JP6730045B2 - 摩擦材用α−アルミナ粒子及びα−アルミナ粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は摩擦材用α−アルミナ粒子及びα−アルミナ粒子の製造方法に関する。また、本発明は、前記摩擦材用α−アルミナ粒子を含有する摩擦材に関する。
ディスクブレーキやドラムブレーキなどのブレーキ、あるいはクラッチなどに使用される摩擦材は、補強作用をする繊維基材、摩擦作用を与えかつその摩擦性能を調整する摩擦調整材、これらの成分を一体化する結合材などの原材料からなっている。
摩擦材の摩擦特性を調整する摩擦調整材としては、無機系や有機系の充填材、研削材、及び固体潤滑材等がある。これらはそれぞれの特徴を有しており、1種類ではすべての要求を満足することが難しいため、通常2種類以上のものが組み合わされて使用されている。
このような摩擦調整材のうち、摩擦係数を確保するために、アルミナやシリカ、マグネシア、ジルコニアといった金属酸化物等の硬質粒子が摩擦材に添加されることがあるが、多量に添加すると相手材に対する攻撃性が高まる可能性がある。
そこで、相手材に対する攻撃性を改善するための提案が種々なされている。
例えば、特許文献1には、繊維基材、結合材、充填材、硬質無機粒子を主成分とする摩擦材組成物を成形、硬化してなる摩擦材において、硬質無機粒子として一次結晶アルミナが二次凝集した凝集アルミナを湿式粉砕して作った粉砕凝集アルミナを含有する摩擦材が開示されている。
また、特許文献2には、繊維基材、摩擦調整材、有機充填材、無機充填材、及びバインダーの熱硬化性樹脂を主成分とする原料組成物を成形、硬化してなるブレーキ用摩擦材において、粒子径0.2〜0.9μmの微粒アルミナ粒子を凝集させて形成される平均粒径が30〜60μmの凝集アルミナを含むブレーキ用摩擦材が開示されている。
そして、特許文献3には、繊維材、潤滑材、摩擦調整材、及び充填材等に結合材を配合して得られるブレーキ摩擦材において、摩擦調整材の少なくとも一部に、結晶が凝集して平均粒径30〜100μmの凝集体を形成するアルミナ粉を用いたブレーキ摩擦材が開示されている。
特開2005−263823号公報 特開2008−163178号公報 特開平10−205555号公報
しかしながら、従来技術ではいずれも、相手材に対する攻撃性を十分に抑制することは困難であった。
そこで本発明は、摩擦材に用いる摩擦調整材であって、摩擦材に、相手材に対する攻撃性を緩和して優れた耐摩耗性を付与することのできる新たな摩擦調整材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、摩擦調整材として用いるアルミナは、従来水酸化アルミニウムを焼成して得られる焼成アルミナやアルミナ粒子の凝集体が用いられているが、アルミナの単結晶を化学変化させて特定範囲の平均結晶粒サイズを有するα−アルミナ粒子を摩擦材に含有させることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(5)により達成されるものである。
(1)結晶粒を有し、前記結晶粒の平均結晶粒サイズが150〜1000nmであることを特徴とする摩擦材用α−アルミナ粒子。
(2)平均粒子径が5〜400μmであることを特徴とする前記(1)に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子。
(3)粒子形状が球状及び不定形状のうちの少なくとも一方であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子。
(4)ベーマイトの凝集体及び擬ベーマイトの凝集体うちの少なくとも1つの凝集体を1200〜1500℃の温度範囲で、1〜20時間加熱する工程を有することを特徴とする平均結晶粒サイズが150nm以上の結晶粒を有するα−アルミナ粒子の製造方法。
(5)前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の摩擦材用α−アルミナ粒子を含有することを特徴とする摩擦材。
本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子は、結晶粒を有し、この結晶粒の平均結晶粒サイズが150〜1000nmであるため、ブレーキの制動時にその構造が崩壊し、摩擦面に広がることで、摩擦面に安定な摩耗粉被膜を形成することができる。これにより、摩擦材の摩擦性能、特に低速度域における摩擦係数の安定性を維持しながら、相手材に対する攻撃性を緩和して優れた耐摩耗性を付与することができる。
また、本発明のα−アルミナ粒子の製造方法によれば、平均結晶粒サイズが150nm以上の結晶粒を有するα−アルミナ粒子を再現性よく製造することができる。
また、本発明の摩擦材は、本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子を含有しているので、摩擦性能及び相手材に対する攻撃性の緩和を高次で両立し得る。
実施例1〜6及び比較例1で得られたα−アルミナ粒子のXRDによる結晶構造解析結果を示す図である。 実施例1〜3、5、6及び比較例1で得られたα−アルミナ粒子のSEMによる外観及び表面観察結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
アルミナにはα−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ等と呼ばれる結晶構造の異なるものが知られており、水酸化アルミニウムやベーマイト等を出発原料として熱分解して生成される。α−アルミナは酸化アルミニウムの一形態として知られる熱的に安定、かつ硬度の大きいアルミナであり、出発原料を常法に従って1000℃以上の温度で焼成して得られる。
本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子(以下、単に「α−アルミナ粒子」ともいう)は多結晶体であり、結晶粒(単結晶)から構成されている。結晶粒の平均結晶粒サイズは150〜1000nmであり、平均結晶粒サイズが前記範囲であることで、ブレーキの制動時において、摩擦材中のα−アルミナ粒子の結晶構造が崩壊した際に、相手材(ロータ等)に対して過剰に研削することがなく、相手材の摩耗量を低減することができる。
結晶粒の平均結晶粒サイズは、150〜500nmが好ましく、160〜300nmがより好ましく、160〜200nmが更に好ましい。前記各好ましい平均結晶粒サイズの範囲によれば、摩擦材の摩擦性能、特に低速度域における摩擦係数の安定性、並びに相手材に対する攻撃性の緩和による耐摩耗性を更に高めることができる。また、結晶粒の平均結晶粒サイズが160〜200nmである場合、前記効果が更に高まるとともに、摩擦面への更に安定な摩耗粉凝集被膜が形成され、ブレーキ鳴きの発生を抑制することができ、好ましい。
なお、結晶粒の平均結晶粒サイズは、X線回折(XRD)により測定することができる。具体的には、P.Scherrer法として知られる下記式により求められる。
平均結晶粒サイズ(L(Å))=κλ/(βcosθ)
(式中、κはScherrer定数(0.9)であり、λはX線管球の波長であり、θは回析線であり、βは結晶子による回析X線の拡がりであって、完全でよく成長した結晶の半値幅をB、実際の半値幅をbとしてβ=b−Bから求める。)
本発明において、α−アルミナ粒子の平均粒子径は、5〜400μmであることが好ましい。α−アルミナ粒子の平均粒子径が5μm以上であると、ブレーキの制動力を十分に確保することができ、摩擦性能を向上させることができる。また、400μm以下であると、摩擦材材料の分散性や摩擦材の成形性を損なうことがない。更に好ましいα−アルミナ粒子の平均粒子径は、5〜100μmである。
なお、α−アルミナ粒子の平均粒子径は、ナノ粒子径分布測定装置により測定した体積基準での50%粒径の数値を用いる。
また、α−アルミナ粒子の粒子形状は、球状、不定形状、平板状、棒状等様々なものを用いることができる。その中でも、相手材への攻撃性をより低下させるという観点から、球状及び不定形状のうちの少なくとも一方であることが好ましい。
次に本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子の製造方法について説明する。
本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子は、出発材料であるベーマイトの凝集体及び擬ベーマイトの凝集体のうちの少なくとも1つの凝集体を1200〜1500℃の温度範囲で、1〜20時間加熱する工程を有する。
ベーマイト及び擬ベーマイトは公知であって、市販されているものを使用することができる。例えば、川研ファインケミカル株式会社製「アルミゾル10A」「アルミゾルCSA−110AD」「アルミゾル10D」「アルミゾルA2」「アルミゾル10C」(商品名、アルミナゾル)、大明化学工業株式会社製「C06」(商品名、ベーマイト粒体)、日産化学工業株式会社製「AS−200」「AS−520」(商品名、アルミナゾル)、河合石灰工業株式会社製「BMM」「BMB」(ベーマイト)等を使用することができる。
出発原料であるベーマイト及び擬ベーマイトの平均粒子径は、例えば、5〜900nmであり、10〜700nmが好ましい。
ベーマイト及び擬ベーマイトの凝集体は、原料であるベーマイトや擬ベーマイトの分散液を加熱乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、撹拌造粒等の手段を用いて処理することにより作製することができる。
得られた凝集体は1200〜1500℃の範囲で1〜20時間の加熱を行う。
1200℃以上で加熱を行うことにより、γ−アルミナ粒子やθ−アルミナ粒子等のα−アルミナ粒子以外のアルミナ粒子を生成させることなく全ての出発原料をα−アルミナに転化することができ、1500℃以下で加熱を行うことにより結晶粒の結晶粒サイズの成長を抑制することができる。加熱温度は1200〜1400℃の範囲が好ましく、1200〜1300℃の範囲がより好ましい。
また、加熱時間が1時間以上であると、γ−アルミナ粒子やθ−アルミナ粒子等のα−アルミナ粒子以外のアルミナ粒子を生成させることなく全ての出発原料をα−アルミナに転化することができ、20時間以下であると結晶粒の結晶粒サイズの成長を抑制することができるため好ましい。加熱時間は1〜15時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
この加熱工程により、ベーマイト及び/又は擬ベーマイトが、結晶粒を有するα−アルミナに変化し、その結晶粒の平均結晶粒サイズが150nm以上となり、また、α−アルミナの結晶粒同士が焼結し、α−アルミナ粒子となる。
本発明において、α−アルミナ粒子の平均粒子径を所望の大きさ(例えば、5〜400μm)とするために、粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕工程は加熱工程の前に行ってもよく、加熱工程後に行ってもよい。
粉砕方法としては、例えば、自動乳鉢、振動ミル、ボールミル、ジェットミル、ビーズミル等が用いられる。
粉砕時間は所望の平均粒子径となるように適宜設定することができる。
なお、凝集体の平均粒子径が所望の大きさである場合は、粉砕工程は行わなくてもよい。
本発明において、上記方法により得られたα−アルミナ粒子は平均結晶粒サイズが150nm以上である結晶粒を有するが、α−アルミナ粒子を摩擦材として用いる場合は、平均結晶粒サイズが150〜1000nmであることが好ましく、150〜500nmがより好ましく、160〜300nmが更に好ましく、160〜200nmが特に好ましい。
本発明の摩擦材は、上記した本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子を含有する。摩擦材中に本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子を含有することで、ブレーキの制動時に摩擦材用α−アルミナ粒子の構造が崩壊し、摩擦面に広がることで、摩擦面に安定な摩耗粉被膜を形成することができる。これにより、摩擦材の摩擦性能、特に低速度域における摩擦係数の安定性を維持しながら、相手材(ロータ等)に対する攻撃性を緩和して優れた耐摩耗性を付与することができる。
摩擦材用α−アルミナ粒子の含有量は、摩擦材中、0.1〜10.0体積%であることが好ましく、0.3〜7.0体積%であることがより好ましく、0.5〜5.0体積%であることが更に好ましい。摩擦材中に本発明の摩擦材用α−アルミナ粒子を0.1体積%以上含有させることで所望の効果を発揮することができ、10.0体積%以下で含有させることで摩擦材の摩擦特性や相手材への攻撃性を適正に確保することができる。
なお、本発明の摩擦材の配合に際しては、通常用いられる配合材料が使用される。摩擦材は、摩擦作用を与え、かつその摩擦性能を調整する摩擦調整材、補強作用を有する繊維状物質からなる繊維基材、これらの成分を一体化する結合材等の材料からなる。
摩擦調整材としては、例えば、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、マイカ等の無機充填材、アルミナ(本発明のα−アルミナ粒子以外のアルミナ)、シリカ、マグネシア、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、酸化クロム、四三酸化鉄、クロマイト等の研削材、銅、アルミニウム、青銅、亜鉛等の金属粉末、レジンダスト、カシューダスト、メラミンダスト等の有機充填材、黒鉛(グラファイト)、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン、コークス、硫化錫、硫化亜鉛、硫化鉄、硫化銅、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑材等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
摩擦材中の摩擦調整材の含有量は、所望する摩擦係数に応じて適宜調整すればよく、例えば、60〜90体積%が好ましく、65〜85体積%がより好ましい。
繊維基材としては、有機繊維、無機繊維、金属繊維等が使用される。有機繊維としては、例えば、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、耐炎性アクリル繊維等が使用され、無機繊維としては、例えば、チタン酸カリウム繊維やアルミナ繊維等のセラミック繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール等が使用され、また、金属繊維としては、例えば、銅繊維やスチール繊維等が使用される。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
摩擦材中の繊維基材の含有量は、摩擦材としての十分な機械強度を確保するための量を適宜調整すればよく、例えば、1〜30体積%が好ましく、5〜20体積%がより好ましい。
結合材(バインダー)としては、例えば、ストレートフェノール樹脂や、キシレン変性フェノール樹脂、カシュー変性樹脂、シリコーンゴム変性フェノール樹脂、アクリルゴム変性フェノール樹脂、ニトリルゴム変性フェノール樹脂等の変性したフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
摩擦材中の結合材の含有量は、摩擦材としての十分な機械強度、耐摩耗性を確保するための量を適宜調整すればよく、例えば、5〜25体積%が好ましく、10〜20体積%がより好ましい。
本発明の摩擦材の製造は、周知の製造工程により行うことができ、例えば、混合、予備成形、熱成形、加熱、研摩等の工程を経て摩擦材を作製することができる。
ディスクブレーキ用摩擦パッドの製造における一般的な工程を以下に示す。
(a)板金プレスによりプレッシャプレートを所定の形状に成形する工程、
(b)上記プレッシャプレートに脱脂処理及びプライマー処理を施す工程、
(c)有機繊維、無機繊維、金属繊維等の繊維基材と、本発明で規定するα−アルミナ粒子と、摩擦調整材と、結合材等の粉末原料と、必要に応じてその他の充填材とを配合し、混合撹拌により十分に均質化した原材料を、常温にて所定の圧力で成形して予備成形体を作製する工程、
(d)上記予備成形体と接着剤が塗布されたプレッシャプレートとを、所定の温度及び圧力を加えて両部材を一体に固着する熱成形工程(成形温度130〜180℃、成形圧力30〜80MPa、成形時間2〜10分間)、
(e)アフターキュア(150〜300℃、1〜5時間)を行って、最終的に研摩、表面焼き、および塗装等の仕上げ処理を施す工程。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
<試験例1:α−アルミナ粒子の作製>
(実施例1)
アルミナゾル「アルミゾル10A」(商品名、川研ファインケミカル株式会社製、10質量%水溶液スラリー)80gを、送風定温乾燥器(株式会社東洋製作所製ADVANTEC DRX420DA)により200℃で2時間乾燥し、擬ベーマイト凝集体を得た。これを自動乳鉢(愛知電機株式会社製「ANM1000型」)を用いて1時間粉砕して粉末化した。得られた擬ベーマイト凝集体粒子を卓上型高温電気炉(山田電機株式会社製「SSFT−1520」)に入れ、1200℃で12時間加熱し、α−アルミナ粒子を得た。
(実施例2)
アルミナゾル「アルミゾル10A」(商品名、川研ファインケミカル株式会社製、10質量%水溶液スラリー)を蒸留水で2倍に希釈した。この希釈液を二流体ノズルを設置したスプレードライヤ(大川原化工機株式会社製「スプレードライヤCL−8」)を用いて乾燥し、粉末化した。得られた擬ベーマイト凝集体を卓上型高温電気炉(山田電機株式会社製「SSFT−1520」)に入れ、1200℃で12時間加熱し、α−アルミナ粒子を得た。
なお、スプレードライ条件は以下の通りとした。
噴霧圧力:0.2MPa
送液速度:40g/分
入口温度:180℃
(実施例3)
アルミナゾル「アルミゾル10A」(商品名、川研ファインケミカル株式会社製、10質量%水溶液スラリー)500gを、凍結乾燥機(東海理化器械株式会社製「FDU−2100」)により凍結乾燥し、擬ベーマイト凝集体を得た。これを自動乳鉢(愛知電機株式会社製「ANM1000型」)を用いて1時間粉砕して粉末化した。得られた擬ベーマイト凝集体粒子を卓上型高温電気炉(山田電機株式会社製「SSFT−1520」)に入れ、1200℃で12時間加熱し、α−アルミナ粒子を得た。
(実施例4)
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製「ゴーセノール」)16gと精製水254gとを混合し、バインダー水溶液を作製した。バインダー水溶液とベーマイト粒子粉体「C−06」(商品名、大明化学工業株式会社製)460gとを、ハイフレックスグラル(株式会社アーステクニカ製「HF−GS−5J」)により混合し、得られた凝集体をオーブン(株式会社東洋製作所製「ADVANTEC DRX420DA」)により110℃で3時間乾燥した。得られたベーマイト凝集体粒子を、穴径500μmの篩で分級し、篩を通り抜けた粒子を卓上型高温電気炉(山田電機株式会社製「SSFT−1520」)に入れ、1300℃で2時間加熱し、α−アルミナ粒子を得た。
なお、撹拌造粒条件は以下の通りである。
チョッパー:2000rpm
アジテータ:500rpm
撹拌時間:5分間
(実施例5)
実施例3において、加熱時間を2時間に変更したこと以外は実施例3を繰り返し、α−アルミナ粒子を得た。
(実施例6)
ベーマイト板状結晶のコロイダルアルミナ「AS−520」(商品名、日産化学工業株式会社製)520gを蒸留水で2倍に希釈した。この希釈液を、二流体ノズルを設置したスプレードライヤ(大川原化工機株式会社製「スプレードライヤCL−8」)により乾燥し、粉末化した。得られたベーマイト凝集体を卓上型高温電気炉(山田電機株式会社製「SSFT−1520」)に入れ、1200℃で2時間加熱し、α−アルミナ粒子を得た。
なお、スプレードライ条件は以下の通りである。
噴霧圧力:0.2MPa
送液速度:40g/分
入口温度:180℃
(比較例1)
Martinserk GmbH製Martoxid DN−206を比較例1のα−アルミナ粒子とした。
上記の各粒子について、以下の評価を実施した。
(1)結晶粒の平均結晶粒サイズの測定
α−アルミナ粒子の結晶粒の平均結晶粒サイズを、X線回折(XRD)により測定し、以下のScherrerの式により求めた。
平均結晶粒サイズ(L(Å))=κλ/(βcosθ)
(式中、κはScherrer定数(0.9)であり、λはX線管球の波長(1.5418Å)であり、θは回析線であり、βは結晶子による回析X線の拡がりであって、完全でよく成長した結晶の半値幅(標準試料Si(111)面の半値幅0.1132)をB、実際の半値幅をbとしてβ=b−Bから求めた。)
また、XRDの測定条件は以下の通りである。
特性X線:CuKα(1.5418Å)
加速電圧:40kV
加速電流:40mA
受光スリット幅:0.15mm
ゴニオ走査速度:0.001°/s
サンプリングピッチ:0.002°/s
走査範囲:2θ=24−27°
測定に使用した回折線:α−アルミナの(012)面
標準回折線:標準Siの(111)面
回転・あおり:なし
(2)α−アルミナ粒子の平均粒子径の測定
α−アルミナ粒子の平均粒子径は、ナノ粒子径分布測定装置「SALD−7100」(商品名、株式会社島津製作所製)を用いて測定し、体積基準での積算値が累積50%となる粒径を平均粒子径とした。
(3)外観観察及び表面観察
各例のα−アルミナ粒子の外観及び表面を、SEM(日本電子株式会社製「JSM−5800LV」(商品名))により撮影することにより、SEM写真を得た。
(4)結晶構造解析
各例のα−アルミナ粒子の組成を、X線回折装置(株式会社島津製作所製、XRD−6100)を使用して、X線回折により分析した。
各例におけるα−アルミナ粒子の結晶粒の平均結晶粒サイズ、並びに、α−アルミナ粒子の平均粒子径及び粒子形状を表1に示す。また、各例のα−アルミナ粒子の結晶構造解析の結果を図1に示し、実施例1〜3、5、6及び比較例1のα−アルミナ粒子の外観観察及び表面観察の結果を図2に示す。
表1及び図1、図2の結果から、実施例1〜6の粒子はα−アルミナ単相であり、結晶粒を有することがわかった。一方、比較例1の粒子は、粒子一つが一つの結晶粒となっており、SEM観察画像からは粒界が確認されなかった。
<試験例2:摩擦材の評価>
(実施例7〜12、比較例2)
表2に記載の配合材料を、混合撹拌機に一括して投入し、混合を行い、混合物を得た。
その後、得られた混合物を予備成形プレスの金型に投入し、常温にて面圧20MPaで10秒間加圧し、予備成形体を作製した。次いで、予備成形体を熱成形型に投入し、温度150℃、面圧50MPaで5分間加熱加圧成形を行った。その後、250℃に設定した加熱炉で3時間のアフターキュアを行い、研摩工程を経て摩擦材を得た。
得られた摩擦材に対し、以下の試験を行った。
(1)一般性能試験
実施例7〜12及び比較例2で得られた摩擦材について、JASO C406に準拠し、一般性能試験を行い、第2効力初速度50、100、130km/h、減速度0.3Gにおける摩擦係数を測定した。また、第1フェード試験時における瞬時最低摩擦係数を測定した。
(2)軽負荷摩擦試験
実施例7〜12及び比較例2で得られた摩擦材について、軽負荷摩擦試験(すり合わせ、マトリックス)を行い、摩擦材のμ安定性を評価した。
すり合わせ試験においては、40、60、80℃の各温度域において、初速度20km/h、減速度0.05、0.06〜0.20Gまで0.02G刻みに3サイクル繰り返し、マトリックス試験においては、40、60、80、100、120℃の各温度域において、初速度10、20、30km/h、液圧0.2〜1.0MPaまで0.2MPa刻み、1.0〜2.5MPaまで0.3MPa刻みに3サイクル繰り返し、すり合わせ及びマトリックスの摩擦係数の標準偏差(σ)を算出した。
また、軽負荷摩擦試験終了後のパッド摩耗量及びロータ摩耗量を測定した。
各例における一般性能試験及び軽負荷摩擦試験の結果を表2に併せて示す。
表2の結果から、実施例1〜6のα−アルミナ粒子を使用した摩擦材(実施例7〜12)は、比較例2の摩擦材と比べて、十分な摩擦性能を維持しながら、相手材に対する攻撃性を緩和して優れた耐摩耗性を付与できることがわかった。
本発明の摩擦材は、産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車等に有用であり、特に、前記の用途に使用されるブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等に有用である。

Claims (5)

  1. 結晶粒を有し、前記結晶粒の平均結晶粒サイズが150〜1000nmであることを特徴とする摩擦材用α−アルミナ粒子。
  2. 平均粒子径が5〜400μmであることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子。
  3. 粒子形状が球状及び不定形状のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子の製造方法であって、
    ベーマイトの凝集体及び擬ベーマイトの凝集体うちの少なくとも1つの凝集体を1200〜1500℃の温度範囲で、1〜20時間加熱する工程を有することを特徴とする摩擦材用α−アルミナ粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦材用α−アルミナ粒子を含有することを特徴とする摩擦材。
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