以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドが搭載可能な液体吐出装置について説明する。図1に、本実施形態の液体吐出ヘッドが搭載可能な液体吐出装置1の斜視図である。本実施形態の液体吐出装置1では、キャリッジ170の内部に液体吐出ヘッドが搭載可能である。
図1には示されていないが、本実施形態の液体吐出装置1は、キャリッジ170とは別の位置にメインタンクが取り付けられる。キャリッジ170に、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドが搭載されると、その液体吐出ヘッドと、メインタンクと、の間が、チューブを介して接続される。本実施形態では、液体吐出ヘッドのサブタンクに対して、チューブを介してメインタンクからインクが供給可能である。
図2は、液体吐出装置のキャリッジに搭載される液体吐出ヘッド1000の分解斜視図である。本実施形態の液体吐出ヘッド1000は、インク供給ユニット1100と、インク供給ユニット1100から記録液(液体)としてのインクの供給を受けてインクを吐出する記録素子ユニット1200と、を備えている。図3は、液体吐出ヘッド1000に接続されて、液体吐出ヘッド1000内に供給されたインクを一時的に保持するインク保持ユニット1300の分解斜視図である。
液体吐出ヘッド1000は、液体吐出装置1のキャリッジ170に対して、不図示の位置決め手段によって位置決めされながら取り付けられる。このとき、液体吐出ヘッド1000とキャリッジ170とが高精度に位置決めされることで、それらの間の電気的接点が確実に接続されて、液体吐出ヘッド1000がキャリッジ170に固定支持される。また、液体吐出ヘッド1000は、キャリッジ170に対して着脱可能に取り付けられる。
インク供給ユニット1100は、インク保持ユニット1300を保持する筺体1102を備えている。インク保持ユニット1300は、プリンタ本体としての液体吐出装置1の本体側から供給されるインクを、一時的に保持するために設けられている。また、インク供給ユニット1100は、サブタンクから記録素子ユニット1200へインクを導くための流路形成部材1101を備えている。記録素子ユニット1200は、3つの記録素子基板1206(1206a、1206b、1206c)を備えている。また、記録素子ユニット1200は、第1の支持部材1201、及び第2の支持部材1202を備えている。
第2の支持部材1202には、3つの記録素子基板1206に対応する3つの貫通口が形成されている。第2の支持部材1202は、第1の支持部材1201に貼り付けられている。記録素子基板1206a、1206b、1206cは、第2の支持部材1202の3つの貫通口の内部に配置された状態で、第1の支持部材1201に接着固定されている。また、第2の支持部材1202に、電気配線テープ1203が貼り付けられている。
記録素子基板1206a、1206b、1206cに形成されたそれぞれの電極が、電気配線テープ1203における対応する接点に接続されるように、電気配線テープ1203が記録素子基板1206a、1206b、1206cに電気的に接続される。つまり、第2の支持部材1202を介して、電気配線テープ1203と記録素子基板1206との間が電気的に接続されるように、記録素子基板1206が第1の支持部材1201及び第2の支持部材1202によって保持されている。
電気配線テープ1203に電気コンタクト基板1204が電気的に接続された状態で、電気コンタクト基板1204が流路形成部材1101に取り付けられている。本実施形態では、電気配線テープ1203の端部と、液体吐出装置1の本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子を有する電気コンタクト基板1204と、が異方性導電フィルム等を用いて熱圧着されることにより、それらが電気的に接続されている。
電気配線テープ1203は、画像情報に応じて所定のヒータを駆動させて所定の吐出口から液滴を吐出させるために、記録素子基板1206に対して、インクを吐出させるための電気信号を印加する。電気配線テープ1203は、記録素子基板1206に対応する電気配線と、電気配線部に位置しプリンタ本体からの電気信号を受けとる外部信号入力端子と、を有している。電気配線テープ1203における外部信号入力端子は、流路形成部材1101の筺体の背面に位置決め固定されている。
記録素子ユニット1200の記録素子基板1206(1206a〜1206c)において、記録媒体に対向する厚さ0.5〜1mmのSi基板の一方の面には、液体のインクを吐出するために吐出エネルギーを発生させるエネルギー発生素子が設けられている。本実施形態においては、エネルギー発生素子として、複数の電気熱変換体としてのヒータ(発熱抵抗素子)を用いることにより、記録素子基板1206に形成された吐出口から液滴を吐出する。また、記録素子基板1206には、複数のヒータ及び各ヒータに電力を供給する電気配線が、成膜技術により形成されている。そして、このヒータに対応する複数のインク流路および複数の吐出口が、フォトリソグラフィ技術によって記録素子基板1206に形成されている。また、それぞれの記録素子基板1206における裏面には、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が開口されている。記録素子基板1206と電気配線テープ1203との間の電気的な接続部分には、封止材が塗布される。電気的な接続部分が封止剤によって封止されることにより、電気的な接続部分は、インクによる腐食や外的衝撃から保護される。
インク保持ユニット1300は、本体側から供給されたインクを一旦貯留して、その貯留したインクをインク供給ユニット1100に供給するためのサブタンク1301(受入部材)を備えている。また、インク保持ユニット1300は、インク供給路内の圧力変動を緩和する圧力緩衝部材1302と、それぞれの圧力緩衝部材1302とサブタンク1301との間を締結固定するためのカバー部材1303及びネジ1304と、を備えている。また、インク保持ユニット1300は、インク供給ジョイントを構成する軟質部材(保持部材)1305と、軟質部材1305を覆うカバー部材1306と、を備えている。
インク供給ユニット1100とインク保持ユニット1300は、弾性部材1307を介してネジ(不図示)により締結されて互いに固定される。サブタンク1301には、互いに分離された液室が6箇所形成されており、圧力緩衝部材1302は、サブタンク1301の各液室に対して連通するようにそれぞれ配置されている。したがって、6つの液室に対応するように、6つの圧力緩衝部材1302がサブタンク1301に取り付けられている。それぞれの圧力緩衝部材1302の内部は、サブタンク1301の各液室に連通し、圧力緩衝部材1302と液室との間に圧力緩衝室が形成されている。また、圧力緩衝部材1302は、隣接する3箇所の圧力緩衝室が接続されるような一体部材となっている。圧力緩衝部材1302を、サブタンク1301とカバー部材1303とにより挟み込み、それぞれのカバー部材1303毎に3本ずつ備わるネジ1304によって締結固定することで、圧力緩衝部材1302がサブタンク1301に取り付けられる。このようにインク保持ユニット1300が構成されて、サブタンク1301の各液室と、圧力緩衝部材1302内部の各圧力緩衝室と、が接続される。
キャリッジ170は、ガイドシャフト206に沿って矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。ガイドシャフト206は、記録媒体の幅方向に沿って延びるように配置されている。キャリッジ170に搭載された液体吐出ヘッド1000は、記録媒体が搬送される搬送方向と交差する方向に走査されながら記録を行う。このように、液体吐出装置1は、液体吐出ヘッド1000の主走査方向の移動と、記録媒体の副走査方向の搬送と、を伴って画像を記録するいわゆるシリアルスキャンタイプの記録装置である。記録媒体は、給紙部215に積載された後、搬送ローラによって矢印Bの副走査方向に搬送される。液体吐出装置1は、液体吐出ヘッド1000を主走査方向に移動させつつ、液体を吐出させる記録動作と、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、記録媒体上に順次画像を記録する。
液体を吐出する際には、液体吐出ヘッド1000の記録素子基板1206に形成された液室に液体が貯留された状態で、発熱抵抗素子が駆動される。記録データに応じて、所定のタイミングで配線を通して記録素子基板1206の発熱抵抗素子に電流が供給される。発熱抵抗素子に電流が供給されることによって、その発熱抵抗素子が駆動される。発熱抵抗素子の駆動によって熱エネルギーが与えられた液体は、液室の内部で膜沸騰する。これによって、吐出口から記録媒体に向かって液体が吐出され、記録媒体に記録が行われる。
なお、上述した液体吐出装置1は、液体吐出ヘッド1000の主走査方向の移動と、記録媒体の副走査方向の搬送と、を伴って画像を記録するいわゆるシリアルスキャンタイプの液体吐出装置である。しかしながら、本発明は、記録媒体の幅方向の全域に亘って延在する液体吐出ヘッドを用いる、フルラインタイプの液体吐出装置にも適用可能である。
また、本実施形態の液体吐出ヘッド1000は、発熱抵抗素子により液体を発泡させてインク滴を吐出する方式としたが、本発明はこれに限定されない。圧電素子を用いて、液体吐出ヘッド内部の液体を吐出する形式の液体吐出ヘッドであってもよく、また、他の形式の液体吐出ヘッドであってもよい。
次に、本実施形態の、サブタンク1301の受入部材1301aと軟質部材1305との間の接続部、及び軟質部材1305とインク供給チューブ先端のインク供給ニードル1401との間の接続部について説明する。
図4は、インク供給ニードル1401とサブタンク1301との間の接続に用いる軟質部材1305を、インクの供給される方から見た正面図である。図4に示されるように、軟質部材1305は、円筒状に形成され、インク供給ニードル1401に対向する面の、インク供給ニードル1401を挿入する部位に、供給部材用の挿入口(第1挿入口)1305aが形成されている。
また、軟質部材1305には、インク供給ニードル1401に対向する面に、閉鎖薄膜(膜部材)1305b及びスリット1305cが形成されている。本実施形態の閉鎖薄膜1305bは、弾性を有するように形成されている。本実施形態の閉鎖薄膜1305bは2つ形成され、それぞれの閉鎖薄膜1305bは、供給部材用の挿入口1305aの中心を挟んで対向する位置に形成されている。軟質部材1305には、挿入口1305aおよび閉鎖薄膜1305bが形成され、後述するように、インク供給ニードル1401を捕捉することが可能な捕捉部1305iを備えている。
図5(a)は、メインタンクからのインクを液体吐出ヘッド1000へ供給するためのインク供給チューブにおけるインク供給ニードル1401と、サブタンク1301と、の間の接続部の断面図である。サブタンク1301からインク供給ニードル1401側に延びた受入部材1301aは、円筒状に形成されている。サブタンク1301の受入部材1301aは、その記録ヘッド側(一端側)の端部における内側に、インク供給ニードル1401を保持可能に受け入れるように、構成されている。
インク供給ニードル(供給部材)1401は、メインタンクから送られた液体をサブタンク側に供給する。インク供給ニードル1401には、サブタンク1301側にインクを供給する供給口1401aが形成されている。本実施形態では、インク供給ニードル1401は針状に形成されており、そのインク供給ニードル1401の先端部に供給口1401aが形成されている。
また、受入部材1301aにおけるインク供給ニードル1401側の端部には、軟質部材1305が取り付けられる。軟質部材1305におけるサブタンク1301側の端部には、サブタンク1301における受入部材1301aが挿入可能となるように、受入部材用の挿入口(第2挿入口)1305hが開口されている。このように、軟質部材1305は、受入部材1301aの端部、つまり液体吐出ヘッド1000に接続された側とは逆側の端部が挿入される挿入口1305hを備えている。挿入口1305hにサブタンク1301の受入部材1301aが挿入されることで、サブタンク1301に軟質部材1305が取り付けられる。本実施形態では、サブタンク1301とインク供給ニードル1401とがモールド部品として形成され、軟質部材1305はゴム部品として形成されている。
図5(b)は、サブタンク1301に軟質部材1305が取り付けられる前の状態の、サブタンク1301の受入部材1301a及び軟質部材1305の断面図である。図5(b)に示されるように、受入部材1301aにおける記録ヘッド側の端部の外径は、軟質部材1305における挿入口1305hの内径よりも大きく形成されている。また、サブタンク1301に軟質部材1305が取り付けられる前の状態では、挿入口1305hの内径は、サブタンク1301側に向かうにつれて小さくなっている。受入部材1301aの外形は、一定に形成されている。これにより、サブタンク1301に軟質部材1305が取り付けられる前の状態において、受入部材1301aの外形と、挿入口1305hの内径と、の差は、液体吐出ヘッド1000側の位置に向かうにつれて大きくなっている。この構成により、受入部材1301aが挿入口1305hに嵌合されて、受入部材1301aに軟質部材1305が取り付けられる。
本実施形態では、受入部材1301aの外形は一定であり、軟質部材1305における挿入口1305hの内径は、サブタンク1301側に向かうにつれて小さくなっている。挿入口1305hの内径について、最もサブタンク1301に近接した側の位置での内径をD1とし、最もインク供給ニードル1401に近接した側の位置での内径をD2とする。このとき、図5(b)に示されるように、D1≦D2の関係が成り立つ。
なお、本発明はこれに限定されず、図5(c)に示されるように、挿入口1305hの内径が一定で、受入部材1301aの外径が、サブタンク1301側に向かうにつれて大きくなる構成であってもよい。サブタンク1301における受入部材1301aの外径について、最もインク供給ニードル1401に近接した側の位置での外径をD3とする。また、受入部材1301aの外径について、挿入口1305hの内壁と当接する部分において、最もサブタンク1301に近接した側の位置での外径をD4とする。このとき、図5(c)に示されるように、D4≦D3の関係が成り立つ。
また、本実施形態では、受入部材1301aの外径、あるいは挿入口1305hの内径のいずれか一方が、一定である場合について示している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、受入部材1301aの外径、および挿入口1305hの内径のいずれも変化するような形態であってもよい。その場合、D1≦D2及びD3≦D4の関係が成り立つことから、(D4−D2)≦(D3−D1)の関係が成り立つことが望ましい。これにより、サブタンク1301と軟質部材1305との密閉接続部の締め付け力は、インク供給ニードル1401を挿入する方向に向かうに従って大きくなる。
供給部材用の挿入口1305aの直径dは、インク供給ニードル1401の直径Dより小さい。また、スリット1305cは、その幅Wが挿入口1305aの直径dより小さくて、挿入口1305a内に収まるようになっている。
図6(a)は、受入部材1301aに軟質部材1305が取り付けられた状態における、受入部材1301a及び軟質部材1305の断面図である。受入部材1301aが挿入口1305hに受け入れられる前の状態では、挿入口1305hにおけるサブタンク1301側の端部の位置において、挿入口1305hの内径よりも受入部材1301aの外径の方が大きい。従って、受入部材1301aが挿入口1305hに挿入されると、軟質部材1305が弾性変形しながら、受入部材1301aが挿入口1305hの内部に圧入されて、受入部材1301aが軟質部材1305に取り付けられる。受入部材1301aが挿入口1305hに挿入されると、挿入口1305hは外側に押し広げられる。従って、軟質部材1305は、弾性力によって受入部材1301aを内側に締め付け、受入部材1301aと挿入口1305hとの間が密閉されて接続される。また、上述したように、サブタンク1301と軟質部材1305との間の接続部では、(D4−D2)≦(D3−D1)の関係が成り立っている。そのため、軟質部材1305によるサブタンク1301の受入部材1301aに対する締め付け力は、インク供給ニードル1401を挿入する方向に向かうに従って大きくなる。
軟質部材1305の変形量は、インク供給ニードル1401の挿入方向に向かうに従い大きくなる。このとき、挿入口1305hが外側に押し広げられることによって、図6(a)に示されるように、軟質部材1305のインク供給ニードル1401に近接する位置の部位が、内側に向かって圧縮される。これにより、供給部材用の挿入口1305aに向けて、軟質部材1305のインク供給ニードル1401を受け入れる部分が付勢される。また、これに伴い、挿入口1305aに形成された閉鎖薄膜1305bが内方に付勢される。
図6(b)は、受入部材1301aに軟質部材1305が取り付けられ、かつ軟質部材1305の挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入された状態における、接続部の断面図である。挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入されていない状態では、挿入口1305aの内径は、インク供給ニードル1401の外形よりも小さい。また、軟質部材1305が受入部材1301aに取り付けられると、挿入口1305aによってインク供給ニードル1401を受け入れる軟質部材1305の部分は、内方に向かって付勢される。そのため、挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入されると、軟質部材1305がインク供給ニードル1401を、インク供給ニードル1401の周方向の全域に亘って内側に向かう方向に押え付ける。
インク供給ニードル1401が、軟質部材1305の挿入口1305aに挿入される際には、挿入口1305aを拡げながら通過する。さらに、インク供給ニードル1401は、閉鎖薄膜1305b同士の間に形成されたスリット1305cを押し広げて、挿入口1305aに挿入される。これにより、インク供給ニードル1401の外側面と、挿入口1305aの内側面と、の間の面接触が維持されて、それらの間の密閉状態が確保される。
図6(c)は、挿入口1305aの中心に対してインク供給ニードル1401の中心位置がずれた状態で、インク供給ニードル1401が挿入口1305aに挿入されたときの、接続部の断面図である。インク供給ニードル1401の中心位置が、挿入口1305aの中心位置からずれて、インク供給ニードル1401が挿入口1305aに挿入されようとした場合には、軟質部材1305が弾性を有しているので、挿入口1305aの位置を変位させることができる。
インク供給ニードル1401のずれに対応して、挿入口1305aの位置が変位可能であるため、インク供給ニードル1401による挿入口1305aへの挿入の際に、インク供給ニードル1401による高い位置精度は要求されない。そのため、インク供給ニードル1401の挿入口1305aへの挿入のために、特別な位置決めのための機構を設ける必要がない。そのため、液体吐出装置の構成を簡易にすることができる。
また、軟質部材1305における挿入口1305aの周囲の部分は、挿入口1305aの中心に向かって付勢されている。従って、インク供給ニードル1401が挿入口1305aの中心位置からずれて挿入されようとしても、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間に隙間が生じ難い。
また、本実施形態では、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間が密着した状態で、インク供給ニードル1401が挿入口1305aに挿入される。従って、インク供給ニードル1401を介してインクが液体吐出ヘッド1000に供給される際に、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間からのインクの流出、および外部から軟質部材1305の内部への塵埃等の侵入を抑制することができる。
上記構成によれば、インク供給ジョイント部の接続部を高精度に位置決めせずに挿入しても、接続部の高い密閉性を確保することが可能となる。また、閉鎖薄膜1305bは、軟質部材1305に対して、挿入口1305aを塞ぐように付勢されて取り付けられている。従って、挿入口1305aからインク供給ニードル1401が抜去された後に、閉鎖薄膜1305bに対しては、閉じる方向の力が作用する。従って、挿入口1305aからインク供給ニードル1401が抜去されると、閉鎖薄膜1305bが即座に挿入口1305aを塞ぎ、挿入口1305aからのインクの漏出を抑えることができる。また、インク供給ニードル1401を挿入口1305aから抜去する際に、軟質部材1305の内部への塵埃等の入り込みを抑えることができる。このように、軟質部材1305における密閉性を確保することができる。
また、液体吐出ヘッド1000側に液体を供給する際に、塵埃等が液体内に混入することを抑えることができる。従って、液体吐出ヘッド1000側に供給するインクを清浄に保つことができる。これにより、サブタンク1301に貯留される液体が清浄に保たれて、液体吐出ヘッド1000から吐出される液体の品質を高く維持することができる。
また、軟質部材1305は弾性を有している。従って、インク供給ニードル1401の中心位置が挿入口1305aの中心位置からずれて、挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入されたとしても、インク供給ニードル1401に対して軟質部材1305による弾性力が作用する。インク供給ニードル1401に対しては、それを挿入口1305aの中心に向けて戻す方向への力が作用する。従って、インク供給ニードル1401の中心位置が挿入口1305aの中心位置からずれて、挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入されたとしても、インク供給ニードル1401の位置を中心に戻すことができる。従って、インク供給ニードル1401を軟質部材1305内部の適切な位置に配置することができる。
なお、インク供給方式は、加圧供給、負圧供給のいずれの場合も適用可能であるが、より好適には負圧供給方式を採用することが望ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出装置について説明する。上記第1実施形態と同様の構成について説明を省略し、第1実施形態と異なる構成のみについて説明する。
第1実施形態では、受入部材用の挿入口1305hの内壁面が傾斜することで、軟質部材1305における挿入口1305hの内径がサブタンク1301側に向かうにつれて小さくなる形態について説明した。さらに、受入部材1301aの外壁面が傾斜することで、受入部材1301aの外径が、インク供給ニードル1401側に向かうにつれて小さくなる形態について説明した。
第2実施形態では、軟質部材1305における受入部材用の挿入口1305hの内壁に、内側に突出した突起部が形成されている。図7(a),(b)は、第2実施形態におけるサブタンク1301の受入部材1301aと、軟質部材1305の挿入口1305hと、の間の接続部の断面図である。このように、受入部材1301aと挿入口1305hとの間の接続部が構成されているので、受入部材1301aが挿入口1305hに挿入されると、軟質部材1305が弾性変形しながら、受入部材1301aが挿入口1305hの内部に圧入される。突起部は、サブタンク1301側に向かうにつれて、内径が小さくなるように形成されている。つまり、軟質部材1305の突起部において、挿入口1305hの内壁面から突出した長さは、インク供給ニードル1401の挿入方向に向かうに従って大きくなる。これにより、挿入口1305hに受入部材1301aが挿入された際に、サブタンク1301側に向かうにつれて、挿入口1305hが受入部材1301aを締め付ける力は大きくなる。
本実施形態では、内径方向に凸となるように形成された突起部が、挿入口1305hの内側に2つ形成されている。サブタンク1301に近接した側の突起部を突起部1305eとし、インク供給ニードル1401に近接した側の突起部を突起部1305fとする。これらの突起部1305e、1305fは、挿入口1305hにおける内側面の全周に亘って設けられている。
本実施形態において、挿入口1305hの内部における突起部1305e,1305fの内径については、サブタンク1301に近接した側の突起部1305eの内径をD5とし、最もインク供給ニードル1401に近接した側の位置での内径をD6とする。このとき、図7(b)に示されるように、D5≦D6の関係が成り立つ。これにより、サブタンク1301における受入部材1301aと、軟質部材1305における挿入口1305hと、の接続部における締め付け力が、サブタンク1301に向かうにつれて大きくなる。
なお、本発明はこれに限定されず、図8(a),(b)に示されるように、挿入口1305h内の突起の内径が一定であり、かつ受入部材1301aの外径が、サブタンク1301側に向かうにつれて大きくなる構成であってもよい。受入部材1301aの外径について、最もインク供給ニードル1401に近接した側の位置での外形をD8とする。また、受入部材1301aの外径について、挿入口1305hの内壁と当接する部分において、最もサブタンク1301に近接した側の位置での外形をD7とする。このとき、図8(b)に示されるように、D8≦D7の関係が成り立つ。
第2実施形態において、受入部材1301aの外径、あるいは挿入口1305hの内径のいずれか一方が、一定である場合について示している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、受入部材1301aの外径、および挿入口1305hの内径がいずれも変化するような形態であってもよい。その場合、D5≦D6及びD7≦D8の関係が成り立つことから、(D8−D6)≦(D7−D5)の関係が成り立つことが望ましい。
次に、第2実施形態についてのさらなる変形例について示す。図9は、第2実施形態の変形例における、サブタンク1301の受入部材1301aと、軟質部材1305の挿入口1305hと、の間の接続部の断面図である。
この変形例は、受入部材1301aが、階段状に外径を変化させている点において構成が異なる。挿入口1305hの内部における突起部1305e,1305fの内径は、一定である。受入部材1301aの外径について、インク供給ニードル1401に近接した側の位置での外形をD9とし、挿入口1305hの内壁と当接する部分において、サブタンク1301に近接した側の位置での外形をD10とする。このとき、図9に示されるように、D9≦D10の関係が成り立つ。このような構成により、受入部材1301aと挿入口1305hとの接続部における締め付け力が、サブタンク1301に向かうにつれて大きくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出装置について説明する。上記の第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1実施形態と異なる構成のみについて説明する。
第3実施形態では、軟質部材1305がインク供給ニードル1401を保持する際にインク供給ニードル1401に当接する軟質部材1305の領域に、潤滑剤が塗布されており、この点において、上記の第1実施形態及び第2実施形態と構成が異なる。
図10は、第3実施形態における軟質部材1305の正面図である。第3実施形態では、インク供給ニードル1401が挿入される軟質部材1305の挿入口1305aの周囲に、軟質部材1305とインク供給ニードル1401との間の摩擦力を低減させるための摩擦低減手段としての、潤滑剤1308が塗布されている。
図11(a)は、第3実施形態におけるサブタンク1301の受入部材1301aと、軟質部材1305の挿入口1305hと、の間の接続部の断面図である。図11(a)は、インク供給ニードル1401がまだ挿入口1305aに挿入されていない状態における接続部の断面図である。インク供給ニードル1401を挿入する際にそれと当接する軟質部材1305の挿入口1305aの部分に、潤滑剤1308が塗布されているので、軟質部材1305とインク供給ニードル1401との間の摩擦が低減できる。
図11(b)は、インク供給ニードル1401が挿入口1305aの周囲の部分に当接した状態における、受入部材1301aと挿入口1305hとの間の接続部の断面図である。軟質部材1305に潤滑剤1308が塗布されているので、軟質部材1305とインク供給ニードル1401との間の摩擦が低減されている。このときの軟質部材1305とインク供給ニードル1401との間で作用する摩擦力を、F2として図11(b)に示す。また、挿入口1305aの周囲の領域がインク供給ニードル1401に押されることによって、軟質部材1305が変形した際に生じる反発力を、F1として図11(b)に示す。
本実施形態では、摩擦力F2が潤滑剤によって低減されることにより、インク供給ニードル1401に押されたことで生じる軟質部材1305による反発力F1は、軟質部材1305とインク供給ニードル1401との摩擦力F2に打ち勝つ(F2<F1)。インク供給ニードル1401が挿入口1305aの内部に挿入される際に、インク供給ニードル1401が軟質部材1305に引っ掛からずに、インク供給ニードル1401が軟質部材1305内にスムーズに押し進められる。このため、インク供給ニードル1401を軟質部材1305の挿入口1305aに挿入する際に、軟質部材1305の変形量が小さく抑えられる。
インク供給ニードル1401が挿入される際に、それが軟質部材1305に引っ掛からずに押し進められるので、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間に空気が混入することが抑えられる。従って、インク供給ニードル1401を介してサブタンク1301側にインクを供給する際に、インク内に空気が混入することを抑えることができる。これにより、サブタンク1301へのインクの供給を効率的に行うことができる。
図11(c)は、潤滑剤1308が塗布された軟質部材1305の挿入口1305aにインク供給ニードル1401が挿入された状態の、サブタンク1301、軟質部材1305、及びインク供給ニードル1401の断面図である。インク供給ニードル1401が軟質部材1305の内部に挿入される際に、挿入口1305aの周辺の部分が変形することが抑えられる。従って、インク供給ニードル1401が挿入口1305aに挿入される際に、スリット1305c及び閉鎖薄膜1305bの形状は、インク供給ニードル1401の外周の形状に追従する。これにより、インク供給ニードル1401の外側面と挿入口1305aの内側面との間の面接触が保たれ、軟質部材1305内部の領域における高い密閉性が確保される。これにより、インク供給ニードルを介したサブタンク1301側へのインクの供給を効率的に行うことができる。
本実施形態では、潤滑剤1308として、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレノールE100)が用いられている。第1実施形態及び第2実施形態のように、軟質部材1305に潤滑剤1308の塗布されていない場合には、軟質部材1305の静止摩擦係数は0.5以上である。これに対し、本実施形態のように、軟質部材1305に潤滑剤1308が塗布された際には、静止摩擦係数は0.02程度まで低減される。これにより、インク供給ニードル1401が軟質部材1305に挿入された際の軟質部材1305の変形を十分に抑制することができる。なお、使用される潤滑剤は、これに限定されるものではなく、軟質部材1305における摩擦力が低減されるものであれば、他の種類の潤滑剤を採用してもよい。
また、摩擦力を低減する手法として、潤滑剤を塗布する手法について示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フッ素樹脂等のコーティング、表面改質、およびゴム配合など、摩擦力低減効果を得られる手法であれば、他の手法を用いても良い。ただし、本体側に搭載されたメインタンクから記録ヘッドへインクを供給する供給路内において、インクと接触する部位に対して上記の処理を施す場合には、耐インク性や画像影響の観点から、インク中に含まれる成分を用いることが望ましい。
また、本実施形態では、挿入口1305hに突起1305e、1305fが形成された第2実施形態の軟質部材に対して、潤滑剤を塗布した形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。挿入口1305hの内壁が傾斜した第1実施形態の軟質部材に、潤滑剤を塗布した構成を採用してもよい。また、その他の軟質部材に潤滑剤を塗布した構成を採用してもよい。
次に、第3実施形態の比較例について説明する。図12(a)は、比較例において、インク供給ニードル1401が軟質部材1305の挿入口1305aの周囲の部分に当接した状態の、サブタンク1301、軟質部材1305、及びインク供給ニードル1401の断面図である。
図12(a)において、インク供給ニードル1401を軟質部材1305に挿入する際の、軟質部材1305とインク供給ニードル1401との間で作用する摩擦力をF2として示す。また、挿入口1305aの周囲の領域がインク供給ニードル1401に押されることによって、軟質部材1305が変形した際に生じる反発力をF1として示す。
この比較例では、軟質部材1305に潤滑剤は塗布されていないので、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間の摩擦力は低減されない。従って、この比較例において、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間の摩擦力F2は、軟質部材1305が元の形状に戻ろうと反発する反発力F1よりも大きい(F1<F2)。そのため、インク供給ニードル1401を軟質部材1305に挿入する際に、軟質部材1305が内側に比較的大きく変形し、インク供給ニードル1401の周囲に空気を巻き込みながら、インク供給ニードル1401が挿入されるおそれがある。
図12(b)は、比較例において、インク供給ニードル1401が挿入された際の、サブタンク1301、軟質部材1305、及びインク供給ニードル1401の断面図である。図12(b)に示されるように、軟質部材1305は、インク供給ニードル1401が挿入口1305aに挿入される際に、インク供給ニードル1401との間の摩擦によって比較的大きく変形する。
この比較例では、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間の摩擦が比較的大きいので、インク供給ニードル1401を挿入口1305aに挿入する際に、インク供給ニードル1401の外側壁が軟質部材1305の内壁に引っ掛かってしまう。従って、図12(b)に示されるように、インク供給ニードル1401が周囲の空気を巻き込んで挿入口1305aの内部に挿入されるおそれがある。この比較例において、シール面(挿入口1305aの内側面)が十分にインク供給ニードル1401の外周に接触しない状態で、インク供給ニードル1401が軟質部材1305に挿入されている。
このような場合には、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間の面接触が不十分となり、軟質部材1305内部の密閉状態が維持されない。従って、インク供給ニードル1401からサブタンク1301側にインクが供給される際に、外気との間でエアパスが生じ、インク供給性が低下する可能性がある。これにより、インク供給の効率性が低下する可能性がある。
これに対して、本発明の第3実施形態では、軟質部材1305に潤滑剤1308が塗布されている。従って、インク供給ニードル1401が挿入される際に、それが軟質部材1305に引っ掛からずに押し進められるので、インク供給ニードル1401と軟質部材1305との間に空気が混入することが抑えられる。従って、インク供給ニードル1401を介してサブタンク1301側にインクを供給する際に、インク内に空気が混入することを抑えることができる。また、スリット1305c及び閉鎖薄膜1305bがインク供給ニードル1401の外周の形状に追従するので、インク供給ニードル1401と挿入口1305aとの間の面接触が保たれ、軟質部材1305内部の密閉性が確保される。これにより、インク供給ニードルを介したサブタンク1301側へのインクの供給を効率的に行うことができる。
また、上述した各実施形態ではチューブを介して液体吐出ヘッドに液体を供給し、その液体吐出ヘッドから液体を吐出する液体吐出装置についての説明をしたが、本発明はこれに限られない。本発明は、例えば、液体吐出ヘッドのクリーニング動作により回収されたインクを廃インクタンクへ供給する供給機構など、液体吐出装置の液体供給部において、ニードル等の供給部材と、軟質部材からなる受入部材と、が装着される装着機構に対して適用可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出装置について説明する。
本実施形態においては、図13(a),(b)および図14(a),(b)のように、サブタンク1301の受入部材1301aが挿入される軟質部材1305の挿入口1305hに、揮発性の高い溶剤(エタノール)1309を塗布する。図13(a),(b)の例においては、前述した図5(b),(c)における軟質部材1305の挿入口1305hに、揮発性の高い溶剤1309が塗布されている。図14(a),(b)の例においては、前述した図7(b),図8(b)における軟質部材1305の挿入口1305hに、揮発性の高い溶剤1309が塗布されている。揮発性の高い溶剤1309は、受入部材1301aと接触する挿入口1305hの領域のみに塗布する。
受入部材1301aを挿入口1305hに挿入する際には、軟質部材1305を回転させる。揮発性の高い溶剤1309を塗布することにより、受入部材1301aを挿入口1305hに挿入する際の摩擦力を低減させ、軟質部材1305自体の反発力を抑えて、受入部材1301aの挿入性を向上させることができる。