JP6730572B6 - 難燃性複合成形用基材、ならびに難燃性複合成形体およびその製造方法 - Google Patents

難燃性複合成形用基材、ならびに難燃性複合成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性繊維で強化され、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である繊維強化複合成形体の製造に用いられる基材、ならびに難燃性繊維で強化され、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である難燃性複合成形体およびその製造方法に関する。
炭素繊維またはガラス繊維等を強化繊維として含み、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をマトリックス成分とする複合成形体は、優れた機械的物性を有し、軽量であることから、種々の用途において広く用いられている。また、他の系の複合成形体として、強化繊維がセルロース系繊維であり、マトリックス成分が熱可塑性樹脂である複合成形体もまた、提案されている。セルロース系繊維/熱可塑性樹脂の複合成形体は、炭素繊維(またはガラス繊維)/熱硬化性樹脂複合成形体と比較して、機械的物性は劣るものの、1)マトリックス成分が熱可塑性樹脂であるため、生産時間を短くできる、2)強化繊維が天然由来であるため、これを含む製品は環境により配慮した製品として提案できる、といった利点を有する。
セルロース系繊維/熱可塑性樹脂の複合成形体として、例えば、特許文献1には、1種又は2種以上のセルロース系繊維及び1種又は2種以上の熱可塑性樹脂繊維を構成素材とする布を少なくとも一層又は二層以上積層して、熱可塑性樹脂繊維中の少なくとも1種の熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度又は溶融温度以上の温度で成形してなる複合成形体であって、所定の線膨張係数を有する複合成形体が提案されている。特許文献2には、平均径が5〜20μmであり、数加重平均長が200〜800μmであるセルロース系人工繊維を、熱可塑性ポリマー中に分配させて複合材料を作製することが記載されている。
特開2014−95049号公報 特表2013−503980号公報
複合成形体を用いる用途によっては、複合成形体に難燃性が要求されることもある。複合成形体に難燃性を付与するために、例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂繊維中に難燃剤を配合してよいことが記載されている。本発明は、セルロース系繊維を強化繊維として用い、熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いた場合に、より優れた難燃性を示す複合成形体を得ることを目的としてなされたものである。
本発明は一つの要旨において、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有する、複合成形用基材を提供する。
本発明は別の要旨において、再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有する、複合成形体を提供する。
本発明はさらに別の要旨において、
26以上の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維、および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材を作製すること、および
前記複合成形用基材を、熱可塑性樹脂繊維が溶融または軟化する温度にて加熱すること
を含む、複合成形体の製造方法を提供する。
本発明の複合成形用基材は、再生セルロース繊維による補強効果が発揮され、かつ良好な難燃性を示す複合成形体を製造することを可能にし、これを用いる本発明の複合成形体の製造方法はそのような複合成形体を与えるのに適している。また、本発明の複合成形体は、再生セルロース繊維の補強効果が発揮されるとともに、良好な難燃性を有する。
(本発明に至った経緯)
上記のとおり、難燃性の複合成形体を得ようとする場合には、マトリックスとなる成分(特許文献1においては熱可塑性樹脂繊維)に難燃剤を含有させる方法を用いることが多い。しかしながら、所定の難燃性(例えば、UL94規格でV2)を達成するためには、相当量の難燃剤をマトリックスとなる成分に含有させる必要がある。難燃剤は、例えばそれがハロゲンを含む場合には、難燃剤自体が環境面に負荷を与えることがあり、あるいは複合成形体の機械的特性および加工性が影響を受けることもある。そのため、難燃剤の使用量はできるだけ少なくすることが望ましい。
また、セルロース系繊維を補強繊維として使用する場合には、マトリックスに難燃剤を含有させても、複合成形体の難燃性が向上しないこともある。これは、セルロース系繊維それ自体が燃焼することによると考えられる。そこで、本発明者らは、再生セルロース繊維を難燃性にすることによって、複合成形体の難燃性を向上させることを検討した。そして、難燃剤を含有させた再生セルロース繊維を用いた場合には、複合成形体全体に含まれる難燃剤の量を、マトリックス成分に難燃剤を含有させる場合と比較して、相当に小さくしても、高い難燃効果が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、難燃性を付与した再生セルロース繊維を用いたときに、マトリックス成分それ自体が自己消火性を有するものであると、複合成形体の難燃性がより向上することを見出した。
以下において、本発明の複合成形用基材および複合成形体を構成する、補強用繊維および熱可塑性樹脂等を説明する。ここで、「複合成形用基材」とは、複合成形体を製造する原料となるものであり、熱および圧力を加えることにより、その機械的物性および/または形状が変化して、複合成形体を与えるものを指す。複合成形用基材として、例えば、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とを含んでなる繊維シート、および再生セルロース繊維が熱可塑性樹脂中に内在されたペレット等が挙げられる。
(再生セルロース繊維)
本発明の複合成形用基材および複合成形体においては、補強用繊維として再生セルロース繊維が含まれる。再生セルロース繊維は、天然のセルロースを化学薬品で処理して溶解したのち、繊維の形に成形する方法で得られる繊維を指す。具体的には、ビスコースレーヨン、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン(商品名「キュプラ」で販売されているものを含む)、アセテート、溶剤紡糸セルロース繊維(商品名「テンセル」および「リヨセル」で販売されているものを含む)等が、再生セルロース繊維として挙げられる。本発明においては、ビスコースレーヨンが好ましく用いられる。ビスコースレーヨンは、難燃性のものが市販されていること、あるいはビスコースに難燃剤を添加する方法で難燃性を容易に付与できることに加えて、繊維の周面に細かい襞状の凹凸を有し、熱可塑性樹脂との接触面積が大きく、熱可塑性樹脂との間で高い界面強度を示しやすいことから、好ましく用いられる。尤も、複合成形体の機械的特性(引張強度および曲げ強度等)は、補強用繊維の単繊維強度が大きいほど、より向上する傾向にあるので、補強効果の点からは、ポリノジックおよび溶剤紡糸セルロース繊維も好ましく用いられる。
本発明で用いる再生セルロース繊維の繊度は特に限定されず、例えば、0.1dtex以上22dtex以下であってよく、好ましくは1.0dtex以上、10dtex以下の繊度を有し、より好ましくは1.4dtex〜8.0dtexの繊度を有する。強化繊維の繊度が小さいほど、同じ質量の繊維が複合成形体に含まれているときに、より多くの強化繊維が複合成形体に存在する、すなわち複合成形体に含まれる強化繊維の本数がより多くなり、補強効果がより大きくなる。しかしながら、繊度が0.1dtex未満である再生セルロース繊維を得ることは難しい。また、そのように細い再生セルロース繊維は取り扱いにくいので、熱可塑性樹脂繊維とともに繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、複合成形体の生産効率が低下する。本発明では、異なる繊度の二種類以上の再生セルロース繊維を使用してよい。
本発明で用いる再生セルロース繊維の繊維長もまた特に限定されない。例えば、繊維長は1mm以上であってよい。複合成形体には、複数の異なる繊維長の再生セルロース繊維が意図的にまたは不可避的に含まれてよい。一つの態様において、再生セルロース繊維はすべて実質的に同一の繊維長を有する。有限長の再生セルロース繊維は、紡糸後、切断機によって同一の繊維長となるように切断する方法で製造されるので、所定繊維長を有するものとして市販されている再生セルロース繊維を用いる場合には、同一の繊維長の繊維を複合成形体に存在させることができる。
強化繊維は、その繊維長が長いほど、良好な補強効果を発揮する。したがって、再生セルロース繊維の繊維長が短すぎると(例えば、1mm未満であると)、十分な補強効果を得られにくい。特に繊維長が1mm未満の繊維は粉体状であるため、熱可塑性樹脂繊維とともに繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、繊維シートから再生セルロース繊維が脱落する等の不都合が生じることがある。
強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とから、複合成形用基材としての繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、作製する繊維シートの形態によって異なる。例えば、カードウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、好ましくは20mm〜70mm、より好ましくは25mm〜52mmである。エアレイウェブまたは湿式抄紙ウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、再生セルロース繊維の繊維長は、好ましくは3mm〜25mm、より好ましくは5mm〜20mmである。あるいは、繊維シートは、有限長の繊維を用いて構成されたものでなくてよく、例えば、スパンボンド不織布のような長繊維不織布、またはフィラメント糸の織物もしくは編物等であってよい。
複合成形用基材をペレットの形態で提供する場合、ペレット中には、例えば、1mm〜3mmの繊維長を有する再生セルロース繊維が不規則に分散していてよい。あるいは、ペレットが、溶融状態の熱可塑性樹脂を束状の強化繊維に含浸させ、樹脂を固化させて棒状物を得た後、所定の長さに切断する方法で製造される場合、当該ペレットにおいて、再生セルロース繊維はペレットの長さ方向に配向され、ペレットの長さ(通常1mm以上、例えば2mm〜15mm)に等しい繊維長を有することとなる。
再生セルロース繊維は、内部に繊維の長手方向に沿って延びる空洞を有する、中空繊維の形態であってよい。再生セルロース繊維が中空繊維であると、最終的に得られる複合成形体において気泡部が存在することとなり、複合成形体の断熱性および吸音性を向上させることができる。
再生セルロース繊維は、その繊維断面形状が扁平化されていて、テープのような外観を有するものであってよい。断面形状が扁平であると、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂(マトリックス)との間の界面強度が高くなる傾向にあり、複合成形体の機械的特性をより向上させ得る。
本発明で用いる再生セルロース繊維は、26以上の限界酸素指数を有するように、難燃剤等により難燃性が付与されたものであり、好ましくは28以上、より好ましくは30以上の限界酸素指数を有する。ここで、限界酸素指数(LOI値とも呼ばれる)は、JIS L 1091 E法(酸素指数法試験)に従って測定される、材料の燃焼持続に必要な最低酸素濃度(容積%)を指し、これが大きいほど、難燃性が高いといえる。なお、試験片の形状は、E−1号を用いる。また、本明細書において「難燃性」とは物が燃えにくい性質を包括的に指し、「自己消火性」、「遅燃性」および「不燃性」を含む意味で使用される。
上記の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維(以下、「難燃再生セルロース繊維」と呼ぶ)は、例えば、難燃剤を含有させることによって得られる。難燃剤は、例えば、芳香族リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、含ハロゲンリン酸エステル類、含ハロゲン縮合リン酸エステル類、および赤リン系などのリン系難燃剤、またはリン系難燃剤を主剤としてハロゲン系難燃剤、または無機系難燃剤を併用して用いることができる。好ましい難燃剤は、芳香族リン酸エステル類である。難燃剤を含有する再生セルロース繊維は、難燃剤を添加した紡糸液を紡糸する方法で製造してよい。あるいは、難燃再生セルロース繊維は、難燃剤を繊維表面に付着させる方法で得たものであってよい。
難燃再生セルロース繊維が難燃剤を含有する場合、その限界酸素指数は難燃剤の種類および含有量によって決定される。例えば、難燃剤としてリン系難燃剤を用いる場合、その含有量が繊維全体の質量に対して1質量%10質量%程度であると、上記所定の限界酸素指数を得ることができる。難燃剤の含有量が多いほど、再生セルロース繊維の機械的特性が低下する傾向にあるため、補強効果の観点からは、難燃剤の含有量をできるだけ小さくすることが好ましい。
難燃再生セルロース繊維を用いる場合に複合成形体の難燃性が向上するのは、補強のための繊維がマトリックス成分に対して難燃剤としても機能するためであると考えられる。すなわち、補強繊維を難燃性とすることによって、補強繊維それ自体が燃えにくくなるだけでなく、当該繊維が分散しているマトリックスも燃えにくくなって、複合成形体の難燃性が高められているものと推察される。
再生セルロース繊維には、必要に応じて他の成分、例えば、紫外線吸収剤、炭、顔料、消臭剤、抗菌剤、ゼオライト等の鉱物等から選択される1または複数の添加剤が含まれていてよい。添加剤の種類によっては、再生セルロース繊維に含まれる添加剤が複合成形体に所定の機能を付与する、または複合成形体の機能を向上させることがある。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、複合成形体においてマトリックスとなるものである。熱可塑性樹脂は、加熱により溶融または軟化し、その状態で所望の形状に加工することが可能で、加工後は冷却することにより固化する。熱可塑性樹脂が溶融または軟化してから固化するまでの時間は、熱硬化性樹脂の固化に要する時間(その流動性が一旦高くなった後、硬化するまでの時間)よりも短い。また、熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂とは異なり、一旦成形した後も、熱を加えることによって再成形することが可能である。そのため、熱可塑性樹脂をマトリックスとすることにより、高い生産効率で複合成形体を製造することができ、また、加工性に優れた複合成形体を得ることができる。
熱可塑性樹脂は特に限定されない。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、およびポリブチレンサクシネートなどのポリエステル樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンなど、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるポリエチレン、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、およびシンジオタクチックなどのポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−プロピレン共重合体などの各種ポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、およびナイロン12などのポリアミド;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、および環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック;ならびにポリエーテルイミド、およびポリイミドなどのスーパーエンジニアリング・プラスチックなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、上記において列挙した樹脂が酸等で変性されたものであってよく、あるいは共重合樹脂であってよい。
これらの樹脂の幾つかは、植物由来の原料から製造できることが知られている。例えば、ポリ乳酸は、ジャガイモ、トウモロコシ、およびサトウキビ等を原料として製造できる。また、サトウキビ等の植物由来の原料から製造した、バイオポリエチレンと呼ばれるポリエチレン、バイオポリプロピレンと呼ばれるポリプロピレン、およびバイオポリカーボネートと呼ばれるポリカーボネートも提案されている。これらの植物由来の熱可塑性樹脂を用いる場合には、再生セルロース繊維が植物由来のものであることと相俟って、本発明の複合成形体を環境により配慮した製品として提供することができる。
熱可塑性樹脂としては、自己消火性を有するものが好ましく用いられる。「自己消火性」とは、炎にさらされる間は燃えるが、炎から離されれば消火する性質を指す。具体的には、JIS K6911にて規定するA法において、炎を取り去った後に試験片の燃焼が180秒以内に消え、かつ燃焼した長さが25mm以上100mm以下の場合に、自己消火性を有するものと定められる。
熱可塑性樹脂には、「遅燃性」(炎から離した後も燃焼が継続するものの、燃焼する速度が遅い性質)と呼ばれる難燃性を呈するものもあるが、本発明においては、自己消火性を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。難燃再生セルロース繊維による難燃向上効果は、自己消火性を有する熱可塑性樹脂に対して、より顕著に発揮されるからである。
自己消火性を有する熱可塑性樹脂は、その限界酸素指数が好ましくは25以上、より好ましくは26以上、さらにより好ましくは28以上である。限界酸素指数が高いほど、より高い自己消火性を有し、難燃再生セルロース繊維との組み合わせにより、より高い難燃性を複合成形体に付与する。尤も、限界酸素指数が25を超えると、その熱可塑性樹脂それ自体が非常に燃えにくいものとなるから、難燃再生セルロースを適用して、その難燃性をさらに向上させるという効果を得ることは難しくなる。
自己消火性は、好ましくは、燃焼により熱可塑性樹脂の表面に炭化層が形成され、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより、得られるものである。自己消火性を有する熱可塑性樹脂としては、他にイントメッセント系の難燃剤(燃焼時に断熱性の発泡層を形成することにより燃焼を遅延させる効果を発揮する)を添加したものがあり、そのような熱可塑性樹脂を用いてもよい。しかしながら、炭化層を形成しない、自己消火性の熱可塑性樹脂を用いた場合には、難燃再生セルロース添加の効果は得られにくい傾向にある。
自己消火性を有する熱可塑性樹脂は、本来的に自己消火性を有するものであってよく、あるいは難燃剤等の添加により自己消火性を有するようになったものであってもよい。本発明においては、本来的に自己消火性を有する熱可塑性樹脂、すなわち、難燃剤を添加しなくても自己消火性を示す熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。そのような熱可塑性樹脂は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)である。
本来的に自己消火性を有する熱可塑性樹脂は、難燃剤等を含んでよい。その場合には、熱可塑性樹脂の自己消火性がより高められて、複合成形体の難燃性がより向上する。熱可塑性樹脂が難燃剤を含有する場合、その含有量は、難燃剤と熱可塑性樹脂とを合わせた質量の5%以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、樹脂の種類に応じた難燃剤の添加により自己消火性を示すようになるから、上記において列挙した樹脂はいずれも難燃剤の添加により本発明において用いることができる。本発明において難燃剤を添加した熱可塑性樹脂を使用する場合には、難燃剤が複合成形体全体に占める割合を、難燃再生セルロース繊維を使用しない場合と比較して小さくすることができる。
難燃剤は、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤、およびシリコーン系難燃剤から選択される。難燃剤は、より具体的には、例えば、芳香族縮合リン酸エステル、芳香族ホスホン酸エステルと有機窒素系化合物の混合物から選択される。あるいは、難燃剤は、イントメッセント系の難燃剤であってよい。熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合、難燃剤としては、例えば、芳香族縮合リン酸エステルを用いると良い。
自己消火性を有する熱可塑性樹脂は、自己消火性を有しない熱可塑性樹脂と組み合わせて用いてもよい。例えば、ポリカーボネートは、ポリ乳酸と組み合わせて用いてよい。尤も、難燃再生セルロース繊維による難燃性向上効果は、自己消火性を有しない熱可塑性樹脂に対してはより発揮されにくく、そのような組み合わせを用いると、得られる複合成形体の難燃性は、自己消火性を有する熱可塑性樹脂のみを用いる場合と比較して低くなる。
熱可塑性樹脂は、それがマトリックスとして強化繊維を固定する前には、どのような形態であってもよい。したがって、熱可塑性樹脂は、例えば、繊維形態であったもの、またはペレットまたは粉体の形態であったものが、溶融または軟化してから固化して、複合成形体のマトリックスを構成していてよい。
熱可塑性樹脂には、必要に応じて、顔料、親水化剤、抗菌剤、防黴剤、充填剤、研磨剤、および滑剤等から選択される1または複数の添加剤が含まれていてよい。添加剤を含む場合、その割合は、添加剤と熱可塑性樹脂とを合わせた質量(上記難燃剤を含む場合にはさらにそれを合わせた質量)の30%以下であることが好ましい。再生セルロース繊維の添加剤と同様、樹脂に添加される添加剤もまた、複合成形体に所定の機能を付与することができ、あるいは複合成形体の機能を向上させることができる。
(熱可塑性樹脂繊維)
本発明の複合成形用基材は、熱可塑性樹脂を繊維の形態で含む繊維シート(以下、「複合成形用シート基材」または「シート基材」とも呼ぶ)の形態で提供することができる。シート基材を構成する熱可塑性樹脂繊維は、後述するとおり、シート基材の形態に応じて選択された繊度および繊維長を有する。熱可塑性樹脂繊維の繊度が小さいほど、これを溶融または軟化させたときに、熱可塑性樹脂が再生セルロース間に浸透しやすい。一方、繊度が小さい繊維は取り扱い性が悪く、紡績糸または不織布の製造効率を低下させることがある。したがって、熱可塑性樹脂繊維の繊度は、再生セルロース繊維間への浸透性およびシート基材の製造容易性(シート基材の製造に用いる紡績糸等の製造容易性を含む)を考慮して、適宜選択される。
熱可塑性樹脂繊維は、0.5dtex〜50dtexの繊度、および1mm〜100mmの繊維長を有してよい。好ましい繊度は、1dtex〜20dtexである。強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とから、複合成形用基材としての繊維シートを作製することを含む方法で複合成形体を製造する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は作製する繊維シートの形態によって異なる。例えば、カードウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは30mm〜70mm、より好ましくは40mm〜60mmである。エアレイウェブまたは湿式抄紙ウェブを作製して不織布の形態の繊維シートを作製する場合、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは4mm〜6mmである。熱可塑性樹脂はその溶融粘度等によっては細い繊維にすることが難しく、例えば、ポリカーボネートを用いる場合には、その繊度を1.0dtex以下とすることは一般に困難である。そのような熱可塑性樹脂からなる繊維を用いてシート基材を作製する場合には、熱可塑性樹脂繊維の製造効率(例えば、樹脂の溶融紡糸性)なども考慮して、その繊度を選択する。
熱可塑性樹脂繊維は、二以上の成分からなる複合繊維であってよい。複合繊維の複合形態は特に限定されず、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、繊維断面において二つの成分が菊花状に交互に配置された分割型、および海島型のいずれであってもよい。複合繊維を用いると、マトリックスが二以上の熱可塑性樹脂から成る複合成形体において、熱可塑性樹脂が均一に混合されたマトリックスをより容易に得ることができる。
あるいは、熱可塑性樹脂繊維は、単一繊維であっても、あるいは複合繊維であっても、中空繊維の形態であってよい。
(複合成形用基材)
本発明の複合成形用基材は、上記において説明した特定の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維、および上記において説明した熱可塑性樹脂を含む。複合成形用基材は、熱可塑性樹脂を繊維として含む場合には、繊維シートとして提供される。繊維シートの形態の基材については後述する。
複合成形用基材は、ペレットの形態であってよい。ペレットは、複合成形体を製造する成形機に供給される原料として用いられるものであり、例えば、直方形状、立方形状、碁石形状、円柱状、または楕円柱状を有する。上記のとおり、ペレットにおいて、再生セルロース繊維は、ランダムに分散していてよく、あるいは一定方向に配向していてよい。ペレットは、再生セルロース繊維と繊維状でない熱可塑性樹脂とを混合して通常のペレット製造方法により製造することができる。あるいは、ペレットは、上記のとおり、溶融状態の熱可塑性樹脂を束状の強化繊維に含浸させ、樹脂を固化させて棒状物を得た後、所定の長さに切断する方法で製造することができる。
(複合成形用シート基材)
本発明の複合成形用シート基材は、上記特定の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維と、熱可塑性樹脂から成る繊維とを含む繊維シートである。このシート基材を加熱すると、熱可塑性樹脂繊維のみが溶融または軟化して、再生セルロース繊維間に浸透し、その後、冷却されることにより固化して、繊維を固定するマトリックスとなる。
シート基材は、例えば、織物、編物、もしくは不織布、またはそれらの組み合わせであってよい。また、シート基材は、熱可塑性樹脂繊維からなるシートと、再生セルロース繊維からなるシートとの積層体の形態であってよく、その場合、積層するシートの形態は同じであってよく、互いに異なっていてよい。例えば、シート基材は、再生セルロース繊維からなる織物に、熱可塑性樹脂繊維からなる不織布が積層されて一体化されたものであってよい。
シート基材が織物または編物である場合、織物を構成する糸は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とからなる、混紡糸、混撚糸、コアヤーン、およびカバードヤーンのいずれであってもよい。コアヤーンおよびカバードヤーンは、芯糸を再生セルロースの長繊維からなるフィラメント糸とし、その周囲に熱可塑性樹脂の短繊維を巻き付けたものであってよく、あるいは芯糸を熱可塑性樹脂繊維の長繊維からなるフィラメント糸とし、その周囲に再生セルロース繊維の短繊維を巻き付けたものであってよい。あるいはまた、織物は、経糸及び緯糸のいずれか一方を再生セルロース繊維からなる糸とし、他方を熱可塑性樹脂繊維からなる糸として作製してよい。編物もまた、再生セルロース繊維からなる糸および熱可塑性樹脂繊維からなる糸の二種類の糸で交編したものであってよい。シート基材を構成する織物および編物の組織は特に限定されず、汎用されている組織のものであってよい。織物および編物はそれぞれ、多重織物および多重編物であってもよい。
シート基材が織物または編物である場合、構成繊維の繊度および繊維長は、織物または編物を構成する糸の種類等に応じて選択される。例えば、ステープル長の短繊維で紡績糸を作製する場合には、繊度1dtex〜30dtex、繊維長30mm〜70mmの繊維が一般的に用いられるので、これらの範囲から再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の繊度および繊維長をそれぞれ選択してよい。
シート基材が織物または編物である場合、織物または編物の目付は、得ようとする複合成形体の厚さ等に応じて、例えば400g/m〜12000g/mとしてよく、特に500g/m〜3600g/mとしてよい。織物または編物の目付は、糸の番手、ならびに経糸および緯糸の密度等を適宜選択して調整する。
本発明において、シート基材は不織布であることが好ましい。不織布は、二種類以上の繊維を、所望の割合で均一に混合することが比較的容易である方法で製造できることによる。
シート基材を不織布とする場合、不織布は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維とを用いて繊維ウェブを作製した後、繊維を接着させる及び/または交絡させて一体化させることにより製造される。繊維ウェブの形態は特に限定されず、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、ならびにスパンボンドウェブ等から選択されるいずれの形態であってもよい。
不織布の製造において、繊維ウェブの繊維を一体化させる方法は特に限定されない。例えば、繊維の一体化は、ニードルパンチ法および水流交絡処理法等の機械的交絡法によって行ってよい。あるいは、熱可塑性樹脂繊維が二以上の成分から成る複合繊維であり、一つの成分が、再生セルロース繊維が分解する温度よりも低い温度で熱接着性を示す場合には、繊維同士を当該成分により熱接着させて、繊維を一体化させてよい。
不織布を構成する繊維の繊度および繊維長は、繊維ウェブの形態等に応じて選択される。シート基材を不織布の形態とする場合の再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の繊維長の好ましい範囲は先に説明したとおりである。いずれの繊維ウェブを作製する場合においても、再生セルロース繊維の繊維長は、熱可塑性樹脂繊維のそれと同じであってよく、あるいは異なっていてもよい。
いずれの繊維ウェブを作製する場合においても、再生セルロース繊維の繊度は、例えば、0.1dtex〜20dtexとしてよい。熱可塑性樹脂繊維の繊度は、例えば、0.5dtex〜50dtexとしてよい。
不織布は、二以上の繊維ウェブを積層してなるものであってよい。その場合、一又は複数の繊維ウェブを再生セルロース繊維からなるものとし、他の一又は複数の繊維ウェブを熱可塑性樹脂繊維からなるものとしてよい。二以上の繊維ウェブは同じ方法で作製されたものであってもよく、あるいは異なる方法で作製されたもの(例えば、カードウェブと湿式抄紙ウェブの組み合わせ)であってもよい。
シート基材を不織布とする場合、不織布の目付は、得ようとする複合構造体の厚さ等に応じて、例えば400g/m〜12000g/mとしてよく、特に500g/m〜3600g/mとしてよい。不織布の目付を大きくするために、二以上の同じ又は異なる繊維ウェブを積層して、繊維を一体化させる処理(例えば、ニードルパンチ等の繊維交絡処理)に付してよい。
シート基材となる繊維シートの種類によらず、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維の混合比(質量比)は、20:80〜60:40(再生セルロース繊維:熱可塑性樹脂繊維)であることが好ましい。より好ましくは、30:70〜50:50である。再生セルロース繊維の割合が少なすぎると、再生セルロース繊維による補強効果が十分に得られないことがある。再生セルロース繊維の割合が大きすぎると、熱可塑性樹脂が再生セルロース繊維間に十分に浸透せず、複合成形体の機械的強度が著しく低下することがある。
シート基材は、再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維以外の繊維(以下、「第三の繊維」とも呼ぶ)を含んでよい。例えば、シート基材は、第三の繊維として、再生セルロース繊維以外の強化繊維、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、もしくはアラミド繊維、または他のセルロース系繊維(例えば、コットン、バンブーリネン等)を含んでいてよい。第三の繊維の混合割合は、シート基材全体の例えば30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。これらの第三の繊維は、シート基材でない基材、例えばペレットの形態の基材にも含まれてよい。
シート基材は、繊維シートと他のシート状物とからなる積層シートであってよい。他のシート状物は、例えば、熱可塑性樹脂から成るフィルムまたはネットである。他のシート状物は、例えば、繊維の形態とすることが難しい熱可塑性樹脂から成るものとしてよく、その場合には、そのような熱可塑性樹脂をマトリックスとして含む複合成形体を得ることがより容易となる。
(複合成形体)
本発明の複合成形体は、熱可塑性樹脂がマトリックスであり、再生セルロース繊維により強化された繊維強化複合成形体であるともいえる。繊維により強化される物性は、引張強度、曲げ強度、および衝撃強度(特にシャルピー衝撃値)等から選択される機械的物性の少なくとも一つである。再生セルロース繊維の添加により少なくとも一つの機械的物性の向上が認められる複合成形体は繊維強化複合成形体である。
本発明の複合成形体は、例えば、シート状物、または所定の形状に成形された三次元的な構造体として提供される。
シート状の複合成形体の厚さおよび目付は、その用途等に応じて適宜選択され、特に限定されず、例えば、0.3mm〜10mmの厚さ、および400g/m〜12000g/mの目付を有する。熱可塑性樹脂をマトリックスとして含むシート状の複合成形体は、加熱および加圧により、別の形状に成形することが可能なスタンパブルシート(stampable sheet)として提供することができる。スタンパブルシートの成形は、スタンピング成形と呼ばれることもある。
シート状の複合成形体は、上記シート基材から製造されたものであってよく、あるいは再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂のペレットまたは粉体状物とを混合し、成形機を用いてシート状に製造する方法で製造したものであってよい。シート基材から複合成形体を製造する場合には、熱可塑性樹脂繊維に加わる温度および圧力によっては、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融せず、複合成形体において熱可塑性樹脂繊維がその繊維形状をある程度維持した状態で存在することがある。特に、後述するように、熱可塑性樹脂の融点が高く、当該融点より高い温度で加熱すると、再生セルロース繊維の分解が生じる場合には、当該融点よりも低い温度で処理されるので、熱可塑性樹脂繊維の形状がより維持される傾向にある。
熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融していない複合成形体は、再生セルロース繊維間の空隙が熱可塑性樹脂で完全に充填されていないために、熱可塑性樹脂が完全に溶融して固化した複合成形体と比較して比容積が大きく、具体的には、例えば1.1cm3/g〜2.0cm3/g、特に1.2cm3/g〜1.5cm3/g程度の比容積を有し得る。熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融していない複合成形体は、熱可塑性樹脂繊維が溶融した部分が骨格となるとともに、繊維間の空隙がある程度保持された構造を有する。このような構造の複合成形体は、この空隙に起因して、吸音性および/または衝撃吸収性を示すことがある。また、そのような複合成形体は、熱可塑性樹脂が完全に溶融して固化した複合成形体と比較して表面が平滑でなく、シート基材に由来するざらついた触感を有し、あるいは、表面において繊維の毛羽立ちが観察される。なお、本発明の複合成形体は、それ自体吸水性を有する再生セルロース繊維を含むので、熱可塑性樹脂繊維の溶融度合いがより高く、例えば完全に溶融してから固化している場合でも、複合成形体はある程度吸水性を示す。
熱可塑性樹脂を一種類以上含み、それらの融点が互いに異なる場合には、シート基材から製造した複合成形体において、一種類以上の熱可塑性樹脂繊維が溶融して、その繊維形状が失われ、他の熱可塑性樹脂繊維の形状が残存していることもある。例えば、ポリカーボネート繊維とポリ乳酸繊維とを熱可塑性樹脂繊維として含むシート基材を用いる場合、ポリ乳酸の融点がより低いために、ポリ乳酸は繊維形状をより失いやすく、ポリカーボネート繊維が比較的その形状を保持する傾向にある。
本発明の複合成形体は、一般に、所定の形状に加工された三次元的な構造体として提供される。三次元的な構造体は、例えば、上記ペレットを用いて成形機により成形したもの、上記シート基材を加熱する際に三次元的に成形したもの、上記シート状の複合成形体(スタンパブルシート)を三次元的に成形したもの、または、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂のペレットまたは粉体とを混合して成形機により成形したものであってよい。あるいは、三次元的な構造体は、複合成形体のブロックを切削加工に付して、所定の形状にしたものであってもよい。
本発明の複合成形体は、いずれの形態においても、強化繊維としての再生セルロース繊維を、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂とを合わせた質量に対して20質量%〜60質量%の割合で含んでよい。好ましくは、30質量%〜50質量%である。そのような割合で再生セルロース繊維を含む複合成形体は優れた機械的特性を有する。また、再生セルロース繊維の割合がその程度であると、複合成形体において再生セルロース繊維が均一に分散した複合成形体を得やすい。
(複合成形体の製造方法)
本発明の複合成形体は、特定の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維、および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材を作製すること、および複合成形用基材を、熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度にて加熱することを含む製造方法によって製造される。ここでは、その製造方法の一形態として、上記シート基材を用いた製造方法を説明する。本実施形態は、シート基材を作製すること、およびシート基材を熱可塑性樹脂繊維が溶融または軟化する温度にて加熱することを含む。
織物または編物の形態のシート基材は、再生セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維の混紡糸等を通常の方法により織成または編成することにより作製できる。
不織布の形態のシート基材は、繊維ウェブを作製し、繊維ウェブ中の繊維を接着させる及び/または交絡させて一体化させることにより製造される。繊維の接着は、熱可塑性樹脂繊維が熱接着性を有する場合には、熱風貫通式熱処理機(エアスルー式熱加工機とも呼ぶ)、熱風吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機等、または熱ロール加工機等を用いて実施してよい。繊維による熱接着は、熱可塑性樹脂が溶融または軟化するが、再生セルロース繊維が分解しない温度にて実施する。尤も、熱可塑性樹脂繊維を熱接着させると、シート基材が硬くなりすぎてロールに巻き取ることができない等、シート基材として取り扱いにくくなり、むしろ複合成形体となってしまうので、加熱温度および加熱時間に留意する。あるいは、繊維の接着は接着剤等を用いて実施してよい。
繊維同士を交絡させる場合には、水流交絡処理法またはニードルパンチ法を用いる。本実施形態においては、ニードルパンチ法が好ましく用いられる。ニードルパンチ法によれば、繊維ウェブの目付が例えば400g/m〜12000g/m程度と比較的大きい場合でも、繊維同士を比較的容易に交絡させ得る。この範囲の目付の繊維ウェブのニードルパンチ処理は、例えば、36〜42番手の針であって、バーブの数が3〜9である針を用いて、針深度を3〜20mmとし、10〜500本/cm2の密度で打ち込みをして実施してよい。
次に、シート基材を加熱処理に付して、熱可塑性樹脂を溶融または軟化させて、再生セルロース繊維間に樹脂を浸透させる。加熱処理は、加圧処理を伴ってよい。特に、熱可塑性樹脂の融点が高い場合、および/または熱可塑性樹脂の溶融粘度が高い場合には、加圧処理を同時に実施することにより、熱可塑性樹脂の再生セルロース繊維間への浸透がより促進される。
加熱は、熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度にて実施する。加熱温度を熱可塑性樹脂の融点より高く設定すれば、熱可塑性樹脂を再生セルロース繊維間により浸透させやすくなるが、加熱温度が再生セルロース繊維の分解温度を上回ると、再生セルロース繊維が劣化して、再生セルロース繊維による補強効果を得られないことがある。その場合には、加熱温度を熱可塑性樹脂の融点よりも低くして、加圧処理を実施することが好ましい。熱可塑性樹脂繊維を二種類以上用いる場合には、少なくとも一種類の熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度で、加熱処理を実施する。
加熱温度を熱可塑性樹脂の融点より低い温度とする場合、加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度であることが好ましい。ガラス転移温度以上の温度で加熱する場合には、加圧処理を実施することにより、再生セルロース繊維へのダメージを少なくして、熱可塑性樹脂により再生セルロース繊維を固定することができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が再生セルロース繊維の分解温度よりも高い場合、ならびに/あるいは加圧処理により再生セルロース繊維への熱可塑性樹脂の浸透が確保される場合には、加熱温度を当該ガラス転移温度より低くしてもよい。得られる複合成形体において、熱可塑性樹脂繊維の形状をある程度維持したい場合にもまた、熱可塑性樹脂の融点よりも低い加熱温度を選択してよい。熱可塑性樹脂繊維の形状を維持したい場合には、加圧処理の際の圧力をより低くしてよい。
例えば、熱可塑性樹脂繊維として、ガラス転移温度70℃〜170℃程度のポリカーボネート繊維を使用する場合、加熱温度は150℃〜250℃とすることが好ましい。更に好ましくは、再生セルロース繊維の分解を抑制するために、加熱温度は150℃〜210℃である。加熱温度をこの範囲内とする場合には、加圧処理を実施する。加圧処理は、例えば、1MPa〜10MPaの圧力を加えて実施する。熱可塑性樹脂繊維として、融点150℃〜200℃程度のポリ乳酸繊維を使用する場合、加熱温度は150℃〜250℃とすることが好ましい。更に好ましくは、再生セルロース繊維の分解を抑制するために、加熱温度は150℃〜210℃である。加熱処理に加えて加圧処理を行う場合には、圧力は1MPa〜10MPaとすることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維として、融点160℃〜170℃程度のポリプロピレン繊維を使用する場合、加熱温度は170℃〜210℃とすることが好ましい。加熱処理に加えて加圧処理を行う場合には、圧力は1MPa〜10MPaとすることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維として、融点140℃〜160℃程度の変性ポリプロピレン繊維を使用する場合、加熱温度は150℃〜200℃とすることが好ましい。加熱処理に加えて加圧処理を行う場合には、圧力は1MPa〜10MPaとすることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維として、軟化温度150℃〜200℃程度のポリメチルペンテン繊維を使用する場合、加熱温度は170℃〜250℃とすることが好ましい。更に好ましくは、再生セルロース繊維の分解を抑制するために、加熱温度は170℃〜210℃である。加熱処理に加えて加圧処理を行う場合には、圧力は1MPa〜10MPaとすることが好ましい。
加熱処理と加圧処理を実施する場合には、熱プレス機を用いてよい。あるいはまた、先に加熱処理を施し、熱可塑性樹脂が溶融または軟化状態にある間に、続いて加圧処理を実施してもよい。
目付のより大きい複合成形体を製造する場合には、加熱処理および/または加圧処理を、複数のシート基材を積層して実施してよい。その場合、複数のシート基材を、機械的に(例えば縫合により)、または化学的に(例えば接着により)、予め一体としてから、加熱処理および/または加圧処理に付してよい。
本実施形態によれば、シート状の複合成形体を得ることができ、あるいは加熱処理および/または加圧処理の際に三次元的な形状を付与することによって、三次元的な構造体である複合成形体を得ることができる。シート状の複合成形体(スタンパブルシート)は、さらに熱プレス処理に付することによって、凹凸を有する形状にすることができる。その場合には、シート状の複合成形体を複数積層して熱プレス処理を実施し、より厚い複合成形体を得るようにしてよい。
本実施形態の製造方法は、本発明の複合成形体を製造する一形態であり、本発明の複合成形体はその形状に応じて他の製造方法で製造してよいことはいうまでもない。例えば、シート状の複合成形体は、再生セルロース繊維からなる繊維シートに、含浸または塗布等により溶融した熱可塑性樹脂を適用する方法で製造してもよい。
(複合成形体の用途)
本発明の複合成形体は、宇宙および航空機用資材、船舶用資材、車両(自動車および自転車含む)用資材、スポーツ用品用資材、OA機器用資材、電子機器用資材、工業資材、タンクおよび容器類の資材、雑貨類用資材、ならびに建設資材として使用することができる。具体的には、本発明の複合成形体は、自動車の内装材および吸音材、スーツケース本体、およびパーソナルコンピュータ、携帯電話、コピー機、複合機、ゲーム機などの筐体を構成するのに適している。
再生セルロース繊維として、以下のものを用意した。
再生セルロース繊維A:
繊度1.7dtex、繊維長51mmのビスコースレーヨンであって、難燃剤として芳香族リン酸エステルを含有する難燃再生セルロース繊維を用意した(商品名DFG、ダイワボウレーヨン(株)製)、捲縮数11.8個/25mm、単繊維強度2.18cN/dtex、限界酸素指数29)。
再生セルロース繊維B:
繊度1.7dtex、繊維長51mmのビスコースレーヨンを用意した(商品名コロナRB、ダイワボウレーヨン(株)製)、捲縮数12.4個/25mm、単繊維強度2.28cN/dtex、限界酸素指数18.4)。
熱可塑性樹脂繊維として、以下のものを用意した。
熱可塑性樹脂繊維A:
繊度6.7dtex、繊維長64mmのポリカーボネート繊維を用意した。このポリカーボネート繊維は次の方法により製造した。ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製、M7020J)を紡糸温度300℃の条件にて溶融紡糸して、繊度6.7dtexの紡糸フィラメントを得た。繊維処理剤を付与し、さらに、スタッフィングボックス型クリンパーにて15個/25mmの捲縮を付与し、乾燥させた後、64mmの繊維長に切断した。このポリカーボネート繊維は、2.5cN/dtexの単繊維強度を有し、その限界酸素指数は26であった。
熱可塑性樹脂繊維B:
繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリプロピレン繊維であって、難燃剤としてN−アルコキシヒンダードアミンの単量体を3質量%含有するものを用意した。このポリプロピレン繊維は次の方法により製造した。融点165℃のポリプロピレン(商品名 SA03、日本ポリプロ(株)製)に難燃剤を添加し、紡糸温度230℃の条件にて溶融紡糸して、繊度6.6dtexの紡糸フィラメントを得た。次いで、紡糸フィラメントを、130℃の熱風中で3倍に延伸して繊度2.2dtexとした後、繊維処理剤を付与し、さらに、スタッフィングボックス型クリンパーにて15個/25mmの捲縮を付与し、乾燥させた後、51mmの繊維長に切断した。このポリプロピレン繊維は、4.0cN/dtexの単繊維強度を有し、その限界酸素指数は28であった。
上記において、単繊維強度は、JIS L 1015に準じて、引張試験機を用いて、試料のつかみ間隔を20mmとして引張試験を実施した際に、繊維が切断したときの荷重値である。
(実施例1)
再生セルロース繊維A40質量%と、熱可塑性樹脂繊維A(ポリカーボネート繊維)60質量%とを混合して、ローラーカード機により、カードウェブを得た。このウェブを、40番手の針を用いて、針深度10mm、密度130本/cm2の条件で、ニードルパンチ処理に付して、厚み1.0mmのニードルパンチ不織布を得た。この不織布を、熱プレス機を用いて、温度200℃および圧力3MPaの条件にて加熱および加圧処理に付し、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融したシート状の複合成形体を得た。
(実施例2)
再生セルロース繊維A40質量%と、熱可塑性樹脂繊維B(ポリプロピレン繊維)60質量%とを混合して、ローラーカード機により、カードウェブを得た。このウェブを、40番手の針を用いて、針深度10mm、密度130本/cm2の条件で、ニードルパンチ処理に付して、厚み1.0mmのニードルパンチ不織布を得た。この不織布を、熱プレス機を用いて、温度200℃および圧力3MPaの条件にて加熱および加圧処理に付し、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融したシート状の複合成形体を得た。
(比較例1)
再生セルロース繊維B40質量%と、熱可塑性樹脂繊維A60質量%とを混合して、実施例1と同様の手順で繊維ウェブを作製し、当該繊維ウェブから熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融したシート状の複合成形体を製造した。
(比較例2)
再生セルロース繊維B40質量%と、熱可塑性樹脂繊維B60質量%とを混合して、実施例1と同様の手順で繊維ウェブを作製し、当該繊維ウェブから熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融したシート状の複合成形体を製造した。
各実施例および各比較例の複合成形体の目付、厚み、比容積、引張強度、伸度および裂断長、ならびに難燃性を表1に示す。なお、目付、厚み、比容積、引張強度および裂断長、ならびに難燃性は下記の方法に従って決定した。
(目付)
試料を15cm×15cmにカットして、その重さを測定して求めた。
(厚み)
不織布の厚み測定機(商品名“THICKNESS GAUGE”、モデル:CR−60A、株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、JIS L 1096に準じて試料1cm2あたり20gの荷重を加えた状態で測定した。
(比容積)
目付と厚みから計算して求めた。
(引張強度)
JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をチャックの間隔が10cmとなるように把持し、定速伸長型引張試験機(商品名:テンシロン UCT−1T オリエンテック株式会社製)を用いて引張速度30cm/分で試料片を伸長し、破断時の荷重値及び伸長率をそれぞれ破断強力、破断伸度として測定した。
(裂断長)
引張強度および目付から、下記の式により算出した。
裂断長(km)=[引張強度(N/5cm)/9.8)×1000]/[引張強度の測定試料の幅(mm)×目付(g/m2)]
(難燃性)
実施例1および比較例1については、UL94HBおよびVクラスの試験法と判定基準に準じた評価を実施し、実施例2および比較例2についてはJIS L 1091 A−1法に準じた評価を実施した。ただし、比較例1については、燃焼が著しくて実質的な評価を行うことができなかった。
Figure 0006730572
実施例1と比較例1との比較、および実施例2と比較例2との比較から、難燃剤を添加したビスコースレーヨンを強化繊維として用いることにより、得られる複合成形体の難燃性が有意に向上することがわかった。また、実施例1は比較例1と比較して、引張強度および裂断長等の機械的物性が向上しており、ビスコースレーヨンに添加した難燃剤が、マトリックス中の繊維の分散性および/またはポリカーボネートとビスコースレーヨンとの親和性を向上させている可能性がある。
本発明には以下の態様のものが含まれる。
(態様1)
再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む、複合成形用基材であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有する、難燃性複合成形用基材。
(態様2)
前記熱可塑性樹脂が、燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示す、態様1の難燃性複合成形用基材。
(態様3)
基材が不織布であり、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維として含まれる、態様1または2の難燃性複合成形用基材。
(態様4)
前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリカーボネート繊維、ポリエーテルイミド繊維、およびポリフェニレンエーテル繊維から選択される、1または複数の繊維である、態様3の難燃性複合成形用基材。
(態様5)
再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有する、難燃性複合成形体。
(態様6)
前記熱可塑性樹脂が、燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示す、態様5の難燃性複合成形体。
(態様7)
前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、およびポリフェニレンエーテルから選択される、1または複数の樹脂である、態様5または6の難燃性複合成形体。
(態様8)
26以上の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維、および熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材を作製すること、および
前記複合成形用基材を、熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度にて加熱すること
を含む、難燃性複合成形体の製造方法。
(態様9)
前記複合成形用基材が前記熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂繊維として含む繊維シートであり、繊維シートを加圧してシート状の難燃性複合成形体を得ることをさらに含む、態様8の難燃性複合成形体の製造方法。
(態様10)
前記熱可塑性樹脂繊維が、燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示す、態様9の難燃性複合成形体の製造方法。
(態様11)
前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリカーボネート繊維、ポリエーテルイミド繊維、およびポリフェニレンエーテル繊維から選択される、1または複数の繊維である、態様9または10の難燃性複合成形体の製造方法。
本発明の複合成形体は、宇宙および航空機用資材、船舶用資材、車両(自動車および自転車含む)用資材、スポーツ用品用資材、OA機器用資材、電子機器用資材、工業資材、タンクおよび容器類の資材、雑貨類用資材、ならびに建設資材として有用である。

Claims (11)

  1. 再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む、複合成形用基材であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有し、前記熱可塑性樹脂が、燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示すことを特徴とする、難燃性複合成形用基材(ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)。
  2. 基材が不織布であり、前記熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂繊維として含まれる、請求項1に記載の難燃性複合成形用基材。
  3. 目付が400g/m〜12000g/mである、請求項に記載の難燃性複合成形用基材。
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリカーボネート繊維、ポリエーテルイミド繊維、およびポリフェニレンエーテル繊維から選択される、1または複数の繊維である、請求項またはに記載の難燃性複合成形用基材。
  5. 再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂を含む、不織布である複合成形用基材であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有し、目付が400g/m 〜12000g/m である、難燃性複合成形用基材 (ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)。
  6. 再生セルロース繊維および熱可塑性樹脂繊維を含む、不織布である複合成形用基材であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有し、前記熱可塑性樹脂繊維がポリカーボネート繊維、ポリエーテルイミド繊維、およびポリフェニレンエーテル繊維から選択されることを特徴とする、難燃性複合成形用基材(ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)。
  7. 再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有し、前記熱可塑性樹脂が、燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示すことを特徴とする、難燃性複合成形体(ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)。
  8. 再生セルロース繊維が強化繊維として含まれ、熱可塑性樹脂がマトリックスとして含まれる複合成形体であって、前記再生セルロース繊維が、26以上の限界酸素指数を有し、前記熱可塑性樹脂が繊維形状を有していないことを特徴とする、難燃性複合成形体(ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)
  9. 26以上の限界酸素指数を有する再生セルロース繊維、および燃焼により炭化層を形成し、当該炭化層がさらなる燃焼を防ぐことにより自己消火性を示す熱可塑性樹脂を含む複合成形用基材(ただし、金属メッキを施した合成繊維を含むものを除く)を作製すること、および
    前記複合成形用基材を、熱可塑性樹脂が溶融または軟化する温度にて加熱することを含む、難燃性複合成形体の製造方法。
  10. 前記複合成形用基材が前記熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂繊維として含む繊維シートであり、繊維シートを加圧してシート状の難燃性複合成形体を得ることをさらに含む、請求項9に記載の難燃性複合成形体の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂繊維を溶融または軟化する温度にて加熱することが、前記熱可塑性樹脂繊維を完全に溶融して、繊維形状を失わせることを含む、請求項10に記載の難燃性複合成形体の製造方法。
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