JP6713074B1 - 銅合金板材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度を維持しながら、曲げ加工性に優れ、且つ耐応力腐食割れ性および耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材およびその製造方法を提供する。【解決手段】7〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有する銅合金板材を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、銅合金板材およびその製造方法に関し、特に、コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気電子部品に使用するCu−Zn−Sn−Si−P系銅合金板材およびその製造方法に関する。
コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチなどの電気電子部品に使用される材料には、通電によるジュール熱の発生を抑制するために良好な導電性が要求されるとともに、電気電子機器の組立時や作動時に付与される応力に耐えることができる高い強度が要求されている。また、コネクタなどの電気電子部品は、一般に曲げ加工により成形されることから、優れた曲げ加工性も要求されている。さらに、コネクタなどの電気電子部品間の接触信頼性を確保するために、接触圧力が時間とともに低下する現象(応力緩和)に対する耐久性、すなわち、耐応力緩和特性に優れていることも要求されている。
近年、コネクタなどの電気電子部品は、高集積化、小型化および軽量化が進む傾向にあり、それに伴って、素材である銅や銅合金の板材には、薄肉化の要求が高まっている。そのため、素材に要求される強度レベルは一層厳しくなっている。また、コネクタなどの電気電子部品の小型化や形状の複雑化に対応するために、曲げ加工品の形状や寸法精度を向上させることが求められている。また、近年、環境負荷の低減や、省資源・省エネルギー化が進む傾向にあり、それに伴って、素材である銅や銅合金の板材では、原料コストや製造コストの低減や、製品のリサイクル性などの要求がますます高まっている。
しかし、板材の強度と導電性の間、強度と曲げ加工性の間、曲げ加工性と耐応力緩和特性の間には、それぞれトレードオフの関係があるので、従来、このようなコネクタなどの電気電子部品の板材として、用途に応じて、導電性、強度、曲げ加工性または耐応力緩和特性が良好で比較的コストの低い板材が適宜選択されて使用されている。
また、従来、コネクタなどの電気電子部品用の汎用材料として、黄銅やりん青銅などが使用されている。りん青銅は、強度、耐食性、耐応力腐食割れ性および耐応力緩和特性のバランスが比較的に優れているが、例えば、りん青銅2種(C5191)の場合、熱間加工することができず、高価なSnを約6%含有し、コスト的にも不利である。
一方、黄銅(Cu−Zn系銅合金)は、原料および製造コストが低く且つ製品のリサイクル性の優れた材料として、広範囲に使用されている。しかし、黄銅の強度は、りん青銅より低く、強度が最も高い黄銅の質別はEH(H06)であり、例えば、黄銅1種(C2600−SH)の板条製品では、一般に引張強さが550MPa程度であり、この引張強さはりん青銅2種の質別H(H04)の引張強さに相当する。また、黄銅1種(C2600−SH)の板条製品では、耐応力腐食割れ性も劣っている。
また、黄銅の強度を向上させるためには、仕上げ圧延率の増大(質別増大)が必要であり、それに伴って、圧延方向に対して垂直な方向の曲げ加工性(すなわち、曲げ軸が圧延方向に対して平行な方向である曲げ加工性)が著しく悪化してしまう。そのため、強度レベルが高い黄銅でも、コネクタなどの電気電子部品に加工できなくなる場合がある。例えば、黄銅1種の仕上げ圧延率を上げて引張強さを570MPaより高くすると、小型部品にプレス成形することが困難になる。
特に、CuとZnからなる単純な合金系の黄銅では、強度を維持しながら曲げ加工性を向上させることは容易ではない。そのため、黄銅に種々の元素を添加して強度レベルを引き上げる工夫がなされている。例えば、Sn、Si、Niなどの第3元素を添加したCu−Zn系銅合金が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−164328号公報(段落番号0013) 特開2002−88428号公報(段落番号0014) 特開2009−62610号公報(段落番号0019)
しかし、黄銅(Cu−Zn系銅合金)にSn、Si、Niなどを添加しても、曲げ加工性を十分に向上させることができない場合もある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、高強度を維持しながら、曲げ加工性に優れ、且つ耐応力腐食割れ性および耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、7〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有する銅合金板材を製造すれば、高強度を維持しながら、曲げ加工性に優れ、且つ耐応力腐食割れ性および耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銅合金板材は、17〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有することを特徴とする。
この銅合金板材は、1質量%以下のNiをさらに含む組成を有してもよく、Co、Fe、Cr、Mn、Mg、Zr、Ti、Sb、Al、B、Pb、Bi、Cd、Au、Ag、Be、Te、YおよびAsからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計3質量%以下の範囲でさらに含む組成を有してもよい。また、この銅合金板材の平均結晶粒径は3〜20μmであるのが好ましい。
また、この銅合金板材から採取した長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)で幅方向がLD(圧延方向)の引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが650MPa以上であるのが好ましく、この銅合金板材から採取した長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片))についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが550MPa以上であるのが好ましい。この場合、試験片LDの引張強さに対する試験片TDの引張強さの比が1.05以上であるのが好ましい。
また、本発明による銅合金板材の製造方法は、17〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造した後、650℃以下の温度における圧延パスの加工率を10%以上として900℃〜300℃の温度において加工率90%以上の熱間圧延を行い、次いで、加工率50%以上で第1の冷間圧延を行った後に400〜800℃の温度で1時間以上保持する中間焼鈍を行い、次いで、加工率40%以上で第2の冷間圧延を行った後に550〜850℃の温度で60秒間以下の時間保持する最後の中間焼鈍を行い、次いで、加工率30%以下で仕上げ冷間圧延を行った後に500℃以下の温度で保持する低温焼鈍を行うことにより、銅合金板材を製造することを特徴とする。
この銅合金板材の製造方法において、銅合金の原料が、1質量%以下のNiをさらに含む組成を有してもよく、Co、Fe、Cr、Mn、Mg、Zr、Ti、Sb、Al、B、Pb、Bi、Cd、Au、Ag、Be、Te、YおよびAsからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計3質量%以下の範囲でさらに含む組成を有してもよい。また、最後の中間焼鈍により、平均結晶粒径を3〜20μmにするのが好ましい。さらに、仕上げ冷間圧延が、後方張力を1kg/mm以上、前方張力を5kg/mm以上に設定して行われるのが好ましい。
また、本発明によるコネクタ端子は、上記の銅合金板材を材料として用いたことを特徴とする。
本発明によれば、高強度を維持しながら、曲げ加工性に優れ、且つ耐応力腐食割れ性および耐応力緩和特性に優れた安価な銅合金板材を製造することができる。
本発明による銅合金板材の実施の形態は、7〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有する。
本発明による銅合金板材の実施の形態は、CuとZnを含むCu−Zn系合金にSnとSiとPが添加されたCu−Zn−Sn−Si−P合金からなる板材である。
Znは、銅合金板材の強度やばね性を向上させる効果を有する。ZnはCuより安価であるため、Znを多量に添加するのが好ましい。しかし、Zn含有量が32質量%を超えると、β相の生成により、銅合金板材の冷間加工性が著しく低下するとともに、耐応力腐食割れ性も低下し、また、湿気や加熱によるめっき性やはんだ付け性も低下する。一方、Zn含有量が17質量%より少ないと、銅合金板材の0.2%耐力や引張強さなどの強度やばね性が不足し、ヤング率が大きくなり、また、銅合金板材の溶解時の水素ガス吸蔵量が多くなり、インゴットのブローホ−ルが発生し易くなり、さらに、安価なZnの量が少なくて経済的にも不利になる。したがって、Zn含有量は、17〜32質量%であるのが好ましく、17〜27質量%であるのがさらに好ましく、18〜23質量%であるのが最も好ましい。
Snは、銅合金板材の強度、耐応力緩和特性および耐応力腐食割れ特性を向上させる効果を有する。SnめっきなどのSnで表面処理した材料を再利用するためにも、銅合金板材がSnを含有するのが好ましい。しかし、Sn含有量が4.5質量%を超えると、銅合金板材の導電率が急激に低下し、また、Znとの共存下で粒界偏析が激しくなり、熱間加工性が著しく低下する。一方、Sn含有量が0.1質量%より少ないと、銅合金板材の機械的特性を向上させる効果が少なくなり、また、Snめっきなどを施したプレス屑などを原料として利用し難くなる。したがって、Sn含有量は、0.1〜4.5質量%であるのが好ましく、0.3〜2.5質量%であるのがさらに好ましく、0.5〜1.0質量%であるのが最も好ましい。
Siは、少量でも銅合金板材の耐応力腐食割れ性を向上させる効果がある。この効果を十分に得るためには、Si含有量は、0.5質量%以上であるのが好ましい。しかし、Si含有量が2.5質量%を超えると、導電性が低下し易く、また、Siは酸化し易い元素であり、鋳造性を低下させ易いので、Si含有量は多過ぎない方がよい。したがって、Si含有量は、0.5〜2.5質量%であるのが好ましく、0.7〜2.3質量%であるのがさらに好ましく、1〜2質量%であるのが最も好ましい。
Pは、銅合金板材の耐応力腐食割れ性を向上させる効果がある。この効果を十分に得るためには、P含有量は、0.01質量%以上であるのが好ましい。しかし、P含有量が0.3質量%を超えると、銅合金板材の熱間加工性が著しく低下するので、P含有量は多過ぎない方がよい。したがって、P含有量は、0.01〜0.3質量%であるのが好ましく、0.03〜0.25質量%であるのがさらに好ましい。また、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上であるのが好ましい。この和が1質量%より少ないと、銅合金板材の耐応力腐食割れ性が低下する。一方、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が4.5質量%を超えると、銅合金板材の熱間加工性が低下する場合があるので、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和は、4.5質量%以下であるのが好ましく、1〜3質量%であるのがさらに好ましい。
この銅合金板材は、1質量%以下(好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.6質量%以下)のNiをさらに含む組成を有してもよく、Co、Fe、Cr、Mn、Mg、Zr、Ti、Sb、Al、B、Pb、Bi、Cd、Au、Ag、Be、Te、YおよびAsからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計3質量%以下(好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下)の範囲でさらに含む組成を有してもよい。
また、この銅合金板材は、その板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0(好ましくは2.5〜6.0)の範囲内の結晶配向を有する。銅合金板材のI{220}/I{420}が大き過ぎると、銅合金板材の曲げ加工性が悪くなる。一方、銅合金板材のI{220}/I{420}が小さ過ぎると、銅合金板材のTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張強さを高く維持することができない。
銅合金板材の平均結晶粒径は、小さいほど曲げ加工性の向上に有利であるため、20μm以下であるのが好ましく、18μm以下であるのがさらに好ましく、17μm以下であるのがさらに好ましい。また、銅合金板材の平均結晶粒径は、小さ過ぎると耐応力緩和特性が劣化する場合があるため、3μm以上であるのが好ましく、5μm以上であるのがさらに好ましい。
銅合金板材の導電率は、コネクタなどの電気電子部品の高集積化に伴って通電によるジュ−ル熱の発生を抑えるために、8%IACS以上であるのが好ましく、8.5%IACS以上であるのがさらに好ましい。
銅合金板材の0.2%耐力は、銅合金板材をコネクタなどの電気電子部品の材料として使用する場合にその電気電子部品を小型化および薄肉化するために、銅合金板材から採取した長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片))についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの0.2%耐力が好ましくは450MPa以上(さらに好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは530MPa以上、最も好ましくは540MPa以上)、銅合金板材から採取した長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)で幅方向がLD(圧延方向)の引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの0.2%耐力が好ましくは480MPa以上(さらに好ましくは550MPa以上、さらに好ましくは570MPa以上、最も好ましくは580MPa以上)であり、試験片LDの0.2%耐力に対する試験片TDの0.2%耐力の比が好ましくは1.05以上である。
銅合金板材の引張強さは、銅合金板材をコネクタなどの電気電子部品の材料として使用する場合にその電気電子部品を小型化および薄肉化するために、銅合金板材から採取した長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片))についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが好ましくは550MPa以上(さらに好ましくは600MPa以上、最も好ましくは620MPa以上)、銅合金板材から採取した長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)で幅方向がLD(圧延方向)の引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが好ましくは580MPa以上(さらに好ましくは650MPa以上、最も好ましくは670MPa以上)であり、試験片LDの引張強さに対する試験片TDの引張強さの比が好ましくは1.05以上である。
銅合金板材の破断伸びは、銅合金板材から採取した長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片))についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの破断伸びが10%以上であるのが好ましく、銅合金板材から採取した長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)で幅方向がLD(圧延方向)の引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの破断伸びが10%以上であるのが好ましい。
銅合金板材の耐応力緩和特性の評価として、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011に規定された片持ち梁ねじ式の応力緩和試験に準拠して、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の試験片(長さ60mm×幅10mm)を採取し、この試験片の長手方向一端側の部分を固定し、その板厚方向がたわみ変位の方向になるように長手方向他端側の部分(自由端部)に0.2%耐力の80%に相当する負荷応力を加えた状態で固定し、この試験片を150℃で1000時間保持した後のたわみ変位を測定し、その変位の変化率から応力緩和率(%)を算出したときに、応力緩和率が35%以下であるのが好ましく、32%以下であるのがさらに好ましい。
銅合金板材の耐応力腐食割れ性の評価として、銅合金板材から切り出した(幅10mmの)試験片を、その長手方向中央部の表面応力が0.2%耐力の80%の大きさになるようにアーチ状に曲げた状態で、3質量%のアンモニア水を入れたデシケ−タ内に25℃で保持し、1時間毎に取り出した試験片について、光学顕微鏡により100倍の倍率で割れを観察したときに、割れが観察されるまでの時間が、100時間以上であるのが好ましく、110時間以上であるのがさらに好ましい。また、この時間が、市販の黄銅1種(C2600−H)の板材の時間(5時間)と比べて、20倍以上であるのが好ましく、22倍以上であるのがさらに好ましい。
また、銅合金板材の曲げ加工性の評価として、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)になるように(幅20mmの)曲げ加工試験片LDを切り出すとともに、長手方向がTDで幅方向がLDになるように(幅20mmの)試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)を切り出し、曲げ加工試験片LDについてTDを曲げ軸(GoodWay曲げ(G.W.曲げ))にしてJIS H3110に準拠したW曲げ試験を行うとともに、曲げ加工試験片TDについてLDを曲げ軸(BadWay曲げ(B.W.曲げ))にしてJIS H3110に準拠したW曲げ試験を行って、この試験後の試験片について、曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察し、割れが発生しない最小曲げ半径Rを求め、この最小曲げ半径Rを銅合金板材の板厚tで除することによって、それぞれのR/t値を求めたときに、曲げ加工試験片LDのR/t値が0.3以下であるのが好ましく、曲げ加工試験片TDのR/t値が1.7以下であるのが好ましい。
上述したような銅合金板材は、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態によって製造することができる。本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態は、上述した組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造する溶解・鋳造工程と、この溶解・鋳造工程の後に、650℃以下(好ましくは650℃〜300℃)の温度における圧延パスの加工率を10%以上(好ましくは10〜35%)として900℃〜300℃の温度において加工率90%以上の熱間圧延を行う熱間圧延工程と、この熱間圧延工程の後に、加工率50%以上で第1の冷間圧延を行う第1の冷間圧延工程と、この第1の冷間圧延工程の後に、400〜800℃の温度で1時間以上保持する焼鈍を行う中間焼鈍工程と、この中間焼鈍工程の後に、加工率40%以上で第2の冷間圧延を行う第2の冷間圧延工程と、この第2の冷間圧延工程の後に、550〜850℃の温度で60秒間以下の時間保持する焼鈍を行う最後の中間焼鈍工程と、この最後の中間焼鈍工程の後に、加工率30%以下で仕上げ冷間圧延を行う仕上げ冷間圧延工程と、この仕上げ冷間圧延工程の後に、500℃以下の温度で保持する焼鈍を行う低温焼鈍工程とを備えている。以下、これらの工程について詳細に説明する。なお、熱間圧延後には、必要に応じて面削を行い、各熱処理(焼鈍)後には、必要に応じて酸洗、研磨、脱脂を行ってもよい。
(溶解・鋳造工程)
一般的な黄銅の溶製方法と同様の方法により、銅合金の原料を溶解した後、連続鋳造や半連続鋳造などにより鋳片を製造する。なお、原料を溶解する際の雰囲気は、大気雰囲気で十分である。
(熱間圧延工程)
通常、Cu−Zn系銅合金の熱間圧延は、650℃以上または700℃以上の高温域で圧延し、圧延中および圧延パス間の再結晶により、鋳造組織の破壊および材料の軟化のために行われる。しかし、このような一般的な熱間圧延条件では、本発明による銅合金板材の実施の形態のように特異な集合組織を有する銅合金板材を製造することは困難である。すなわち、このような一般的な熱間圧延条件では、後工程の条件を広範囲に変化させても、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有する銅合金板材を製造するのが困難である。そのため、本発明による銅合金板材の製造方法の実施の形態では、熱間圧延工程において、650℃以下(好ましくは650℃〜300℃)の温度における圧延パスの加工率を10%以上(好ましくは10〜35%、さらに好ましくは10〜20%)として、900℃〜300℃において総加工率90%以上の圧延を行う。なお、鋳片を熱間圧延する際に、再結晶が発生し易い650℃より高温域(好ましくは670℃より高温域)で最初の圧延パスを行うことによって、鋳造組織を破壊し、成分と組織の均一化を図ることができる。しかし、900℃を超える高温で圧延を行うと、合金成分の偏析部分など、融点が低下している部分で割れを生じるおそれがあるので好ましくない。
(第1の冷間圧延工程)
この第1の冷間圧延工程では、総加工率を50%以上にするのが好ましく、75%以上にするのがさらに好ましく、85%以上にするのが最も好ましい。
(中間焼鈍工程)
この中間焼鈍工程では、400〜800℃(好ましくは400〜700℃)で焼鈍を行う。また、この中間焼鈍工程では、焼鈍後の平均結晶粒径が20μm以下(好ましくは18μm以下、さらに好ましくは17μm以下)で3μm以上(好ましくは5μm以上)になるように400〜800℃(好ましくは400〜700℃、さらに好ましくは450〜650℃)における保持時間および到達温度を設定して、熱処理を行うのが好ましい。なお、この焼鈍による再結晶粒の粒径は、焼鈍前の冷間圧延の加工率や化学組成によって変動するが、各々の合金について予め実験により焼鈍ヒートパターンと平均結晶粒径との関係を求めておけば、400〜800℃で保持時間および到達温度を設定することができる。具体的には、本発明による銅合金板材の化学組成では、400〜800℃で好ましくは1時間以上(さらに好ましくは1〜10時間)、450〜650℃で好ましくは3時間以上(さらに好ましくは3〜10時間)保持する加熱条件において適正な条件を設定することができる。
なお、第1の冷間圧延工程と中間焼鈍工程は、この順で繰り返し行ってもよい。第1の冷間圧延工程と中間焼鈍工程を繰り返す場合、(第2の冷間圧延工程前に)最後に行われる中間焼鈍(再結晶焼鈍)工程において、他の中間焼鈍温度以上の温度で熱処理を行うのが好ましく、この最後に行われる中間焼鈍後の平均結晶粒径が20μm以下(好ましくは18μm以下、さらに好ましくは17μm以下)で3μm以上(好ましくは5μm以上)になるように400〜800℃(好ましくは400〜700℃、さらに好ましくは450〜650℃)における保持時間および到達温度を設定して、熱処理を行うのが好ましい。
(第2の冷間圧延工程)
この第2の冷間圧延工程では、加工率を40%以上にするのが好ましく、50%以上にするのがさらに好ましい。
(最後の中間焼鈍工程)
この最後の中間焼鈍工程では、550〜850℃(好ましくは600〜750℃)の温度で60秒間以下(好ましくは50秒間以下、さらに好ましくは40秒間以下、最も好ましくは30秒間以下)の時間保持する焼鈍を行う。この最後の中間焼鈍により、平均結晶粒径を3〜20μmに維持したまま、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度を高めて、I{220}/I{420}が2.5〜8.0(好ましくは2.5〜6.0)の範囲内の結晶配向を有する銅合金板材を得ることができる。
(仕上げ冷間圧延工程)
仕上げ冷間圧延は、強度レベルを向上させるために行われる。仕上げ冷間圧延の加工率が低過ぎると強度が低いが、仕上げ冷間圧延の加工率の増大に伴って{220}を主方位成分とする圧延集合組織が発達していく。一方、仕上げ冷間圧延の加工率が高過ぎると、{220}方位の圧延集合組織が相対的に優勢になり過ぎて、強度と曲げ加工性の両方を向上させた結晶配向を実現することができない。そのため、仕上げ冷間圧延は、加工率30%以下で圧延する必要があり、加工率5〜28%で圧延するのがさらに好ましく、加工率10〜26%で圧延するのが最も好ましい。このような仕上げ冷間圧延を行うことによって、I{220}/I{420}が2.5〜8.0である結晶配向を維持することができる。なお、最終的な板厚は、0.02〜1.0mm程度にするのが好ましく、0.05〜0.5mmにするのがさらに好ましく、0.05〜0.4mmにするのが最も好ましい。
なお、この仕上げ冷間圧延では、後方張力(巻き出し機と圧延ロールの間の被圧延材に加える張力)を好ましくは1kg/mm以上、さらに好ましくは3kg/mm以上、最も好ましくは5kg/mm以上に設定し、前方張力(巻き取り機と圧延ロールの間の被圧延材に加える張力)を5kg/mm以上、さらに好ましくは7kg/mm以上、最も好ましくは9kg/mm以上に設定するのが好ましい。このように仕上げ冷間圧延において、被圧延材に張力を付与すれば、加工率を高めることなく、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度を高めることができる。
(低温焼鈍工程)
仕上げ冷間圧延後には、銅合金板材の残留応力の低減による耐応力腐食割れ特性や曲げ加工性を向上させ、空孔やすべり面上の転位の低減による耐応力緩和特性を向上させるために、低温焼鈍を行ってもよい。この場合、特に、Cu−Zn系銅合金では、500℃以下(好ましくは480℃以下)の温度で低温焼鈍を行う必要があり、好ましくは150〜470℃(さらに好ましくは300〜460℃)の加熱温度(好ましくは中間焼鈍工程(および最後の中間焼鈍)における焼鈍温度より低い温度)で低温焼鈍を行う。この低温焼鈍により、強度、耐応力腐食割れ特性、曲げ加工性および耐応力緩和特性を同時に向上させることができ、また、導電率を上昇させることができる。この加熱温度が高過ぎると、短時間で軟化し、バッチ式でも連続式でも特性のバラツキが生じ易くなる。一方、加熱温度が低過ぎると、上記の特性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、この加熱温度における保持時間は、5秒間以上であるのが好ましく、通常1時間以下(好ましくは5分間以下)で良好な結果を得ることができる。
以下、本発明による銅合金板材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1〜24、比較例1〜13]
20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.73質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例1、2、4、21)、20.00質量%のZnと0.78質量%のSnと1.76質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例3)、19.70質量%のZnと0.77質量%のSnと1.82質量%のSiと0.10質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例5)、19.80質量%のZnと0.82質量%のSnと1.53質量%のSiと0.20質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例6)、19.80質量%のZnと0.79質量%のSnと1.05質量%のSiと0.10質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例7)、21.00質量%のZnと0.82質量%のSnと1.02質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例8)、19.70質量%のZnと2.00質量%のSnと1.38質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例9)、30.10質量%のZnと0.76質量%のSnと1.84質量%のSiと0.10質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例10)、19.70質量%のZnと0.82質量%のSnと1.78質量%のSiと0.06質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例11)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.72質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例12)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと2.21質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例13)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと0.49質量%のNiと1.75質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例14)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと0.49質量%のNiと1.78質量%のSiと0.05質量%のPと0.50質量%のCoを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例15)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.74質量%のSiと0.04質量%のPと0.05質量%のFeと0.03質量%のCrと0.08質量%のMnを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例16)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと0.30質量%のNiと1.78質量%のSiと0.06質量%のPと0.06質量%のMgと0.04質量%のZrと0.10質量%のTiと0.02質量%のSbを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例17)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.82質量%のSiと0.05質量%のPと0.08質量%のAlと0.01質量%のBと0.03質量%のPbと0.05質量%のCdを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例18)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.80質量%のSiと0.05質量%のPと0.02質量%のAuと0.06質量%のAgと0.04質量%のBeと0.06質量%のPbを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例19)、20.00質量%のZnと0.30質量%のSnと1.74質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例20)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.80質量%のSiと0.05質量%のPと0.03質量%のTeと0.02質量%のYと0.03質量%のBiと0.06質量%のAsを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例22)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.85質量%のSiと0.08質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例23)、20.00質量%のZnと0.77質量%のSnと1.94質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(実施例24)、19.80質量%のZnと0.80質量%のSnと0.20質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例1)、20.10質量%のZnと0.82質量%のSnを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例2)、20.00質量%のZnと0.79質量%のSnと1.80質量%のSiを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例3)、20.00質量%のZnと0.79質量%のSnと0.53質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例4)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.73質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例5)、19.80質量%のZnと0.78質量%のSnと1.86質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例6、7)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.04質量%のSiと0.02質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例8)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.78質量%のSiと0.04質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例9)、20.00質量%のZnと0.80質量%のSnと1.90質量%のSiと0.10質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例10)、20.00質量%のZnと1.75質量%のSiと0.05質量%のPを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例11)、9.90質量%のZnと0.47質量%のSnと1.77質量%のSiと0.03質量%のPと0.09質量%のCoと0.05質量%のSbを含み、残部がCuからなる銅合金(比較例12、13)をそれぞれ溶解して鋳造することにより得られた鋳塊から、それぞれ300mm×1000mm×200mm(実施例1〜24、比較例1〜5)、300mm×1000mm×100mm(比較例6〜9)、300mm×1000mm×160mm(比較例10〜11)、300mm×1000mm×35mm(比較例12〜13)の鋳片を切り出した。なお、それぞれの銅合金中のP含有量の6倍とSi含有量の和(6P+Si)は、それぞれ2.03質量%(実施例1、2、4、21)、2.00質量%(実施例3)、2.42質量%(実施例5)、2.73質量%(実施例6)、1.65質量%(実施例7)、1.30質量%(実施例8)、1.62質量%(実施例9)、2.44質量%(実施例10)、2.14質量%(実施例11)、2.02質量%(実施例12、比較例9)、2.45質量%(実施例13)、2.05質量%(実施例14)、2.08質量%(実施例15)、1.98質量%(実施例16)、2.14質量%(実施例17)、2.12質量%(実施例18)、2.10質量%(実施例19、22、比較例6、7)、2.04質量%(実施例20)、2.33質量%(実施例23)、2.18質量%(実施例24)、1.20質量%(比較例1)、0質量%(比較例2)、1.80質量%(比較例3)、0.83量%(比較例4)、2.03質量%(比較例5)、1.16質量%(比較例8)、2.50質量%(比較例10)、2.05質量%(比較例11)、1.95質量%(比較例12、13)であった。
それぞれの鋳片を700℃(実施例1〜4、7、8、11〜13、14、16〜24、比較例1、3〜7、9〜11)、675℃(実施例5、9、10、15)、660℃(実施例6)、800℃(比較例2)、750℃(比較例8)、780℃(比較例12、13)で300分間加熱した後、900℃〜300℃の温度域において、それぞれ総加工率92%(実施例1〜10、14、16〜24、比較例1〜5)、総加工率94%(実施例11〜13、15)、総加工率90%(比較例6〜11)で熱間圧延を行った。この熱間圧延において、900℃〜300℃の温度域のうち、650℃〜300℃の温度域では、それぞれ加工率を15%(実施例1〜24、比較例1〜9、11)、5%(比較例10)として、それぞれ厚さ16.00mm(実施例1〜10、14、16、21〜24、比較例1〜5、10、11)、12.00mm(実施例11〜13、15)、17.00mm(実施例17〜20)、10.00mm(比較例6〜9)にした。なお、比較例12と比較例13では、900℃〜300℃の温度域において、板厚35mmから4パスで6mmまで熱間圧延を行った(総加工率83%、650℃〜300℃の温度域では加工率0%)。
次に、それぞれ総加工率94%で厚さ0.90mm(実施例1〜10、14、16、21〜24、比較例1〜5、11)、総加工率95%で厚さ0.90mm(実施例17〜20)、総加工率90%で厚さ1.2mm(実施例11)、総加工率93%で厚さ0.90mm(実施例12、13、15)、総加工率84%で厚さ1.6mm(比較例6〜9)、総加工率90%で厚さ1.6mm(比較例10)、総加工率83%で厚さ1.00mm(比較例12、13)まで第1の冷間圧延を行った。なお、実施例1〜24と比較例1〜11では、この第1の冷間圧延は、3回の冷間圧延によって行い、それぞれの冷間圧延の間に焼鈍(2回の焼鈍)を行った。この冷間圧延間の焼鈍として、それぞれ500℃で5時間保持する焼鈍を2回(実施例1〜3、5、6、8〜14、16、17、20〜24、比較例1、3〜11)、525℃で5時間保持する焼鈍を2回(実施例4、15、18、比較例2)、550℃で5時間保持する焼鈍を2回(実施例7、19)行った。
次に、それぞれ500℃(実施例1〜3、5、6、8〜14、16、17、20〜24、比較例1、3〜11)、525℃(実施例4、15、18、比較例2)、550℃(実施例7、19)で5時間保持する中間焼鈍を行った。なお、比較例12と比較例13では、この中間焼鈍を行わなかった。
次に、それぞれ加工率58%で厚さ0.38mm(実施例1、4、6、12、14、比較例3、4、11)、加工率60%で厚さ0.36mm(実施例2、5、10、13、15、16〜20、22)、加工率57%で厚さ0.39mm(実施例3)、加工率56%で厚さ0.40mm(実施例7、8)、加工率63%で厚さ0.33mm(実施例9、23、24、比較例5)、加工率69%で厚さ0.37mm(実施例11)、加工率62%で厚さ0.34mm(実施例21)、加工率50%で厚さ0.45mm(比較例1、2)、加工率78%で厚さ0.36mm(比較例6)、加工率76%で厚さ0.38mm(比較例7)、加工率74%で厚さ0.41mm(比較例8)、加工率75%で厚さ0.40mm(比較例9)、加工率78%で厚さ0.35mm(比較例10)まで第2の冷間圧延を行った。なお、比較例12と比較例13では、この第2の冷間圧延を行わなかった。
次に、連続焼鈍炉により、それぞれ670℃で21秒間(実施例1、3、5、6、8、11、16、18、20、比較例3)、670℃で18秒間(実施例2)、670℃で19秒間(実施例4)、650℃で32秒間(実施例7、比較例4)、700℃で24秒間(実施例9)、720℃で12秒間(実施例10)、700℃で32秒間(実施例12)、700℃で18秒間(実施例13)、680℃で21秒間(実施例14)、700℃で21秒間(実施例15)、670℃で25秒間(実施例17、比較例1、2)、685℃で21秒間(実施例19)、610℃で21秒間(実施例21)、670℃で30秒間(実施例22)、560℃で25秒間(実施例23)、685℃で25秒間(実施例24)、530℃で21秒間(比較例5)、500℃で10分間(比較例6〜8)、600℃で10分間(比較例9)、350℃で10分間(比較例10)、600℃で21秒間(比較例11)、400℃で60分間(比較例12)、500℃で20秒間(比較例13)保持する(最後の)中間焼鈍を行った。
次に、それぞれ加工率20%(実施例1、4、6、12、14、比較例3、4、6)、加工率16%(実施例2、5、10、13、15〜20、22〜24、比較例7、11)、加工率23%(実施例3)、加工率25%(実施例7、8、比較例9)、加工率10%(実施例9、比較例5)、加工率18%(実施例11)、加工率12%(実施例21)、加工率33%(比較例1、2)、加工率27%(比較例8)、加工率15%(比較例10)で約0.3mm(0.28〜0.32mm)まで仕上げ冷間圧延を行った。この仕上げ冷間圧延では、後方張力と前方張力をそれぞれ6.9kg/mmと15.0kg/mm(実施例1〜3、6、8、13、21、24、比較例3、4)、7.5kg/mmと16.6kg/mm(実施例4、比較例5)、6.2kg/mmと13.6kg/mm(実施例5、16、22)、5.5kg/mmと10.2kg/mm(実施例7、14、20、比較例1、2、11)、1.6kg/mmと5.7kg/mm(実施例9)、3.2kg/mmと8.3kg/mm(実施例10)、2.6kg/mmと7.4kg/mm(実施例11、12)、4.0kg/mmと9.1kg/mm(実施例15、17、18)、6.0kg/mmと13.6kg/mm(実施例19)、1.2kg/mmと5.2kg/mm(実施例23)、0kg/mmと0kg/mm(比較例6〜10)に設定した。なお、比較例12と比較例13では、この仕上げ冷間圧延を行わなかった。
次に、バッチ式焼鈍炉により、それぞれ450℃で23秒間(実施例1〜8、10〜24、比較例1〜4、11)、480℃で23秒間(実施例9)、400℃で23秒間(比較例5)、350℃で30分間(比較例6、7、9)、300℃で30分間(比較例8、10)保持する低温焼鈍を行った。なお、比較例12と比較例13では、この低温焼鈍を行わなかった。
このようにして得られた実施例1〜24および比較例1〜13の銅合金板材から試料を採取し、平均結晶粒径、X線回折強度、導電率、0.2%耐力、引張強さ、延び、耐応力緩和特性、耐応力腐食割れ性、曲げ加工性について以下のように調べた。
結晶粒組織の平均結晶粒径は、銅合金板材の板面(圧延面)を研磨した後にエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察して、JIS H0501の切断法により測定した。その結果、平均結晶粒径は、それぞれ8μm(実施例1〜4、比較例4)、11μm(実施例5、13、19、比較例1)、10μm(実施例6、9〜11、14、17、18、20、比較例2、6、8、11)、12μm(実施例7、22)、9μm(実施例8、15、16、比較例3、7)、16μm(実施例12)、6μm(実施例21)、5μm(実施例23)、14μm(実施例24)、2μm(比較例5、10、13)、15μm(比較例9)、1.3μm(比較例12)であった。
X線回折強度(X線回折積分強度)の測定は、X線回折装置(XRD)(株式会社リガク製のRINT2000)を用いて、Cu管球を用いて、管電圧40kV、管電流20mAの条件で、試料の板面(圧延面)について{220}面の回折ピークの積分強度I{220}と{420}面の回折ピークの積分強度I{420}を測定することによって行った。これらの測定値を用いて、X線回折強度比I{220}/I{420}を求めたところ、それぞれ4.19(実施例1)、4.15(実施例2)、5.13(実施例3)、4.21(実施例4)、4.43(実施例5)、4.22(実施例6)、4.90(実施例7)、4.70(実施例8)、3.65(実施例9)、3.89(実施例10)、3.34(実施例11)、3.66(実施例12)、4.92(実施例13)、4.32(実施例14)、3.98(実施例15、17)、4.28(実施例16)、4.01(実施例18)、4.22(実施例19、22)、3.60(実施例20)、4.72(実施例21)、2.52(実施例23)、2.82(実施例24)、2.60(比較例1)、3.76(比較例2)、3.59(比較例3)、4.30(比較例4)、8.50(比較例5)、1.82(比較例6)、1.78(比較例7)、1.90(比較例8)、1.72(比較例9)、2.40(比較例10)、3.56(比較例11)、2.10(比較例12)、2.40(比較例13)であった。
銅合金板材の導電率は、JIS H0505の導電率測定方法に従って測定した。その結果、導電率は、それぞれ10.3%IACS(実施例1、比較例7)、10.2%IACS(実施例2、12、16)、9.8%IACS(実施例3、17、比較例5、11)、10.0%IACS(実施例4、14)、9.6%IACS(実施例5、18、21、比較例9)、9.7%IACS(実施例6、15、24)、13.0%IACS(実施例7)、13.2%IACS(実施例8)、8.6%IACS(実施例9)、8.7%IACS(実施例10)、9.9%IACS(実施例11、20、23)、9.3%IACS(実施例13)、10.5%IACS(実施例19)、10.1%IACS(実施例22、比較例4、6)、24.1%IACS(比較例1)、9.0%IACS(比較例10)、25.5%IACS(比較例2)、11.0%IACS(比較例3)、14.2%IACS(比較例8)、12.0%IACS(比較例12)、11.5%IACS(比較例13)であった。
銅合金板材の機械的特性として、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片)と長手方向がTDで幅方向がLDの引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)とを採取し、それぞれの試験片についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行って、それぞれの0.2%耐力、引張強さおよび破断伸びを求めるとともに、0.2%耐力の比(TD/LD)と引張強さの比(TD/LD)を求めた。
その結果、銅合金板材の試験片LDおよびTDの0.2%耐力とそのTD/LDは、それぞれ610MPa、664MPa、1.09(実施例1)、557MPa、589MPa、1.06(実施例2)、625MPa、670MPa、1.07(実施例3)、581MPa、615MPa、1.06(実施例4)、588MPa、629MPa、1.07(実施例5)、589MPa、622MPa、1.06(実施例6)、572MPa、611MPa、1.07(実施例7)、569MPa、601MPa、1.06(実施例8)、591MPa、644MPa、1.09(実施例9)、576MPa、609MPa、1.06(実施例10)、572MPa、606MPa、1.06(実施例11)、564MPa、602MPa、1.07(実施例12)、569MPa、630MPa、1.11(実施例13)、546MPa、599MPa、1.10(実施例14)、567MPa、604MPa、1.07(実施例15)、564MPa、600MPa、1.06(実施例16)、569MPa、599MPa、1.05(実施例17)、551MPa、590MPa、1.07(実施例18)、571MPa、604MPa、1.06(実施例19)、565MPa、602MPa、1.07(実施例20)、615MPa、669MPa、1.09(実施例21)、571MPa、605MPa、1.06(実施例22)、558MPa、589MPa、1.06(実施例23)、474MPa、500MPa、1.05(実施例24)、561MPa、595MPa、1.06(比較例1)、562MPa、592MPa、1.05(比較例2)、560MPa、595MPa、1.06(比較例3)、532MPa、578MPa、1.09(比較例4)、650MPa、698MPa、1.07(比較例5)、524MPa、536MPa、1.02(比較例6)、531MPa、542MPa、1.02(比較例7)、576MPa、587MPa、1.02(比較例8)、535MPa、545MPa、1.02(比較例9)、520MPa、533MPa、1.03(比較例10)、487MPa、537MPa、1.10(比較例11)、708MPa、755MPa、1.07(比較例12)、730MPa、775MPa、1.06(比較例13)であった。
また、銅合金板材の試験片LDおよびTDの引張強さとそのTD/LDは、それぞれ678MPa、731MPa、1.08(実施例1)、641MPa、683MPa、1.07(実施例2)、699MPa、741MPa、1.06(実施例3)、660MPa、701MPa、1.06(実施例4)、648MPa、690MPa、1.06(実施例5)、661MPa、707MPa、1.07(実施例6)、645MPa、691MPa、1.07(実施例7)、648MPa、688MPa、1.06(実施例8)、655MPa、700MPa、1.07(実施例9)、642MPa、678MPa、1.06(実施例10)、645MPa、681MPa、1.06(実施例11)、637MPa、679MPa、1.07(実施例12)、648MPa、701MPa、1.08(実施例13)、651MPa、696MPa、1.07(実施例14)、644MPa、686MPa、1.07(実施例15)、647MPa、691MPa、1.07(実施例16)、642MPa、692MPa、1.08(実施例17)、637MPa、688MPa、1.08(実施例18)、648MPa、691MPa、1.07(実施例19)、647MPa、691MPa、1.07(実施例20)、684MPa、732MPa、1.07(実施例21)、644MPa、688MPa、1.07(実施例22)、639MPa、675MPa、1.06(実施例23)、565MPa、595MPa、1.05(実施例24)、639MPa、688MPa、1.08(比較例1)、635MPa、681MPa、1.07(比較例2)、638MPa、683MPa、1.07(比較例3)、626MPa、667MPa、1.07(比較例4)、711MPa、766MPa、1.08(比較例5)、639MPa、655MPa、1.03(比較例6)、640MPa、659MPa、1.03(比較例7)、620MPa、641MPa、1.03(比較例8)、610MPa、631MPa、1.03(比較例9)、639MPa、650MPa、1.02(比較例10)、623MPa、669MPa、1.07(比較例11)、795MPa、848MPa、1.07(比較例12)、815MPa、868MPa、1.07(比較例13)であった。
さらに、銅合金板材の試験片LDとTDの破断伸びは、それぞれ22.2%と12.7%(実施例1)、27.4%と19.5%(実施例2)、18.6%と10.2%(実施例3)、26.9%と17.3%(実施例4)、21.7%と16.2%(実施例5)、21.8%と15.9%(実施例6)、25.4%と17.6%(実施例7)、24.9%と16.5%(実施例8)、23.1%と15.2%(実施例9)、22.4%と13.6%(実施例10)、28.9%と18.7%(実施例11)、25.4%と16.0%(実施例12)、25.8%と15.1%(実施例13)、26.0%と15.3%(実施例14)、26.2%と15.8%(実施例15)、27.2%と18.3%(実施例16)、28.5%と19.4%(実施例17)、30.1%と18.8%(実施例18)、29.0%と17.2%(実施例19)、25.2%と15.3%(実施例20)、19.4%と12.1%(実施例21)、28.1%と16.7%(実施例22)、30.1%と17.4%(実施例23)、34.4%と27.2%(実施例24)、16.4%と7.4%(比較例1)、14.2%と6.8%(比較例2)、29.8%と15.3%(比較例3)、24.3%と13.8%(比較例4)、26.7%と14.1%(比較例5)、33.7%と19.9%(比較例6)、32.6%と17.8%(比較例7)、16.4%と6.8%(比較例8)、17.2%と7.3%(比較例9)、26.2%と18.7%(比較例10)、27.7%と19.4%(比較例11)、10.0%と4.2%(比較例12)、10.3%と4.1%(比較例13)であった。
銅合金板材の耐応力緩和特性は、日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011に規定された片持ち梁ブロック式の応力緩和試験により評価した。具体的には、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の(長さ60mm×幅10mmの)試験片LDを採取し、その試験片の長手方向一端側の部分を片持梁ブロック式のたわみ変位負荷用試験ジグ(の試験片保持ブロック)に固定し、その板厚方向がたわみ変位の方向になるように長手方向他端側の部分(自由端部)に(たわみ変位調整ブロックとくさび形ブロックにより)0.2%耐力の80%に相当する負荷応力を加えた状態で固定し、この試験片を150℃で1000時間保持した後のたわみ変位を測定し、その変位の変化率から応力緩和率(%)を算出することにより評価した。その結果、LDの応力緩和率は、それぞれ28%(実施例1)、20%(実施例2、6、比較例11)、24%(実施例3、10、19、比較例3)、23%(実施例4、11、16)、21%(実施例5、17、20)、27%(実施例7)、26%(実施例8、14、比較例7)、22%(実施例9、18)、31%(実施例12)、25%(実施例13、15、22)、32%(実施例21)、28%(実施例23)、17%(実施例24)、40%(比較例1、10)、41%(比較例2)、29%(比較例4)、45%(比較例5)、33%(比較例6、9)、37%(比較例8)、48%(比較例12)、44%(比較例13)であった。
銅合金板材の耐応力腐食割れ性は、銅合金板材から採取した(幅10mmの)試験片を、その長手方向中央部の表面応力が0.2%耐力の80%の大きさになるようにアーチ状に曲げた状態で、3質量%のアンモニア水を入れたデシケ−タ内に25℃で保持し、1時間毎に取り出した試験片について、光学顕微鏡により100倍の倍率で割れを観察することによって評価した。その結果、それぞれ144時間(実施例1)、170時間(実施例2)、168時間(実施例3)、141時間(実施例4)、201時間(実施例5)、240時間(実施例6)、155時間(実施例7)、125時間(実施例8)、171時間(実施例9)、110時間(実施例10)、149時間(実施例11)、138時間(実施例12)、182時間(実施例13)、122時間(実施例14)、169時間(実施例15)、168時間(実施例16)、186時間(実施例17)、182時間(実施例18)、174時間(実施例19)、112時間(実施例20)、184時間(実施例21)、197時間(実施例22)、194時間(実施例23)、192時間(実施例24)、40時間(比較例1)、8時間(比較例2)、84時間(比較例3)、92時間(比較例4)、171時間(比較例5)、165時間(比較例6)、199時間(比較例7)、135時間(比較例8)、189時間(比較例9)、180時間(比較例10)、75時間(比較例11)、166時間(比較例12)、182時間(比較例13)後に割れが観察され、市販の黄銅1種(C2600−SH)の板材の時間(5時間)と比べて、割れが観察されるまでの時間は、それぞれ29倍(実施例1)、34倍(実施例2)、34倍(実施例3)、28倍(実施例4)、40倍(実施例5)、48倍(実施例6)、31倍(実施例7)、25倍(実施例8)、34倍(実施例9)、22倍(実施例10)、30倍(実施例11)、28倍(実施例12)、36倍(実施例13)、24倍(実施例14)、34倍(実施例15)、34倍(実施例16)、37倍(実施例17)、36倍(実施例18)、35倍(実施例19)、22倍(実施例20)、37倍(実施例21)、39倍(実施例22)、39倍(実施例23)、38倍(実施例24)、8倍(比較例1)、1.6倍(比較例2)、17倍(比較例3)、18倍(比較例4)、34倍(比較例5)、33倍(比較例6)、40倍(比較例7)、27倍(比較例8)、38倍(比較例9)、36倍(比較例10)、15倍(比較例11)、33倍(比較例12)、36倍(比較例13)であった。
銅合金板材の曲げ加工性を評価するために、銅合金板材から長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)になるように(幅10mmの)曲げ加工試験片LDを切り出すとともに、長手方向がTDで幅方向がLDになるように(幅10mmの)試験片TDを切り出し、曲げ加工試験片LDについてTDを曲げ軸(GoodWay曲げ(G.W.曲げ))にしてJIS H3130に準拠したW曲げ試験を行うとともに、曲げ加工試験片TDについてLDを曲げ軸(BadWay曲げ(B.W.曲げ))にしてJIS H3130に準拠したW曲げ試験を行った。この試験後の試験片について、曲げ加工部の表面および断面を光学顕微鏡によって100倍の倍率で観察して、割れが発生しない最小曲げ半径R(mm)を求め、この最小曲げ半径Rを銅合金板材の板厚t(mm)で除することによって、それぞれのR/t値とその比(LD/TD)を求めた。その結果、曲げ加工試験片LDとTDのR/tとそのLD/TDは、は、それぞれ0.3、0.7、0.43(実施例1、21)、0.3、0.3、1.00(実施例2、4、5、8、9、11〜20、22〜24、比較例3、6〜8、11)、0.3、1.7、0.18(実施例3)、0.3、0.6、0.50(実施例6、7、10、比較例4、9、10)、1.2、2.0、0.60(比較例1、12、13)、1.2、2.7、0.44(比較例2)、1.2、1.2、1.00(比較例5)であった。
これらの実施例および比較例の銅合金板材の製造条件および特性を表1〜表12に示す。
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Claims (13)

  1. 17〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金板材において、銅合金板材の板面における{220}結晶面のX線回折強度をI{220}とし、{420}結晶面のX線回折強度をI{420}とすると、I{220}/I{420}が2.5〜8.0の範囲内である結晶配向を有することを特徴とする、銅合金板材。
  2. 前記銅合金板材が、1質量%以下のNiをさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 前記銅合金板材が、Co、Fe、Cr、Mn、Mg、Zr、Ti、Sb、Al、B、Pb、Bi、Cd、Au、Ag、Be、Te、YおよびAsからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計3質量%以下の範囲でさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 前記銅合金板材の平均結晶粒径が3〜20μmであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅合金板材。
  5. 前記銅合金板材から採取した長手方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)で幅方向がLD(圧延方向)の引張試験用の試験片TD(JIS Z2201の5号試験片)についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが650MPa以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銅合金板材。
  6. 前記銅合金板材から採取した長手方向がLD(圧延方向)で幅方向がTD(圧延方向および板厚方向に対して垂直な方向)の引張試験用の試験片LD(JIS Z2201の5号試験片))についてJIS Z2241に準拠した引張試験を行ったときの引張強さが550MPa以上であることを特徴とする、請求項5に記載の銅合金板材。
  7. 前記試験片LDの引張強さに対する前記試験片TDの引張強さの比が1.05以上であることを特徴とする、請求項6に記載の銅合金板材。
  8. 17〜32質量%のZnと0.1〜4.5質量%のSnと0.5〜2.5質量%のSiと0.01〜0.3質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物であり、Pの含有量の6倍とSiの含有量との和が1質量%以上である組成を有する銅合金の原料を溶解して鋳造した後、650℃以下の温度における圧延パスの加工率を10%以上として900℃〜300℃の温度において加工率90%以上の熱間圧延を行い、次いで、加工率50%以上で第1の冷間圧延を行った後に400〜800℃の温度で1時間以上保持する中間焼鈍を行い、次いで、加工率40%以上で第2の冷間圧延を行った後に550〜850℃の温度で60秒間以下の時間保持する最後の中間焼鈍を行い、次いで、加工率30%以下で仕上げ冷間圧延を行った後に500℃以下の温度で保持する低温焼鈍を行うことにより、銅合金板材を製造することを特徴とする、銅合金板材の製造方法。
  9. 前記銅合金の原料が、1質量%以下のNiをさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項8に記載の銅合金板材の製造方法。
  10. 前記銅合金の原料が、Co、Fe、Cr、Mn、Mg、Zr、Ti、Sb、Al、B、Pb、Bi、Cd、Au、Ag、Be、Te、YおよびAsからなる群から選ばれる1種以上の元素を合計3質量%以下の範囲でさらに含む組成を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の銅合金板材の製造方法。
  11. 前記最後の中間焼鈍により、平均結晶粒径を3〜20μmにすることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれかに記載の銅合金板材の製造方法。
  12. 前記仕上げ冷間圧延が、後方張力を1kg/mm以上、前方張力を5kg/mm以上に設定して行われることを特徴とする、請求項8乃至11のいずれかに記載の銅合金板材の製造方法。
  13. 請求項1乃至7のいずれかに記載の銅合金板材を材料として用いたことを特徴とする、コネクタ端子。
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