JP6714689B2 - 超解像顕微鏡 - Google Patents

超解像顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP6714689B2
JP6714689B2 JP2018510015A JP2018510015A JP6714689B2 JP 6714689 B2 JP6714689 B2 JP 6714689B2 JP 2018510015 A JP2018510015 A JP 2018510015A JP 2018510015 A JP2018510015 A JP 2018510015A JP 6714689 B2 JP6714689 B2 JP 6714689B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical
phase plate
wavelength
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018510015A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017175258A1 (ja
Inventor
池滝 慶記
慶記 池滝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Publication of JPWO2017175258A1 publication Critical patent/JPWO2017175258A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6714689B2 publication Critical patent/JP6714689B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/06Means for illuminating specimens

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、超解像顕微鏡に関するものである。
超解像顕微鏡として、例えば、少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を、2重共鳴吸収過程を用いて回折限界を超える高い空間分解能で観察可能な蛍光顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に開示の蛍光顕微鏡は、試料中の分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1の光(以下、ポンプ光とも言う)と、分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2の光(以下、イレース光とも言う)とを一組として、回折限界以下に収縮した蛍光スポットにより試料面を空間走査する。そして、各計測点の蛍光信号をコンピュータ上で2次元的又は3次元的に配列して画像処理することにより、回折限界の空間分解能を上回る解像度を有する蛍光画像を得ている。
上述した超解像顕微鏡では、試料面にポンプ光とドーナッツ状のイレース光とを重ねて集光し、ポンプ光辺縁部の領域で蛍光を抑制する。その際、ポンプ光とイレース光とを同軸に重ね合わすことが要求される。この光学調整法を市販のレーザ走査型顕微鏡に適用して超解像顕微鏡を構成するには、例えば2波長対応の位相板が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1には、異方性の屈折率特性をもつ水晶基板を2枚輪帯状に接合した位相板が開示されている。この位相板を用いれば、中央部でイレース光の位相をπ反転させることができるので、3次元的な中空形状をもつイレース光ビームを形成することができる。
非特許文献1に開示の位相板は、輪帯状に接合した2枚の水晶基板を一体で研磨することで、基板の厚みが調整される。これにより、イレース光に対しては、中央の輪帯領域で電場すなわち位相が反転し、波長の異なるポンプ光に対しては、位相が2πの整数倍だけシフトする。その結果、ポンプ光とイレース光とが同時に位相板を通過すると、ポンプ光の波面は実質的に影響を受けることなく、イレース光のみが3次元的な中空形状をもつビームに変換される。
ポンプ光及びイレース光は、一本の共通のシングルモードファイバを用いて市販のレーザ走査型顕微鏡に導入することができる。したがって、上記の位相板をレーザ走査型顕微鏡の照明光学系の光路中に挿入して、ポンプ光とイレース光とを顕微鏡対物レンズにより試料面に集光すれば、イレース光の中空中心にポンプ光を軸ずれすることなく自動的に集光させることができる。
これにより、ポンプ光と中空の周囲のイレース光とが重複した空間領域では蛍光が抑制されるので、試料面の蛍光スポットは3次元的に回折限界以下に収縮される。したがって、この蛍光スポットで試料を空間走査すれば、回折限界を超えた空間分解能で3次元的な超解像顕微鏡観察が可能となる。
このように、超解像顕微鏡法は、市販のレーザ走査型顕微鏡に位相板を装着して実施できることから、画期的な顕微法として期待されている。
なお、超解像顕微鏡に用いられる位相板は、上述した異方性の光学基板を接合したものに限らない。例えば、位相板は、基板上に光学薄膜をコートして構成してもよい(例えば、非特許文献2参照)。この位相板は、基板面を複数領域に分割し、夫々の領域に異なる厚みで光学薄膜(例えば、SiO)をコートして構成される。あるいは、光学薄膜をコートする代わりに、基板上の各領域を異なる深さにエッチングして位相板を構成してもよい(例えば、非特許文献3参照)。
非特許文献2や非特許文献3に開示の位相板は、各領域にコートする膜厚やエッチングする深さを最適化することで、ポンプ光の波面に影響を与えることなく、イレース光の波面を制御して、中空状に集光できる波長分散性をもたすことができる。
特開2001−100102号公報 特開2010−15026号公報
Y. Iketaki. Opt. let. 40, 1057 (2015) Y. Iketaki, et. al., Appl. Spectroscopy 68, 353(2014) T. Watanabe et. al., 75 (5131)2004
しかしながら、例えば異方性の屈折率特性をもつ2枚の水晶基板を輪帯状に接合してなる位相板は、以下に示すような厳しい加工精度が要求される。
(1)光学的異方性をもつ基板として水晶基板を機能させるためには、水晶基板の光学軸に対して正確な角度で水晶基板を切断して、相進軸と遅延軸との屈折率を制御する必要がある。
(2)2枚の水晶基板をそれらの相進軸(遅延軸)を正確に直交させて接合する必要がある。
上記(1)及び(2)の作業は、精密な偏光計測を随時行いながら行う必要があるため、位相板の作製に工数がかかる。
一方、基板上に光学薄膜をコートしたり、基板をエッチングしたりして作製された位相板の場合は、別な不具合が発生する。すなわち、これらの位相板にあっては、各領域界面で段差が発生するため、境界領域で基板を通過した光が回折を起こす。そのため、位相板を透過したポンプ光又はイレース光を集光すると、通常の集光パターンの他に回折パターンが重複して、超解像顕微鏡としての空間分解機能が低下する場合がある。
また、2枚の水晶基板を接合してなる位相板は、通常の光学ガラスと異なり水晶基板が高価であることから技術普及が阻まれる。光学薄膜をコートしてなる位相板や基板をエッチングしてなる位相板は、各領域に異なる加工工程を要することから、作製に手間が掛かることになる。
以上のように従来提案されている超解像顕微鏡にあっては、使用される位相板の作製に工数を要することから、全体として高価になることが懸念される。
したがって、かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、位相板を容易に作製できて、全体として廉価にできる超解像顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の一実施の形態に係る超解像顕微鏡は、
少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1の光と、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2の光とを含む複数の波長の照明光を、前記第1の光及び前記第2の光の少なくとも一部を空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
前記照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
前記照明光の前記試料への照射による該試料からの応答光を検出する検出光学系と、を備え、
前記照明光学系は、前記第1の光及び前記第2の光を空間変調する位相板を有し、
前記位相板は、前記照明光が透過する複数の分割領域を有する所定の厚さの平坦な空間形状からなり、
前記複数の分割領域は、少なくとも2種類以上の空間的に等方的な光学媒質材料からなり、前記第1の光及び前記第2の光に対して独立して位相制御する超解像顕微鏡において、
前記位相板は、前記複数の分割領域が屈折率の異なる複数の光学基板からなり、
前記光学基板の各々は、屈折率が空間的に等方的でかつ前記第1の光及び前記第2の光
に対して異なるものであり、
前記位相板は、前記光学媒質材料からなる前記分割領域の厚さをd、前記複数の分割領
域のうちi番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn (λ)、j番目の分割領域
の波長λにおける光の屈折率をn (λ)、前記第1の光の波長をλ 、前記第2の光の
波長をλ 、任意の整数をmとするとき、
Figure 0006714689
を満足するものである。

前記位相板は、前記複数の分割領域が屈折率の異なる複数の光学基板からなり、
前記光学基板の各々は、屈折率が空間的に等方的でかつ前記第1の光及び前記第2の光に対して異なるとよい。
前記位相板は、前記光学媒質材料からなる前記分割領域の厚さをd、前記複数の分割領域のうちi番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn(λ)、j番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn(λ)、前記第1の光の波長をλ、前記第2の光の波長をλ、とするとき、下式(1)を満足するとよい。
Figure 0006714689
前記位相板は、前記光学媒質材料からなる前記分割領域の厚さをd、前記複数の分割領域のうちi番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn(λ)、j番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn(λ)、前記第1の光の波長をλ、前記第2の光の波長をλ、任意の整数をmとするとき、下式(2)を満足するとよい。
Figure 0006714689
前記位相板は、2つの前記光学基板を有し、一方の前記光学基板は輪帯形状からなり、他方の前記光学基板は一方の前記光学基板の内周面に接合された円柱形状からなるとよい。
前記位相板の前記複数の光学基板は、不純物が異なる密度で添加されて構成されてもよい。
前記位相板は、上式(2)において、i=j+1の関係があり、隣り合う分割領域を透過する前記第2の光の位相を互いに反転させるとよい。
本発明によれば、位相板を容易に作製できて、全体として廉価にできる超解像顕微鏡が得られる。
本発明の一実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。 図1の位相板の第1の構成例を概念的に示す斜視図である。 図2の位相板の一製造法の説明図である。 図1の位相板の第2の構成例を概念的に示す斜視図である。 図1の位相板の第3の構成例を概念的に示す平面図である。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る超解像顕微鏡の概念的構成を示す図である。本実施の形態に係る超解像顕微鏡20には、一本の共通のシングルモードファイバ21からポンプ光及びイレース光が導入される。ポンプ光は、例えばNd:YVO4レーザを光源とする波長532nmの光が用いられる。イレース光は、例えばHe−Neレーザを光源とする波長633nmの光が用いられる。それぞれの光源から射出されるポンプ光及びイレース光は、公知のビームコンバイナで同軸に合成されてシングルモードファイバ21に入射される。
超解像顕微鏡20において、シングルモードファイバ21から導入されたポンプ光及びイレース光は、コリメータレンズ22により共通にコリメートされた後、アイリス23、位相板10及びバンドパスフィルタ24を透過してガルバノミラー光学系25に導入される。ガルバノミラー光学系25に導入されたポンプ光及びイレース光は、ガルバノミラー光学系25により二次元方向に偏向走査されて、瞳投影レンズ26を経て顕微鏡対物レンズ27により試料Sに集光される。
ここで、位相板10に入射されるイレース光は、顕微鏡対物レンズ27の焦点面で中空形状となる干渉条件を満たすように、ポンプ光とともにビーム径が調整される。バンドパスフィルタ24は、ポンプ光及びイレース光を透過し、試料Sからの蛍光を反射するように構成される。
一方、ポンプ光の照射により試料Sから発生する蛍光は、ポンプ光及びイレース光の照明光の光路を逆に辿ってバンドパスフィルタ24に入射され、該バンドパスフィルタ24で反射されて照明光学系の光路から分離される。バンドパスフィルタ24で反射された蛍光は、ブロックフィルタ31で蛍光のみが取り出された後、集光レンズ32に集光されて、ピンホール33を経てフォトマルチプライヤ等の光検出器34で受光される。
上記構成において、照明光学系は、シングルモードファイバ21、コリメータレンズ22、位相板10、瞳投影レンズ26及び顕微鏡対物レンズ27を含んで構成される。走査部は、ガルバノミラー光学系25を含んで構成される。検出光学系は、バンドパスフィルタ24、ブロックフィルタ31、集光レンズ32、ピンホール33、光検出器34を含んで構成される。
本実施の形態に係る超解像顕微鏡20によれば、ポンプ光及びイレース光が同時に試料Sに照射されると、これらのビームは顕微鏡対物レンズ27の焦点面の全く同じ位置に、ずれることなく集光される。その際、イレース光のみが超解像顕微鏡に資するように中空状に整形される。これにより、試料Sを超解像で観察することができる。具体的には、λ=532nm、λ=633nmとすると、例えばキサンテン系のローダミン色素やオギザジン系のナイルレッドにより染色された試料Sを超解像で観察することが可能である。
本実施の形態に係る超解像顕微鏡20は、市販のレーザ走査型顕微鏡の照明光学系の光路中に位相板10を挿入し、その照明光路に一本の共通のシングルモードファイバを用いてポンプ光及びイレース光を導入することで容易に構成することができる。
次に、位相板10の構成例について説明する。
位相板10は、特殊な異方性光学媒質材料を用いることなく、波面精度に影響を与えない同じ厚みをもつ光学的に等方的な光学媒質材料、すなわち等方的な屈折率をもつ標準的な光学媒質材料を複数用いて構成される。位相板10は、表面が幾何学的に平面であり、光学的に十分な平坦度を有する。このような光学媒質材料としては、例えば標準的なガラスであるBK7や石英ガラスが利用可能である。また、TiOをはじめとする光学薄膜材料が利用可能である。
(位相板の第1の構成例)
図2は、位相板10の第1の構成例を概念的に示す斜視図である。図2に示す位相板10は、第1の光学ガラス11−1と第2の光学ガラス11−2とを有する。第1の光学ガラス11−1は、輪帯状に形成されている。第2の光学ガラス11−2は、円柱状に形成されて、第1の光学ガラス11−1の内周面に接合されている。すなわち、位相板10は、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2が輪帯状に張り合わされた2つの分割領域を有する。
第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2は、透過するポンプ光及びイレース光の光軸方向の厚みdが同じで屈折率が異なる。第1の光学ガラス11−1の波長λにおける屈折率をn(λ)とし、第2の光学ガラス11−2の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。また、ポンプ光の波長をλとし、イレース光の波長をλとする。
この場合、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2を透過したときのイレース光の位相差ψは、下式(3)で与えられる。

Figure 0006714689
同様に、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2を透過したときのポンプ光の位相差φは、下式(4)で与えられる。

Figure 0006714689
ここで、位相板10を透過したイレース光が、顕微鏡対物レンズ27により中空ホールのビームスポットとして集光されるためには、外側の第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、内側の第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光との位相が反転しているのが望ましい。この場合、任意の整数をmとして、下式(5)を満たせばよい。

Figure 0006714689
一方、ポンプ光は、通常のガウスビームとして集光させる必要がある。そのためには、ポンプ光のビーム面の位相の乱れが、少なくともπ/4が以下である必要がある。つまり、下式(6)の条件を満たす必要がある。この条件であれば、ポンプ光は波面全てにおいて位相の極性が反転せず、円形に集光することができる。

Figure 0006714689
図2に示した位相板10を作製するにあたっては、具体的には、屈折率が異なる第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2を選定し、与えられたポンプ光及びイレース光の波長おいて、式(5)及び式(6)を満たす条件の厚さdを選べばよい。
以下、図2の位相板10の一設計例について説明する。表1は、本設計例におけるパラメータを示すものである。本設計例では、第1の光学ガラス11−1としてN−B−Bak1(ショット社製)を用い、第2の光学ガラス11−2としてN−F2(ショット社製)を用いた。

Figure 0006714689
表1のパラメータを式(5)及び(6)に代入すると、d=1.0767mmとなる。そのときのイレース光の位相差ψは丁度πとなる。また、ポンプ光の位相差φは、0.03radとなって、式(6)の不等式を満たす。
ポンプ光の位相差φは、ポンプ光の波長に換算するとλ/210となる。この値は、通常の光学研磨ガラス基板の平面精度がλ/10であることから無視できる値である。したがって、この位相板10をポンプ光が透過しても、その波面は全く影響を受けないことになる。
図2に示した位相板10は、極めて標準的な加工技術で作製することができる。例えば、図3に示すように、第1の光学ガラス11−1を構成するN−B−Bak1基板は輪帯状に切削する。また、第2の光学ガラス11−2を構成するN−F2基板は、第1の光学ガラス11−1と同じ厚みで、円柱状に切削する。そして、円柱状の第2の光学ガラス11−2を輪帯状の第1の光学ガラス11−1の内周面に、例えば紫外線硬化性樹脂で接合する。その後、接合された第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2を、光学的な平面度を満足するまで一体に光学研磨する。
なお、上記の設計例では、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2として、市販の光学ガラスを用いた。しかし、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2は、使用するポンプ光及びイレース光のそれぞれの波長に応じた最適な屈折率をもつように、例えば通常の溶融石英ガラスにTiなどの不純物を異なる密度で微少量添加して構成されてもよい。また、位相板10は、表面に反射防止膜をコートして、照明光の散乱光の発生を抑制することも可能である。
上述した作製方法によれば、屈折率が等方的な第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2を用いるので、従来の異方性の屈折率特性を有する光学基板を用いる場合と比較して、光学軸の方向を気にすることなく2枚の光学基板を切削することができる。また、2枚の基板を接合する際も光学軸の方向を気にする必要がないので、作業工程が格段に簡単となる。また、屈折率が等方的な光学ガラスを用いることから、高度な切削加工技術を必要とせず、また高価な水晶基板等を用いる必要がないので、設計の多様性及び柔軟性における利点に留まらず、生産面及びコスト面における利点もある。
なお、上記の設計例では、第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光との位相を反転させた。しかし、両者は完全に反転していなくても、少なくとも外側の第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、内側の第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光との電場の極性が異なっていれば、顕微鏡対物レンズ27の焦点における電場の相殺が可能である。
そのためには、第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光との位相差が、式(6)の条件化で、下式(7)を満たせばよいことになる。

Figure 0006714689
この場合、第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光とが集光点で、その電場を相殺するためには、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2の面積及び透過率が、下式(8)を満たせばよい。

Figure 0006714689
式(8)において、積分領域「in」は内側の第2の光学ガラス11−2の領域を示し、積分領域「out」は外側の第1の光学ガラス11−1の領域を示す。Tinは第2の光学ガラス11−2のイレース光の透過率分布示し、Toutは第1の光学ガラス11−1のイレース光の透過率分布を示す。また、ψinは第2の光学ガラス11−2を通過したイレース光の位相分布を示し、ψoutは第1の光学ガラス11−1のイレース光の位相分布を示す。また、x及びyは、位相板10の面の座標を示す。
式(8)によれば、第1の光学ガラス11−1を透過したイレース光と、第2の光学ガラス11−2を透過したイレース光との位相が完全に反転していなくても、極性が異なっていれば、第1の光学ガラス11−1及び第2の光学ガラス11−2をそれぞれ透過したイレース光の強度と面積とに鑑みて、積分した総和がゼロになれば、3次元的な中空ビームが得られる。
(位相板の第2の構成例)
図4は、位相板10の第2の構成例を概念的に示す斜視図である。図4に示す位相板10は、同心円状に多数接合された同じ厚みの光学ガラス12−1〜12−nを有する多重輪帯構造からなる多数の分割領域を有する。隣接する光学ガラスをそれぞれ透過するイレース光の電場の極性は異なる。多重輪帯構造の各光学ガラスの面積及び透過率は、それぞれ異なってもよい。その場合、式(8)は下式(9)に示すように示される。なお、式(9)において、jはj番目の光学ガラスを示す。

Figure 0006714689
図4の位相板10においても、多重輪帯構造の光学ガラス数(領域数)と、各領域の屈折率・面積・透過率とをパラメータとして最適化することができる。
特に多重輪帯構造を形成する場合は、隣り合う領域を通過したイレース光の位相がお互い反転すれば、電場の相殺が効果的に起こり、焦点近傍で良好な中空構造を持つイレース光が生成される。すなわち、上式(2)において、i=j+1の関係を満たす。なお、2重の輪帯構造の場合は、上式(2)において、i=1となる。
(位相板の第3の構成例)
図5は、位相板10の第3の構成例を概念的に示す平面図である。図5に示す位相板10は、異なる屈折率特性をもつ同じ厚みの4枚の光学ガラス13−1〜13−4がπ/2radずつ円形状に接合された4つの分割領域を有する。4枚の光学ガラス13−1〜13−4は、透過するイレース光の位相をπ/4ずつ段階的に変化させる。
図5に示す位相板10によると、顕微鏡対物レンズ27の焦点面において非常にタイトなイレース光の中空ビームを形成することができる。ただし、4枚の光学ガラス13−1〜13−4を通過するポンプ光のビーム面の位相の乱れは、少なくともπ/4以下とする必要がある。
(位相板の第4の構成例)
上述した位相板の第1〜3の構成例では、異なる等方的な屈折率をもつ複数の光学媒質材料として、同じ厚みの光学ガラスを用いた。本構成例では、同じ厚みの光学媒質材料を用いるという概念のもとに、同じ膜厚で異なる屈折率をもつ複数の光学薄膜を、同一の光学基板上にコートして位相板10を構成する。
この場合は、例えば光学的に等方的で、かつ均一な厚みのガラス基板を用い、その表面を例えば図2、図4又は図5に示されているように、2重輪帯、多重輪帯又は4分割の複数の領域に分割する。そして、第1〜3の構成例でそれぞれ説明した条件を満足する同じ膜厚で異なる屈折率を有する光学薄膜を、それぞれの分割領域にコートする。つまり、第1〜3の構成例のように、異なる等方的な屈折率をもつ同じ厚みの複数の光学ガラスを接合する代わりに、異なる等方的な屈折率をもつ同じ厚みの複数の光学薄膜を、光学的に等方的で均一な厚みを有するガラス基板の表面に成膜して位相板10を構成する。
光学薄膜は、TiOをはじめとする光学薄膜材料が用いて形成可能である。また、光学薄膜は、単層膜であってもよいが、多層膜であってもよい。特に、多層膜とすれば、全体の膜厚を一定にするという条件の元で、層数や光学媒質材料を適宜選定して、ポンプ光及びイレース光に対してより精密な独立の位相制御を行って超解像顕微鏡機能を誘導することが可能となる。
第4の構成例によれば、特に、コートする光学媒質材料が有機材料、例えば紫外線硬化性樹脂などの場合は、無機材料と異なり、蒸着やスパッターといった手法のみならず、スピンコート法や印刷なども利用できる。したがって、位相板10の作製工程が簡単になる利点がある。
図1に示した超解像顕微鏡20によると、位相板10が上述した第1の構成例〜第4の構成例のいずれかからなる。したがって、位相板10が容易に作製できるので、全体として廉価な構成で、高精度の超解像顕微鏡観察が可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形または変更が可能である。例えば、位相板10は、上述した構成例に限らず、異なる屈折率特性をもつ同一厚さの複数の多様な形状の光学基板を接合して構成してもよい。同様に、位相板10は、同一光学基板上に分割された複数の領域に、異なる屈折率特性をもつ同一厚さの複数の多様な形状の光学薄膜をコートして構成してもよい。また、図1に示した超解像顕微鏡20の照明光学系、走査部、検出部等の構成は一例であって、同様の機能を有する適宜の構成に変更可能である。
10 位相板
11−1、11−2、12−1〜12−n、13−1〜13−4 光学ガラス
20 超解像顕微鏡
21 シングルモードファイバ
22 コリメータレンズ
23 アイリス
24 バンドパスフィルタ
25 ガルバノミラー光学系
26 瞳投影レンズ
27 顕微鏡対物レンズ
S 試料
31 ブロックフィルタ
32 集光レンズ
33 ピンホール
34 光検出器

Claims (2)

  1. 少なくとも2以上の励起量子状態をもつ分子を含む試料を観察する超解像顕微鏡であって、
    前記分子を安定状態から第1量子状態に励起するための第1の光と、前記分子を更に他の量子状態に遷移させるための第2の光とを含む複数の波長の照明光を、前記第1の光及び前記第2の光の少なくとも一部を空間的に重ね合わせて前記試料に集光して照射する照明光学系と、
    前記照明光と前記試料とを相対的に変位させて前記試料を走査する走査部と、
    前記照明光の前記試料への照射による該試料からの応答光を検出する検出光学系と、を備え、
    前記照明光学系は、前記第1の光及び前記第2の光を空間変調する位相板を有し、
    前記位相板は、前記照明光が透過する複数の分割領域を有する所定の厚さの平坦な空間形状からなり、
    前記複数の分割領域は、少なくとも2種類以上の空間的に等方的な光学媒質材料からなり、前記第1の光及び前記第2の光に対して独立して位相制御する超解像顕微鏡において、
    前記位相板は、前記複数の分割領域が屈折率の異なる複数の光学基板からなり、
    前記光学基板の各々は、屈折率が空間的に等方的でかつ前記第1の光及び前記第2の光
    に対して異なるものであり、
    前記位相板は、前記光学媒質材料からなる前記分割領域の厚さをd、前記複数の分割領
    域のうちi番目の分割領域の波長λにおける光の屈折率をn (λ)、j番目の分割領域
    の波長λにおける光の屈折率をn (λ)、前記第1の光の波長をλ 、前記第2の光の
    波長をλ 、任意の整数をmとするとき、
    Figure 0006714689
    を満足する超解像顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の超解像顕微鏡において、前記位相板は輪帯型の2領域に分割され、波長λ の照明光が通過する内側の領域の透過率をT in 、波長λ の照明光が通過する外側の領域の透過率をT out とし、内側を通る照明光の位相をφ in 、外側を通る照明光の位相をφ out としたときに、それぞれの領域に関して、
    Figure 0006714689
    を満たすことを特徴とする超解像顕微鏡。
JP2018510015A 2016-04-07 2016-04-07 超解像顕微鏡 Active JP6714689B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2016/001948 WO2017175258A1 (ja) 2016-04-07 2016-04-07 超解像顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017175258A1 JPWO2017175258A1 (ja) 2019-02-14
JP6714689B2 true JP6714689B2 (ja) 2020-06-24

Family

ID=60001045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018510015A Active JP6714689B2 (ja) 2016-04-07 2016-04-07 超解像顕微鏡

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6714689B2 (ja)
WO (1) WO2017175258A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007025688A1 (de) * 2007-06-01 2008-12-11 MAX-PLANCK-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. Wellenlängen- oder polarisationssensitiver optischer Aufbau und dessen Verwendung
JP6234105B2 (ja) * 2013-08-05 2017-11-22 オリンパス株式会社 超解像顕微鏡

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017175258A1 (ja) 2017-10-12
JPWO2017175258A1 (ja) 2019-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6234105B2 (ja) 超解像顕微鏡
JP5484879B2 (ja) 超解像顕微鏡
US20190041621A1 (en) Method and Configuration for the Optical Detection of an Illuminated Specimen
JP5771422B2 (ja) 顕微鏡
Heine et al. Three dimensional live-cell STED microscopy at increased depth using a water immersion objective
US20110300490A1 (en) High-resolution microscopy and photolithography devices using focusing micromirrors
JP2008058003A (ja) 顕微鏡
US20060214106A1 (en) Point scanning laser scanning microscope and methods for adjustment of a microscope
WO2013157606A1 (ja) ビームエクスパンダ
JP6512667B2 (ja) 側方照明顕微鏡システム及び顕微方法
JP2016122218A (ja) 顕微鏡及び刺激装置
CN216622749U (zh) 双功能超透镜及包括其的超分辨成像装置
JP2010015026A (ja) 超解像顕微鏡およびこれに用いる空間変調光学素子
JP2014182239A (ja) 超解像顕微鏡
JP7481351B2 (ja) 波面解析装置、蛍光顕微鏡画像化システムおよび対象を顕微鏡画像化する方法
Tang et al. High‐Refractive‐Index Chip with Periodically Fine‐Tuning Gratings for Tunable Virtual‐Wavevector Spatial Frequency Shift Universal Super‐Resolution Imaging
JP6253830B2 (ja) 超解像顕微鏡
JP6714689B2 (ja) 超解像顕微鏡
CN108593620B (zh) 一种应用于4pi显微架构的多色超分辨成像***
Takiguchi et al. Suppression of backside damage in nanosecond internal-focusing pulse laser dicing with wavefront modulation
JP2015007754A (ja) 構造化照明装置及び構造化照明顕微鏡装置
JPWO2017082357A1 (ja) 超解像顕微鏡
JP5652310B2 (ja) 顕微鏡装置
Le Moal et al. Two-photon fluorescence isotropic-single-objective microscopy
Bessmeltsev et al. Multichannel confocal microscope based on a diffraction focusing multiplier with automatic synchronization of scanning

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180705

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200605

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6714689

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250