浴槽の排水口と、洗い場の排水口と、排水管と、に接続され、浴槽又は洗い場から流入した水を排水管に流出させる浴室用の排水トラップがある。排水トラップは、内部に封水を貯留することにより、排水管からの臭気や害虫などが浴室側に向かうことを抑制する。
排水トラップには、ヘアキャッチャーと呼ばれる籠状の部材が着脱可能に設けられる。ヘアキャッチャーは、洗い場の排水口との接続部分である受入口に着脱可能に取り付けられ、トラップ内への水の流入を妨げることなく、毛髪などの異物がトラップ内に侵入してしまうことを抑制する。
こうした排水トラップにおいて、浴槽の排水口から流入した水により、トラップ内に旋廻流を形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。トラップ内に旋廻流を形成しつつ、トラップ内の水位を一時的に上昇させて、ヘアキャッチャーを旋廻流に浸漬させる。これにより、例えば、ヘアキャッチャー内に溜まった異物がまとめられ、異物を捨て易くすることができる。また、ヘアキャッチャーの表面が、旋廻流によって浄化され、ヘアキャッチャー表面におけるヌメリの発生などを抑えることができる。
旋廻流を形成する排水トラップにおいて、旋廻流の影響でヘアキャッチャーが動いてしまうと、異物をまとめる効果やヌメリの抑制の効果が低下してしまう。このため、旋廻流を形成する排水トラップでは、受入口付近にヘアキャッチャーを係合させることにより、ヘアキャッチャーの上下方向及び旋廻方向への移動を規制している。
図10に表したように、例えば、排水トラップDTのトラップ本体MBにおいて受入口OPよりも下方の内周面に係合突起EPを設け、係合突起EPと係合する係合溝EGをヘアキャッチャーHCの外周面に設けることが提案されている。係合突起EPは、内方に向かって突出する。係合突起EPは、例えば、トラップ本体MB内の内周面の周方向に所定の間隔を空けて複数設けられる。係合溝EGは、例えば、ヘアキャッチャーHCの外周面の周方向に延び、係合部EPに対応して複数設けられる。
図11(a)に表したように、ヘアキャッチャーHCの取り付けにおいては、まず、ヘアキャッチャーHCの上端を略水平にした状態で、上部に設けられたフランジ部HCfを複数の係合突起EPの上に載置する。フランジ部HCfは、ヘアキャッチャーHCの籠状の本体部の上端部から外方に向かって放射状に延びる部分である。この後、図11(b)に表したように、ヘアキャッチャーHCを旋廻方向に回転させながら各係合突起EPと各係合溝EGとを互いに係合させる。各係合溝EGに各係合突起EPを入り込ませて上下方向の移動を規制するとともに、各係合溝EGの端面に各係合突起EPを当接させて旋廻方向の移動を規制する。これにより、各係合突起EPと各係合溝EGとの係合によって、ヘアキャッチャーHCの上下方向及び旋廻方向への移動が規制される。また、この取付方法では、ヘアキャッチャーHCのフランジ部HCfで各係合突起EP及び各係合溝EGを覆い隠すことができる。これにより、例えば、各係合突起EP及び各係合溝EGに生じる汚れを目立たなくさせることができる。
さらに、ヘアキャッチャーHCには、上端から外方に向かって略水平に延びる取っ手HChが設けられる。これにより、取っ手HChを摘んで操作することにより、ヘアキャッチャーHC内に捕捉された異物を容易に捨てることができる。
また、ヘアキャッチャーHCは、受入口OPよりも僅かに小さく形成され、受入口OP内に嵌った状態で取り付けられる。ヘアキャッチャーHCの上端は、受入口OPと略面一、あるいは受入口OPよりも下方に位置する。これにより、ヘアキャッチャーHCに洗い場からの排水を流入させ易くすることができる。また、受入口OPに嵌るようにヘアキャッチャーHCを形成することにより、受入口OPよりも大きく形成する場合に比べて、ヘアキャッチャーHCを小さくすることができ、ヘアキャッチャーHCをより操作し易くすることができる。捕捉された異物を捨てる際の操作性をより向上させることができる。
図12に表したように、洗い場2の排水口4は、排水の溢れなどを抑制するため、凹部3の底面3aに設けられる。凹部3の底面3aの大きさは、受入口OPの大きさよりも僅かに大きい程度であり、凹部3の立面3bは、受入口OPに近接して配置される。
これにともない、洗い場2の床面2aと凹部3の立面3bとのコーナー部CNRに、ヘアキャッチャーHCの側方側で取っ手HChを摘んでいる手が当たってしまうことを避けるため、使用者によっては、取っ手HChを摘み、図12に表したように、ヘアキャッチャーHCの籠状の本体部分を受入口OPに対して斜めに差し込んでしまう。そして、ヘアキャッチャーHCを受入口OPに対して斜めに差し込むと、各係合突起EPの間を通り抜け、ヘアキャッチャーHCがトラップ本体MB内の封水に浸かってしまう場合がある。
このように、旋廻流を形成する排水トラップDTでは、ヘアキャッチャーHCの取り付けの際に、ヘアキャッチャーHCがトラップ本体MB内の封水に浸かってしまう可能性があった。封水は、石鹸カスなどの混入により、不衛生な状態となっている場合がある。このため、ヘアキャッチャーHCが封水に浸かると、使用者にストレスを与えてしまう恐れがある。
また、ヘアキャッチャーHCを受入口OPよりも大きくすると、ヘアキャッチャーHCが封水に浸かってしまうことを抑制できる反面、ヘアキャッチャーHCのサイズが大きくなってしまうため、操作性の低下を招き、ヘアキャッチャーHCの機能性を低下させてしまう。
従って、旋廻流を形成する排水トラップDTでは、ヘアキャッチャーHCの機能性の低下を招くことなく、ヘアキャッチャーHCが封水に浸かってしまうことを抑制できるようにすることが望まれる。
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る排水トラップを表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る排水トラップを表す断面図である。
図3は、実施形態に係る排水トラップの使用状態を表す斜視図である。
図1〜図3に表したように、排水トラップ10は、トラップ本体12と、ヘアキャッチャー14と、を備える。ヘアキャッチャー14は、トラップ本体12に対して着脱可能に取り付けられる。なお、図3では、ヘアキャッチャー14を取り外した状態を図示している。
トラップ本体12は、受入口20と、流入口22と、流出口24と、を有する。受入口20は、洗い場2の凹部3の底面3aに設けられた排水口4に接続される。流入口22は、浴槽5の排水口6に接続される。流出口24は、排水管8に接続される。
トラップ本体12は、受入口20及び流入口22から流入した水を流出口24から流出させる。換言すれば、トラップ本体12は、流入した水を流出口24を介して排水管8に流出させる。また、トラップ本体12は、受入口20及び流入口22から流出口24へと至る経路を封水によって遮断可能とする。これにより、トラップ本体12は、排水管8の臭気や害虫などが浴室側に向かってしまうことを抑制する。
この例において、流入口22は、接続部材16及びホース18を介して浴槽5の排水口6に接続される。接続部材16は、L字状に屈曲した配管である。接続部材16の一端には、排水口6と直接的に接続される接続口16aが設けられている。接続部材16は、例えば、図示を省略した排水栓ユニットなどを介して排水口6に接続される。接続部材16の他端は、ホース18の一端に接続されている。ホース18の他端は、流入口22に接続されている。これにより、浴槽5の排水口6から排出された水が、接続部材16及びホース18を介してトラップ本体12の流入口22に流入する。
接続部材16及びホース18は、接着や溶着などにより、トラップ本体12に一体に設けられていてもよい。この場合、接続部材16の接続口16aを流入口22としてもよい。流入口22は、接続部材16及びホース18などの他の部材を介して間接的に浴槽5の排水口6に接続しても良いし、浴槽5の排水口6に直接的に接続してもよい。
ヘアキャッチャー14は、受入口20に着脱可能に取り付けられる。ヘアキャッチャー14は、受入口20からトラップ本体12内への水の流入を妨げることなく、毛髪などの異物が受入口20からトラップ本体12内に侵入してしまうことを抑制する。
ヘアキャッチャー14は、本体部30と、第1摘み部31と、第2摘み部32と、を有する。本体部30は、下方に向かって凹む籠状である。本体部30は、複数の開口を有し、各開口から水をトラップ本体12内に流入させるとともに、各開口の周囲の網目状の部分において毛髪などの異物を捕捉する。
本体部30は、受入口20に嵌って少なくとも一部がトラップ本体12内に入り込む。受入口20の形状は、略円形である。同様に、本体部30の上端30aの形状(本体部30を上方から見た形状)は、略円形である。また、本体部30は、上端部から外方に向かって放射状に延びるフランジ部30fを有する。本体部30の上端30aの外径(フランジ部30fの外径)は、例えば、受入口20の直径と実質的に同じか僅かに小さい程度である。これにより、本体部30は、受入口20内に嵌る。
また、ヘアキャッチャー14は、本体部30の上端30aが受入口20と略面一になるようにトラップ本体12に取り付けられる。すなわち、この例においては、本体部30の略全体がトラップ本体12内に入り込む。本体部30の上端30aは、受入口20に対して上方に位置してもよいし、下方に位置してもよい。但し、本体部30の上端30aの位置は、受入口20と略面一もしくは受入口20よりも下方に設定することが好ましい。これにより、受入口20より上方に設定する場合に比べて、洗い場2から流れた水をヘアキャッチャー14の本体部30内に流入させ易くすることができる。例えば、異物を含んだ水が、ヘアキャッチャー14を通過することなく、ヘアキャッチャー14と受入口20との間の隙間などからトラップ本体12内に直接流れ込んでしまうことを抑制することができる。トラップ本体12内への異物の侵入をより抑制することができる。
第1摘み部31は、本体部30の上端30aから外方に向かって延びる。第1摘み部31は、本体部30に対して側方側での摘みを可能とする。略水平な板状の第1摘み部31を指で摘むことにより、例えば、本体部30を裏返す操作や本体部30を軸周りに回転させる操作をし易くすることができる。これにより、例えば、第1摘み部31を摘んでヘアキャッチャー14を操作することで、本体部30に捕捉された異物を容易にゴミ箱などに捨てることができる。
第2摘み部32は、本体部30の上端30aにおいて第1摘み部31の設けられていない位置に設けられている。第2摘み部32は、上方に向かって延び、本体部30に対して上方側での摘みを可能とする。略垂直な板状の第2摘み部32を指で摘むことにより、例えば、本体部30を上下方向に移動させる操作をし易くすることができる。これにより、例えば、第2摘み部32を摘んでヘアキャッチャー14を操作することで、ヘアキャッチャー14をより着脱し易くすることができる。
トラップ本体12は、封水貯留部40と、複数の係合突起41と、噴出部42と、を有する。
封水貯留部40は、上部に受入口20が設けられた有底筒状である。受入口20に取り付けられたヘアキャッチャー14は、封水貯留部40内に入り込む。封水貯留部40は、受入口20から流入した水を受ける。封水貯留部40は、流入した水を流出口24に向けて流出させつつ、内部に封水を貯留可能とする。
トラップ本体12は、例えば、隣接室43と、連通口44と、をさらに有する。隣接室43は、封水貯留部40に隣接して設けられる。流出口24は、隣接室43に設けられる。流出口24は、隣接室43において、隣接室43の底面よりも上方に設けられる。流出口24は、例えば、隣接室43から側方を向いて形成される。これにより、隣接室43では、流出口24よりも下方の部分に、水が溜まる。すなわち、この例では、流出口24の下端の位置が、封水の最高位置MHPとなる。
連通口44は、封水貯留部40と隣接室43との隣接部において、封水貯留部40と隣接室43とを連通させる。連通口44は、封水の最高位置MHPよりも下方に設けられ、封水中に没する。これにより、受入口20及び流入口22から流出口24へと至る経路が、封水によって遮断される。連通口44は、例えば、封水貯留部40及び隣接室43の下端部に設けられる。
連通口44による封水貯留部40と隣接室43との連通により、封水貯留部40にも、最高位置MHP以下の部分に水が溜まる。封水貯留部40に流入した水は、連通口44及び隣接室43を介して流出口24に流出される。これにより、封水貯留部40において、流入した水を流出口24に向けて流出させつつ、内部に封水を貯留可能とすることができる。トラップ本体12において封水を形成する構成は、上記に限ることなく、封水貯留部40内に封水を貯留可能で、かつ流入した水を流出口24に流出させることができる任意の構成でよい。
封水貯留部40は、略円筒状の内周面40aを有する。内周面40aの直径は、受入口20の直径と実質的に同じである。また、内周面40aの中心軸の位置は、受入口20の中心と実質的に同じである。受入口20は、例えば、円筒状の封水貯留部40の開口端である。内周面40aの直径は、必ずしも受入口20の直径と同じでなくてもよい。内周面40aの中心軸の位置は、必ずしも受入口20の中心と同じでなくてもよい。
封水貯留部40は、例えば、ベース部50と、ベース部50の上部に着脱可能に取り付けられる締付フランジ52と、を有する。ベース部50は、有底円筒状である。締付フランジ52は、円筒状の筒部52aと、筒部52aの上端から外方に延びるフランジ部52bと、を有する。筒部52aの外径は、ベース部50の上部の内径と同程度である。筒部52aは、ベース部50内に挿通される。また、ベース部50の上部の内周面には、雌ねじが設けられている。筒部52aの下部の外周面には、ベース部50の雌ねじに対応する雄ねじが設けられている。締付フランジ52は、筒部52aの雄ねじをベース部50の雌ねじに螺合させることにより、ベース部50に着脱可能に取り付けられる。
筒部52aの内周面は、ベース部50に取り付けられた状態において、ベース部50の内周面と略面一となる。この例において、封水貯留部40の内周面は、ベース部50の内周面と、筒部52aの内周面と、を含む。この例において、受入口20は、筒部52aの上方の開口端である。この例おいて、受入口20は、締付フランジ52に形成されている。
洗い場2の排水口4を上から見た形状は、略円形である。排水口4は、断面略円形の貫通孔である。排水口4の直径は、締付フランジ52の筒部52aの外径と同程度である。排水口4と受入口20との接続においては、締付フランジ52の筒部52aを上方から排水口4に挿通し、各ねじの螺合により、ベース部50の開口端面とフランジ部52bとの間に、洗い場2の床材の排水口4の周縁部分を挟み込む。これにより、排水口4と受入口20とが接続され、排水口4から排出された水が、受入口20からトラップ本体12(封水貯留部40)内に流入する。
排水口4と受入口20との接続方法は、上記に限定されるものではない。封水貯留部40は、必ずしも締付フランジ52を有しなくてもよい。この場合、ベース部50の上部の開口端を受入口20とすればよい。
複数の係合突起41は、封水貯留部40の内周面40aに周方向において所定の間隔を空けて設けられる(図3参照)。この例において、各係合突起41は、締付フランジ52に設けられている。各係合突起41は、封水貯留部40の内方に突出する。各係合突起41は、例えば、封水貯留部40の中心軸に向かって略水平に突出する。
各係合突起41は、ヘアキャッチャー14の取り付けに用いられる。各係合突起41は、ヘアキャッチャー14の底部が封水の最高位置MHPよりも上方に位置するように、ヘアキャッチャー14を保持する。封水貯留部40、各係合突起41、及びヘアキャッチャー14は、受入口20に取り付けられたヘアキャッチャー14の底部が封水の最高位置MHPよりも上方に位置するように、寸法が調整される。
この例では、4つの係合突起41が、90°おきに設けられる。係合突起41の数は、4つに限ることなく、ヘアキャッチャー14の取り付けが可能な任意の数でよい。また、各係合突起41の間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。本願明細書において、「所定の間隔」には、同一の間隔のみならず、間隔にばらつきがある場合も含むものとする。
噴出部42は、流入口22から流入した水を封水貯留部40内に噴出させることにより、封水貯留部40の内周面40aに沿って旋廻する旋廻流を形成するとともに、封水貯留部40内の水位を一時的に上昇させ、ヘアキャッチャー14を旋廻流に浸漬させる。
図4は、流入口から水が流入した場合の水の流れを説明する説明図である。
図4に表したように、噴出部42は、例えば、円筒面状の内周面40aの接線方向に向けて封水貯留部40内に水を噴出させる。これにより、内周面40aに沿って水が旋廻し、封水貯留部40内に旋廻流が形成される。この例において、旋廻流の旋廻方向は、時計回りの方向である。旋廻方向は、反時計回りの方向でもよい。
旋廻流となった水の一部は、連通口44を介して封水貯留部40から隣接室43に流出し、流出口24から排水管8に流出する。この際、噴出部42から噴出する水の量を、連通口44から流出する水の量よりも僅かに多くする。これにより、噴出部42からの水の噴出にともなって封水貯留部40内の水位が一時的に上昇し、ヘアキャッチャー14が旋廻流に浸漬される。
ヘアキャッチャー14を旋廻流に浸漬させると、ヘアキャッチャー14の本体部30内において、捕捉された異物が攪拌される。これにより、例えば、毛髪などの異物を一まとまりの塊にまとめ、捕捉された異物を捨て易くすることができる。また、例えば、ヘアキャッチャー14の表面を旋廻流によって浄化させ、ヘアキャッチャー14の表面におけるヌメリの発生などを抑えることができる。
図4に表したように、トラップ本体12は、例えば、バイパス路45をさらに有する。バイパス路45は、例えば、流入口22と隣接室43とを接続し、流入口22から流入した水の一部を封水貯留部40を介すことなく隣接室43に送る。例えば、封水貯留部40に噴出する水の量と、バイパス路45に流す水の量と、を調整することにより、噴出部42から水を噴出させた際の封水貯留部40内の水位を調整することができる。バイパス路45の少なくとも一部は、封水の最高位置MHPよりも下方に設けられる。これにより、バイパス路45内に封水が満たされ、流入口22から流出口24に向かう経路が遮断される。
図5は、実施形態に係るヘアキャッチャーを表す斜視図である。
図5に表したように、第1摘み部31は、本体部30の上端30aから上方に向かって延びる立ち上がり部31aと、立ち上がり部31aの上端から外方に向かって略水平に延びる水平部31bと、を有する。第1摘み部31は、本体部30の上端30aから直接的に外方に延びてもよいし、上記のように、立ち上がり部31aなどを介して本体部30の上端30aから間接的に外方に延びてもよい。第1摘み部31の形状は、板状に限ることなく、例えば、外方に向かって延びる棒状などでもよい。
第2摘み部32の放射方向(外方に向かう方向)の幅W2は、第1摘み部31の放射方向の幅W1よりも狭い。上方から見た状態において、第2摘み部32の本体部30からの突出量は、第1摘み部31の本体部30からの突出量よりも短い。第2摘み部32は、放射方向の幅W2を第1摘み部31の幅W1よりも狭くすることにより、上方から摘み易くした部分である。この例において、第2摘み部32の端部は、上方を向いている。第2摘み部32の端部は、内方又は外方に向けて折り曲げられていてもよい。第2摘み部32の端部を内方又は外方に僅かに折り曲げることにより、折り曲げた部分を上方から摘む際の指掛かりとして用いてもよい。第2摘み部32の形状は、少なくとも上方に向かって延び、上方から摘み易い任意の形状でよい。
第2摘み部32は、例えば、本体部30の周方向において、人が指で摘める程度の周方向の幅W3を有する。第2摘み部32の周方向の幅W3は、具体的には、例えば、12mm以上の幅である。通常、第2摘み部32は親指と人差し指で摘まれるため、十分な幅によって生じる摘み易さと、ヘアキャッチャー14へ流れ込む排水の排水性とのバランスを考慮すると、第2摘み部32の周方向の幅W3は、例えば、17mm以上22mm以下が好ましい。これにより、第2摘み部32を指で摘み易くすることができる。また、第2摘み部32が過度に大きくなり、排水の妨げになることを抑制することができる。
第2摘み部32は、本体部30の周方向において第1摘み部31に隣接して設けられる。第2摘み部32は、例えば、第1摘み部31の立ち上がり部31aと一体に設けられる。換言すれば、第2摘み部32は、第1摘み部31に接する。この例において、第2摘み部32の上端30aからの高さは、第1摘み部31(立ち上がり部31a)の上端30aからの高さと実質的に同じである。第2摘み部32の高さは、第1摘み部31の高さと異なってもよい。
第2摘み部32は、例えば、第1摘み部31の周方向の一端側のみに隣接して設けられる。これに限ることなく、第2摘み部32は、第1摘み部31の周方向の両側に設けてもよい。
図5に表したように、ヘアキャッチャー14は、係合溝34をさらに有する。係合溝34は、本体部30の外周面に設けられる。ヘアキャッチャー14は、複数の係合溝34を有する。各係合溝34は、本体部30の外周面の周方向において所定の間隔を空けて設けられる。ヘアキャッチャー14は、例えば、180°おきに設けられた2つの係合溝34を有する。
各係合溝34は、封水貯留部40の内周面40aに設けられた各係合突起41のいずれかに係合する。係合溝34の数は、2つに限ることなく、3つ以上でもよい。係合溝34の数及び配置は、各係合突起41のいずれかに係合可能となるように適宜設定すればよい。
各係合溝34のそれぞれは、本体部30の外周面の周方向に延びる。換言すれば、各係合溝34は、水平方向に延びる。各係合溝34は、本体部30を旋廻流の旋廻方向に回転させることによって、封水貯留部40の各係合突起41のいずれかと係合する。各係合溝34は、各係合突起41との係合により、本体部30の上下方向の移動を規制するとともに、本体部30の旋廻方向への回転を規制する。
各係合溝34の周方向の一端には、端面34aが設けられている。各係合溝34の周方向の一端は、端面34aによって塞がれている。一方、各係合溝34の周方向の他端は、開放されている。各係合溝34は、周方向の両端のうち、旋廻流の旋廻方向に対して反対側の端部を開放する。各係合溝34は、周方向の一方側から他方側へ凹状をなす。
ヘアキャッチャー14の取り付けにおいては、例えば、第2摘み部32を摘んでヘアキャッチャー14を操作し、水平な状態のヘアキャッチャー14の本体部30のフランジ部30fを各係合突起41の上に載置する。この後、第1摘み部31を摘んで本体部30を旋廻流の旋廻方向に回転させ、係合溝34の開放端側から係合突起41を係合溝34内に挿入する。これにより、係合突起41が係合溝34に挟まれ、本体部30の上下方向の移動が規制される。そして、本体部30をさらに旋廻方向に回転させ、係合突起41を係合溝34の端面34aに当接させる。これにより、本体部30の旋廻方向への移動が規制される。以上により、ヘアキャッチャー14の取り付けが完了する。
ヘアキャッチャー14を取り外す場合には、本体部30を旋廻方向と反対の方向に回転させ、各係合溝34と各係合突起41との係合を解除する。これにより、ヘアキャッチャー14をトラップ本体12から取り外すことができる。
図6(a)及び図6(b)は、ヘアキャッチャーの取り付け状態を表す参考図である。 図6(a)では、参考の排水トラップDTにおける参考のヘアキャッチャーHCの取り付け状態を表している。参考のヘアキャッチャーHCは、水平方向に延びる取っ手HCh(第1摘み部31に相当)のみを有している。排水トラップDTは、ヘアキャッチャーHCの取っ手HChの構成を除いて、上記の排水トラップ10と実質的に同じである。
洗い場2の排水口4は、排水の溢れを抑制したり、排水口4を覆うカバーを収容したりするため、凹部3の底面3aに設けられる。凹部3の底面3aの大きさは、受入口OPの大きさよりも僅かに大きい程度であり、凹部3の立面3bは、受入口OPに近接して配置される。
これにともない、洗い場2の床面2aと凹部3の立面3bとのコーナー部CNRに手が当たってしまうことを避けるため、図6(a)に表したように、使用者によっては、取っ手HChを摘んでヘアキャッチャーHCの取り付けを行う際に、ヘアキャッチャーHCの本体部を受入口OPに対して斜めに差し込んでしまう。ヘアキャッチャーHCを受入口OPに対して斜めに差し込むと、ヘアキャッチャーHCの本体部の上端の外径は受入口OPの直径と実質的に同じか僅かに小さいため、本体部が各係合突起EPの間を通り抜け、ヘアキャッチャーHCがトラップ本体MB内の封水に浸かってしまう場合がある。
トラップ本体MB内の封水は、石鹸カスなどの混入により、不衛生な状態となっている場合がある。このため、ヘアキャッチャーHCが封水に浸かると、使用者にストレスを与えてしまう恐れがある。
また、ヘアキャッチャーHCを受入口OPよりも大きくすると、ヘアキャッチャーHCが封水に浸かってしまうことを抑制できる反面、ヘアキャッチャーHCのサイズが大きくなってしまうため、操作性の低下を招き、ヘアキャッチャーHCの機能性を低下させてしまう。
これに対して、本実施形態に係る排水トラップ10では、図6(b)に表したように、ヘアキャッチャー14を回転により係合させる形態であっても、上方に延びる第2摘み部32を、本体部30の上端30aにおいて第1摘み部31の設けられていない位置に設けているため、使用者は、第2摘み部32を摘んでヘアキャッチャー14を着脱することができる。これにより、図6(b)に表したように、ヘアキャッチャー14を傾斜させることなく、略水平にした状態で容易に着脱できるようになる。従って、ヘアキャッチャー14の取り付け時に各係合突起41間にヘアキャッチャー14が入り込むことを抑制でき、ヘアキャッチャー14が封水に浸かってしまうことを抑制することができる。また、ヘアキャッチャー14を回転させる際は、第1摘み部31を用いてヘアキャッチャー14を回転させることができるため、回転によってヘアキャッチャー14を取り付ける際の作業性が低下することもない。従って、ヘアキャッチャー14の機能性の低下を招くことなく、ヘアキャッチャー14が封水に浸かってしまうことを抑制することができる。
排水トラップ10では、ヘアキャッチャー14の本体部30が、受入口20内に嵌る。本体部30が受入口20より大きい場合に比べて、本体部30がコンパクトであり、取り外して振ったりする際の操作性を向上させることができる。また、清掃面積が小さくなり、ヘアキャッチャー14の清掃性を向上させることもできる。
また、排水トラップ10では、本体部30の上端30aの位置が、受入口20と略面一もしくは受入口20よりも下方に設定される。これにより、受入口20より上方に設定する場合に比べて、洗い場2から流れた水をヘアキャッチャー14の本体部30内に流入させ易くすることができる。トラップ本体12内への異物の侵入をより抑制することができる。
また、排水トラップ10では、各係合溝34及び各係合突起41が周面に設けられ、本体部30のフランジ部30fで覆い隠される。これにより、各係合溝34及び各係合突起41における汚れなどを目立ち難くすることができる。
また、排水トラップ10では、第1摘み部31が、本体部30の上端30aから外方に向かって略水平に延びる。これにより、ヘアキャッチャー14の操作性をより高めることができる。例えば、本体部30に捕捉された異物を容易にゴミ箱などに捨てることができる。
また、排水トラップ10では、第1摘み部31に隣接して第2摘み部32を設けているため、第1摘み部31の操作と第2摘み部32の操作との切り替えをスムーズに行うことができる。これにより、ヘアキャッチャー14の取り付け作業性をより向上させることができる。
また、排水トラップ10では、第2摘み部32が、第1摘み部31の周方向の一端側のみに隣接して設けられている。これにより、第1摘み部31及び第2摘み部32のトータルの幅を小さく抑えつつ、第1摘み部31及び第2摘み部32に十分な摘み幅を持たせることができる。例えば、第1摘み部31や第2摘み部32が排水の妨げとなることを抑制することができる。
図7は、実施形態に係るヘアキャッチャーの変形例を表す斜視図である。
図7に表したように、この例では、第2摘み部32が、所定の隙間を空けて第1摘み部31に隣接している。このように、第2摘み部32は、第1摘み部31と離間させて設けてもよい。本願明細書において、「隣接」には、第2摘み部32が第1摘み部31と一体に設けられている場合と、第2摘み部32が第1摘み部31と隙間を空けて近くに設けられている場合と、を含むものとする。第1摘み部31と第2摘み部32との間の隙間の距離は、例えば、第2摘み部32の周方向の幅以下にする。隙間の距離は、例えば、20mm以下にする。これにより、第1摘み部31と第2摘み部32との間に隙間が有る場合にも、第1摘み部31の操作と第2摘み部32の操作との切り替えをスムーズに行うことができる。
また、第2摘み部32は、必ずしも第1摘み部31に隣接していなくてもよい。第2摘み部32の位置は、本体部30の上端30a上の任意の位置でよい。また、上記のように第2摘み部32を第1摘み部31と離間させる場合、第2摘み部32の形状は、例えば、棒状などでもよい。第2摘み部32の形状は、上方側での摘みを可能とする任意の形状でよい。
図8は、実施形態に係るヘアキャッチャーの別の変形例を表す斜視図である。
図8に表したように、この例では、第2摘み部32が、第1摘み部31の上方に設けられている。このように、第2摘み部32は、第1摘み部31の上方に設けてもよい。第2摘み部32の位置は、第1摘み部31の上方、又は本体部30の上端30aにおいて第1摘み部31の設けられていない位置でよい。
図9は、実施形態に係るヘアキャッチャーの別の変形例を表す斜視図である。
図9に表したように、この例において、ヘアキャッチャー14は、互いに対面して設けられた一対の第2摘み部32を有する。このヘアキャッチャー14では、対面する一対の第2摘み部32を指で挟むように掴んでヘアキャッチャー14の取り付けを行うことができる。これにより、ヘアキャッチャー14を略水平な状態で取り付け易くしつつ、1つの第2摘み部32を摘む場合に比べて、使用者の手首にかかるトルクが減少し、使用者に体感されるヘアキャッチャー14の重さを軽くすることができ、ヘアキャッチャー14の取り付け作業性をより向上させることができる。
図9に表した例では、一対の第2摘み部32のそれぞれに対応する一対の第1摘み部31が設けられている。一対の第2摘み部32のそれぞれが、一対の第1摘み部31のそれぞれに隣接して設けられている。互いに対面する一対の第2摘み部32を設ける場合、第1摘み部31は、必ずしも2つ設ける必要はなく、1つでもよい。例えば、一対の第2摘み部32の一方のみに隣接させて1つの第1摘み部31を設けてもよい。
第1摘み部31及び第2摘み部32の数は、3つ以上でもよい。但し、第1摘み部31及び第2摘み部32の数が増えると、排水口4(受入口20)における排水の妨げとなる可能性がある。従って、第1摘み部31及び第2摘み部32の数は、1つ又は2つ程度であることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、排水トラップ10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。