JP6735170B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記具に関し、特に、筆記時に描線幅を変更可能な筆記具に関する。
従来から、使用者の要求に応じて一本の筆記具で筆記時に描線幅を変更することができるものが知られている(例えば特許文献1〜3)。
特開2013−252654号公報 特開2013−252655号公報 特開2015−199302号公報
特許文献1乃至3に記載された筆記具は、筆記具の先端に設けられた筆記ボールと、筆記ボールを保持するためのホルダーの更に外周に設けられたアウターとを備えている。そして使用者が細い線を描きたい場合には、筆記具を略垂直な姿勢にして筆記ボールのみを用いて線を描く。また使用者が太い線を描きたい場合には、筆記具を所定の角度に傾け、筆記ボールとアウターの先端部を同時に筆記面に接触させる。このように筆記具を所定の角度に傾けて筆記ボールとアウターの先端部とを同時に筆記面に接触させることにより、筆記ボールに供給されたインクが筆記ボールとアウターの先端部との間に供給される。これにより、筆記ボールとアウターの先端部との幅に相当する幅の線を描くことができる。
しかしながら、上述したように特許文献1乃至3に記載された筆記具は、筆記ボールとアウターの先端部との幅に相当する幅の線を描くことができるものの、筆記具の構造上、筆記ボールとアウターの先端との間の幅の大きさには限界がある。即ち、筆記ボールとアウターの先端との距離を長くしようとするとアウターを筆記ボールから離す必要があるが、アウターを筆記ボールから離れた位置に置くとアウターによって筆記部の先端を保護することができなくなる。また、筆記ボール及びアウターの先端を用いて線を描く場合、隙間が広くなることで、毛細管力が弱くなり、インクを供給することが出来なくなるため好ましくない。
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、描線幅を変更可能な筆記具において、より太い線を描くことができる筆記具を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、インクを収容するインク収容部と、このインク収容部に収容されたインクを先端に向けて供給するインク供給部と、筆記部の先端に設けられ、前記インク供給部から供給されたインクを用いて筆記可能な第1筆記部を備える筆記具であって、前記アウターの外側には、毛細管力により前記第1筆記部に供給されたインクを吸い上げる毛管体が設けられており、前記第1筆記部及び前記毛管体の筆記具先端側とが第2筆記部を構成し、前記毛管体のみを使用した場合に第3筆記部を構成すること特徴とする。
このように構成された本発明によれば、第3筆記部によって、インク収容部からインク供給部を経て第1筆記部に供給されたインクを用いて線を描くことができる。そして第3筆記部は、アウターよりも外側に設けられているため、第2筆記部のように幅が実質的に制限されない。従ってアウターよりもさらに外側に第3筆記部を設けることにより、第2筆記部よりもさらに太い線を描くことが可能となる。毛管体は、毛細管力を有するものであればよく、例えば繊維束や焼結物、フェルト、スポンジ等の多孔質体、筆、毛等のブラシ体が挙げられる。
また、このように構成された本発明によれば、アウターの外側に毛管体を形成し、第1筆記部と毛管体とによって第2筆記部を構成することにより、第2筆記部を筆記面に押しつけた際に、第2筆記部の一部を構成する毛管体を撓ませることができる。これにより、筆記時に第3筆記部に加わる負荷を低減させることができる。
また、本発明において好ましくは、前記第3筆記部による筆記の描線幅は、第2筆記部による筆記の描線幅よりも太い。
また、本発明において好ましくは、前記毛管体は、静電植毛された植毛体である。
このように構成された本発明によれば、前記植毛体を構成する毛をアウターの外側表面から垂直に延ばすことができる。これにより、第3筆記部を使用してぼかした線を描くことができる。
以上のように本発明によれば、描線幅を変更可能な筆記具において、より太い線を描くことができる。
本発明の第1の実施形態による筆記具の側面図及び側断面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の要部斜視図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具のコレクターの側面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の要部側面図及び側断面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の継手の側面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具のアウターの側断面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の要部側面図及び側断面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の要部側面図及び側断面図である。 本発明の第1の実施形態による筆記具の要部側面図である。 本発明の第2の実施形態による筆記具の側面図及び側断面図である。 本発明の第2の実施形態による筆記具の要部斜視図である。 本発明の第2の実施形態による筆記具の要部側面図及び断面図である。 本発明の第3の実施形態による筆記具の側面図及び側断面図である。 本発明の第3の実施形態による筆記具の要部側断面図である。 本発明の第3の実施形態による筆記具の要部斜視図である。 本発明の第4の実施形態による筆記具の側面図及び側断面図である。 本発明の第4の実施形態による筆記具の要部側断面図である。 本発明の第4の実施形態による筆記具の要部斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態による筆記具について説明する。なお、本明細書において、ボールペン及びその構成部品についての「前方」とは、ボールペンの軸方向において筆記ボールが設けられている側をいい、「後方」とはその反対側をいうものとする。
図1は、本発明の第1の実施形態によるボールペンを示し、図2は、同ボールペンの要部斜視図を示す。より具体的には、図1(a)は、キャップによりボールペンの前方を覆っている状態を示し、図1(b)は、キャップをボールペンの前方から取り外し、後方に取り付けた状態を示し、図1(c)は、図1(a)の状態の断面図を示し、図2は、ボールペンの前方端部の斜視図を示す。
図1に示すように、ボールペン1は、ボールペンの本体3と、本体3に取り付けられるキャップ5とを備えている。
ボールペンの本体3は、使用時に、使用者が把持できるように全体的に筒形状を有しており、前方側軸筒7と、後方側軸筒9とを備えている。前方側軸筒7の後方端部、及び後方側軸筒9の前方端部には、それぞれネジ山が設けられており、両者を螺合することにより前方側軸筒7と後方側軸筒9とが互いに固定されている。そして、前方側軸筒7と後方側軸筒9とを螺合して固定することにより、内部に、ボールペンの筆記のための各構成部品を収容する空間が形成される。また、前方側軸筒7と後方側軸筒9とを螺合ではなく、圧入による固定方法でも良い。その場合、組立の衝撃でアウター31が破損するのを防止するため圧入力は300N以下が望ましい。なお、以下では、前方側軸筒7と後方側軸筒9との内部に形成される空間を、単に「内部空間」と称して詳細な説明を行う。
内部空間の後方側には、インクを収容するためのインク収容部11が配置されており、内部空間の前方側には、インク収容部11内のインクを用いて筆記を行うための筆記部13が配置されており、さらに、インク収容部11と、筆記部13との間には、インク収容部11内のインクを筆記部13に供給するためのインク供給部15が設けられている。
インク収容部11は、内部に所定のインクを収容しており、筆記部13内のインクが不足した際に、毛管力により、適宜筆記部13にインクを供給できるように構成されている。
インク収容部11内に収容されるインクとしては、色材として顔料又は染料の何れを使用してもよい。顔料の種類については特に制限はなく、従来水性ボールペンなどの筆記具用に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラックや、金属粉等が挙げられる。また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。具体的には、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、ハンザイエロー3G(C.I.11670)、ジスアゾイエローGR(C.I.21100)、パーマネントレッド4R(C.I.12335)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、キナクリドンレッド(C.I.46500)などを使用することができる。
また、スチレンやアクリル樹脂の粒子から構成されているプラスチックピグメントを使用してもよい。さらに、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は、白色顔料として、または、樹脂粒子を染料で染色した擬似顔料とも呼ばれる顔料等も使用することできる。疑似顔料の具体的な商品名としては、シンロイヒカラーSFシリーズ(シンロイヒ株式会社)、NKW及びNKPシリーズ(日本蛍光化学株式会社)などが挙げられる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも用いることができる。直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同119などが挙げられる。酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同115、同129、同131、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット18、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27などが挙げられる。
食用染料としては、その大部分が直接染料又は酸性染料に含まれるが、含まれないものの一例としては、C.I.フードエロー3が挙げられる。
塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシックエロー1、同2、同21、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックブラウン12、ベーシックブラック2、同8などが挙げられる。
これらの着色剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく、インク中の着色剤の含有量は、通常、重量比0.5〜30%、好ましくは、1〜15%の範囲である。
この着色剤の含有量が、0.5%未満であると、着色力が不足して好ましくない。一方、着色剤の含有量が30%を超えた場合に、筆記不良を生じることがあるので好ましくない。
染料を用いた場合には、筆記部13に付着したインクが汚れとして残留する傾向があるため、顔料を用いることが好ましい。
さらには、ペン先でのインクの乾燥固化による筆記不良を防止するために、インク中の水溶性溶剤の含有量を、重量比5%〜25%とすることが好ましい。この場合に、水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等を単独で、又は混合して使用することができる。
また、上記の以外の水溶性溶剤としてトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種を、インクに対して重量比0.1〜5%で配合することが好ましい。
一般に水溶性溶剤の配合量が多くなると、インクの紙への浸透性が低下するため筆記した描線の乾燥速度が遅くなる。しかし、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコールはこのような浸透性を低下させる性質が小さく、描線の乾燥速度の遅延が極めて起きにくい。一方でペン先での乾燥固化を防止する性質は有しているので、ペン先を長時間露出しても筆記不良が起きにくい。
インクには糖類を配合することができる。具体的には、糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、還元糖、非還元糖類、糖アルコール、還元澱粉分解物、およびこれらの混合物などが挙げられる。これらのうち非還元糖類、特に糖アルコールを用いることが好ましい。還元性を有する糖類は、インクの変色を引き起こしたり、pHの変動を生じさせたりする場合がある。
非還元糖類としては、還元性を示さない糖類であれば特に限定されず、例えば、ショ糖、トレハロース、糖アルコールなどが挙げられる。グルコース(ブドウ糖)などの還元糖類は、分子中に持っているアルデヒド基やケトン基などのカルボニル基(還元基)を持つことによって弱い還元を示す糖類であるのに対して、本実施形態で用いる非還元糖類は、単糖の還元性のある基が他の糖とグリコシド結合などで結合しているため、還元性を示さないものである。
糖アルコールは、糖類がもつカルボニル基を還元(水素添加)させることで得られる鎖状多価アルコールの総称である。糖アルコールとしては、例えば、ブドウ糖を還元して得られる「ソルビトール」、麦芽糖を還元して得られる「マルチトール」、糖化度の異なる水飴やデキストリンを還元して得られる還元澱粉分解物(還元水飴)、還元デキストリン、エリスリトール、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、これらは市販品を用いることができる。
これらの非還元糖類の中で、更なる経時安定性の点から、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トレハロース、及び還元澱粉分解物から選ばれる少なくとも1種を使用することが望ましい。
糖類はインク中で保湿剤として作用するが、一方で被膜を形成して固化しやすい性質も有する。本実施形態においては、筆記部13にインクが残存したインクが被膜を形成して固化すると、次の書き出しの際にインクが流出しにくい(初筆性が悪い)現象が生じる。このような不具合を避けるためには、インク中に含まれる糖類は、単糖〜20糖の重合度であることが好ましく、平均重合度が3〜10であること更に好ましい。これにより、皮膜強度が強くなり過ぎるのを防止することができ、筆記部13にインクが残存した場合においても初筆性を確保することができる。
インクには潤滑剤としてリン酸エステルを配合することができる。具体例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、リン酸トリエステル、或いはその誘導体が挙げられるが、これらのリン酸エステルは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
これらのリン酸エステルの含有量は、用いるインク全量に対して、0.05〜5質量%、好ましくは、0.1〜1質量%が望ましい。リン酸エステルの含有量が、インク組成物全量に対し、0.05質量%未満であると、所望の潤滑性等が得られないおそれがあり、一方、5質量%を越えると、インクの経時安定性が低下するおそれがある。さらに、筆記部13へのインクの付着による汚れを防止すると共に、筆記部13を樹脂で構成した場合における樹脂割れを防止するために、リン酸エステルの含有量を1質量%以下とすることが好ましい。
また、インクの粘度の観点で説明すると、インクとしては、下記式で定義される剪断減粘指数(n値)が略1である、いわゆるニュートニアンインク、及び剪断減粘指数nが<1と定義される、いわゆるゲルインクを用いることができる。ニュートニアンインクを用いることにより、筆記時に、インクの濡れ性を確保することができ、一方で、ゲルインクを用いることにより、インクの濡れ性を確保しつつ、筆記時のインクのキレを向上させることができる。
S=αDn(但し、1>n>0)で示される粘性式中のnを指す。なお、Sは剪断応力(dyn/cm2)、Dは剪断速度(s-1)、αは非ニュートン粘性係数を示す。
ニュートニアンインクとしては、実質的に増粘作用を有する物質を含有しない比較的低粘度(5mPa・s未満 25℃)なタイプ、実質的に増粘作用を有する物質を含有し、一定の粘度が付与(5mPa・s以上 25℃)に大別される。このうち増粘作用を有する物質として、ポリビニルアルコールとホウ酸化合物を用いることが好ましい。上記物質を配合することで、インクの流動性が良好で、描線の滲みが発生することなく、応答性に優れたインクとすることができる。
用いることができるポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」と略記する)は、一般式、−〔CH2−CH(OH)〕m−〔CH2−CH(OCOCH3n−で表されるものであり、インクの経時安定性、粘度付与性の点から、そのケン化度{〔m/(m+n)〕×100}は、好ましくは、50mol%以上とすることが望ましく、更に好ましくは、75mol%以上であることが望ましい。
また、上記ケン化度のPVAにおいて、重合度が高いと添加量による粘度の変動幅が大きくなるので、その重合度(m+n)は低い方が良く、好ましくは、50以上、更に好ましくは、50〜2000、特に好ましくは、50〜1500が望ましい。
具体的に用いることができるPVAとしては、市販の日本合成化学工業社製のA型ゴーセノールシリーズ、G型ゴーセノールシリーズ、K型ゴーセノールシリーズ(日本合成化学工業社製の商品名)、日本酢ビ・ポバール社製のJポバールシリーズ(日本酢ビ・ポバール社製の商品名)、クラレ社製のKURARAYポバールPVAシリーズ(クラレ社製の商品名)等の中からケン化度、重合度の好適なものが選択される。これらのケン化度、重合度を有するPVAは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、用いるPVAには、変性PVA、好ましくは、上記重合度範囲、ケン化度となる変性PVAも使用することができる。用いることができる変性PVAとしては、PVAの水酸基、酢酸基をカルボキシル基、スルホン酸基、アセチル基、エチレンオキサイド基などの変性基に変性したもの、または、PVAの側鎖に上記の変性基を有するものが挙げられる。また、部分けん化PVAにアクリル酸とメタクリル酸メチルを共重合したPVA・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体も本発明の変性PVAとして使用することができる。
具体的に用いることができる変性PVAとしては、市販の日本合成化学工業社製のゴーセネックスLシリーズ、ゴーセネックスWOシリーズ(日本合成化学工業社製の商品名)、日本酢ビ・ポバール社製のアニオン変性PVA(Aシリーズ)(日本酢ビ・ポバール社製の商品名)、クラレ社製のエクセバール1713(クラレ社製の商品名)等の中からケン化度、重合度の好適なものが選択される。また、PVA・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重体としては、大同化成工業社製のPOVACOAT(大同化成工業社製の商品名)等の中から好適なものが選択される。これらの変性PVAは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。変性PVAは、筆記性能には直接影響しないが、インクの経時安定性(粘度)に対しては有効である。特に、カルボキシル基変性、スルホン酸基変性、アセチル基変性タイプが安定性に優れているので望ましい。
このようなPVA、変性PVAの合計含有量は、目的とするインク粘度値によって適宜調整される。例えば、重合度が高いPVAを用いた場合、PVAの含有量は少な目であり、逆に重合度の低いPVAを用いた場合、PVAの含有量は多くなる。
用いることができるホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ酸のアルカリ金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム)、ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられ、例えば、ホウ酸(H3BO3)、三酸化二ホウ酸(B23)、メタホウ酸ナトリウム(NaBO2)、二ホウ酸ナトリウム(Na425)、四ホウ酸ナトリウム(Na247),五ホウ酸ナトリウム(NaB58)、六ホウ酸ナトリウム(Na2610)、八ホウ酸ナトリウム(NaB813)、ホウ酸アンモニウム〔(NH42O・523〕、並びに、これらの水和物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。インク成分に対する溶解性や汎用性の点から、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、三酸化二ホウ酸を用いることが望ましい。これらのホウ酸化合物の合計含有量は、目的とするインク粘度値になるように、PVAの性質、含有量に応じて適宜調整される。
ゲルインクとしては、ゲル化剤あるいは剪断減粘性付与剤とも呼ばれる物質を含む。例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が望ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、デンプングリコール酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体及びその塩、非架橋型アクリル酸重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。このうち、粘度を低くし、かつ剪断減粘指数を低くして流動性を確保するためには、酸化セルロースを用いることが特に好ましい。このような性質を有することで、筆記角度や筆記荷重の変化が小さく、また筆記角度や筆記荷重の変化が急であったとしても粘度変化に対しての応答性を高いレベルで発現することができる。
また、インクの特性として、後述する筆記部13のアウターとの関係において、インクの接触角度が20秒後に70度以下となるようなものを選択することが好ましい。70度を超える場合、アウターに対するインクの拡張性が不足するため、第二筆記部が作用する応答性が低下して、描線が擦れる。なお、接触角度の測定は、25℃65%RHの環境において、前記アウターと同一の素材で構成される板状の試験体に対してインクを滴下して行う。
さらには、インクの表面張力が48mN/m以下のものを用いることが好ましい。表面張力が48mN/mを超えると、アウターに対するインクの拡張性が不足するため、第二筆記部が作用する応答性が低下するため、上記同様の現象が発生しやすくなる。
また、インクに含まれる顔料、樹脂粒子等の不溶成分の含有量は、20重量%以下とすることが好ましい。不溶成分が20重量%を超えるとインクの流動性が低下するため、アウターに対するインクの拡張性が不足しやすくなる。さらにアウターに付着したインクが乾燥固化しやすくなるため、筆記不良が発生しやすくなる。
さらに、インクに含まれる不溶成分の平均粒子径は200nm以下であることが好ましい。平均粒子径が200nmを超えるとインクの流動性が低下するため、アウターに対するインクの拡張性が不足しやすくなる。
インク供給部15は、複数のフィンが外周に形成された略筒状のコレクター17を備えている。コレクター17の先端は、縮径して形成されており先端保持部19をなしている。コレクター17の後方端部は、インク収容部11の前方端部と接している。コレクター17の先端保持部19は、継手21の後方端部から継手の内側に嵌入されている。
図3は、コレクターの側面図面であり、図3には、コレクターを三方向から見た図面を示している。図3に示すように、コレクター17は、前方側の貯留部17aと、後方側のダミー部17bと、貯留部17aとダミー部17bとの間の仕切部17cと、を備えている。
貯留部17aの外周には、貯留部17aの軸線に沿って延び、周方向に沿って所定の幅を有するインク誘導溝17dと、複数のフィン17eの間に形成された主要部インク一時保留溝17fとが設けられている。さらに、貯留部17aには、貯留部17aの外周と内部空間との間を連通して延びる孔17gが設けられている。
インク誘導溝17dは、軸方向に配列された、複数のフィン17eを同一形状に切り欠いて形成されており、貯留部17aを軸方向視したときに、貯留部17aの外周から凹んだ、所定形状の溝をなしており、主要部インク一時保留溝17fと連通している。インク誘導溝17dの幅は、主要部インク一時保留溝17fの幅より狭く形成されている。このように、インク誘導溝17dの幅を、主要部インク一時保留溝17fの幅より狭くすることにより、インク誘導溝17dにおけるインクとの界面張力が主要部インク一時保留溝17fの界面張力よりも強くなる。このため、インク誘導溝17dにインクを存在させつつインク誘導溝17dを介して主要部インク一時保留溝17fへのインクの流入又は排出を確実に行うことができる。
筆記時のインクの出やすさは、インク誘導溝17dの幅と、フィン17e同士の間隔に依存するものである。そして、本実施形態では、インク誘導溝17dの幅を、0.1〜0.2mmとすることが好ましい。インク誘導溝17dの幅が小さい方が、コレクター17の毛管力が作用し易くなる一方で、0.1mm以下となり、幅が小さすぎるとインクがコレクター17からのインクの供給が不安定となる。排出されにくくなる。また、フィン17e同士の間隔は、インク誘導溝17dの幅に応じて決定され、0.1〜0.6mmの範囲で、インク誘導溝17dの幅よりも大きく設定される。フィン17e同士の幅がインク誘導溝17dよりも小さくなると、貯留部17aによってインクを貯留できなくなり、また、フィン17e同士の幅が0.1mmよりも小さいと、インクの供給が不安定となる。
ダミー部17bの外周には、軸方向に延びるインク導入溝17hと、複数のフィン17iの間に形成された延設部空気溝17jとが設けられている。ダミー部17bは、キャップ5を下向きで開けた際に、インクがコレクター17の貯留部17a内に流入してしまうのを防止する。より、具体的には、キャップ5を下向きで開けると、キャップ5により密閉されていた先端の空間内は減圧され、これにより、インクがコレクター17の貯留部17a内に流入しようとする。そして、コレクター17の後側にダミー部17bを設けることにより、インクはダミー部17bの外周フィン17iの間に流れ込み、コレクター17の貯留部17aにインクは流入しない。
また、貯留部17の孔17gは、インクが凍結してインクの体積が膨張した際に、インクの体積増加によって筆記ボール25が先端から押出されないようにするためのものである。より具体的には、貯留部17の内外を連通する孔17gを形成することにより、貯留部17内のインクが凍結し膨張したとしても、インクが孔17gを通して外側に排出されるため、貯留部17b内の圧力が高まるのを防止することができる。なお、孔17gの面積が大きすぎると、インクが凍結していない場合でも、インクが貯留部17から排出されてしまうため、孔17gの開口面積は、0.4〜1.2mm2であることが好ましい。
また、コレクター17は、ポリエステルファイバー製の棒状のコレクター芯23を備えている。コレクター芯23は、軸方向に延びており、後方端部がインク収容部11内部に摺動可能に配置され、前方端部が継手21を越えて延びている。コレクター芯23は、コレクター17の内周面との間に、0.02〜0.2mmの隙間をあけて配置されている。コレクター17とコレクター芯23との間に0.02〜0.2mmの隙間を設けることにより、両者の間の摺動性を確保しつつ、筆記時に隙間に大量の空気が入り込むのを防止することができる。そして、コレクター芯23の後側端は、コレクター17の後側端よりも突出して延びている。コレクター芯23は、インクの供給安定性と、吸入性を両立するために、気孔率が30〜60%の材料によって構成されていることが好ましく、45%であることが最も好ましい。
継手21は、筆記部13とインク供給部15との間を接続するための部材である。なお、継手21の構成については後述する。
筆記部13は、筆記ボール25と、前方端部に筆記ボール25が収容されているホルダー27と、ホルダー27内で延びる棒状の中芯29と、ホルダー27の外周を覆うアウター31とを備えている。
図4は、ボールペンの要部側面図及び側断面図であり、より具体的には前方端部近傍を拡大した図である。
図4に示すように、ホルダー27は、軸方向両端が開口した円筒形状を有しており、その前方端は、前方に向かって先細りとなる略円錐状のテーパー形状を有しており、この先細りの部分が、筆記ボール25を保持するためのカシメ部33をなしている。カシメ部33は、ホルダー27の前方開口が、筆記ボール25の直径よりも小さくなり、かつ筆記ボール25が、カシメ部33内で自由に回転できるような寸法・形状を有している。そしてカシメ部33内に保持された筆記ボール25の一部は、ホルダー27の前方の開口から外部に露出しており、外部から視認できるようになっている。ホルダー27はステンレス鋼などの金属製やポリアセタールなどの樹脂製のパイプ材を加工して形成することができる。
また、ホルダー27は、その前方端近傍において、前方に向かって先細る形状を有していることが好ましい。より具体的には、ホルダー27の前方端近傍の外周面は、ボールペン1の軸に対して、約0.5mm以上の距離にわたって約10度〜20度のテーパー角度を有する傾斜面とすることが好ましい。ホルダー27の前方端に傾斜面を形成することにより、ボールペン1の前方端の径を大きくすることなく、ホルダー27の外側に配置されるアウター31の厚みを厚くし、アウター31の強度を高めることができる。そして、傾斜面の軸方向長さが短いと、ホルダー27をアウター31内部に配置する際の位置決めが困難となるため、傾斜面の軸方向の長さは、0.5mm以上であることが好ましい。また、ホルダー27のカシメ部33の外面、即ちホルダー27の傾斜面よりも更に前方側の面は、ボールペン1の軸に対して35〜50度の角度又はR形状を有していることが好ましい。カシメ部33の外面の傾斜角を35〜50度又はR形状とすることにより、アウターとボールとの距離が短くなることで、インク不足を防止できる為、「筆記時のインクの連続性」を維持することができる。また、ホルダー27のアウター31からの突出量は、アウター31の紙面への接触性を考慮して、筆記ボール25の直径の10〜100%とすることが好ましい。
中芯29は、ホルダー27の内部に配置されており、コレクター芯23と同様にポリエステルファイバーにより形成され、その後方端はコレクター芯23の前方端に嵌め込まれるとともに、その前方端は、筆記ボール25の後方側に達している。そして、中芯29は、インクの供給安定性を確保するために、気孔率が30〜80%の材料で構成されていることが好ましく、最も好ましくは、気孔率が50〜70%の材料で構成されている。これにより、コレクター芯23から供給されたインクは、中芯25を通して筆記ボール25の後方側に供給される。中芯29は、後方端からほぼ2/3程度が継手21の先端部に嵌入された状態で、継手21に保持される。
なお、コレクター芯23及び中芯29は、使用するインクの粘度等の性状に応じて、適切なポリエステルファイバーの気孔率や表面形状を選択して形成される。また、中芯29としては、ポリエステルファイバーではなく、押出成形によるプラスチック製棒状芯や燒結加工による棒状芯を用いることも可能である。
また、アウター31の外側表面には、毛細管力によってインクを吸い上げ可能な毛管体である植毛体51が設けられている。植毛体51は、本発明の第3筆記部として機能し、アウター31の表面に無数の毛を静電植毛により固着させて形成されている。図2及び図6に示すように、アウター31は、ボールペン1の前方に向かって先細る円錐形状の先端に、前方に向かうにしたがって一旦径を拡大させ、その後再び先細らせた略球体形状を一体化させた形状を有している。そして植毛体51は、略球体形状の外表面に沿って、ボールペン1の軸方向の所定の長さに渡り、かつアウター31の周方向全周に渡り形成されている。したがって植毛体51だけに着目した場合、植毛体51はアウター31の略球体形状に類似する略球体形状を有している。このような植毛体51は、アウター31の前方端部から後方側に向けて所定の範囲(軸方向の長さL1)、例えば約0.1〜2.0mmにわたって形成されている。植毛体51の植毛先端の方向はアウター31の表面に対し平行でないこと、より好ましくは垂直であることが望ましい。なお、植毛体51の軸方向の長さは、第3筆記部によって描きたい線の太さに応じて適宜変更することができる。
また、上述したように植毛体51の前方端部は、アウター31の前方端部に達しており、筆記ボール25に近接している。従って植毛体51は前方端部より、筆記ボール25に到達したインクを毛細管力によって吸い上げ、植毛体51全体に染み渡らせるように構成されている。
また、上述したように植毛体51は、同一の長さの毛をアウター31の略球体形状部分の表面に固着させて形成されている。この場合において、ボールペン1の中心軸線Yに対する植毛体51の前方端の傾斜角度αは、30〜150度とすることが好ましい。傾斜角度αを30〜150度とすることにより、寝かせて筆記した場合であっても、第3の筆記部の先端、つまり植毛体の先端で筆記することが可能となり、ボカシたような描線や更に太い描線を筆記することが可能となる。
なお、本実施形態では第3筆記部として植毛体51を例に挙げているが、第3筆記部としては植毛体以外にも、筆記ボール25に到達したインクを毛細管力によって吸い上げることができ、所定の筆記圧が加わった際に定量的にインクを排出することができるものであればどのようなものを利用してもよい。従って、第3筆記部としては、例えば繊維束や焼結物、フェルト、スポンジ等の多孔質体を用いてもよい。
図5は、継手を示す図面であり、具体的には、図5は、継手の斜視図、側面図、及び断面図を示す。図5に示すように継手21は、円筒状の筒状部分35と、筒状部分35の外側に配置されたアンカー部分37と、アンカー部分37に対して筒状部分35を保持する保持部分39とを備えている。
筒状部分35は、内部にコレクター芯23及び中芯29を固定できる内部形状を有している。具体的には筒状部分35の内径は、その後方側において、比較的太いコレクター芯23を受け入れて固定し、コレクター芯23が固定されている箇所よりも前方側において、比較的細い中芯29を受け入れて固定できるように寸法決めされている。また、筒状部分35の中芯29の固定部よりも前方側は、僅かに径が拡大しており、中芯29と、筒状部分35との間にホルダー27が嵌め込まれている。
アンカー部分37は、その内径が、筒状部分35の外径よりも大きいリング形状を有しており、筒状部分35の長手方向中央よりも後方側に配置されている。より具体的には、アンカー部分37の内径は、筒状部分35の外径よりも大きく、かつ筒状部分35との間には、空間が形成されており、その空間内に先端保持部19が差し込まれる。そして、空間内に先端保持部19が差し込まれると、先端保持部19の外周と、アンカー部分37の内周とが嵌合し、アンカー部分37は、先端保持部19に対して固定される。なお、先端保持部19内には、円筒形状の空間が形成されており、この円筒形状の空間の内径は、筒状部分35の外径よりも大きく、先端保持部19と筒状部分35とを同軸に配置したときに、筒状部分35と先端保持部19とが接触しないようになっている。
保持部分39は、アンカー部分37の外周から、筒状部分35の外周にかけて、前方に向かって先細るように延びる円錐筒形状を有している。そして、先端保持部19に対して固定されたアンカー部分37と、その他の部材に対して固定されていない筒状部分35との間に保持部分39を配置し、アンカー部分37に対して筒状部分35を懸架することにより、筒状部分35及び筒状部分35に固定される筆記部13の筆記ボール25、ホルダー27、中芯29、及びコレクター芯23を、前方側軸筒7に対して固定されたアウター31に対して軸方向に移動可能に懸架することができる。これにより、筆記時に筆記ボール25に加わる圧力を吸収することができる。
継手21を構成する筒状部分35、アンカー部分37は、例えば熱可塑性樹脂によって形成されている。また、保持部分39は、例えば熱可塑性エラストマーによって形成されている。具体的には、SBS、SEBS、SEPSなどのスチレン系エラストマー、EPDMなどのオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。これらのうち、ショアA硬度が20〜60のものは、筆圧とクッション性の応答のバランスが良い。さらに、保持部分39の強度を調整することにより、継手21によるクッション性を調整することができる。また、熱可塑性エラストマーは、弾性変形を開始する変曲点の直前までは、荷重の変化に対して敏感に伸縮するため、例えば、保持部分39の厚みや組成等を調整して、変位量に対する荷重の変曲点を約1Nとすることにより、筆記時の荷重に対して非常に敏感に伸縮する、クッション性の優れた継手21を形成することができる。そして、筒状部分35と、保持部分39との間には、クッション時に両者が剥がれないようにするために、両者の間にある程度の密着性が必要となる。この密着性を実現するためには、筒状部分35と、保持部分39とを、同系統の樹脂材料で構成することが好ましく、選択可能な材料の組み合わせとしては、AS(スチレン系樹脂)とSEBS(スチレン系エラストマー)との組み合わせ、ポリプロピレン(ポリオレフィン系樹脂)とEPDM(ポリオレフィン系エラストマー)との組み合わせ、及びPBT(ポリエステル系樹脂)とポリエステル系エラストマーとの組み合わせがある。
この中でも、保持部分39は、ショアA硬度が20〜60度であることが好ましく、30〜50度であることが最も好ましい。保持部分39のショアA硬度をこの範囲にすることにより、低い筆圧でも適切に作動し、筆記ボール25に加わる圧力を吸収することができる。
そして、上記継手21を用いることにより、ボールペン全体のクッション力を、0.1〜10N、より好ましくは0.1〜5Nの範囲とすることが好適である。これは、クッション力を低くし過ぎると、筆記時にアウター31に加わる力を吸収することができず、アウター31が破損するからである。一方で、クッション力を高くし過ぎると、筆記時にアウター31を紙面と接触させながら筆記することができなくなる。
図7乃至図9は、筆記具の要部側面図及び側断面図であり、具体的にはボールペンの使用状態を示す図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、筆記角度、即ち紙面Wに対するボールペン1の軸の角度が、例えば、80度である場合には、特に図7(b)に示すように、紙面Wには、筆記ボール25のみが接触する。この状態でボールペン1に対して1g程度の筆記重量を加えると、インク収容部11内のインクが、インク供給部15のコレクター17及びコレクター芯23を通して筆記部13に流れる。そして、筆記部13に到達したインクは、中芯29を通して筆記ボール25の後方側に到達する。使用者がボールペン1を紙面W上で移動させると、筆記ボール25は、移動方向に沿ってカシメ部33内で回転する。そして筆記ボール25が回転すると、筆記ボール25の後方側に到達したインクは、筆記ボール25の表面に沿ってホルダー27内部から出て、紙面Wに移動し、紙面Wに付着する。そして、筆記角度が大きく、かつ筆記重量が小さい場合には、ホルダーからのインクの排出量は少ないため、ボールペン1によって、比較的細い線を描くことができる。このように、ボールペン1では、筆記ボール25が、本発明の「第1筆記部」として作用する。なお、この場合、植毛体51は紙面Wには接触していない。
また、図8(a)及び図8(b)に示すように、筆記角度が、例えば50度である場合には、紙面Wには、筆記ボール25と植毛体51の前方端とが接触する。この状態でボールペン1に対して200g程度の筆記重量を加えると筆記ボール25、植毛体51前方端、及び紙面W、もしくは筆記ボール25、アウター31の先端、及び紙面Wによって閉断面の空間が形成され、この空間がインク溜まりとなる。これにより筆記ボール25と紙面Wの接点P1と、植毛体51の前方端と紙面Wの接点P2との距離に相当する幅L2の比較的太い線を描くことができる。このように、ボールペン1では、筆記ボール25及び植毛体51が、本発明の「第2筆記部」として作用する。
描く線の太さは、筆記ボール25と紙面Wの接点と、アウター31と紙面Wの接点との距離に相当するため、線の太さは、主に筆記ボール25の直径、及びホルダー27によって筆記ボール25を保持する位置、並びに植毛体51の傾斜角度αに左右されることとなるが、筆記ボール25と紙面Wの接点と、植毛体51と紙面Wの接点との距離L1を大きくし過ぎて極太の線を描こうとすると、インクが不足し、インクの連続性が低下してしまう場合がある。従って、筆記ボール25と紙面Wの接点と、植毛体51と紙面Wの接点との距離L1は、筆記ボール25の直径の100%以下、好ましくは50%以下となるように、アウター31の形状、植毛体51の形状、及び植毛体51の毛の長さを決定することが好ましい。
さらに、図9に示すように、筆記角度が、例えば30度である場合には、紙面Wには、植毛体51の外周側表面のみが接触する。この状態でボールペン1に対して50g程度の筆記重量を加えると植毛体51のみによって線を描くことができる。植毛体51は、第1筆記部又は第2筆記部によって紙面Wに線を描いているときに筆記ボール25の表面のインクを吸い上げ、内部にインクを蓄えている。そして植毛体51のみによって線を描くときに、内部に蓄えられたインクを排出し紙面Wに付着させる。そして植毛体51によって描くことができる線の太さは、アウター31の表面から突出した植毛長さによって決定されており、この太さは第2筆記部によって描くことができる線よりも太い。このようにボールペン1では、植毛体51が、本発明の「第3筆記部」として作用する。
以上のように、第1の実施形態にかかるボールペンによれば、第1筆記部としての筆記ボール25によって比較的細い線を描くことができ、第2筆記部としての筆記ボール25及び植毛体51によって比較的太い線を描くことができ、さらに第3筆記部としての植毛体51によって更に太い線を描くことができる。
次に、本発明の第2の実施形態について詳述する。図10は、第2の実施形態によるボールペンの側面図及び側断面図であり、図11は、同ボールペンの要部斜視図であり、図12は、同ボールペンの要部側面図及び断面図る。なお、第2の実施形態によるボールペンは、第1の実施形態によるボールペンと同一の構成を有している箇所があるため当該箇所については詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示すように、第2の実施形態にかかるボールペン101は、アウター31に代えてアウター103を備えている。アウター103は、アウター31の構成に加え、植毛体51が形成されていない円錐形状部分に、周方向に延びるスリット105を備えている。スリット105は、本実施形態ではアウター31の周方向に渡ってボールペン101の中心軸回りに200度延びている。スリット105は、アウター31の外表面から内表面までアウター31を厚さ方向に貫通している。このようなスリット105を形成することによりアウター103に対して軸方向と直交する方向に可撓性を付与することができる。そして、アウター103に対して可撓性を付与することにより、筆記時にアウター103に荷重が加わった場合でもアウター103を撓ませることができ、これによりアウター103の破損を防止することができる。また、これにより、筆記時に第3筆記部に加わる負荷を低減させることができる。
なお、第2の実施形態にかかるボールペン101は、2つのスリット105を有することとしたが、スリット105の数は適宜変更可能である。この場合において、複数のスリットを、位相差をもって形成して周方向に均一に分散させることが好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態について詳述する。図13は、第3の実施形態によるボールペンの側面図及び側断面図であり、図14は、第3の実施形態による筆記具の要部側断面図であり、図15は、第3の実施形態による筆記具の要部斜視図である。
第3の実施形態にかかるボールペン201は、いわゆるノック式のボールペンであり、前方側軸筒7と、後方側軸筒9とによって構成される本体3内にリフィール式のカートリッジ203を収容可能に形成されている。そして前方側軸筒7の前方端には、カートリッジ203の前方端を露出させるための孔205が形成されている。
前方側軸筒7内に配置されたアウター31の外周面には、他の実施形態と同様に植毛体51が形成されている。そしてこの例では、アウター31と前方側軸筒7との間にスプリング207が配置されており、アウター31は、係止手段(図示せず)によってカートリッジ203の前方端が孔205から露出している筆記位置と、カートリッジ203の前方端が前方側軸筒7内に退避している退避位置とで係止される。
交換式のカートリッジ203は、アウター31内に入れ子式に嵌入されるように構成されている。そしてカートリッジ203をアウター31に嵌入すると、カートリッジ203の前方端の筆記ボール25がアウター31の先端から露出する。
なお、第3の実施形態では、アウター31の前方端の形状を円錐形状とし、テーパー部分に植毛体51を形成しているが、上述したような円錐形状と略球体形状とを組み合わせた形状のアウターを適用することも可能である。
このように、本発明は、ノック式のボールペンについても適用することができる。
第4の実施の形態に係るボールペン301は、図16〜図18に示すアウター31の表面に植毛された植毛体51が中芯29と接触していることにより、この中芯29から植毛体51へ直接インクの供給が行われることを特徴とする。
図17は、第4の実施の形態におけるボールペン301の正面図を一部断面で示したものであって、ボールペン301の前方側の構造を示した拡大図である。
図17に示すように、ボールペン301の前方側は、前方側軸筒7と、この前方側軸筒7の先端に挿入された継手303と、この継手303の先端に挿入されたアウター31とホルダー27と、前方側軸筒7及び継手303を通過して、その先端部分が筆記ボール25の後端まで挿入されている中芯311とを備えている。特徴的な点としては、アウター31の表面全体に植毛体51が植毛されている。そのため、植毛体51の後端と中芯311とを直接接触させることができるので、毛細管現象により植毛体51の先端までインクを供給することが容易であり、より強弱のある筆跡を得ることができることに加え、植毛体51を介して筆記し続けることも可能となる。なお、その他の構成については、他の実施形態と同様である。
継手303は、前方側軸筒7の先端に挿入される部材であって、筒状の継手胴部305と、この継手胴部305の前方から延出し、その先端にかけて縮径するように形成された円錐状の継手外面部307とを備えている。また、図17に示すように、第4の実施の形態に係る継手303は、挿入孔309が継手胴部305及び継手外面部307を貫通している。
外面の先端部分を内方にかしめることで、筆記ボール25の脱落を防ぐカシメ部が形成されているホルダー27は、先端から継手303側の後端にかけて拡径するように形成され、さらに筒状の胴部を有する。アウター31は、ホルダー27の外周に配設され、外周面全体に植毛された植毛体51とから構成されている。ホルダー27及びアウター31の後端側は継手303に挿入孔309に圧入されている。
第4の実施の形態に係る中芯311は、図17に示すように、前方側軸筒7を通過して継手303の後端から先端までの約2/3の位置まで挿入されている中芯胴部313と、この中芯胴部313の中心から延出しており、ホルダー27の先端まで挿入されている中芯先端部315とを備えている。中芯胴部313の先端面は、挿入孔309の約中間でアウター31と当接する段差のある中芯段部317が形成されている。そして、この中芯段部317と、アウター31の外周に植毛された植毛体51の後端とが接触することで、植毛体51の先端まで毛細管現象によりインクを供給することができる。
なお、第1、第2、第3、及び第4の実施の形態においては、ボールペンの軸筒3から植毛体51までの導電経路を確保すれば、植毛体51を導電性繊維から形成した場合、筆記ボール25による筆記を行うこと及び植毛体51で静電容量型入力装置に座標情報を入力すること、すなわちタッチペンとしての使用と使い分けることも可能である。
1,101,201,301 ボールペン
11 インク収容部
15 インク供給部
25 筆記ボール
31 アウター
51 植毛体

Claims (1)

  1. インクを収容するインク収容部と、
    このインク収容部に収容されたインクを先端に向けて供給するインク供給部と、
    前記インク供給部の前方側に設けられた筆記部と、
    前記筆記部の先端に設けられ、前記インク供給部から供給されたインクを用いて筆記可能な第1筆記部と、を備えている筆記具であって、さらに、
    前記第1筆記部の外周に設けられたアウターと、
    前記アウターの外側に設けられ、略球体形状を有し、毛細管力により前記第1筆記部に供給されたインクを吸い上げる毛管体とを備え、
    前記第1筆記部前記毛管体の筆記具先端側部分とが第2筆記部を構成し、
    前記毛管体のみを使用した場合に第3筆記部を構成し
    前記毛管体の前方端の傾斜角度が筆記具の中心軸線に対し30〜150度である、
    ことをこと特徴とする筆記具。
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