1、0に対応して、それぞれQ4、Q3、Q2、Q1、Q0ユニットに分類される(Y.Tsunawaki,N.Iwamoto,T.Hattori and A.Mitsubishi,J.Non−Cryst.Solids,vol44,p369(1981))。
珪酸塩としては、処理効果を充分に発揮する点から、Q2ユニット及び/又はQ3ユニットを含み、SiO2/M2Oモル比(ここで、Mはアルカリ金属を示す)が1.6〜4、好ましくは2〜3.5を有するアルカリ金属珪酸塩が好ましく、珪酸ナトリウムがより好ましい。
バインダーの使用量について、有機水溶性高分子化合物は、水溶性無機塩の粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。無機水溶性高分子化合物は、造粒物に対して0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
造粒に用いる水溶性無機塩の粒子の平均粒子径は100〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
水溶性無機塩含有粒子(b)は、水溶性無機塩の結晶からなる粒子、または水溶性無機塩とバインダーとからなる粒子(製造上不可避の不純物を含んでもよい)であることが好ましい。
粒子群(B)の嵩密度は1.2kg/L以下であり、0.8〜1.2kg/Lが好ましく、0.9〜1.2kg/Lがより好ましい。粒子群(B)の嵩密度が上記範囲の下限値以上であると粒状洗剤の流動性をより高められ、上限値以下であると分級をより良好に抑制できる。
粒子群(B)の粒度分布(横軸:粒子径(μm)、縦軸:頻度(質量%))において、複数のピークが存在してもよい。例えば、モード径が粒子群(A)の平均粒子径(φa)より大きい第1のピークと、モード径が粒子群(A)の平均粒子径(φa)より小さい第2のピークが存在してもよい。第1のピークのモード径における頻度(ピークトップ)をp1、第2のピークのモード径における頻度(ピークトップ)をp2とするときp1/p2の質量比が2.5以上〜10未満であることが好ましく、3超〜10未満であることがより好ましい。
水溶性無機塩含有粒子(b)が水溶性無機塩およびバインダーを含む造粒物であるとき、例えば(1)水溶性無機塩の粒子にバインダーおよび水を添加し、撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法、(2)水溶性無機塩の粒子を転動させつつバインダーおよび水を噴霧して造粒する転動造粒法、(3)水溶性無機塩の粒子を流動化させつつ、バインダーおよび水を噴霧し造粒する流動層造粒法等が挙げられる。複数の造粒方法を組み合わせてもよい。造粒物は必要に応じて乾燥され、分級されて所望の粒度の粒子群(B)が得られる。
例えば、特開2006−117838号公報の段落[0052]〜[0058]に記載されている撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法を用いることができる。
粒子群(C)は、炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれる1種以上を合計で80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群である。
粒子群(C)を構成する界面活性剤含有粒子(c)は1種単独でもよく、組成が異なる2種以上を組み合わせてもよい。
水溶性無機塩含有粒子(c)中の、水溶性無機塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムが好ましい。
水溶性無機塩含有粒子(c)中の炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物の合計の含有量は、水溶性無機塩含有粒子(c)の総質量、すなわち粒子群(C)の総質量に対し、80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
水溶性無機塩含有粒子(c)は、炭酸水素アルカリ金属塩またはアルカリ金属塩化物の結晶からなる粒子であることが好ましい。
粒子群(C)の嵩密度は1.3kg/L以下であり、0.8〜1.3kg/Lが好ましく、0.9〜1.25kg/Lがより好ましく、0.9〜1.2kg/Lがさらに好ましい。粒子群(C)の嵩密度が上記範囲の下限値以上であると粒状洗剤の流動性をより高められ、上限値以下であると分級をより良好に抑制できる。
(C)/(B)が上記範囲の下限値以上であると低温洗濯時の洗剤の凝集を抑制しやすく、上限値以下であると粒状洗剤の流動性をより高められる。
本発明の粒状粒子において、粒子群(B)と粒子群(C)の合計の含有量に対する、粒子群(A)の含有量の質量比を表す(A)/(B+C)が0.8超〜3.5未満であることが好ましく、0.9以上〜3.3以下がより好ましく、1.0以上〜3.0以下がさらに好ましく、1.2以上〜2.5以下が特に好ましい。
(A)/(B+C)が上記範囲の下限値以上であると良好な洗浄性能が得られ、上限値以下であると粒状洗剤の流動性をより高められる。
粒状洗剤の総質量に対する、粒子群(A)〜(C)の合計の含有量は45〜100質量%であり、60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。
本発明の粒状洗剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、酵素、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、消泡剤、表面コート剤(ゼオライト等)、香料、色素等の成分を含有することができる。
これらの任意成分は、その他の粒子群として粒子群(A)〜(C)と粉体混合してもよく、例えば噴霧により粒子群(A)〜(C)に付着させてもよい。
粒状洗剤の総質量に対する、任意成分の合計の含有量は0〜55質量%であり、0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。
本発明の粒状洗剤は、粒子群(A)と、粒子群(B)と、粒子群(C)と、必要に応じてその他の粒子群を、所定の割合で粉体混合することにより製造できる。
これらの粒子群を粉体混合して得られる粒状洗剤においては、界面活性剤含有粒子(a)と、水溶性無機塩含有粒子(b)と、水溶性無機塩含有粒子(c)はそれぞれ独立した粒子として存在している。
粒子群(B)の嵩密度に対する粒子群(C)の嵩密度の比を表す「C/B嵩密度比」は0.9〜1.6が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.4がさらに好ましい。
粉体混合装置への粒子群(A)〜(C)の投入順序は、特に限定されず、粒子群(A)〜(C)を全て混合装置に予め仕込み、これを混合してもよいし、粒子群(A)〜(C)を順次、任意の順序で混合装置に投入して混合してもよい。粒子群の流動性の点では、粒子群(A)と粒子群(C)とを混合してから粒子群(B)を混合することが好ましい。
粒子群(A)〜(C)に加えて、任意の他の粒子群を配合する場合には、該他の粒子群を粒子群(A)〜(C)のいずれかと予め混合しておいてもよいし、粒子群(A)〜(C)と共に他の粒子群を混合装置に予め仕込み、これを混合してもよい。また、粒子群(A)〜(C)を混合した後に、香料等の液状成分を噴霧するなどして添加し、混合してもよい。
本発明の粒状洗剤は、被洗物の洗濯に用いることができる。
粒状洗剤を用いた被洗物の洗濯方法としては、例えば、粒状洗剤の濃度が0.02〜2質量%である洗浄液を用い、洗濯機で被洗物を洗浄したり、洗浄液に被洗物を浸け置く等の方法等、従来公知の洗浄方法が挙げられる。
被洗物としては、例えば、衣料、布帛、カーテン、シーツ等の繊維製品が挙げられる。
(使用原料)
表1に、各粒子群の平均粒子径、嵩密度を示す。また、粒子群(B)において粒子群(A)の平均粒子径(φa)より大きい粒子の割合、および粒子群(B)の粒度分布における2つのピークのモード径の比p1/p2を表1に示す。なお、粒子群(B−1)の粒度分布において第2のピークは観察されなかった。
粒子群(A−1):表2の組成に従い、製造例1で製造した界面活性剤含有粒子の群。表2に示す原料は以下の通りである。
・MES:脂肪酸残基の炭素数16:炭素数18=83:17(質量比)の脂肪酸メチルエステルスルフォネートのナトリウム塩(ライオン株式会社製、AI=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)。
・LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライポンLH−200(LAS−H純分96質量%、ライオン株式会社製)を界面活性剤組成物調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和する)。
・石鹸:炭素数14〜20の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分;66質量%、タイター;42〜52℃、脂肪酸組成;C14=1.0質量%、C16=43.3質量%、C18F0(ステアリン酸)=6.6質量%、C18F1(オレイン酸)=41.6質量%、C18F2(リノール酸)=7.2質量%、C20=0.3質量%、分子量;291)。
・ノニオン界面活性剤:LMAO−90(商品名、ライオンケミカル製)[ポリオキシエチレン(EO15*)アルキル(C12−14*)エーテル]。*「EO15」はエチレンオキシドの平均付加モル数が15であることを示し、(C12−14)はアルキル基の炭素数が12〜14であることを示す。
・炭酸ナトリウム:粒灰、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3、旭硝子株式会社製。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3、旭硝子株式会社製。
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0、四国化成工業株式会社製。
・MA剤:アクリル酸−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、商品名;アクアリックTL−400、純分40質量%水溶液、日本触媒株式会社製。
・ゼオライト:A型ゼオライト、製品名;シルトンB、純分80質量%、水澤化学株式会社製。
・蛍光剤:チノパールCBS−X(商品名、BASF社製、ジスチリルビフェニル誘導体、水溶性蛍光剤)/チノパールAMS−GX(商品名、BASF社製、ビス(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体、準分散性蛍光剤)=1/1。
粒子群(B−1):芒硝顆粒(硫酸ナトリウム98質量%、Zhejiang HANSHA Detergents社製、商品名;Detergent White Speckle)。
粒子群(B−2):製造例2で得た、硫酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物粒子(硫酸ナトリウム89質量%/炭酸水素ナトリウム9質量%)の群。
粒子群(B−3):製造例3で得た炭酸ナトリウム粒子(炭酸ナトリウム98質量%)の群。
<粒子群(B’)>
粒子群(B’−1):硫酸ナトリウム粒子群(硫酸ナトリウム100%、四国化成工業株式会社製、商品名;中性無水芒硝)。
粒子群(B’−2):硫酸ナトリウム粒子群(硫酸ナトリウム100%、MINERA DE SANTA MARTA社製、商品名;Sodium Sulphate Coarse Na−G.0)。
<粒子群(C)>
粒子群(C−1):炭酸水素ナトリウム粒子群(炭酸水素ナトリウム100%、旭硝子株式会社製、商品名;重炭酸ナトリウム(一般工業用)、工重KG−1)。篩い分けを行い、平均粒子径を250μmに調整した。
粒子群(C−2):塩化ナトリウム粒子群(塩化ナトリウム100%、純正化学株式会社製)。篩い分けを行い、平均粒子径を250μmに調整した。
PC:過炭酸ナトリウム(Zhejiang Jinke Chemicals社製、商品名;SPCC、平均粒子径870μm)。
漂白活性化剤:特開2014−193964の実施例[0062]の記載に準拠して調製したもの。
CMC:カルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル(株)製、商品名;サンローズF10LC)。
酵素:サビナーゼ12T(ノボザイムズ社製)/カンナーゼ24T(ノボザイムズ社製)/LIPEX100T(ノボザイムズ社製)/セルザイム0.7T(ノボザイムズ社製)=4/4/1/1(質量比)の混合物。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
色素:群青(商品名、大日精化工業社製、Ultramarine Blue)。
表2に示す組成に従い以下の工程(1)〜(3)を行って、粒子群(A−1)を製造した。
・工程(1)
原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたMESの水性スラリー(水分濃度25質量%に調製した)に、ノニオン界面活性剤の一部(MESに対して25質量%の量)を投入し、水分濃度が11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MESとノニオン界面活性剤との混合濃縮物を得た。
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を80℃に調整した。これにMESとノニオン界面活性剤とを除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤を添加した。さらに10分間撹拌した後、A型ゼオライトの一部(表2中に記載の配合量から、下記工程(3)で投入する捏和時添加用1.0質量%、粉砕助剤用5.0質量%を除いた量)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び硫酸ナトリウムを添加した。
さらに20分間撹拌して水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した(スラリー調製操作)後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm3、水分6質量%の噴霧乾燥粒子を得た(噴霧操作)。
得られた噴霧乾燥粒子、工程(1)で得られた混合濃縮物、1.0質量%のA型ゼオライト、ノニオン界面活性剤(上記混合濃縮物中のノニオン界面活性剤を除く残部)、蛍光剤、及び水を連続ニーダー(KRC−S12型、株式会社栗本鐵工所製)に投入し、ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分7質量%の捏和物を得た(捏和処理)。該捏和物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル株式会社製、EXDFJS−100型)で押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5〜30mm程度のペレット状成形物を得た。
次いで、得られたペレット状成形物に、粉砕助剤としてのA型ゼオライト5.0質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKA−3)を用いて粉砕し(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)、粒子群(A−1)を得た(造粒操作)。
硫酸ナトリウム(平均粒子径220μm)、炭酸水素ナトリウム(平均粒子径320μm)、をプローシェアーミキサーにて混合しながらバインダー水溶液(カルボキシメチルセルロース、珪酸ナトリウム、水)を噴霧し、造粒した後、流動層(Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレック製)に充填し、温風乾燥した。乾燥後の粒子を篩を用いて分級し、平均粒子径が900μm、p1/p2が3.5の粒子群(B−2)を得た。
造粒物に対して、カルボキシメチルセルロースの使用量は1質量%、珪酸ナトリウムの使用量は1質量%とした。
製造例2の硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウム(平均粒子径320μm)を用いて製造し、乾燥後の粒子を篩いを用いて分級し、平均粒子径が700μm、p1/p2が2.5の粒子群(B−3)を得た。
実施例6は参考例である。
表3に示す組成に従い、粒子群(A)、(B)または(B’)、(C)、及びPCを、容器回転式円筒型混合機に15kg/minの速度で同時に投入し、混合した。この容器回転式円筒型混合機は、容器が直径0.7m、長さ1.4m、傾斜角3.0°、出口堰高さ0.15m、内部混合羽根が高さ0.1m、長さ1.4mの平羽根を90°毎に4枚取り付けた仕様のものである。また、内部混合羽根の回転数はフルード数をFr=0.2になるように調整した。
容器を回転させて流動化させた粒子群に対し、香料を噴霧し、1分間転動した。
得られた洗剤組成物前駆体の一部を着色するために、前記粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送(ベルトコンベア上の界面活性剤含有粒子層の高30mm、層幅300mm)しつつ、その表面に色素の20%水分散液を噴霧した。
上記容器回転式円筒型混合機を用い、上記と同一条件で、一部を着色した洗剤組成物前駆体と酵素とを5分間混合し粒状洗剤組成物を得た。
実施例1において、表3に示す配合に変更した。漂白活性化剤及びCMCはPCと同時に添加した。その他は実施例1と同様にして粒状洗剤を得た。
(比較例3)
実施例1において、粒子群(B)を用いず、その代わりに粒子群(A)の配合量を増加させた。その他は実施例1と同様にして粒状洗剤を得た。
(比較例4)
実施例1において、粒子群(C)を用いず、その代わりに粒子群(A)の配合量を増加させた。その他は実施例1と同様にして粒状洗剤を得た。
実施例および比較例で得た粒状洗剤について、下記の方法で評価を行った。結果を表3に示す。
<流動性>
粒状洗剤の流動性の指標として安息角を測定する。安息角とは、容器に満たした粒子が流出するときに形成されるすべり面と、水平面とのなす角のことである。いわゆる排出法による安息角測定法で測定される。具体的には以下のようにして求める。
まず、角度の目盛りが記入されたアクリル樹脂製測定器(高さ10cm×奥行き10cm×幅3cm)を水平な場所に置き、測定器の横蓋を閉じた状態で、測定器の50mm上部より粒状洗剤を流し入れる。粒状洗剤が測定器上部を0〜1cm程度超え、山盛りの状態になった後、横蓋を静かに開け、粒状洗剤を自然排出させる。排出終了後に、測定器内に残った粒状洗剤の面と水平面との角度(°)を測定器側面の目盛りから読み取る。この操作を3回行い、平均値を安息角の値とする。安息角の値が小さいほど流動性が高いことを意味する。安息角の測定結果を以下の評価基準に基づいて評価する。
◎:45°未満。
○:45°以上50°未満。
△:50°以上55°未満。
×:55°以上。
下記の方法で振動分級試験を行った。
外側からコートボール紙(坪量:350g/m2)、ワックスサンド紙(坪量:30g/m2)、クラフトパルプ紙(坪量:70g/m2)の3層からなる紙を用いて、長さ15cm×幅9.3cm×高さ18.5cmの箱を作製する。2つの箱に、粒状洗剤を1.0kgずつ入れて2つの製品サンプルを製造する。一方の製品サンプルを、JIS Z 0232に準じた振動試験方法で、垂直方向(高さ方向)に40分間、ランダム振動させて振動後サンプルとする。他方の製品サンプルはそのまま振動前サンプルとする。
振動前サンプルと振動後サンプルについて、箱の中の粒状洗剤を上層、中層、下層の3層にほぼ均等に分け、JIS K 3362に準じた定量方法またはイオンクロマト法、電位差滴定法で、各層の粒状洗剤中の界面活性剤相当分、硫酸ナトリウム(実施例6は硫酸ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム(実施例5、6は炭酸水素ナトリウムの代わりに塩化ナトリウム)の各含有量をそれぞれ測定する。該含有量の測定は、各層について3回サンプリングを行い、それらの平均値を求める。
なお、硫酸ナトリウム(または炭酸ナトリウム)が粒子群(A)と粒子群(B)の両方に含まれている場合、硫酸ナトリウム(または炭酸ナトリウム)の含有量はそれらの合計値であり、炭酸水素ナトリウムが粒子群(B)と粒子群(C)の両方に含まれている場合、炭酸水素ナトリウムの含有量はそれらの合計値である。
変化率(%)=(振動前の含有量−振動後の含有量)/振動前の含有量×100
(1)上層の界面活性剤の含有量の変化率をX1(%)、硫酸ナトリウム(実施例6は炭酸ナトリウム)の含有量の変化率をY1(%)、炭酸水素ナトリウム(実施例5、6は塩化ナトリウム)の含有量の変化率をZ1(%)とする。
(2)中層の界面活性剤の含有量の変化率をX2(%)、硫酸ナトリウム(実施例6は炭酸ナトリウム)の含有量の変化率をY2(%)、炭酸水素ナトリウム(実施例5、6は塩化ナトリウム)の含有量の変化率をZ2(%)とする。
(3)下層の界面活性剤の含有量の変化率をX3(%)、硫酸ナトリウム(実施例6は炭酸ナトリウム)の含有量の変化率をY3(%)、炭酸水素ナトリウム(実施例5、6は塩化ナトリウム)の含有量の変化率をZ3(%)とする。
下記の評価基準に基づいて、振動分級抑制性を評価する。
(評価基準)
上記X1〜X3、Y1〜Y3およびZ1〜Z3の中で、最も大きい値を最大変化率とする。
◎:最大変化率が3%未満。
○:最大変化率が3%以上8%未満。
△:最大変化率が8%以上15%未満。
×:最大変化率が15%以上。
上記振動分級試験で得られた、振動後サンプルの上層および下層の粒状洗剤について、それぞれ以下の方法で洗浄性を評価した。
(評価布)
洗浄力の評価布として、湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製、オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%)を5×5cmに裁断したものを用意した。
(チャージ布)
洗浄時の浴比を合わせるための布として、肌シャツ(BVD社製、綿100%、G0134TS)を前処理し、3×3cmに裁断したものを用意した。
(前処理方法)
二槽式洗濯機(VH−30S、東芝社製)を使用し、チャージ布1kgを50℃の水道水30L、0.025%POEアルキルエーテル(ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体)で15分洗浄した。1分間脱水した後、再度同様に洗浄−脱水した。洗浄後、50℃の水道水30Lで15分すすぎ、1分脱水、を5回繰り返し、風乾した。
ラウンドリーテスター(FI−301,テスター産業(株)製)を使用し、ステンレス製試料瓶(500±50mL)に15℃の3°DH硬水で調整した0.15%の洗剤溶液を200mL入れ、これに洗浄力の評価布を10枚、更にチャージ布を入れて浴比を10倍に合わせ、40rpm、25℃で25分間洗浄した。
(すすぎ)
洗浄した布を1分脱水した後、15℃の3°DH硬水を200mLを入れた試料瓶に戻し、40rpm、15℃で3分間すすいだ。このすすぎ工程を2回繰り返した。
(乾燥)
すすいだ布を1分脱水した後、洗浄力評価布を取り出し、ろ紙に挟んでアイロンで乾燥した。
上記洗浄力評価布の反射率を色差計(日本電色工業,分光式色差計SE2000)を用いて測定した。また、洗浄前の湿式人工汚染布の反射率を同じ色差計で測定し、下記数式により洗浄率(%)を求めた。なお、洗浄力の評価は、洗浄力の評価布10枚の平均値で行った。
洗浄率(%)={(洗浄前の湿式人工汚染布のK/S)−(洗浄評価布のK/S)}÷(洗浄前の湿式人工汚染布のK/S) ・・・(3)
ただし、K/Sは、(1−R/100)2÷(2R/100)で求められる値であり(クベルカムンク式)、Rは反射率(%)である。
◎:上層と下層の洗浄率の差が3%未満。
○:上層と下層の洗浄率の差が3%以上〜6%未満。
△:上層と下層の洗浄率の差が6%以上〜10%未満。
×:上層と下層の洗浄率の差が10%以上。
<溶解性>
上記振動分級試験で得られた、振動後サンプルの上層および下層の粒状洗剤について、それぞれ以下の方法で溶解性を評価した。
二槽式洗濯機(株式会社東芝製、VH−30S(H))に、5℃の水道水30Lを入れ、被洗物として綿肌シャツ10枚、ポリエステルシャツ2枚、アクリルシャツ2枚を入れ、浴比(全被洗物の質量に対する粒状洗剤の質量)を15倍とした。被洗物をそれぞれ折り畳んで水面に浮かべた。被洗物の中心に各例の粒状洗剤30gを乗せ、被洗物と共に5分間浸漬後、弱水流で10分間撹拌した。排水後、被洗物を1分間脱水し、被洗物上及び洗濯機中にある溶け残りの粒子を拾い出し、目視にて溶け残り量を下記評価基準に基づいて評価した。
◎:溶け残りがほとんどない、または溶け残りがない。
○:溶け残りがやや見られるが問題ないレベル。
△:溶け残りが目立つ。
×:溶け残りが著しく見られる。
粒子群(B)に代えて、粒子群(B)より粒子径が小さく、嵩密度が大きい粒子群(B’−1)または(B’−2)を用いた比較例1または2の粒状洗剤は振動分級抑制性が劣っていた。比較例2は比較例1よりも粒子群(C)の含有量が少なく流動性が劣っていた。
粒子群(B)を含まない比較例3の粒状洗剤は振動分級抑制性が劣っていた。
粒子群(C)を含まない比較例4の粒状洗剤は振動分級抑制性が劣り、流動性も劣っていた。
Claims (3)
- 下記粒子群(A)を30〜85質量%、下記粒子群(B)を5〜30質量%、下記粒子群(C)を10〜40質量%含むことを特徴とする、粒状洗剤。
粒子群(A):界面活性剤を含有し、水溶性無機塩の含有量が80質量%未満である界面活性剤含有粒子(a)の群であり、平均粒子径が100〜700μm、嵩密度が0.7〜1.1kg/Lである粒子群。
粒子群(B):硫酸ナトリウムを80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(b)の群であり、平均粒子径が600μm以上、嵩密度が1.2kg/L以下である粒子群。
粒子群(C):炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれる1種以上を合計で80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群であり、平均粒子径が100〜500μm、嵩密度が1.3kg/L以下である粒子群。 - 粒子群(B)の含有量に対する、粒子群(C)の含有量の質量比を表す(C)/(B)が1以上、4未満である、請求項1に記載の粒状洗剤。
- 下記粒子群(A)30〜85質量%と、下記粒子群(B)5〜30質量%と、下記粒子群(C)10〜40質量%を粉体混合することを特徴とする、粒状洗剤の製造方法。
粒子群(A):界面活性剤を含有し、水溶性無機塩の含有量が80質量%未満である界面活性剤含有粒子(a)の群であり、平均粒子径が100〜700μm、嵩密度が0.7〜1.1kg/Lである粒子群。
粒子群(B):硫酸ナトリウムを80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(b)の群であり、平均粒子径が600μm以上、嵩密度が1.2kg/L以下である粒子群。
粒子群(C):炭酸水素アルカリ金属塩およびアルカリ金属塩化物から選ばれる1種以上を合計で80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群であり、平均粒子径が100〜500μm、嵩密度が1.3kg/L以下である粒子群。
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