JP6719976B2 - 電極材料、及び点火プラグ用電極 - Google Patents

電極材料、及び点火プラグ用電極 Download PDF

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Description

本発明は、アルコール燃料を使用するエンジンに備える点火プラグの電極素材に利用される電極材料、及び点火プラグ用電極に関する。特に、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる点火プラグ用電極、及びこのような電極の素材に適した電極材料に関するものである。
自動車のエンジン部品などとして点火プラグ(スパークプラグ)がある。点火プラグは、代表的には、棒状の中心電極と、中心電極の端面に離間状態で対向配置された接地電極とを備え、両電極間で火花放電を行い、この放電によって両電極間に流入する燃料混合気体を点火する。特許文献1は、アルコール燃料を使用するエンジンに用いられる点火プラグを開示している。また、特許文献1は、上記点火プラグに備える中心電極として、銅又は銅合金からなる芯部の外周をニッケル合金で囲む構成を開示している。
一方、特許文献2は、耐高温酸化性及び耐食性に優れる点火プラグの電極として、特定の組成のニッケル合金で構成することを開示している。
特開2013−055022号公報 特開2014−029002号公報
アルコール燃料を使用するエンジンに備えられる点火プラグの電極に対して、耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れることが望まれている。また、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性に優れる点火プラグ用電極が得られる電極材料が望まれている。
従来、アルコール燃料を使用するエンジンにニッケル合金で構成した点火プラグ用電極を用いた場合に、腐食の原因や、耐食性に優れる構成について十分に検討されていない。
そこで、本発明の目的の一つは、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる点火プラグ用電極が得られる電極材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる点火プラグ用電極を提供することにある。
本発明の一態様に係る電極材料は、質量%で、希土類元素を合計で0.05%以上0.5%以下、Mnを1.1%以上2.5%以下、Al及びCrの少なくとも一方を0.01%未満、Siを、Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲で含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。
本発明の電極材料は、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる点火プラグ用電極を構成できる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明者らは、アルコール燃料を使用するエンジンに備える点火プラグ用電極及びその素材となる電極材料をニッケル合金で構成した場合について、腐食の原因と耐食性に優れる構成とを検討した。その結果、以下の知見を得た。腐食した電極を成分分析した結果、S(硫黄)などの電極構成元素以外の元素が含まれていた。Sは、Niと化合物を形成する元素であり、この化合物の融点が低いことから(概ね800℃程度以下)、電極に付着したSがNiと化合物を形成することで局所的に融点が下がって、この化合物の周囲のNiが腐食したと考えられる。Sなどの元素は、エンジンオイルに含まれていたものと考えられ、経時的に燃焼室に混入したものがアルコールに溶けるなどして電極に付着し、電極が腐食したと考えられる。従って、アルコール燃料を使用するエンジンは、Sなどの腐食元素が経時的に存在し得る環境と考えられ、このような使用環境での耐食性を高めるには、特定の元素を特定の範囲で含有するニッケル合金とすることが好ましいとの知見を得た。上記知見に基づき、本発明は、電極材料を特定の組成のニッケル合金で構成することを規定する。最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態に係る電極材料は、質量%で、希土類元素を合計で0.05%以上0.5%以下、Mnを1.1%以上2.5%以下、Al及びCrの少なくとも一方を0.01%未満、Siを、Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲で含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。Si/Mnとは、Mnの含有量に対するSiの含有量の質量比である。Al及びCrの含有量は0質量%を含む。
上記の電極材料は、特定の組成のニッケル合金で構成されるため、アルコール燃料を使用するエンジンに備える点火プラグの電極素材とした場合に耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる。詳しくは、以下のように考えられる。
(a)Mnは、Sと化合物を形成する元素であり、形成された化合物の融点(概ね1600℃程度)はNiの融点(1450℃程度)よりも高い。かつ、MnはNiよりも硫化物生成自由エネルギーが低い。そのため、Sなどの腐食元素とNiとが化合物を形成するよりも先にSとMnとが化合物を形成し易く、Niの腐食(Sなどとの化合)を低減できると考えられる。また、SとMnとの化合物は高融点であり、高温環境でも安定して存在できるため、この化合物の周囲(特にNi)が腐食することも抑制できる。
(b)SiをMnに比して特定の範囲で含有するため、Mnを比較的多く含むものの耐酸化性に優れる。SiをMnに比して十分に含有することで、点火プラグの電極としての使用時に表面に酸化膜を形成できる。この事後的に形成される酸化膜によって表面から内部への酸素の侵入を低減して内部酸化を抑制できる。
(c)希土類元素を特定の範囲で含有するため、結晶を微細にすることができる。そのため、外部からの酸素や腐食元素が結晶粒界を伝って電極の内部に侵入しようとしても、粒界が長いことで、その侵入度合い(深度)が深くなることを抑制できて、内部腐食、内部酸化を抑制できる。
上記(b),(c)によって、内部酸化を抑制でき、内部酸化の進行によって酸化膜が厚くなり過ぎて酸化膜に亀裂が生じたり、酸化膜が剥離したりすることなどを低減し易く、適切な厚さの酸化膜を良好に維持できる。従って、酸化膜の具備による内部腐食の抑制効果も期待でき、優れた耐食性を長期に亘り維持できると考えられる。
(d)比抵抗を増大し易いCr及びAlを含有しない、又は含有しても非常に少なくし、かつMn,Si,希土類元素を特定の範囲とするため、比抵抗の増大を抑制して、火花による消耗を低減できる。
Alを特定の範囲で含有する場合にはSiと共に酸化抑制効果を更に高められ、耐酸化性により優れる。Crを特定の範囲で含有する場合には特に内部酸化の抑制効果を更に高められて、耐酸化性により優れる。
上記の電極材料を利用することで、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性に優れる点火プラグ用電極が得られる。
(2)上記の電極材料の一例として、更に、質量%で、Tiを0.02%以上0.6%以下含有する形態が挙げられる。この電極材料は、質量%で、希土類元素を合計で0.05%以上0.5%以下、Mnを1.1%以上2.5%以下、Al及びCrの少なくとも一方を0.01%未満、Tiを0.02%以上0.6%以下、Siを、Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲で含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。
上記形態は、Tiを特定の範囲で含有するため、内部酸化の更なる抑制や結晶の微細化が期待できる。
(3)上記の電極材料の一例として、上記希土類元素がY及びNdの少なくとも一方を含む形態が挙げられる。
希土類元素のうち、YやNdは結晶の微細化効果により優れるため、上記形態は、結晶の微細化効果を高められて耐食性、耐酸化性により優れる。
(4)上記の電極材料の一例として、更に、質量%で、Cを0.005%以上0.05%以下含有する形態が挙げられる。この電極材料は、質量%で、希土類元素を合計で0.05%以上0.5%以下、Mnを1.1%以上2.5%以下、Al及びCrの少なくとも一方を0.01%未満、Cを0.005%以上0.05%以下、Siを、Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲で含有し、残部がNi及び不可避不純物からなる。
上記形態は、耐食性、耐火花消耗性、耐酸化性に優れる上に、高温強度を高められる、加工性に優れるといった効果も奏する。
(5)上記の電極材料の一例として、上記電極材料の室温での比抵抗が25μΩ・cm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、比抵抗が小さく、耐火花消耗性に優れる。
(6)上記の電極材料の一例として、上記電極材料を1100℃×50時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下である形態が挙げられる。
上記の加熱条件は、点火プラグの電極としての使用時に1100℃程度に長時間維持された状態を模擬しているといえる。上記形態は、この場合に結晶粒が成長し難く(粗大になり難く)、平均結晶粒径が小さい状態を維持できるといえる。従って、上記形態は、アルコール燃料を用いるエンジンに備える点火プラグの電極としての使用時、1100℃程度の環境に長時間曝された場合でも、結晶粒界が長い状態を維持できて、外部からの酸素や腐食元素が結晶粒界を伝って電極の内部に侵入し難いため、耐食性や耐酸化性に優れる。
(7)上記の電極材料の一例として、上記電極材料を1100℃×50時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の表面に形成された酸化膜の厚さが400μm以下である形態が挙げられる。
上記の加熱条件は、点火プラグの電極としての使用時に1100℃程度に長時間維持された状態を模擬しているといえる。上記形態は、この場合に厚過ぎず適切な厚さの酸化膜を有しており、酸化膜に亀裂が生じ難かったり、酸化膜が剥離し難かったりするといえる。従って、上記形態は、耐酸化性に優れる上に、酸化膜の具備による良好な耐食性を有することができる。
(8)実施形態に係る点火プラグ用電極は、上記(1)〜(7)のいずれか1つの電極材料から構成されている。
上記の点火プラグ用電極は、上述の特定の組成の電極材料によって構成されるため、アルコール燃料を用いるエンジンの点火部品に利用された場合に耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る電極材料、点火プラグ用電極、点火プラグを順に詳細に説明する。元素の含有量は、断りが無い限り質量%とする。
・電極材料
・・組成
実施形態の電極材料は、希土類元素,Mn,Siを必須の添加元素として含み、残部がNi及び不可避不純物であるニッケル合金から構成される。上記の必須の添加元素に加えて、Ti,Al,及びCrの少なくとも1種の元素やCを含むことができる。Al,Crを含有する場合には、後述のように非常に少ない含有量とする。
Niを主成分とすることで、具体的にはNi量を90%以上、更に95%以上、96%以上とすることで、塑性加工性に優れる上に、比抵抗が小さく(導電率が高く)、点火プラグの電極としての使用時、耐火花消耗性に優れる。Ni量が多いほど比抵抗をより低減でき、添加元素の含有量が多いほど耐食性や耐酸化性を高められる傾向にある。
・・・希土類元素
希土類元素は、主として金属間化合物として存在する。実施形態の電極材料は、この金属間化合物による所謂ピン止め効果によって、結晶の成長を抑制して、微細な結晶組織を有する。結晶の微細化及びその維持によって、内部への腐食元素や酸素の侵入を低減でき、内部腐食や内部酸化を抑制できる。希土類元素の一部がNiに固溶して存在することを許容するが、上述のように金属間化合物として存在すると微細化効果が十分に得られて好ましい。
希土類元素である周期表3族に属する17種の元素のうち、1種の元素のみを含む形態、又は複数種の元素を含む形態とすることができる。特に、Y(イットリウム)及びNd(ネオジム)の少なくとも一方を含むことが好ましい。結晶の微細化効果により優れるからである。
希土類元素の含有量(複数種の元素を含む場合には合計含有量。以下この項について同様)が多いほど、結晶を微細にし易いため、希土類元素の含有量を0.05%以上とする。結晶微細化効果の向上を考慮すると、希土類元素の含有量は、0.06%以上、更に0.08%以上が好ましい。希土類元素の含有量がある程度少なければ、(1)比抵抗を増大させ難く、比抵抗の増大による電極の熱劣化を抑制して耐火花消耗性に優れる、(2)塑性加工性の低下を抑制して所定の形状の電極に加工し易く、電極の製造性に優れる、といった効果を奏するため、希土類元素の含有量を0.5%以下とする。良好な耐火花消耗性、塑性加工性などを考慮すると、希土類元素の含有量は、0.45%以下、更に0.4%以下、0.3%以下が好ましい。
・・・Mn(マンガン)
Mnは、耐食性の向上効果を有する元素である。詳しくは、Sなどの腐食元素と化合物を形成する元素であり、かつNiよりも融点が低い元素である。点火プラグの電極としての使用時、高温になると、Mnは、Niよりも先に上記腐食元素と化合して、Niの腐食(腐食元素との化合)を抑制する。また、MnとSなどの腐食元素とを含むMnSなどの化合物は、Niよりも融点が高く、高温環境でも安定して存在できる。その結果、MnSなどの化合物の周囲に存在するNiが溶融し難くなることからも、Niの腐食を抑制できる。
Mn量が多いほど、上記腐食元素との化合物を形成し易く、耐食性を高められることから、Mn量を1.1%以上とする。耐食性の向上を考慮すると、Mn量は1.2%以上、更に1.3%以上、1.5%以上が好ましい。Mn量が多過ぎると、比抵抗の増大による耐火花消耗性の低下を招く。また、Mn量が多いと内部酸化を抑制できるものの、多過ぎると酸化膜が剥離し易くなり、酸化膜の剥離によって耐酸化性の低下を招くため、Mn量を2.5%以下とする。比抵抗の増大抑制、耐酸化性の低下抑制を考慮すると、Mn量は、2.2%以下、更に2.1%以下が好ましい。
・・・Si(珪素)
Siは酸化抑制効果が高い元素である。Siを含有することで、点火プラグの電極としての使用時に電極表面にSiを含む酸化物(酸化膜)を事後的に生成できる。この酸化膜によって、電極内部に酸素が侵入することを低減し、内部酸化を抑制できる。内部酸化の抑制によって、緻密で密着性に優れる酸化膜を生成できる上に過剰に厚くならず、厚膜化(ポーラス化)による亀裂や破裂、剥離の発生を抑制して適切な厚さの酸化膜を維持できる。この酸化膜は、電極内部への腐食元素の侵入も低減して、腐食の抑制にも寄与すると期待される。
ここで、上述のようにMn量が多くなると酸化膜が剥離し易いものの、Mn量に比してSi量を調整すると、Siが酸化膜の直下でくさびのように機能すると考えられ、酸化膜の剥離を抑制して良好な耐酸化性を有することができるとの知見を得た。そこで、実施形態の電極材料では、Mn量に比してSi量を特定の範囲とする。具体的には、Si量は、Mnの含有量に対するSiの含有量の質量比Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲とする。質量比Si/Mnが0.5未満であると、相対的にSiが少な過ぎて、Siによる耐酸化性の改善効果が不十分となり、酸化膜が十分に形成されなかったり、剥離し易くなったりして、酸化膜の維持が困難になる。質量比Si/Mnが1.1以上であると、Si過剰による酸化膜の剥離などを生じ、酸化膜の維持が困難になる。良好な耐食性と健全な酸化膜の形成及び維持を考慮すると、質量比Si/Mnは0.51以上1.09以下、更に0.52以上1.08以下とすることができる。なお、希土類元素も上述の酸化膜の直下でくさびとして機能すると考えられる。
具体的なSi量は、例えば、0.9%以上2.0%以下、更に1.0%以上1.5%以下が挙げられる。Si量が多いほど、酸化膜の形成や剥離抑制による酸化抑制効果を得易い。Si量が少ないほど、比抵抗の増大を低減できて耐火花消耗性により優れる。また、酸化膜がポーラスな厚膜になり難く、厚膜化による亀裂の発生や剥離の発生を抑制でき、適切な厚さの酸化膜をより維持し易い。
・・・Al(アルミニウム)
Alは、酸化抑制効果が高い元素であり、Siと共にAlをも含有すると酸化抑制効果を更に高められる。Al量が多過ぎると、上述の酸化膜の厚膜化による損傷や比抵抗の増大を招く。従って、Alを含有する場合、Al量は0.01%未満とし、0.008%以下、更に0.005%以下がより好ましい。実施形態の電極材料は、Alよりも酸化抑制効果が高いSiを必須元素とするため、Alを含まないこと(Al量が0%であること)を許容する。
・・・Cr(クロム)
Crは、腐食元素に対する耐性に優れる上に内部酸化の抑制にも効果がある。Cr量が多過ぎると比抵抗の増大による耐火花消耗性の低下を招く。従って、Crを含有する場合、Cr量は0.01%未満とし、0.008%以下、更に0.005%以下がより好ましい。実施形態の電極材料は、腐食抑制効果が高いMn及び酸化抑制効果が高いSiを必須とするため、Crを含まないこと(Cr量が0%であること)を許容する。
・・・Ti(チタン)
Tiは、結晶の微細化に効果があり、内部腐食、内部酸化の抑制に寄与する。Ti量が多いほど、結晶微細化効果などを得易く、多過ぎると比抵抗の増大による耐火花消耗性の低下を招く。従って、Tiを含有する場合、Ti量は0.02%以上0.6%以下が好ましい。Ti量が多いほど、結晶微細化効果などを得易く、Ti量は0.03%以上、更に0.05%以上が好ましい。比抵抗の増大抑制を考慮すると、Ti量は0.4%以下、更に0.3%以下が好ましい。
・・・その他の元素
B(ホウ素)を0%超0.05%以下、更に0.001%以上0.02%以下含有することができる。この場合、熱間加工性に優れ、実施形態の電極材料や実施形態の点火プラグ用電極を製造し易い。
C(炭素)を0.005%以上0.05%以下の範囲で含有すると、加工性を確保しつつ、高温強度を高められて好ましい。C量は、0.01%以上0.04%以下、更に0.015%以上0.03%以下がより好ましい。
・・組織
実施形態の電極材料は、上述の特定の組成で構成されることで1100℃程度に長時間保持された場合でも結晶が微細な状態を維持できる。具体的には実施形態の電極材料を1100℃×50時間加熱した後の平均結晶粒径が300μm以下を満たすことが挙げられる。このような電極材料から構成される点火プラグの電極は、内部への腐食元素や酸素の侵入を抑制でき、耐食性、耐酸化性に優れる。上述の添加元素の含有量などによっては、上記平均結晶粒径を290μm以下、更に280μm以下、270μm以下とすることができる。上記平均結晶粒径が小さいほど結晶粒界が長く、外部からの酸素や腐食元素が結晶粒界を伝って電極の内部に侵入し難いため、内部腐食や内部酸化を抑制し易く、下限を設けない。加熱条件の詳細は後述の酸化試験で説明する。
・・比抵抗
実施形態の電極材料は、上述の特定の組成で構成されることで比抵抗が小さい。例えば、室温(代表的には20℃程度)での比抵抗が25μΩ・cm以下を満たすことが挙げられる。比抵抗は、代表的には添加元素の含有量の多寡によって変化し、含有量が少ないほど小さい傾向にある。組成によっては、比抵抗が22μΩ・cm以下、更に20μΩ・cm以下を満たすことができる。比抵抗が小さいほど耐火花消耗性に優れる傾向にあり、下限を設けない。なお、添加元素の含有量が少なく純ニッケルに近いほど、比抵抗が小さいが、耐食性や耐酸化性に劣る。
・・酸化膜の形成状態
実施形態の電極材料は、上述の特定の組成で構成されることで1100℃程度に長時間保持された場合に、特定の厚さの酸化膜が存在し得る。具体的には実施形態の電極材料を1100℃×50時間加熱した後に、電極材料の表面に形成された酸化膜の厚さが400μm以下であることが挙げられる。このような酸化膜は、厚過ぎず、亀裂や剥離が生じ難いといえ、健全な状態で維持され易いといえる。実施形態の電極材料を、アルコール燃料を用いるエンジンに備える点火プラグの電極として利用した場合に、このような適切な厚さの酸化膜を形成できる上に良好に維持できるため、この電極は耐酸化性に優れる上に、この酸化膜によって耐食性にも優れる。上述の添加元素の含有量などによっては、上記酸化膜の厚さを390μm以下、更に380μm以下、370μm以下とすることができる。なお、この酸化膜は、代表的には、後述する試験例に示すように内部酸化物層と表面酸化物層との二層構造を有し、この合計厚さが400μm以下を満たす。加熱条件の詳細は後述の酸化試験で説明する。
・・形状
実施形態の電極材料の代表的な形状として、伸線加工を含む塑性加工が施された線材が挙げられる。断面形状は、矩形状、円形状など、種々の形状が挙げられる。断面サイズや線径も適宜選択できる。例えば、断面矩形状の角線では、厚さが1mm以上3mm以下程度、幅が2mm以上4mm以下程度、断面円形状の丸線では、線径が2mm以上6mm以下程度が挙げられる。
・電極材料の製造方法
実施形態の電極材料は、代表的には、溶解→鋳造→熱間圧延→冷間伸線及び熱処理という工程によって製造できる。溶解時や鋳造時の雰囲気を、大気雰囲気よりも酸素濃度が低い雰囲気、例えば、酸素濃度が10体積%以下の低酸素雰囲気にすると、希土類元素の酸化を抑制して、希土類元素を含む金属間化合物を電極材料中に十分に存在させられる。
冷間伸線後に最終熱処理を行うと、軟化によって加工性を高められ、電極材料を所定の電極形状に加工し易かったり、伸線などの塑性加工時に導入された加工歪みを除去して比抵抗を低減したりすることができる。最終熱処理の条件は、加熱温度は700℃以上1000℃以下、好ましくは800℃以上950℃以下程度、雰囲気は非酸化雰囲気が挙げられる。非酸化雰囲気は、水素雰囲気、窒素雰囲気などの酸素濃度が低い雰囲気(例えば酸素濃度が10体積%以下)、又は酸素を実質的に含有しない雰囲気などが挙げられる。
冷間伸線後に圧延などを行って線材の形状を変えることができる。例えば、断面円形状から断面矩形状などに変更できる。圧延後に上述の最終熱処理を行うことができる。
その他、予め酸化膜を備える電極材料とすることができる。この場合には、上述の冷間伸線後、又は圧延後、又は最終熱処理後に酸化膜を形成する熱処理(酸化処理)を行う。酸化処理の条件は、バッチ処理では加熱温度は800℃以上1100℃以下、好ましくは900℃以上1000℃以下、雰囲気は大気雰囲気などの酸素を含む雰囲気が挙げられる。酸化処理は、通電方式の加熱炉や雰囲気炉を用いる連続処理とすることができる。
・点火プラグ用電極
実施形態の点火プラグ用電極は、上述の実施形態の電極材料から構成されて、アルコール燃料を用いるエンジンに備える点火部品として利用される。実施形態の点火プラグ用電極は、中心電極、又は接地電極、又はその両方に利用できる。実施形態の点火プラグ用電極は、上述の実施形態の電極材料を適宜な長さに切断したり、切断した材料を更に所定の形状に成形したりすることで製造できる。その他、上述の酸化処理を施して酸化膜を備える電極とすることができる。実施形態の点火プラグ用電極は、上述の実施形態の電極材料の組成、組織、比抵抗などの特性・性質を実質的に維持する。
・点火プラグ
上述の点火プラグ用電極を備える点火プラグは、アルコール燃料を用いるエンジン、代表的には自動車のエンジンの点火部品に利用できる。点火プラグは、代表的には、絶縁碍子と、上記絶縁碍子を保持する主体金具と、上記絶縁碍子内に保持され、上記絶縁碍子の先端から一部が突出された中心電極と、上記主体金具の先端側の面に一端を溶接され、他端が中心電極の端面に対向するように設けられた接地電極と、上記絶縁碍子の後端に設けられた端子金具とを備えるものが挙げられる。なお、アルコール燃料とは、アルコールのみの燃料、又はアルコールとガソリンとを含む混合燃料である。
・実施形態の主要な効果
実施形態の電極材料は、特定の組成で構成され、特にMnを特定の範囲で含むことでSなどの腐食元素による腐食を抑制できる。かつ、実施形態の電極材料は、希土類元素を特定の範囲で含有することで微細結晶組織を良好に維持できると共に、SiをMn量との対比で特定の範囲で含有することで適切な酸化膜の形成及びその維持を良好に行える。この酸化膜によって、内部への腐食元素の侵入の低減も期待できる。並びに、実施形態の電極材料は、特定の組成で構成されることで比抵抗が小さい。これらのことから、実施形態の電極材料は、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる。これらの効果の詳細は試験例1で説明する。
実施形態の点火プラグ用電極は、上記実施形態の電極材料で構成されることで、アルコール燃料を用いるエンジンの点火部品とした場合に、耐食性に優れる上に、耐火花消耗性、耐酸化性にも優れる。
[試験例1]
ニッケル合金からなる電極材料を複数作製し、その特性を評価した。
電極材料(線材)は、以下のように作製した。
通常の真空溶解炉を用いて、表1に示す組成のニッケル合金の溶湯を作製した。組成の単位は質量%である。「Si/Mn」は質量比、「不純物」は不可避不純物である。
溶湯の原料には、市販の純Ni(99.0質量%以上Ni)及び各添加元素の粒を用いた。溶湯は精錬して不純物や介在物などを低減、除去した。また、精錬具合を調整して、C量を0.05質量%以下にした。酸素濃度が低くなるように雰囲気を管理して溶解を行い、溶湯温度を適宜調整して真空鋳造を行って鋳塊を得た。

得られた鋳塊を再加熱して鍛造加工を施して、約150mm角のビレットを得た。このビレットに熱間圧延を施して、線径5.5mmφの圧延線材を得た。この圧延線材に冷間伸線及び熱処理を組み合わせて施して、冷間伸線材を得た。ここでは、線径2.5mmφの丸線と、線径4.2mmφの丸線を作製した。線径2.5mmφの丸線に更に圧延加工を施して断面矩形状に変形し、1.5mm×2.8mmの平角線を得た。この平角線と、線径4.2mmφの丸線とにそれぞれ、最終熱処理を施して軟材を得た。この軟材を電極材料の試料とする。
最終熱処理は、加熱温度を800℃以上1000℃以下から選択し、非酸化雰囲気(窒素雰囲気又は水素雰囲気)とし、連続処理で行った。
<組成>
各試料の電極材料(軟材)の組成を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて調べたところ、表1に示す組成と同様であり、表1に示す添加元素と、残部がNi及び不可避不純物によって構成されていた。試料No.1−1〜1−7のNi量は96質量%以上である。表1において「0(ゼロ)」は、検出限界未満であり、実質的に含有されていないことを示す。組成の分析は、ICP発光分光分析法の他、原子吸光光度法などでも行える。
<組織>
各試料の電極材料(軟材)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察してエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分析を行って、又は電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて調べたところ、希土類元素とNiとの金属間化合物が存在していることが確認できた。
<比抵抗>
各試料の電極材料(軟材)の比抵抗(μΩ・cm)を測定した。その結果を表2に示す。比抵抗(室温)は、電気抵抗測定装置を用いて、直流四端子法により測定した(標点距離GL=100mm)。
<耐火花消耗性>
上述の比抵抗(室温)が25μΩ・cm以下のものを耐火花消耗性に優れるとしてA、25μΩ・cm超のものを耐火花消耗性に劣るとしてCと評価した。評価結果を表2に示す。
<耐酸化性>
各試料の電極材料(軟材)を加熱して、酸化膜の厚さを調べて、耐酸化性を評価した。ここでは、以下の酸化試験を行い、この試験後の酸化膜の厚さを調べた。
(酸化試験)
1100℃に昇温した大気炉に入れて、1時間加熱した後、大気炉の外に取り出して30分間空冷し、再度1時間加熱するという操作を加熱時間が合計50時間となるまで繰り返す。
上記の酸化試験後、試料の断面を光学顕微鏡で観察し(倍率は50倍〜200倍)、この顕微鏡観察像(写真)を用いて試料の表面に形成された酸化膜の厚さを測定した。この試験で作製した各試料はいずれも、二層構造の酸化膜が形成されている。詳しくは、各試料の酸化膜は、酸化膜の最表面及びその近傍を構成する表面酸化物層と、表面酸化物層の内部に位置する内部酸化物層とを備える。表面酸化物層は、添加元素の含有量が多くNiの含有が少なく、内部酸化物層はNiの含有が多い傾向にある。
この試験では、内部酸化物層及び表面酸化物層のそれぞれの厚さ(μm)及び合計厚さ(μm)を測定した。また、両酸化物層の合計厚さが400μm以下のものを耐酸化性に優れるとしてB、350μm以下のものを耐酸化性に非常に優れるとしてA、酸化膜が剥離などしたものを耐酸化性に劣るとしてCと評価した。これらの結果を表2に示す。
内部酸化物層の厚さは、ニッケル合金から構成される基材領域と内部酸化物層との境界から、内部酸化物層と表面酸化物層との境界までの平均厚さを測定した。表面酸化物層の厚さは、上述の両酸化物層の境界から酸化膜の最表面までの平均厚さを測定した。平均厚さは、上記顕微鏡観察像に画像処理などを施すことで容易に求められる(特許文献2参照)。
<平均結晶粒径>
上述の酸化試験(1100℃×50時間)後の各試料の電極材料について、平均結晶粒径(μm)を調べた。その結果を表2に示す。ここでは、試料の断面を光学顕微鏡(倍率は50倍〜200倍)で観察し、この顕微鏡観察像(写真)に対して、交線法(ライン法)を利用して平均結晶粒径を算出した。
<耐食性>
作製した各試料の電極材料(軟材)について耐食性を調べた。ここでは、腐食剤で試料を覆った状態で加熱保持するという、以下の耐食性試験を行い、この試験後の腐食状態を評価した。
(耐食性試験)
・腐食剤
質量割合で、硫酸カルシウム:グラファイト=80:20の粉末
ここでは、腐食元素としてS(硫黄)を含む塩(硫酸カルシウム)を用いた。但し、腐食元素を含む塩のみで行ったところ過度に腐食されたため、グラファイト(炭素)といった還元剤を含有させて、腐食状態を調整した。
・熱処理条件
850℃×4時間、加熱炉使用
ここでは、各試料を腐食剤の粉末によって覆った状態で加熱炉に入れて、所定時間保持した。
・腐食の評価
上述の所定の保持時間(4時間)の経過後、各試料を水洗してからクロスセクションポリッシャ(CP)断面をとって、断面積の減少度合いを調べた。ここでは、以下の断面積の減少量(%)を求め、3段階評価とした。減少量(%)と評価結果とを表2に示す。
断面積の減少量(%)={(耐食性試験前の断面積−耐食性試験後の断面積)/耐食性試験前の断面積)}×100
減少量が10%以下=耐食性に非常優れる:A
減少量が10%超20%以下=耐食性に優れる:B
減少量が20%超=耐食性に劣る:C
表2に示す値は、各試料の電極材料とした丸線の軟材と平角線の軟材との測定結果のうち、比抵抗、酸化膜の厚さ(合計厚さ)、平均結晶粒径は値が大きい軟材の結果を、耐食性は減少量が大きい軟材の値と評価結果とを示す。また、耐食性、耐火花消耗性、耐酸化性の評価を総合的に評価した結果も表2に示す。総合評価は、上記三つの評価が全てAであるものをA,上記三つの評価のうち少なくとも一つがBであるものをB、上記三つの評価のうち少なくとも一つがCであるものをCと評価する。
表2に示すように、希土類元素,Mn,Si,適宜Al,Cr,Tiを特定の範囲で含有する特定の組成から構成された試料No.1−1〜1−7は、S(硫黄)といった腐食元素が存在し得る使用環境に曝された場合に腐食され難く、耐食性に優れることが分かる。具体的には、試料No.1−1〜1−7は、耐食性の評価がA、Bであり、上述の減少量が少ない。特に、試料No.1−1〜1−7や試料No.1−103,1−104をみれば、Mn量が2質量%程度以上となると上記減少量が少ない傾向にあり、耐食性により優れることが分かる。Mn量が少ない試料Mo.1−101,1−102は上記減少量が多く、耐食性に劣ることも分かる。この結果から、Mn量を特定の範囲とすることで、S(硫黄)といった腐食元素が存在し得ると共にアルコール燃料を用いる自動車のエンジンといった使用環境での耐食性に優れるといえる。
また、試料No.1−1〜1−7は、1100℃といった高温環境に曝された場合に適切な厚さの酸化膜を有しており、耐酸化性に優れることが分かる。具体的には、試料No.1−1〜1−7は、酸化膜の合計厚さが400μm以下であり、かつ剥離などすることなく健全に維持されている。
試料No.1−1〜1−7が耐酸化性に優れる理由として、SiをMn量との比で特定の範囲で含有することが考えられる。このことは、試料No.1−1〜1−7と、試料No.1−103,1−104とを比較参照することから裏付けられる。Si/Mnが0.5以上1.1未満である試料No.1−1〜1−7は健全な酸化膜を有している。Si/Mnが0.5未満である試料No.1−104、1.1以上である試料No.1−103はいずれも、酸化膜が剥離して耐酸化性に劣る。試料No.1−104は、Mn量が多く耐食性に優れるものの、Si量が少な過ぎて酸化膜を維持できず、試料No.1−103は、Si量が多過ぎて酸化膜を維持できなかったと考えられる。なお、試料No.1−102は、Si/Mnが1.1以上であるものの、Mn量が非常に少ないことで酸化膜を維持できたと考えられるが、Mn量が少な過ぎて耐食性に劣る。
試料No.1−1〜1−7が耐食性、耐酸化性に優れる別の理由として、希土類元素が均一的に分散して存在できて結晶粒を微細にできたことが考えられる。このことは、希土類元素を含む試料No.1−1〜1−7の平均結晶粒径が希土類元素を含まない試料No.1−103,1−104に比較して小さいことからも裏付けられる。この試験では、試料No.1−1〜1−7の平均結晶粒径は300μm以下、更に260μm以下である。
更に、試料No.1−1〜1−7は比抵抗が小さくいずれも25μΩ・cm以下であり、耐火花消耗性に優れることが分かる。試料No.1−103は、Mn量が多く耐食性に優れるものの、上述のように耐酸化性に劣る上に、比抵抗が高く、耐火花消耗性に劣る。
上記試験結果から、希土類元素,Mn,Si,適宜Al,Cr,Tiを特定の範囲で含有する特定の組成から構成された電極材料は、アルコール燃料を用いるエンジンに備える点火プラグ用電極の素材に適することが確認された。また、この電極材料から作製された点火プラグ用電極やこの点火プラグ用電極を備える点火プラグは、アルコール燃料の使用環境での耐食性に優れると期待される。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、試験例1に示す電極材料や電極の組成、形状、大きさなどを適宜変更できる。接地電極と中心電極とで組成を異ならせることができる。
本発明の電極材料は、自動四輪車、自動二輪車といった自動車のエンジンなどの点火プラグに備える電極の素材に利用できる。本発明の点火プラグ用電極は、上記点火プラグの部品に利用できる。本発明の点火プラグは、上記エンジンなどの点火部品に利用できる。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    希土類元素を合計で0.05%以上0.5%以下、
    Mnを1.1%以上2.5%以下、
    Al及びCrの少なくとも一方を0.01%未満、
    Tiを0.02%以上0.6%以下、
    Cを0.005%以上0.05%以下、
    Siを、Si/Mnが0.5以上1.1未満を満たす範囲で含有し、残部がNi及び不可避不純物からなり、点火プラグ用電極に用いられる電極材料。
  2. 前記希土類元素は、Y及びNdの少なくとも一方を含む請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記電極材料の室温での比抵抗が25μΩ・cm以下である請求項1又は請求項2に記載の電極材料。
  4. 前記電極材料を1100℃×50時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の平均結晶粒径が300μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電極材料。
  5. 前記電極材料を1100℃×50時間加熱したとき、この加熱後の電極材料の表面に形成された酸化膜の厚さが400μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極材料。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電極材料から構成された点火プラグ用電極。
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