JP6733079B2 - 試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法 - Google Patents

試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖脂質抗原を用いた試料中の抗糖脂質抗体の測定に関するものである。
本発明は、糖脂質分野、生化学分野、分析化学分野、臨床検査分野及び生命科学分野等において重要なものであるが、特に神経疾患等の診断において重要なものである。
糖脂質は、従来より神経組織に多く存在することが知られており、神経組織の糖脂質に反応する抗体が体液中に産生されると重篤な神経症状を起こすことが知られるようになってきた。
これらの自己抗体は、先行感染した菌体に対するものとして体内に産生され、これが神経組織の糖脂質抗原と交差反応し、自己抗体として神経を傷害する自己免疫型の神経疾患を起こすことが知られている。
例えば、糖脂質抗原に対する抗体(抗糖脂質抗体)の一つであるIgG型の抗GM1a抗体は、急性軸策型ギラン・バレー症候群などの運動神経疾患に関与することが知られている。
急性軸策型ギラン・バレー症候群の場合、食中毒菌として知られる菌体Campylobacter jejuniが先行感染し、菌体のリポ多糖(LPS)上のGM1aと類似の糖鎖構造部分に対する抗体が体内に産生されることにより発病する(例えば、非特許文献1)。
そして、この抗体は血液中に見い出されることが判明している(例えば、非特許文献2及び非特許文献3)。
また、別の抗糖脂質抗体であるIgG型の抗GQ1b抗体は、フィッシャー症候群やビッカースタッフ型脳幹脳炎などの神経疾患に関与しており、その所見は脳幹梗塞などの他の中枢神経系疾患と類似しているが、その治療法は全く異なる。
そして、この抗体も患者血清中に見い出されることが判明している(例えば、非特許文献4及び非特許文献5)。
その他、感覚失調型ポリニューロパシーで抗GD2抗体、抗GT1b抗体、抗GQ1b抗体が上昇するとの報告や感覚神経疾患で抗スルファチド抗体が高いとの報告がある。
また、糖脂質抗原と反応する抗体が癌患者由来試料より検出されるとの報告もある。
以上のように、研究レベルでは各種疾患と抗糖脂質抗体の関係が解き明かされ、臨床現場で使用できる抗糖脂質抗体の測定方法として、ELISA法による測定が実用化されている(例えば、非特許文献6)。
しかしながら、抗糖脂質抗体の測定方法として使用されているELISA法は、検体によっては、その測定の感度が十分でないという問題があった。このため、試料中の抗糖脂質抗体の測定値を疾患の検査に利用しようとする場合、この疾患の診断を誤らせる可能性があった。
従って、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う場合、更なる測定感度の改善が望まれていた。
結城ら,J.Exp.Med.,178巻,1771〜1775頁,1993年 A.J.Kornbergら,Ann.Neurol.,35巻,234〜237頁,1994年 L.H.Visserら,Brain,118巻,841〜847頁,1995年 千葉ら,Ann.Neurol.,31巻,677〜679頁,1992年 結城ら,J.Neurol.Sci.,118巻,83〜87頁,1993年 小鷹ら,モダンメディア,54巻3号,82〜86頁,2008年
従って、本発明の課題は、糖脂質抗原との抗原抗体反応による試料中の抗糖脂質抗体の測定を高感度に行えるようにし、正確な測定結果が得られる方法を提供することである。
本発明者は、上記課題の解決を目指して鋭意検討を行った結果、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることで、測定の感度を改善できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1)試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬において、イオン強度が0.17mol/L以下であることを特徴とする測定試薬。
(2)糖脂質抗原がガングリオシド抗原である、前記(1)記載の測定試薬。
(3)糖脂質抗原が担体に固定化されたものである、前記(1)又は(2)に記載の測定試薬。
(4)試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する方法において、該抗原抗体反応の反応時のイオン強度が0.17mol/L以下であることを特徴とする測定方法。
(5)糖脂質抗原がガングリオシド抗原である、前記(4)記載の測定方法。
(6)糖脂質抗原が担体に固定化されたものである、前記(4)又は(5)に記載の測定方法。
本発明によれば、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることで、抗糖脂質抗体の測定を高感度に行え、正確な測定結果が得られるものである。
本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。 本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。 本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。 本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。 本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。 本発明の測定試薬により試料中の抗糖脂質抗体の測定を行った結果を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
〔1〕発明の基本要件
本発明の測定試薬及び測定方法では、試料中の抗糖脂質抗体の測定において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることが必須である。
このことにより、試料中の抗糖脂質抗体の測定に当たり、測定感度を上昇させることができる。
〔2〕糖脂質抗原
本発明において、糖脂質抗原とは、その分子内に水溶性糖鎖と脂溶性基の両者を含む物質(糖脂質)であり、測定を行おうとする抗糖脂質抗体と特異的に結合することが可能な物質のことである。
本発明における糖脂質抗原には、スフィンゴ糖脂質、及びグリセロ糖脂質等が含まれるものである。
また、本発明における糖脂質抗原には、シアル酸を含む糖脂質であるガングリオシド、硫酸を含む糖脂質であるスルファチド(スルホリピド)、ウロン酸を含む糖脂質、又はリン酸を含む糖脂質などの酸性糖脂質、及び中性糖脂質等が含まれるものである。
なお、ガングリオシド(シアロ糖脂質)は、シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称である。
このガングリオシドとしては、例えば、GM1、GM1b、GM1−Fuc、GM2、GM3、GM3(NeuGc)、GM4、GD1a、GD1b、GD2、GD3、GD3(NeuAc/NeuGc)、GD3(NeuGc)2、GT1a、GT1b、GT1c、GQ1a、GQ1b、GQ1c、GP1a、GP1b、GP1c、又はLM1等を挙げることができる。
本発明においては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
〔3〕抗糖脂質抗体
本発明において、抗糖脂質抗体は、前記した糖脂質抗原に対して特異的に結合することができる抗体である。
本発明における抗糖脂質抗体としては、例えば、スフィンゴ糖脂質に対する抗体、又はグリセロ糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
更に、本発明において、抗糖脂質抗体としては、例えば、酸性糖脂質に対する抗体、又は中性糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
そして、酸性糖脂質に対する抗体としては、例えば、ガングリオシドに対する抗体、スルファチドに対する抗体、ウロン酸を含む糖脂質に対する抗体、又はリン酸を含む糖脂質に対する抗体等を挙げることができる。
また、ガングリオシドに対する抗体としては、例えば、抗GM1抗体、抗GM1b抗体、抗GM1−Fuc抗体、抗GM2抗体、抗GM3抗体、抗GM3(NeuGc)抗体、抗GM4抗体、抗GD1a抗体、抗GD1b抗体、抗GD2抗体、抗GD3抗体、抗GD3(NeuAc/NeuGc)抗体、抗GD3(NeuGc)2抗体、抗GT1a抗体、抗GT1b抗体、抗GT1c抗体、抗GQ1a抗体、抗GQ1b抗体、抗GQ1c抗体、抗GP1a抗体、抗GP1b抗体、抗GP1c抗体、又は抗LM1抗体等を挙げることができる。
本発明においては、抗糖脂質抗体がガングリオシドに対する抗体である場合に好適である。
〔4〕イオン強度
本発明では、試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下とすることにより、測定感度を上昇させることができる。
そして、イオン強度を0.15mol/L以下にすることが、測定感度をより上昇させることができるため好ましい。同じ理由により、イオン強度を0.10mol/L以下にすることが更に好ましい。
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定において、イオン強度を0.17mol/L以下にするには、例えば、試料中の糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法に、陽イオン及び陰イオンを含有又は存在させることにより行えばよい。
また、本発明におけるイオン強度は、例えば、測定反応時に緩衝剤やアジ化ナトリウム等の防腐剤などが存在している場合は、それらのイオン強度を含めたトータルのイオン強度が0.17mol/L以下となっていればよい。
〔5〕陽イオン及び陰イオン
本発明において、イオン強度の調整のために試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法に含有又は存在させる陽イオン及び陰イオンについて、以下説明を行う。
(1)陽イオン
本発明において、陽イオンは、正の電荷を有するイオンであれば、特に限定されず用いることができる。
この陽イオンとしては、1価の陽イオンであってもよく、又は2価以上の多価の陽イオンであってもよい。
そして、この陽イオンとしては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、又はその他の陽イオン等を挙げることができる。
この金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はその他の金属イオン等を挙げることができる。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン等を挙げることができる。
アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、又はカルシウムイオン等を挙げることができる。
その他の金属イオンとしては、例えば、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、又はアルミニウムイオン等を挙げることができる。
アンモニウムイオンとしては、例えば、一級のアンモニウムイオン、二級のアンモニウムイオン、三級のアンモニウムイオン、又は四級のアンモニウムイオン等を挙げることができる。
その他の陽イオンとしては、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、窒素原子(アンモニウムイオン以外の場合において)、リン原子、若しくは硫黄原子などが正の電荷を帯びている原子、又は原子団等を挙げることができる。
この具体的な例としては、炭素原子が正の電荷を帯びているコリンイオン等を挙げることができる。
なお、この陽イオンとしては、1種類のものだけを用いてもよいし、又は複数種類のものを同時に用いてもよい。
(2)陰イオン
本発明において、陰イオンは、負の電荷を有するイオンであれば、特に限定されず用いることができる。
この陰イオンとしては、1価の陰イオンであってもよく、又は2価以上の多価の陰イオンであってもよい。
そして、この陰イオンとしては、例えば、有機化合物よりなる酸基、ハロゲンイオン、又はその他の無機化合物よりなる酸基等を挙げることができる。
この有機化合物よりなる酸基としては、例えば、酢酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、又はシュウ酸イオン等を挙げることができる。
ハロゲンイオンとしては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、又はヨウ素イオン等を挙げることができる。
その他の無機化合物よりなる酸基としては、例えば、硫酸イオン、亜硫酸イオン、ピロ亜硫酸イオン、亜二チオン酸イオン、チオ亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜硝酸イオン、ペルオキソ亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、ピロ亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、二リン酸イオン、ホウ酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、イソシアン酸イオン、又はケイ酸イオン等を挙げることができる。
また、この陰イオンとしては、1種類のものだけを用いてもよいし、又は複数種類のものを同時に用いてもよい。
また、前記の陽イオン及び陰イオンを含有又は存在させる方法であるが、この陽イオン及び陰イオンを、糖脂質抗原と試料中の抗糖脂質抗体との抗原抗体反応が行われる測定反応時に、イオン強度を0.17mol/L以下にすることができればいかなる方法でも良い。
例えば、前記陽イオンを含む化合物と、前記陰イオンを含む化合物を別々に添加することにより含有又は存在させて、測定試薬を調製してもよい。
また、前記陽イオンと前記陰イオンの両方を含む化合物を添加することにより含有又は存在させて、測定試薬を調製してもよい。
そしてその結果として、前記陽イオン及び前記陰イオンを各々前記の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬及び測定方法にイオン強度が0.17mol/L以下となるように存在させられればよい。
また、前記の陽イオンと陰イオンの両方を含む化合物としては、例えば、この陽イオン及び陰イオンよりなる塩等を挙げることができる。
なお、本発明においては、例えば、前記の陽イオン及び陰イオンをイオン強度が0.17mol/L以下となるように含有させた試料希釈液を調製し、この試料希釈液と試料との混合物と、糖脂質抗原を固定化した担体を含む試薬とを混合することによって、担体に固定化された糖脂質抗原と試料に含まれていた抗糖脂質抗体との、抗原抗体反応が行われる測定反応時に、陽イオン及び陰イオンを存在させるようにするのが好ましい。
〔6〕担体
本発明において、担体は、前記の糖脂質抗原を固定化することができるものであれば、特に制限なく用いることができる。
すなわち、糖脂質抗原との抗原抗体反応を利用して試料中の抗糖脂質抗体の測定を行う測定試薬及び測定方法に使用されている担体、又は使用することが可能な担体であればよい。
この担体の材質は、特に限定はなく、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ラテックス、リポソーム、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなるマイクロカプセル、ビーズ、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)、試験管、スティック又は試験片等の形状の固相担体を用いることができる。
本発明において、糖脂質抗原を担体に固定化することは、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により行うことができる。
例えば、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、糖脂質抗原と、担体とを、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、糖脂質抗原と、担体の、それぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と前記の二価性の架橋試薬とを反応させること等により行うことができる。
更に、糖脂質抗原を固定化した担体の自然凝集や、非特異的反応等を抑制するために処理を行う必要があれば、糖脂質抗原を固定化した担体の表面又は内壁面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、担体のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
〔7〕試料
本発明において、試料とは、抗糖脂質抗体が存在する可能性があり、かつ抗糖脂質抗体の存在の有無、又は含有量(濃度)の測定を行おうとするものであれば、どのようなものでもよい。
このような試料としては、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、髄液若しくは腹水などの体液、又は臓器、組織、若しくは筋肉などの抽出液、細胞若しくは菌体などの抽出液等、抗糖脂質抗体が含まれる可能性のあるものを挙げることができる。
〔8〕測定方法
本発明の測定方法は、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する方法において、該抗原抗体反応の反応時のイオン強度が0.17mol/L以下であることを特徴とするものである。
本発明の測定方法において、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定を行う方法の測定原理は、特に制限はなく、どのような測定原理のものであってもよい。
例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され、これで被覆された面を有する担体、及び測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法、又はDahlbeackらが示したELSA法(Enzyme−linked Ligandsorbent Assay)(Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年発行;WO98/23963)等を挙げることができる。
そして、本発明の測定方法を、酵素免疫測定などの標識免疫測定法を測定原理とする方法により実施する場合、サンドイッチ法、競合法、又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法においても本発明を適用することができる。
なお、本発明の測定方法においては、測定は用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
また、測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
なお、本発明の測定方法においては、いずれの測定原理(測定法)に基づいて実施するにしても、その測定原理(測定法)の公知の手法に従って、測定を行えばよい。
本発明の測定方法を、酵素免疫測定法などの標識免疫測定法を測定原理とする方法により実施する場合を例にとって、以下具体的に説明を行う。
標識免疫測定法のサンドイッチ法により測定を行う場合の一例を示す。
(1)まず、以下のものを用意する。
担体:測定を行おうとする抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる糖脂質抗原を固定化した担体(例えば、抗GM1抗体の測定においては、GM1をウェルに固定化したマイクロタイタープレート)
試料希釈液:イオン強度が0.17mol/L以下である溶液
(2)試料(ヒト血清)と試料希釈液との混合物を、担体の糖脂質抗原を固定化した部位に一定量添加し、一定時間接触させる。
これにより、試料中に測定対象物質である抗糖脂質抗体が存在する場合には、抗原抗体反応により、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体」の結合を形成させる。(例えば、「マイクロタイタープレートのウェル−GM1−抗GM1抗体」)
(3)この試料の添加、接触と同時に、若しくは一定時間のうちに、又は洗浄の後に、前記の抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質に酵素等の標識物質を結合させたものの一定量を、担体の糖脂質抗原を固定化した部位に添加して、一定時間接触させる。
なお、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質としては、例えば、この抗糖脂質抗体に対する抗体、又はこの抗糖脂質抗体と結合することができる抗原等を挙げることができる。
より具体的には、この抗糖脂質抗体に対する抗体としては、例えば、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、及び抗ヒトIgE抗体より選ばれる1種又は2種以上の抗体等を挙げることができる。
また、この抗糖脂質抗体と結合することができる抗原としては、例えば、この抗糖脂質抗体と結合することができる糖脂質抗原等を挙げることができる。(例えば、抗糖脂質抗体が抗GM1抗体である場合には、GM1を挙げることができる。)
この操作により、試料中に測定対象物質である抗糖脂質抗体が存在する場合には、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合が形成される。(例えば「マイクロタイタープレートのウェル−GM1−抗GM1抗体−抗ヒトIgG抗体−標識酵素」)
(4)次に、担体に結合していない未結合の「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」を洗浄し、除去する。
(5)そして、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合により担体に結合した標識物質を検出することにより、試料に含まれていた抗糖脂質抗体の測定を行う。
この測定においては、担体と標識物質が、試料に含まれていた抗糖脂質抗体を介して、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」と結合するので、担体に結合した標識物質の量を測定することにより、試料に含まれていた抗糖脂質抗体の有無、又は量を測定することができるものである。
なお、前記()において用いる「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」として、「標識物質を結合した、クラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を使用することにより、試料中の抗糖脂質抗体を免疫グロブリンのクラス別に測定することが可能となる。
このクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体としては、例えば、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgD抗体、又は抗ヒトIgE抗体等を挙げることができる。
また、これらの「標識物質を結合した、クラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を、適当な割合で混合して使用することにより、免疫グロブリンのクラスに依存しない抗糖脂質抗体の測定を行うことができる。
更に、前記()において用いる「標識物質を結合した、抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質」として、「標識物質を結合した、サブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を使用することにより、試料中の抗糖脂質抗体を免疫グロブリンのサブクラス別に測定することが可能となる。
このサブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体としては、例えば、抗ヒトカッパー(κ)抗体、抗ヒトラムダ(λ)抗体、抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG2抗体、抗ヒトIgG3抗体、又は抗ヒトIgG4抗体等を挙げることができる。
また、これらの「標識物質を結合した、サブクラス別のヒト免疫グロブリンに対する抗体」を、適当な割合で混合して使用することにより、免疫グロブリンのサブクラスに依存しない抗糖脂質抗体の測定を行うことができる。
なお、「担体−糖脂質抗原−抗糖脂質抗体−抗糖脂質抗体と特異的に結合することができる物質−標識物質」の結合により担体に結合した標識物質の検出であるが、酵素免疫測定法等の標識物質として酵素を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、その反応生成物の量を反応促進物質の吸光度を測るなどの光学的方法等により測定を行う。
蛍光免疫測定法等の標識物質として蛍光物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識蛍光物質による蛍光強度を測定することにより測定を行う。
放射免疫測定法等の標識物質として放射性物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識放射性物質による放射線量を測定することにより測定を行う。
発光免疫測定法等の標識物質として発光反応に係わる物質を用いて測定を行う方法及び試薬においては、標識物質が係わる発光反応系における発光量を測定することにより測定を行う。
なお、前記の標識物質であるが、標識物質として酵素を用いる酵素免疫測定法等により測定を行う場合には、パーオキシダーゼ(POD)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、又はα−アミラーゼ等の酵素を用いることができる。
また、標識物質として蛍光物質を用いる蛍光免疫測定法等により測定を行う場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、又はジクロロトリアジンイソチオシアネート等の蛍光物質を用いることができる。
そして、標識物質として放射性物質を用いる放射免疫測定法等により測定を行う場合には、トリチウム、ヨウ素125、又はヨウ素131等の放射性物質を用いることができる。
また、測定を発光免疫測定法により行う場合には、アクリジニウムエステル、アルカリ性ホスファターゼ、パーオキシダーゼ、又はグルコースオキシダーゼ等を標識物質として用い、アクリジニウムエステル系、ジオキセタン化合物系、ルミノール−過酸化水素−POD系、又はNADH−FMNH2−ルシフェラーゼ系等により担体に結合した標識物質の検出を行うことができる。
〔9〕測定試薬
本発明の測定試薬は、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬において、イオン強度が0.17mol/L以下であることを特徴とするものである。
本発明のイオン強度が0.17mol/L以下の試薬を用いることにより、試料中の抗糖脂質抗体の測定に当たり、測定感度を上昇させることができる。
なお、陽イオン及び陰イオンについては、前記〔4〕及び〔5〕に記載した通りであり、試料中の抗糖脂質抗体の測定方法については、前記〔8〕に記載した通りである。
また、本発明の測定試薬においては、糖脂質抗原がガングリオシド(ガングリオシド抗原)である場合に好適である。
そして、本発明の測定試薬においては、糖脂質抗原が担体に固定化されている場合に好適である。
なお、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は試料中の抗糖脂質抗体の測定に使用することができる。
また、本発明の試料中の抗糖脂質抗体の測定試薬は、他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料中の抗糖脂質抗体の測定に使用することもできる。
前記の他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、又は校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する物質の試薬等を挙げることができる。
〔10〕測定時の他の成分
本発明における、試料中の抗糖脂質抗体の測定においては、溶媒として、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、精製水、生理食塩水、又は、トリス緩衝液、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH3〜12の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
また、本発明における測定においては、前記の糖脂質抗原、前記の陽イオン並びに陰イオン、前記の糖脂質抗原を固定化した担体、及び/又は前記の抗糖脂質抗体等の抗体と酵素などの標識物質を結合させた標識抗体等の試薬成分の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウムもしくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜用いてもよい。
そして、これらを測定に用いる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
なお、前記の界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
〔11〕測定感度を上昇させる方法
本発明における、試料中の抗糖脂質抗体測定の、測定感度を上昇させる方法は、試料中の抗糖脂質抗体測定において、イオン強度を0.17mol/L以下とすることによるものである。
この、試料中の抗糖脂質抗体の測定において、イオン強度が0.17mol/L以下で測定を行うことにより、抗糖脂質抗体の測定感度を上昇させることができる。
また、本発明における測定感度を上昇させる方法を実施する際の試薬の構成成分や試料や条件等は、前記した通りである。
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
塩化ナトリウム濃度を変えることによりイオン強度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GM1抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する10mMリン酸緩衝液〔pH7.5〕を調製した。ここに、塩化ナトリウムを50mM、100mM、150mM及び200mMの濃度となるように添加し、塩化ナトリウム濃度の異なる4種類の試料希釈液の調製を行った。
(2)GM1抗原固相化担体の調製
ガングリオシドGM1(Carbosynth Limited社)を1ウェル当たり200ngずつポリスチレンプレート〔PolySorp〕(ヌンク社)のウェルに分注し、一定時間放置して、前記ガングリオシドGM1を前記ポリスチレンプレートの各ウェルに固相化した。
次に、このガングリオシドGM1が固相化されたウェル内に1.5%BSA溶液(pH7.7)を1ウェル当たり200μLずつ分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行い、GM1抗原固相化担体を調製した。
(3)洗浄液の調製
0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5)を調製し、洗浄液とした。
(4)酵素標識抗体
ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体〔P0214〕(ダコ社)を、酵素標識抗体として用いた。
(5)発色液
0.02%ペルオキシダーゼ基質液〔3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン〕(同仁化学研究所)を含有する2.5mM過酸化水素を発色液として用いた。
2.試料
抗GM1抗体陽性血清:
抗GM1抗体を含むことが確認されている11種類の血清を、抗GM1抗体陽性血清として用意した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の11種類の抗GM1抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
(2)前記(1)で調製した混合液の各々を、本実施例の(2)のGM1抗原固相化担体の各ウェルに100μLずつ分注し、これを4℃にて一晩静置した。
これにより、担体に固相化されているGM1抗原と試料に含まれていた抗GM1抗体を接触させ、反応させた。
(3)次に、前記のウェルより、前記の混合液を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(4)本実施例の1の(4)の酵素標識抗体を、1%BSAを含むトリス緩衝液で2,000倍希釈した。次にこれを、前記の洗浄操作を行ったウェルに100μLずつ分注して、室温で2時間反応させた。
(5)その後、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(6)次に、本実施例の1の(5)の発色液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温で20分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、発色液を反応させて、色素を生成させた。
(7)前記の発色液の添加20分後に、0.35M硫酸の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
(8)マイクロプレートリーダー〔680型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値を得た。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表1及び図1に示した。なお、表1において、かっこ内の数値は、各濃度の塩化ナトリウムを含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表1から明らかなように、塩化ナトリウム濃度が200mM(すなわちイオン強度が0.226mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、全ての試料で、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、塩化ナトリウム濃度が100mM(すなわちイオン強度が0.126mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
また、塩化ナトリウム濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.076mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。
〔実施例2〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
塩化ナトリウム濃度を変えることによりイオン強度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GQ1b抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の1の(1)で調製した試料希釈液をそのまま使用した。
(2)GQ1b抗原固相化担体の調製
ガングリオシドGQ1b(Hytest社)を1ウェル当たり200ngずつポリスチレンプレート〔PolySorp〕(ヌンク社)のウェルに分注し、一定時間放置して、前記ガングリオシドGQ1bを前記ポリスチレンプレートの各ウェルに固相化した。
次に、このガングリオシドGQ1bが固相化されたウェルに1.5%BSA溶液(pH7.7)を1ウェル当たり200μLずつ分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行い、GQ1b抗原固相化担体を調製した。
(3)洗浄液の調製
前記実施例1の1の(3)で調製した洗浄液をそのまま使用した。
(4)酵素標識抗体
前記実施例1の1の(4)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
(5)発色液
前記実施例1の1の(5)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
2.試料
抗GQ1b抗体陽性血清:
抗GQ1b抗体を含むことが確認されている10種類の血清を、抗GQ1b抗体陽性血清として用意した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の10種類の抗GQ1b抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
(2)前記(1)で調製した混合液の各々を、本実施例の1の(2)のGQ1b抗原固相化担体の各ウェルに100μLずつ分注し、これを4℃にて一晩静置した。
これにより、担体に固相化されているGQ1b抗原と試料に含まれていた抗GQ1b抗体を接触させ、反応させた。
(3)次に、前記のウェルより、前記の混合液を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(4)本実施例の1の(4)の酵素標識抗体を、1%BSAを含むトリス緩衝液で2,000倍希釈した。次にこれを、前記の洗浄操作を行ったウェルに100μLずつ分注して、室温で2時間反応させた。
(5)その後、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(6)次に、本実施例の〔1〕の1の(5)の発色液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温で20分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、発色液を反応させて、色素を生成させた。
(7)前記の発色液の添加20分後に、0.35M硫酸の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
(8)マイクロプレートリーダー〔680型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値を得た。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表2及び図2に示した。なお、表2において、かっこ内の数値は、各濃度の塩化ナトリウムを含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表2から明らかなように、塩化ナトリウム濃度が200mMの場合(すなわちイオン強度が0.226mol/L)は、塩化ナトリウム濃度が150mMの場合(すなわちイオン強度が0.176mol/L)に比較して、全ての試料で、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、塩化ナトリウム濃度が100mMの場合(すなわちイオン強度が0.126mol/L)は、塩化ナトリウム濃度が150mMの場合(すなわちイオン強度が0.176mol/L)に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
また、塩化ナトリウム濃度が50mMの場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。
〔実施例3〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
試料希釈液中の緩衝液の濃度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GM1抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
5mM、10mM、50mM及び100mMのリン酸緩衝液〔pH7.5〕に、ウシ血清アルブミン(BSA)を1%(w/v)、塩化ナトリウムを100mMとなるように添加し、緩衝液濃度の異なる4種類の試料希釈液の調製を行った。
(2)GM1抗原固相化担体の調製
前記実施例1の1の(2)で調製したGM1抗原固相化担体をそのまま使用した。
(3)洗浄液の調製
前記実施例1の1の(3)で調製した洗浄液をそのまま使用した。
(4)酵素標識抗体
前記実施例1の1の(4)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
(5)発色液
前記実施例1の1の(5)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
2.試料
(1)抗GM1抗体陽性血清
抗GM1抗体を含むことが確認されている6種類の血清を、抗GM1抗体陽性血清として用意した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の6種類の抗GM1抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
(2)前記(1)で調製した混合液の各々を、本実施例の1の(2)のGM1抗原固相化担体の各ウェルに100μLずつ分注し、これを4℃にて一晩静置した。
これにより、担体に固相化されているGM1抗原と試料に含まれていた抗GM1抗体を接触させ、反応させた。
(3)次に、前記のウェルより、前記の混合液を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(4)本実施例の1の(4)の酵素標識抗体を、1%BSAを含むトリス緩衝液で2,000倍希釈した。次にこれを、前記(2)の洗浄操作を行ったウェルに100μLずつ分注して、室温で2時間反応させた。
(5)その後、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(6)次に、本実施例の1の(5)の発色液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温で20分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、発色液を反応させて、色素を生成させた。
(7)前記の発色液の添加20分後に、0.35M硫酸の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
(8)マイクロプレートリーダー〔680型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値を得た。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表3及び図3に示した。なお、表3において、かっこ内の数値は、各濃度の緩衝液を含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表3から明らかなように、緩衝液濃度が100mM(すなわちイオン強度が0.356mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.228mol/L)の場合に比較して、全ての試料で、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、緩衝液濃度が10mM(すなわちイオン強度が0.126mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.228mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
更に、緩衝液濃度が5mM(すなわちイオン強度が0.113mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.228mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。また、本発明におけるイオン強度は、測定反応時に存在している緩衝剤のイオン強度を含めたトータルのイオン強度が0.17mol/L以下となっていればよいことが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。
〔実施例4〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
緩衝液の濃度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GM1抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
5mM、10mM、50mM及び100mMのトリス緩衝液〔pH7.5〕に、ウシ血清アルブミン(BSA)を1%(w/v)、塩化ナトリウムを100mMとなるように添加し、緩衝液濃度の異なる4種類の試料希釈液の調製を行った。
(2)GM1抗原固相化担体の調製
前記実施例1の1の(2)で調製したGM1抗原固相化担体をそのまま使用した。
(3)洗浄液の調製
前記実施例1の1の(3)で調製した洗浄液をそのまま使用した。
(4)酵素標識抗体
前記実施例1の1の(4)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
(5)発色液
前記実施例1の1の(5)の発色液をそのまま使用した。
2.試料
(1)抗GM1抗体陽性血清
前記実施例3の2の試料をそのまま使用した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の6種類の抗GM1抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
試料希釈液として、本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液を用いる以外は実施例3の3の(1)〜(8)と同様にして試料中の抗GM1抗体の測定を行った。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表4及び図4に示した。なお、表4において、かっこ内の数値は、各濃度の緩衝液を含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表4から明らかなように、緩衝液濃度が100mM(すなわちイオン強度が0.180mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.140mol/L)の場合に比較して、全ての試料で、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、緩衝液濃度が10mM(すなわちイオン強度が0.108mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.140mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
更に、緩衝液濃度が5mM(すなわちイオン強度が0.104mol/L)の場合は、緩衝液濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.140mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。また、本発明におけるイオン強度は、測定反応時に存在している緩衝剤のイオン強度を含めたトータルのイオン強度が0.17mol/L以下となっていればよいことが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。
〔実施例5〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
塩化ナトリウム濃度を変えることによりイオン強度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GD1a抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の1の(1)で調製した試料希釈液をそのまま使用した。
(2)GD1a抗原固相化担体の調製
ガングリオシドGD1a(シグマ社)を1ウェル当たり200ngずつポリスチレンプレート〔PolySorp〕(ヌンク社)のウェルに分注し、一定時間放置して、前記ガングリオシドGD1aを前記ポリスチレンプレートの各ウェルに固相化した。
次に、このガングリオシドGD1aが固相化されたウェル内の液を除去した後、このウェルに1.5%BSA溶液(pH7.7)を1ウェル当たり200μLずつ分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行い、GD1a抗原固相化担体を調製した。
(3)洗浄液の調製
前記実施例1の1の(3)で調製した洗浄液をそのまま使用した。
(4)酵素標識抗体
前記実施例1の1の(4)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
(5)発色液
前記実施例1の1の(5)の発色液をそのまま使用した。
2.試料
抗GD1a抗体陽性血清:
抗GD1a抗体を含むことが確認されている3種類の血清を、抗GD1a抗体陽性血清として用意した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の3種類の抗GD1a抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
(2)前記(1)で調製した4種類の混合液の各々を、本実施例の(2)のGD1a抗原固相化担体の各ウェルに100μLずつ分注し、これを4℃にて一晩静置した。
これにより、担体に固相化されているGD1a抗原と試料に含まれていた抗GD1a抗体を接触させ、反応させた。
(3)次に、前記のウェルより、前記の混合液を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(4)本実施例の1の(4)の酵素標識抗体を、1%BSAを含むトリス緩衝液で2,000倍希釈した。次にこれを、前記の洗浄操作を行ったウェルに100μLずつ分注して、室温で2時間反応させた。
(5)その後、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(6)次に、本実施例の1の(5)の発色液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温で20分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、発色液を反応させて、色素を生成させた。
(7)前記の発色液の添加20分後に、0.35M硫酸の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
(8)マイクロプレートリーダー〔680型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値を得た。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表5及び図5に示した。なお、表5において、かっこ内の数値は、各濃度の塩化ナトリウムを含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表5から明らかなように、塩化ナトリウム濃度が200mM(すなわちイオン強度が0.226mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、全ての試料で、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、塩化ナトリウム濃度が100mM(すなわちイオン強度が0.126mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
また、塩化ナトリウム濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.076mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。
〔実施例6〕(異なるイオン強度での抗糖脂質抗体の測定)
塩化ナトリウム濃度を変えることによりイオン強度を変え、標識免疫測定法により試料中の抗GD1b抗体(抗糖脂質抗体)の測定を行った。
1.試薬の調製
(1)試料希釈液の調製
前記実施例1の1の(1)で調製した試料希釈液をそのまま使用した。
(2)GD1b抗原固相化担体の調製
ガングリオシドGD1b(シグマ社)を1ウェル当たり200ngずつポリスチレンプレート〔PolySorp〕(ヌンク社)のウェルに分注し、一定時間放置して、前記ガングリオシドGD1bを前記ポリスチレンプレートの各ウェルに固相化した。
次に、このガングリオシドGD1bが固相化されたウェルに1.5%BSA溶液(pH7.7)を1ウェル当たり200μLずつ分注し、一定時間放置してブロッキング処理を行い、GD1b抗原固相化担体を調製した。
(3)洗浄液の調製
前記実施例1の1の(3)で調製した洗浄液をそのまま使用した。
(4)酵素標識抗体
前記実施例1の1の(4)の酵素標識抗体をそのまま使用した。
(5)発色液
前記実施例1の1の(5)の発色液をそのまま使用した。
2.試料
抗GD1b抗体陽性血清:
抗GD1b抗体を含むことが確認されている2種類の血清を、抗GD1b抗体陽性血清として用意した。
3.試料中の抗糖脂質抗体の測定
(1)試料である本実施例の2の2種類の抗GD1b抗体陽性血清を本実施例の1の(1)の4種類の試料希釈液により、それぞれ100倍に希釈して混合液を調製した。
(2)前記(1)で調製した混合液の各々を、本実施例の1の(2)のGD1b抗原固相化担体の各ウェルに100μLずつ分注し、これを4℃にて一晩静置した。
これにより、担体に固相化されているGD1b抗原と試料に含まれていた抗GD1b抗体を接触させ、反応させた。
(3)次に、前記のウェルより、前記の混合液を吸引して除去した。
そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(4)本実施例の1の(4)の酵素標識抗体を、1%BSAを含むトリス緩衝液で2,000倍希釈した。次にこれを、前記の洗浄操作を行ったウェルに100μLずつ分注して、室温で2時間反応させた。
(5)その後、前記のウェルより、未結合の酵素標識抗体を吸引して除去した。そして、このウェルを、本実施例の1の(3)の洗浄液で洗浄した。
(6)次に、本実施例の1の(5)の発色液の100μLを、前記のウェルに分注し、室温で20分間反応させた。
これにより、担体に固定化された標識酵素(ペルオキシダーゼ)と、発色液を反応させて、色素を生成させた。
(7)前記の発色液の添加20分後に、0.35M硫酸の100μLを、前記のウェルに分注して、前記の反応を停止させた。
(8)マイクロプレートリーダー〔680型〕(バイオラッド社)にて、前記のウェル中の液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定して、吸光度測定値を得た。
4.測定結果
これらの測定結果(吸光度測定値)を表6及び図6に示した。なお、表6において、かっこ内の数値は、各濃度の塩化ナトリウムを含有する試薬のイオン強度(mol/L)を示す。
Figure 0006733079
5.考察
表6から明らかなように、塩化ナトリウム濃度が200mM(すなわちイオン強度が0.226mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、いずれの試料も、測定により得られる測定値(吸光度)が減少してしまっていることが分かる。すなわち、シグナルの生成が大きく減少し、測定の感度が低下してしまっていることが分かる。
これに対して、塩化ナトリウム濃度が100mM(すなわちイオン強度が0.126mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)の減少が小さくなっており、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度が上昇していることが分かる。
また、塩化ナトリウム濃度が50mM(すなわちイオン強度が0.076mol/L)の場合は、塩化ナトリウム濃度が150mM(すなわちイオン強度が0.176mol/L)の場合に比較して、測定により得られる測定値(吸光度)は、いずれも減少しておらず、生成するシグナルの増加、すなわち測定の感度の上昇が顕著であることが分かる。
これらのことより、試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬及び測定方法において、イオン強度を0.17mol/L以下にすることにより、試料中の抗糖脂質抗体を感度高く測定できることが確かめられた。
よって、本発明の試料中の抗糖脂質抗体測定試薬及び測定方法は、生成するシグナルの減少を防ぎ、測定の感度を上昇させ、正確な測定結果を得ることができることが確かめられた。

Claims (6)

  1. 試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する測定試薬において、イオン強度が0.1mol/L以下であることを特徴とする測定試薬。
  2. 糖脂質抗原がガングリオシド抗原である、請求項1記載の測定試薬。
  3. 糖脂質抗原が担体に固定化されたものである、請求項1又は2記載の測定試薬。
  4. 試料中の抗糖脂質抗体を、糖脂質抗原と抗原抗体反応させることにより測定する方法において、該抗原抗体反応の反応時のイオン強度が0.1mol/L以下であることを特徴とする測定方法。
  5. 糖脂質抗原がガングリオシド抗原である、請求項4記載の測定方法。
  6. 糖脂質抗原が担体に固定化されたものである、請求項4又は5記載の測定方法。
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