JP6729779B1 - 錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、成形用組成物および成形体 - Google Patents

錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、成形用組成物および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐熱性、耐寒性を有する高透明錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を提供すること。また、特にフィルム等の透明性が必要な成型体に対して透明性と熱線遮蔽性の両立が可能な錫ドープ酸化インジウム粒子分散体であって、本分散体を使用した成型体を提供すること。【解決手段】錫ドープ酸化インジウム粒子と、分散剤と、沸点200℃以上の可塑剤とを含有する錫ドープ酸化インジウム粒子分散体であって、錫ドープ酸化インジウム粒子の水中におけるpHが6.0〜11.0であり、分散剤が下記一般式Aで表される分散剤A、および下記一般式Bで表される分散剤Bからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む錫ドープ酸化インジウム粒子分散体。【選択図】なし

Description

本発明は、低温から高温における高い分散安定性を有する高透明錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、および前記分散体を含む成形用組成物、成型体に関する。
プラスチックの成型体、フィルム、フィルム積層物では、樹脂単独では達成困難な機械・光学特性を得る為に、目的とする物性値を有する有機化合物、無機酸化物を種々の方法にて複合化する手法が試みられてきた。例えば光学特性として、UV遮蔽、熱線遮蔽、屈折率調整などの物性付与が一般的である。従来、フィルムに対して、前記光学特性を有する塗剤を塗布する方法が用いられてきたが、近年、電子デバイスの小型化、薄膜化に伴って塗布厚分の薄膜化、塗工工程を必要としない低コスト化が可能であることからフィルム自身へ無機酸化物を添加する手法がトレンドとなっている。
特に熱線遮蔽性は、電子デバイスへの蓄熱防止の観点から注目されており、特に錫ドープ酸化インジウムを用いた素材開発が近年盛んに行われている。開発のトレンドとしては、樹脂の透明性の維持と熱線遮蔽性を両立が必要となってきており、その為には、錫ドープ酸化インジウム粒子をナノレベルまで分散する必要がある。例えば、ガラスの飛散防止を目的としてガラスとガラスの間にポリビニルブチラールのフィルムを積層する用途では、フィルム成型時に用いる可塑剤中に赤外遮蔽剤である錫ドープ酸化インジウムをナノレベルまで分散する手法が行なわれてきた(特許文献1、2)。本手法では、揮発性の高い溶媒と可塑剤の混合溶媒からなり、フィルムの成型時の温度、混錬条件によって、透明性が影響されることが課題であった。また、本手法の分散体は、−10℃以下の環境に長期間保存すると粒子の分散安定性が崩れ、フィルム成型時に透明性を維持できなくなるという課題があった。
特開2005−343723号公報 特開2005−187226号公報
低温から高温における高い分散安定性を有する高透明錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、および前記分散体を含む成形用組成物、成型体を提供することを目的とする。
本発明は、錫ドープ酸化インジウム粒子と、分散剤と、沸点200℃以上の可塑剤とを含有する錫ドープ酸化インジウム粒子分散体であって、錫ドープ酸化インジウム粒子の水中におけるpHが6.0〜11.0であり、分散剤が下記一般式Aで表される分散剤A、
および下記一般式Bで表される分散剤Bからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む錫ドープ酸化インジウム粒子分散体。

一般式A



(Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、炭素数10〜18からなるアルキル基を表す。Aは、炭素数2〜3の直鎖構造からなるアルキレン基を表す。
は3〜20の整数である。)

一般式B


(Xは、水素原子もしくはYを表す。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。)
また、本発明は、前記可塑剤がポリエチレングリコール系エステル、ポリプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコール系エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記錫ドープ酸化インジウム粒子分散体。
また、本発明は、前記錫ドープ酸化インジウム粒子分散体と、成型用樹脂とを含む成型用組成物に関する。
また、本発明は、前記錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を用いた成型体に関する。
本発明により、低温から高温における高い分散安定性を有する高透明錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、および前記分散体を含む成形用組成物、成型体を提供することができる。
<錫ドープ酸化インジウム粒子分散体>
本発明は錫ドープ酸化インジウム粒子と、分散剤と、沸点200℃以上の可塑剤とを含有する錫ドープ酸化インジウム粒子分散体であって、錫ドープ酸化インジウム粒子の水中におけるpHが6.0〜11.0であり、分散剤が下記一般式Aで表される分散剤A、および下記一般式Bで表される分散剤Bからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む錫ドープ酸化インジウム粒子分散体である。以下、本発明に使用する材料等に関して説明する。
<錫ドープ酸化インジウム粒子>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体に用いる錫ドープ酸化インジウム粒子は、水中におけるpHが6.0〜11.0の錫ドープ酸化インジウム粒子を用いる。錫ドープ酸化インジウム粒子の水中のpHは、錫ドープ酸化インジウム粒子20質量部を精製水80質量部に添加し、十分に攪拌混合した液をpHメーターを用いて測定した値である。測定に用いる錫ドープ酸化インジウム粒子に分散剤、添加剤、バインダー等の成分が吸着している場合には、遠心分離によって、錫ドープ酸化インジウム粒子を沈降させ、上澄みを除去し、沈降物5質量部を精製水95質量部中に再分散させる操作を10回繰り返し、乾燥させた錫ドープ酸化インジウム粒子を用いて同様の方法で測定したpHの値である。pHは6.0〜11.0の範囲であると、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散粒子径がより微細化され、かつ、高温、低温での安定性が高いという特徴があり、pHは、7.0〜11.0であることがさらに好ましい。
錫ドープ酸化インジウム粒子の粒子径は、透明性の観点から平均粒子径が5〜50nmの範囲であることが好ましく、透明性の観点から10〜30nmの範囲であることがより好ましい。ここで平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した粒子径の算術平均値である。詳細には、塗料用粒子の粉末を倍率20000倍で観察し、任意の100個の粒子を選択し、各々の粒子径を平均して求めた値である。粒子形状が長軸、短軸を有する場合には、長軸と短軸の長さの平均値を、その粒子の粒子径とする。
錫ドープ酸化インジウム粒子は、水中におけるpHが6.0〜11.0であれば、特に限定されない。錫ドープ酸化インジウム粒子のpHや粒子径は、使用するインジウム塩、錫塩の種類、合成時の条件によって調節することができ、例えば、インジウム塩と錫塩の共沈水酸化物を窒素雰囲気下で焼成することにより得ることができる。インジウム塩としては、硝酸インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。錫塩としては、フッ化錫、塩化錫、ホウフッ化錫、硫酸錫、硝酸錫、酸化錫、ピロリン酸錫、スルファミン酸錫、アルカノールスルホン酸錫、スルホコハク酸錫、脂肪族カルボン酸錫などが挙げられる。
窒素雰囲気下で焼成することが、重量当たりの1300〜2500nmの吸光係数が増加し、日射遮蔽性が向上することから好ましい。錫の添加量は、錫とインジウムの合計100質量%中、1〜20質量%であることが同様に日射遮蔽性向上の観点から好ましい。
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体は、錫ドープ酸化インジウム粒子以外に必要に応じて、屈折率調整、UV遮蔽性、帯電防止性、機械特性向上の機能を有する無機酸化物粒子を1種もしくは複数種併用することができる。
錫ドープ酸化インジウム粒子の添加量は特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体100質量%中の錫ドープ酸化インジウム粒子は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることが、分散体の分散性、高温、低温での安定性の観点から好ましい。
<分散剤A>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体には下記一般式Aで表される分散剤Aを用いることができる。
一般式A:


(Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、炭素数10〜18からなるアルキル基を表し、分散性の観点から炭素数10〜14であることが好ましい。Aは、炭素数2〜3の直鎖構造からなるアルキレン基を表す。nは3〜20の整数である。)
<分散剤B>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体には下記一般式Bで表される分散剤Bを用いることができる。
一般式B:


(Xは、水素原子もしくはYを表す。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。)
分散剤Aとして例えば、花王株式会社製の「カオーアキポRLM−100」日光ケミカルズ株式会社製「NIKKOL AKYPO RLM 100」、「NIKKOL ECT−7」、三洋化成株式会社製「ビューライトLCA−H」などが挙げられる。
分散剤の添加量は、特に限定はされないが、錫ドープ酸化物粒子100質量%に対して、5〜60質量%で使用することが好ましい。本範囲で使用することにより、錫ドープ酸化インジウム粒子を可塑剤中で良好に分散させることが可能であり、成型用樹脂との混練時にも錫ドープ酸化インジウム粒子の分散性が低下しにくい。特に10〜50質量%であることが、分散粒子の高温、低温での安定性と成型体中での透明性維持の観点から好ましい。必要に応じて、分散剤A、分散剤Bを一種類のみ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
<可塑剤>
成型用樹脂の製造プロセス中で、成型用樹脂を軟化、もしくは、一部溶解するような溶媒を可塑剤として使用することができる。可塑剤として、例えば、フタル酸エステル系、オレイン酸エステル系、アジピン酸エステル系、リン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール系エステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール系エステル、植物油、エポキシ化植物油、パラフィンなどの脂肪族炭化水素、バレロラクトン、カプロラクトン等の高沸点の環状化合物等が挙げられる。これらの可塑剤を単独、もしくは、複数種混合して用いてもよい。
可塑剤は、一般的な成型用樹脂が100℃以上の高温で軟化し、成型することから、沸点が200℃以上の可塑剤を用いる。沸点が200℃以上であれば、成型用樹脂と混練する際に、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散性が保持され、良好な透明性を発現することができ、成型体内に気泡等が発生しないことから機械物性値も向上する。沸点が200℃未満の可塑剤に関しては、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体中で、10質量%以下であることが成型用樹脂と混練する際に、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散性が保持され、良好な透明性を発現することから好ましい。
可塑剤は、ポリエチレングリコール系エステル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール系エステルを用いることが錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散性向上ならびに、種々の樹脂に適応可能なことから好ましい。ポリエチレングリコール系エステルとしては、トリエチレングリコール−ジ−エチルヘキサノエート(沸点:219℃)、トリエチレングリコール ビス(2−エチルヘキサノエート)(沸点:344℃)、トリエチレングリコール−ジ−エチルヘキサノエートジ(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート(沸点:230℃)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(沸点:499℃)、ポリエチレングリコールモノラウレート(沸点:300℃)等が挙げられる。ポリプロピレングリコール系エステルとしては、プロピレングリコール-モノ-2-エチルヘキサノエート(沸点:247℃)等が挙げられる。特に、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の透明性、耐熱性の観点からポリエチレングリコール系エステルが好ましく、さらに耐寒性の観点からポリエチレングリコール系ジエステルが好ましい。
<分散方法>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を作製するに当たり、高い透明性を達成する目的で一般的に用いられる分散機を用いることができ、例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、パールミル、湿式ジェットミル、ロールミル等の分散機が挙げられる。分散機は、一種類のみ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
<成型用組成物>
成型用組成物は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体と、成型用樹脂とを含有する。成型用組成物を用いることによって、分散安定性に優れ、高い透明性を有する成形体を容易に成形することができる。
<成形用樹脂>
成型用樹脂は、加温することにより、樹脂が軟化し、押出、プレス等で所定の形状に成型できる樹脂であれば、使用することができる。例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレンの共重合体、アクリロニトリル・スチレンの共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられ、目的とする物性に応じて選択することができる。
<混練方法>
成型体を作製するに当たり、錫ドープ酸化インジウム粒子を成型用樹脂中に均一に分散する目的で錫ドープ酸化インジウム粒子分散体と成型用樹脂を混練することができ、一般的な混練機であれば使用することができる。例えば、2本ロール、3本ロール等のロールミル、加圧ニーダー、バンバリミキサー、2軸押出機、単軸押出機等の混練機が挙げられる。混練機は、一種類のみ単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
<成型方法>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体と成型用樹脂の混練物を目的とする形に成型する目的で、一般的な成型機であれば使用することができる。鋳型等を用いて所望の形状へ押出成型、ブロー成型、プレス成型をすることができる。成型時には、目的に応じて、加温、冷却、圧力を調整することができる。
<分散粒子径>
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散粒子径は、成型体ならびに積層物の透明性の観点から分散粒子径は細かい程、可視光領域における光散乱が低減される為好ましく、1〜100nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、1〜70nmの範囲であることが好ましく、1〜50nmの範囲であることがより好ましい。尚、分散粒子径とは、動的光散乱方式の粒度分布計を用いて、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算した際に、50%となる粒子径である。
<透明性>
透明性は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、ならびに、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を含有する成型体の濁度から判断し、濁度が0に近い程、透明性が高い。錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の透明性に関しては、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を0.05質量%となるように可塑剤を用いて希釈し、可塑剤を基準として、光路長1cmセルを用いて測定した際の濁度から判断し、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。成型体の透明性に関しては、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を含有した成型体の濁度を、使用した成型用樹脂と可塑剤のみからなる同膜厚の成型体を基準として判断し、1〜3%であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
<耐熱性>
耐熱性は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を加熱した際の分散粒子径の変化と加熱した錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を用いて作製した成型体の濁度から判断することができる。加熱前後の分散粒子径の変化、ならびに濁度は0に近い程、耐熱性が高い。錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の耐熱性に関しては、分散粒子径の変化が、10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。また、濁度は、3%以下であることが好ましく、0.1%以下であることが好ましい。
<耐寒性>
耐寒性は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を−10℃以下の低温に静置した際の分散粒子径の変化と低温保存下の錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を用いて作製した成型体の濁度から判断することができる。低温保存の前後の分散粒子径の変化、ならびに濁度は0に近い程、耐寒性が高い。錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の耐寒性に関しては、分散粒子径の変化が、10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。また、濁度は、3%以下であることが好ましく、0.1%以下であることが好ましい。
(日射遮蔽性)
透明性の評価と同様の方法にて作製した成型体に関して、JIS R 3106−1998に従い、可視赤外分光光度計を用いて、波長380〜780nmの可視光線透過率(%Tv)、波長300〜2500nmの日射透過率(%Ts)を測定し、可視光線透過率を日射透過率にて割った値を日射遮蔽性として評価した。日射遮蔽性は、大きい程、好ましく、1.45以上が好ましく、1.50以上がさらに好ましい。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、特に断りのない限り、「部」、「%」とは、それぞれ質量部、質量%を意味する。
<錫ドープ酸化インジウム粒子のpH>
錫ドープ酸化インジウム粒子 20.0部を精製水80.0部に添加し、十分に攪拌した後にpHメーター(LAQUA F−70、HORIBA社製)にて測定した。
<錫ドープ酸化インジウム粒子>
E−ITO(平均粒子径 30nm、pH3.6、三菱マテリアル電子化成株式会社)
<錫ドープ酸化インジウム粒子(1)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH7の条件下で、10℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、アンモニア水溶液5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 4時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(1)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、10nmであり、pHは10.1であった。
<錫ドープ酸化インジウム粒子(2)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH7の条件下で、30℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、アンモニア水溶液5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 4時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(2)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、20nmであり、pHは10.5であった。
<錫ドープ酸化インジウム粒子(3)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH7の条件下で、10℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、精製水5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 4時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(3)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、15nmであり、pHは9.1であった。
<錫ドープ酸化インジウム粒子(4)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH6の条件下で、30℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、精製水5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 2時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(4)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、20nmであり、pHは7.5であった。
<錫ドープ酸化インジウム粒子(5)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH7の条件下で、60℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、アンモニア水溶液5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 4時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(5)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、35nmであり、pHは10.0であった。
<錫ドープ酸化インジウム粒子(6)の作製方法>
三塩化インジウム 34.8部と二塩化錫 3.6部を精製水50部に溶解し、インジウム水溶液を得た。次いで、インジウム水溶液とアンモニア水溶液を、精製水500部に同時に滴下し、pH8の条件下で、60℃ 30分間反応させ、錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を得た。錫ドープ酸化インジウムの懸濁液を濾過し、精製水で十分に洗浄後、140℃ 12時間乾燥し、大気雰囲気下にて550℃ 3時間焼成し、乾燥粉末を得た。乾燥粉末25部を無水エタノール95部と、精製水5部の混合液に添加し、12時間静置した後、窒素雰囲気にて350℃ 2時間加熱し、錫ドープ酸化インジウム粒子(6)を得た。得られた錫ドープ酸化インジウム粒子の平均粒子径は、25nmであり、pHは6.5であった。
<分散剤>
実施例及び比較例で使用した分散剤を以下に列挙する。
NIKKOL AKYPO RLM 100
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、n=10、分散剤A、日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL ECT−7
(ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸、n=7、分散剤A、日光ケミカルズ株式会社製)
ビューライト LCA−25NH
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、n=3、三洋化成株式会社製)
プライサーフA219B
(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、第一工業株式会社製)
プライサーフAL
(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、第一工業株式会社製)
<分散剤1の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、イソトリデカノールエチレンオキシド10モル付加物を213.3部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤Aである分散剤1を得た。分散剤1は、Rが分岐状の炭素数13のアルキル基であり、nが10の構造である。
<分散剤2の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、イソトリデカノールエチレンオキシド15モル付加物を286.7部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤Aである分散剤2を得た。分散剤2は、Rが分岐状の炭素数13のアルキル基であり、nが15の構造である。
<分散剤3の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、イソステアリルアルコールエチレンオキシド10モル付加物を236.8部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤Aである分散剤3を得た。分散剤3は、Rが分岐状の炭素数18のアルキル基であり、nが10の構造である。
<分散剤4の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、イソデカノールエチレンオキシド10モル付加物を199.4部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤Aである分散剤4を得た。分散剤4は、Rが分岐状の炭素数10のアルキル基であり、nが10の構造である。
<分散剤5の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、1-テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物を218.5部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤Aである分散剤5を得た。分散剤5は、Rが直鎖状の炭素数14のアルキル基であり、nが10の構造である。
<分散剤6の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させ、分散剤Bの構造である分散剤6を得た。分散剤6は、Rが直鎖状の炭素数12のアルキル基、nが7であり、Rが直鎖状の炭素数12のアルキル基であり、nが7の構造である。
<分散剤7の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール31.3部、ε−カプロラクトン143.7部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水トリメリット酸32.2部を加え、130℃で4時間反応させ、分散剤Bの構造である分散剤7を得た。分散剤6は、Xが水素原子であり、Rが直鎖状の炭素数12のアルキル基であり、nが7の構造である。
<分散剤8の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール31.3部、ε−カプロラクトン143.7部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応した事を確認した後、ここに無水マレイン酸16.4部を加え、130℃で4時間反応させ、分散剤8を得た。
<分散剤9の作製方法>
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、トルエンを400部、2−デシル−1-テトラデカノールエチレンオキシド10モル付加物を264.9部、モノクロロ酢酸ナトリウムを50.7部、水酸化ナトリウムを17.3部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃で3時間加熱、攪拌した。98%硫酸を39.0部加え、白色懸濁液を得た後、精製水を用いて、十分に洗浄し、溶剤を減圧留去することにより、分散剤9を得た。
<可塑剤>
PEG#200(ポリエチレングリコール、沸点:250℃、日油株式会社製)
トリプロピレングリコール(沸点:273℃以上、旭硝子株式会社製)
Proviplast 1783(トリエチレングリコール ビス(2−エチルヘキサノエート)、沸点:344℃、Proviron社製)
ノニオンL−2(モノラウリン酸ポリエチレングリコール、沸点:300℃以上、日油株式会社製)
ビニサイザー90(フタル酸ジ2−エチルヘキシル、沸点:403℃、花王株式会社製)
エキセパール M−OL(オレイン酸メチル、沸点:218℃、花王株式会社製)
BFG(沸点170℃、プロピレングリコールモノブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製)
<成形用樹脂>
エスレックBL−1H(ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業株式会社製)
<錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の調製>
表1に示す配合組成に従い、均一になるように撹拌混合した後、さらに直径0.1mmのジルコニアビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、50℃3時間静置し、孔径1μmのフィルタで濾過し錫ドープ酸化インジウム粒子分散体をそれぞれ得た。尚、表1中、単位表記のない数字は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
[評価]
得られた錫ドープ酸化インジウム粒子分散体に関して、分散粒子径、耐熱性、耐寒性を下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
(分散粒子径)
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の分散粒子径は、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製、マイクロトラックUPA)を用いて、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算した際に、50%となる粒子径を分散粒子径として測定した。尚、測定に用いた試料は、錫ドープ酸化インジウム粒子を分散体作製時に用いた可塑剤に測定可能な任意の量を添加し、バス型超音波装置にて分散し、調整した。分散粒子径は透明性の観点から細かい程好ましく、下記の基準に従って評価した。
◎:50nm以下(極めて良好)
○:50nm超過、70nm以下(良好)
×:70nm超過(不良)
(耐熱性1)
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の耐熱性1は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を200℃ 1時間静置した試料の分散粒子径を測定し、静置前の分散粒子径の値から静置後の分散粒子径の値を引いた値の絶対値を分散粒子径の変化率として評価した。分散粒子径の変化率は、小さい程、好ましく、下記の基準に従って評価した。
◎:5nm以下(極めて良好)
○:5nm超過、10nm以下(良好)
×:10nm超過(不良)
(耐寒性1)
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体の耐寒性は、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を−10℃ 1時間静置した試料の分散粒子径を測定し、静置前の分散粒子径の値から静置後の分散粒子径の値を引いた値の絶対値を分散粒子径の変化率として評価した。分散粒子径の変化率は、小さい程、好ましく、下記の基準に従って評価した。
◎:5nm以下(極めて良好)
○:5nm超過、10nm以下(良好)
×:10nm超過(不良)
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を用いて調整した成型体に関して、透明性、耐湿熱性、日射遮蔽性に関して下記の方法で評価した。評価結果を表3に示す。
(透明性)
錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を3部、エスレックBL−1Hを90部、分散体作製時に用いた可塑剤を7部の混合物を2本ロールを用いて130℃、3分間混練した。混練して得られた混練物を、プレス成型機にて130℃にて5分間プレス成型し、厚さ0.8mmの成型体を得た。成型用樹脂90質量部とProviplast 1783 10質量部を混練し、同様の方法でプレス成型することで成型用樹脂と可塑剤のみからなる成型体を得た。得られた成型体をヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて、濁度をバインダーと可塑剤のみからなる成型体を基準として、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を混練した成型体の値を測定した。濁度の値は、0に近い程好ましく、下記の基準に従って評価した。結果を表3に示す。

◎:1%以下(極めて良好)
○:1%超過、3%以下(良好)
×:3%超過(不良)
(耐熱性2)
耐熱性1の評価に用いた錫ドープ酸化インジウム粒子を用いて透明性の評価と同様の方法にて作製した成型体をヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて、濁度をバインダーと可塑剤のみからなる成型体を基準として、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を混練した成型体の値を測定した。濁度の値は、0に近い程好ましく、下記の基準に従って評価した。

◎:1%以下(極めて良好)
○:1%超過、3%以下(良好)
×:3%超過(不良)
(耐寒性2)
耐寒性1の評価に用いた錫ドープ酸化インジウム粒子を用いて透明性の評価と同様の方法にて作製した成型体をヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて、濁度をバインダーと可塑剤のみからなる成型体を基準として、錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を混練した成型体の値を測定した。濁度の値は、0に近い程好ましく、下記の基準に従って評価した。

◎:1%以下(極めて良好)
○:1%超過、3%以下(良好)
×:3%超過(不良)
(日射遮蔽性)
透明性の評価と同様の方法にて作製した成型体に関して、JIS R 3106−1998に従い、可視赤外分光光度計(日立製作所、UH−5700)を用いて、波長380〜780nmの可視光線透過率(%Tv)、波長300〜2500nmの日射透過率(%Ts)を測定し、可視光線透過率を日射透過率にて割った値を日射遮蔽性として評価した。日射遮蔽性は、大きい程、好ましく、下記の基準に従って評価した。

◎:1.50以上(極めて良好)
○:1.45以上、1.50未満(良好)
×:1.40未満(不良)
表2に示すように、分散体として、実施例1〜26は、分散粒子径、耐熱性、耐寒性共に良好であった。特に実施例1〜4、8〜13、16〜18、21〜26に関しては、耐熱性、耐寒性が特に良好であった。表3に示すように、成型体として、実施例27〜50に関しては、透明性、耐熱性、耐寒性、日射遮蔽性が良好であった。特に、耐熱性、耐寒性、日射遮蔽性に関しては、実施例27〜30、33、35〜39、42〜43、47〜50において特に良好であった。
本発明の錫ドープ酸化インジウム粒子分散体は、水中で特定の範囲を有する錫ドープ酸化インジウム粒子分散体、特定の分散剤、可塑剤を使用することにより、高透明化が可能な分散レベルまで分散し、さにには、高温、低温条件下においても分散レベルを維持することができる。さらには成型体としての透明性を維持できることから、赤外遮蔽の付与などを塗布工程、積層工程を用いない簡素な工程で達成でき、幅広いプラスチックの成型用途に展開可能である。

Claims (4)

  1. 錫ドープ酸化インジウム粒子と、分散剤と、沸点200℃以上の可塑剤とを含有する錫ドープ酸化インジウム粒子分散体であって、錫ドープ酸化インジウム粒子の水中におけるpHが6.0〜11.0であり、分散剤が下記一般式Aで表される分散剤A、および下記
    一般式Bで表される分散剤Bからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む錫ドープ酸化インジウム粒子分散体。

    一般式A



    (Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であって、炭素数10〜18からなるアルキル基を表す。Aは、炭素数2〜3の直鎖構造からなるアルキレン基を表す。
    は3〜20の整数である。)

    一般式B


    (Xは、水素原子もしくはYを表す。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。Rは、分岐構造もしくは直鎖構造からなるアルキル基であり、主鎖が炭素数12〜13からなるアルキル基を表す。nは、1〜10の整数である。)
  2. 前記可塑剤がポリエチレングリコール系エステル、ポリプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコール系エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1記載の錫ドープ酸化インジウム粒子分散体。
  3. 請求項1または2記載の錫ドープ酸化インジウム粒子分散体と、成型用樹脂とを含む成型用組成物。
  4. 請求項1または2記載の錫ドープ酸化インジウム粒子分散体を用いた成型体。
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