JP6719316B2 - 放熱部材用銅合金板材およびその製造方法 - Google Patents

放熱部材用銅合金板材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅合金板材およびその製造方法に関し、特に、半導体、LEDの放熱部材に好適な銅合金板材およびその製造方法に関する。
一般的に、半導体やLED(以下、半導体チップ)と放熱部材用銅合金板材の接合は、半導体チップと放熱部材用銅合金板材を250℃以上の高温で半田により接合している。この際、半導体チップと半田と放熱部材用銅合金板材の熱膨張係数が異なるため、室温に冷却した際に熱膨張係数の差により、モジュール全体で大きなひずみが生じる。ここで言う熱膨張は、温度の上昇によって物質の寸法が変化することを意味する。寸法の変化は各材質が有する熱膨張係数に比例する。半導体チップ、たとえばSiと銅合金板材では、Cuの熱膨張係数は16.6であるのに対しSiの熱膨張係数は2.6であるため、両者の熱膨張係数の差大きく、室温までの冷却時には半導体チップには圧縮応力が、銅合金板材には引張応力が加わる。このとき、最も熱膨張係数が高い半田は、銅板の板厚の10分の1以下と薄いため、半導体チップと銅合金板材の冷却時の収縮量を吸収できず、モジュール全体に大きな負荷がかかる。半導体モジュールに高いひずみが加わることで、変形による寸法変化だけでなく、寸法変化によって半導体の特性(バンド構造の変化)に影響を及ぼす。そのため、少しでも変化しにくい半導体モジュールが求められている。
そこで、放熱部材用銅合金板材の縦弾性係数を低下させることで、熱膨張、収縮時の寸法変化による負荷応力の低減が期待されている。縦弾性係数が高い材料と低い材料を用意し、弾性変形域内で同じ寸法変化を加えると、弾性係数が低い材料の方が、負荷応力が低くなる。
従来技術によれば、金属組織内の(122)面と(133)面の制御によって、曲げたわみ係数を高め、ばね特性を高めているが、半導体チップとの接合、冷却時の熱膨張係数差による負荷応力の解決はなされていない。
例えば、特許文献1では、(111)面の積分回折強度と、(220)面の積分回折強度を制御することで、圧延垂直方向の曲げたわみ係数を高め、放熱板材の熱収縮率を適正範囲に調整しているが、半導体チップとの接合、冷却時の熱膨張係数差による負荷応力の解決は行っていない。また、圧延垂直方向の1方向のみであり、半導体チップの等方的な熱膨張、収縮に対応できない。さらに、圧延垂直方向のたわみ係数を115GPa以上に高めており、ヤング率に換算すると、約130GPa以上に制御している。
また、特許文献2では、TD(122)となす角度10°以下の面積率、TD(133)となす角10°以下の結晶方位面積率10%以上で、たわみ係数を増加させているが、半導体チップとの接合、冷却時の熱膨張係数差による負荷応力の解決は行っていない。また、圧延垂直方向の1方向のみであり、半導体チップの等方的な熱膨張、収縮に対応できない。
特許第5453565号 特開2015−990号公報
本発明では、放熱部材用銅合金板材と半導体チップとの熱膨張係数の差によって生じる半導体モジュール全体の負荷応力を低減するために、圧延平行方向から垂直方向にかけて連続的に縦弾性係数が低く、さらに強度と導電率に優れた放熱部材用銅合金板材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の放熱部材用銅合金板材は、Snを0〜0.5wt%含有し、残部銅および不可避的不純物からなり、板材表面のEBSDを行った際に、結晶粒方位分布関数(ODF:Crystal Orientation Distribution Function)の、φ2=0°、Φ=0°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40.0未満である。
本発明は、圧延平行方向から垂直方向にかけて連続的に縦弾性係数が低く、さらに強度導電率に優れた放熱部材用銅合金板材およびその製造方法を提供することができる。
EBSDにより測定し、ODF(方位分布関数)解析から得られた、銅合金板材の代表的な結晶方位分布図である。
以下、本発明の放熱部材用銅合金板材の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、Snを0〜0.5mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる合金組成を有し、圧延集合組織を有する電気電子機器用銅合金板材であって、前記圧延集合組織は、EBSD法による集合組織解析から得られた、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40未満である、放熱部材用銅合金板材である。
ここで、銅合金板材とは、加工前であって所定の合金組成を有する銅合金素材を板状に加工したものを意味する。特に、板材とは、特定の厚みを有し形状的に安定しており面方向に広がりをもつものを指し、広義には条材を含むものとする。本発明において、板材の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.05〜2.0mm、さらに好ましくは0.1〜1.5 mmである。なお、本発明の銅合金板材は、その特性を圧延板の所定の方向における原子面の集積率で規定するものであるが、これは銅合金板材としてそのような特性を有しておれば良いのであって、銅合金板材の形状は板材や条材に限定されるものではない。本発明では、管材も板材として解釈して取り扱うものとする。
本発明の銅合金板材の成分組成とその作用について示す。本発明の銅合金板材は、任意にSnを含有してもいい。Snを含有する場合は、0.05〜0.5mass%含有する。Snを添加することにより、Snの母相への固溶と析出の状態により、理想的な集合組織が得られる。Snの含有量が0.05%未満であると集合組織の形成があまり促進されず、0.5mass%を超えると導電率が低下する。
本発明の銅合金板材は、上記Sn以外に、任意添加元素として、Ni、P、Oを合計で0.3%含有させることができる。Snとともに、Niおよび/またはPを含有させることにより、耐応力緩和特性の向上について相乗効果を奏することができる。ただし、NiおよびPの合計量が0.3%を超えると、導電率を低下させるため0.3%以下とする。
本発明の実施形態の銅合金板材は、圧延集合組織を有し、この圧延集合組織は、EBSD法による集合組織解析から得られた、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40未満である。
EBSD法とは、Electron BackScatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。本発明におけるEBSD測定では、結晶粒を200個以上含む、800μm×1600μmの試料面積に対し、0.1μmステップでスキャンし、測定した。前記測定面積およびスキャンステップは、試料の結晶粒の大きさに応じて決定すればよい。 測定後の結晶粒の解析には、TSL社製の解析セビテOIM Analysis(商品名)を用いた。EBSDによる結晶粒の解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの情報を含んでいる。また、板厚方向の測定箇所は、試料表面から板厚tの1/8倍〜1/2倍の位置付近とすることが好ましい。
結晶方位密度は、結晶粒方位分布関数(ODF: crystal orientation distribution function)とも表され、ランダムな結晶方位分布の状態を1とし、それに対して何倍の集積となっているかを示すものであり、集合組織の結晶方位の存在比率および分散状態を定量的に解析する際に用いる。方位密度は、EBSDおよびX線回折測定結果より、(100),(110),(112)正極点図等3種類以上の正極点図測定データに基づいて、級数展開法による結晶方位分布解析法により算出される。
図1は、EBSDにより測定し、ODF(方位分布関数)解析から得られた、銅合金板材の代表的な結晶方位分布図である。図1において圧延面内の2軸直交方向である、圧延方向と平行な方向RDおよび板幅方向TDと、圧延面の法線方向NDの3方向のオイラー角で示す。すなわち、RD軸の方位回転をΦ、ND軸の方位回転をφ1、TD軸の方位回転をφ2として示す。図1の各区分図は、ODFのTD軸の方位回転φ2を5°間隔で分割した図であり、太線枠は、φ2=0°の区分図において、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の結晶方位分布を示している。
φ2=0°において、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40未満に制御することにより、銅合金板材の圧延方向から圧延方向の垂直方向にかけて、連続的に100面が配向し、ランダム配向の材料に比べて縦弾性率が低下する。これによって、放熱基板と半導体のはんだ付け後の冷却時に熱膨張率の差によって発生する負荷応力を低減することができ、半導体の特性を安定させることができる。上記方位密度が3.0未満の場合、縦弾性係数を低く制御することができなくなり、銅合金板材を放熱板材として使用した場合、半導体チップとの熱膨張率の差による負荷を抑えることが困難となる。また、上記方位密度が40以上となると板材の強度が低下し、放熱基板として使用した際に変形が生じやすくなる。
本発明の他の実施形態の放熱部材用銅合金板材は、Snを0〜0.5mass%含有し、板材表面のEBSDを行った際に、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)の、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で5.0以上40未満であり、圧延方向0°から90°の縦弾性係数の平均値が130GPa以下である、放熱部材用銅合金板材である。ここで、放熱部材用銅合金板材は、圧延平行方向(RD)から圧延垂直方向(TD)にかけて10°おきに回転させた方向にとった縦弾性係数を130GPa以下に制御することで、いずれの方向の熱膨張係数差による負荷応力を低減する。
上記方位密度が5.0未満の場合、縦弾性係数を低く制御することがやや困難になる傾向にある。上記方位密度を5.0〜40未満に制御することにより、圧延方向0°から90°の縦弾性係数の平均値を130GPa以下により制御しやすくなる。本発明の実施形態の銅合金板材の縦弾性係数は、120GPa以下であってもよく、または115GPa以下であってもよい。縦弾性係数が130GPaを超えると、熱膨張、収縮時の寸法変化による不可応力が高くなる傾向にある。
縦弾性係数の測定は、各供試材から、圧延方向と平行な方向RDと、板幅方向TD(圧延方向RDに対して直交する方向)、さらに、RDからTDにかけて10°おきに回転させた方向に、それぞれ、JIS Z2201−13B号の試験片に加工し、JIS Z2241に準じて測定する。引張試験には、島津製作所製のオートグラフ万能試験機AG−10KTD型を使用した。試験片の長さ方向に引張試験機により応力を付与し、歪と応力の比例定数を求めることができる。降伏するときの歪量の80%の歪量を最大変位量とし、その変位量までを10分割した変位を与え、その10点での測定値から歪と応力の比例定数を縦弾性係数として求めることができる。
本発明の一実施形態の銅合金板材の平均結晶粒径は1μm〜100μmであってもよい。平均結晶粒径が1μm未満であると、結晶方位制御ができず、130GPa以下の弾性係数が得られない。結晶粒径が100μmを超えると引張強度が低下する。
本発明の一実施形態の銅合金板材の引張強度が300MPa以上である放熱部材用銅合金板材である。引張強度が300MPa未満であると、放熱部材として使用した場合に熱膨張率の差により負荷応力がかかった場合に部材が変形する可能性が生じる。引張強度は、以下に述べる銅合金基板の製造条件において、圧延時の加工率や焼鈍温度条件の調整で制御される。
本発明の実施形態の銅合金板材は、前記合金組成を有する銅合金を鋳造、圧延して得られた被圧延材に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理を行うこと、前記均質化熱処理後に、前記被圧延材に対して熱間圧延を行うこと、前記熱間圧延後に冷却を行うこと、該冷却後に、前記被圧延材の両面を面削すること、前記面削後に合計加工率が75%以上となるように冷間圧延すること、昇温速度10〜100℃/秒、到達温度100〜400℃、保持時間1〜900秒で熱処理し冷却速度10〜100℃/秒で冷却する第1の焼鈍を行うこと、前記第1の焼鈍後、冷間圧延を行うこと、昇温速度10〜200℃/秒、到達温度300〜800℃、保持時間10〜3600秒で熱処理を行い、冷却速度10〜200℃/秒で冷却する第2の焼鈍を行こうこと、次いで、仕上げ圧延、低温焼鈍、酸洗、研磨を行うこと、によって製造することができる。
ここで、合計加工率とは複数回の圧延による圧延加工率の合計を意味し、圧延加工率は、圧延前の断面積から圧延後の断面積を引いた値を圧延前の断面積で除して100を乗じ、パーセントで表した値である。すなわち、下記式で表される。
[圧延加工率]={([圧延前の断面積]−[圧延後の断面積])/[圧延前の断面積]}×100(%)
また、均質化熱処理は、800〜1100℃で10分〜20時間保持してもよい。熱間圧延は、合計加工率10〜90%であってもよく、熱間圧延終了後は10℃/sec以上の冷却速度にて急冷してもよい、熱間圧延材の表面の酸化膜は、面削によって、片面で1.0mm程度除去してもよい。面削後の冷間圧延は、合計加工率が75%以上となるよう、複数の圧延パス数によって圧延してもよい。第1の焼鈍は、連続焼鈍炉にて昇温速度10〜100℃/秒、到達温度100〜400℃、保持時間1秒〜900秒で熱処理後、冷却速度10〜100℃/秒で冷却してもよい。第1の焼鈍後の冷間圧延は、合計加工率5〜60%となるように圧延してもよい。第2の焼鈍は、昇温速度10〜200℃/秒、到達温度300〜800℃、保持時間10秒〜3600秒で熱処理し、冷却速度10〜200℃/秒で冷却してもよい。仕上げ圧延は合計加工率が10〜60%となるように圧延加工し、到達温度200〜500℃となるように低温焼鈍してもよい。さらに、板材表面の酸化膜除去と洗浄を目的に、酸洗・研磨を行う。
上記製造条件において、特に、面削後の冷間圧延と第1および第2の焼鈍工程とを制御することが重要である。すなわち、冷間圧延の合計加工率が75%以上とすることにより圧延集合組織を十分に発達させ、第1および第2の焼鈍により結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度を適切に制御することができる。合計加工率が75%未満であると第1および第2の焼鈍による集合組織制御で方位がランダム化し、上記方位密度の平均が3.0未満となりやすい。また、第1および第2の焼鈍における昇温速度、到達温度、保持時間および冷却速度のいずれか1つ以上が規定の範囲外である場合にも、集合組織制御において方位がランダム化し、上記方位密度の平均が3.0未満となりやすい。
このように、上記製造方法における各工程の条件を適切に制御することによって、銅合金板材の圧延集合組織の、EBSD法による集合組織解析から得られた、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40未満に制御することができる。また、これによって縦弾性率を低下させることができる。
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜10および比較例1〜9)
表1に示される組成となるようにSnを添加した残部銅と不可避的不純物からなる銅合金素材を高周波溶解炉により溶解し、これを鋳造して鋳塊を圧延しすることにより銅合金板材を得た。被圧延材に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、該均質化熱処理工程後に、前記被圧延材に対して熱間圧延を行う熱間圧延工程と、該熱間圧延工程後に冷却を行う冷却工程と、該冷却工程後に、前記被圧延材の両面を面削する面削工程と、該面削工程後に表1に示される加工率および圧延パス数で冷間圧延し、表1に示される昇温速度、到達温度、保持時間、冷却速度により熱処理する第1の焼鈍のあと、冷間圧延を行い、表1に示される昇温速度、到達温度、保持時間、冷却速度による熱処理する第2の焼鈍を行ったのち、仕上げ圧延と低温焼鈍、酸洗・研磨工程を行うことによって、実施例1〜10および比較例1〜9の供試材を得た。
Figure 0006719316
得られた供試材について、方位密度の平均値、平均結晶粒径、縦弾性係数の平均値、導電率および引張強度を以下の方法により測定した。測定した結果を表2に示した。
Figure 0006719316
(結晶方位密度)
結晶方位密度により集合組織の結晶方位の存在比率および分散状態を定量的に解析する。EBSDおよびX線回折測定結果より、(100),(110),(112)正極点図等3種類以上の正極点図測定データを基にして、級数展開法による結晶方位分布解析法により算出した。
(平均結晶粒径)
各供試材の圧延面におけるEBSD測定において、800μm×1600μmの範囲で、スキャンステップ0.1μmの条件で測定を行った。測定結果の解析において、測定範囲中の全結晶粒から、平均結晶粒径を算出した。結晶粒径の解析には、TSL社製の解析ソフトOIM Analysis(商品名)を用いた。EBSDによる結晶粒の解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの情報を含んでいる。また、板厚方向の測定箇所は、試料表面から板厚tの1/8倍〜1/2倍の位置付近とすることが好ましい。
(縦弾性係数)
各供試材から、圧延方向と平行な方向RDと、板幅方向TD(圧延方向RDに対して直交する方向)、さらに、RDからTDにかけて10°おきに回転させた方向に、それぞれ、JIS Z2201−13B号の試験片に加工し、JIS Z2241に準じて測定する。引張試験には、島津製作所製のオートグラフ万能試験機AG−10KTD型を使用した。試験片の長さ方向に引張試験機により応力を付与し、歪と応力の比例定数を求めた。降伏するときの歪量の80%の歪量を最大変位量とし、その変位量までを10分割した変位を与え、その10点での測定値から歪と応力の比例定数をヤング率として求めた。
(導電率)
各供試材の導電率(EC)は、JIS H0505に準拠し四端子法により、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で計測した比抵抗の数値から算出した。なお、端子間距離は100mmとした。板材の導電率が80%IACS以上である場合を良好、80%IACS未満の場合を不良と判断した。
(引張強度)
圧延平行方向から切り出したJIS Z2201−13B号の試験片をJIS Z2241に準じて3本測定しその平均値を示した。引張試験には、島津製作所製のオートグラフ万能試験機AG−10KTD型を使用した。板材の引張強度が300MPa以上である場合を良好、300GPa未満の場合を不良と判断した。
表1および2に示すように、本発明例1〜10はいずれも、合金組成範囲、製造条件、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)の、φ2=0°、Φ=0〜10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度、平均結晶粒径のいずれも適正範囲内にあるため、圧延平行方向(RD)から圧延垂直方向(TD)にかけて10°おきに回転させた方向にとった縦弾性係数の平均値、導電率、引張強度が優れている。
一方、比較例1〜9は、合金組成範囲、製造条件、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)の、φ2=0°、Φ=0〜10°、φ1=0から90°の圧延平行方向(RD)から圧延垂直方向(TD)にかけて10°おきに回転させた方向にとった縦弾性係数の平均値が高く、適正範囲外であり、導電率、引張強度のいずれか、もしくは両方が適正範囲外である。

Claims (5)

  1. Snを0〜0.5mass%含有し、残部銅および不可避的不純物からなり、板材表面のEBSDを行った際に、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で3.0以上40未満であり、
    圧延平行方向(RD)から圧延垂直方向(TD)にかけて10°おきに回転させた方向にとった縦弾性係数の平均値が130GPa以下である、放熱部材用銅合金板材。
  2. Snを0〜0.5mass%含有し、残部銅および不可避的不純物からなり、板材表面のEBSDを行った際に、結晶粒方位分布関数(ODF:crystal orientation distribution function)のオイラー角、φ2=0°、Φ=0から10°、φ1=0から90°の範囲の方位密度が、平均で5.0以上40未満であり、圧延平行方向(RD)から圧延垂直方向(TD)にかけて10°おきに回転させた方向にとった縦弾性係数の平均値が130GPa以下である、請求項1に記載の放熱部材用銅合金板材。
  3. 平均結晶粒径が1μm〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 引張強度が300MPa以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の銅合金板材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放熱部材用銅合金板材の製造方法であって、
    前記合金組成を有する銅合金を鋳造、圧延して得られた被圧延材に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理を行うこと、
    前記均質化熱処理後に、前記被圧延材に対して熱間圧延を行うこと、
    前記熱間圧延後に冷却を行うこと、
    該冷却後に、前記被圧延材の両面を面削すること、
    前記面削後に合計加工率が75%以上となるように冷間圧延すること、
    第1の焼鈍として、
    昇温速度10〜100℃/秒、到達温度100〜400℃、保持時間1〜900秒で熱処理し冷却速度10〜100℃/秒で冷却すること、
    前記第1の焼鈍後、冷間圧延を行うこと、
    第2の焼鈍として、
    昇温速度10〜200℃/秒、到達温度300〜800℃、保持時間10〜3600秒で熱処理し、冷却速度10〜200℃/秒で冷却すること、
    次いで、仕上げ圧延、低温焼鈍、酸洗、研磨を行うこと、を特徴とする放熱部材用銅合金板材の製造方法。
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